JP7325645B2 - 回転電機および回転電機の製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、磁石量を低減して低コスト化するために、回転子に組み込む磁石数を半減させたコンシクエントポール型の回転子も用いられている。これは従来構造であれば回転子の周方向に交互に配置された鉄心と磁石のうち、磁石の半数を削減したものである。従来であれば周方向に並べられた磁石は交互に極性を反転させるが、そのうちの片方の方向の極性の磁石を省略している(例えば、特許文献1参照)。
鉄心の穴部に磁石を組み込むためには、磁石の外寸よりも穴部の内寸の方が大きくなければならない。
以下、図面に基づいて実施の形態1について説明する。なお、各図面において、同一符号は同一あるいは相当部分を示す。
なお、本願において、特に断りなく「軸方向」、「周方向」、「径方向」、「内周側」、「外周側」、「内周面」、「外周面」、「内径側」、「外径側」と記載された場合は、それぞれ回転子の「軸方向」、「周方向」、「径方向」、「内周側」、「外周側」、「内周面」、「外周面」、「内径側」、「外径側」を示すものとする。
実施の形態1による回転電機100の回転子鉄心60は、最も内周側で回転軸65に嵌合される円環状の環状部61と、最も外周側に配置され、永久磁石8を周方向の両側面から挟みこむ扇状部62と、環状部61と扇状部62とを連結する連結部63とを有している。また、扇状部62は磁極を構成する。周方向に扇状部62が間隔(空隙)を隔てて設けられており、それらの間隔(空隙)の一箇所おきに永久磁石8が組み込まれている。したがって、それらの間隔(空隙)の半数の1か所おきの間隔(空隙)が永久磁石8を配置するための磁石配置部となる。よって扇状部62の数は永久磁石8の2倍となる。
回転子6に発生する回転トルクは回転軸65を介して外部に出力されるため、環状部61と回転軸65とは、回転トルクに耐えるよう強固に固定する必要がある。固定方法として圧入、溶接あるいは、回り止めのキーを組み込むといった手段が取られている。
連結部63の内径側の一端は環状部61に繋がっており、外径側の他端は第1の扇状部62aの周方向側面に連結されている。第1の扇状部62aは、2面の周方向側面を有している。それらの周方向側面のうち、図1では、連結部63の外径側の他端は、永久磁石8が配置されていない方の第1の扇状部62a側面(永久磁石8が配置されている面以外の第1の扇状部62a側面)の内周端を除いた箇所(内周端以外の部分)につながっている。
一方、回転電機100のトルクは、固定子3と回転子6の磁極間で発生し、それを回転軸65から外部に取り出す。したがって、回転軸65に対して扇状部62にトルクが作用するため、両者をつないでいる連結部63にはそのトルクに耐える強度が必要である。また、回転時には扇状部62および永久磁石8に遠心力が生じ、連結部63でそれを支持する必要もある。連結部63がこれらの荷重に耐えるには連結部63を短く、太くすることが望ましい。
以上のように、連結部63に対する磁気的に望ましい形状と、機械的に望ましい形状はトレードオフの関係にある。
周方向に隣接する全ての扇状部62間に永久磁石8が配置されている場合には、連結部63を配置する場所は扇状部62の内周端しかない。しかし、実施の形態1による回転電機100の回転子6では、扇状部62間の1箇所おきに永久磁石8が配置されているので、扇状部62の周方向側面のうち永久磁石8の配置されていない面内であれば内周端以外にも連結部63を配置することができる。
まず、図4Aに示すように、環状部61、扇状部62、連結部63を備えた積層体64である第1の積層体64aを準備する。実施の形態1では、第1の積層体64aとこの第1の積層体64aと同一形状を有する第2の積層体64bを組み合わせて回転子鉄心60を形成する。第1の積層体64aと第2の積層体64bは、図3で説明したように、それぞれ第1の扇状部62aと第2の扇状部62bとを備えている。
次に、図4Bに示すように、第1の積層体64aに永久磁石8を取り付ける。具体的には、第1の積層体64aの扇状部62の周方向側面の所定の方向、ここでは上面からみて時計回りの方向の片側側面に扇状部62と同数の永久磁石8を配置する。
これにより、第1の積層体64aの扇状部62と第2の積層体64bの扇状部62によって、永久磁石8の周方向両側が挟まれる状態となる。このとき、第2の積層体64bの扇状部62と永久磁石8との間も、第1の積層体64aの場合と同様に接着または磁気吸引力により固定する。
図5は、実施の形態1による回転子の変形例を示す斜視図である。図4Aから図4Eにおいては、永久磁石8と扇状部62との固定を両者の接着等によるものを示したが、図5に示すように、扇状部62の外周端に磁石保持爪67を設け、永久磁石8の径方向の位置決め、または回転電機100の動作時に永久磁石8に作用する遠心力の支持に用いてもよい。
第1の積層体64aおよび第2の積層体64bを組み合わせた後、周方向に並んだ扇状部62間の永久磁石8が配置されていない空隙(扇状部62における永久磁石8が配置された側面とは反対側の周方向側面)に回転方向保持部材68を配置する。図7に示すように、回転方向保持部材68は、隣接する扇状部62間に設けられ、扇状部62における永久磁石8が配置された周方向の片側側面とは反対側の周方向側面に取り付けられる。実施の形態1の回転電機100の回転子6では、回転方向保持部材68により、永久磁石8と扇状部62とを接着する際に接着面を押さえること、第1の積層体64aおよび第2の積層体64bである積層体64同士の回転方向を固定することができる。回転方向保持部材68は、非磁性体の素材により形成されており、例えば樹脂等を含んでいる。
実施の形態1の回転電機100の回転子6においては、永久磁石8と回転子鉄心60とを接着する場合に、磁石配置部に永久磁石8を挿入するのではなく、接着面を押し付ける方向に永久磁石8を組み付けることができる。そのため、磁極面と回転子鉄心60との隙間を可能な限り少なくすることと、十分な接着強度の確保との両立が可能である。
これに対し、実施の形態1による回転電機100の回転子6は、永久磁石8を組み込み時に永久磁石8を滑らせる必要がないため、組み込み易くかつ永久磁石8が損傷する恐れも少ない。
図8Aおよび図8Bは、実施の形態2による回転子の組み立て工程を示す斜視図である。
以下、実施の形態2による回転電機100について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態2において、第1の積層体64aおよび第2の積層体64bに関しては、環状部61、扇状部62、連結部63をそれぞれ有すること、およびそれに含まれる扇状部62がそれぞれ回転子6の極数の半数であることは、実施の形態1と同じである。また、永久磁石8の周方向の両面に接する扇状部62が、それぞれ異なる積層体64の部材である構成も実施の形態1と同じである。
まず図8Aに示すように、第1の積層体64a、第2の積層体64bおよび永久磁石8を実施の形態1で説明したように組み立てることによって積層体セット69を形成する。このとき、第1の積層体64a、第2の積層体64bの扇状部62の高さH1は、回転子鉄心60の高さの1/2である。
また、図8Aおよび図8Bの説明では永久磁石8は各積層体セット69に合わせて軸方向に2分割されているが、分割なしの1つの永久磁石8を用いて部品数を減らすことも可能である。
図9Aおよび図9Bは、実施の形態2による回転子の組み立て工程の変形例を示す斜視図である。上記の場合はまず、図9Aに示すように、永久磁石8が組み込まれるスペースを広げた状態で第1の積層体64a、第2の積層体64bを軸方向に積み重ねる。次に、図9Bに示すように、1箇所おきの扇状部62の側面に永久磁石8を取り付ける。この後、永久磁石8が接していない方の扇状部62を回転させて永久磁石8に押し付けることで形成される。
実施の形態2による回転電機100によれば、3個以上の積層体64で回転子鉄心60を形成するので、扇状部62の高さ(例えば、図8AのH1、図10のH2+H3)を回転子鉄心60の高さ(例えば、図8BのH、図10のH4+H5+H4)より低くすることができる。その結果、扇状部62の連結部63に繋がっていない部分の高さが抑えられ、上述の強度または精度の問題を解消することができる。
図11および図12は、実施の形態3による回転子の積層体を示す断面模式図である。実施の形態3においても積層体64が環状部61、扇状部62、連結部63を有することは実施の形態1で説明したものと同様である。実施の形態3において、実施の形態1と異なるのは環状部61および連結部63の軸方向高さである。
図11に示すように、環状部61と連結部63の軸方向高さH6は同一であり、扇状部62の高さH7の1/2より小さい値である。
実施の形態3では、積層体64においては扇状部62の高さH7の1/2よりも環状部61の高さH6の方が低く、回転子鉄心60として組み立てた後に2つの積層体64の環状部61が軸方向に接することはなく、その間にスペーサ70が配置されている。スペーサ70は非磁性体であり、例えばステンレスまたはアルミニウムなどの金属、または樹脂であり、環状部61と同様に環状である。また、スペーサ70を配置せず、その厚みに相当する空隙を設けてもよい。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
Claims (7)
- 複数の薄板を積層して形成され、回転軸に取り付けられた環状部と、前記環状部に支持され、周方向に間隔を隔てて配置された第1の扇状部と、前記第1の扇状部に重ねて積層され、前記複数の薄板間の連結により繋がれた第2の扇状部と、をそれぞれに有する第1の鉄心および第2の鉄心、
前記第1の鉄心の前記第1の扇状部および前記第2の扇状部の周方向の片側側面に取り付けられた磁石、を備え、
前記第2の鉄心が前記第1の鉄心に対向して前記回転軸に取り付けられたことにより、前記第1の鉄心の前記第2の扇状部と前記第2の鉄心の前記第1の扇状部は、周方向に交互に配置され、同一平面内において、前記磁石が配置された周方向の片側側面と反対側の周方向の側面に設けられた連結部によって、一箇所おきに前記第2の鉄心の前記環状部に支持され、
前記磁石は、前記第1の鉄心の前記第1の扇状部、および前記第2の鉄心の前記第1の扇状部において、前記連結部が設けられた周方向の側面には取り付けられていないことを特徴とする回転電機。 - 前記第1の鉄心および前記第2の鉄心の前記環状部は、軸方向に互いに重ねて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記磁石は、複数備えられており、
前記複数の磁石において、同じ極性を有する磁極は全て周方向の一方を向いていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。 - 前記第1の鉄心と周方向に隣接する前記第2の鉄心との間には、非磁性体の部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
- 前記第1の鉄心の前記環状部と、軸方向に隣接する前記第2の鉄心の前記環状部との間には、空隙または非磁性体の部材が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
- 前記第1の鉄心および前記第2の鉄心の前記連結部は、軸方向から見たとき重なっていないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機。
- 複数の薄板を積層して形成され、回転軸に取り付けられる環状部と、前記環状部に支持され、周方向に間隔を隔てて配置された第1の扇状部と、前記第1の扇状部に重ねて積層され、前記複数の薄板間の連結により繋がれた第2の扇状部と、をそれぞれに有する第1の鉄心および第2の鉄心を準備する工程と、
前記第1の鉄心の前記第1の扇状部および前記第2の扇状部の周方向の片側側面に磁石を取り付ける工程と、
前記第2の鉄心を前記第1の鉄心に対向させて軸方向から挿入し、前記第1の鉄心の前記第2の扇状部と前記第2の鉄心の前記第1の扇状部が、周方向に交互に配置されるように組み合わせる工程と、
軸を中心に前記第2の鉄心を回転させて、前記第1の鉄心と前記第2の鉄心に前記磁石を固定する工程と、を備え、
前記第1の鉄心の前記第2の扇状部と前記第2の鉄心の前記第1の扇状部は、同一平面内において、前記磁石が配置された周方向の片側側面と反対側の周方向の側面に設けられた連結部によって、一箇所おきに前記第2の鉄心の前記環状部に支持され、
前記磁石は、前記第1の鉄心の前記第1の扇状部、および前記第2の鉄心の前記第1の扇状部において、前記連結部が設けられた周方向の側面には取り付けられていないことを特徴とする回転電機の製造方法。
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