JP2019080707A - 可搬式消火装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】文化財等の建物の火災に対し、設置場所をとらず、移動と操作がしやすい可搬式の消火装置を提供する。【解決手段】消火用の薬剤を封入したタンクの周りに移動用のタイヤ、リンク機構、タンクを加圧するための加圧容器や消火用ノズル等の消火装置の部品を配置し、設置の際にはタンクが直立するように設置し、移動の際はリンク機構の開動作により傾倒状態に移行できるようにして消火位置までの安定した移動が可能な構造とする。【選択図】図1
Description
本発明は、消火装置に関するものであり、特に文化財の消火に有用な消火装置に関するものである。
従来、文化財等の建物においては、消火栓の配管の設備工事ができない場所も多く、その場合には壁面等に収納されたパッケージ型の消火装置等を使用していた。しかしホースの長さにより対応できる火災位置が限定されるため、火災発生位置近傍の消火装置の消火剤がすべて尽きてしまうと、火災に完全には対応しきれない場合もあった。これを解決するため、パッケージ型消火装置の筐体をそのまま移動可能な構造とした移動式パッケージ型消火装置が開発され、ホースの長さに限定されることなく複数の消火装置を火災現場に運んで消火がなされていた。
特許文献1には、移動式パッケージ型消火装置が記載されている。しかし特許文献1の移動式パッケージ型消火装置は、固定式のパッケージ型消火装置を筐体のまま台車に斜めに載置して移動可能にしたものであるため、装置が大型化しやすい。そのために広い設置場所が必要となる上、重量もあるため、狭い通路があることの多い文化財等の建物の管理者、とくに高齢者や女性等が移動式パッケージ型消火装置を移動させる際に、利用しにくい場合もあった。
そこで本発明は、コンパクトで狭い建物内でも場所をとらずに設置でき、安定性があって移動させやすく、操作の容易な可搬式消火装置の提供を課題とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、以下の構成を有する。
(1)本発明は、薬剤を封入するタンクと、前記タンクに設けられた把持部と、前記タンクに設けられた第1のタイヤと、前記タンクに設けられたリンク機構と、前記リンク機構に設けられた第2のタイヤと、を備え、前記リンク機構が開動作することにより前記第1のタイヤと前記第2のタイヤが離間し、前記タンクを傾倒することを特徴とする可搬式消火装置である。
(1)本発明は、薬剤を封入するタンクと、前記タンクに設けられた把持部と、前記タンクに設けられた第1のタイヤと、前記タンクに設けられたリンク機構と、前記リンク機構に設けられた第2のタイヤと、を備え、前記リンク機構が開動作することにより前記第1のタイヤと前記第2のタイヤが離間し、前記タンクを傾倒することを特徴とする可搬式消火装置である。
(2)また、本発明は、前記タンクは、前記タンクの内部を加圧するための加圧ガスを収容する加圧容器を備え、前記タンクの中心からみて前記リンク機構と対向する方向に、前記加圧容器が設けられていることを特徴とする(1)の可搬式消火装置である。
(3)また、本発明は、前記タンクの底部に前記薬剤を排出可能な排出口を備え、前記排出口は、前記リンク機構が開いた状態で前記排出口が前記タンクの真下に設けられたことを特徴とする(1)または(2)に記載の可搬式消火装置である。
(4)また、本発明は、前記タンクは前記薬剤を前記タンク内から外部に放出するサイホン管を備え、前記サイホン管は、前記タンクを傾倒動作させた状態で前記タンクの底部に下端が位置することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の可搬式消火装置である。
本発明によれば、薬剤を封入したタンクの周りにタイヤ、リンク機構等の部品を配置し、容易に傾倒および引き起こし可能とすることで、消火栓等の配管の必要がなく、設置場所をとらず、移動させやすく操作の容易な可搬式の消火装置を実現できる。そのため、配管工事等が困難な場所や狭く入り組んだ通路が多い文化財等の建物の火災等に対し、効果的な消火装置を提供することができる。
本発明の可搬式消火装置は、薬剤が封入された耐圧のタンクに加圧容器からの圧力を加えることにより薬剤を放出し、消火を行うための可搬式装置である。タンク以外の各部品はタンクの周囲に配置され接続されている。以下に、本発明の実施形態を示す。
図1は、本発明の実施例1における可搬式消火装置1の直立状態での側面図である。図の左側が前方、図の右側が後方となる。図1には、薬剤4の封入されたタンク3、第1のタイヤとしての主タイヤ5、脚部6、把持部7、リンク機構8、第2のタイヤとしての補助タイヤ9、ノズルホース101、ノズルホース接続口102、加圧容器121、加圧ガス注入口122、加圧ガス管123、加圧ガスコック124が示されている。
直立状態での可搬式消火装置1は、タンク3が直立するように後方下部の左右二つの主タイヤ5と、前方下部でタンク3に溶接された脚部6による三点で支えられている。脚部6は可搬式消火装置1の位置を固定する役割を持ち、直立状態の可搬式消火装置1が動かないように支える。
タンク3の後方にはリンク機構8が設けられている。リンク機構8の詳細については後述する。タンク3の上部にはノズルホース接続口102があり、薬剤4を外部に放出するためのノズルホース101が接続されている。また、ノズルホース接続口102の前方には加圧ガス注入口122があり、加圧ガス管123が接続されている。タンク3後方の上部には棒状の支持部材を介して把持部7が取り付けられている。把持部7は主に、使用者が可搬式消火装置1を傾倒する際や、引き起こす際、また可搬式消火装置1の移動の際に把持するためのものである。把持部7は後方に屈曲しているため使用者が後方から把持しやすく、ノズルホース101等に干渉しないようにタンク3の上端を覆わない形状配置になっている。なお、ここで言うところの上部とは、タンク3の高さ方向半分より上側周辺を意味し、詳細な位置は限定されない。
加圧容器121は、タンク3を中心に主タイヤ5およびリンク機構8と対向する方向である、タンク3の前方に設置されている。加圧容器121は交換可能であり、ボルトとワイヤーでタンク3に固定されている。そして加圧容器121は加圧ガス管123によってタンク3上部の加圧ガス注入口122と接続している。加圧ガスコック124を解放することによって、加圧容器121の内部に収容された加圧ガスが加圧ガス管123を経由してタンク3に送られ、タンク3の内部を加圧する。
可搬式消火装置1の直立状態では、後述する傾倒状態よりも幅を取らず、建物の設置場所にコンパクトに設置しておくことができる。また、タンク3を中心に、リンク機構8等と対向する位置に加圧容器121が設けられていることにより、タンク3を中心にして前後に重量物が配置される。そのため、タンク3の内容物が減少して軽くなっても、重心が安定し倒れにくい。なお、タンク3を中心に主タイヤ5およびリンク機構8と対向する方向であれば、各々の中心が直線上になく、側方にずれていてもよい。
可搬式消火装置1の直立状態では、後述する傾倒状態よりも幅を取らず、建物の設置場所にコンパクトに設置しておくことができる。また、タンク3を中心に、リンク機構8等と対向する位置に加圧容器121が設けられていることにより、タンク3を中心にして前後に重量物が配置される。そのため、タンク3の内容物が減少して軽くなっても、重心が安定し倒れにくい。なお、タンク3を中心に主タイヤ5およびリンク機構8と対向する方向であれば、各々の中心が直線上になく、側方にずれていてもよい。
図2は、本発明の実施例1における可搬式消火装置1をリンク機構8のある面から見た背面図である。図2には、タンク3、タンク後面31、主タイヤ5、車軸51、車軸受52、脚部6、把持部7、リンク機構8、補助タイヤ9、ノズルホース101、ノズルホース接続口102、ノズル103、ノズルレバー104、ノズルホルダー105、排出口14が示されている。また、リンク機構8の構成として、タンク後面31、主リンク81、第一リンク82、第二リンク83が、主リンク81の構成として、主リンク下垂部811、主リンク水平部812が、第一リンク82の構成としてストッパー821が示されている。
タンク後面31の下部には左右に車軸受52が溶接され、主タイヤ5の車軸51を支えている。また脚部6はタンク3の下部の前方中央に溶接されており、左右に張り出した主タイヤ5とあわせ三点で接地し、直立状態の可搬式消火装置1を支えている。また、把持部7とタンク3は、タンク3後方上部の左右において溶接されている。なお、ここで言うところの下部とは、タンク3の高さ方向半分より下側周辺を意味し、詳細な位置は限定されない。
タンク3後方の把持部7と主タイヤ5の間にはリンク機構8が設けられている。リンク機構8の主リンク81は、左右二つの主リンク下垂部811が主リンク水平部812で接続されたH字形状となっている。主リンク下垂部811と主リンク水平部812は共に円筒形のパイプで形成されている。そして、主リンク水平部812は中央で第一リンク82の一端と連結している。第一リンク82は他端近傍で第二リンク83の一端と連結し、第二リンク83は他端でタンク後面31の下方中央に連結している。第一リンク82における第二リンク83側の端部にはストッパー821が設けられている。第一リンク82と第二リンク83は共に強度のある金属板で形成され、第一リンク82の一部を折り曲げてストッパー821を形成している。タンク後面31はリンク機構8の一部を構成し、上方の左右で主リンク下垂部811の上部の先端と連結している。
主リンク下垂部811の下端には左右二つの補助タイヤ9があり、直立状態では左右の主タイヤ5の間の地面に接地している。補助タイヤ9は自在キャスターとなっていて旋回可能であり、左右の主タイヤ5の間隔は、補助タイヤ9が旋回しても主タイヤ5に干渉しないように十分広くとられている。また、主タイヤ5の間隔が広くなっていることで可搬式消火装置1の安定性が増し、転倒のリスクを避けることができる。直立状態では補助タイヤ9は接地しているがタンク3を支えていない。
タンク3の上端においてノズルホース接続口102に接続されたノズルホース101の他端には、薬剤4を放出するためのノズル103が接続され、ノズル103は非使用時にはタンク3側面に設けられたノズルホルダー105に収納されている。ノズル103には放出操作のためのノズルレバー104が設けられている。
タンク3下部には排出口14が設けられており、可搬式消火装置1の直立状態でタンク3下部のやや後方に位置する。なお、排出口14についての詳細は、後述する。
タンク3下部には排出口14が設けられており、可搬式消火装置1の直立状態でタンク3下部のやや後方に位置する。なお、排出口14についての詳細は、後述する。
図3は、本発明の実施例1における可搬式消火装置1の傾倒状態の側面図である。図3には、傾倒したタンク3および周囲の部品と、開状態のリンク機構8が示されている。傾倒状態の可搬式消火装置1では直立状態とは異なり、タンク3は45度程度傾倒し、接地していた脚部6は持ち上がり、リンク機構8は開状態になり、補助タイヤ9は後方へ張り出して主タイヤ5と離間する。
傾倒状態の可搬式消火装置1では、径が大きい左右の主タイヤ5と、旋回可能な補助タイヤ9の四箇所で重量を支える。そして、接地していた脚部6が浮き上がることで、接地点すべてが車輪となり、移動が可能になる。また、補助タイヤ9が後方へ張り出すため接地点の間隔が拡がり、さらにタンク3の重心が下がるため、直立状態に比べて安定性が増し、移動時やタンク3内の洗浄等の際に装置の転倒を防止することができる。主タイヤ5の直径は270mmと大きいため、多少の段差があっても安定させたまま可搬式消火装置1を移動させることができる。
傾倒した可搬式消火装置1は、開状態のリンク機構8によって傾倒の角度が一定に保たれる。傾倒状態の可搬式消火装置1では、タンク3部分の重量によってリンク機構8に開こうとする力が働いている。しかしタンク後面31の下部と主リンク81の下部とが第一リンク82と第二リンク83を介して連結しているため、一定の間隔以上は開かず、そのためタンク3の傾倒角度は固定される。
直立状態とは異なり、傾倒状態での補助タイヤ9には荷重がかかりタンク3を支える。また、補助タイヤ9は自在キャスターであって旋回可能であるため、移動の際に可搬式消火装置1の向きを容易に変えることができる。
直立状態とは異なり、傾倒状態での補助タイヤ9には荷重がかかりタンク3を支える。また、補助タイヤ9は自在キャスターであって旋回可能であるため、移動の際に可搬式消火装置1の向きを容易に変えることができる。
図4は、本発明の実施例1における可搬式消火装置1のリンク機構8の開閉状態を示す側面図であり、図4(a)は閉状態、図4(b)は開状態を示す。閉状態は可搬式消火装置1が直立状態の時のリンク機構8、開状態は可搬式消火装置1が傾倒状態の時のリンク機構8の状態である。便宜上、図の手前側、つまり左側の主タイヤ5を省略した状態で図示している。
リンク機構8は、タンク後面31,主リンク81,第一リンク82,第二リンク83の四つのリンクと、左右の主ジョイント84,第一ジョイント85,第二ジョイント86,中間ジョイント87の五つのジョイントで構成されている。左右二つの主ジョイント84は、タンク後面31の上方の左右と、左右に配置された主リンク下垂部811の上端とを連結している。また、第一ジョイント85は、主リンク水平部812の中央部分と第一リンク82とを連結している。第二ジョイント86は、タンク後面31の下方中央と第二リンク83とを連結している。そして、中間ジョイント87は、第一リンク82と第二リンク83を連結している。各ジョイントは回転抵抗が少なく強度のある接続孔とピン等によって構成される。第一リンク82上部には、中間ジョイント87による連結部分より先端にストッパー821が設けられている。
また、タンク後面31の下方には車軸受52が溶接され車軸51を介して主タイヤ5が取り付けられており、主リンク下垂部811の下部の先端には補助タイヤ9が取り付けられている。これらのタイヤにより、リンク機構8の開閉動作を滑らかに行うことができる。
なお、図4(a),(b)ではタンク3の下方に排出口14が示されている。
なお、図4(a),(b)ではタンク3の下方に排出口14が示されている。
直立状態では、図4(a)のようにタンク3が直立し、リンク機構8は折りたたまれた閉状態であって、主ジョイント84におけるタンク後面31と主リンク81との角度は小さく、中間ジョイント87における第一リンク82と第二リンク83の角度も小さい。補助タイヤ9は、主ジョイント84から垂下している主リンク下垂部811の先端にあり、主タイヤ5の内側のやや後方に収まり接地している。
使用者がタンク3を傾倒させると、主タイヤ5より後方の位置にある補助タイヤ9に荷重が加わり地面から上向きの力を受ける。これにより主リンク81とタンク後面31は主ジョイント84で開動作し、補助タイヤ9は後方へ逃げるように移動して、主タイヤ5と補助タイヤ9が離間する。このとき開動作し難い場合には、使用者が足等で主リンク水平部812を後方に引いてもよい。開動作によってストッパー821が第二ジョイント86に当接すると、リンク機構8は固定され、補助タイヤ9は可搬式消火装置1の荷重を支える。
傾倒状態では、図4(b)のようにタンク3は45度程度傾倒し、リンク機構8は開状態となる。このとき、主ジョイント84におけるタンク後面31と主リンク81の角度は大きくなり、また中間ジョイント87における第一リンク82と第二リンク83の角度も大きくなる。傾倒状態ではタンク3が後方に倒れこもうとする力により、第一リンク82に設けられたストッパー821と第二リンク83とが当接して固定され、中間ジョイント87がやや持ち上がった状態でリンク機構8の形状が安定する。
傾倒状態から直立状態に移行するためにタンク3を起こすと、主リンク81と補助タイヤ9の重みによりリンク機構8は閉動作する。このとき、第一リンク82と第二リンク83には内向きの力が加わり、中間ジョイント87の部分が上昇し、リンク機構8は折りたたまれる。ストッパー821によって制限される中間ジョイント87における第一リンク82と第二リンク83の角度は180度よりも10〜20度小さいため、第一リンク82と第二リンク83が押し合うことで中間ジョイント87の部分は容易に上昇する。
図5は、本発明の実施例1における可搬式消火装置1のタンク3内部を示す図である。便宜上、タンク3のみ断面で記載し、リンク機構8等は省略している。図5にはタンク3、薬剤4、ノズルホース接続口102、加圧容器121、加圧ガス注入口122、加圧ガス管123、加圧ガスコック124、サイホン管13、排出口14が示されている。
薬剤4には消火効果の高い高粘度の消火剤が用いられ、タンク3内部に充填されている。加圧ガス注入口122はタンク3の上部前方に設けられ、加圧ガス管123によって加圧容器121と接続されている。加圧ガスコック124は加圧容器121と加圧ガス管123との間に設けられ、常時は閉じている。サイホン管13はタンク3のノズルホース接続口102に接続されたタンク3内の管で、直立状態のタンク3内底部にサイホン管13の下端が位置している。
排出口14は傾倒状態のタンク3の最下部となる位置に設けられ、常時高圧に耐えられる状態で栓がなされている。排出口14は薬剤4の入れ替えや、使用後におけるタンク3の再利用の際に、洗浄液等を排出する用途で使用される。傾倒状態でタンク3内の洗浄を行うと、タンク3上端が斜め上方を向き、さらに位置が低くなって洗浄液を入れやすいため作業がしやすく、その際に排出口14がタンク3の真下にあることで洗浄液を残らず排出可能である。また、傾倒状態では前方の脚部6が持ち上がってタンク3下部に手を入れやすくなるので、前方から容易に排出口14の栓の開閉作業等を行うことができる。
<設置された状態から薬剤4の放出まで>
文化財等の建物の火災に対応するため、可搬式消火装置1は通常時、図1,2の直立状態で設置しておく。予想される火災の規模に応じて複数個所に複数台を設置することで、散布する薬剤4の量を多くすることができ、大きな火災にも対応できる。
文化財等の建物の火災に対応するため、可搬式消火装置1は通常時、図1,2の直立状態で設置しておく。予想される火災の規模に応じて複数個所に複数台を設置することで、散布する薬剤4の量を多くすることができ、大きな火災にも対応できる。
火災が発生した際は、可搬式消火装置1を設置場所から火災現場に移動させるために、図3の傾倒状態にする。使用者は、直立状態の可搬式消火装置1の把持部7を後方に引き倒し、リンク機構8が開動作して補助タイヤ9が後方に張り出すのを確認しながらタンク3を傾倒動作させる。このとき、使用者は足等で主リンク水平部812を後方に引きあげて、補助タイヤ9の張り出しを補助してもよい。このようにして、リンク機構8は図4(a)の閉状態から、図4(b)の開状態に移行し、可搬式消火装置1は傾倒状態になる。
その後、図3に示すような傾倒状態で、可搬式消火装置1を主タイヤ5、補助タイヤ9を使って薬剤4の放出位置まで移動させる。傾倒状態の可搬式消火装置1は重心が下がって安定し、タイヤの前後が拡がることでも安定する。さらに、タンク3を後方で支える補助タイヤ9が左右にあることで、左右方向の安定性が確保され、転倒のリスクを防ぐことができる。補助タイヤ9は旋回可能であり、可搬式消火装置1を旋回させながら移動させることができる。また、前方にある主タイヤ5の径が大きいため、移動時に多少の段差があっても乗り越えやすい。さらに、狭い路地を曲がる際にはタンク3を直立状態に近い角度まで引き起こして、コンパクトな状態にして旋回することもできる。タンク3には加圧容器121が固定されているが、前方にあって横幅をとらないため、移動時に妨げとならない。
薬剤4の放出位置に到着後、使用者は可搬式消火装置1の把持部7を持ち上げてタンク3を引き起こす。引き起こしにより図4(b)の状態にあったリンク機構8が閉動作して折りたたまれ、図4(a)のように補助タイヤ9が主タイヤ5の間に収まり、可搬式消火装置1は幅をとらないコンパクトな直立状態になる。このとき、脚部6が接地することで可搬式消火装置1の位置が固定され、安定する。
次に使用者は加圧容器121の上方の加圧ガスコック124を開放し、タンク3内を加圧する。図5のように、加圧ガス注入口122がタンク3の上端にあるため、加圧ガスコック124が開放されると加圧ガスが加圧容器121から加圧ガス管123を経由してタンク3内の上部空間へ送られ、タンク3内の圧力が高まる。
使用者はその後、ノズルホルダー105からノズル103を取り出して薬剤4の放出方向に向け、ノズルレバー104を操作して薬剤4を放出する。このとき、ノズルレバー104の操作によりノズル103の弁(図示せず)が開放され、タンク3内上部の加圧ガスにより押圧された薬剤4がサイホン管13の下端からサイホン管13に流入し、ノズルホース101を通ってノズル103から放出される。
本実施例によれば、大容量のタンク3を用いた消火効果の高い消火装置を傾倒させ安定性を確保することができ、そのため容易に移動させて文化財等の建物の火災を消火できる。その上、部品がタンク3に直接取り付けられているためコンパクトで広い設置場所を要さず、狭い通路等でも容易に移動できる。また、薬剤4の放出操作が加圧ガスコック124の開放とノズルレバー104の操作だけで済むので容易に操作できる。さらに、コンパクトな直立状態で、もれなく薬剤4を放出することができるので、狭い場所でも消火活動がしやすく避難路も塞ぎにくい。使用後も排出口14により薬剤4の抜き取りや洗浄の作業を容易に行って、タンク3を再利用することができる。
図6は、本発明の実施例2における可搬式消火装置2のタンク3内部を示す図である。便宜上、タンク3のみ断面で記載し、リンク機構8等は省略している。図6にはタンク3、薬剤4、ノズルホース接続口102、加圧容器121、加圧ガス注入口122、加圧ガス管123、加圧ガスコック124、サイホン管131、排出口14が示されている。
実施例2の可搬式消火装置2では、サイホン管131は途中でタンク3後方へ屈曲している。サイホン管131の下端は傾倒動作させたタンク3内での最下部に位置している。実施例2の可搬式消火装置2の他の構成は実施例1の可搬式消火装置1と同様であり、外観も図1乃至3と同様である。
図7は本発明の実施例2における可搬式消火装置2による薬剤4の放出状態を示す図である。実施例2の可搬式消火装置2による薬剤4の放出は、傾倒状態で行う。火災発生時、使用者は直立状態で設置されていた可搬式消火装置2のリンク機構8を開動作させて傾倒させ、火災位置に移動させる。そして傾倒状態のまま加圧ガスコック124を解放してタンク3内を加圧し、ノズル103を放出方向に向け、ノズルレバー104を操作して図7のように薬剤4を放出する。
薬剤4の放出時、薬剤4上面は加圧ガスの圧力によりサイホン管131の下端の高さまで押し下げられるが、サイホン管131の下端が傾倒したタンク3の内部の最下部に位置しているため、もれなく薬剤4を放出できる。傾倒状態では安定性が増しているため、消火位置での消火活動時、ノズルホース101の操作や人や物の衝突等により力が加わった場合でも倒れにくい。また、可搬式消火装置2を立てる事なく、迅速に薬剤4を放出することができる。
本実施例によれば、大容量のタンク3を用いた消火効果の高い消火装置を傾倒させ安定性を確保することができ、そのため容易に移動させて文化財等の建物の火災を消火できる。その上、部品がタンク3に直接取り付けられているためコンパクトで広い設置場所を要さず、狭い通路等でも容易に移動できる。また、薬剤4の放出操作が加圧ガスコック124の開放とノズルレバー104の操作だけで済むので容易に操作できる。さらに、薬剤4の放出位置に到着後、傾倒状態のままもれなく薬剤4を放出することができるので、すばやい消火活動が可能である。使用後も排出口14により薬剤4の抜き取りや洗浄ができるので、タンク3を再利用することができる。
図8は、本発明の実施例3における可搬式消火装置11を示す図であり、図8(a)は直立状態での可搬式消火装置11の側面図、図8(b)は可搬式消火装置11の下部の背面を示す図である。なお便宜上、図8(b)ではリンク機構8と補助タイヤ9を省略して記載している。また、実施例1と同様の構成についは、符号の記載を省略している。
直立状態の可搬式消火装置11は、タンク3の下部に設けられた前脚部61および左右の後脚部62によって三点で支えられている。前脚部61は実施例1の脚部6と同様にタンク3下部の前方中央に溶接され、直立状態ではタンク3下部から前方に張り出して接地する。後脚部62はタンク3下部において、前脚部61からそれぞれおよそ120度後方に配置されて溶接され、直立状態ではタンク3下部から斜め後方に張り出して接地する。前脚部61,後脚部62以外の構成は実施例1の可搬式消火装置1と同様であるが、前脚部61,後脚部62は実施例1の脚部6より長い。そのため、直立状態において可搬式消火装置11は可搬式消火装置1よりも位置が高くなり、主タイヤ5と補助タイヤ9は接地せずに地面から浮いた状態となる。
使用者が把持部7を持って図8(a)右方である後方へタンク3を引き倒すと、まず後脚部62を支点にして前脚部61が持ち上がる。そしてリンク機構8が自重により開動作し、補助タイヤ9が接地し、また、主タイヤ5も接地する。さらにタンク3を引き倒すと、主タイヤ5を支点にして後脚部62が持ち上がる。このとき主タイヤ5より後方の位置にある補助タイヤ9に地面から上向きの力が加わり、これによりリンク機構8がさらに開動作し、補助タイヤ9は後方へ逃げるように移動して、主タイヤ5と補助タイヤ9は離間する。そしてリンク機構8がストッパー821の当接により固定され、傾倒状態となる。
可搬式消火装置11の傾倒状態では、前脚部61と後脚部62は共に地面から浮き、主タイヤ5と補助タイヤ9によりタンク3が支えられ、移動可能となる。
可搬式消火装置11の傾倒状態では、前脚部61と後脚部62は共に地面から浮き、主タイヤ5と補助タイヤ9によりタンク3が支えられ、移動可能となる。
傾倒状態において、使用者が把持部7を持ってタンク3を引き起こすと、主リンク81と補助タイヤ9の重みによりリンク機構8は閉動作する。そして後脚部62が接地した後、主タイヤ5と補助タイヤ9が浮き上がり、さらに前脚部61が接地して可搬式消火装置11は直立状態になる。設置場所への設置や、薬剤4の放出時には実施例1の可搬式消火装置1と同様に可搬式消火装置11を直立状態にして位置を固定する。
本実施例によれば、溶接された前脚部61および左右の後脚部62の接地により直立状態のタンク3を支えるので、消火活動の際や設置場所において可搬式消火装置11が動いてしまうことがない。また、タンク3を傾けて、リンク機構8を開動作させ始めた後に補助タイヤ9が接地するので、補助タイヤ9の後方移動によるリンク機構8の開動作が容易になる。
上記の実施例1乃至3では薬剤4を高粘度の消火剤としたが、泡消火剤や他の消火剤でもよい。高粘度の消火剤や泡消火剤等は、着火していない建物等に散布して延焼防止に用いてもよい。また、補助タイヤ9を1つにしたり、リンク機構8を左右に設けたりしてもよい。さらに、実施例1乃至3では、傾倒角度を制限するためにストッパー821を備えた金属板の第一リンク82,第二リンク83を設けたが、金属板でなくパイプなどとしてもよく、第一リンク82,第二リンク83の代わりにチェーンやワイヤーを用いてもよい。また、実施例2のサイホン管131は途中で屈曲しているが、傾倒状態のタンク3内の上端から最下部まで直線的な管であってもよい。実施例2において、傾斜地での消火作業時にタイヤが動かないように、主タイヤ5等にブレーキを設けてもよい。主タイヤ5の直径は小さくてもよいが、移動時に段差を乗り越えやすくするため200〜400mmとすることが好ましい。
また、実施例1,2の直立状態において、補助タイヤ9が接地せずに地面から浮いているようにしてもよい。これにより使用者による傾倒動作時、補助タイヤ9が接地する前にリンク機構8が自重により開動作を始めるので、補助タイヤ9の接地後の後方移動によるリンク機構8の開動作が容易になる。なお、実施例1〜3においては、自重で開動作を始めるものとしたが、自重で落ちないようにロック機構を設けても良い。これにより、利用者がリンク機構8を開かずに持ち運びたい場合でも対応可能となる。実施例3においても、直立状態における補助タイヤ9の位置が高くなるように、主リンク下垂部811を短くしたり、主ジョイント84の位置を高くしたりしてもよい。実施例3の可搬式消火装置11は、実施例1の可搬式消火装置1の脚部6の替わりに前脚部61と後脚部62を取り付けたものであるが、実施例2の可搬式消火装置2に前脚部61と後脚部62を取り付けてもよい。この場合、薬剤4の放出は実施例2と同様に傾倒状態で行う。実施例3ではタンク3を支える脚は3本であるが、4本や5本以上でもよい。またリング状や円錐状のように繋がっていてもよい。
1,2,11 可搬式消火装置、3 タンク、31 タンク後面、4 薬剤、5 主タイヤ、51 車軸、52 車軸受、6 脚部、61 前脚部、62 後脚部、7 把持部、8 リンク機構、81 主リンク、811 主リンク下垂部、812 主リンク水平部、82 第一リンク、821 ストッパー、83 第二リンク、84 主ジョイント、85 第一ジョイント、86 第二ジョイント、87 中間ジョイント、9 補助タイヤ、101 ノズルホース、102 ノズルホース接続口、103 ノズル、104 ノズルレバー、105 ノズルホルダー、121 加圧容器、122 加圧ガス注入口、123 加圧ガス管、124 加圧ガスコック、13,131 サイホン管、14 排出口
Claims (4)
- 薬剤を封入するタンクと、
前記タンクに設けられた把持部と、
前記タンクに設けられた第1のタイヤと、
前記タンクに設けられたリンク機構と、
前記リンク機構に設けられた第2のタイヤと、を備え、
前記リンク機構が開動作することにより前記第1のタイヤと前記第2のタイヤが離間し、前記タンクを傾倒することを特徴とする可搬式消火装置。 - 前記タンクは、前記タンクの内部を加圧するための加圧ガスを収容する加圧容器を備え、
前記タンクの中心からみて前記リンク機構と対向する方向に、前記加圧容器が設けられていることを特徴とする請求項1の可搬式消火装置。 - 前記タンクの底部に前記薬剤を排出可能な排出口を備え、
前記排出口は、前記リンク機構が開いた状態で前記排出口が前記タンクの真下に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の可搬式消火装置。 - 前記タンクは前記薬剤を前記タンク内から外部に放出するサイホン管を備え、
前記サイホン管は、前記タンクを傾倒動作させた状態で前記タンクの底部に下端が位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可搬式消火装置。
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021083690A (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | 能美防災株式会社 | 薬剤放出装置 |
JP2022056504A (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-11 | 能美防災株式会社 | 薬剤放出装置 |
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2017
- 2017-10-30 JP JP2017209044A patent/JP2019080707A/ja active Pending
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