本発明を実施するための形態を以下に示す。
本発明は、不要となった鋳物製品、湯口、湯道、堰等の被破砕物を細かく破砕することができる破砕機100用の刃板である。この刃板は、破砕機100の固定側に設置する固定用の固定刃板4、破砕機100の移動側に設置する移動用の移動刃板5に分類でき、固定刃板4の母材部4aの表面4a1に多数配置した各刃部と、移動刃板5の母材部5aの表面5a1に多数配置した各刃部とで被破砕物を破砕する構成である。
以下、固定刃板4及び移動刃板5に配置する各刃部の構成、形状等について、各図に基づいて説明する。ここで刃部とは、十字刃部20、菱形刃部30、山形刃部40、半割山形刃部50、上開口刃部60、下開口刃部70、凸刃部80、三角山形刃部90等を意味する。また、主に、固定刃板4を図3〜図21等で図示し、移動刃板5を図22〜図33等で図示している。なお、以下の刃部の説明では、特に断り書きがない限り固定刃板4、移動刃板5の共通の説明とする。
十字刃部20は、主に図1等で図示した第一実施例、図10等で図示した第二実施例、さらに図13等で図示した第三実施例、図16で図示した第四実施例等が挙げられる。
第一実施例、第二実施例である十字刃部20は、主に、頂部に備えた上下方向の帯21aと左右方向の帯21bを十字状に組み合わせた十字帯21と、この十字帯21の各帯(上下方向の帯21a、左右方向の帯21b)の上下方向21UDの両側及び左右方向21LRの両側に連なる傾斜面29とを備え、正面視略十字形状を形成する。
第一実施例、第二実施例である十字刃部20の上下方向の帯21aについては、上下方向の帯21aと左右方向の帯21bが交差する交差箇所20xを境として、上方向を上方向の帯21a1、下方向を下方向の帯21a2と称呼することもできる。また、左右方向の帯21bについては、交差箇所20xを境として、右方向を右方向の帯21b2、左方向を左方向の帯21b1と称呼することもできる。
第三の実施例、第四実施例である十字刃部20は、主に、頂部に備えた上下方向の刃26aと左右方向の刃26bを十字状に組み合わせた十字刃26と、この十字刃26の各刃(上下方向の刃26a、左右方向の刃26b)の上下方向26UDの両側及び左右方向26LRの両側に連なる傾斜面29とを備え、正面視略十字形状を形成する。
第三実施例である十字刃部20の上下方向の刃26aについては、上下方向の刃26aと左右方向の刃26bが交差する交差箇所20xを境として、上方向を上方向の刃26a1、下方向を下方向の刃26a2と称呼することもできる。また、左右方向の刃26bについては、交差箇所20xを境として、右方向を右方向の刃26b2、左方向を左方向の刃26b1と称呼することもできる。
第四実施例である上下方向の刃26aについては、ダイヤ形状の頂面23を境として、上方向を上方向の刃26a1、下方向を下方向の刃26a2と称呼することもできる。また、同じくダイヤ形状の頂面23を境として、右方向を右方向の刃26b2、左方向を左方向の刃26b1と称呼することもできる。換言すると、上方向の刃26a1、下方向の刃26a2、左方向の刃26b1、右方向の刃26b2は、ダイヤ形状の頂面23の各頂点に連なる。したがって、頂部は、頂面23と、この頂面23に連なる各刃(26a1、26a2、26b1、26b2)とからなる。なお、ダイヤ形状の頂面23は、各辺を内側に窪ませても、窪ませなくてもよい。
第一実施例、第二実施例である十字刃部20の傾斜面については、上下方向の帯21a、具体的には、上方向の帯21a1及び下方向の帯21a2のそれぞれ上下方向21UDの両側から母材部4a、5aの表面4a1、5a1にかけて傾斜しており、また、左右方向の帯21b、具体的には、左方向の帯21b1及び右方向の帯21b1のそれぞれ左右方向の両側から母材部4a、5aの表面4a1、5a1にかけて傾斜している。
第三実施例、第四実施例である十字刃部20の傾斜面29については、上方向の刃26a1及び下方向の刃26a2の上下方向26UDの両側から母材部4a、5aの表面4a1、5a1にかけて傾斜しており、また、左方向の刃26b1及び右方向の刃26b2の左右方向の両側から母材部4a、5aの表面4a1、5a1にかけて傾斜している。
第一実施例、第二実施例である十字刃部20の十字帯21と傾斜面とが連なる角部20eを角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、この角部20eを丸角形状とすることも可能である。また、第三実施例、第四実施例である十字刃部20の十字刃26によっても被破砕物を細かく破砕できる。
また、十字刃部20の十字帯21の各コーナー20cを角又は丸角形状とすることもできる。第一実施例である十字刃部20を図示した図1〜図2では、交差箇所20xの近傍に幅広面20c1を設けて十字帯21の各コーナーを丸角としているが、第二実施例である十字刃部20を図示した図10のように幅広面20c1を設けずに角形状とすることも可能である。各コーナー20cを丸角形状とすることによって、被破砕物が表面側へ入り込み易くなり、被破砕物をホールドでき、また、各コーナー20cを角形状とすることによって、角を被破砕物に押し当てて、被破砕物をより細かく破砕(切断等)することができる。
また、十字刃部20には、図3等で図示したように、ガード部20gを設けることも可能であり、このガード部20gによって被破砕物が十字刃部20に挟まることを防止することができる。ガード部20gは、図3等のように、主に母材部の右端側、又は、左端側の十字刃部20に設けることが望ましいが、母材部の右端側以外、又は、左端側以外であってもよい。
ガード部20gの構成や形状は特に限定されない。したがって、第一実施例、第二実施例の場合は、例えば、左端側に配置した十字刃部20にガード部20gを設ける場合は、上方向の帯21a1と左方向の帯21b2との間の領域や、下方向の帯21a2と左方向の帯21b2との間の領域をカバーするように設けることができる。また、その他、右端側に配置した十字刃部20にガード部20gを設ける場合は、上方向の帯21a2と右方向の帯21b2との間の領域や、下方向の帯21a2と右方向の帯21b2との間の領域をカバーするように設けることもできる。
第三実施例、第四実施例の場合も同様に、上方向の刃26a1と左方向の刃26b1との間の領域や、下方向の刃26a2と左方向の刃26b1との間の領域、また、上方向の刃26a1と右方向の刃26b2との間の領域や、下方向の刃26a2と右方向の刃26b2との間の領域をカバーするように設けることもできる。
さらには、ガード部26gの頂面と十字帯21の頂面は、面一とする構成であってもよいし、面一とせず段差を設ける構成であってもよい。段差を設ける構成の場合、この段差によっても角ができるため、被破砕物を細かく破砕することができる。
図1、図10で図示したように、第一実施例、第二実施例ともに、上下方向の帯21a又は左右方向の帯21b及びこれに連なる傾斜面29は、横断面視(A−A線断面視)略台形形状を形成している。また、図13で図示したように、第三実施例は、上下方向の刃26a又は左右方向の刃26b及びこれに連なる傾斜面29は、横断面視(A−A線断面視)略三角形状を形成している。図16で図示した第四実施例も横断面視(A−A線断面視)略三角形状を形成している。
十字刃部20の高さ、具体的には、母材部4a、5aの表面4a1、5a1に配置した十字刃部20の裾野部から頂部までの高さは5ミリ以上であることが望ましいが、4ミリ以下であってもよい。
菱形刃部30は、以下に説明する第一実施例、又は、第二実施例を母材部4a、5aの表面4a1、5a1に菱形に配置したもの、すなわち、第一実施例である菱形刃部30、又は、第二実施例である菱形刃部30の配置形状が菱形となるものである。そして、菱形刃部30の菱形の対角線の頂点に後述する山形刃部40が結合する。
まず、第一実施例である菱形刃部30について説明する。構成としては、図3等で図示するように、主に、傾斜方向の帯31と傾斜面33に大別することができる。具体的には、頂部に備えた傾斜方向の帯31と、この傾斜方向の帯31の傾斜方向30Iの両側に連なり、母材部4a、5aの表面4a1、5a1にかけて傾斜している傾斜面33で横断面略台形形状を形成している。
また、傾斜方向の帯31と傾斜面33とが連なる角部30eが形成されるが、この角部30eを角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、この角部30eを丸角形状とすることも可能である。
次に、第二実施例である菱形刃部について説明する。構成としては、図6等で図示するように、主に、傾斜方向の刃32と傾斜面33に大別することができる。具体的には、頂部に備えた傾斜方向の刃32と、この傾斜方向の刃32の両側に連なり、母材部の表面にかけて傾斜している傾斜面33とからなる。換言すると、各傾斜面33のそれぞれの一方の端部が互いの側に向かって傾斜して内接し、内接した箇所である頂部が傾斜方向の刃32となり、横断面略三角形状を構成している。
この傾斜方向の刃32によって被破砕物を細かく破砕できる。なお、この傾斜方向の刃32を丸角形状とすることも可能である。
山形刃部40は、頂部に頂部十字帯41を備えた第一実施例である山形刃部40、頂部に頂部十字刃46を備えた第二実施例である山形刃部40が挙げられる。この山形刃部40の構成としては、主に、頂部と裾野部とに大別でき、頂部から裾野部にかけて末広がりとなった文字通り山形の形状を構成し、裾野部から頂部にかけて徐々に高さが高くなるように形成されている。
まず、図3、図4等で図示した、第一実施例である山形刃部40について説明する。
頂部には、上下方向の帯41aと左右方向の帯41bを十字状に組み合わせた頂部十字帯41を備え、この頂部十字帯41の各帯(上下方向の帯41a、左右方向の帯41b)の両自由端から連なり傾斜する傾斜帯43を備える。そして、この各傾斜帯43の軸線方向の両側に連なる傾斜面49が備えられている。さらには、これら各傾斜面49の頂部側の一部には切欠傾斜面49aを設けている。このような頂部十字帯41、傾斜帯43、傾斜面49、切欠傾斜面49aによって山形刃部40は多面形状となっている。
換言すると、各傾斜面49の頂部側の一部に切欠傾斜面49aを設けることによって、山形刃部40の頂部に頂部十字帯41が形成される。そして、頂部十字帯41と切欠傾斜面49aとが連なる第一角部40e1が形成されるが、この第一角部40e1を角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。また、頂部十字帯41の各帯(上下方向の帯41a、左右方向の帯41b)と傾斜帯43が連なる第二角部40e2が形成されるが、この第二角部40e2を角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。さらに、各傾斜帯43と傾斜面49が連なる第三角部40e3が形成されるが、この第三角部40e3を角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、これら第一角部40e1、第二角部40e2、第三角部40e3を丸角形状とすることも可能である。
切欠傾斜面49aは、略三角形状の傾斜面を構成する他、略四角形、半球形状等の傾斜面であってもよい。また、図示しないが、切欠傾斜面49aに凹凸を設けた構成としてもよい。要は、切欠傾斜面49aによって頂部十字帯41が形成され、破砕の際に被破砕物に応力集中が掛かりやすくなり、より効率的に破砕されることになればどのような構成であってもよい。
次に、図6、図7等で図示した、第二実施例である山形刃部40について説明する。
頂部には、上下方向の刃46aと左右方向の刃46bを十字状に組み合わせた頂部十字刃46を備え、この頂部十字刃46の各刃(上下方向の刃46a、左右方向の刃46b)の両自由端から連なり傾斜する傾斜刃48を備える。そして、この各傾斜刃48の軸線方向の両側に連なる傾斜面49が備えられている。さらには、これら各傾斜面49の頂部側の一部には切欠傾斜面49aを設けている。このような頂部十字刃46、傾斜刃48、傾斜面49、切欠傾斜面49aによって山形刃部40は多面形状となっている。
換言すると、各傾斜面49の頂部側の一部に切欠傾斜面49aを設けることによって、山形刃部40の頂部に頂部十字刃46が形成される。そして、この頂部十字刃46によって被破砕物を細かく破砕できる。また、各傾斜刃48によっても被破砕物を細かく破砕できる。さらに、頂部十字刃46と傾斜刃48とが連なる角部40eを角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、これら頂部十字刃46、各傾斜刃48、角部40eを丸角形状とすることも可能である。その他の構成については、第一実施例に準じる。
また、母材部の左端側及び右端側には半割山形刃部50を配置することも可能である。以下、頂部に頂部T字帯51を備えた第一実施例である半割山形刃部50、頂部にT字頂部52を備えた第二実施例である半割山形刃部50について説明する。
まず、第一実施例である半割山形刃部50は、図3、図4等で図示したように、頂部に上下方向の帯51aと左右方向の帯51bを組み合わせた頂部T字帯51を備え、この頂部T字帯51の上下方向の帯51aの両自由端から連なり傾斜する端側傾斜帯53を備え、そして、この各端側傾斜帯53の軸線方向の片側から連なる傾斜面59を備える。また、左右方向の帯51bの自由端から連なり傾斜する傾斜帯54を備え、この傾斜帯54の軸線方向の両側に連なる傾斜面59を備える。さらには、これら各傾斜面59の頂部側の一部には切欠傾斜面59aを設けている。このような頂部T字帯51、端側傾斜帯53、傾斜面59、切欠傾斜面59aによって半割山形刃部50は多面形状となっており、頂部から裾野部にかけて末広がりの半割した山形形状を形成したことを特徴としている。
換言すると、各傾斜面59の頂部側の一部に切欠傾斜面59aを設けることによって、半割山形刃部50の頂部に頂部T字帯51が形成される。そして、この頂部T字帯51と切欠傾斜面59aとが連なる第一角部50e1が形成されるが、この第一角部50e1を角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。また、頂部T字帯51と端側傾斜帯53とが連なる第二角部50e2が形成されるが、この第二角部50e2を角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。さらには、各端側傾斜帯53と傾斜面59(各傾斜面)とが連なる第三角部50e3が形成されるが、この第三角部50e3を角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、これら第一角部50e1、第二角部50e2、第三角部50e3を丸角形状とすることも可能である。その他の切欠傾斜面59aの説明に関しては、上述の山形刃部40に準じる。
次に、頂部にT字頂部52を備えた第二実施例である半割山形刃部50について説明する。
第二実施例である半割山形刃部50は、図6、図7等で図示したように、頂部に上下方向の帯52aと左右方向の刃52bを組み合わせたT字頂部52を備え、このT字頂部52の上下方向の帯51aの両自由端から連なり傾斜する端側傾斜帯53を備え、そして、この各端側傾斜帯53の軸線方向の片側から連なる傾斜面59を備える。また、左右方向の刃52bの自由端から連なり傾斜する傾斜刃55を備え、この傾斜刃55の軸線方向の両側に連なる傾斜面59を備える。さらには、これら各傾斜面59の頂部側の一部には切欠傾斜面59aを設けている。このようなT字頂部52、端側傾斜帯53、傾斜面59、切欠傾斜面59aによって半割山形刃部50は多面形状となっており、頂部から裾野部にかけて末広がりの半割した山形形状を形成したことを特徴としている。
T字頂部52の左右方向の刃52bによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、左右方向の刃52bを丸角形状とすることもできる。その他の構成に関しては、第一実施例である半割山形刃部50の構成に準ずる。
傾斜帯54、端側傾斜帯53、傾斜刃55、傾斜面59、切欠傾斜面59aの傾斜角度は特に限定されないので、本発明の効果を奏するものであればどのような角度であってもよい。
また、菱形刃部30の傾斜方向の帯31、山形刃部40の頂部十字帯41、傾斜帯43の幅は、約5mm〜16mmであるが望ましいが、これに限定されない。本発明の効果を奏するのであれば、4mm以下であっても、16mm以上であってもよい。
図3等の固定刃板4、図22等の移動刃板5の母材部5aの表面5a1上側には上開口刃部60を配置している。この上開口刃部60は、母材部の左右方向にかけて母材部の表面から突出した軒部61を備え、この軒部61の下方であって母材部の表面に凹部63を備える。そして、凹部63内に、上下方向及び/又は左右方向にスリット部62を備えることにより複数の開口形状としたことを特徴としている。
図3等では、上下方向4UDにスリット部62を備えているが、左右方向4LRにスリット部62を備えてもよく、また、図22等のように上下方向5UDのスリット部62と左右方向5LRの軒部61を組み合わせて格子状としてもよい。すなわち、破砕の際、被破砕物をホールドすることができ、固定刃板4及び移動刃板5で被破砕物を細かくすることができればどのような構成であってもよい。したがって、図3等では略長方形状の凹部63を左右方向に3つ連設し、図22等では略長方形状の凹部63を上下左右方向に6つ連設し、図19等では略長方形状の凹部63を左右方向に2つ連設しているが、スリット部62や凹部63の数、形状、大きさ等は特に限定されない。
なお、スリット部62の主な構成は、主に、先端面62aと、この先端面62aの上下方向又は左右方向の両側に連なる傾斜面62bとからなり、先端面62aと傾斜面62bとが連なる角部62eを角とする形成する構成が一例として挙げられる。そして、この角部62eによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、この角部62eを丸角形状とすることも可能である。
さらに、軒部61を複数設けることも可能であり、図3等のように、両軒部61、61を左右方向に平行に配置し、上側の軒部61と下側の軒部61との間に凹部63が備えられている構成としてもよい。各軒部61は、同じ構成であっても異なる構成であってもよい。構成の一例としては、例えば、図5等で図示したように、母材部4aの平面4a3に連なって前側(他方の刃板側)にかけて傾斜する傾斜面62b、傾斜面62bから垂下する垂直面61b、垂直面61bから後側(母材部の表面側)に延びる水平面61cによって、略鉤状を形成する構成が挙げられる。この軒部61は、被破砕物が上方向へ移動するのを防止する、すなわち、被破砕物を押さ込む効果を奏する。
図3等の固定刃板4の母材部の下側表面には下開口刃部70を配置している。この下開口刃部70の構成は、図3等で図示したように、上側内面71a、下側内面71b及び右側内面71d、左側内面71cを備え、上側内面71a、下側内面71bのそれぞれの一方の端部(奥側)が互いの側(奥行方向)に向かって傾斜して内接し、右側内面71d、左側内面71cのそれぞれの一方端部が互いの側(奥行方向)に向かって傾斜することによって開口部71を形成している。換言すると、紙面裏側から表面に向かって次第に断面視幅広の断面を有する。そして、開口部71内に駒状部72を備えることにより複数の開口形状としている。
この駒状部72の構成は、先端面72cと、この先端面72aの上下方向の両側に連なる傾斜面72bとからなる。また、先端面72aと傾斜面72bとが連なる角部72eが形成されるが、この角部72eを角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。角部72eを丸角形状とすることも可能である。なお、先端面72aと連なる面を傾斜させず、垂直面とすることもでき、この先端面72aと垂直面が連なる部分を角部72eとすることによって被破砕物を細かく破砕できる。また、角部72eを丸角形状とすることも可能である。
なお、下開口刃部70は、主に、固定刃板4に配置する構成が考えられるが、固定刃板4に限定されず、移動刃板5に配置する構成であってもよい。
図3等では母材部の表面下側には凸刃部80を配置している。この凸刃部80の構成は、先端面80aと、この先端面80aの上下方向の両側に連なる傾斜面80bとからなり、母材部の表面最下段に配置した山形刃部40の一部に連結されている。
先端面80aと傾斜面80bとが連なる角部80eを角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、角部80eを丸角形状とすることも可能である。
なお、先端面80aと連なる面を傾斜させず、垂直面とすることもでき、この先端面80aと垂直面の角部80eを角形状とすることによって被破砕物を細かく破砕できる。なお、先端面80aと垂直面とが連なる角部を丸角形状とすることも可能である。
この凸刃部80は、破砕機100の下方開放部100b付近の被破砕物を破砕するのに特に有効である。図3等では、凸刃部80は、下開口刃部70と下開口刃部70との間を仕切るような形で配置されている。
なお、凸刃部80は、主に、固定刃板4に配置する構成が考えられるが、移動刃板5に配置してもよい。
図19では、固定刃板4の母材部の表面下側に正面視略三角形状の三角山形刃部90を配置している。この三角山形刃部90の構成としては、頂部に備えた先端面90aと、先端面90aから母材部の表面にかけて延びる帯90cと、帯90cの軸線方向の両側に連なる傾斜面90b等からなる。換言すると、角丸とした三角形を底面とした略三角錐とし、頂部の先端面90aから角丸の部分にかけて帯90cを備え、帯90cの軸線方向の両側に連なる傾斜面90b等からなる。すなわち、頂部から裾野部にかけて末広がりとなった山形形状を構成し、母材部の表面側の裾野部から頂部にかけて徐々に高さが高くなるように形成されている。
図19では、三角山形刃部90の底面の三角形の角を丸めた形状としているが、角がある三角形の形状でもよい。また、帯90cを備えない構成、頂部の先端面90aを平面とする構成の他、角部とする構成であってもよい。帯、傾斜面90bは、曲面、平面のどちらでもよい。
三角山形刃部90の配置位置に関しては、図19のように、固定刃板4の母材部4aの表面4a1下側であって、かつ、十字刃部20の一部(上下方向の帯の下方向の帯)に連結して配置される構成が挙げられるが、このような配置位置に限定されるものではなく、移動刃板5の母材部5aの表面5a1下側に配置する構成であってもよい。例えば、移動刃板5の最下段に配置した山形刃部40と山形刃部40との間に配置する構成であってもよい。
次に、山形刃部40、半割山形刃部50、菱形刃部30、十字刃部20の配置について説明する。
図3、図22等では、山形刃部40は、母材部4a、5a上に千鳥配置されており、最上段の第一段目、第二段目、第三段目、最下段の第四段目に分けることができる。そして、山形刃部40同士を繋げるようにして菱形刃部30を菱形にして配置されている。すなわち、この菱形刃部30を組み合わせることによって菱形形状に配置し、この菱形の対角線の頂点に山形刃部40を結合し、この菱形刃部30と山形刃部40で囲まれたエリアを囲繞領域7とする。
さらには、この囲繞領域7に、各山形刃部40同士を繋げるようにして十字刃部20が配置されている。すなわち、十字刃部20の各自由端が各山形刃部40の一部に連結される。なお、十字刃部20の各自由端の形状に関しては、各山形刃部40の一部に連結できれば、どのような形状であってもよい。
この十字刃部20は、母材部4a、5aの上下方向4UD、5UD中央より下側(下半分)に配置することが望ましい。例えば、固定刃板4の場合、図3等のように、第三段目の山形刃部40と同列、最下段の第四列目の山形刃部40と同列に配置する。一方、移動刃板5の場合、図22等のように、第三段目の山形刃部40と同列、最下段の第四列目の山形刃部40と同列に配置する。母材部の上下方向中央より下半分に配置することによって少ない力で効率良く破砕することができる。
なお、菱形刃部30山形刃部40の高さ関係は、菱形刃部30よりも山形刃部40のほうが高く設定されている。具体的には、側面視して菱形刃部30の頂部が山形刃部40の裾野部の中腹になるように配置している。菱形刃部30と山形刃部40の数や大きさ等は特に限定されない。また、十字刃部20と菱形刃部30の高さ関係は、十字刃部よりも菱形刃部30のほうが高く設定されている。
十字刃部20、山形刃部40等は、どのような組み合わせであってもよく、これらの組み合わせの一例を各図において図示している。
図3では、固定刃板に第一実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図6では、第一実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図11では、固定刃板に第二実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図12では、第二実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図14では、固定刃板に第三実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図15では、第三実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図17では、固定刃板に第四実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図18では、第四実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図22では、移動刃板に第一実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図26では、第一実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図28では、移動刃板に第二実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図29では、第二実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図30では、移動刃板に第三実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図31では、第三実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。
図32では、移動刃板に第四実施例である十字刃部及び第一実施例である山形刃部を配置し、図33では、第四実施例である十字刃部及び第二実施例である山形刃部を配置している。なお、図34では、図3、図22の要部を拡大して図示している。図35では、図12、図29の要部を拡大して図示している。図36では、図15、図31の要部を拡大して図示している。図37では、図18、図33の要部を拡大して図示している。
山形刃部40の段数の数も問わない。したがって、図38の移動刃板5のように、第一段目から第五段目までとする構成であってもよい。
半割山形刃部50の配置位置に関しては、固定刃板4においては、図3等で図示したように、上から第二段目であって、正面視して左端側及び右端側、及び、最下段(上から第四段目)の左端側及び右端側に配置している。一方、移動刃板5においては、図22等で図示したように、最上段(上から第一段目)であって、正面視して左端側及び右端側、及び、上から第三段目の左端側及び右端側に配置している。したがって、移動刃板5が固定刃板4側へ前進した際に、固定刃板4の刃部と移動刃板5の各刃部が嵌合するように各山形刃部40、各半割山形刃部50が配置されていればよく、嵌合することができれば、半割山形刃部50を何段目に配置してもよい。
図40で図示したように、移動刃板5が固定刃板4側へ前進した際の各刃板の山形刃部40、囲繞領域7との位置関係について説明する。ここでの固定刃板4は、図3等で図示した固定刃板4を破砕機100に垂直に設置し、移動刃板5は、図22等で図示した移動刃板5とする例において説明する。
移動刃板5を固定刃板4側へ前進限界位置まで前動した際には、固定刃板4及び移動刃板5の互いの囲繞領域7、7に互いの山形刃部40が嵌合する。具体的には、固定刃板4の囲繞領域7には移動刃板5の山形刃部40が嵌合し、移動刃板5の囲繞領域7には固定刃板4の山形刃部45が嵌合する。
また、囲繞領域7に十字刃部20が配置された場合については、固定刃板4及び移動刃板5の十字刃部20に互いの山形刃部40が近接対峙する。具体的には、固定刃板4、又は、移動刃板5の十字刃部20の十字帯21と、移動刃板5、又は、固定刃板4の山形刃部40の頂部十字帯41が近接対峙する(図41参照 一部省略)。なお、図42は、十字刃部20の十字帯21と、山形刃部40の頂部十字刃46が近接対峙する状態を一部省略して図示している。
半割山形刃部50に関しては、頂部T字帯51又はT字頂部52の上下方向の帯52aの幅(左右方向)を、山形刃部40の頂部十字帯41の上下方向の帯41aの幅(左右方向)の2倍以上とすることが望ましい。また、端側傾斜帯53の幅(左右方向)を、山形刃部40の傾斜帯43の幅(左右方向)の2倍以上とするのが望ましい。このように、2倍以上の幅とすることによっては、端側に半割した半割山形刃部50を配置した場合であっても、十分な強度を備えることができる。
また、各図では、半割山形刃部50の頂部T字帯51の左右方向の帯51bの幅(上下方向)は、山形刃部40の頂部十字帯41の左右方向の帯41bの幅(上下方向)と同程度であるが、半割山形刃部50の頂部T字帯51の左右方向の帯51bの幅を、山形刃部40の頂部十字帯41の左右方向の帯41bの幅の2倍以上とすることもできる(不図示)。このような構成とすることによっても、十分な強度を備えることができる。
また、山形刃部40の上下方向の帯41aの上下方向の中心線(不図示)と、十字刃部20の上下方向の帯21aの上下方向の中心線(不図示)が同一線上にあるのが望ましい。さらには、十字刃部20の上下方向の帯21aの上下方向の中心線(不図示)と、下開口刃部70の駒状部72の先端面72aの上下方向の中心線(不図示)が同一線上にあることが望ましい。また、山形刃部40の左右方向の帯41bの左右方向の中心線(不図示)と、十字刃部20の左右方向の帯21bの左右方向の中心線(不図示)が同一線上にあるのが望ましい。
このように、山形刃部40、十字刃部20、駒状部72等の中心線(不図示)が同一線上にあるように配置すると、移動刃板5を固定刃板4側へ前進限界位置まで前動した際に、適切な位置に各山形刃部40、十字刃部20、駒状部72等が配置されることによって、固定刃板4の刃部と移動刃板5の刃部が正確に嵌合することができ、効果的に被破砕物を破砕することができる。
母材部の表面に十字刃部20を上下二段に配置した場合、上段に配置した十字刃部20の左右方向の帯21bの左右方向の中心線(不図示)から、その下段に配置した十字刃部20の左右方向の帯21bの左右方向の中心線(不図示)までの距離と、下段に配置した十字刃部20の左右方向の帯21bの左右方向の中心線(不図示)から、母材部の下端までの距離が均一であることが望ましい。このように距離を均一とすると、十字刃部20が配置されている位置は支点軸17に近いため、十字刃部20においても少ない力で効率的に破砕することができる。
本発明の固定刃板及び移動刃板を構成する母材部及び刃部の材質としては、ハイマンガン鋳鋼製であることが特徴として挙げられる。ハイマンガン鋳鋼は、使用すればするほど使用部分から次々に硬化する、加工硬化が生じる。すなわち、当初の硬度は低いが、表面に加えられる衝撃等によって表面から加工硬化すると共に耐摩耗性が一躍向上し刃板の寿命も大幅に上がることとなる。具体的には、固定刃板4、移動刃板5の加工硬化後の硬さは、HRC40〜50以上となる。したがって、本発明の刃板は、主に、硬くて厚い等の特性を有する難破砕(難切断、難折断)のもの、例えば、ダクタイル鋳鉄(FCD材)等に有用であるが、ねずみ(普通)鋳鉄(FC材)の破砕(切断、折断)にも有用である。
なお、固定刃板4及び移動刃板5を構成する母材部4a、5a及び刃部のその他の材質としては、例えば、機械構造用炭素鋼(SC)、機械構造用合金鋼(SCM等)等の特殊鋼や、普通鋳鋼、FCDを基本とした合金鋳造品等が挙げられる。
固定刃板4及び移動刃板5の母材部に刃板取付け用のボルトが螺挿されるボルト穴6(雌ねじ穴)を施す。ボルト穴6は、一般的には、図示しない市販のマシニングセンタ等の工作機械を用いて形成する。例えば、マシニングセンタの主軸にボルト穴6加工用の工具を取付けて、この工具の回転によってボルト穴6を形成する。このボルト穴6は、固定刃板4の場合、母材部4aの表面4a1、裏面4a2、平面4a3、底面4a4、左側面4a5、右側面4a6のいずれか一面以上に施される。
ボルト穴6の形成方法の一例としては、下記のとおりである。ここでは固定刃板4について説明する。まず、固定刃板4の所定の箇所、例えば、取付け面である母材部4aの表面4a1、裏面4a2、平面4a3、底面4a4、左側面4a5、右側面4a6のいずれか一面以上にドリル等によって下穴を穿孔する。そして、この穿孔した下穴の内壁面に対してタップ等を用いてねじ溝を形成することによってねじ穴加工を施す。
下穴は、タップのねじ部の外径よりも小さい内径に形成されていて、このタップを回転しながら挿通することにより、下穴の内壁面を切削してボルト溝が形成され、ボルト穴6が加工される。すなわち、ボルトよりも径寸法が小さい下ねじ(下穴、内径)をドリル等で切削加工し、その下ねじに沿ってボルト穴6を切削加工する。例えば、タップを使用してボルト穴6を形成する場合には、まずボルトの下径(最小径)の穴をドリル等によって穿け、この下穴にタップをねじ込みながらボルト穴6を形成する。
マシニングセンタには、マシニングセンタの駆動手段および主軸をボルト穴6の形成プログラムにしたがって駆動制御する制御装置を利用する。具体的には、予めボルト穴6の形成プログラムで規定されたボルト穴6の形成手順にしたがって、ボルト穴6の加工用の特殊工具と固定刃板4、移動刃板5との間の位置および速度制御等を行う。また、マシニングセンタは、ボルト穴6の形成プログラムにおいて、たとえば、主軸モータの回転数を解読することにより主軸の回転数の制御等を行う。
具体的な加工方法としては、例えば、X軸(縦軸)・Y軸(横軸)・Z軸(斜軸)の三軸制御可能なマシニングセンタ等の主軸に装着した特殊工具(超鋼ネジ切りチップ等)で、マシニングセンタ等のヘリカル送り(円弧)機能を利用して雌ねじ穴を形成する方法が挙げられる。この方法による場合、まず、取付け面である母材部4aの表面4a1、裏面4a2、平面4a3、底面4a4、左側面4a5、右側面4a6のいずれか一面以上にドリル等によって下穴を穿孔する。
そして、特殊工具(超鋼ネジ切りチップ等)を装着したマシニングセンタの主軸を回転(矢印)させながら、この主軸をZ軸方向ヘヘリカル送りし、下穴の内周面に雌ねじ溝を切削加工する。例えば、1公転ごとに1ピッチ進む等のようにヘリカル送りされることによって雌ねじ溝を形成する。
また、先端にドリルをもったタップを使用することによって、下穴からねじ切りまでを1本の工具で可能となる。具体的には、マシニングセンタの主軸にドリルタップを取付けてボルト穴6を形成する。
以上のように、マシニングセンタ等のヘリカル送り(円弧)機能を利用することによって、固定刃板4にボルト穴6が加工される。なお、これらのボルト穴6の位置、大きさ、数等は特に限定されない。
次に、固定刃板4及び移動刃板5が設置される破砕機100の構成の一例を説明する。
図38,図39等で図示したように、破砕機100は、並設された一対のサイドフレーム109,109と、両サイドフレーム109,109間の下方に架設した支点軸117と、破砕機100に対して傾斜又は垂直にして設置される固定刃板4と、固定刃板4に対峙し、破砕機100のシリンダー固定部108に固定されたシリンダー106のピストンロッド107の前後動に伴って支点軸117を支点として前後動する移動刃板5等を主構成要素とする。
この破砕機100に配置された固定刃板4と移動刃板5との間にはV字形の破砕空間Vが形成されるが、この破砕空間Vに被破砕物が投入され、移動刃板5が固定刃板4に対して前動することで被破砕物が破砕され、下方に被破砕物が排出される。すなわち、破砕機100は上下開放とし、被破砕物を投入する上方開放部100a及び破砕済みの廃材が排出される下方開放部100bを有する。
上述のように、固定刃板4は、破砕機100に対して傾斜又は垂直にして設置する。固定刃板4を傾斜して設置する例としては、図19〜図21のように、固定刃板4を傾斜して固定支持するホルダー115を介することによって、固定刃板4を傾斜して破砕機100に設置することができる。また、固定刃板4を垂直にして設置する例としては、固定刃板4を垂直に固定支持するホルダー115を介することによって、固定刃板4を垂直に破砕機100に設置する(不図示)。その他、ホルダー115を介さずに傾斜又は垂直にして設置することもできる。また、図24,図25のように、移動刃板5にもホルダー115を介在させて破砕機100に配置することができるが、図38、図39のようにホルダー115を介さずに破砕機100に設置することも可能である。
この刃物(刃板)取付け用のホルダー115を使用しない場合は、製品としてコストダウンを図ることができ、また、軽量化対策が容易となるため、破砕機100の総重量を抑えることが可能となる。また、ホルダー115を用いないのでその分軽量化されるため、少ない力で移動刃板5を前後動させることができる。
図38では、破砕機100に固定ブロック118を設置し、この固定ブロック118に固定刃板4を載置している。固定ブロック118は、固定刃板4を載置できればどのような構成、形状であってもよい。一例として、横断面視略長方形状の本体部118aと、本体部118aの下側から一部延出した延出部118bを備え、この延出部118bは滑り台のような傾斜面を有する構成が考えられる。なお、延出部118bの長さは問わない。
固定ブロック118及び固定刃板4の破砕機100への設置方法の一例を説明すると次のようになる。まず、固定刃板4を設置する箇所の下方において、固定ブロック118を両サイドフレーム109、109で挟持し、両サイドフレーム109、109にボルト等で固定する。そして、固定刃板4を固定ブロック118の平面に載置し、この固定刃板4を両サイドフレーム109、109で挟持し、両サイドフレーム109、109にボルト等で固定する。このようにすることによって、固定ブロックが両サイドフレーム109、109に固定され、固定ブロック118の上に載置された固定刃板4も両サイドフレーム109、109に固定されることによって、固定刃板4と固定ブロック118が上下に連接され、破砕機100に設置固定される。
被破砕物が各刃部によって細かく破砕された場合は、破砕済みの被破砕物が延出部118bに沿って滑り台で滑るようして排出されるが、被破砕物が長尺物の場合、長尺物の被破砕物が滑り台のような傾斜面に引っ掛かることによって被破砕物の排出を防止し、この傾斜面に引っ掛かった被破砕物を各刃部で破砕することができる。すなわち、延出部118bは、傾斜面によって被破砕物の排出を容易にする役目の他、長尺物の被破砕物の排出を防止するダンパーの役目も兼ねることができる。この、ホルダー115、固定ブロック118の材質としては、例えば、特殊合金鋼等を採用する。また、ホルダー115と固定刃板4が一体となったものであってもよい。
図24、図25で図示した移動刃板5を固定支持するホルダー115は、両サイドフレーム109、109間に架設した支点軸117に軸支されている。具体的には、ホルダーの下側に形成した半円形の軸支部によって支点軸117に軸支されている。そして、支点軸117に支点軸キャップを被せてボルト等の固定具でホルダー115に固定する。
支点軸117は、主に、軸受けと、両サイドフレーム109、109に大きく開設した枠穴と、この枠穴に嵌合する支持ブロック116を利用して支持されている。従って、枠穴に嵌合する支持ブロック116の抜差しを利用して、枠穴内において左右の支持ブロック116の数を調整することで、支点軸117の位置を変更できる。すなわち、移動刃板5が前進限界位置にきたときの固定刃板4と移動刃板5との間に形成される破砕空間Vを調整することができる。
また、支持ブロック116の数を調整することによって支点軸117の位置を固定刃板4寄りとすると、移動刃板5が固定刃板4側へ前進限界位置まで前動した場合であっても、固定刃板4及び移動刃板5の互いの囲繞領域7に互いの山形刃部40が嵌合せずに配置することができる。すなわち、支点軸117の位置の調整次第では、移動刃板5が前進限界位置まで前動した場合、固定刃板4の山形刃部40(頂部十字帯41の先端面)と移動刃板5の囲繞領域7との間、移動刃板5の山形刃部40(頂部十字帯41の先端面)と固定刃板4の囲繞領域7との間に空間を形成することもできる。
破砕機100に固定刃板4が傾斜して配置され、また、移動刃板5も後退限界位置にある場合は、固定刃板4と移動刃板5との間に形成されるV字形の破砕空間Vを広く採ることができるため、比較的大きな被破砕物を投入することができる。
また、破砕機に固定刃板4が垂直に配置されている場合は、固定刃板4と移動刃板5との間に形成されるV字形の破砕空間Vは、固定刃板4が傾斜している場合に比べて狭くなるが、移動刃板5が前進限界位置にきたときは、移動刃板5と固定刃板4が前後に略水平に対峙し、固定刃板4と移動刃板5との間に形成される破砕空間が狭くなるため、被破砕物をより細かく破砕することができる。
シリンダー106の設置方法としては、例えば、破砕機100のシリンダー固定部108にトラニオン構造のシリンダー106を取付け、トラニオンによってシリンダー106を回転可能に支持する等の方法が考えられる。具体的には、破砕機100のシリンダー固定部108にトラニオン軸受を取付け、このトラニオン軸受にトラニオン軸を介してトラニオン構造のシリンダー106を枢着する。
シリンダー106は、油圧や空圧を作動流体とする流体シリンダーを用いることもできる。例えば、油圧シリンダー装置の場合は、ピストンロッド107を前後動させることによって、固定刃板4と移動刃板5の間に投入された被破砕物を破砕する直線送り駆動機構となる。したがって、油圧シリンダーの直線送り駆動装置で移動刃板5を徐々に変位させ、油圧の強力な圧力を被破砕物に作用させ、被破砕物を破砕する。
ピストンロッド107の先端に開口を備え、クレビスピンによってクレビスを回転可能に結合する。そして、このクレビスの装着面を移動刃板5の裏面又はホルダーの裏面に装着し、ボルト等の固定具で固定することによって、クレビスと移動刃板5又はホルダーが固定される。そして、ピストンロッド107が伸縮することによって支点軸117を支点として移動刃板5が前進後退する。この前進後退は、支点軸117を軸支点としたテコの原理を利用するもので、シリンダー106の出力を抑えることができ、比較的小さい動力で移動刃板5を可動することができる。
両サイドフレーム109、109の内側、具体的には、移動刃板5の可動領域に一枚又は複数枚のライナーをボルト等の止め具で着脱自在に設けることも可能である。このライナーは、例えば、超硬合金等の耐摩耗性を有する高硬度材を採用しており、このライナーを両サイドフレーム109、109に設けることによって、この両サイドフレーム109、109への被破砕物による衝撃回避を図ることができるため、両サイドフレーム109、109の耐久性の向上及び長寿命化を図ることができる。また、両サイドフレーム109、109と刃板との摩擦を回避することができる。なお、ライナーの硬度は、例えば、HRC50〜HRC60程度である。また、ボルト等の止め具の頭を研磨手段で略面一に加工する構成が望ましい。