以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10及び複合機10に据え付けられたインクタンク100が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交する。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(液体供給装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前壁14Aに開口13が形成された筐体14を有している。
複合機10は、プリンタ部11の上部に操作部16を有している。操作部16は、画像表示可能な表示パネル28と、操作入力用の入力キー17と、を有している。表示パネル28は、例えば液晶ディスプレイやタッチパネルである。表示パネル28がタッチパネルである場合、入力キー17は表示パネル28に表示されたタッチ可能なボタンであってもよい。
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、インクタンク100と、光学センサ125(図4及び図5参照)と、コントローラ130(図6参照)と、が配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿って複合機10に対して挿入及び脱抜される。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。図1及び図2に示されるように、排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されている。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、給送用モータ172(図6参照)によって駆動される。給送アーム26は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
[搬送経路65]
図2に示されるように、搬送経路65は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部から後方へ延びる経路である。搬送経路65は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。図2及び図3に示されるように、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路65内における用紙12の搬送向き29は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ部54]
図2に示されるように、搬送ローラ部54は、搬送経路65に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送用モータ171(図6参照)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171に駆動されて回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて、搬送向き29に搬送される。
[排出ローラ部55]
図2に示されるように、排出ローラ部55は、搬送経路65における搬送ローラ部54より搬送向き29の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送用モータ171(図6参照)によって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171に駆動されて回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて、搬送向き29に搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送経路65における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジ駆動用モータ173(図6参照)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より右方及び左方にまで及ぶ。
キャリッジ23からは、インクチューブ32とフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。
インクチューブ32は、インクタンク100及び記録ヘッド39を接続するものである。インクチューブ32は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100M(これらを総称して、「インクタンク100」と表示することがある。)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド39に供給する。インクタンク100は、タンクの一例である。詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32Y、32C、32M(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)が、それぞれインクタンク100B、100Y、100C、100Mから延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23と接続されている。
フレキシブルフラットケーブル33は、コントローラ130(図6参照)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、コントローラ130から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載している。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。また、これにより、インクタンク100B、100Y、100C、100Mに貯留されたインクが消費される。
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、搬送経路65における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路65を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
[カバー70]
図1(B)に示されるように、筐体14の前壁14Aの右部に、開口22が形成されている。図1(A)に示されるように、カバー70(開閉カバーの一例)が、筐体14に、開口22を覆うようにして取り付けられている。カバー70は、開口22を閉塞する閉位置(図1(A)に示される位置)と、開口22を開放する開位置(図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。図1(A)に示されるように、カバー70が閉位置のとき、インクタンク100の注入口112(図1(B)及び図4参照)は、外部から閉塞されている。図1(B)に示されるように、カバー70が開位置のとき、インクタンク100の注入口112は、外部から露出されている。図1(A)に示されるように、カバー70には、開口97が形成されている。筐体14の内部のうち開口22の後方に位置する部分には、空間が拡がっている。この空間に、インクタンク100が配置される。
[開閉センサ126]
図6に示されるように、複合機10は、開閉センサ126を備える。開閉センサ126は、例えば筐体14の開口22の周縁部に配置されている。開閉センサ126は、カバー70の位置を検知するものである。本実施形態において、開閉センサ126はメカニカルスイッチである。開閉センサ126は、閉位置のカバー70と当接することによってON状態となり、ハイレベル信号をコントローラ130(図6参照)へ出力する。つまり、このとき、開閉センサ126は、カバー70が閉位置であることを検知する。一方、開閉センサ126は、カバー70が閉位置から回動して離れることによってOFF状態となり、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。つまり、このとき、開閉センサ126は、カバー70が開位置であることを検知する。
なお、開閉センサ126は、ON状態でローレベル信号を出力し、OFF状態でハイレベル信号を出力するものであってもよい。また、開閉センサ126として、メカニカルスイッチ以外に、公知の種々のセンサ(近接センサや光学センサなど)が採用可能である。
[インクタンク100]
図4に示されるインクタンク100は、プリンタ部11に設けられている。インクタンク100は、プリンタ部11が備える記録部24にインクを供給するものである。インクタンク100は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを備える。
各インクタンク100には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、ブラックインクがインクタンク100Bに貯留され、イエローインクがインクタンク100Yに貯留され、シアンインクがインクタンク100Cに貯留され、マゼンタインクがインクタンク100Mに貯留される。但し、インクタンク100の数及びインクの色は上記の例に限定されない。
インクタンク100B、100Y、100C、100Mの各々の構成は、インクタンク100Bの左右方向9の長さが、他の3つのインクタンク100Y、100C、100Mの各々の左右方向9の長さよりも長いことを除いて、概ね同じ構成である。よって、以下では、インクタンク100Bの構成が説明され、他のインクタンク100Y、100C、100Mの構成の説明は省略される。
図5に示されるように、インクタンク100Bは、フレーム141と、フィルム142、143、139とを備える。
フレーム141は、前壁101と後壁110と上壁104と下壁105と内壁107とを備えている。
フィルム142はフレーム141の右側に形成された開口に貼り付けられている。フィルム143はフレーム141の左側に形成された開口に貼り付けられている。フィルム139は後述する突出部167に形成された開口に貼り付けられている。これにより、フレーム141とフィルム142、143、139とによって区画されたインク室111(貯留室の一例)が形成される。
なお、フィルム142、143、139の有無及び貼り付け位置は、図5に示される位置に限らない。例えば、図5では、フィルム142は、インクタンク100Bの右端の後部に貼り付けられており、インクタンク100Bの右端の前部はフレーム141の一部である右壁で構成されている。しかし、図5とは逆に、フィルム142は、インクタンク100Bの右端の前部に貼り付けられており、インクタンク100Bの右端の後部はフレーム141の一部である右壁で構成されていてもよい。また、例えば、インクタンク100Bは、フィルム143を備えていなくてもよい。この場合、フレーム141は、フィルム143の代わりに、インク室111の左端を区画する左壁を有する。
フレーム141は、インク室111内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を有する樹脂で一体形成されている。フレーム141は、例えば、ポリプロピレンで形成されている。フレーム141は、例えば、樹脂材料の射出成形により一体成形されている。フレーム141の剛性は、フィルム142、143の剛性よりも高い。なお、フレーム141は、樹脂以外で構成されていてもよい。また、フレーム141は、複数の部材が組み合わされた構成であってもよい。
図1に示されるように、フレーム141の前壁101は、カバー70の開口97及び筐体14の開口22を介して、複合機10の外部に露出している。フレーム141の前壁101は、複合機10の前方から視認可能であり、ユーザはインク室111に貯留されたインクの残量を確認可能である。
図5に示されるように、前壁101は、立壁102と傾斜壁106とで構成されている。立壁102は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁106は、立壁102の上端及び上壁104の前端を連結する壁である。傾斜壁106は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
インクタンク100Bは、インク室111へインクを注入するための注入口112を備えている。注入口112は、傾斜壁106に形成されている。注入口112は、傾斜壁106を厚み方向に貫通して、インク室111をインクタンク100Bの外部に連通させる。インクが貯留されたボトル(不図示)が、注入口112を介してインク室111に挿入される。これにより、ボトルに貯留されたインクが、インク室111に注入される。
インクタンク100Bは、第1ライン146及び第2ライン147を備えている。第1ライン146及び第2ライン147は、立壁102に形成されている。
第1ライン146は、左右方向9に延びている。第1ライン146の上下方向7の位置は、貯留が許容される最大量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。
第2ライン147は、左右方向9に延びている。第2ライン147は、第1ライン146よりも下方に位置している。第2ライン147の上下方向7の位置は、上記最大量よりも少ない量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。本実施形態において、第2ライン147の上下方向7の位置は、インクの補充が必要となる最小量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。
インクタンク100Bは、大気連通孔113を備えている。大気連通孔113は、上壁104に形成されている。大気連通孔113は、インクタンク100Bの外部の大気とインクタンク100Bの内部の大気連通路145とを連通する孔である。大気連通路145は、上壁104及び内壁107などによって区画される空間である。大気連通路145の一端は、大気連通孔113と連通している。大気連通路145の他端は、インク室111と連通している。つまり、インク室111は、大気連通路145及び大気連通孔113を介して大気に連通されている。大気連通路145には、半透膜114が貼り付けられている。半透膜114は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜である。
インクタンク100Bは、インク室111に貯留されたインクが流出する流出口115を備えている。流出口115は、後壁110から後方へ突出した中空の突出部157の先端に形成された開口である。突出部157の内部空間は、インク流出路116を介してインク室111と連通している。インク流出路116は、後壁110及び内壁107などによって区画される空間である。突出部157の先端には、インクチューブ32が接続されている(図3参照)。インク室111に貯留されたインクは、インク流出路116、突出部157の内部空間、流出口115、及びインクチューブ32を介して記録ヘッド39に供給される。
インクタンク100Bのフレーム141は、後壁110から後方へ突出した突出部167を備えている。突出部167は、直方体形状である。突出部167は、少なくとも左右方向9に対向する右壁167A及び左壁167Bが透光性を有する。右壁167A及び左壁167Bは、透光壁の一例である。右壁167A及び左壁167Bは、突出部167の内部空間を区画している。突出部167の後端(先端)には、開口が形成されている。当該開口に、フィルム139が貼り付けられている。これにより、突出部167の内部空間は、フィルム139によって閉じられている。突出部167の内部空間は、インク室111の一部を構成している。つまり、突出部167の内部空間とインク室111の他の部分との間において、インクが流通可能である。なお、本実施形態では、インクタンク100Y、100C、100Mは突出部167を有していないが、インクタンク100Y、100C、100Mは突出部167を有していてもよい。
[光学センサ125]
図4及び図5(B)に示されるように、プリンタ部11は、光学センサ125を備えている。光学センサ125は、発光部125Aと受光部125Bとを備えている。発光部125A及び受光部125Bは、左右方向9において突出部167を挟んで配置されている。本実施形態では、発光部125Aは、突出部167の右方に位置し、受光部125Bは、突出部167の左方に位置している。発光部125Aは、つまり、右壁167Aと対向している。受光部125Bは、左壁167Bと対向している。なお、本実施形態とは逆に、発光部125Aが、突出部167の左方に位置し、受光部125Bが、突出部167の右方に位置していてもよい。
発光部125Aは、光学センサ125が外部(本実施形態ではコントローラ130)から受け取ったPWM信号S1(第1信号の一例)に応じた光量の光を、受光部125Bへ向けて照射する。本実施形態において、発光部125Aは、受け取ったPWM信号S1のデューティ比が大きい程、多い光量の光を照射し、受け取ったPWM信号S1のデューティ比が小さい程、少ない光量の光を照射する。
受光部125Bは、発光部125Aから照射された光を受光する。
光学センサ125は、受光部125Bが受光した光の光量に応じたレベルの信号S2(第2信号の一例)を外部(本実施形態ではコントローラ130)へ向けて出力する。本実施形態において、光学センサ125は、受光部125Bが受光した光の光量が多い程、低いレベルの信号S2がコントローラ130へ送られ、受光部125Bが受光した光の光量が少ない程、高いレベルの信号S1がコントローラ130へ送られる。
発光部125Aによって照射された光は、突出部167の右壁167Aを透過して突出部167の内部空間へ進入する。突出部167の透光状態は、突出部167の内部空間へのインクの貯留の有無や、突出部167の内部空間に貯留されたインクの質(例えばインクの濃淡や色)に応じて変化する。
例えば、突出部167の内部空間にインクが貯留されている場合、発光部125Aから照射された光は、突出部167の内部空間に貯留されたインクに遮られて受光部125Bへ到達しないか、或いはインクにより光の強度が大きく減衰されて受光部125Bへ到達する。このとき、本実施形態では、光学センサ125からコントローラ130へ高いレベルの信号S2が送られる。
一方、突出部167の内部空間にインクが貯留されていない場合、または突出部167の内部空間に貯留されているインクが薄い場合、発光部125Aから照射された光は、突出部167の内部空間に貯留されたインクに遮られることなく受光部125Bへ到達するか、或いはインクにより光の強度が小さく減衰されて受光部125Bへ到達する。このとき、本実施形態では、光学センサ125からコントローラ130へ低いレベルの信号S2が送られる。
[コントローラ130]
図6を参照して、コントローラ130の構成が説明される。コントローラ130は、複合機10の全体動作を制御するものである。コントローラ130は、CPU71、ROM72、RAM73、EEPROM74(メモリの一例)、ASIC76、及びこれらを相互に接続する内部バス75を備えている。
ROM72には、CPU71が記録処理や光量調整処理を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM73は、CPU71が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域として使用される。EEPROM74は、不揮発性メモリであり、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC76には、搬送用モータ171、給送用モータ172、及びキャリッジ駆動用モータ173が接続されている。また、ASIC76には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU71から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが回転する。つまり、コントローラ130は、各モータ171、172、173を制御する。
ASIC76は、様々なデューディ比のPWM信号S1を光学センサ125へ送信する。ASIC76は、値VS1に基づいて送信するPWM信号S1のデューティ比を決定する。本実施形態において、値VS1が大きい程、大きいデューティ比のPWM信号S1が送信される。値VS1の範囲(所定範囲の一例)は、予め設定されており、ROM72またはEEPROM74に記憶されている。例えば、当該範囲の最小値MINと当該範囲の最大値MAXとが、ROM72またはEEPROM74に記憶されている。
ASIC76には、光学センサ125から出力される様々なレベルの信号S2が入力される。信号S2のレベルに基づいて決定される値VS2が、RAM73に記憶される。本実施形態では、信号S2のレベルが大きい程、値VS2の値も大きく設定される。
コントローラ130は、値VS2に基づいて、インクタンク100B内のインクの残量状態を判定する。本実施形態において、コントローラ130は、値VS2が閾値TH未満である場合、インクタンク100B内のインクの残量が少ないと判定し、値VS2が閾値以上である場合、インクタンク100B内のインクの残量が十分多いと判定する。閾値THは、予め設定されており、ROM72またはEEPROM74に記憶されている。
ASIC76には、開閉センサ126から出力されるハイレベル信号またはローレベル信号が入力される。コントローラ130は、開閉センサ126から入力された信号がハイレベルの場合、カバー70が閉位置であると判定する。コントローラ130は、開閉センサ126から入力された信号がローレベルの場合、カバー70が開位置であると判定する。
ASIC76には、表示パネル28が接続されている。コントローラ130は、表示パネル28に各種情報を表示させる。
例えば、コントローラ130は、判定されたインクの残量状態に関する情報を、ASIC76から操作部16に出力する。操作部16は、当該情報に基づくメッセージ、例えばインクの残量が残り少ない旨のメッセージを表示パネル28に表示する。なお、当該メッセージの報知は、表示パネル28への表示以外の手段、例えばスピーカからの音声やLEDの発光などによって実行されてもよい。
ASIC76には、入力キー17から種々の信号が入力される。複数の入力キー17のうち操作される入力キー17に応じた信号が、ASIC76へ送られる。種々の信号のうちの一つが信号S3(第3信号の一例)である。信号S3は、コントローラ130の指示によって表示パネル28に表示された「インクをインクタンクへ注入したか?」とのメッセージに対して「インクタンクへインクを注入した。」との回答を示す信号である。信号S3は、「インクをインクタンクへ注入したか?」とのメッセージを参照したユーザによって特定の入力キー17が操作されることによって、ASIC76へ送られる。
ASIC76には、記録ヘッド39が接続されている。記録ヘッド39は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、記録ヘッド39への給電を制御し、複数のノズル40から選択的にインク滴を吐出させる。
[光量調整処理]
以下、図7のフローチャート及び図8のグラフを参照しつつ、光量調整処理が説明される。光量調整処理は、インクタンク100に注入されたインクの質に応じて、設定値を決定する処理である。設定値とは、インクタンク100のインク残量が所定量以上であるか否かを判定する際に光学センサ125の発光部125Aが突出部167へ向けて照射する光の光量に対応する第1信号S1の元となる値(詳細には第1信号S1のデューティ比を決定する元となる値)である。
図8(A)は、あるインクにおける値VS1に対する値VS2の特性を示したグラフである。図8(B)は、図8(A)に示されたインクとは異なる種類のインクにおける値VS1に対する値VS2の特性を示したグラフである。
本実施形態において、光量調整処理は、以下の2つのタイミングで実行される。第1のタイミングは、複合機10が製造された工場から出荷された後に、複合機10の電源が初めてOFFからONとされたタイミングである。第2のタイミングは、第1のタイミングから所定期間が経過したタイミングである。所定期間は、インクの残量検知に影響が出る程に光学センサ125が経時劣化するおそれがある期間であり、例えば半年や一年に設定される。なお、所定期間は、複合機10が備える不図示のタイマによってカウントされる。また、光量調整処理は、上記の2つのタイミング以外で実行されてもよい。例えば、光量調整処理は、複合機10の電源がOFFからONとされる度に実行されてもよい。
コントローラ130は、EEPROM74に記憶されている初期導入フラグFの値を参照する(S10)。初期導入フラグFの値によって、複合機10において初期導入が過去に実行されたことがあるか否かが示される。初期導入とは、インクが一度も注入されたことがないインクタンク100のインク室111に初めてインクが注入される処理である。
複合機10に対して初期導入が実行されたことがない場合、初期導入フラグFには「0」(第1値の一例)が設定されている。複合機10に対して初期導入が実行されたことがある場合、初期導入フラグFには「1」(第2値の一例)が設定されている。
初期導入フラグFに「0」が設定されている場合(S10:「0」)、コントローラ130は、値VS1を最小値MINに設定して(図8(A)、(B)参照)、最小値MINに設定された値VS1をRAM73に記憶する(S20)。
初期導入フラグFに「1」が設定されている場合(S10:「1」)、コントローラ130は、値VS1を調整値に設定して、調整値に設定された値VS1をRAM73に記憶する(S30)。調整値は、過去に実行された光量調整処理において設定された設定値である。初期導入フラグFに「1」が設定されているということは、過去に初期導入が実行され、当該初期導入時に光量調整処理が実行されたということである。そして、当該光量調整処理において、設定値が設定されてEEPROM74に記憶されている。ステップS30では、この過去の初期導入時の光量調整処理においてEEPROM74に記憶された設定値が、調整値として値VS1に設定される。
なお、本実施形態において、初期導入フラグFは、複合機10が製造された工場から出荷される時点において「0」に設定されている。
次に、コントローラ130は、開閉センサ126から入力された信号を参照する。開閉センサ126から入力された信号がローレベルであり(S40:Yes)、次いでローレベルからハイレベルに変わった場合(S50:Yes)、コントローラ130は、カバー70が開位置となり、その後に閉位置となったと判定する。カバー70が開位置となり、その後に閉位置となったということは、カバー70が開位置である間にインクタンク100にインクが注入された可能性が高い。この場合、コントローラ130は、ステップS60〜S100において、インク室111にインクが注入された否かを判定する処理を実行する。
なお、開閉センサ126から入力された信号がハイレベルである場合(S40:No)、コントローラ130は、開閉センサ126から入力された信号がローレベルとなるまで待機する。また、開閉センサ126から入力された信号がローレベルからハイレベルに変わらない場合(S50:No)、コントローラ130は、開閉センサ126から入力された信号がハイレベルとなるまで待機する。
次に、コントローラ130は、最小値MINまたは調整値に設定された値VS1に対応するPWM信号S1を光学センサ125へ送信する(S60)。このときのPWM信号S1のデューティ比は、ステップS20またはS30において設定された値VS1に基づいて決定される。
PWM信号S1を受け取った光学センサ125の発光部125Aは、PWM信号S1に応じた光量の光を、受光部125Bへ向けて照射する。受光部125Bは、発光部125Aから照射された光を受光する。光学センサ125は、受光部125Bが受光した光の光量に応じたレベルの信号S2をコントローラ130へ送信する。コントローラ130は、信号S2を受け取る(S70)。
コントローラ130は、受け取った信号S2のレベルに基づいて値VS2を決定し、決定した値VS2(受け取った信号S2に対応する値VS2)をRAM73に記憶する。コントローラ130は、RAM73に記憶した値VS2を、ROM72またはEEPROM74に記憶されている閾値TH(図8(A)、(B)参照)と比較する(S80)。
値VS2が閾値TH以上である場合(S80:Yes)、コントローラ130は、インクタンク100内のインクの残量が十分多いと判定する。つまり、コントローラ130は、インク室111にインクが注入されたと判定する。値VS2が取り得る範囲のうち、閾値TH以上の範囲は、第2範囲の一例である。この場合、コントローラ130は、表示パネル28に、インク注入確認画面を表示させる(S90)。インク注入確認画面は、「インクをインクタンクに注入したか?」などのインクの注入を確認するメッセージを含む画面である。インク注入確認画面は、当該メッセージに対するYesに対応する入力キー17、または当該メッセージに対するNoに対応する入力キー17が押されるまで表示される。
一方、値VS2が閾値TH未満である場合(S80:No)、コントローラ130は、インクタンク100内のインクの残量が少ないまたはインクタンク100内にインクがないと判定する。つまり、コントローラ130は、インク室111にインクが注入されていないと判定する。値VS2が取り得る範囲のうち、閾値TH未満の範囲は、第1範囲の一例である。この場合、コントローラ130は、表示パネル28にインク注入催促画面を表示させて、カバー70が開かれる(S40)まで待機する。インク注入催促画面は、「インクをインクタンクに注入して下さい。」などのインクの注入を催促するメッセージを含む画面である。なお、本実施形態において、インク注入催促画面は、カバー70が開かれ(S40:Yes)、その後にカバー70が閉じられる(S50:Yes)まで表示される。
インク注入確認画面において、Noに対応する入力キー17がユーザによって押されると(S100:No)、コントローラ130は、表示パネル28にインク注入催促画面を表示させて、カバー70が開かれる(S40)まで待機する。
インク注入確認画面において、Yesに対応する入力キー17がユーザによって押されると、押圧された入力キー17に対応する回路(不図示)は、信号S3をコントローラ130へ出力する(S100:Yes)。
コントローラ130は、値VS2が閾値TH以上であり(S80:Yes)且つ信号S3を受け取ったこと(S100:Yes)を条件として、インクタンク100にインクが注入されたと判定する。そして、ステップS110以降の処理を実行する。
コントローラ130は、信号S3を受け取った後(S100:Yes)、値VS1を最大値MAXに設定して(図8(A)、(B)参照)、最大値MAXに設定された値VS1をRAM73に記憶する(S110)。
次に、コントローラ130は、最大値MAXに設定された値VS1に対応するPWM信号S1を光学センサ125へ送信する(S120)。このときのPWM信号S1のデューティ比は、ステップS110において設定された値VS1に基づいて決定される。
PWM信号S1を受け取った光学センサ125の発光部125Aは、PWM信号S1に応じた光量の光を、受光部125Bへ向けて照射する。受光部125Bは、発光部125Aから照射された光を受光する。光学センサ125は、受光部125Bが受光した光の光量に応じたレベルの信号S2をコントローラ130へ送信する。コントローラ130は、信号S2を受け取る(S130)。
コントローラ130は、受け取った信号S2のレベルに基づいて値VS2を決定し、決定した値VS2(受け取った信号S2に対応する値VS2)をRAM73に記憶する。コントローラ130は、RAM73に記憶した値VS2を、閾値THと比較する(S140)。
図8(A)に示されるように、値VS2が閾値TH以上(図8(A)ではVS2=V1)である場合(S140:Yes)、コントローラ130は、設定値を算出する(S150)。本実施形態におけるステップS150での設定値は、最小値MIN及び最大値MAXの合計を2で割った値である(図8(A)参照)。コントローラ130は、算出した設定値をEEPROM74に記憶する。その後、コントローラ130は、初期導入フラグFの値を「1」に設定して(S220)、一連の処理を終了する。
図8(B)に示されるように、値VS2が閾値TH未満(図8(B)ではVS2=V2)である場合(S140:No)、コントローラ130は、値VS1を現時点よりも所定数tだけ小さい値に設定する(S160)。所定数tは、必要とされる設定値の精度に応じて適宜設定される。
ステップS160において設定された値VS1が最小値MIN未満である場合(S170:Yes)、コントローラ130は、表示パネル28に、光量調整が失敗した旨のメッセージを表示させて(S230)、一連の処理を終了する。なお、この場合、コントローラ130は、表示パネル28に、現在注入されているインクとは異なる種類のインクを注入するよう促すメッセージなどを表示させてもよい。
ステップS160において設定された値VS1が最小値MIN以上である場合(S170:No)、コントローラ130は、ステップS160において設定された値VS1に対応するPWM信号S1を光学センサ125へ送信する(S180)。このときのPWM信号S1のデューティ比は、ステップS160において設定された値VS1に基づいて決定される。
PWM信号S1を受け取った光学センサ125の発光部125Aは、PWM信号S1に応じた光量の光を、受光部125Bへ向けて照射する。受光部125Bは、発光部125Aから照射された光を受光する。光学センサ125は、受光部125Bが受光した光の光量に応じたレベルの信号S2をコントローラ130へ送信する。コントローラ130は、信号S2を受け取る(S190)。
コントローラ130は、受け取った信号S2のレベルに基づいて値VS2を決定し、決定した値VS2(受け取った信号S2に対応する値VS2)をRAM73に記憶する。コントローラ130は、RAM73に記憶した値VS2を、閾値THと比較する(S200)。
図8(B)に示されるように、値VS2が閾値TH以上(図8(B)ではVS2=TH)である場合(S200:Yes)、コントローラ130は、現時点での値VS1(図8(B)ではVS1=V3)に基づいて設定値を算出する(S210)。本実施形態におけるステップS210での設定値は、最小値MIN及び現時点での値VS1(ステップS160において設定された値VS1、つまりV3)の合計を2で割った値である。コントローラ130は、算出した設定値をEEPROM74に記憶する。その後、コントローラ130は、初期導入フラグFの値を「1」に設定して(S220)、一連の処理を終了する。
値VS2が閾値TH未満である場合(S200:No)、コントローラ130は、再びステップS160を実行して、値VS1を現時点よりも所定数tだけ小さい値に設定する(S160)。つまり、コントローラ130は、ステップS190で受け取った信号S2に基づく値VS2が閾値TH以上となるまで、値VS1を小さくしつつ、値VS1に対応するPWM信号S1を光学センサ125へ送信する処理を繰り返す(S160〜S200)。
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、インク室111に注入されたインクの光の透過のし易さに応じて、異なる値の設定値をEEPROM74に記憶することができる。ここで、設定値は、インク室111に貯留されたインクの残量を光学センサ125によって検知する際に発光部125Aへ出力するPWM信号S1に対応する値VS1として使用することができる。これにより、例えば、インク室111に注入されたインクが水で薄められることで光を透過し易いものである場合、インク室111に貯留されたインクの残量を光学センサ125によって検知する際に、発光部125Aが突出部167の右壁167Aへ向けて照射する光の光量が少なくなるように、発光部125Aへ出力するPWM信号S1に対応する設定値を小さく設定することができる。
また、信号S2に対応する値VS2が閾値TH以上であること(S80:Yes)のみによって、インク室111にインクが注入されたと判定する場合、以下の問題が生じるおそれがある。例えば、信号S2に対応する値VS2によってインク室111にインクが注入されたと判定するに際して、コントローラ130が光学センサ125へ出力するPWM信号S1に対応する値VS1が小さい場合、発光部125Aが照射する光の光量が少なくなる。すると、発光部125Aが照射した光が、インク室111に貯留されたインクが消費された後に突出部167の右壁167A及び左壁167Bに付着しているインクに阻まれてしまい、インク室111にインクが貯留されていないにもかかわらず、インク室111にインクが貯留されていると誤検知されるおそれがある。
一方、信号S3の受け取り(S100:Yes)のみによって、インク室111にインクが注入されたと判定する場合、以下の問題が生じるおそれがある。当該場合では、ユーザがインク室111にインクが注入されたと判断した場合に、ユーザが操作部16を操作することによってインクの注入の完了を信号S3によってコントローラ130に知らせることができる。しかし、例えば、インク室111に貯留されたインクが消費された後に突出部167の右壁167A及び左壁167Bにインクが付着している場合などにおいて、インクが所定量(例えば満量)注入されたか否かをユーザが目視で判断することが困難な場合がある。また、ユーザが操作部16の操作を誤る場合もある。
そこで、本実施形態によれば、コントローラ130は、信号S2の値が閾値TH以上であること(S80:Yes)、及び信号S3を受け取ったこと(S100:Yes)の双方を満たすことを条件として、インク室111にインクが注入されたと判定する。これにより、上述した問題の発生を低減することができる。
また、仮に、信号S2に対応する値が閾値TH以上である時点(S200:Yes)でのPWM信号S1に対応する値VS1をそのまま設定値とした場合、光学センサ125を構成する素子の温度特性や経時劣化などの少しの環境変化によって、インク室111に貯留されたインクの残量が誤検知されるおそれがある。そこで、本実施形態のように、PWM信号S1に対応する値VS1(図8(B)ではV3)と所定範囲の最小値MINとの合計の半分の値(V3+MIN)/2を設定値とすることによって、上記のような少しの環境変化による誤検知の可能性を低くすることができる。
また、仮に、設定値の設定(光量調整処理)を、複合機10が工場から出荷される前に実行した場合、設定値の設定から出荷までの間に、設定値の設定のためにインク室111に一旦貯留されたインクをインク室111から抜く必要がある。このとき、インクをインク室111から完全に抜くことは困難である。すると、出荷からユーザの手元に届くまでの間にインク室111に残存したインクが乾燥するなどの問題が生じるおそれがある。そこで、本実施形態によれば、設定値の設定を、複合機10が工場から出荷された後である初期導入時に実行する。これにより、上記のような問題の発生を防止することができる。
また、本実施形態によれば、所定範囲の最大値MAXに対応するPWM信号S1の出力に応じて光学センサ125から受け取った信号S2に対応する値VS2が閾値TH以上である場合(S140:Yes)であっても、設定値を適切に設定することができる(S150)。
また、インク室111にインクを注入するためには、カバー70を開位置にして注入口112を外部に露出させる必要がある(図1(B)参照)。そのため、カバー70が開位置となり(S40:Yes)、その後に閉位置となった(S50:Yes)場合、インク室111にインクが注入された可能性が高い。本実施形態では、インク室111にインクが注入された可能性が高い状態において、インク室111にインクが注入されたか否かの判定(S60〜S100)が実行される。そのため、無駄な判定(例えばインク室111にインクが注入されていないことが明らかなときに実行される判定)が行われる可能性を低くすることができる。
[変形例]
上記実施形態では、コントローラ130は、ステップS160において値VS1を所定数tだけ小さい値に設定しつつ、ステップS200において値VS2が閾値TH以上となるような値VS1を探索した。しかし、値VS1の探索手段は、上記実施形態における手段に限らない。
例えば、所定数tが、ステップS160の実行回数が多い程に大きい値となるような変動値であってもよい。
また、例えば、コントローラ130は、二分探索法によって、ステップS200において値VS2が閾値TH以上となるような値VS1を探索してもよい。この場合、例えば、コントローラ130は、ステップS160において値VS1を、現時点での値VS1と最小値MINとの中央の値((VS1+MIN)/2)に設定しつつ、ステップS200において値VS2が閾値TH以上となるような値VS1を探索する。
上記例によれば、二分探索法を用いることによって、信号S2に対応する値VS2が閾値TH以上となるPWM信号S1に対応する値VS1を迅速に探索することができる。
上記実施形態では、コントローラ130は、値VS1が大きい程、大きいデューティ比のPWM信号S1を送信した。しかし、コントローラ130は、上記実施形態とは逆に、値VS1が小さい程、大きいデューティ比のPWM信号S1を送信してもよい。
光学センサ125からコントローラ130へ送られる信号S2のレベルの大小は、上記実施形態と逆であってもよい。具体的には、発光部125Aから照射された光がインクに遮られて受光部125Bへ到達しないか或いは大きく減衰されて受光部125Bへ到達した場合に、光学センサ125からコントローラ130へ低いレベルの信号S2が送られてもよい。また、発光部125Aから照射された光がインクに遮られることなく受光部125Bへ到達するか或いは小さく減衰されて受光部125Bへ到達した場合に、光学センサ125からコントローラ130へ高いレベルの信号S2が送られてもよい。
上記実施形態では、コントローラ130は、信号S2のレベルが大きい程、値VS2の値を大きく設定した。しかし、コントローラ130は、上記実施形態とは逆に、信号S2のレベルが大きい程、値VS2の値を小さく設定してもよい。
光学センサ125からコントローラ130へ送られる信号S2のレベルの大小が上記実施形態とは逆であり、且つコントローラ130が上記実施形態と同様に信号S2のレベルが大きい程、値VS2の値を大きく設定した場合、値VS2と閾値THとの関係は、上記実施形態と逆になる。また、光学センサ125からコントローラ130へ送られる信号S2のレベルの大小が上記実施形態と同様であり、且つコントローラ130が上記実施形態とは逆に信号S2のレベルが大きい程、値VS2の値を小さく設定した場合、値VS2と閾値THとの関係は、上記実施形態と逆になる。
これらの場合、コントローラ130は、値VS2が閾値TH以上である場合、インクタンク100B内のインクの残量が残り少ないと判定し、値VS2が閾値未満である場合、インクタンク100B内のインクの残量が十分多いと判定する。
また、これらの場合、閾値TH以上の範囲が第1範囲となり、閾値TH未満の範囲が第2範囲となる。よって、図7のステップS80、S140、S200において、「Yes」、「No」の判断が逆になる。具体的には、ステップS80において、値VS2が閾値TH未満のときに、インク注入確認画面が表示される(S90)。また、ステップS140、S200において、値VS2が閾値TH未満の時に、設定値が設定される(S150、S210)。
コントローラ130は、ステップS100とステップS110との間に、初期導入フラグFの値を参照してもよい。そして、初期導入フラグFに「1」が設定されている場合、コントローラ130は、ステップS110以降の処理を実行することなく、つまり光量調整を実行することなく一連の処理(図7のフローチャートに示された処理)を終了してもよい。一方、初期導入フラグFに「0」が設定されている場合、コントローラ130は、ステップS110以降の処理を実行してもよい。
上記実施形態では、設定値は、ステップS150において最小値MIN及び最大値MAXの合計を2で割った値であった。また、設定値は、ステップS210において最小値MIN及び現時点での値VS1(ステップS160において設定された値VS1)の合計を2で割った値であった。しかし、設定値は、これらの値に限らない。例えば、設定値は、ステップS150において、最小値MIN及び最大値MAXの合計に2/3を乗じた値であってもよいし、最大値MAXであってもよい。また、例えば、設定値は、ステップS210において最小値MIN及び現時点での値VS1(ステップS160において設定された値VS1)の合計に2/3を乗じた値であってもよいし、現時点での値VS1(ステップS160において設定された値VS1)であってもよい。
上記実施形態では、設定値は、所定の式によって算出されていた(S150、S210)。しかし、設定値は、算出以外の手段によって決定されてもよい。例えば、ROM72またはEEPROM74に、複数の値VS1と当該複数の値VS1の各々に対応する設定値とで構成されるLUT(ルックアップテーブル)が記憶されていてもよい。そして、コントローラ130は、ステップS210において、LUTを参照することで、現時点での値VS1に対応する設定値を決定してもよい。
上記実施形態では、コントローラ130は、値VS2が閾値TH以上であり(S80:Yes)且つ信号S3を受け取ったこと(S100:Yes)を条件として、インクタンク100にインクが注入されたと判定した。しかし、インクタンク100にインクが注入されたと判定は、上記実施形態による判定に限らない。例えば、コントローラ130は、値VS2が閾値TH以上であること(S80:Yes)のみを条件として、インクタンク100にインクが注入されたと判定してもよい。また、例えば、コントローラ130は、信号S3を受け取ったこと(S100:Yes)のみを条件として、インクタンク100にインクが注入されたと判定してもよい。これにより、インクタンク100にインクが注入されたとの判定を迅速に実行することができる。
上記実施形態では、コントローラ130は、カバー70が開位置となり(S40:Yes)、その後に閉位置となった(S50:Yes)ことをトリガとして(開閉センサ126から入力された信号がローレベルであり、次いでローレベルからハイレベルに変わったことをトリガとして)、インク室111にインクが注入された否かを判定する処理(ステップS60〜S100)を実行した。しかし、コントローラ130がインク室111にインクが注入された否かを判定する処理(ステップS60〜S100)を実行するトリガは、上記実施形態で説明されたトリガに限らない。例えば、コントローラ130は、入力キー17がユーザに押されることで出力される所定の信号を受け取ることをトリガとして、つまりユーザの指示をトリガとして、インク室111にインクが注入された否かを判定する処理(ステップS60〜S100)を実行してもよい。
上記実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等が、液体の一例であってもよい。