JP2019083321A - フレキシブル回路基板、その使用方法及び電子機器 - Google Patents

フレキシブル回路基板、その使用方法及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 狭い筐体内でも配線回路の断線や割れを防止し得る、優れた耐折り曲げ性を有するフレキシブル回路基板及びその使用方法を提供する。【解決手段】 フレキシブル回路基板は、ポリイミド絶縁層(A)と、ポリイミド絶縁層(A)の少なくとも一方の面に設けられた回路配線層(B)と、回路配線層(B)に積層されたカバーレイ(C)と、を備え、上面側が略180℃反転して下面側になるように折り曲げる「はぜ折り」によって、0.1〜0.5mmのギャップで折り曲げて使用され、a)ポリイミド絶縁層(A)の厚みが23〜27μmの範囲内である;b)回路配線層(B)を構成する銅配線の厚みが10〜14μmの範囲内であり、かつ銅配線のキューブ比率が85%以上である;及び、c)ポリイミド絶縁層(A)と回路配線層(B)とカバーレイ(C)の合計の厚みが53〜63μmの範囲内である。【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブル回路基板(FPC)に関し、詳しくは、電子機器の筐体内に折り畳んで収納され、使用されるフレキシブル回路基板、その使用方法及び電子機器に関する。
近年、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、ゲーム機などに代表される電子機器は、小型化、薄型化、軽量化が急速に進み、これらに使用される材料に対して、小スペースにおいても部品を収納できる高密度で高性能な材料が望まれるようになっている。フレキシブル回路基板においても、スマートフォン等の高性能小型電子機器の普及に伴い、部品収納の高密度化が進展したため、今まで以上に、より狭い筐体内にフレキシブル回路基板を収納する必要が出てきている。そのためフレキシブル回路基板の材料であるフレキシブル銅張積層板においても材料面からの耐折り曲げ性の向上が求められている。以下、本明細書では、FPCの上面側が略180℃反転して下面側になるように折り曲げることを「はぜ折り」と呼ぶことがある。
このような用途への適用を意図したものとして、特許文献1では、フレキシブル銅張積層板に使用するポリイミドベースフィルムやカバーフィルムの弾性率を制御することによって、フレキシブル回路基板トータルのスティフネス性を低減させることにより、耐折り曲げ性を向上させるという技術が提案されている。しかしながら、ポリイミドやカバーフィルムの特性の制御のみでは、電子機器内に折り畳んで収納するという厳しい屈曲モードに対しては不十分であり、十分な耐折り曲げ性に優れたフレキシブル回路基板を提供できていない。
また、特許文献2では、電子機器内への高密度化の観点から、銅箔側からのアプローチとして、銅箔の結晶粒径サイズに着目して、耐スプリングバック性を抑えた熱処理用銅箔が提案されている。本技術は、銅箔中に種々の適切な添加剤を入れた圧延銅箔を用いて、結晶粒の肥大化に充分な熱量を加えることにより結晶粒径を大きく成長させ、その結果、銅箔の耐スプリングバック性を改良しようという技術である。
しかしながら、スマートフォンに代表される小型電子機器に対しては、狭い筐体内に、FPCをさらに高密度に収納することが要請されている。そのため、前記従来技術だけでは、更なる高密度化の要請に応えることが難しい。
特開2007−208087号公報 特開2010−280191号公報
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、狭い筐体内でも配線回路の断線や割れを防止し得る、優れた耐折り曲げ性を有するフレキシブル回路基板及びその使用方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、フレキシブル回路基板を構成するポリイミド絶縁層の厚みと、回路配線層を構成する銅配線の厚み及びキューブ比率と、フレキシブル回路基板の全体の等価曲げ剛性との関係に着目することで、前記課題を解決し得るフレキシブル回路基板を提供し得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明のフレキシブル回路基板は、ポリイミド絶縁層(A)と、前記ポリイミド絶縁層(A)の少なくとも一方の面に設けられた回路配線層(B)と、前記回路配線層(B)に積層されたカバーレイ(C)と、を備えている。本発明のフレキシブル回路基板は、以下のa〜cの構成:
a)前記ポリイミド絶縁層(A)の厚みが23〜27μmの範囲内であること;
b)前記回路配線層(B)を構成する銅配線の厚みが10〜14μmの範囲内であり、かつ前記銅配線のキューブ比率が85%以上であること;
及び、
c)前記カバーレイ(C)を内側にして折り曲げるときの等価曲げ剛性が0.07〜0.10N・mの範囲内であること;
を有することを特徴とする。
本発明のフレキシブル回路基板は、前記カバーレイ(C)を内側にして折り畳んだ状態で、電子機器の筐体内に収納して使用されるものであってもよい。
本発明の電子機器は、上記フレキシブル回路基板を、前記カバーレイ(C)を内側にして折り畳んだ状態で筐体内に収納したものである。
本発明のフレキシブル回路基板は、配線基板に要求される高い耐折り曲げ性を発現し得ることから、電子機器内に折り曲げた状態での接続信頼性に優れている。従って、本発明のフレキシブル回路基板は、特に、スマートフォン等の小型液晶周りの折り曲げ部分等の耐折り曲げ性が要求される電子部品に好適に用いることができる。
実施例で用いた試験回路基板片の銅配線の様子を示す平面説明図である。 折り曲げ試験での試料ステージと試験回路基板片との様子を示す側面説明図である(試料ステージ上に試験回路基板片を固定した状態図)。 折り曲げ試験での試料ステージと試験回路基板片との様子を示す側面説明図である(試験回路基板片の折り曲げ箇所をローラーで押さえる手前の状態図)。 折り曲げ試験での試料ステージと試験回路基板片との様子を示す側面説明図である(試験回路基板片の折り曲げ箇所をローラーで押さえた状態図)。 折り曲げ試験での試料ステージと試験回路基板片との様子を示す側面説明図である(折り曲げ箇所を開いて試験片を平らな状態に戻した状態図)。 折り曲げ試験での試料ステージと試験回路基板片との様子を示す側面説明図である(折り曲げ箇所の折り目部分をローラーで押さえて均す状態図)。 フレキシブル回路基板の断面説明図(一部)である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<フレキシブル回路基板>
本実施の形態のフレキシブル回路基板は、ポリイミド絶縁層(A)と、ポリイミド絶縁層(A)の片面又は両面に設けられた回路配線層(B)と、回路配線層(B)に積層されたカバーレイ(C)と、を備えている。このフレキシブル回路基板は、例えば、ポリイミド絶縁層と銅箔層とを備えたフレキシブル銅張積層板の銅箔層をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、カバーレイを張り付けることによって作製される。なお、フレキシブル回路基板において、ポリイミド絶縁層(A)の両面に回路配線層(B)が設けられている場合は、折り曲げたときに内側になる回路配線層が、後述する構成bを具備していればよい。この場合、折り曲げたときに内側になる回路配線層を覆うカバーレイが、後述する構成cのカバーレイ(C)に該当する。
<ポリイミド絶縁層(A)>
ポリイミド絶縁層(A)は、その厚みが23〜27μmの範囲内である(構成a)。ポリイミド絶縁層(A)の厚みが23μm未満では、フレキシブル回路基板の等価曲げ剛性が低下し、その耐はぜ折り性が低下することとなり、27μmを超えると、フレキシブル回路基板を折り曲げた際に銅配線に、より応力が加わることとなり、その耐はぜ折り性を低下させてしまう傾向となる。
ポリイミド絶縁層(A)は、市販のポリイミドフィルムをそのまま使用することも可能であるが、絶縁層の厚さや物性のコントロールのしやすさから、ポリアミド酸溶液を銅箔上に直接塗布した後、熱処理により乾燥、硬化する所謂キャスト(塗布)法によるものが好ましい。また、ポリイミド絶縁層(A)は、単層のみから形成されるものでもよいが、ポリイミド絶縁層(A)と回路配線層(B)との接着性等を考慮すると複数層からなるものが好ましい。ポリイミド絶縁層(A)を複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリアミド酸溶液の上に他のポリアミド酸溶液を順次塗布して形成することができる。ポリイミド絶縁層(A)が複数層からなる場合、同一の構成のポリイミド前駆体樹脂を2回以上使用してもよい。
ポリイミド絶縁層(A)について、より詳しく説明する。上述の通り、ポリイミド絶縁層(A)は複数層とすることが好ましいが、その具体例としては、ポリイミド絶縁層(A)を、熱膨張係数30×10−6/K未満の低熱膨張性のポリイミド層(i)と、熱膨張係数30×10−6/K以上の高熱膨張性のポリイミド層(ii)と、を含む積層構造とすることが好ましい。より好ましくは、ポリイミド絶縁層(A)は、低熱膨張性のポリイミド層(i)の少なくとも一方、好ましくはその両側に、高熱膨張性のポリイミド層(ii)を有する積層構造とし、高熱膨張性のポリイミド層(ii)が直接回路配線層(B)と接するようにすることがよい。ここで、「低熱膨張性のポリイミド層(i)」とは、熱膨張係数30×10−6/K未満、好ましくは1×10−6〜25×10−6/Kの範囲内、特に好ましくは3×10−6〜20×10−6/Kの範囲内のポリイミド層をいう。また、「高熱膨張性のポリイミド層(ii)」とは、熱膨張係数30×10−6/K以上のポリイミド層を言い、好ましくは30×10−6〜80×10−6/Kの範囲内、特に好ましくは30×10−6〜70×10−6/Kの範囲内のポリイミド層をいう。このようなポリイミド層は、使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望の熱膨張係数を有するポリイミド層とすることができる。
上記ポリイミド絶縁層(A)を与えるポリアミド酸溶液は、公知のジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下で重合して製造することができる。この際、重合される樹脂粘度は、例えば、500cps以上35,000cps以下の範囲内とすることが好ましい。
ポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては、例えば、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4'-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3'-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノジベンゾフラン、1,5-ジアミノフルオレン、ジベンゾ-p-ジオキシン-2,7-ジアミン、4,4'-ジアミノベンジルなどが挙げられる。
また、ポリイミドの原料として用いられる酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'',4,4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'',4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
上記ジアミン及び酸無水物は、それぞれ1種のみを使用してもよく2種以上を併用することもできる。また、重合に使用される溶媒は、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、1種又は2種以上併用して使用することもできる。
本実施の形態において、熱膨張係数30×10−6/K未満の低熱膨張性のポリイミド層(i)とするには、例えば、原料の酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分としては、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリドを用いることがよく、特に好ましくは、ピロメリット酸二無水物及び2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニルを原料各成分の主成分とするものがよい。
また、熱膨張係数30×10−6/K以上の高熱膨張性のポリイミド層(ii)とするには、例えば、原料の酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分としては、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることがよく、特に好ましくはピロメリット酸二無水物及び2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを原料各成分の主成分とするものがよい。なお、このようにして得られる高熱膨張性のポリイミド層(ii)の好ましいガラス転移温度は、300〜400℃の範囲内である。
また、ポリイミド絶縁層(A)を低熱膨張性のポリイミド層(i)と高熱膨張性のポリイミド層(ii)との積層構造とした場合、好ましくは、低熱膨張性のポリイミド層(i)と高熱膨張性のポリイミド層(ii)との厚み比(低熱膨張性のポリイミド層(i)/高熱膨張性のポリイミド層(ii))が2〜15の範囲内であるのがよい。この比の値が、2に満たないとポリイミド絶縁層(A)全体に対する低熱膨張性のポリイミド層(i)が薄くなるため、ポリイミドフィルムの寸法特性の制御が困難となり、銅箔をエッチングして回路配線層(B)を形成した際の寸法変化率が大きくなり、15を超えると高熱膨張性のポリイミド層(ii)が薄くなるため、ポリイミド絶縁層(A)と回路配線層(B)との接着信頼性が低下する。
<回路配線層(B)>
本実施の形態のフレキシブル回路基板において、回路配線層(B)は、例えば銅箔を原料とする銅配線により構成される。回路配線層(B)を構成する銅配線の厚みは、10〜14μmの範囲内であり、かつ銅配線のキューブ比率は85%以上である(構成b)。回路配線層(B)を構成する銅配線の厚みが10μm未満では、銅張積層板の剛性が低下し、フレキシブル回路基板を製造する際のハンドリングが悪化する傾向となり、14μmを超えるとフレキシブル回路基板を折り曲げた際に銅配線に加わる応力が大きくなることによって耐はぜ折り性が低下する傾向となる。また、回路配線層(B)を構成する銅配線のキューブ比率が85%未満では、銅配線の結晶粒毎の異方性が高くなり、折り曲げ時に微視的な応力集中が発生することで耐はぜ折り性が低下する傾向となる。
ここで、キューブ比率とは、銅配線を構成する銅の所定の面が結晶方位<200>に配向している面積率を表す指標である。キューブ比率は、後記実施例に示すように、EBSD(Electron Back Scattering Diffraction)法により確認することができる。回路配線層(B)の原料の銅箔は、フレキシブル回路基板の製造時に十分な熱履歴を経ることによってアニールが進行する結果、回路配線層(B)に加工された段階で、キューブ比率が上記範囲内になるものであることが必要である。
本実施の形態のフレキシブル回路基板において、回路配線層(B)に使用する銅箔は、上記特性を充足するものであれば特に限定されるものではなく、市販されている銅箔を用いることができる。その具体例としては、JX日鉱日石金属株式会社製のHA箔などが挙げられる。
<カバーレイ(C)>
本実施の形態のフレキシブル回路基板において、カバーレイ(C)は、厚みが27.5μmであり、弾性率が2.0〜3.5GPaの範囲内のものを用いることが好ましい。このようなカバーレイ(C)としては、市販品を用いることができる。その具体例としては、有沢製作所社製、CEA0515(商品名)などが挙げられる。
<全体厚み>
本実施の形態のフレキシブル回路基板は、その全体の厚み[つまり、ポリイミド絶縁層(A)と回路配線層(B)とカバーレイ(C)の合計の厚み]が53〜63μmの範囲内が良い。フレキシブル回路基板の全体の厚みが53μm未満では、フレキシブル回路基板の等価曲げ剛性が低下し、その耐はぜ折り性が低下する傾向となり、63を超えると、フレキシブル回路基板を折り曲げた際に銅配線に、より応力が加わることとなり、その耐はぜ折り性が低下させることがある。
<フレキシブル回路基板の等価曲げ剛性>
本実施の形態のフレキシブル回路基板は、カバーレイ(C)を内側にして折り曲げるときの等価曲げ剛性は、例えば0.07〜0.10N・mの範囲内である(構成c)。等価曲げ剛性は、0.07〜0.09N・mの範囲内が好ましい。フレキシブル回路基板の等価曲げ剛性が、上記範囲から外れると耐はぜ折り性が低下する。
以下、本実施の形態のフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性について説明する。まず、フレキシブル回路基板の中立面位置の計算方法について、図7を参照して詳しく説明する。図7は、中立面位置の計算方法の説明に使用する積層体のモデルの断面図である。図7には、便宜上、積層体が2層であるモデルを示しているが、以下の説明は、積層体が2層以上である場合の全般に当てはまる。ここで、積層体の層の数をn(nは2以上の整数)とする。また、この積層体を構成する各層のうち下から数えてi番目(i=1,2,・・・,n)の層を第i番目と呼ぶ。図7において、符号Bは、積層体の幅を表している。なお、ここでいう幅とは、第1層の下面に平行で、積層体の長手方向に垂直な方向の寸法である。
本実施の形態におけるフレキシブル回路基板は、上記のポリイミド絶縁層(A)と回路配線層(B)とカバーレイ(C)により構成されるが、カバーレイ(C)を除いた状態を回路配線層(B)側から見たときに、銅配線51が存在する部分と、銅配線51が存在しない部分とがある。ここで、銅配線51が存在する部分を配線部(Line)と呼び、銅配線51が存在しない部分をスペース部(Space)と呼ぶ。配線部とスペース部では、構成が異なる。そのため、必要に応じて、配線部とスペース部とを分けて考える。
[中立面位置の計算]
ここで、第1層の下面を基準面SPとする。以下、基準面SPが図7おける下側に凸形状になるように積層体を屈曲させる場合について考える。図7において、符号NPは積層体の中立面を表している。ここで、中立面NPと基準面SPとの距離を中立面位置[NP]とし、この中立面位置[NP]を、配線部とスペース部とで別々に計算する。中立面位置[NP]は、次の式(1)によって算出される。
[NP]=Σi=1 /Σi=1 …(1)
ここで、Eは、第i層を構成する材料の弾性率である。この弾性率Eは、本実施の形態における「各層における応力とひずみの関係」に対応する。Bは、第i層の幅であり、図7に示した幅Bに相当する。配線部の中立面位置[NP]を求める場合には、Bとして線幅LWの値を用い、スペース部の中立面位置[NP]を求める場合には、Bとして線間幅SWの値を用いる。hは、第i層の中央面と基準面SPとの距離である。なお、第i層の中央面とは、第i層の厚み方向の中央に位置する仮想の面である。tは、第i層の厚みである。また、記号“Σi=1 ”は、iが1からnまでの総和を表す。以下、配線部の中立面位置を[NP]Lineと記す。
[等価曲げ剛性の計算]
フレキシブル回路基板全体の曲げ剛性である等価曲げ剛性[BR]は、次の式(2)によって算出される。
[BR]=BLinei=1 (ai −bi )/3}Line
+BSpacei=1 (ai −bi )/3}Space …(2)
ここで、式(2)において、BLineは線幅LWの総和であり、BSpaceは線間隔SWの総和である。また、図7に示したように、aiは第i層の上面と中立面NPとの距離、bは第i層の下面と中立面NPとの距離である。{Σi=1 (ai −bi )/3}Lineは、配線部におけるE(a −b )/3の値の、iが1からnまでの総和である。{Σi=1 (ai −bi )/3}Spaceは、スペース部におけるE(a −b )/3の値の、iが1からnまでの総和である。なお、式(2)に関連するが、第i層に関して、B(a −b )/3は、一般に断面二次モーメントと呼ばれる断面の幾何学的な特性を表すパラメータである。この第i層の断面二次モーメントに第i層の弾性率を掛けた値が第i層の曲げ剛性である。
<フレキシブル銅張積層板の製造>
本実施の形態のフレキシブル回路基板を製造するために用いるフレキシブル銅張積層板は、例えば、回路配線層(B)の原料となる銅箔の表面にポリイミド前駆体樹脂溶液(ポリアミド酸溶液ともいう。)を塗工し、次いで、乾燥、硬化させる熱処理工程を経て製造することができる。熱処理工程における熱処理は、塗工されたポリアミド酸溶液を160℃未満の温度でポリアミド酸中の溶媒を乾燥除去した後、更に、150℃から400℃の温度範囲で段階的に昇温し、硬化させることで行なわれる。このようにして得られた片面フレキシブル銅張積層板を両面銅張積層板とするには、前記片面フレキシブル銅張積層板と、これとは別に準備した銅箔とを300〜400℃にて熱圧着する方法が挙げられる。
<FPC>
本実施の形態のフレキシブル回路基板は、フレキシブル銅張積層板の金属箔を常法によってパターン状に加工して配線層を形成後、カバーレイを貼りつけることによって製造できる。
<FPCの使用方法>
本実施の形態のフレキシブル回路基板は、例えば0.1〜0.5mmの狭いギャップでの屈曲性能の要求が厳しい折り曲げの用途において特に効果を発揮する。すなわち、FPCに1kgの加重を加えることで180°折り曲げ、電子機器の筐体内に折り畳んで収納されて使用することが好適である。
<電子機器>
本発明の一実施の形態に係る電子機器は、電子機器の筐体内に折り畳んで収納されるFPCを有している。電子機器は、例えばスマートフォン、タブレット端末などに代表される携帯用情報通信端末である。電子機器は、例えば金属、合成樹脂等の材質の筐体と、本実施の形態のFPCを備えている。FPCは、電子機器の筐体内に折り畳んで収納されている。電子機器は、耐折り曲げ性に優れ、接続信頼性が高いた本実施の形態のFPCを用いているため、FPCを筐体内に折り畳んで高密度に収納しても、配線回路の断線や割れが発生し難く、製品の信頼性に優れている。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明する。なお、下記の実施例における各特性評価は、以下の方法により行った。
[引張弾性率の測定]
引張弾性率の測定にあたり銅箔に関しては、真空オーブンを用いてフレキシブル銅張積層板の処理工程と同等の熱処理を与えた銅箔を用いた。また、ポリイミド層に関しては、フレキシブル銅張積層板をエッチングして銅箔を完全に除去したポリイミドフィルムを用いた。このようにして得られた材料を、株式会社東洋精機製作所製ストログラフR−1を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張弾性率の値を測定した。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
セイコーインスツルメンツ製のサーモメカニカルアナライザーを使用し、250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。
[表面粗さ(Rz)の測定]
接触式表面粗さ測定機((株)小坂研究所製 SUREF CORDER ET3000)を用いて、銅箔のポリイミド絶縁層との接触面側の表面粗さを測定した。
[銅箔のキューブ比率の測定]
キューブ比率は、銅箔の所定の面が結晶方位<200>に配向している面積率を表す指標である。各実施例の、銅箔の所定の面がどのような結晶方位を有するかについては、EBSD(Electron Back Scattering Diffraction)法により確認した。EBSD法は、測定対象である試料表面に収束電子ビームを照射した際に発生する個々の結晶面から回折される擬菊池線と呼ばれる回折像から結晶を解析し、方位データと測定点の位置情報から測定対象の結晶方位分布を測定する方法であり、X線回折法よりもミクロな領域の集合組織の結晶方位を解析することができる。例えば、個々の微小領域でその結晶方位を特定し、それらをつなぎあわせてマッピングすることができ、各マッピング点間の面方位の傾角(方位差)が一定値以下のものを同色で塗り分け、ほぼ同一の面方位を有する領域(結晶粒)の分布を浮かび上がらせることにより方位マッピング像を得ることができる。また、特定の面方位に対して所定の角度以内の方位を有する方位面を含めてその方位であると規定し、各面方位の存在割合を面積率、つまりキューブ比率を算出することができる。
[はぜ折りの測定(折り曲げ試験)]
銅張積層板の銅箔をエッチング加工し、その長手方向に沿ってライン幅100μm、スペース幅100μmにて長さが40mmの10列の銅配線51を形成した試験片(試験回路基板片)40を作製した(図1)。試験片40における銅配線51のみを表した図1に示したように、その試験片40における10列の銅配線51は、U字部52を介して全て連続して繋がっており、その両端には抵抗値測定用の電極部分(図示外)を設けている。
試験片40を、二つ折りが可能な試料ステージ20及び21上に固定し、抵抗値測定用の配線を接続して、抵抗値のモニタリングを開始した(図2)。折り曲げ試験は、10列の銅配線51に対して、長手方向のちょうど中央部分にて、銅配線51が内側になって向き合うように折り曲げて行った。この際、ウレタン製のローラー22を用いて、折り曲げ箇所40Cに1kgの加重となるように制御しながら、折り曲げた線と並行にローラー22を移動させ、10列の銅配線51を全て折り曲げた後(図3及び図4)、折り曲げ部分を開いて試験片40を平らな状態に戻し(図5)、折り目がついている部分を再度ローラー22にて抑えたまま移動させ(図6)、この一連の工程をもってはぜ折り回数1回とカウントするようにした。このような手順で折り曲げ試験を繰り返し行う間、常時、銅配線51の抵抗値をモニタリングし、所定の抵抗(3000Ω)になった時点を銅配線51の破断と判断し、その時までに繰り返した折り曲げ回数をはぜ折り測定値とした。はぜ折り測定値は、70回以上の場合を「良好」、70回未満を「不可」と評価した。
なお、折り曲げ試験において、最初から折り曲げられた状態の試験片40を用いる場合は、一旦展開して折り曲げを解消させた状態を折り曲げ回数ゼロとし、上記手順で折り曲げ回数をカウントする。
カバーレイA:
有沢製作所社製カバーレイ(商品名;CEA0515、厚み;27.5μm、引張弾性率;3.5GPa)
カバーレイB:
ニッカン工業社製カバーレイ(商品名;CISV1215、厚み;27.5μm、引張弾性率;2.0GPa)
カバーレイC:
有沢製作所社製のカバーレイ(商品名;CMA0515、厚み;27.5μm、引張弾性率;2.6GPa)
カバーレイD:
有沢製作所社製カバーレイ(商品名;CEA0525、厚み;37.5μm、引張弾性率;3.3GPa)
カバーレイE:
ニッカン工業社製のカバーレイ(商品名;CISV1225、厚み;37.5μm、引張弾性率;2.0GPa)
カバーレイF:
有沢製作所社製のカバーレイ(商品名;CMA0525、厚み;37.5μm、引張弾性率;2.3GPa)
実施例、比較例に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法について次に示す。
[ポリアミド酸溶液の合成]
(合成例1)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入して容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が12wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸aから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、55×10−6/Kであった。
(合成例2)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)を投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が15wt%、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸bから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、22×10−6/Kであった。
(実施例1)
表1に示した特性を有し、厚さ12μmで長尺状の市販の銅箔(塗布面の表面粗さRz=0.4μm)上に、合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例2で調製したポリアミド酸bの樹脂溶液を硬化後の厚みが20.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計6分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド樹脂層厚み25μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。前記片面フレキシブル銅張積層板と、これとは別に準備した厚さ12μmで長尺状の市販の銅箔を300〜400℃にて熱圧着することで、キューブ比率が85%以上の銅箔層を有する両面フレキシブル銅張積層板を得た。この両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み27.5μmのカバーレイAを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1、表2に示す。
得られたフレキシブル銅張積層板を構成する銅箔の引張弾性率、ポリイミド層の引張弾性率等の物性値、カバーレイの引張弾性率、フレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。なお、ポリイミド層の評価は製造されたフレキシブル銅張積層板から銅箔をエッチング除去したものを用いた。
ここで、実施例で使用したフレキシブル銅張積層板の等価曲げ剛性[BR]の算出方法について、実施例1を例に具体的な計算手順を説明する。
銅配線が存在する配線部について図7に示すような2層構成を考え、第1層および第2層を構成する材料をそれぞれポリイミドおよび銅とする。表1(実施例1)に示した通り、各層の弾性率はE=7.5GPa、E=18GPa、E=3.5GPa、厚みはt=25μm、t=12μm、t=21.5μmである。また、各層における厚さ方向での中央面と基準面SPとの距離はそれぞれh=12.5μm、h=31μm、h=47.8μmである。これらの値を式(1)に代入すると、先ず、銅配線が存在する配線部での中立面位置(基準面SPと中立面NPとの距離)は[NP]=26.4μmと計算される。次に、各層の上面と中立面NPとの距離がa1=1.387μm、a=10.613μm、a=32.113μm、各層の下面と中立面NPとの距離がb=26.387μm、b=1.387μm、b=10.613とそれぞれ計算される。また、幅Bについては銅配線の単位幅に着目して考え、BLine=1、BSpace=0とし、これらの値と弾性率E、E2、を式(2)に代入すると等価曲げ剛性は[BR]=0.089N・mと算出される。
(実施例2)
実施例1と同様にして、両面フレキシブル銅張積層板を得た。この両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み27.5μmのカバーレイBを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例1)
表1に示した特性を有し、厚さ12μmの銅箔を使用し、ポリイミド層の厚みが25μmの市販されている市販の銅箔と市販のポリイミドフィルムをラミネートロールで張り合わせことで製造された両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み27.5μmのカバーレイAを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例2)
比較例1と同様にして、市販の銅箔と市販のポリイミドフィルムをラミネートロールで張り合わせことで製造された両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み27.5μmのカバーレイBを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例3)
比較例1と同様にして、市販の銅箔と市販のポリイミドフィルムをラミネートロールで張り合わせことで製造された両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み27.5μmのカバーレイCを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例4)
比較例1と同様にして、市販の銅箔と市販のポリイミドフィルムをラミネートロールで張り合わせことで製造された両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み37.5μmのカバーレイDを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例5)
比較例1と同様にして、競市販の銅箔と市販のポリイミドフィルムをラミネートロールで張り合わせことで製造された両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み37.5μmのカバーレイEを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例6)
比較例1と同様にして、市販の銅箔と市販のポリイミドフィルムをラミネートロールで張り合わせことで製造された両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み37.5μmのカバーレイFを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1及び表2に示す。
(比較例7)
実施例1と同様にして、両面フレキシブル銅張積層板を得た。この両面フレキシブル銅張積層板をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成後、厚み37.5μmのカバーレイEを貼り付け、フレキシブル回路基板を得た。得られたフレキシブル回路基板の等価曲げ剛性、耐はぜ折り性の評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2019083321
Figure 2019083321
表1及び表2から、実施例1〜2のフレキシブル回路基板は、いずれも上記構成a〜cを具備することによって、はぜ折り測定値が70回以上と良好な値を示し、耐折り曲げ性が満足できる結果であった。一方、キューブ比率が75.9%である比較例1〜6は耐はぜ折り性が劣っていた。また、構成cを満たしていない比較例7の耐はぜ折り性も劣っていた。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
20,21…試料ステージ、22…ローラー、40…試験片、40C…試験片の折り曲げ箇所、51…銅配線、52…銅配線のU字部

Claims (4)

  1. ポリイミド絶縁層(A)と、
    前記ポリイミド絶縁層(A)の少なくとも一方の面に設けられた回路配線層(B)と、
    前記回路配線層(B)に積層されたカバーレイ(C)と、
    を備え、上面側が略180℃反転して下面側になるように折り曲げる「はぜ折り」によって、0.1〜0.5mmのギャップで折り曲げて使用されるフレキシブル回路基板であって、
    以下のa〜cの構成:
    a)前記ポリイミド絶縁層(A)の厚みが23〜27μmの範囲内であること;
    b)前記回路配線層(B)を構成する銅配線の厚みが10〜14μmの範囲内であり、かつ前記銅配線のキューブ比率が85%以上であること;
    及び、
    c)前記ポリイミド絶縁層(A)と前記回路配線層(B)と前記カバーレイ(C)の合計の厚みが53〜63μmの範囲内であること;
    を有することを特徴とするフレキシブル回路基板。
  2. 前記カバーレイ(C)を内側にして折り曲げるときの等価曲げ剛性が0.07〜0.09N・mの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
  3. 前記カバーレイ(C)を内側にして折り畳んだ状態で、電子機器の筐体内に収納して使用されるものである請求項1又は2に記載のフレキシブル回路基板。
  4. 請求項1又は2に記載のフレキシブル回路基板を、前記カバーレイ(C)を内側にして折り畳んだ状態で筐体内に収納した電子機器。

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