以下、本発明の一実施形態として細胞培養等の処理を行う際に使用する情報管理システムを例に挙げて説明する。なお、本明細書においては、内容物情報は、細胞、細菌、ウィルス等の生体物情報全般を指す。添加物情報は、内容物に添加される薬剤等の情報を指す。容器情報は、内容物、添加物を入れるビン、チューブ、ピペット等の情報を指す。作業情報は、内容物、添加物、容器に加えられる受け渡し、移動、加熱、殺菌等の作業に関する情報を指す。また、操作者、例えば被採取者(あるいは被採取物)に装着された腕輪等に被採取者の情報が記録されている。被採取者(あるいは被採取物)に被採取者の情報が書き込まれたICチップが埋め込まれていてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの概略を第1の側面からみたブロック図である。図1において、容器1は、細胞等を培養する培養容器、操作器具、添加物、内容物を収容できるビン、チューブ、ピペット等、またこれらの処理に使用する器具である。検出部3は、容器1、細胞培養等の作業者、処理用の操作器具、処理用の処理台等に設けられ、容器1の接近を検出するためのセンサを有する。検出部3は少なくとも2つの容器の接近を検出するものであればよく、容器に直接取り付けられていてもよいが、これに限られない。検出部3は、容器1に接近したことを検出すると(接近検出3a)、制御部5に情報を出力する。
制御部5は、CPU(Central Processor Unit)等のコンピュータ処理装置を有し、プログラムに従って制御するようにしてもよく、またデジタル信号処理を有するプロセッサ等であってもよい。制御部5は、検出部3からの接近情報に基づいて、容器1内に情報が記録されているか否かの判定を行い、記憶部7に履歴情報の書き込みの制御を行う。
記憶部7は、不揮発性の電気的書き換え可能なメモリを有し、制御部5によって履歴情報の書き換えが行われる。すなわち、制御部5が細胞情報とこれまで収容された容器情報との関連付けた情報を、履歴情報(履歴情報7a)として記録する。なお、履歴情報としては、細胞情報に限らず、内容物に関連したものであればよい。
検出部3、制御部5、および記憶部7は、同一の装置・器具内に設けられていてもよく、また、3つとも、または2つが別の装置・器具内に設けられていてもよい。別々の装置・器具内に各部が設けられている場合には、無線(赤外線等も含む)によって通信を行う。
本実施形態においては、詳しくは後述するが、種々の容器や器具によって細胞培養等の処理がなされ、培養工程中の細胞の移動時には容器の接近が生じるため細胞が移動されるたびに、検出部3によって、その移動が検出され、記憶部7に履歴情報が書き込まれる。従って、履歴情報を参照することによって、細胞の移動をトレースすることができる。
なお、本実施形態においては、後述するように、個々の容器等に情報処理装置等を設け、この情報処理装置等内における記憶部に履歴情報を書き込むようにしている。すなわち、記憶部7は、容器1とは異なる容器に設けられ、容器1から異なる容器に移された内容物等の情報を追記するようにしている。しかし、これに限らず、処理システムの全体を統括するようなサーバを設け、ここに履歴情報を記録するようにしてもよい。また、処理を行う部屋、また建物内において、履歴情報を書き込む記憶部を設けるようにしてもよい。
図2は、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの概略を第2の側面からみたブロック図である。図1に示した情報管理システムと比較すると、作業2が追加され、また検出部3が作業検出3bを行うことが相違し、他の構成は図1と同様である。
検出部3は、作業2の作業内容を検出し(作業検出3b)、この検出結果を制御部5に出力する。また、記憶部7は、履歴情報として、細胞―容器−作業情報の連携を記憶する。したがって、図2における情報管理システムにおいては、図1に示した細胞を収容する容器1(培養容器、操作器具等)の接近と、行われた作業2に基づいて、制御部5が、細胞情報、容器情報および作業情報の関連付けを行う。また、制御部5は細胞情報と、これまでに収容された容器情報と、これまで行われた作業情報の関連付けを行い、履歴情報7aとして記憶部7に記憶させる。この結果、履歴情報を参照することによって、培養工程中の細胞の移動および行われた作業をトレースすることができる。容器の記録部に上述の作業情報を記録するようにすれば、具体的に容器を調べるだけで、作業の履歴までたどることが出来る。容器情報に作業情報を含めるようにしても良い。
図3は、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの概略を第3の側面からみたブロック図である。図2に示した情報管理システムと比較すると、警告部8が追加されていることが相違し、他の構成は図2と同じである。警告部8は、視覚、聴覚、または触覚等により、不適切な処理・作業がなされたことを操作者に警告する。
図3に示す例においては、容器(培養容器、操作器具を含む)の接近と、行われる作業とを検出し、制御部5は記憶部7から履歴情報(細胞情報と過去の容器情報、作業情報)7aに基づいて容器1および/または操作2の適正を判定し、警告部8は判定結果に基づいて不適切な場合には警告を発する。なお、警告としては、不適切な容器の不使用、不適切な処理・作業がなされた細胞を排除するようにしてもよい。この警告部8により、誤操作を防止することができる。警告部8は、記録制御部によって記録された履歴情報に基づいて、第1と第2の容器の適正を判定し、不適正な場合には警告を行う警告部として機能する。
次に、図4を用いて、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの概略的な構成と動作について説明する。図4(a)は情報管理システムの主として電気的構成を示すブロック図であり、図4(b)は情報管理システムの動作を示すフローチャートである。
第1容器11は、細胞等が収容される容器であるが、細胞に限られず、内容物や添加物の収納容器であればよい。さらに、操作器具等であってもよい。第2容器12は、細胞等の内容物や添加物を収納可能な容器、または作業用の操作器具等である。
第2容器12内には、電源受給部12aおよび記憶部12bが設けられている。記憶部12bは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを有し、記憶部12bには、履歴情報、すなわち細胞と容器の連携を示す情報が記憶される。電源受給部12aは、記憶部12に記憶された履歴情報の読出し、および履歴情報の書き込みのための電源を供給する。電源としては、ICタグのように電波等を受けこの電波に基づいて電力を生成するが、電源電池等を内蔵していてもよい。また、第2容器12は、通信部13と通信を行うための通信部を有する。
なお、第1容器11内にも、第2容器12と同様に、電源受給部、記憶部、および通信部を有し、第1容器11内においても履歴情報が記録される。少なくとも、第1容器内の細胞等の内容物情報および容器に関する情報を通信部13に送信できるような構成とする。第1容器11は、第1の情報を有する第1の容器としての機能を果たす。また第2容器12は、第2の情報有する第2の容器としての機能を果たす。第1の情報および第2の情報は、内容物情報、容器情報、および添加物情報のうちの少なくとも1つである。上述の容器情報は、作業内容の情報とその時の内容物の増減を表す情報である。例えば、ピペットが挿入されたことによって内容物が減った、増えた、傾けてなくなった、上から注がれて増えた等の情報であってもよい。また、この場合、そのまま画像が貼り付いていてもよく、画像にタグ付けされていてもよい。
第1容器11は、第1の記憶部を有する第1の容器として機能する。また第2容器12は、第2の記憶部を有する第2の容器として機能する。第1容器11は、第1の通信部を有する第1の容器として機能する。第2容器12は、第2の通信部と記録部を有する第2の容器として機能する。第1容器11または第2容器12は、作業台、ウエラブル端末等のステーションと通信する通信部と記録部を有する容器として機能する。この容器は、通信部がステーションと通信した時に、記録部が、ステーションが直前に受信した情報を取得して追記する(例えば、図4(b)のS5、S9等参照)。
通信部13は、無線(赤外線等も含む)による通信回路、電源供給部13aおよび接近検出部13bを有する。接近検出部13bは、接近検出回路(CPUによって検出する場合も含む)を有し、通信回路による通信結果に基づいて、第1容器11および第2容器12の接近を検出する。しかし、これに限らず、センサを有し、第1容器11および第2容器12が接近したことを検出するようにしてもよい。例えば、容器に磁気や、電場、光等を発生できるようにし、通信部13内のセンサが磁場、電場、光等を検知することにより、容器の接近を検出するようにしてもよい。また、接近検出部13bは、撮像部を有するカメラからの画像データに基づいて、第1容器11および第2容器12の接近を検出するようにしてもよい(後述する図4(b)のS7参照)。
接近検出部13bは、第1と第2の容器の接近を検出する接近検出部としての機能を果たす(例えば、図4のS3、S7参照)。この接近検出部は、容器が接近した時の画像に基づいて識別可能とする。また、接近検出部13bは、第1と第2の容器のうちの少なくとも1つの容器における作業を検出する作業検出部として機能する(例えば、図4のS3、S7、図5の信号処理/制御部110等参照)。上述の作業は、第1の容器の内容物が第2の容器に移された作業である。例えば、第1の容器が第2の容器の上で傾けられるような作業、内容物の移動を画像で検出する作業、第1の容器を持つ作業者と第2の容器を持つ作業者が同じである等がある。接近検出部13bは、第1と第2の容器の接近、もしくは第1、第2の容器に対する作業を検出する検出部として機能する。通信部13は、第1、第2の通信部と通信可能な近接検出機能付き通信部として機能する。
電源供給部13aは、接近検出部13b(通信回路を含む)や、電源受給部12a等に電源を供給する。電源受給部12aには、電波を投射し、電源受給部12aは、受信した電波に基づいて電源を供給する。
制御部15は、CPU(Central Processor Unit)等のコンピュータ処理装置を有し、プログラムに従って制御するようにしてもよく、またデジタル信号処理を有するプロセッサ等であってもよい。制御部15は、通信部13からの接近情報に基づいて、第1容器11と第2容器12における、容器内の細胞情報や容器情報の判定を行い、両者の関連付けを行い、更に記録部17に記録の有無および書き込み制御を行う。記録部17は、第1容器11から読み出した情報を、第2容器12の記憶部12bに追記録までの間、一時的に記憶する。なお、制御部15、通信部13、および記録部17は、一体に構成してもよく、また一部を別体に構成してもよい。さらに、第1および第2容器11、12は、制御部15、通信部13、および記録部17の機能の全部または一部を内蔵し、第1および第2容器11、12が接近すると、直接、情報をやり取りし、履歴情報等の追記を行うようにしてもよい。
制御部15は、接近検出部によって接近を検出した時に、第1の情報を第2の情報に追記する記録制御部としての機能を果たす。また、記録制御部は、作業に関する情報を追記する。制御部15は、検出部によって接近もしくは作業を検出した時に、第1の記憶部に記憶された履歴情報を読み出し、第2の記憶部に履歴情報と、第2の容器に関する情報もしくは作業に関する情報に追記し、履歴情報を書き換える記録制御部として機能する。
次に、図4(b)に示すフローチャートを用いて、本発明の一実施形態に係る具体的な情報管理システムの動作について説明する。このフローは、制御部15内のCPU等のプロセッサが、制御部15内のメモリに記憶されたプログラムに従って実行する。
図4(b)に示すフローが開始すると、まず、電源供給を行う(S1)。ここでは、通信部13内の電源供給部13aが第2容器12内の電源受給部12aに電源を供給する。
電源を供給すると、次に第1近接判定を行う(S3)。ここでは、通信部13内の接近検出部13bが第1容器11と第2容器12が近接したか否かについて判定する。例えば、操作者が、第1容器11に収容されていた細胞等の内容物を第2容器12に移動させる場合がある。この時、第1および第2容器11、12が電源供給部13aからの電波を受信して、通信部13に電波が送信される。接近検出部13bは、この電波に基づいて、第1および第2容器11、12の接近を検出することができる。この接近の検出にあたっては、第1および第2容器11、12が同時に通信部13に接近するとは限らず、いずれか一方が先に近づく場合もある。この場合には、接近検出部13bが、両容器11、12との位置関係を検出し、両容器が近接した時点で近接している判定すればよい。なお、このステップS3では、2つの容器が近接したか否かに限らず、吸引作業等、作業内容についても判定するようにしてもよい。このステップS3における判定の結果、第1近接が検出されていない場合には、ステップS1に戻り、電源供給が続行される。
ステップS3における判定の結果、第1近接を検出した場合には、情報と検出した時刻を取得し、仮記録を行う(S5)。第1近接、すなわち第1容器11と第2容器12が近接したことを検出したことから、この場合には、通信部13は、第1容器11内の記憶部から履歴情報、および第1容器に関する情報を取得し、制御部15に送信する。情報としては、例えば、第1容器11から移動した細胞の細胞情報と、第1容器11の容器情報等の情報がある。制御部15は、通信部13経由で取得した情報を記録部17に仮記録する。
ステップS5において、情報取得および仮記録を行うと、次に、第2近接判定を行う(S7)。ここでは、接近検出部13b内のカメラの撮像部によって取得された画像データに基づいて、第1容器11と第2容器12が近接したか否かを画像認識によって判定する。例えば、第1容器11内の細胞が第2容器に移される場合に、制御部15が画像データを解析し、2つの容器の位置関係の変化等に基づいて判定する。また、ここで、画像データを解析することにより、作業判定を行ってもよい。
ステップS7における判定の結果、第1及び第2容器が近接していた場合には、取得済み情報を送信し、追記する(S9)。ステップS3およびS5における判定の結果、第1容器11が第2容器12に近接していたことから、第1容器11から第2容器12に細胞等の内容物が移動したと判断し、記録部17に仮記録されている第1容器11に関する履歴情報等の取得された情報を、第2容器12に送信し、記憶部12bに記録する。ここでの情報の伝達については、図5ないし図7を用いて後述する。
続いて、仮記録のクリアを行う(S11)。第1容器11から第2容器12に移動した細胞と前に収容されていた容器(ここでは、第1容器11)の情報等の種々の情報が、記憶部12bに記録されたことから、記録部17に仮記録された履歴情報等の情報はクリアされる。仮記録をクリアすると、ステップS1に戻り、前述の動作を行う。なお、本実施形態においては、細胞の移動に応じて、細胞を収容している容器(操作器具等も含む)内の記憶部に履歴情報を記録するようにしている。しかし、これに限らず、細胞等の内容物の全処理を管理する記録部を設けておき、そこに記録するようにしてもよい。
一方、ステップS7における判定の結果、第2近接を検出できない場合には、所定時間内か否かについて判定する(S11)。接近検出部13bによって第1容器11と第2容器12の接近を検出できた場合には、撮像部からの画像データによっても近接(第2近接)を検出することができる。ここでは、所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間内に、第2接近と判定されると、第2容器12の記憶部12bに履歴情報等の情報が書き込まれることになる。所定時間としては、第1および第2容器11、12が接近したと判定されるのに十分な時間であればよい。ステップS11の判定の結果、所定時間内の場合には、ステップS1に戻り、前述の動作を行う。但し、ステップS1に戻り、ステップS3で第1容器11の接近を検出した場合は、ステップS5では検出時刻のみを仮記録に追加記録する。
一方、ステップS11における判定の結果、所定時間内が経過すると、エラー判定を行う(S13)。第1近接を検出してから所定時間内に第2近接を検出できない場合には、第1容器11と第2容器12は近接していなかったと判定し、ステップS1に戻る。
このように、図4に示す情報管理システムにおいては、第1の情報を有する第1の容器と、第2の情報を有する第2の容器が接近したか否かを判定し(S3、S7)、第1と第2の容器が接近したことを検出した時に、第1の情報を第2の情報に追記している(S5、S9)。具体的には、2つの容器が接近した否かを判定すると(S3、S7)、細胞等の内容物が収容されている容器(ここでは、第1容器11)に関する情報(内容物情報および容器情報)を、制御部15が取得し(S5)、取得した情報を、細胞等の内容物が移動した先の容器(ここでは、第2容器12)の記憶部12bに追記している(S9)。このため、細胞等の内容物が移動した先の容器の記憶部には、細胞等の内容物が最初に処理された時からの情報(履歴情報)が、内容物が移動するために付随して移動し、情報が累積されていく。この結果、細胞等の内容物の処理について、信頼性の高いトレーサビリティを実現することができる。なお、ステップS3、S7においては、第1および第2容器11、12の接近のみならず、両容器または何れか一方の容器で作業が行われていることも検出するようにしてもよい。
また、図4に示す情報管理装置においては、第1容器11は第1の記録部として機能し、また第2容器12は第2の記録部として機能し、通信部13は第1および第2の記録部に通信可能である。また、通信部13および制御部15は、第1の記録部の情報管理装置への接近を第1のタイミングで検出し、第2の記録部が情報管理装置への接近を第2のタイミングで検出した時に、第2のタイミングに続く第3のタイミングまでの期間を第1の記録部に記録された情報の追記先として第2の記録部を候補とするイネーブル期間とする記録制御部として機能する。前述したように、第1記録部(第1容器11)と第2記録部(第2容器12)は同時に情報管理装置(接近検出部13b)に接近するとは限らず、両記録部が接近した第2のタイミング以後、第3タイミング(第2近接判定までの所定時間(S11参照))の間がイネーブル期間となり、この間に第2近接判定がなされると、第2記録部に情報が追記される。操作者が誤って2つの容器を近づけてしまっても、第3タイミングまでの間は、イネーブル期間であることから、容易に情報の追記を取り消すことができ、誤った情報が追記されることを防止できる。
なお、図4(b)に示すフローにおいては、ステップS7において、第1および第2容器の近接を判定していたが、これに限らず、第1および/または第2容器で作業が行われたか否か等、近接以外の判定を行うようにしてもよい。すなわち、イネーブル期間において、特定の作業を検出ための作業検出部を具備する。例えば、第1および第2容器11、12が接近した場合に仮記憶部17に情報を仮記憶すると共にイネーブル期間が開始される。イネーブル期間において、接近以外の判定を、容器または器具に設けられた操作スイッチ(例えばピペットに設けられた吸引/排出のスイッチとの兼用や、後述する図5に記載の指に設けられた曲げセンサや押圧センサとを兼用し曲げセンサや押圧センサが取得した情報に基づく判定を操作スイッチに代用してもよい)が操作されることで、仮記憶から本記憶への情報の移行や、仮記憶部17の仮記憶をクリア(本記憶への情報の移行をキャンセル)にしても良い。なお、容器や器具に操作スイッチを設けずに、カメラαで操作を検出することに代替してもよいし、第1および第2容器11、12の記憶部のそれぞれに情報を追記して記憶してもよい。さらに、記憶した時間や、記憶した情報が記憶(追記)された順番に整列して記憶されてもよい。
上述のような作業検出部を備え、イネーブル期間において特定作業を検出することにより、追記されていった情報の時間変化や追記された順番を確認することで、お互いの接近や内容物の移動の履歴をさかのぼって、エビデンスとして記録することが出来る。つまり、情報の受渡し(第1容器から第2容器、または第2容器から第1容器)の方向は限定しなくてもよく、受渡しの時間または受渡しの順番が記録されればよい。
また、図4に示す情報通信装置においては、制御部15は、第1の記録部(第1容器11)の情報通信装置(通信部13)への接近と、第2の記録部(第2容器12)の情報通信装置(通信部13)への接近を検出した時に、第1の記録部に記録された情報に第2の記録部に記録された情報を加えて各々の記録部に記録する記録制御部として機能する。このため、第1および第2の記録部が接近すると、いずれか一方の記録部に記録された情報が他方の記録部に追記されるので、種々の情報が累積し、内容物等の同一性を確保し、またトレーサビリティの信頼性を向上させることができる。なお、図4に示す例では、記録制御部は制御部15、第1および第2容器11、12との間の情報の授受は通信部13が担っているが、第1および第2容器11、12内に記録制御部および/または通信部の機能を持たせても勿論かまわないし、第2容器12の記憶部12b(や第1容器11の記憶部11b)に仮記憶部17の機能を持たせても勿論かまわない。
次に、図5ないし図14Bを用いて、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの更に詳しい構成と動作について説明する。
まず、図5を用いて、情報管理システムの構成について説明する。図5に示す情報管理システムは、第1ウエアラブル端末100、第2ウエラブル端末200、および容器300から構成される。なお、図5においては、2つのウエアラブル端末と1つの容器が示されているだけであるが、情報管理システムとしては、図9ないし図11に示す例のように、多数のウエアラブル端末と複数の容器等から構成される。
第1ウエラブル端末100は、図9における手袋R、手袋Lのように、操作者が実際に容器等に触れる装着物に設けられている。この第1ウエラブル端末100は、曲げセンサ101、103、押圧センサ102、104、第1指判定部105、第2指判定部106、時計107、信号処理/制御部110、通信部120を有する。
曲げセンサ101、103は、手袋R、手袋L(図9)の指の部分であって、操作者の指が容器を把持する等により曲げられた際に形状が変化する部分に配置されたセンサであり、曲げの程度に応じた検知信号を出力する。第1指判定部105、第2指判定部106は、曲げセンサ101、103からの検知信号に基づいて、操作者の指の曲げ状態を判定する。なお、曲げセンサ101、103は、手袋に限らず、容器を把持する操作者の装着物に配置する曲げセンサであればよい。
押圧センサ102、104は、手袋R、手袋L(図9)の指の部分であって、操作者が容器を把持した際に接する部分に配置されたセンサであり、押圧の程度に応じた検知信号を出力する。第1指判定部105、第2指判定部106は、押圧センサ102、104からの検知信号に基づいて、操作者の容器の把持状態を判定する。なお、押圧センサ102、104は、手袋に限らず、容器を把持する操作者の装着物に配置する押圧センサであればよい。
時計107は、日時情報を生成し、この日時情報を信号処理/制御部110に出力する。日時情報は、作業が行われた際に、履歴情報を更新する際に、併せて日時情報を記録するようにしてもよい。
信号処理/制御部110は、CPU(Central Processor Unit)等のコンピュータ処理装置を有し、プログラムに従って制御するようにしてもよく、またデジタル信号処理を有するプロセッサ等であってもよい。信号処理/制御部110は、第1指判定部105および第2指判定部106からの判定結果を入力し、操作者の指を使った操作状態(例えば、容器を把持、ピペットで液を吸引、ピペットで液を吐出、液を攪拌している等)を判定し、この判定結果と、時計107から入力した日時情報を通信部120に出力する。
通信部120は、無線等の通信回路を有し、信号処理/制御部110から出力された操作者の指の状態の判定結果および日時情報を第2ウエアラブル端末200の通信部201に出力する。
第2ウエラブル端末200は、図9における操作者の腕に装着した腕輪のように、操作者の装着物の近傍に設けられている。第2ウエアラブル端末200には、通信部201、信号処理/制御部202、表示部203、および操作部204が設けられている。なお、表示部203、操作部204等は、端末によっては必要ない場合もあり、その場合には省略してもよく、また端末によって必要な部材を設けてもよい。また、操作者を識別できるような情報を記録しておいてもよい。この場合には、履歴情報に作業情報に関連付けて操作者情報を書き込むことができる。
通信部201は、無線等の通信回路を有し、通信部120から出力された操作者の指の状態の判定結果および日時情報を受信し、また容器300の通信部301からの情報を受信し、これら受信した情報を信号処理/制御部202に出力する。
信号処理/制御部202は、CPU(Central Processor Unit)等のコンピュータ処理装置を有し、プログラムに従って制御するようにしてもよく、またデジタル信号処理を有するプロセッサ等であってもよい。信号処理/制御部202は、変化判定部202aおよび操作信号決定部202bを有する。変化判定部202aは、第1ウエアラブル端末100からの送信されてきた操作者の指を使った操作状態等について、変化があったか否かを判定する。また、操作信号決定部202bは、操作部204から入力した検知信号に基づいて、操作者の操作を決定する。なお、変化判定部202aおよび操作信号決定部202bは、CPUとプログラムによってソフトウエア的に実現してもよく、またハードウエア回路によって実現してもよい。
操作部204は、操作釦等の操作部材および/またはタッチパネル等を有し、操作者の指示を入力するためのインターフェースである。表示部203は、表示パネル等を有し、信号処理/操作信号決定部202によって、メニュー画面や操作状態を表示する。
容器300は、図9における操作者が操作するピペット、容器、容器のふたのように、細胞等の内容物を収容または処理器具等である。容器300には、通信部301、撮像部302、姿勢判定部303、制御部305、表示部306、および操作部307が設けられている。なお、撮像部302、姿勢判定部303、表示部306、操作部307等は、端末によっては必要ない場合もあり、その場合には省略してもよく、また端末によって必要な部材を設けてもよい。例えば、眼鏡型のウエアラブル端末の場合に、撮像部を設けるようにしてもよい。
通信部301は、無線等の通信回路を有し、通信部201に制御部305からの機器情報や、姿勢判定結果、操作情報等、種々の情報、また制御部305内に記憶された機器情報、履歴情報等の種々の情報を通信部201に出力する。
撮像部302は、撮像レンズ、撮像センサ、撮像制御回路等を有し、画像データを取得し、制御部305に出力する。姿勢判定部303は、姿勢検出用のセンサを有する。姿勢判定部303は、容器300の姿勢、例えば、水平に配置、傾いて配置、上方に移動、下方に移動等の容器の姿勢を判定し、判定結果を制御部305に出力する。
制御部305は、CPU(Central Processor Unit)等のコンピュータ処理装置を有し、プログラムに従って制御するようにしてもよく、またデジタル信号処理を有するプロセッサ等であってもよい。信号処理/制御部305は、機器情報305aを記憶するための電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを有する。この機器情報305aは、図6ないし図8を用いて後述するように、種々の情報(履歴情報を含む)を記憶する。制御部305は機器情報305aを読出して第2ウエアラブル端末200の信号処理/制御部202に出力し、また信号処理/制御部202から送信されてきた情報を機器情報305aとして記録する。
操作部306は、操作釦等の操作部材および/またはタッチパネル等を有し、操作者の指示を入力するためのインターフェースである。表示部307は、表示パネル等を有し、制御部305によって、メニュー画面や操作状態を表示する。なお、なお、図5においては、撮像部302等が容器300内に配置されているが、後述する図9においては、容器300とは別体に配置するようにしている。また、撮像部302に加えて、図4に示した第2容器12のように、姿勢判定部303、表示部306、操作部307を省略しても勿論かまわない。
次に、図6ないし図8を用いて、本実施形態における情報伝達について説明する。図6は、図1に示したような容器情報のみを伝達する場合である。この場合には、内容物(細胞等の内容物を含む)は、容器A、容器B、容器Cの順に、順次、移動していく。容器A、B、Cは、図5の容器300に示すような構成とし、少なくとも図4に示す第2容器12のような構成を有していればよい。
図6において、容器Aは情報処理装置Ajを有している。時刻T1において、情報処理装置Ajは、情報Aj(図5の機器情報305a参照)として、内容物情報A0と容器情報A1を、記憶している。なお、情報処理装置Ajは、図5においては、制御部305等が相当するが、必ずしも容器と一体に構成せずに、容器とは別体に構成してもよい(図7および図8においても同様)。
時刻T2において、容器Aの内容物が容器Bに移ると、時刻T3において、容器Bに設けられている情報処理装置Bjは、情報Bjとして、容器Aの情報Ajに加えて、容器情報B1を記憶する。すなわち、第1及び第2ウエアラブル端末によって、容器Aの内容物が容器Bに移動したことを検知されると、容器Aに記憶されている内容物情報と、容器情報A1およびB1が、一旦、第2ウエアラブル端末に送信され、情報Bjが生成される。ここで生成された情報Bjが、容器Bに送信されて記憶される。これによって、容器Bには、内容物情報A0、最初の容器A、次の容器Bの情報が、容器B内に記録される。
次に、時刻T4において、容器Bから容器Cに内容物が移動すると、時刻T5において、容器Bの場合と同様にし、容器Cに設けられている情報処理装置Cjは、情報Cjとして、容器Aと容器Bの情報Bjに加えて、容器情報C1を記憶する。これによって、容器Cには、内容物情報A0、最初の容器A、2番目の容器B、3番目の容器Cの情報が、容器C内に記憶される。
このように、初期の内容物情報A0は、容器が他の容器に所定距離、近接するたびに情報伝達される。また、容器情報は、容器が他の容器に所定距離、近接するたびに累積的に付加されて情報伝達される。なお、容器情報と内容物情報は、一旦、第2ウエアラブル端末を経由して、容器から他の容器に移動するとして説明したが、第2ウエアラブル端末を経由することなく、直接、容器同士で情報のやり取りを行うようにしてもよい。また、これに限らず、第1ウエアラブル端末を経由して情報を伝達してもよく、または処理が行われる部屋、建物等、処理システムを統括するサーバを設け、ここで情報管理を行うようにしてもよい。
図7は、工程情報(作業情報)が情報伝達される場合を示す。図7に示す例では、容器Aに収容されている細胞等の内容物に対して、作業S1、S2が施される場合を示す。まず、時刻T11において、内容物が収容されている容器Aの情報処理装置Ajに、情報Aj1が記憶されている。
時刻T12において、容器Aの内容物に対して作業S1がなされる。このときの作業S1は、作業検出装置Sdによって検出され、このときの作業情報Sj1が、容器Aの情報処理装置Ajに送られる。時刻T13において、容器Aの情報処理装置Ajは、情報Aj1に、送信されてきた作業情報Sj1を加えて、情報Aj2を生成し、この情報を記憶する(図5の機器情報305a参照)。
時刻T14において、容器Aの内容物に対して作業S2がなされる。このときの作業S2は、作業検出装置Sdによって検出され、このときの作業情報Sj2が、容器Aの情報処理装置Ajに送られる。時刻T15において、容器Aの情報処理装置Ajは、情報Aj2に、送信されてきた作業情報Sj2を加えて、情報Aj3を生成し、この情報を記憶する(図5の機器情報305a参照)。
このように、図7に示す情報伝達の例では、作業が行われるたびに、その作業情報が追記され、情報処理装置Ajの記憶部に記憶されている情報がAj1からAj2へと、累積的に書き換えられている。このため、容器Aに関連する情報処理装置Ajに記憶されている情報(機器情報305a)を読み出させば、内容物に対してなされた作業内容の履歴を容易に確認することができる。なお、作業検出装置Sdは、手袋に設けられた曲げセンサ101、103、押圧センサ102、104等、作業用の工具・器具等に取り付けられたセンサ出力に基づいて、作業を検出してもよく、また撮像部302によって取得された画像データを解析して検出するようにしてもよい。
図8は、容器情報と工程情報(作業情報)が情報伝達される場合を示す。図6に示す例では容器情報が伝達され、図7に示す例では工程情報が伝達されていたが、図8に示す例では、容器情報と工程情報の両方が伝達される。
時刻T21において、容器Aには情報処理装置Ajが関連付けられており、この容器Aには内容物A0が収容されている。このとき、情報処理装置Ajの記憶部には、内容物情報A0および容器情報A1からなる情報Ajが記憶されている。
時刻T22において、容器Aに収容されている内容物に対して作業S1が行われ、内容物が容器Bに移る。この作業S1は、作業検出装置Sdによって検出され作業情報Sj1が出力される。時刻T23において、内容物の移動先である容器Bの情報処理装置Bjは、容器Aの情報処理装置Ajの情報Ajに、容器情報B1および作業情報Sj1を加えた、情報Bjを情報処理装置Bjの記憶部に記憶する。
時刻T24において、容器Bに収容されている内容物に対して作業S2が行われ、内容物が容器Cに移る。この作業S2は、作業検出装置Sdによって検出され作業情報Sj2が出力される。時刻T25において、内容物の移動先である容器Cの情報処理装置Cjは、容器Bの情報処理装置Bjの情報Bjに、容器情報C1および作業情報Sj2を加えた、情報Cjを情報処理装置Cjの記憶部に記憶する。
このように、図8に示す情報伝達の例では、内容物が移り、また作業が行われるたびに、情報処理装置Ajの記憶部に記憶されている情報がAj、Bj、Cjへと、累積的に書き換えられている。このため、容器に関連する情報処理装置に記憶されている最新の情報(機器情報305a)を読み出させば、内容物を収容していた容器や、内容物に対してなされた作業内容の履歴を容易に確認することができる。なお、図8に示す例では、内容物が移動するのと作業が対になっていたが、必ずしも対になっている必要はない。
また、容器から容器に内容物が移される場合、情報の伝達は一方向でなくともよい。例えば、再利用する容器の場合もあるので、C1やB1で図示した情報の流れである。上述の容器情報は単純に容器の種類とか内容物の情報のみならず、作業がなされた場合、その作業内容の情報とその時の内容物の増減を表す情報を容器情報としてもよい。例えば、ピペットが突っ込まれたから減った、増えた、傾けてなくなった、上から注がれて増えたといった来歴情報であれば、どんな作業がなされたかが履歴として残せる。その時の作業の様子を撮像し記録しておき、その画像に情報に貼り付けてもよい。一連の画像に、それ(作業とか内容物とか履歴)を表すタグ付けがなされていてもよい。容器が接近した時を検出して、その作業を撮影した画像を識別可能としておけば、後で確認が容易になる。
また、容器情報と内容物情報は、一旦、第2ウエアラブル端末を経由して、容器から他の容器に移動するとして説明したが、第2ウエアラブル端末を経由することなく、直接、容器同士で情報のやり取りを行うようにしてもよい。また、これに限らず、第1ウエアラブル端末を経由して情報を伝達してもよく、または処理が行われる部屋、建物等、処理システムを統括するサーバを設け、ここで情報管理を行うようにしてもよい。
次に、図9ないし図11を用いて、本実施形態における内容物の移動および作業の際の情報管理の例について説明する。ここでの作業例は、容器C405に収容されている内容物(培地)をピペット410で吸い上げ、チューブ430に移す作業である。ピペット410の形状を認識し、ピペット410のチップ部に検出されなかった内容物が順次、侵入していくことを画像で検出する。ピペット410の操作部を作業者が操作した事を検出したり、画像の変化で判定する。専用の装着具で身体の動きを直接検出してもよい。また、その内容物がチューブ430の中に入っていく様子を画像で判定してもよい。容器の内容物の増減を重量の変化や画像の変化によって判定し、二つの器具の間での内容物の移動の関係を判定してもよい。重量の変化は容器の下に設けられた重量計などで判定が出来る。内容物検出の有無の関係を判定してもよい。同じ作業者が両手にそれぞれの容器を持っていることを検出し、その容器や手の位置の関係(上から下に注ぐとか、傾けるとか、容器の口の位置の関係等)を画像で判定してもよい。傾きセンサや近接センサなど専用のセンサで判定することも可能である。
図9に示すように、作業台α401には、情報処理装置αi402と、カメラKα404が設けられている。カメラKα404は情報処理装置Kαj403を有する。作業台α401には、培地が収容された容器C405と、容器C405の蓋407が載置されている。容器C405には情報処理装置Cj406が設けられ、また蓋407には情報処理装置Cj’が設けられている。
培地を吸引可能なピペットd410には、操作部412と情報処理装置dj411が設けられている。操作部412を押圧することにより、培地を吸引することができる。図9では、この操作部411を、操作者の右手の手袋R415(第1のウエアラブル部)によって把持されている。手袋R415には、指の関節部分に曲げセンサ416、417が配置され、また指の把持部分には押圧センサ418、419が配置されている。
また、操作者の右手の腕には、腕輪R420(第2のウエアラブル部)が装着されている。腕輪R420は、図5の第2ウエアラブル端末200に相当する端末であり、第1ウエアラブル端末に相当する手袋R415の各センサの出力を受信する。また、前述の情報処理端末αj402、Kαj403、Cj406、Cj’408からの出力を信号線Lを介して受信し、また必要に応じて指示を出力する。更に後述する情報処理端末ej431、伝達情報処理装置Gj461、作業情報処理装置Lj436からの出力も信号線Lを介して受信し、また必要に応じて指示を出力する。なお、信号線Lは、有線あるいは無線のためのラインである。
操作者の左手には手袋L440(第3のウエアラブル部)が装着され、この手袋L440によって、チューブe430を把持している。手袋L440には、指の関節部分に曲げセンサ441が配置され、また指の把持部分には押圧センサ443が配置されている。操作者の左手の腕には、腕輪L435(第4のウエアラブル部)が装着されている。腕輪L435は、図5の第2ウエアラブル端末200に相当する端末であり、第1ウエアラブル端末に相当する手袋R415の各センサの出力を受信する。この腕輪L435には、作業情報処理装置Lj436が設けられており、曲げセンサ441、押圧センサ443による検知信号を腕輪R420の作業情報処理装置Rj421に送信する。
チューブe430は、培地等の内容物を収容することができ、手袋L440で把持されると、曲げセンサ441や押圧センサ443から検知信号が出力され、この検知信号は作業情報処理装置Lj436経由で、作業情報処理装置Ri421に送信される。また、チューブe430には情報処理装置ej431が設けられている。
また、操作者は眼鏡G460(第5のウエアラブル端末)を装着可能である。この眼鏡G460は、伝達情報処理装置Gj461、カメラ部Gα462、レンズ463、画像表示器464を有する。レンズ463を通して容器C405、ピペットd410、チューブe441等を観察することができ、同時にこれらの観察物の画像データをカメラGα462によって取得し、また画像表示器464によって種々の画像情報465を視認することができる。
また、眼鏡G460には、伝達情報処理装置Gj461が設けられており、眼鏡G460で取得した画像データ等の情報を腕輪R420内の作業情報処理装置Ri421に送信し、また情報を受信することができる。受信した情報は、前述の画像表示器464を介して、操作者に表示することができる。
腕輪R420の作業情報処理装置Rj421は、前述した第2ウエアラブル端末200内の信号処理/制御部202に相当し、容器C405とピペットd410が近づくと、容器C405の情報処理装置Cjとピペットd410の情報処理装置dj411からの信号Lに基づいて、容器C405とピペットd410が近づいたことを判定する。また、曲げセンサや押圧センサからの検知信号に基づいて、培地を吸引したことを判定する。
培地の吸引を判定すると、作業情報処理装置Rj421は、情報処理装置Cj406内の記憶部から情報Aj(図6、図8参照)を読出し、さらにピペットd410の容器情報と吸引作業の作業情報を加えた情報を生成し、ピペットd410内の情報処理装置dj内の記憶部に、生成した情報を記録させる。
図9に示すように、ピペットd410が培地を吸引すると、次に、図10に示すように、ピペットd410で吸引した培地をチューブe430に吐出する。ここでは、腕輪R420の作業情報処理装置Rj421は、ピペットd410とチューブe430が近づくと、ピペットd410の情報処理装置dj411とチューブe430の情報処理装置Cj431からの信号Lに基づいて、ピペットd410とチューブe430が近づいたことを判定する。また、曲げセンサや押圧センサからの検知信号に基づいて、培地を吐出したことを判定する。なお、作業情報としては、カメラKα404またはカメラGα462によって取得された画像データの画像解析に基づいて、培地の吐出を判定してもよく、また手袋R415のセンサの検知信号に基づいて判定してもよい。
培地の吐出を判定すると、作業情報処理装置Rj421は、情報処理装置Bj411内の記憶部から情報Bj(図6、図8参照)を読出し、さらにチューブe430の容器情報と吐出作業の作業情報を加えた情報を生成し、チューブe430内の情報処理装置Cj内の記憶部に、生成した情報を記録させる。
次に、図11を用いて、チューブ430内で培養された培地および細胞を、容器E470に移す際の情報管理について説明する。このピペットD480は、汚染を防止するために、先端部は取り替えられている。また、ピペットD480の情報処理装置Dj481には、ピペットD480で培養された細胞等を吸引する際に、培養のための容器から、情報が読み込まれて累積的に記録されている。ピペットで培養された細胞等を吸引する動作は、図9で説明した動作と同様であることから、詳しい説明を省略する。
また、今回の作業は、作業台β465の上で行われ、この作業台β465には情報処理装置βj476とカメラKβ477が設けられている。また、作業台β475の上には、容器E470が載置され、この容器E470には情報処理装置Ej471が設けられている。なお、カメラKβ477またはカメラGα462によって取得された画像データに基づいて、容器の接近や、作業等を判定するようにしてもよい。
図11において、操作者が、ピペットD480を容器E470に近づけると、腕輪R420の情報処理装置Rjは、両者が近づいたことを検知する。そして、吸引された培地を有するピペットD480の操作部482を押圧すると、培地は容器E470に吐出される。このとき、曲げセンサ416、押圧センサ418、419は、操作者の押圧動作に応じて検知信号を出力する。情報処理装置Rjは、ピペットD480が容器E470に近づいたことを検知し、またピペットD480から培地が吐出されたことを示す情報を、容器E470の情報処理装置βj476に送信する。情報処理装置βj476は、記憶部に記録されている履歴情報に、受信した情報を累積的に記録する。
このように、図9ないし図11に示す作業における情報管理は、容器等が近づいて作業を行うと、内容物情報、容器情報および作業情報を、内容物の移動先の情報処理装置に送り、累積的に情報が書き加えられていく。このため、内容物が収容された容器や、内容物に対して行われた作業内容の履歴情報が、現在存在する容器の情報処理装置内の記憶部から簡単に読み出すことができる。
なお、図9ないし図11に示す情報管理においては、腕輪R420内の情報処理装置Rj421が中心となって、関係する容器から情報を収集し、内容物の移動先の情報処理装置に情報を書き込むようにしていた。しかし、これに限らず、作業台に設けられた情報処理装置が中心になって情報管理を行ってもよい。また、内容物の移動先の容器の情報処理装置が中心になって情報を収集し、情報を書き込むようにしてもよい。さらに、第1ウエアラブル端末を経由して情報を伝達してもよく、または全体を統括するサーバを用意し、このサーバに全ての情報を集め、履歴情報を記録するようにしてもよい。
次に、図12ないし図14Bに示すフローチャートを用いて、情報管理の一例について説明する。このフローチャートは、図5に示す例では、第2ウエアラブル端末200内の信号処理/制御部202内のCPU等のプロセッサがプログラムに基づいて実行し、また、図9ないし図11に示す例では、第2ウエアラブル端末200に相当する腕輪R420内の作業情報処理装置Rj内のCPU等のプロセッサがプログラムに基づいて実行する。
図12に示すフローは、細胞培養用(iPS細胞の培養)の培地の準備を示す。この培地の準備のフローが開始すると、まず、作業台α上に必要機材を配置する(S21)。ここでは、作業台α401の上に、容器、ピペット、チューブ(培養容器)等の機材を配置する。
続いて、PBS(リン酸緩衝食塩水)を容器Aからピペットaに所定量吸引する(S23)。ここでは、PBSの入っている容器Aの蓋をあけ、この容器Aからピペットaに所定量だけPBSを吸引する。吸引が終わると、容器Aに蓋をする。このとき、容器Aの記憶部から読み出された履歴情報に、内容物情報および容器情報、及びこの時の作業情報が加えられて、ピペットaの記憶部に履歴情報として書き込まれる。
続いて、ピペットaのPBSを培養容器bに所定量入れる(S25)。このとき、培養容器bの記憶部に、ピペットaから読み出された履歴情報に加えて、容器情報およびこの時の作業情報を含む履歴情報が書き込まれる。
次に、培養容器bにPBSが万遍なく行き渡るように攪拌する(S27)。ここでは、ステップS25において使用した容器と同じであるが、攪拌作業が追加されている。そこで、培養容器bの記憶部に、それまでの履歴情報に加えて、この時の作業情報が書き込まれる。
続いて、細胞培養基材を容器Bからピペットcで所定量吸引する(S29)。ここでは、新たに、容器Bから内容物(細胞培養基材)を吸引することから、吸引先のピペットcの記憶部に、容器Bから読み出した履歴情報に、容器情報およびこの時の作業情報が書き込まれる。
次に、ピペットcの細胞培養基材を培養容器bに所定量入れ、攪拌する(S31)。ここでは、ステップS25、S27においてPBSを入れた培養容器bに、ステップS29において吸引した細胞培養基材を満遍なくコートする。このとき培養容器bの記憶部に、それまで培養容器bに記憶された履歴情報に加えて、この時の作業情報が書き込まれる。
続いて、培養容器bをインキュベータに入れる(S33)。このとき、インキュベータ(恒温槽)に入れるという作業情報が、培養容器bの記憶部に、それまで記憶された履歴情報に書き込まれる。なお、インキュベータ内における温度等の情報を入手できれば、履歴情報に、インキュベータ内での温度等を記録するようにしてもよい。
次に、培地を容器Cからピペットdで所定量吸引される(S35)。ここでは、ピペットdの記憶部に、容器Cから読み出した履歴情報に加えて、内容物情報(培地)と、容器情報(容器C)と、作業情報(吸引作業)が書き込まれる。なお、このステップは、図9を用いて説明した作業と同じである。
続いて、ピペットdの培地をチューブeに所定量入れる(S37)。この作業は、培地を小分けし、作業をし易くするものである。このステップでは、チューブeの記憶部に、ピペットdから読み出された履歴情報に加えて、容器情報(チューブe)と作業情報が書き込まれる。なお、このステップは、図10を用いて説明した作業と同じである。
次に、ROCK阻害剤を容器Dからピペットfで所定量吸引する(S39)。ROCK阻害剤は、Rho-associated coiled-coil forming kinase/Rho結合キナーゼであり、細胞分化制御を阻害し、iPS細胞の生存率を高くする。このステップでは、ピペットfの記憶部に、容器Dから読み出した履歴情報に加えて、内容物情報(ROCK阻害剤)、容器情報(容器D)、および作業情報(吸引作業)を書き込む。
続いて、ピペットfのROCK阻害剤をチューブeに所定量添加する(S41)。ここでは、チューブeの記憶部に、ピペットfから読み出した履歴情報に加えて、ピペットfからの内容物情報(ROCK阻害剤)、容器情報(ピペットf)、および作業情報(添加作業)を書き込む。ステップS21〜S41における準備作業により、細胞培養基材がコートされた培養容器bと、所定の添加材が点かされた培地が所定量は言ったチューブeが準備される。
このように、培地準備のフローにおいては、容器等が近接し、作業が行われると、内容物情報、容器情報、および作業情報が、内容物の移動先の記憶部に書き込まれる。また、内容物が移動しなくても、作業が行われると、作業情報が記憶部に書き込まれる。
次に、図13A〜図13Cに示すフローチャートを用いて、細胞の一部を新しい培地に移し、再び培養する、いわゆる継代培養の例について説明する。ここでは、iPS細胞の継代培養の例について説明する。
継代培養のフローが開始すると、まず、iPS細胞の培養容器bをインキュベータから取り出す(S51)。培養容器bの記憶部には、インキュベータから取り出し作業情報が、それまでの履歴情報に加えて書き込まれる。
続いて、作業台βの顕微鏡のところに培養容器bを移動する(S53)。培養容器bの記憶部には、作業台βの顕微鏡のところに移動さされたことを示す作業情報が書き込まれる。
次に、顕微鏡で細胞が所定数まで増えているかを確認する(S55)。細胞数は、顕微鏡画像から検出する。この検出された細胞数と計測を行ったときの日時情報を、履歴情報に書き込んでもよい。また、細胞数に加えて、細胞の密度や形態などの特徴を示す情報を履歴情報に書き込んでもよい。
細胞が所定数まで増えた場合には、培養容器bの分化細胞を検出し(S57)、培養容器bを殺菌し、作業台αに置く(S59)。ここでは、培養容器bの記憶部に作業情報(殺菌作業、作業台αに載置)を書き込む。続いて、分化細胞をピペットgで吸引して除去する(S61)。分化細胞は顕微鏡画像から検出する。ピペットgの記憶部には、それまでの履歴情報に加えて、作業情報(分化細胞の吸引除去)を書き込む。なお、分化細胞の除去を記載したが、分化細胞の除去に変えて未分化細胞の除去を行い、履歴情報に加えて書き込んでも良い。
次に、剥離液を容器Eからピペットhで所定量吸引する(S63)。ピペットhの記憶部には、内容物情報(剥離液)、容器情報(容器E)、および作業情報(吸引)を書き込む。続いて、ピペットhの剥離液を培養容器bに添加する(S65)。ここでは、培養容器bの記憶部に、それまでの履歴情報に加えて、ピペットhに記憶された情報、添加物情報(剥離液)、作業情報(剥離液の添加)を書き込む。
続いて、培養容器bをインキュベータに所定時間入れ(S67)、培養容器bをインキュベータから取り出す(S69)。この作業により、剥離が進行する。ここでは、培養容器bの記憶部に、それまでの履歴情報に加えて、作業情報(インキュベータで所定時間)を書き込む。
培養容器bをインキュベータから取り出すと、細胞の剥離を検査する(S71)。細胞の剥離は、顕微鏡画像から検出する。続いて、PBSを容器Aからピペットaに所定量吸引する(S73)。ここでは、ピペットaの記憶部に、内容物情報(PBS)、容器情報(容器A)、および作業情報(吸引情報)を書き込む。ピペットaのPBSを培養容器bに所定量入れて攪拌する(S75)。このステップでは細胞の洗浄を行う。培養容器bの記憶部に、それまで記憶された情報に加えて、内容物情報(PBS)、容器情報(ピペットa)、および作業情報(添加・攪拌作業)を書き込む。
培養容器bの上澄みPBSをピペットiで吸い上げて除去する(S77)。このステップでは単位体積当たりの細胞数を増やす。培養容器bの記憶部に、それまでに記憶された情報に加えて作業情報を書き込む。続いて、培養容器bのiPS細胞を容器から剥離器具jで剥離する(S79)。ここでは、細胞は、機械的に掻き取られる。培養容器bの記憶部に、それまでの情報に加えて、作業情報(剥離作業)を書き込む。
チューブeの培地をピペットjで所定量吸引する(S81)。ここでは、ピペットjの記憶部に、チューブeから読み出した履歴情報に加えて、容器情報(ピペットj)、作業情報(吸引情報)を書き込む。
培養容器bにピペットjで培地を吐出し、吸引する(S83)。ここでは、細胞が培地に分散される。培養器bの記憶部に、ピペットjから読み出した履歴情報に加えて、容器情報(ピペットj)、作業情報(吐出・吸引)を書き込む。
続いて、培養容器bの培地をピペットjで吸引し、チューブkに入れる(S85)。ここでは、培地にiPS細胞を分散させる。ピペットjおよびチューブkの記憶部に、順次、それまで記憶された情報に、要行情報と作業情報を累積に書き込む。
次に、ピペットmでチューブkのけんだく液を採取する(S87)。ここでは、けんだく液を採取したピペットmの記憶部に、チューブkから読み出した履歴情報に加えて、内容物情報(けんだく液)、容器情報(チューブk)、作業情報(採取作業)が書き込まれる。
続いて、細胞カウンタ機の試料台にピペットmのけんだく液を吐出し(S89)、細胞数を検出し、所定の細胞密度であるかを確認する(S91)。ここでは、細胞数を顕微鏡画像から検出し、細胞密度を算出し、所定の細胞密度であることを確認する。所定の細胞密度に達していなければ、達するのを待つ。廃棄するパターンもある。
所定の細胞密度に達すると、次に、ピペットnでチューブkのけんだく液を所定量吸引する(S93)。ここでは、内容物を吸引したピペットnの記憶部に、チューブkから読み出した履歴情報と、内容物情報(けんだく液)、容器情報(チューブk)、作業情報(吸引作業)を書き込む。
次に、培地準備のされた培養容器bにピペットnからけんだく液を吐出する(S95)。ここでは、細胞の植え付けを行う。内容物が吐出された培養容器bの記憶部に、ピペットnから読み出した履歴情報と、内容物情報(けんだく液)、容器情報(ピペットn)、作業情報(吐出作業)を書き込む。続いて、培養容器bの培地を攪拌する(S97)。ここでは、培養容器bの記憶部に、作業情報(攪拌作業)を追加する。
次に、培養容器bの細胞分布を顕微鏡で確認し(S99)、問題なければ、培養容器bをインキュベータに入れる(S101)。ここでは、培養容器bの記憶部に、それまでの履歴情報に加えて、作業情報(インキュベータ内に載置)を書き込む。
このように、培地準備のフローにおいては、内容物が移動すると、または移動しなくても作業がなされると、内容物を収容している容器に関連付けられている情報処理装置の記憶部には、移動してきた内容物が収容されていた容器に関連付けられている情報処理装置の記憶部から履歴情報を読み取り、この履歴情報に容器情報および作業情報等の情報を書き加える。このため、内容物の移動、または作業に応じて、情報が自動的に伝達される。
次に、図14A〜図14Bに示すフローチャートを用いて、細胞培養の例について説明する。ここでは、凍結細胞からの培養の例について説明する。
細胞培養のフローに入ると、まず、凍結ケースから容器a(凍結細胞容器)を取り出す(S111)。容器a内の情報処理装置の記憶部には、内容物情報(凍結細胞)、容器情報(凍結容器)が履歴情報として書き込まれている。次に、容器aを解凍槽にセットし(S113)、解凍槽で解凍する(S115)。振動を与えると、再凍結するため、振動を与えないようにする。容器aの記憶部には、履歴情報に、作業情報(解凍作業)が追加して書き込まれる。
続いて、容器aの液をピペットbで吸引する(S117)。ここでは、ピペットbの記憶部に、容器aの記憶部から読み出した履歴情報に加えて、容器情報(ピペットb)、作業情報(吸引作業)が書き込まれる。
次に、ピペットbの液をチューブcに吐出する(S119)。ここでは、チューブcの記憶部に、ピペットbの記憶部から読み出した履歴情報に加えて、容器情報(チューブc)、作業情報(吐出作業)が書き込まれる。
続いて、ピペットdで容器Aの培地を吸引し、チューブcに吐出する(S121)。このステップS121からS125において、凍結保存際の除去を行う。ここでは、チューブcの記憶部に、ピペットbの記憶部から読み出した履歴情報に加えて、内容物情報(培地)および作業情報(吐出作業)が書き込まれる。
次に、チューブcを遠心分離機にかける(S123)。チューブcの記憶部に記憶されている履歴情報に、容器情報(遠心分離機)および作業情報(遠心分離作業)が書き込まれる。
続いて、チューブcの上澄みをピペットeで吸引除去する(S125)。ここでは、チューブcの記憶部に記憶されている履歴情報に、作業情報(上澄み液の吸引除去)を書き加える。
次に、チューブcのけんだく液をピペットfで吸引する(S127)。ここでは、ピペットfの記憶部に、チューブcから読み出した履歴情報に、容器情報(ピペットf)、作業情報(吸引作業)を書き込む。
続いて、細胞カウンタ機の試料台にピペットfのけんだく液を吐出し(S129)、細胞数を検出し、所定の細胞密度であるかを確認する(S131)。ここでは、細胞数を顕微鏡画像から検出し、細胞密度を算出し、所定の細胞密度であることを確認し、所定の細胞密度に調整して使用する。
所定の細胞密度に達すると、次に、ピペットgでチューブcのけんだく液を所定量吸引する(S133)。ここでは、内容物を吸引したピペットgの記憶部に、チューブcからの履歴情報と、内容物情報(けんだく液)、容器情報(チューブc)、作業情報(吸引作業)を書き込む。
次に、培地準備のされた培養容器bにピペットnからけんだく液を吐出する(S135)。ここでは、細胞の植え付けを行う。内容物が吐出された培養容器bの記憶部に、ピペットnからの履歴情報と、内容物情報(けんだく液)、容器情報(ピペットn)、作業情報(吐出作業)を書き込む。続いて、培養容器bの培地を攪拌する(S137)。ここでは、培養容器bの記憶部に、作業情報(攪拌作業)を追加する。
次に、培養容器bの細胞分布を顕微鏡で確認し(S139)、問題なければ、培養容器bをインキュベータに入れる(S141)。ここでは、培養容器bの記憶部に、それまでの履歴情報に加えて、作業情報(インキュベータ内に載置)を書き込む。
このように、細胞培養のフローにおいても、内容物が移動すると、または移動しなくても作業がなされると、内容物を収容している容器に関連付けられている情報処理装置の記憶部には、移動してきた内容物が収容されていた容器に関連付けられている情報処理装置の記憶部から履歴情報を読み取り、この履歴情報に容器情報および作業情報等の情報を書き加える。このため、内容物の移動、または作業に応じて、情報が自動的に伝達される。
このように、本発明の一実施形態における情報管理システムは、内容物(細胞、細菌、ウイルス等の生体物)が複数の容器間を受け渡され、各容器に対して作業が行われて生産物を生成するシステムであって、各容器は内容物情報と容器情報とを保持し、相互の容器が所定距離以内に接近することにより、内容物情報と容器情報の少なくとも1つを送受信している(例えば、図1ないし図4参照)。
また、本発明の一実施形態における情報管理システムは、内容物に添加される添加物が複数の容器間を受け渡され、内容物が入れられた容器に添加される場合、各容器は添加物情報と容器情報を保持した情報処理装置を有し、相互の容器が所定距離以内に近接することにより、添加物情報と容器情報の少なくとも1つを送受信する(例えば、図12のS39、S41、図13AのS63、S65参照)。
また、本発明の一実施形態における情報管理システムは、容器間の内容物あるいは添加物の受け渡し作業を検出する作業検出装置(カメラ、ウエアラブル)からの作業情報が受け渡された側の容器の情報処理装置に付加される(例えば、図2、図7、図8、図12のS23、S25、S27等参照)。ここで、作業情報は、受け渡し作業のみでなく、内容物あるいは添加物への作業(攪拌とか過熱)であっても良い(例えば、図12のS27、S31、図13AのS67、S69等参照)。
また、本発明の一実施形態における情報管理システムは、内容物情報、容器情報、作業情報を受信して、作業者に伝達する伝達情報処理装置を有する(例えば、図9の伝達情報処理装置Gj461参照)。なお、伝達情報は画像情報でなくても聴覚情報、触覚情報であっても良い。
また、本発明の一実施形態における情報管理システムは、容器(培養容器、操作器具を含む)の接近と、行われる作業とを検出し、制御部は記憶部から履歴情報(細胞情報と過去の容器情報、作業情報)に基づいて容器および操作の適正を判定し、判定結果に基づいて警告を発する(例えば、図3の警告部8を参照)。この判定結果が不適正と判定した場合は、内容物、容器等を排除するようにしてもよい。
このように本発明の一実施形態における情報管理システムでは、容器が所定距離以内に接近することにより、情報送受信していることから、内容物(細胞、細菌、ウイルス等の生体物)情報が、内容物が容器から容器に受け渡されるごとに、確実に伝達される。また、内容物に添加される使われる薬剤等の添加物情報が、容器から容器に受け渡されるごとに確実に伝達される。さらに、内容物に対して行われる作業情報(作業者情報も含む)が確実に容器から容器に伝達される。さらに、内容物の作業者に細胞や添加薬剤や作業の情報が確実に伝達される。
なお、本発明の一実施形態においては、容器に設けられた記憶部(例えば、図4の記憶部12b、図5の機器情報305a等参照)に、内容物情報、添加物情報等を記憶し、容器が接近した場合に、これらの情報を伝達していた。しかし、これに限らず、容器を識別可能にするが記憶部を設けず、処理システムのサーバ等に一括して内容物情報や添加物情報を記憶し、容器が接近した場合に、内容物情報や添加物情報等の履歴情報を更新するようにしてもよい。また、サーバ等を設けなくても、作業台等の情報処理装置において、サーバの機能を分散し、内容物情報や添加物情報等の履歴情報を更新するようにしてもよい。
なお、本発明の一実施形態においては、通信部13、第2容器12の内部の各部、通信部13の内部の各部、変化判定部202a、操作信号決定部202b等の各部の機能の全部または一部をCPU(Central Processing Unit)と周辺回路およびプログラムコードによって実現するようにしてもよく、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実行するようにしても勿論かまわない。
また、本発明の一実施形態や変形例においては、第1容器、第2の容器等の培地で培養された細胞を例に挙げて説明したが、内容物が容器の間で移動するようなものであれば、これに限られない。
また、本発明の一実施形態や変形例において、iPS細胞を例に挙げて説明した部分があるが、iPS細胞に限定されることなく、ES細胞といった多能性幹細胞、幹細胞から分化された神経、心筋、皮膚、肝臓、網膜細胞や、生体から採取した皮膚、血液、心筋、網膜、神経、軟骨などに関する細胞などの種々の細胞に対して適応することができる。また、記憶部は、履歴情報には操作情報のみならず、細胞数や細胞密度、タンパクの発現情報や蛍光情報といった細胞の状態を示す情報を追加して記憶してもよい。また、本発明は、手動による培養に限定されることなく、機械による自動培養装置等に対しても適応することができる。
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
また、本発明の一実施形態においては、フローチャートを用いて、本実施形態における動作を説明したが、処理手順は、順番を変えてもよく、また、いずれかのステップを省略してもよく、ステップを追加してもよく、さらに各ステップ内における具体的な処理内容を変更してもよい。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。