JP2019086302A - 鳴鐘機構、携帯機器、ムーブメントおよび時計 - Google Patents

鳴鐘機構、携帯機器、ムーブメントおよび時計 Download PDF

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Abstract

【課題】機構の複雑化を抑制しつつ、所望のパターンの音を発生させることができる鳴鐘機構を提供する。【解決手段】鳴鐘機構30は、発音要素であるゴング51,52と、ゴング51,52を叩打する打音部61a,71aを有し、回動可能に設けられ、回動してゴング51,52に対して打音部61a,71aを叩打させるハンマー本体61,71と、回転軸線O回りの双方向の回転駆動力を出力可能であり、回転駆動力によりハンマー本体61,71を回動させる回転駆動部31と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、鳴鐘機構、携帯機器、ムーブメントおよび時計に関するものである。
従来から、時計等の携帯機器として、ゴングを叩くことで音を発生させる鳴鐘機構を備えたものが知られている。鳴鐘機構は、発音要素であるゴングや、ゴングを叩打するハンマー、ぜんまいから伝達された動力によってハンマーを回動させるラック、ラックによって回動したハンマーをゴングに叩打させるように付勢する戻しばね等を備えている(例えば非特許文献1参照)。
「時計学理論(The Theory of Horology)」、スイス時計大学編、英語版、1999年、p217−224、[ISBN:2−940025−12−6]
しかしながら、ぜんまいの復元力は、ぜんまいが完全に巻き解けるまで常に生じる。このため、従来技術の鳴鐘機構においては、ぜんまいの復元力の伝達および遮断を切り替える機構が必要となる。また、従来技術の鳴鐘機構において、例えばミニッツリピーター機構のようにゴングから様々なパターンで発音させる機構を構成するためには、ゴングの叩打回数を変更可能とするために、ハンマーを回動させるラック等の部材の作動量を制御する機構等が必要となる。しかも、ぜんまいの復元力は、一方向のみに出力されるので、例えば鳴鐘機構が複数のハンマーを備え、各ハンマーがゴングを叩打する際の回動方向が相違する場合、動力の方向を反転させる輪列等の機構が必要となる。
このように、従来技術の鳴鐘機構において、様々なパターンの音を発生させることを可能とするためには、機構の複雑化が生じる。機構が複雑化すると、製造コストやメンテナンスコスト等が増加するとともに、構成部品が繊細となり誤操作による故障も発生しやすい。また、故障を抑制する機構を設けると、更なる機構の複雑化が生じる。したがって、従来技術の鳴鐘機構においては、機構の複雑化を抑制するという点で課題がある。
そこで本発明は、機構の複雑化を抑制しつつ、所望のパターンの音を発生させることができる鳴鐘機構、携帯機器、ムーブメントおよび時計を提供するものである。
本発明の鳴鐘機構は、発音要素であるゴングと、前記ゴングを叩打する打音部を有し、回動可能に設けられ、回動して前記ゴングに対して前記打音部を叩打させるハンマーと、所定回転軸線回りの双方向の回転駆動力を出力可能であり、前記回転駆動力により前記ハンマーを回動させる回転駆動部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、双方向の回転駆動力を出力可能な回転駆動部によりハンマーを回動させるので、回転駆動部の回転駆動力の出力パターンを変更するだけで、ハンマーを複雑なパターンで回動させることができる。よって、従来技術のようにぜんまいから伝達された動力によってハンマーを回動させる構成と比較して、回転駆動部からハンマーへ動力を伝達する機構を複雑化させることなく、様々なパターンでゴングから発音させることができる。したがって、機構の複雑化を抑制しつつ、所望のパターンの音を発生させることができる。
上記の鳴鐘機構において、前記回転駆動部の前記回転駆動力により回転可能に設けられた回転体と、前記回転体に取り付けられた爪部と、前記ハンマーと同軸回りに回動可能に設けられるとともに一部が前記爪部の回転軌跡内に進入可能に形成され、前記回転体とともに所定方向に回転する前記爪部に係合することで、前記打音部を前記ゴングから離間させる離間方向に前記ハンマーとともに回動する被係合部材と、前記ハンマーを前記離間方向とは反対方向に付勢するハンマーばねと、を備えることが望ましい。
本発明によれば、回転体に取り付けられ所定方向に回転する爪部によりハンマーを離間方向に回動させ、ハンマーばねによりハンマーを離間方向とは反対方向に回動させることができる。したがって、回転体を所定方向に回転させることで、ハンマーを往復動させて、打音部をゴングに叩打させることができる。
上記の鳴鐘機構において、前記回転体は、前記所定回転軸線回りに回転する、ことが望ましい。
本発明によれば、回転体が回転駆動部の所定回転軸線とは異なる軸線回りに回転する構成と比較して、回転駆動部および回転体が占めるスペースを削減することができる。したがって、鳴鐘機構を小型化することができる。
上記の鳴鐘機構において、前記ハンマーに設けられ、前記爪部に係合して前記離間方向に回動する前記被係合部材に接触する接触部材を備え、前記被係合部材は、前記ハンマーに対して独立して回動可能に設けられている、ことが望ましい。
本発明によれば、被係合部材が爪部に係合して離間方向に回動する際に、被係合部材が接触部材に接触してハンマーを離間方向に回動させる。また、被係合部材が爪部に係合して離間方向とは反対方向に回動する際に、被係合部材がハンマーとは独立して離間方向とは反対方向に回動する。これにより、回転体および爪部が所定方向に回転した場合のみハンマーを回動させることができる。よって、回転体を所定方向に連続して回転させるだけで、ハンマーを連続して回動させて、打音部をゴングに連続して叩打させることができる。したがって、回転駆動部の簡単な制御により、ゴングから複数回連続して発音させることができる。
上記の鳴鐘機構において、第1の前記ハンマーと、第2の前記ハンマーと、前記回転体に取り付けられ、前記第1のハンマーを回動させる第1の前記爪部と、前記回転体に取り付けられ、前記第2のハンマーを回動させる第2の前記爪部と、を備えることが望ましい。
従来技術の鳴鐘機構では、複数のハンマーを備える場合、各ハンマーを独立して回動させるためには、少なくとも各ハンマーに対してそれぞれ1つずつのラックが必要となる。また、複数のハンマーを並行して回動させる場合にも、少なくとも1つのラックが追加で必要となる。このため、従来技術の鳴鐘機構では、複数のハンマーを備えることで、部品点数が増加し、ぜんまいの復元力を各ハンマーに伝達する機構がより複雑になる。
本発明では、第1のハンマーを回動させる第1の爪部と、第2のハンマーを回動させる第2の爪部と、がともに1つの回転体に取り付けられる。これにより、回転体を回転させて第1の爪部および第2の爪部の両方を回転させることで、第1のハンマーおよび第2のハンマーを回動させることができる。したがって、従来技術と比較して、簡単な構成で第1のハンマーおよび第2のハンマーを回動させることができる。
上記の鳴鐘機構において、前記回転体は、第1方向に回転した場合に前記第1のハンマーを前記離間方向に回動させ、前記第1方向とは反対方向の第2方向に回転した場合に前記第2のハンマーを前記離間方向に回動させる、ことが望ましい。
本発明によれば、回転体の回転方向に基づいて、第1のハンマーおよび第2のハンマーのうち、いずれのハンマーが回動するか決まる。このため、回転駆動部の回転駆動力の出力方向を制御するだけで、第1のハンマーおよび第2のハンマーを用いて様々な発音パターンを形成できる。したがって、回転駆動部の簡単な制御により、所望のパターンの音を発生させることができる。
上記の鳴鐘機構において、前記回転体の重心は、少なくとも前記回転体の回転時において、前記回転体の回転中心から離れている、ことが望ましい。
本発明によれば、回転体を回転させることで、鳴鐘機構を振動させることができる。したがって、ゴングからの発音による通知と、振動による通知と、を同時に行うことができる。
上記の鳴鐘機構において、外部機器から通信信号を受信する受信部と、前記受信部に接続し、前記回転駆動部を制御し、前記通信信号に基づいて前記ゴングから発する音のパターンを決定する制御部と、を備えることが望ましい。
本発明によれば、例えば通知内容に応じて、外部機器により作成したパターンの音を発するように設定することができる。
上記の鳴鐘機構において、前記回転駆動部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記ゴングにより時刻の時分を通知するミニッツリピーターモードを実行する、ことが望ましい。
従来技術におけるミニッツリピーター機構では、第1のハンマーを回動させるラックや、第2のハンマーを回動させるラック、第1のハンマーおよび第2のハンマーを同時に回動させるラック、各ラックの作動量を制御する機構等が必要となり、部品点数の増加および構造の複雑化が生じる。
本発明によれば、上述したように回転駆動部の回転駆動力の出力パターンを変更するだけで、ハンマーを複雑なパターンで回動させることができるので、部品点数の増加および構造の複雑化を抑制しつつ、ミニッツリピーター機構と同等の機能を実現できる。
本発明の携帯機器およびムーブメントは、上記の鳴鐘機構を備えることを特徴とする。
本発明の時計は、上記のムーブメントを備えることを特徴とする。
本発明によれば、上述した鳴鐘機構を備えるので、所望のパターンの音を発生させることが可能な付加価値の高い携帯機器、ムーブメントおよび時計となる。
本発明によれば、機構の複雑化を抑制しつつ、所望のパターンの音を発生させることができる鳴鐘機構、携帯機器、ムーブメントおよび時計を提供できる。
第1実施形態の時計を示す平面図である。 第1実施形態の時計の内部構成を示す斜視図である。 第1実施形態の時計の構成例を示すブロック図である。 第1実施形態の回転駆動部の分解斜視図である。 第1実施形態の鳴鐘機構の動作説明図である。 第1実施形態の鳴鐘機構の動作説明図である。 第1実施形態の鳴鐘機構の動作説明図である。 第2実施形態の鳴鐘機構を示す斜視図である。 第3実施形態の鳴鐘機構を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、時計の一例としてスマートフォンやタブレットPC等の外部機器との間で通信可能なアナログクォーツ式の腕時計を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の時計1を示す平面図である。図2は、第1実施形態の時計1の内部構成を示す斜視図である。図3は、第1実施形態の時計1の構成例を示すブロック図である。
図1および図2に示すように、時計1は、胴4、ガラス5、および図示しない裏蓋からなるケース3内に、地板6と、文字板7と、時針12、分針13および秒針14を含む指針11と、機構モジュール20と、鳴鐘機構30と、を備えている。また、図3に示すように、時計1は、電源部101と、入力部102と、通信部103(受信部)と、記憶部104と、主制御部105と、を備える。なお、通信部103および主制御部105は、鳴鐘機構30に含まれてもよい。以下、本実施形態では、裏蓋に対してガラス5が位置する側を上側と定義するとともに、その反対側を下側と定義して説明する。例えば、ケース3内に配置された各構成要素のうち、地板6と、機構モジュール20と、鳴鐘機構30と、により時計1のムーブメント2を構成している。
図2に示すように、地板6は、ケース3(図1参照)内において、時計1の各構成要素を支持している。地板6は、ケース3の胴4の内部形状に対応するように、円盤状に形成されている。地板6は、表裏面を時計1における上下方向に向けた状態で配置されている。
図1に示すように、文字板7は、円板状に形成され、地板6(図2参照)とガラス5との間に配置されている。文字板7には、指針11との組み合わせにより時刻を表示する時刻表示部8と、鳴鐘機構30の一部が視認可能に配置される鳴鐘機構配置部9と、が設けられている。時刻表示部8は、文字板7の上面に形成された略円形状の領域である。時刻表示部8には、目盛りが設けられている。鳴鐘機構配置部9は、時刻表示部8に対して、時刻表示部8における9時を示す位置側に設けられている。鳴鐘機構配置部9は、文字板7に形成された貫通孔である。
図2および図3に示すように、機構モジュール20は、地板6に取り付けられている。機構モジュール20は、支持体21と、ステッピングモータ22と、輪列23と、を備えている。支持体21は、機構モジュール20の外郭を形成する。支持体21は、ステッピングモータ22や輪列23等、機構モジュール20の各構成要素を支持している。支持体21は、時計本体に対して着脱可能の別体のユニットの形態として構成され、当該形態はいわゆるカセットタイプやカートリッジタイプと称することもできる。この場合、機構モジュール20は、時計本体を完成品とした場合の半製品、中間製品として取り扱われるものである。
ステッピングモータ22は、指針11を駆動する。指針11は、機構モジュール20に回転可能に取り付けられている。
輪列23は、ステッピングモータ22の動力を指針11に伝達する。輪列23は、少なくとも1つの歯車を含んでいる。
図2に示すように、鳴鐘機構30は、回転駆動部31と、鳴鐘部50と、を備えている。
回転駆動部31は、電力を動力源とする駆動部である。回転駆動部31は、回転軸線O(所定軸線)回りの双方向の回転駆動力を出力可能である。回転駆動部31は、電気的な制御により、少なくとも回転駆動力の出力方向を変更できる。回転駆動部31は、電気的な制御により、出力の大きさ(回転速度)を変更できてもよい。回転駆動部31は、例えばモータである。本実施形態の回転駆動部31は、超音波モータである。回転駆動部31は、機構モジュール20と並んで配置されている。
図4は、第1実施形態の回転駆動部31の分解斜視図である。
図4に示すように、回転駆動部31は、支持板32と、支持軸33と、ステータ34と、圧電素子36と、ロータ37(回転体)と、転がり軸受38と、加圧部39と、爪部44,45と、を備えている。
図2に示すように、支持板32は、地板6に上側から取り付けられている。支持板32は、表裏面を時計1における上下方向に向けた状態で配置されている。
図3に示すように、支持軸33は、支持板32の上面から上側に向かって突出している。支持軸33の中心軸線は、回転軸線Oと一致している。支持軸33の軸方向は、時計1における上下方向と一致している。
ステータ34は、円盤状に形成されている。ステータ34は、中心部に支持軸33が挿通され、支持軸33に固定されている。ステータ34の上面には、上方に向かって突出した複数の突起35が設けられている。複数の突起35は、支持軸33回りの周方向に沿って櫛歯状に並んでいる。
圧電素子36は、ステータ34の下面に接着剤等により接合され、支持板32とステータ34とにより挟まれている。圧電素子36は、ステータ34の下面の形状に対応するように、円板状に形成されている。圧電素子36は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料により形成されている。圧電素子36は、電圧を印加された際に、ステータ34の上面を支持軸33回り周方向の進行波として変形させる。これにより、複数の突起35の先端(上端)は、楕円運動する。
ロータ37は、回転駆動部31の駆動力により回転軸線O回りに回転する部材である。ロータ37は、上側から見て文字板7の鳴鐘機構配置部9内に配置され、ガラス5を通じて視認可能となっている(図1参照)。ロータ37は、ステータ34の上方であって、上下方向において文字板7と同じ位置に配置されている。ロータ37は、ステータ34と略同径の円盤状に形成されている。ロータ37は、中心部に支持軸33が挿通され、転がり軸受38を介して支持軸33に対して回転可能に保持されている。ロータ37の下面には、ステータ34の複数の突起35の先端が接触する摺動部材(不図示)が設けられている。摺動部材は、ステータ34の複数の突起35との間で生じる摩擦力を増大させる。ロータ37の外周縁には、上下方向から見てロータ37の径方向内側に向かって窪む凹部37aが形成されている。なお、ロータ37に凹部37aが形成されていなくてもよい。
加圧部39は、支持軸33に外挿されて転がり軸受38の内輪に上方から接触するスペーサ40と、ねじ41により支持軸33の上端に固定されたフランジ部材42と、スペーサ40とフランジ部材42との間で支持軸33に外挿され、フランジ部材42に対してスペーサ40を下側に向けて押圧する圧縮コイルばね43と、を備えている。加圧部39は、転がり軸受38を介してロータ37を支持軸33に対して下方に押圧する。これにより、加圧部39は、ロータ37をステータ34に向けて押圧し、ステータ34の複数の突起35とロータ37とを加圧接触させている。
爪部44,45は、ロータ37に取り付けられている。爪部44,45は、第1爪部44と、第2爪部45と、である。第1爪部44は、ロータ37の下方に配置されている。第1爪部44は、ロータ37の下面に取り付けられている。第1爪部44は、ロータ37の径方向の外側に向けて突出するように形成されている。第2爪部45は、第1爪部44よりも下方に配置されている。第2爪部45は、第1爪部44と一体形成されている。第2爪部45は、ロータ37の径方向の外側に向けて突出するように形成されている。
このように構成された回転駆動部31は、圧電素子36に電圧を印加してステータ34の複数の突起35の先端を楕円運動させることで、ステータ34の複数の突起35に接触するロータ37を進行波の進行方向とは反対方向に移動させる。これにより、ロータ37を回転させることができる。
図2に示すように、鳴鐘部50は、ゴング51,52と、ハンマーユニット60,70と、を備える。
ゴング51,52は、発音要素である。ゴング51,52は、地板6と文字板7(図1参照)との間に配置されている。ゴング51,52は、第1ゴング51と、第2ゴング52と、である。第1ゴング51および第2ゴング52は、互いに異なる周波数の音を発する。ゴング51,52は、ケース3の胴4(図1参照)の内周形状に沿うように円弧状に延び、上下方向から見て機構モジュール20および回転駆動部31を囲むように配置されている。ゴング51,52は、ブロック53に片持ち支持されている。ブロック53は、地板6に締結固定されている。ブロック53は、地板6の所定の径方向において、回転軸線Oと並んで設けられている。ゴング51,52は、自由端とされた周端部がブロック53の近傍に位置するように延びている。第1ゴング51は、上側から見て、ブロック53から地板6の外周に沿って反時計回り方向に延びている。第2ゴング52は、上側から見て、ブロック53から地板6の外周に沿って時計回り方向に延びている。第1ゴング51および第2ゴング52は、上下方向に互いに離間して配置されている。第1ゴング51は、第2ゴング52よりも上側に配置されている。
ハンマーユニット60,70は、ゴング51,52と回転駆動部31との間に配置されている。ハンマーユニット60,70は、第1ハンマーユニット60と、第2ハンマーユニット70と、である。
第1ハンマーユニット60は、上下方向から見て回転軸線Oとゴング51,52を支持するブロック53の中心とを通る仮想線分よりも、第1ゴング51が延びる側に配置されている。第1ハンマーユニット60は、第1ゴング51を叩打する打音部61aを有するハンマー本体61(第1のハンマー)と、ハンマー本体61を回動可能に支持するハンマー軸部62と、ハンマー本体61を付勢するハンマーばね(不図示)と、ハンマー軸部62に回動可能に支持された係合レバー65(被係合部材)と、ハンマー本体61に設けられたピン66(接触部材)と、係合レバー65を付勢する付勢部材(不図示)と、を備える。
ハンマー軸部62は、回転駆動部31の支持板32に固定されている。ハンマー軸部62は、上下方向から見て、回転駆動部31のロータ37とゴング51,52を支持するブロック53との間に配置されている。ハンマー軸部62は、回転軸線Oと平行に設けられている。
ハンマー本体61は、ハンマー軸部62に回動可能に支持され、回動中心から第1ゴング51が延びる方向に沿って延びている。ハンマー本体61は、上下方向において、第1ゴング51と同じ位置、かつ第2ゴング52と異なる位置に配置されている。ハンマー本体61は、打音部61aを備える。打音部61aは、ハンマー本体61の周端部から第1ゴング51に向けて突出した突起である。打音部61aは、先鋭化するように形成され、第1ゴング51を例えば点接触に近い状態で叩打(タップ)することが可能とされている。ハンマー本体61は、回転駆動部31の回転駆動力により回動して、第1ゴング51に対して打音部61aを叩打させる。以下、ハンマー軸部62の中心軸線回りの周方向のうち、ハンマー本体61の打音部61aが第1ゴング51から離間する方向(上側から見て反時計回り方向)を第1離間方向(離間方向)という。
ハンマーばね(不図示)は、ハンマー本体61の打音部61aが第1ゴング51に接触する方向(すなわち第1離間方向とは反対方向)に向けてハンマー本体61を付勢する。例えば、ハンマーばねは、ハンマー本体61と地板6との間に配置された板ばねや、ハンマー軸部62に外挿されたねじりコイルばね等である。
係合レバー65は、ハンマー本体61と同軸回りに回動可能に設けられている。係合レバー65は、ハンマー本体61とは独立して回動可能である。係合レバー65は、上下方向において第1爪部44と同じ位置に配置されている。係合レバー65は、回動中心から互いに異なる方向に延びる第1アーム65aおよび第2アーム65bを備える。第1アーム65aの先端は、第1爪部44の回転軌跡内に進入可能に形成されている。係合レバー65は、上側から見てロータ37とともに時計回り方向に回転する第1爪部44に第1アーム65aが係合することで、第1離間方向に回動する。また、係合レバー65は、上側から見てロータ37とともに反時計回り方向に回転する第1爪部44に第1アーム65aが係合することで、第1離間方向とは反対方向に回動する。第2アーム65bは、第1アーム65aの先端が第1爪部44の回転軌跡内に進入した状態で、上下方向から見てハンマー本体61が延びる方向に沿って延びている。
ピン66は、ハンマー本体61から上下方向における係合レバー65の位置する側に突出している。ピン66は、係合レバー65の第2アーム65bに接触可能に設けられている。ピン66は、係合レバー65の第1アーム65aの先端が第1爪部44の回転軌跡内に進入した状態で、係合レバー65の第2アーム65bに第1離間方向とは反対方向に接触している。これにより、ピン66は、第1爪部44に係合して第1離間方向に回動する係合レバー65の第2アーム65bに接触する。
付勢部材(不図示)は、係合レバー65をハンマー本体61に対して第1離間方向に向けて付勢している。例えば、付勢部材は、ハンマー軸部62に外挿されたねじりコイルばね等である。これにより、付勢部材は、係合レバー65の第2アーム65bをピン66に対して第1離間方向に接触させるとともに、係合レバー65の第1アーム65aの先端を第1爪部44の回転軌跡内に進入させている。
第2ハンマーユニット70は、上下方向から見て、前記仮想線分よりも第2ゴング52が延びる側に配置されている。第2ハンマーユニット70は、第2ゴング52を叩打する打音部71aを有するハンマー本体71(第2のハンマー)と、ハンマー本体71を回動可能に支持するハンマー軸部72と、ハンマー本体71を付勢するハンマーばね(不図示)と、ハンマー軸部72に回動可能に支持された係合レバー75(被係合部材)と、ハンマー本体71に設けられたピン76(接触部材)と、係合レバー75を付勢する付勢部材(不図示)と、を備える。第2ハンマーユニット70は、上下方向から見て前記仮想線分に対して第1ハンマーユニット60と線対称に形成されている。
ハンマー軸部72は、回転駆動部31の支持板32に固定されている。ハンマー軸部72は、上下方向から見て、回転駆動部31のロータ37とゴング51,52を支持するブロック53との間に配置されている。ハンマー軸部72は、回転軸線Oと平行に設けられている。
ハンマー本体71は、ハンマー軸部72に回動可能に支持され、回動中心から第2ゴング52が延びる方向に沿って延びている。ハンマー本体71は、上下方向において、第2ゴング52と同じ位置、かつ第1ゴング51と異なる位置に配置されている。ハンマー本体71は、打音部71aを備える。打音部71aは、ハンマー本体61の周端部から第2ゴング52に向けて突出した突起である。打音部71aは、先鋭化するように形成され、第2ゴング52を例えば点接触に近い状態で叩打(タップ)することが可能とされている。ハンマー本体71は、回転駆動部31の回転駆動力により回動して、第2ゴング52に対して打音部71aを叩打させる。以下、ハンマー軸部72の中心軸線回りの周方向のうち、ハンマー本体71の打音部71aが第2ゴング52から離間する方向(上側から見て時計回り方向)を第2離間方向(離間方向)という。
ハンマーばね(不図示)は、ハンマー本体71の打音部71aが第2ゴング52に接触する方向(すなわち第2離間方向とは反対方向)に向けてハンマー本体71を付勢する。例えば、ハンマーばねは、ハンマー本体71と地板6との間に配置された板ばねや、ハンマー軸部72に外挿されたねじりコイルばね等である。
係合レバー75は、ハンマー本体71と同軸回りに回動可能に設けられている。係合レバー75は、ハンマー本体71とは独立して回動可能である。係合レバー75は、上下方向において第2爪部45と同じ位置に配置されている。係合レバー75は、回動中心から互いに異なる方向に延びる第1アーム75aおよび第2アーム75bを備える。第1アーム75aの先端は、第2爪部45の回転軌跡内に進入可能に形成されている。係合レバー75は、上側から見てロータ37とともに反時計回り方向に回転する第2爪部45に第1アーム75aが係合することで、第2離間方向に回動する。また、係合レバー75は、上側から見てロータ37とともに時計回り方向に回転する第2爪部45に第1アーム75aが係合することで、第2離間方向とは反対方向に回動する。第2アーム75bは、第1アーム75aの先端が第2爪部45の回転軌跡内に進入した状態で、上下方向から見てハンマー本体71が延びる方向に沿って延びている。
ピン76は、ハンマー本体71から上下方向における係合レバー75の位置する側に突出している。ピン76は、係合レバー75の第2アーム75bに接触可能に設けられている。ピン76は、係合レバー75の第1アーム75aの先端が第2爪部45の回転軌跡内に進入した状態で、係合レバー75の第2アーム75bに第2離間方向とは反対方向に接触している。これにより、ピン76は、第2爪部45に係合して第2離間方向に回動する係合レバー75の第2アーム75bに接触する。
付勢部材(不図示)は、係合レバー75をハンマー本体71に対して第2離間方向に向けて付勢している。例えば、付勢部材は、ハンマー軸部72に外挿されたねじりコイルばね等である。これにより、付勢部材は、係合レバー75の第2アーム75bをピン76に対して第2離間方向に接触させるとともに、係合レバー75の第1アーム75aの先端を第2爪部45の回転軌跡内に進入させている。
ここで、電源部101、入力部102、通信部103、記憶部104および主制御部105の説明に先立って、鳴鐘機構30の動作について説明する。なお、以下の鳴鐘機構30の動作説明においては、主に第1ハンマーユニット60の動作を例に挙げて説明する。
図5から図7は、第1実施形態の鳴鐘機構30の動作説明図である。なお、図5から図7では、爪部44,45の位置を明示するために、ロータ37の一部を破断して図示している。
図5に示すように、回転駆動部31のロータ37が上側から見て時計回りに回転すると、第1爪部44が係合レバー65の第1アーム65aに対して第1離間方向の上流側から接触し、係合レバー65を第1離間方向に回動させる。このとき、係合レバー65の第2アーム65bには、ハンマー本体61に設けられたピン66が、第1離間方向とは反対方向に接触している。これにより、係合レバー65の第1離間方向への回動に伴って、ハンマー本体61が第1離間方向に回動する。つまり、第1爪部44は、ロータ37の上側から見た時計回り方向の回転により、ハンマー本体61を第1離間方向に回動させる。
その後、図6に示すように、回転駆動部31のロータ37が上側から見て時計回りにさらに回転すると、第1爪部44と係合レバー65との係合が解除される。第1爪部44と係合レバー65との係合が解除されると、ハンマー本体61は、ハンマーばねにより打音部61aを第1ゴング51に接触させる方向に回動し、第1ゴング51を叩打する。これにより第1ゴング51が発音する。よって、ハンマー本体61は、回転駆動部31のロータ37が上側から見て時計回りに回転した場合に回動(往復動)する。
図7に示すように、回転駆動部31のロータ37が上側から見て反時計回りに回転すると、第1爪部44が係合レバー65の第1アーム65aに対して第1離間方向の下流側から接触し、係合レバー65を第1離間方向とは反対方向に回動させる。すると、係合レバー65は、第2アーム65bをピン66から離間させて、ハンマー本体61から独立して回動する。よって、ハンマー本体61は、回転駆動部31のロータ37が上側から見て反時計回りに回転した場合には回動しない。つまり、回転駆動部31のロータ37は、上側から見て時計回り方向に回転した場合のみに、ハンマー本体61を第1離間方向に回動させる。
なお、第2ハンマーユニット70は、第1ハンマーユニット60と同様のメカニズムにより動作する。すなわち、第2ハンマーユニット70のハンマー本体71は、回転駆動部31のロータ37が上側から見て反時計回りに回動した場合に、ハンマー軸部72回りに回動して第2ゴング52を叩打する。また、第2ハンマーユニット70のハンマー本体71は、回転駆動部31のロータ37が上側から見て時計回りに回動した場合には回動しない。つまり、回転駆動部31のロータ37は、上側から見て反時計回り方向に回転した場合のみに、第2ハンマーユニット70のハンマー本体71を第2離間方向に回動させる。
以上により鳴鐘機構30は、回転駆動部31のロータ37が上側から見て時計回りに回動した場合のみに第1ハンマーユニット60のハンマー本体61の打音部61aを第1ゴング51に叩打させ、回転駆動部31のロータ37が上側から見て反時計回りに回動した場合のみに第2ハンマーユニット70のハンマー本体71の打音部71aを第2ゴング52に叩打させる。
以下、電源部101、入力部102、通信部103、記憶部104および主制御部105について説明する。
図3に示すように、電源部101は、例えば太陽電池および二次電池により構成されている。太陽電池は、光エネルギーを電力に変換し、変換した電力を二次電池に供給する。二次電池は、太陽電池から供給された電気エネルギーを蓄える。二次電池は、蓄えた電力を主制御部105に供給する。なお、電源部101は、一次電池により構成されていてもよい。
入力部102は、例えばボタンスイッチやりゅうず等である。入力部102は、例えばケース3の胴4の側面に配置されている(図1参照)。入力部102は、使用者により操作(例えば押圧操作)された場合に、この操作に応じた操作信号を主制御部105に出力する。
通信部103は、例えばWi−Fi(Wireless Fidelity)規格や、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)規格の通信方式を用いて、外部機器200との間で通信信号の送受信を行う。外部機器200は、例えばスマートフォンやタブレットPC等である。通信部103は、外部機器200から受信した通信信号を主制御部105に出力する。また、通信部103は、主制御部105が出力した信号を、通信信号として外部機器200へ送信する。
記憶部104は、例えば、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)やROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)等の不揮発性の記憶媒体である。記憶部104は、時計1の制御に必要な情報やプログラム、主制御部105が通信部103を介して外部機器200から取得した情報等を記憶する。
主制御部105は、時計1が備える各構成要素の電気的な制御を行う。主制御部105は、発振部106と、分周部107と、計時部108と、を備える。発振部106は、例えば水晶振動子を備える。水晶振動子は、水晶の圧電現象を利用し、その機械的共振から特定の周波数を発振するために用いられる受動素子である。水晶振動子の発振周波数は、例えば32kHzである。発振部106は、水晶振動子を発振させて生成したクロック信号を分周部107に出力する。分周部107は、発振部106が出力したクロック信号の信号を所望の周波数に分周し、分周した基準信号を計時部108に出力する。基準信号の周波数は、例えば64Hzと32Hzである。計時部108は、分周部107から入力された基準信号に基づいて現在時刻等を計時する。
主制御部105は、計時した時刻や、入力部102が出力した操作結果、通信部103を介して外部機器200から受信した通信信号等に基づき、ステッピングモータ22および回転駆動部31を制御する。主制御部105は、回転駆動部31を制御して、回転駆動部31のロータ37を回転させることにより、第1ゴング51または第2ゴング52から発音させる。主制御部105は、リピーターモード、ソヌリモード、アラームモードおよびオルゴールモードのうち少なくともいずれか1つのモードを実行する。
リピーターモードは、所定の入力部102が操作された時刻を音で通知するモードである。リピーターモードは、例えばミニッツリピーターモードである。ミニッツリピーターモードでは、主制御部105は、所定の入力部102が操作された時刻の時分を、第1ゴング51および第2ゴング52から発音させる。最初に、主制御部105は、時刻の時を通知させる。主制御部105は、時刻の時に対応する回数だけ第1ゴング51から発音させる。すなわち、主制御部105は、時刻の時に対応する回数だけ、回転駆動部31のロータ37を、上側から見て時計回り方向に回転させる。例えば、時刻が11時台の場合、主制御部105は、第1ゴング51から11回発音させる。続いて、主制御部105は、時刻の15分単位の分を通知させる。主制御部105は、第1ゴング51からの1回の発音と第2ゴング52からの1回の発音を1セットとして、時刻の15分単位の分に対応するセット数だけ第1ゴング51および第2ゴング52から発音させる。すなわち、主制御部105は、時刻の15分単位の分に対応する回数だけ、回転駆動部31のロータ37を双方向に往復回転させる。例えば、主制御部105は、時刻の分が58分の場合、第1ゴング51および第2ゴング52から3セット発音させる。続いて、主制御部105は、時刻の残りの1分単位の分を通知させる。主制御部105は、時刻の残りの1分単位の分に対応する回数だけ第2ゴング52から発音させる。すなわち、主制御部105は、時刻の残りの1分単位の分に対応する回数だけ、回転駆動部31のロータ37を上側から見て反時計回り方向に回転させる。例えば、主制御部105は、時刻の分が58分の場合、第2ゴング52から13回発音させる。
なお、リピーターモードは、ミニッツリピーターモード以外に、アワーリピーターモード、クォーターリピーターモード、デシマルリピーターモードおよび5ミニッツリピーターモードのうちいずれかのモードであってもよい。アワーリピーターモードは、所定の入力部102が操作された時刻の時を通知するモードである。通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける時の通知と同様である。クォーターリピーターモードは、所定の入力部102が操作された時刻の時および15分単位の分を通知するモードである。時の通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける時の通知と同様である。15分単位の分の通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける15分単位の分の通知と同様である。デシマルリピーターモードは、所定の入力部102が操作された時刻の時および10分単位の分を通知するモードである。時の通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける時の通知と同様である。10分単位の分の通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける15分単位の分の通知と同様である。5ミニッツリピーターモードは、所定の入力部102が操作された時刻の時および5分単位の分を通知するモードである。時の通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける時の通知と同様である。5分単位の分の通知方法は、ミニッツリピーターモードにおける15分単位の分の通知と同様である。
ソヌリモードは、毎正時を通知する時報である。ソヌリモードでは、主制御部105は、正時毎に第1ゴング51および第2ゴング52のうち少なくともいずれか一方から発音させる。ゴング51,52からの発音回数は、時刻に依らず一定の回数であってもよいし、例えば時刻の時に対応する回数であってもよい。なお、ソヌリモードは、毎正時に加えて15分間隔等の一定間隔を通知する、いわゆるグランソヌリであってもよい。
アラームモードは、予め設定された時刻を音で通知するモードである。アラームモードでは、主制御部105は、現在時刻が予め設定された時刻になると、第1ゴング51および第2ゴング52のうち少なくともいずれか一方から発音させる。ゴング51,52からの発音回数は、特に限定されないが、通信部103を介して外部機器200から設定可能であってもよい。
オルゴールモードは、オルゴールのように第1ゴング51および第2ゴング52のうち少なくともいずれか一方からメロディを発音させるモードである。オルゴールモードでは、所定の入力部102が操作された場合や、主制御部105が通信部103を介して外部機器200からの指示信号を受信した場合等に、メロディを発音させる。
上記各モードのうち主制御部105が実行するモードは、通信部103を介した外部機器200からの操作により決定できるように構成されてもよい。また、主制御部105は、通信部103を介して外部機器200から受信した通信信号をトリガーとして、第1ゴング51および第2ゴング52のうち少なくともいずれか一方から発音させるように構成されてもよい。
また、主制御部105は、通信部103を介して外部機器200から受信した通信信号に基づいて、アラームモードやオルゴールモード等においてゴング51,52から発する音のパターンを決定できるように構成されてもよい。
このように、本実施形態の鳴鐘機構30および時計1によれば、双方向の回転駆動力を出力可能な回転駆動部31によりハンマー本体61,71を回動させるので、回転駆動部31の回転駆動力の出力パターンを変更するだけで、ハンマー本体61,71を複雑なパターンで回動させることができる。よって、従来技術のようにぜんまいから伝達された動力によってハンマーを回動させる構成と比較して、回転駆動部31からハンマー本体61,71へ動力を伝達する機構を複雑化させることなく、様々なパターンでゴング51,52から発音させることができる。したがって、機構の複雑化を抑制しつつ、所望のパターンの音を発生させることができる。
ここで、従来技術の鳴鐘機構では、ゴングから連続して複数回発音させる際に発音間隔を調整する機構として、機械的な摩擦によりハンマーの回動速度を制御する機構が設けられる場合があった。この場合には、摺動による部品の摩耗や、摺動音による騒音等が問題となるおそれがある。
本実施形態の回転駆動部31は、電気的な制御により出力の大きさ(回転速度)を変更できるので、上述した摺動による部品の摩耗や、摺動音による騒音等の発生を回避することができる。
また、鳴鐘機構30は、回転駆動部31の回転駆動力により回転可能に設けられたロータ37と、ロータ37に取り付けられた第1爪部44と、ハンマー本体61と同軸回りに回動可能に設けられるとともに一部が第1爪部44の回転軌跡内に進入可能に形成され、ロータ37とともに上側から見て時計回り方向に回転する第1爪部44に係合することで、第1離間方向にハンマー本体61とともに回動する係合レバー65と、ハンマー本体61を第1離間方向とは反対方向に付勢するハンマーばね(不図示)と、を備える。
この構成によれば、ロータ37に取り付けられ上側から見て時計回り方向に回転する第1爪部44によりハンマー本体61を第1離間方向に回動させ、ハンマーばねによりハンマー本体61を第1離間方向とは反対方向に回動させることができる。したがって、ロータ37を上側から見て時計回り方向に回転させることで、ハンマー本体61を往復動させて、打音部61aを第1ゴング51に叩打させることができる。第2爪部45、並びに第2ハンマーユニット70における係合レバー75およびハンマーばね(不図示)についても同様である。
また、ロータ37は、回転駆動部31の出力軸線である回転軸線O回りに回転するので、爪部44,45が取り付けられる回転体が回転軸線Oとは異なる軸線回りに回転する構成と比較して、回転駆動部31およびロータ37が占めるスペースを削減することができる。したがって、鳴鐘機構30を小型化することができる。
また、鳴鐘機構30は、ハンマー本体61に設けられ、第1爪部44に係合して第1離間方向に回動する係合レバー65に接触するピン66を備え、係合レバー65は、ハンマー本体61に対して独立して回動可能に設けられている。
この構成によれば、係合レバー65が第1爪部44に係合して第1離間方向に回動する際に、係合レバー65がピン66に接触してハンマー本体61を第1離間方向に回動させる。また、係合レバー65が第1爪部44に係合して第1離間方向とは反対方向に回動する際に、係合レバー65がハンマー本体61とは独立して第1離間方向とは反対方向に回動する。これにより、ロータ37および第1爪部44が上側から見て時計回り方向に回転した場合のみハンマー本体61を回動させることができる。よって、ロータ37を上側から見て時計回り方向に連続して回転させるだけで、ハンマー本体61を連続して回動させて、打音部61aを第1ゴング51に連続して叩打させることができる。第2ハンマーユニット70における係合レバー75およびピン76についても同様である。したがって、回転駆動部31の簡単な制御により、ゴング51,52から複数回連続して発音させることができる。
また、鳴鐘機構30は、ハンマー本体61,71と、ロータ37に取り付けられ、ハンマー本体61を回動させる第1爪部44と、ロータ37に取り付けられ、ハンマー本体71を回動させる第2爪部45と、を備える。
この構成では、ハンマー本体61を回動させる第1爪部44と、ハンマー本体71を回動させる第2爪部45と、がともに1つのロータ37に取り付けられる。これにより、ロータ37を回転させて第1爪部44および第2爪部45の両方を回転させることでハンマー本体61およびハンマー本体71を回動させることができる。したがって、従来技術と比較して、簡単な構成でハンマー本体61およびハンマー本体71を回動させることができる。
さらに、ロータ37は、上側から見て時計回り方向に回転した場合にハンマー本体61を第1離間方向に回動させ、上側から見て反時計回り方向に回転した場合にハンマー本体71を第2離間方向に回動させる。
この構成によれば、ロータ37の回転方向に基づいて、ハンマー本体61,71のうち、いずれのハンマー本体が回動するか決まる。このため、回転駆動部31の回転駆動力の出力方向を制御するだけで、ハンマー本体61,71の両方と用いて様々な発音パターンを形成できる。したがって、回転駆動部31の簡単な制御により、所望のパターンの音を発生させることができる。
また、鳴鐘機構30は、外部機器200から通信信号を受信する通信部103と、通信部103に接続し、回転駆動部31を制御し、通信信号に基づいてゴング51,52から発する音のパターンを決定する主制御部105と、を備える。
この構成によれば、例えば通知内容に応じて、外部機器200により作成したパターンの音を発するように設定することができる。
また、鳴鐘機構30は、回転駆動部31を制御する主制御部105を備え、主制御部105は、ゴング51,52により時刻の時分を通知するミニッツリピーターモードを実行する。
ここで、従来技術におけるミニッツリピーター機構では、第1のハンマーを回動させるラックや、第2のハンマーを回動させるラック、第1のハンマーおよび第2のハンマーを同時に回動させるラック、各ラックの作動量を制御する機構等が必要となり、部品点数の増加および構造の複雑化が生じる。
本実施形態によれば、上述したように回転駆動部31の回転駆動力の出力パターンを変更するだけで、ハンマー本体61,71を複雑なパターンで回動させることができるので、部品点数の増加および構造の複雑化を抑制しつつ、ミニッツリピーター機構と同等の機能を実現できる。
また、回転駆動部31のロータ37は、文字板7の鳴鐘機構配置部9内に配置され、ガラス5を通じて視認可能となっている。これにより、ゴング51,52からの発音による通知と、視覚的な動作による通知と、を同時に行うことができる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の鳴鐘機構130を示す斜視図である。
図8に示す第2実施形態では、回転駆動部31のロータ37に重錘80が取り付けられている点で、第1実施形態と異なっている。
図8に示すように、回転駆動部31は、重錘80を備える。重錘80は、ロータ37の上面に取り付けられている。重錘80は、上方から見てロータ37の外周縁に沿うように半円弧状に延びている。重錘80は、ロータ37に対してねじ81,82等により締結固定されている。このように、ロータ37に重錘80が取り付けられているので、ロータ37および重錘80により構成される回転体の重心は、回転体の回転中心(すなわち回転軸線O)から離れている。
本実施形態によれば、ロータ37を回転させることで、鳴鐘機構130を振動させることができる。したがって、ゴング51,52からの発音による通知と、振動による通知と、を同時に行うことができる。
なお、鳴鐘機構130は、ハンマーユニット60,70に対して回転駆動部31を接近離間させる機構を備えてもよい。この機構は、例えば、ボタン等の操作部材と、操作部材の操作に応じて作動して回転駆動部を変位させるレバーやカム等と、により構成できる。これにより、鳴鐘機構130は、各爪部44,45をハンマーユニット60,70の係合レバー65,75と係合不能な位置に退避させることが可能となるので、ロータ37が回転してもゴング51,52が叩打されないように構成される。よって、振動による通知のみを実行することが可能となる。
また、鳴鐘機構130は、ロータ37の回転数が所定の回転数以上の場合に、遠心力により第1爪部44および第2爪部45がロータ37の径方向内側に変位するように形成されてもよい。これにより、鳴鐘機構130は、各爪部44,45をハンマーユニット60,70の係合レバー65,75と係合不能な位置に退避させることが可能となるので、ロータ37が回転してもゴング51,52が叩打されないように構成される。よって、振動による通知のみを実行することが可能となる。
また、鳴鐘機構130は、ハンマー本体61,71の打音部61a,71aとゴング51,52との間に、緩衝部材を挿入する機構を備えてもよい。この機構は、例えば、ボタン等の操作部材と、操作部材の操作に応じて作動してハンマー本体61,71の打音部61a,71aとゴング51,52との間に緩衝部材を挿入するレバーやカム等と、により構成できる。これにより、鳴鐘機構130は、ロータ37が回転してハンマー本体61,71が回動しても、ゴング51,52が打音部61a,71aに叩打されないように構成される。よって、振動による通知のみを実行することが可能となる。
(第2実施形態の変形例)
図9は、第2実施形態の変形例の鳴鐘機構230を示す斜視図である。
図8に示す第2実施形態では、重錘80がロータ37に固定されている。これに対して、図9に示す第2実施形態の変形例では、重錘90がロータ37に対して変位可能な状態で取り付けられている点で、第2実施形態と異なっている。
図9に示すように、回転駆動部31は、ロータ37の上面に取り付けられた支持軸91と、支持軸91に回動可能に支持されたレバー92と、レバー92を付勢する付勢部材(不図示)と、レバー92の先端に取り付けられた重錘90と、を備える。支持軸91は、ロータ37の外周部に設けられている。支持軸91の中心軸線は、回転軸線Oと平行に設けられている。レバー92は、ロータ37の上面に沿って延びている。これにより、レバー92は、ロータ37の上面に沿って回動する。付勢部材は、レバー92の先端が回転軸線Oに近付く方向に向けてレバー92を付勢している。付勢部材は、例えば支持軸91に外挿されたねじりコイルばね等である。重錘90は、レバー92の先端から下方に突出するように設けられている。重錘90は、ロータ37の凹部37aに入り込むように設けられている。
重錘90は、レバー92を介してロータ37に取り付けられているので、ロータ37が回転すると重錘90に遠心力が作用する。重錘90は、遠心力が作用すると、ロータ37の径方向外側に向かって支持軸91回りを回動する。重錘90が取り付けられたレバー92は、先端が回転軸線Oに近付く方向に付勢されているので、重錘90の変位量は、重錘90に作用する遠心力に応じて変化する。よって、ロータ37やレバー92、重錘90等により構成される回転体の重心は、少なくともロータ37の回転時において、回転体の回転中心(すなわち回転軸線O)から離れるように、ロータ37の回転数に応じて変化する。
本実施形態によれば、ロータ37を回転させることで、鳴鐘機構230を振動させることができる。したがって、ゴング51,52からの発音による通知と、振動による通知と、を同時に行うことができる。
なお、鳴鐘機構230は、レバー92の回動を規制する機構を備えていてもよい。この機構は、例えば、前記付勢部材を形状記憶合金により形成されたレバー状の部材とし、この付勢部材に電圧を印加してレバー92の回動を規制可能とすることで構成できる。これにより、鳴鐘機構230は、ロータ37が回転しても回転体の重心が回転体の回転中心から離れず、ロータ37が回転しても振動が発生しないように構成される。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、回転駆動部31は超音波モータであるが、これに限定されない。例えば、回転駆動部は、2個のコイルを有するステッピングモータや、ギヤードモータ、ソレノイドおよびラック・アンド・ピニオンを組み合わせた機構等であってもよい。
また、上記実施形態では、ロータ37を上側から見て時計回り方向に回動させることでハンマー本体61を回動させ、ロータ37を上側から見て反時計回り方向に回動させることでハンマー本体71を回動させている。すなわち、ロータ37をいずれの方向に回転させた場合でも一対のハンマー本体61,71のいずれか一方を回動させている。しかしながらこれに限定されず、ロータ37をいずれか一方の方向に回転させた場合に一対のハンマー本体の両方を回動させるように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、一対の爪部44,45が回転駆動部31のロータ37に取り付けられているが、これに限定されない。爪部は、回転駆動部の回転駆動力により回転する回転体に取り付けられていればよい。また、ロータと爪部との間に増減速輪列が介在していてもよい。すなわち、爪部が取り付けられる回転体は、ロータに対して増減速輪列を介して接続していてもよい。
また、上記実施形態の時計1において、回転駆動部やハンマー本体61,71等に連結されて動作するからくり(オートマタ)が、例えば文字板上に配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、鳴鐘機構30が時計1に搭載された場合を説明したが、鳴鐘機構30,130,230は、置時計または掛け時計等の据え置き型の時計や、スマートフォンやタブレットPC等の時計以外の携帯機器の他、その他の機器に搭載されてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…時計(携帯機器) 2…ムーブメント 30,130,230…鳴鐘機構 31…回転駆動部 37…ロータ(回転体) 44…第1爪部(爪部、第1の爪部) 45…第2爪部(爪部、第2の爪部) 51…第1ゴング(ゴング) 52…第2ゴング(ゴング) 61…ハンマー本体(ハンマー、第1のハンマー) 61a,71a…打音部 65,75…係合レバー(被係合部材) 66,76…ピン(接触部材) 71…ハンマー本体(ハンマー、第2のハンマー) 103…通信部(受信部) 105…主制御部(制御部)

Claims (12)

  1. 発音要素であるゴングと、
    前記ゴングを叩打する打音部を有し、回動可能に設けられ、回動して前記ゴングに対して前記打音部を叩打させるハンマーと、
    所定回転軸線回りの双方向の回転駆動力を出力可能であり、前記回転駆動力により前記ハンマーを回動させる回転駆動部と、
    を備えることを特徴とする鳴鐘機構。
  2. 前記回転駆動部の前記回転駆動力により回転可能に設けられた回転体と、
    前記回転体に取り付けられた爪部と、
    前記ハンマーと同軸回りに回動可能に設けられるとともに一部が前記爪部の回転軌跡内に進入可能に形成され、前記回転体とともに所定方向に回転する前記爪部に係合することで、前記打音部を前記ゴングから離間させる離間方向に前記ハンマーとともに回動する被係合部材と、
    前記ハンマーを前記離間方向とは反対方向に付勢するハンマーばねと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の鳴鐘機構。
  3. 前記回転体は、前記所定回転軸線回りに回転する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の鳴鐘機構。
  4. 前記ハンマーに設けられ、前記爪部に係合して前記離間方向に回動する前記被係合部材に接触する接触部材を備え、
    前記被係合部材は、前記ハンマーに対して独立して回動可能に設けられている、
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の鳴鐘機構。
  5. 第1の前記ハンマーと、
    第2の前記ハンマーと、
    前記回転体に取り付けられ、前記第1のハンマーを回動させる第1の前記爪部と、
    前記回転体に取り付けられ、前記第2のハンマーを回動させる第2の前記爪部と、
    を備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の鳴鐘機構。
  6. 前記回転体は、第1方向に回転した場合に前記第1のハンマーを前記離間方向に回動させ、前記第1方向とは反対方向の第2方向に回転した場合に前記第2のハンマーを前記離間方向に回動させる、
    ことを特徴とする請求項5に記載の鳴鐘機構。
  7. 前記回転体の重心は、少なくとも前記回転体の回転時において、前記回転体の回転中心から離れている、
    ことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の鳴鐘機構。
  8. 外部機器から通信信号を受信する受信部と、
    前記受信部に接続し、前記回転駆動部を制御し、前記通信信号に基づいて前記ゴングから発する音のパターンを決定する制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の鳴鐘機構。
  9. 前記回転駆動部を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記ゴングにより時刻の時分を通知するミニッツリピーターモードを実行する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の鳴鐘機構。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の鳴鐘機構を備えることを特徴とする携帯機器。
  11. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の鳴鐘機構を備えることを特徴とするムーブメント。
  12. 請求項11に記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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