JP2019083650A - ロータ、ロータの製造方法、および、回転電機 - Google Patents
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Abstract
Description
シャフトあるいはロータコアの外周面に永久磁石を装着する場合、永久磁石は接着剤を介して接着される。この接着剤の接着層において膜厚が薄い箇所がある場合、モータの駆動等により接着層にクラック等が発生し、永久磁石がシャフトあるいはロータから剥がれる不良が生じる場合がある。よって、クラック等による接着層の劣化を抑止して強固な接着力を確保するため、接着層は所定の厚みの膜厚を有することが望ましい。
例えば、磁性板を積層して一体化した積層鉄心の表面にセグメントマグネットを固着する。磁性板は外周部に複数個の突起部と、前記突起部間に凹部を設けている。突起部間に接着剤を塗布してセグメントマグネットを突起部の一方向に当接させて位置決め固着する。セグメントマグネットを接着する時、余分な接着剤を凹部で吸収する(例えば、特許文献1参照)。
また例えば、円筒状のヨークの外周面に軸方向に延びる溝を永久磁石片の数だけ切削する。この溝に接着剤を溝内から僅かに溢れるように充填し、永久磁石片をヨークの外周面に固定する(例えば、特許文献2参照)。
ロータコアと、前記ロータコアの外周面に周方向に間隔を隔てて設置された複数の磁石とを備えたロータにおいて、
前記磁石の径方向内側の内側面は、
前記磁石の周方向一端の第1寸法分の前記内側面が、前記ロータコアの外周面における第1支持箇所にて当接すると共に、前記磁石の周方向他端の第2寸法分の前記内側面が、前記ロータコアの外周面における第2支持箇所にて当接し、
前記ロータコアの外周面には、周方向における前記第1支持箇所と前記第2支持箇所との間に、径方向に窪み、軸方向に延在する溝部が形成され、
前記第1寸法と前記第2寸法との合計は、前記溝部の周方向の幅よりも小さく形成され、
前記磁石の前記内側面と前記ロータコアとを接着する接着層が、前記溝部に形成されたものである。
また、本発明に係るロータの製造方法は、
前記溝部内に形成された前記接着層を、前記磁石によって径方向内側に押圧して封止する工程を備えたものである。
また、本発明に係る回転電機は、
上記のように構成されたロータと、
前記ロータと同軸上に配置されたステータとを備えたものである。
また、この発明に係るロータの製造方法によれば、接着剤を押圧して接着層内のボイドを低減するものなので、長期的な信頼性が確保されたロータおよび回転電機を提供できる。
以下、本発明の実施の形態1によるロータ100について図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1によるロータ100を示す斜視図である。
図2は、図1に示すロータ100を、軸方向Gに対して垂直に分割した断面図である。
図3は、図1に示すロータ100を構成するロータコア1の斜視図である。
図4は、図3に示すロータコア1を構成するコアシート2の斜視図である。
なお、以下の説明において、ロータ100における各方向を、周方向S、軸方向G、径方向K、径方向内側K1、径方向外側K2としてそれぞれを示す。また、実施の形態2以降においても各方向のそれぞれを同様に示す。
また、ロータコア1の外周面には、ロータコア1の積層方向に並行な方向に延在して、径方向内側K1に窪む複数の溝部1Mが形成されている。この溝部1Mは矩形状であり、前記頂点1T間に1ヶ所形成される。そしてこの溝部1M内には接着剤が充填され接着層10が形成される。そして、図2に示すように、溝部1Mの周方向Sの幅Yよりも長い幅を持つ磁石20が、当該磁石20の径方向内側K1の内側面を接着層10により接着されて、溝部1Mの周方向Sの幅Yの全てを覆うようにロータコア1の外周面に接着される。こうして、各磁石20は、周方向Sに所定の間隔を隔ててロータコア1の外周面に固定される。
なお、以下にて用いるシャフト3の軸方向Gに並行な方向とは、後述のコアシート2の積層方向と同義である。
なお、各磁石20の周方向一端の第1寸法分X1の内側面とは、各磁石20の径方向内側K1の内側面であって、周方向Sの一端から第1寸法X1の距離だけ離れた位置に至る内側面の領域である。また、各磁石20の周方向他端の第2寸法分X2の内側面とは、各磁石20の径方向内側K1の内側面であって、周方向Sの他端から第2寸法X2の距離だけ離れた位置に至る内側面の領域である。
なお、本実施の形態では、磁石20の径方向Kの幅W1は、約2mm〜15mmの範囲内で形成されており、溝部1Mの径方向Kの幅W2は、約0.05mm〜0.2mmの範囲内で形成される。即ち、ロータコア1の外周面の任意の周方向位置において、磁石20の径方向の幅W1と、溝部1Mの幅W2との比であるR=W1/W2が、10<R<300の範囲内となるように構成される。
なお、上記では、ロータコア1の外周面の任意の周方向位置における比Rとして説明したが、この任意の周方向位置とは、磁石20が配置される範囲内でのロータコア1の外周面の任意の周方向位置である。
このような形状の1枚のコアシート2を複数毎積層することで、ロータコア1の外周面には、各コアシート2の切り欠き部2Kから構成される溝部1Mが8つ形成される。それぞれの溝部1Mがロータ100を用いた回転電機102における1極分に相当する。
また同様に、各コアシート2の頂点2Tからロータコア1の頂点1Tが形成され、各コアシート2の中空穴2Aからロータコア1の中空穴1Aが形成される。
図5は、本発明の実施の形態1によるロータ100の製造工程において、プレス機によるプレス抜きによりコアシート2を得る第1工程を示す、プレス機と各コアシート2の横断面図である。
図6は、図5に示す第1工程において、プレス抜きされた複数のコアシート2を上方から見た上面図である。
図7は、プレス抜きされて、2枚以上積層されたコアシート2同士を整列してロータコア1を得る第2工程を示す、コアシート2の横断面図である。
図8は、図7に示す第2工程を上方から見た上面図である。
図9は、ロータコア1にシャフト3を挿入する第3工程を示す、ロータコア1とシャフト3の横断面図である。
図10は、シャフト3を装着したロータコア1の外周面に磁石20を接着する第4工程を示す、ロータコア1と磁石20の横断面図である。
図11は、図10に示す第4工程を上方から見た上面図である。
ロータ100の製造工程は、主に上記各図に示した4工程からなる。
薄板状の金属シートを、8角形状等の所定の形状になるように、プレス機における金型30の上型30Uと下型30Dとでプレス抜きしてコアシート2を形成する。プレス抜きされた各コアシート2の外周面には、前述した切り欠き部2Kが形成される。
連続して金属シートをプレス抜きすることで、金型30の内部、あるいは、金型30の下型30Dの直下に位置するホルダ31上にコアシート2が積層される。図5、図6に示すように、各コアシート2の中空穴2A内に、ホルダ31が有するガイドピン31Pが挿入される形で、ホルダ31上にコアシート2が積層される。
先ず、コアシート2をプレス機から排出する。そして、それぞれのコアシート2に形成された切り欠き部2Kの周方向Sの位置が一致するように、積層されたコアシート2を治具32A、32Bにより整列させる。こうして得られたロータコア1の外周面には、各コアシート2の切り欠き部2Kから構成される、ロータコア1の軸方向Gに延在する溝部1Mが形成される。
ロータコア1の姿勢と、隣り合うコアシート2同士の位置とがずれないように治具32A、32Bにより抑えた状態で、ロータコア1の中空穴1A内にシャフト3を挿入する。シャフト3は、圧入、焼き嵌め、あるいは、接着、等の方法によりロータコア1の中空穴1A内において固定される。
先ず、磁石20に接着剤Zを塗布する。磁石20への接着剤Zの塗布については図示しないが、磁石20の内側面が水平になるように磁石20を倒した状態でディスペンサ等を用いて磁石20の内側面に塗布する。この時、溝部1M内全域において確実に接着剤Zが充填されるように、磁石20の内側面において周方向Sの中央側の溝部1Mに対向する箇所より広めに塗布するとよい。
ロータコア1へ磁石20を貼り付ける際は、図10に示すように、磁石20の内側面がロータコア1の外周面に対向するように、治具33により磁石20を垂直に起こす。
接着剤Zには、直ぐに垂れ落ちない程度の粘度を有するものを使用することで、磁石20を垂直に起こしてからロータコア1に貼り付けるまでに接着剤Zが垂れて落下することを防止できる。
なお、塗布する接着剤Zの量は、溝部1Mの容量に応じて調節を行う。
このとき、図2に示すように、各磁石20の周方向一端の第1寸法分X1の内側面が、ロータコア1の外周面における第1支持箇所1S1にて径方向内側K1から支持される。また、磁石20の周方向他端の第2寸法X2分の内側面が、ロータコア1の外周面における第2支持箇所1S2にて径方向内側K1から支持される。
なお、溝部1M内からはみ出た接着剤Zについては、必要に応じて拭き取り作業を行う。
また、ロータ100の外周面の第2支持箇所1S2と、磁石20の内側面の他端とは当接しているため、当該当接箇所において接着層10は介在していない、あるいは、溝部1Mからはみ出た接着剤Zによる10μm程度の非常に薄膜の接着層が形成される。
以上に示した第1工程〜第4工程を経て、ロータ100が製造される。
シャフト3を装着する前に、ロータコア1の積層間を固定することで、工程間の取り扱いが簡便となり、シャフト3の装着によるコアシート2間の位置ずれ等が抑制できるといった効果を得られる。
また、磁石20の着磁については、着磁済みの磁石20を貼り付けても良いし、接着層10が硬化した後に、着磁する工程を設けても良い。
また、接着剤Zの種類については、例えばアクリル系で主剤と硬化剤の2液混合による常温硬化式の接着剤等が挙げられる。
図13は、図12に示す回転電機102を軸方向Gに対して垂直に分割した断面図である。
図13に示すように、回転電機102は、ロータ100と、ステータ101と、筐体9とから構成される。ステータ101の中空部分に、ロータ100がステータ101と同軸上になるように配置されて、筐体9内に収納される。
ステータ101はステータコア6を備える。ステータコア6は、円環状のバックヨーク部6Aと、バックヨーク部6Aから磁極毎に径方向内側K1に延びるティース部6Bとから構成される。このステータコア6のティース部6Bにはコイル7が巻装される。
コイル7によりステータコア6に発生する磁界と、ロータ100の磁石20による磁界とが吸引、あるいは、反発し合うことで回転電機102が駆動する。
図14は、溝部1M内に、余分な接着剤Zを吸収する凹部1Dを備えた構成のロータ100を示す断面図である。凹部1Dの軸方向Gに垂直な断面は矩形状である。
図15は、溝部1M内に複数の凹部1Dを備えた構成のロータ100を示す断面図である。凹部1Dの軸方向Gに垂直な断面は三角形状であり、これにより溝部1Mの断面形状はジグザグ形状となる。
なお上記図14、図15に示したように、凹部1Dは、軸方向Gに垂直な断面が矩形状あるいは三角形状に限定するものではなく、例えば軸方向Gに垂直な断面が円弧形状でもよい。
なお、周方向Sに隣り合う磁石20間における、ロータ100の回転に寄与しない漏れ磁束を抑制するため、位置決め部1P間には空隙Jを設けるとよい。
また、図16では、各磁石20の周方向Sの両端に位置決め部1Pを形成した例を示したが、各磁石20の周方向Sの一端にのみ位置決め部1Pを形成してもよい。
図18は、10個の頂点1Tを有する十角形状の十極のロータ100を示す図である。
図1に示したロータ100は、ロータ100を構成するコアシート2の外周面の形状が8角形であるため、8極構成としている。しかしながら、上記図17に示すような6角形であるコアシート2により構成される6極のロータ100、あるいは、上記図18に示すような10角形であるコアシート2により構成される10極のロータ100であってもよい。即ち、2n角形(nは1以上の整数)であるコアシート2により構成された2n極のロータ100であればよい。この場合でも、各溝部1Mと磁石20は上記と同様に形成可能である。
そして、磁石20の周方向Sの一端の第1寸法分X1の内側面が、ロータコア1の外周面における第1支持箇所1S1にて当接する。そして、磁石20の周方向Sの他端の第2寸法分X2の内側面が、ロータコア1の外周面における第2支持箇所1S2にて当接する。
これにより、溝部1M内の接着層10の所定の膜厚を確実に確保できるため、クラック等により接着層10が劣化することを抑止すると共に強固な接着力を確保できる。また、接着層10の膜厚が均一になるため、接着層10と磁石20の接着面の全域で接着強度が均一化する。
従来の溝部を有さない構成のロータでは、接着剤の所定の膜厚を確保するために磁石を押しつける力を数N程度と小さくしていた。しかしながらこのような小さな力では、磁石を押しつける治具と、この治具周辺の構成部品との摩擦、かじり等により磁石を十分に接着剤に押し付けることができず、磁石が完全に固定できないという不良が発生していた。
本実施の形態のロータ100および回転電機102では、磁石20をロータコア1に押し付ける力を増大させて、摩擦やかじり等による影響を十分に小さくできる。これにより磁石20を固定できない不良を低減できる。
このように定義される第1寸法X1と第2寸法X2と溝部1Mの幅Y2との長さの関係は、磁石20とロータコア1との強固な接着力を長期的に確保可能にするものである。
このように、第1寸法X1と、第2支持箇所1S2が磁石20を支持する前記第2寸法X2との合計を、溝部1Mの周方向の幅Yよりも小さく構成することで、第1寸法X1と第2寸法X2を、磁石20を径方向内側K1から支持可能な最低寸法に構成できる。よって、溝部1Mの幅Yを、磁石20の周方向Sの範囲内で可能な限り長く確保できる。
この効果について、以下にて図を用いて説明する。
図19は、ヒートサイクルを100サイクル行った後に、ロータコアの外周面に接着された磁石Qを引き剥がした際の接着剤の剥離面を、磁石Qの内側面側から撮影した実験写真に基づく図である。
図20は、ヒートサイクルを300サイクル行った後に、ロータコアの外周面に接着された磁石Qを引き剥がした際の接着剤の剥離面を、磁石Qの内側面側から撮影した実験写真に基づく図である。
また、右下がりの斜線のハッチングで示す箇所H2が、磁石Qを引き剥がした際に、接着剤とロータコアとの間で界面剥離が生じた箇所、即ち、接着強度が弱い箇所である。
そのため、溝部1Mの幅Yを磁石20の周方向Sの範囲内で可能な限り長く形成して、溝部1M内に充填される接着層10の幅Yを長く確保することで、接着層10の周方向Sの両端から生じる接着強度の低下が、周方向Sの中央部まで進展することを遅らせることができる。また、接着層10の幅Yを長くとることで、膨張、収縮などの熱歪の吸収率を高くすることができる。
こうして、繰り返し付加される遠心力と熱応力に対して、磁石20とロータコア1との強固な接着力を長期的に確保できる。
この比Rは、磁石20の大きさおよび重量に応じた接着層10の接着強度に対する信頼性を確保できる最適な接着層10の膜厚を実現するものである。そして、当該ロータ100を搭載した回転電機102を使用する際に発生する日間、年間のヒートサイクル、等の情報に基づき得た値である。こうして、磁石20の大きさおよび重量に応じた接着層10の膜厚を確保することで、磁石20とロータコア1とのより強固な接着力をより長期的に確保できる。
これにより、溝部1M内に充填された接着剤Zの量が多い場合でも、接着剤が溝部1Mから磁石20の周囲に渡ってはみ出すことを抑制できる。こうして、前述の第4工程において必要に応じて行った、はみ出た接着剤の拭き取り工程を省略できる。
このように、複数の凹部1Dを設けることで、接着層10と溝部1Mの内壁との接触面積を多くして摩擦力を増大させることができる。こうして、接着層10とロータコア1の溝部1Mとの接着力を強固にできる。
これにより、磁石20の周方向Sの位置ズレに起因するコギングトルクを抑制することができる。
ロータコア1の頂点1T間には溝部1Mが1箇所形成されているため、1極分の磁石20に対して1つの溝部1Mが対応する。そのため、全極分の磁石20に対して、強固な接着力を確保できる。
このように、プレス抜きにより切り欠き部2Kを各コアシート2に形成するため、切り欠き部2Kを形成するための工程を追加する必要がない。これにより、加工費、償却費等が増加せずコスト安となる。
更に、プレス抜きにより切り欠き部2Kを形成するため、溝部1Mの周方向Sの幅W1、および溝の径方向Kの幅W2のバラツキが±0.01mm程度となり、精度良く溝部1Mを形成できる。
また、ロータコアの外周面において研削加工等を施す必要がないため、加工費を削減できる。また研削加工等に比較して、溝部1Mの形状の加工精度が高い。
このように、本実施の形態では、接着強度と接着信頼性を確保するため、溝部1Mの径方向Kの幅W2をプレス加工精度を活用して厳密に規定している。
以下、本発明の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図21、図22、図23は、本発明の実施の形態2によるロータ200を、軸方向Gに対して垂直に分割した断面図である。
その他の構成は、実施の形態1のロータ100と同様であり、磁石20の周方向一端の第1寸法分X1の内側面が、ロータコア201の外周面における第1支持箇所1S1にて当接するように形成される。また、磁石20の周方向他端の第2寸法分X2の内側面が、ロータコア201の外周面における第2支持箇所1S2にて当接するように形成される。
これにより、溝部201Mの周方向Sの両端部における径方向Kの幅W2Eは、溝部201Mの周方向Sの中央部における径方向Kの幅W2Cよりも大きく構成される。
これにより、溝部201Mの周方向Sの中央部における径方向Kの幅W2Cが、溝部201Mの周方向Sの両端部における径方向Kの幅W2Eよりも大きく構成される。
以下、外周面の形状が異なる、円形状のロータ200Aの構成例について説明する。
図24は、外周面が円形状のロータ200Aを示す斜視図である。
図25は、図24に示すロータ200Aを、軸方向Gに対して垂直に分割した断面図である。
図26は、図24および図25とは溝部201MAの形状が異なる構成のロータ200Aを示す図である。
これにより、溝部201Mの周方向Sの径方向Kの幅W2は、周方向Sの全域に渡って均一となる。
これにより、溝部201MAの周方向Sの中央部における径方向Kの幅W2Cが、溝部201Mの周方向Sの両端部における径方向Kの幅W2Eよりも大きく構成される。
このように、接着層10の膜厚を周方向Sの両端ほど厚くなるように構成することで、周方向Sの両端において生じるクラックの発生を効果的に抑制できる。また、接着層10の膜厚を周方向Sの中央部では薄くすることで、各溝部201Mにおいて使用する接着剤Zの使用量を減らし、コストの削減が可能である。
このように、周方向Sにおいて溝部201Mの径方向Kの幅を変化させることで、コストの削減と、接着層10の劣化の抑制の両立が可能となる。
このように、接着層10の膜厚を周方向Sの中央部ほど厚くなるように構成することで、接着層10の周方向Sの両端においてクラックが生じたとしても、膜厚が厚い周方向Sの中央部において当該クラックが進行することを抑制することができる。
また、接着層10の膜厚を周方向Sの両端部では薄くすることで、各溝部201Mにおいて使用する接着剤Zの使用量を減らし、コストの削減が可能である。
このように、周方向Sにおいて溝部201Mの径方向Kの幅を変化させることで、コストの削減と、接着層10の劣化の抑制の両立が可能となる。
この効果について、以下にて図を用いて説明する。
図27は、図23に示したロータ200を用いた回転電機において、ステータにより生成され、ロータ200に付加される磁界の磁束Hを示す図である。
なお、本図ではステータの図示は省略している。
一般的に接着層10の透磁率は低く、磁気抵抗が高い。よって、このように磁界が流れる箇所Saにおいて透磁率が低い接着層10の膜厚を薄くすることで、モータ特性を向上させることができる。また、接着剤Zの使用量を減らし、コストの削減が可能である。
更に、接着層10の周方向Sの両端の膜厚を厚くしているため、周方向Sの両端において生じるクラックの発生を効果的に抑制できる。
このように、周方向Sにおいて溝部1Mの径方向Kの幅を変化させることで、モータ特性の向上と、コストの削減と、接着層10の劣化の抑制と、の全てが可能となる。
このように、接着層10の膜厚を周方向Sの中央部ほど厚くなるように構成することで、接着層10の周方向Sの両端においてクラックが生じたとしても、膜厚が厚い周方向Sの中央部まで当該クラックが進行することを遅らせることができる。
また、接着層10の膜厚を周方向Sの両端部では薄くすることで、各溝部201MAにおいて使用する接着剤Zの使用量を減らし、コストの削減が可能である。
このように、周方向Sにおいて溝部201Mの径方向Kの幅を変化させることで、コストの削減と、接着層10の劣化の抑制の両立が可能となる。
以下、本発明の実施の形態3を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図28は、本発明の実施の形態3によるロータ300を、軸方向Gに対して垂直に分割した断面図である。
本実施の形態のロータ300は、溝部301M、301M1、301M2の形状が実施の形態1に示した溝部1Mと異なる構成にて形成される。
また、ロータコア301の外周面における第1支持箇所1S1の第1寸法X1と、第2支持箇所1S2の第2寸法X2と、突設部311の第3寸法X3との合計は、分割して形成された溝部301M1の周方向Sの幅Y1と、溝部301M2の周方向Sの幅Y2の合計よりも小さく形成される。
また、溝部301M1と溝部301M2のそれぞれに接着剤Zが充填されており、それぞれに接着層310が形成される。
このように、第1寸法X1と第2寸法X2と第3寸法X3とを、磁石20を径方向内側K1から支持可能な最低寸法に構成する。こうして溝部301Mの幅を長くして、磁石20との十分な接着面積を確保しつつ、前述した磁石20の反りを抑止できる。
以下、本発明の実施の形態4を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図29は、本発明の実施の形態1によるロータ400を示す斜視図である。
図30は、図29に示すロータ400と異なる構成のロータ400Aを示す斜視図である。
本実施の形態のロータ400は、1極当たりに2つの磁石420、420U、420Dを備える。同様にロータ400Aも、1極当たりに2つの磁石421、421U、421Dを備える。
ロータ400の磁石420は、上方に配置される磁石420Uと、下方に配置される磁石420Dの2個を備える。同様に、ロータ400Aの磁石421は、上方に配置される磁石421Uと、下方に配置される磁石421Dの2個を備える。
また、図30に示すロータ400の場合は、ロータコア1に形成されている溝部1Mが、軸方向Gに一定間隔で、周方向Sにオフセットされており、併せて磁石421U、磁石421Dも同じ分だけ互いにオフセットされて固定される。即ち、2段に構成された磁石421Uと磁石421Dの段間において、周方向Sに段スキュー角が設けられた段スキュー構造となる。
更に、図30に示すロータ400Aでは、2段に構成された磁石421Uと、磁石421Dとの段間に段スキュー角を設けた段スキュー構造とすることで、コギングトルクやトルクリップルをさらに低減できる。
また、このようなp段整数の構成のロータにおいて段スキュー構成とする場合は、複数段に構成された磁石の段間のそれぞれに、段スキュー角が設けられていればよい。
しかしながらロータ400Aの場合は、積層されたコアシート2同士を整列してロータコア1を得る第2工程において、積層されたコアシート2を整列する際に、積層方向の一定間隔で溝部1Mが周方向Sにオフセットするように整列させる。そして磁石421の段間に段スキュー角が設けられるように整列する点が実施の形態1と異なる。
また、ロータ400Aのロータコア1の外周面に磁石421を接着する第4工程においては、磁石421Uと磁石421Dとが段スキュー構成となるように、周方向Sにオフセットさせて固定する。そして磁石421Uと磁石420Dとが互いに段スキュー角を有するように固定する点が実施の形態1と異なる。
以下、本発明の実施の形態5を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図31は、本発明の実施の形態5によるロータ500を示す斜視図である。
図32は、図31に示したロータ500を、軸方向に対して並行に分割した断面図である。
図33は、ロータ500を構成する端部板508を示す斜視図である。
図33に示す端部板508の外周面は、例えば図2に示すロータコア1の溝部1Mに接着層10が形成された状態のロータコア1と同形状に形成される。こうして端部板508は、8つの頂点508Tを有する8角形状となる。また、端部板508は、シャフト3を挿入可能な中空穴508Aを備える。
よって、端部板508をロータコア1の軸方向Gの両端部にそれぞれ設けることで、端部板508が、ロータコア1の溝部1Mの軸方向Gの両端を封止する構成となる。
こうして、図32に示すように、端部板508は、溝部1Mの軸方向Gの両端の端部内壁1MEを形成する。
このように、溝部1Mの軸方向Gの幅Vは、磁石20の軸方向Gの幅よりも第4寸法X4分小さく形成される。そして、磁石20の軸方向Gの第4寸法X4分の内側面が、端部板508の外周面における第3支持箇所1S3にて当接する構成となる。
コアシート2を形成する第1工程においては、新たに端部板508を形成する作業が追加される。
また、積層されたコアシート2同士を整列してロータコア1を得る第2工程においては、積層されたコアシート2と端部板508とを整列してロータコア1を形成する。
前述したように溝部1M内の接着層10は四方を封止される構成となるため、この第4工程において磁石20がロータコア1に押し付けられると、溝部1M内で接着層10が押圧される。硬化前の接着層10は流動性を持つため、このような磁石20による押圧により、接着層10が内封するボイドが押圧され、接着層10内を移動して接着層10外へ排出される。排出された気体は、例えばコアシート2間、端部板508と磁石20との間、を通ってロータコア1の外部に排出される。
また、端部板508は、ロータコア1の溝部1Mに接着剤Zが充填された状態のロータコア1と外周面が同形状に形成されたものを示したが、これに限定するものではない。端部板508の形状は、溝部1Mの軸方向Gの両端を封止できるような形状を備えるものであればよい。
また、端部板508は、コアシート2のように電磁鋼板等の磁性材料から形成してもよいし、あるいは非磁性材料から形成してもよい。
20,220A,420,420U,420D,421,421U,421D 磁石、
1M,201M,201MA,301M,301M1,301M2 溝部、
10,310 接着層、508 端部板、
100,200,300,400,400A,500 ロータ、102 回転電機、
2K 切り欠き部、2T 頂点、Z 接着剤、1S1 第1支持箇所、
1S2 第2支持箇所、1S3 第3支持箇所。
Claims (19)
- ロータコアと、前記ロータコアの外周面に周方向に間隔を隔てて設置された複数の磁石とを備えたロータにおいて、
前記磁石の径方向内側の内側面は、
前記磁石の周方向一端の第1寸法分の前記内側面が、前記ロータコアの外周面における第1支持箇所にて当接すると共に、前記磁石の周方向他端の第2寸法分の前記内側面が、前記ロータコアの外周面における第2支持箇所にて当接し、
前記ロータコアの外周面には、周方向における前記第1支持箇所と前記第2支持箇所との間に、径方向に窪み、軸方向に延在する溝部が形成され、
前記第1寸法と前記第2寸法との合計は、前記溝部の周方向の幅よりも小さく形成され、前記磁石の前記内側面と前記ロータコアとを接着する接着層が、前記溝部に形成された、ロータ。 - 前記第1寸法と前記第2寸法とが同じ長さに構成された、
請求項1に記載のロータ。 - 前記溝部の周方向両端部における径方向の幅が、前記溝部の周方向中央部における径方向の幅よりも大きく構成された、
請求項1または請求項2に記載のロータ。 - 前記溝部の周方向中央部における径方向の幅が、前記溝部の周方向両端部における径方向の幅よりも大きく構成された、
請求項1または請求項2に記載のロータ。 - 前記溝部の周方向中央部と周方向両端部との間の箇所おける径方向の幅が、前記溝部の周方向中央部および周方向両端部における径方向の幅よりも小さい、
請求項1または請求項2に記載のロータ。 - 前記溝部は、該溝部内に、径方向外側に突出して前記磁石の前記内側面に第3寸法分の周方向の幅を持って当接する突設部を備え、該突設部は前記溝部を周方向に分割し、
前記第1寸法と前記第2寸法と前記第3寸法との合計が、分割された各前記溝部の周方向の幅の合計よりも小さい、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記溝部は、該溝部を形成する内壁に凹部を備えた、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記溝部は、該溝部を形成する内壁に複数の前記凹部を備えた、
請求項7に記載のロータ。 - 前記ロータコアの外周面には、前記磁石の周方向端部と当接するように径方向外側に突出する位置決め部が形成された、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記ロータコアは、該ロータコアの軸方向両端にそれぞれ設けられる端部板を備え、
前記端部板は、前記溝部の軸方向両端を封止して前記溝部の軸方向両端の端部内壁を形成し、
前記溝部の軸方向の幅は、前記磁石の軸方向の幅よりも第4寸法分小さく形成され、
前記磁石の軸方向の前記第4寸法分の前記内側面は、前記端部板の外周面における第3支持箇所にて当接し、
前記溝部内に形成された前記接着層は、前記磁石の前記内側面と、前記溝部の内壁と、前記溝部の前記端部内壁とによって封止された、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記端部板の外周面は、前記ロータコアの前記溝部に前記接着層が形成された状態の外周面形状と同形状に形成された、
請求項10に記載のロータ。 - 前記ロータコアの外周面は、2n個の頂点を有する2n角形状、但しnは2以上の整数、に形成され、
各前記頂点間に、前記磁石が少なくとも1個配置された、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記ロータコアの外周面は、円形状に形成され、
前記磁石は、前記ロータコアの外周面に周方向に間隔を隔て2n箇所、但しnは1以上の整数、配置された、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記ロータコアの前記溝部の軸方向に垂直な断面において、前記溝部の径方向内側の内側面は、円の一部をなす弧形状である、
請求項12に記載のロータ。 - 前記磁石が、軸方向に対して複数段に構成され、
前記磁石の段間のそれぞれに、周方向に段スキュー角が設けられた、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記ロータコアの外周面の所定の周方向位置における、前記磁石の径方向の幅W1と、前記溝部の径方向の幅W2との比であるR=W1/W2が、10<R<300の範囲内となるように構成された、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記ロータコアは、金属シートから形成されたコアシートを複数毎積層して形成されたものであり、
各前記コアシートは、該コアシートの外周面に周方向に間隔を隔てて設けられ、前記ロータコアの前記溝部を構成する切り欠き部が形成された、
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のロータ。 - 請求項10または請求項11に記載のロータを用いたロータの製造方法において、
前記溝部内に形成された前記接着層を、前記磁石によって径方向内側に押圧して封止する工程を備えた、
ロータの製造方法。 - 請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータと同軸上に配置されたステータとを備えた回転電機。
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