JP2019078588A - 体液接触用酵素電極、生体センサ、およびその製造方法 - Google Patents

体液接触用酵素電極、生体センサ、およびその製造方法 Download PDF

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JP2019078588A JP2017204418A JP2017204418A JP2019078588A JP 2019078588 A JP2019078588 A JP 2019078588A JP 2017204418 A JP2017204418 A JP 2017204418A JP 2017204418 A JP2017204418 A JP 2017204418A JP 2019078588 A JP2019078588 A JP 2019078588A
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荻原直人
Naoto Ogiwara
小久保奈津子
natsuko Kokubo
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Abstract

【課題】生理活性物質の分析のための生体センサに表面における体液タンパクの吸着や血栓の形成による感度低下を抑制できる体液接触用酵素電極の提供、および体液接触用酵素電極を用いた生体センサの提供。【解決手段】作用電極14の体液接触面に酵素を含む層22を担持する体液接触用酵素電極であって、酵素を含む層が、アミンオキシド基を含むポリマーAと、酸化還元酵素とを含む、体液接触用酵素電極。【選択図】図1

Description

本発明は、生体センサ向けの体液接触用酵素電極、前記体液接触用酵素電極を用いた生体センサ、および生体センサの製造方法に関する。詳しくは、体液タンパクの吸着や血栓の形成による使用中の感度低下を抑制できる体液接触用酵素電極に関する。
従来から、酵素や抗体など、生体高分子の高度な特異反応を利用して電気信号を発生させ、目的物質を選択的に検出する生体センサが開発されている。また、これら生体センサを用いることにより、生体の生理活性物質の分析の応用研究がおこなわれている。
例えば、特許文献1には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCモノマーという)と他のモノマーとの共重合体を内表面に有することを特徴とした生化学的分析用反応容器が開示されている。特許文献2には、MPCモノマーを用いた共重合体をポリオレフィン繊維に付着させた血液成分濾過フィルターやタンパク質濾過フィルターなどの医療用品が開示されている。また、特許文献3には、MPCモノマーを用いた共重合体をキャピラリ電気泳動の内壁にコートした装置が開示されている。このように、ホスホリルコリル基を含む高分子化合物は既に生物医療用材料や機器の表面に使用されており、このようなポリマーは血液、涙や尿などの体液と接触する際に発生する異物反応を抑制できることが知られている。
また、特許文献4には、電極表面に酸化還元酵素と親水性高分子および電子受容体の混合物からなる酵素反応層を設けた生体センサが開示されている。また、特許文献5には、作用電極と、前記作用電極表面に、疎水性高分子媒体中に分散した電子受容体を含有する多孔性電荷移動媒体層と、前記多孔性電荷移動媒体層上に設けられ、親水性高分子中に酸化還元酵素を固定化した酵素反応層とを備えることを特徴とした生体センサが開示されている。
特許文献1:特開平7−5177号公報
特許文献2:特開2005−6704号公報
特許文献3:特開2009−281879号公報
特許文献4:特開平3−202764号公報
特許文献5:特開2004−294231号公報
しかし、特許文献1〜3に開示される共重合体は、原料であるMPCモノマー合成時に複数の反応やそれに伴う精製が必要であるなど生産性に問題を有していた。また、MPCモノマーは共重合可能なモノマーが限られており、コーティング適性(加工性)に優れる重合体を調製することが難しいという課題があった。
また、特許文献4では親水性高分子としてポリビニルピロリドンやゼラチン、カルボキシメチルセルロースを用いることが提案され、特許文献5では親水性高分子としてポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックスを用いることが提案されている。しかし、測定対象液中にタンパク質や赤血球などの生体物質が含まれる場合、前記生体物質が電極上の酵素反応層表面へ付着するため、最終的に電極反応が影響されてしまうなどの問題があった。
本発明は、生理活性物質の分析のための生体センサの表面における体液タンパクの吸着や血栓の形成による感度低下を抑制できる体液接触用酵素電極の提供、および前記体液接触用酵素電極を用いた生体センサの提供を目的とする。
そこで、前記目的に鑑み鋭意検討した結果、本発明者らはアミンオキシド基を含むポリマー(A)と酸化還元酵素とを含有する組成物を、作用電極の体液接触面に担持させることによって、前記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1] 作用電極の体液接触面に酵素を含む層を担持する体液接触用酵素電極であって、
前記酵素を含む層が、
アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、
酸化還元酵素とを含む、
体液接触用酵素電極。
[2] 前記ポリマー(A)が、ビニル系ポリマー(A1)およびウレタン系ポリマー(A2)からなる群より選ばれることを特徴とする前記[1]記載の体液接触用酵素電極。
[3] 前記ポリマー(A)が、3級アミノ基を有するポリマーと酸化剤との反応生成物であるか、
または、
アミンオキシド基を有するモノマーと他のモノマーとを重合してなるポリマーであることを特徴とする、前記[1]または[2]記載の体液接触用酵素電極。
[4] 前記ビニル系ポリマー(A1)が、下記一般式(1)〜(3)で示される少なくともいずれかの構造を有することを特徴とする、前記[2]または[3]記載の体液接触用酵素電極。
(式中、
Xは2価の結合基、または直接結合、
yは0または1、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は水素原子またはメチル基、
〜Rのうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
*はビニル系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
[5] 前記ウレタン系ポリマー(A2)が、下記一般式(4)〜(6)で示される少なくともいずれかの構造を有することを特徴とする、前記[2]または[3]記載の体液接触用酵素電極。
(式中、
10、R12 15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
11 13、R14、R16、R17はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
YはOまたはNを表し、
**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
[6] 作用電極と酵素を含む層との間に、電子受容体を含む層がさらに配置されている、前記[1]〜[5]のいずれか1項記載の体液接触用酵素電極。
[7] 電子受容体を含む層が、
アミンオキシド基を含むポリマー(A)を、さらに含む、前記[6]記載の体液接触用酵素電極。
[8] 酵素を含む層が電子受容体をさらに含むか、もしくは酵素を含む層上に電子受容体をさらに担持する、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の体液接触用酵素電極。
[9] 基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する生体センサであって、
前記体液接触用酵素電極が、前記[1]〜[8]いずれか1項に記載の体液接触用酵素電極で
ある、生体センサ。
[10] 対電極の体液接触面に、
アミンオキシド基を含むポリマー(A)を含む層が、
さらに配置されている、
前記[9]記載の生体センサ。
[11] 基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する生体センサでの
製造方法であって、
前記基材上に設けられた作用電極上に、
アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、酸化還元酵素とを含有するコーティング剤を塗工する工程と、
塗工後、コーティング剤を乾燥又は硬化し、体液接触用酵素電極を形成する工程とを含む、
生体センサの製造方法。
[12] 基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する生体センサでの製造方法であって、
前記基材上に設けられた作用電極上に、電子受容体を含む層を設ける工程と、
前記電子受容媒体を含む層上に、アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、酸化還元酵素とを含有するコーティング剤を塗工する工程と、
塗工後、コーティング剤を乾燥又は硬化し、体液接触用酵素電極を形成する工程とを含む、
生体センサの製造方法。
本発明の体液接触用酵素電極には、生体成分が吸着しにくく、血液の凝固反応を抑制することができる。そのため、種々の生体関連物質の分析等に使用することにより、再現性良く高精度の分析値を得ることができる。つまり、体液中のタンパク質等の非特異吸着などを防止することができるため、高感度な分析が可能となる。
図1は、本発明の生体センサの模式的断面図を表す。 図2は、本発明の別の態様の生体センサの模式的断面図を表す。 図3は、本発明の別の態様の生体センサの模式的断面図を表す。
1.体液接触用酵素電極
本発明の体液接触用酵素電極は、作用電極の体液接触面に酵素を含む層を担持する。酵素を含む層は、アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、後述する酸化還元酵素とを含む。
後述するように本発明の体液接触用酵素電極は、作用電極と酵素を含む層との間に、電子受容体を含む層がさらに設けられていたり、酵素を含む層が電子受容媒体をさらに含有したり、あるいは酵素を含む層上に電子受容体をさらに担持したりすることができる。
電気化学反応の点からは作用電極と酵素を含む層との間に、電子受容体を含む層を設けることが好ましく、体液接触用酵素電極および生体センサの生産性の点からは酵素を含む層が電子受容体をさらに含有することが好ましい。また、酵素と電子受容体を混合していると、試料液が供給されると速やかに反応が始まるため、測定時間の短縮も可能となる。
[[アミンオキシド基を含むポリマー(A)]]
本発明においてポリマー(A)は、アミンオキシド基を有するポリマーである。アミンオキシド基のイメージを下記式(7)にて示す。式中、R18、R19、R20は、それぞれ独立に有機基を表す。ポリマー(A)は、体液タンパクの吸着や血栓の形成による感度低下を抑制する機能を担う。
アミンオキシド基を有するポリマー(A)は、前記R18、R19、R20のうち、少なくとも1つがポリマーに連結している。アミンオキシド基を有することで親水性に富み、タンパク質等の吸着を抑制できる。
ポリマー(A)の種類は、ビニル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられ、特に限定されないが、ビニル系ポリマー、またはウレタン系ポリマーが好ましい。
本発明において、アミンオキシド基を有するポリマーは、以下のような2つの方法で得ることができる。即ち、アミンオキシド基を有するモノマーと他のモノマーとを重合して、アミンオキシド基を有するポリマーを得ることができる。
あるいは、アミンオキシド基の前駆官能基とでもいうべき3級アミノ基を有するポリマーを得た後、前記3級アミノ基に酸化剤を反応させ、ポリマーにアミンオキシド基を導入することができ、副反応を生じ難いという点で後者の方法が好ましい。なお、3級アミノ基に酸化剤を反応させることを、以下「オキシド化」ともいう。
<ビニル系ポリマー(A1)>
ビニル系ポリマー(A1)としては、具体的には、下記一般式(1)〜(3)で表される少なくともいずれかの構造を含むものであることが好ましく、中でも一般式(1)で表される構造を含むものが特に好ましい。

(式中、
Xは2価の結合基、または直接結合、
yは0または1、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は水素原子またはメチル基、
〜Rのうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
*はビニル系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
このような構造を有するビニル系ポリマー(A1)は、前述の通り、2つの方法で得ることができる。
即ち、3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)をオキシド化した後に、他のモノマーと重合するか、あるいは3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)と他のモノマーとを重合した後にオキシド化する方法である。
<3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)>
オキシド化前の前駆体としての3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)のうち、式(1)の構造を形成するためものとしては、
例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸ビニル、N,N−ジエチルアミノプロピオン酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアリルアミン、p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジメチルビニルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N,N−ジフェニルビニルアミン、或いは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和基含有酸無水物と、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン等との反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物とN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン等との反応生成物等が挙げられる。
式(2)の構造を形成するためのものとしては、例えば、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、4−メチル−1−ビニルイミダゾール、5−メチル−1−ビニルイミダゾール、2−ラウリル−1−ビニルイミダゾール、4−(t−ブチル)−1−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
式(3)の構造を形成するためのものとしては、例えば、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−3−ビニルピリジン、2−メチル−4−ビニルピリジン、3−メチル−4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、4−メチル−5−ビニルピリジン、2−ラウリル−4−ビニルピリジン、2−ラウリル−5−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−4−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−5−ビニルピリジン等が挙げられる。
<不飽和モノマー(a100)>
ビニル系ポリマー(A1)を得る際に、前記モノマー(a1)の他に、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有するモノマー(a100)を用いることができる。モノマー(a100)に基づく構造の導入により極性等を調整することで、ポリマー(A)の溶解性や塗工性の向上が期待できる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有するモノマー(a100)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等や、1−プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和モノマーなどが挙げられる。モノマー(a100)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
<不飽和モノマー(a200)>
本発明におけるビニル系ポリマー(A1)は、モノマー(a1)、(a100)に加えて、エチレン性不飽和基を有するその他のモノマー(a200)に基づく構造をさらに有してもよい。
このモノマー(a200)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、などの水酸基を有するモノマー;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステルなどのカルボン酸基、もしくはその無水物、もしくはそれらカルボン酸基や酸無水物をアミン等で中和した基を有するモノマー;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基、もしくはそれらスルホン酸基をアミン等で中和した基を有するモノマー;
(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有するモノマー;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライドなどの1〜4級アミン基を有するモノマー;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するモノマー;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和モノマー;
ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物などの側鎖に高分子構造を有する(メタ)アクリレート系モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニルモノマー;
(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和モノマー;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;
ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和モノマー;
酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリルモノマー;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニルモノマー;
アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニルモノマー;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物等の、(メタ)アクリレートではないエチレン性不飽和結合を有するモノマー;
などが挙げられる。
本発明において、その他のモノマー(a200)の有するエチレン性不飽和基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基もしくは芳香族ビニル基であることが好ましい。また、生体適合性の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレートが好ましい。モノマー(a200)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
重合前のオキシド化、重合後のオキシド化について説明する。
重合前は3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)を含む溶液に、重合後は3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)を必須とするモノマーを重合したポリマーを含む溶液に、オキシド化剤を加えて20℃〜100℃の範囲で0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間反応させることによって、3級アミノ基をオキシド化することができる。
オキシド化剤としては、過酸化物又はオゾン等の酸化剤が用いられる。
過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等が挙げられ、過酸化水素が好ましく、通常は水溶液の形で用いられる。程度の違いはあるが、過酸化物にはラジカル発生剤としての機能もあるので、3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)を必須の原料とするビニル系ポリマーの場合には、重合後にオキシド化することが好ましい。また、後述するウレタン系ポリマーの場合にも副反応が生じないように、重合後にオキシド化することが好ましい。
一般的にはオキシド化剤の使用量は、オキシド化可能な官能基、即ち、3級アミノ基に対して、0.2〜3倍モル当量の割合で使用し、更に0.5〜2倍モル当量使用するのがより好ましい。
得られたポリマー溶液は、残存した過酸化物を公知の方法で処理した後、使用することもできる。具体的には還元剤添加処理、イオン交換処理、活性炭処理、金属触媒による処理等があげられる。
得られたポリマー溶液はそのまま使用することもできるが、必要に応じて再沈殿、溶媒留去等の公知の方法でアミンオキシド基含有ポリマーを単離して使用することも出来る。また、単離したアミンオキシド基含有ポリマーは、必要ならば再沈殿や、溶剤洗浄、膜分離、吸着処理等によってさらに精製できる。
本発明におけるビニル系ポリマーとしては、前述の如く、3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)をオキシド化した後に他のモノマーと重合したもの、及び、3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)を必須とするモノマーを重合し、ポリマーを得た後にオキシド化したものの外、モノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物や2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有不飽和化合物と、ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド基含有化合物との反応生成物を用いて共重合したものも用いることができる。
<ウレタン系ポリマー(A2)>
本発明におけるウレタン系ポリマー(A2)としては、具体的には、下記一般式(4)(5)(6)で表される構造を含むものであるのが好ましい。
(式中、
10、R12、R15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
11、R13、R14、R16、R17はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
YはOまたはNを表し、
**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
また、本発明におけるウレタン系ポリマー(A2)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入源となるモノマーとを必須成分とし、必要に応じて用いられるポリアミン成分や単官能の水酸基成分や単官能のアミン成分との反応生成物である。
本発明において、前記構造を含むウレタン系ポリマー(A2)は、前記構造を形成するための前駆体としての3級アミノ基含有モノマー(a2)をオキシド化した後に重合するか、又は、前記構造を形成するための前駆体としての3級アミノ基含有モノマー(a2)を重合して3級アミノ基を有するポリマーを得た後、前記ポリマーをオキシド化するか等の、いずれの方法によって得られたものであってもよい。
ここで、オキシド化前の前駆体としての3級アミノ基含有モノマー(a2)としては、炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオールが挙げられる。例えば、N−アルキルジアルカノールアミン、N,N−ジアルキルモノアルカノールアミンが挙げられる。
N−アルキルジアルカノールアミンとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミンが挙げられる。
N,N−ジアルキルモノアルカノールアミンとしては、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンが挙げられる。
その他、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンジルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシルアミン、ジエタノール−p−トルイジン、ジイソプロパノール−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−クロロアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−ピリジンカルボアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−α−アミノピリジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、3−ジエチルアミノプロパン−1,2−ジオール、3−ジメチルアミノプロパン−1,2−ジオール等が、3級アミノ基含有モノマーとして挙げられる。
[ポリオール成分]
ポリオール成分は特に限定されるものではないが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類や、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオールまたはポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物等が挙げられる。
[ポリイソシアネート成分]
ポリイソシアネート成分としては特に限定されるものではないが、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートにトリメチロールプロパンのような3官能のアルコールを付加してなるいわゆるアダクト体、上記ポリイソシアネートと水とが反応したビュウレット体、上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート環を形成してなる三量体等も併用することができる。前述の多価アルコールポリエーテル付加物とジイソシアネートとの反応物もポリイソシアネート成分として使用することができる。
[ポリアミン成分]
ウレタン系ポリマー(A2)を得る際には、必要に応じてポリアミン成分を用いることが出来る。ポリアミン成分としては、例えば、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを挙げることができる。イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
[単官能の水酸基成分]
ウレタン系ポリマー(A2)を得る際に末端停止剤の1つとして用いられる単官能の水酸基成分としては特に限定はなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができる。
[単官能のアミン成分]
単官能の水酸基成分と同様に末端停止剤の1つとして用いられる単官能のアミン成分としては特に限定はなく、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
これら単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を末端封止剤として用いることで、ウレタン系ポリマーの経時安定性を向上させることが出来る。
本発明においてウレタン系ポリマー(A2)の調製は、必須成分であるポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入原となるモノマーとを、必要に応じて用いられるポリアミン成分や単官能の水酸基成分や単官能のアミン成分の全ての成分を同時に反応させてもよいし(ワンショット法)、逐次的に反応させてもよい。所望のウレタン系ポリマー(A2)を主たる生成物として確実に生成させるために、少なくともこれらの成分のいずれかを逐次的に反応させる逐次反応が好ましい。逐次反応によってウレタン系ポリマー(A2)を調製する場合、例えば、次の方法を適用することが出来る。
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入原となるモノマーとをポリイソシアネート成分過剰の条件下に反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程、次いで上記ウレタンプレポリマーとポリアミン成分とを反応させて、末端がイソシアネート基であるポリウレタンポリウレアを得る工程、最後に、残るイソシアネート基と単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を反応させる工程を含む方法。
なお、逐次反応の進め方は、先に例示した方法に限定されるものではない。
本発明のウレタン系ポリマー(A2)は、原料を無溶剤下で反応させて製造しても、有機溶剤中で反応させて製造しても良い。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物などの各種溶剤を使用することができる。
また、ウレタン系ポリマーの合成時には、必要に応じて触媒を添加することができ、たとえばジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入原となるモノマーとを、有機溶剤中で触媒の存在下に120℃以下で反応させて得ることが好ましく、70〜110℃で1〜20時間反応させることがより好ましい。110℃よりも高温にすると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得にくくなる。
イソシアネート基とポリアミン成分との反応は、有機溶剤中で60℃以下で行うことが好ましい。それより高温だと反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタン系ポリマーが得にくくなる。
<アミンオキシド基含有量>
親水性に富むアミンオキシド基の導入により、ポリマー(A)を水溶性とすることができ、アミンオキシド基が少ない場合には、親水性に富む他の官能基や他の構造を導入することによりポリマー(A)を水溶性とすることもできる。親水性に富む他の官能基や他の構造としては、ポリエチレンオキサイド鎖やカルボキシル基をアミン等で中和した構造などが挙げられる。
本発明におけるポリマー(A)のアミンオキシド基含有量は、0.25〜5.7mmol/gであることが好ましく、0.3〜5.3mmol/gであることがより好ましい。0.25mmol/g以上であることにより、生体適合性が向上し、出来、5.7mmol/g以下であることにより、保存安定性を向上できる。
アミンオキシド基を有するモノマーを重合してポリマー(A)を得る場合、ポリマー(A)中のアミンオキシド基含有量は、重合に用いたアミンオキシド基を有するモノマーの量から求めることができる。一方、3級アミノ基含有モノマーを必須とするモノマーを重合した後、得られたポリマーをオキシド化する場合は、下記数1によって算出できる。

<分子量>
ポリマー(A)の質量平均分子量は、取り扱い性および作用電極へ塗布する観点から、3,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは、5,000〜500,000である。
ポリマー(A)の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用する。測定装置および測定条件としては、下記条件1によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2とすることを許容する。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア(溶離液)およびそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照することとする。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定することとする。また、ポリマー(A)の分子量測定が困難な場合は、アミンオキシド前駆体ポリマーの質量平均分子量をポリマー(A)の質量平均分子量とすることが出来る。アミンオキシド前駆体ポリマーの質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用し、測定装置および測定条件としては、下記条件3によることを基本とする。
(条件1)
カラム:TOSOHTSKgelSuperHZM−H、
TOSOHTSKgelSuperHZ4000、
TOSOHTSKgelSuperHZ2000
をつないだカラムを用いる
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本つなげる
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件3)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAW4000、
TOSOHTSKgelSuperAW3000、
TOSOHTSKgelSuperAW2500をつないだカラムを用いる
キャリア:N,N−ジメチルホルムアミド(1L)、トリエチルアミン(3.04g)、LiBr(0.87g)の混合液
測定温度:40℃
キャリア流量:0.6ml/min
<水酸基価の測定方法>
JISK−1557記載の方法により求めることができる。
[[酸化還元酵素]]
次に本発明の体液接触用酵素電極において酵素を含む層に含まれる酸化還元酵素について説明する。
酸化還元酵素は、検出しようとする成分によって適宜選択される。
例えば、
検出対象成分がアルコールである場合には、酵素としてアルコールオキシダーゼやアルコールデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がグルコースである場合には、酵素としてβ−D−グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がコレステロールである場合には、酵素としてコレステロールオキシダーゼやコレステロールデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がホスファチジルコリンである場合には、酵素としてホスホリパーゼ及びコリンオキシダーゼを用い、
検出対象成分が尿素である場合には、酵素としてウレアーゼを用い、
検出対象成分が尿酸である場合には、酵素としてウリカーゼを用い、
検出対象成分が乳酸である場合には、酵素として乳酸デヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分が蓚酸である場合には、酵素として蓚酸デカルボキシラーゼを用い、
検出対象成分がピルビン酸である場合には、酵素としてピルビン酸オキシダーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がアスコルビン酸である場合には、酵素としてアスコルビン酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分が乳酸である場合には、酵素として乳酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分がキサンチンである場合には、酵素としてキサンチンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がフルクトースである場合には、酵素としてフルクトースデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がクレアチンである場合には、酵素としてクレアチンホスホキナーゼ、クレアチンキナーゼを用い、
検出対象成分がグリセロールである場合には、酵素としてグリセロールオキシダーゼを用い、
検出対象成分がアシル-コエンザイムAである場合には、酵素としてアシル-コエンザイムAオキシダーゼを用い、
検出対象成分がチラミンである場合には、酵素としてチラミンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がアミノ酸である場合には、酵素としてアミノ酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分がグリコレートである場合には、酵素としてグリコレートオキシダーゼを用い、
検出対象成分がビリルビンである場合には、酵素としてビリルビンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がガラクトースである場合には、酵素としてガラクトースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がピリドキサールである場合には、酵素としてピリドキサール−4−オキシダーゼを用い、
検出対象成分がソルボースである場合には、酵素としてソルボースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がグロノラクトースである場合には、酵素としてグロノラクトースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がトリメチルアミンである場合には、酵素としてフラビン含有モノオキシダーゼを用いる。
[[電子受容体]]
前述したように本発明の体液接触用酵素電極は、作用電極と酵素を含む層との間に、電子受容媒体を含む層がさらに設けられていたり、酵素を含む層が電子受容媒体をさらに含有したり、あるいは酵素を含む層上に電子受容体をさらに担持したりすることができる。
作用電極と酵素を含む層との間に、電子受容媒体を含む層がさらに設けられる場合、前記電子受容媒体を含む層は、酵素を含む層と同様に、アミンオキシド基を含むポリマー(A)を含むことが好ましい。
電子受容体は、酵素等の生体触媒の反応に応じて酸化又は還元される低分子の酸化還元物質であり、生体触媒と作用電極との間の電子移動を媒介する。したがって、電子受容体は、酵素等の生体触媒と電子を授受することができるとともに、作用電極とも電子を授受することができる物質である限り何れも使用することができる。
本発明において用いることのできる電子受容体としては、一重結合と二重結合が交互に並んだπ共役系化合物であることが好ましい。例えば、特に限定されるものではないが、5-メチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンメトスルファート:PMS)、5-エチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンエトスルファート:PES)等、のフェナジン系化合物、フェノチアジン系化合物、フェリシアン化カリウム等のフェリシアン化物、フェロセンやジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸等のフェロセン系化合物、ナフトキノン、アントラキノン、ハイロドキノン、ピロロキノリンキノン等のキノン系化合物、シトクロム系化合物、ベンジルビオロゲンやメチルビオロゲン等のビオロゲン系化合物、ジクロロフェノールインドフェノール等のインドフェノール系化合物等が挙げられる。
例えば、本発明において、血液中のグルコース濃度を測定する場合、グルコースオキシダーゼの作用により、作用電極と対電極との間に必要な電位が印加されたときに試料液中のグルコースがグルコン酸に酸化され、過酸化水素が発生する。このときフェリシアン化カリウム、フェロセン、1,1’−ジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸及びフェロセンカルボキシアルデヒド等のフェロセン誘導体、ハイドロキノン、クロラニル及びブロマニル等のキノン類、または、フェリシアンイオン、オクタシアノタングステン酸イオン及びオクタシアノモリブデン酸イオン等の金属錯体イオンのようなメディエータを用いると、グルコースの濃度に比例した電流を選択的且つ高感度に検知できる。
2.生体センサ
本発明の生体センサは、基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する。前記体液接触用酵素電極は、前述した本発明の体液接触用酵素電極である、図1は本発明の生体センサの実施態様の一例(断面図)である。
符号10はポリエステルやPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂で作られた絶縁性基板であり、この上に下地リード電極12が形成されている。リード電極12上には、導電性カーボンペーストなどで形成した電極14,16が設けられ、この一方の電極14は作用電極として用いられ、他方の電極16は対電極となる。
作用電極14上には電子受容体を含む層20、および酵素を含む層22が設けられている。酵素を含む層22は、アミンオキシド基を含むポリマー(A)と酸化還元酵素とを含む。酵素を含む層22は、アミンオキシド基を含むポリマー(A)と酸化還元酵素とを混合してなるコーティング剤を塗工し、塗工後、コーティング剤を乾燥又は硬化したり、アミンオキシド基を含むポリマー(A)を含むコーティング剤と酸化還元酵素とを含むコーティング剤とをそれぞれ順番にまたは同時に塗工し、塗工後、乾燥又は硬化したりすることによって、形成することができる。塗工は滴下をも含む。
符号18は、作用電極14,対電極16間を絶縁する絶縁層であり、作用電極14,対電極16に対応する位置に開口部を有する。
前記開口部に体液を滴下するなどして供給し、下地リード電極12を通じて、前記電極間に電位を印加し、体液中の検出対象の濃度を測定する。
なお、酵素を含む層22の場合と同様に、電子受容体を含む層20も電子受容体とその他の材料(例えば、アミンオキシド基を含むポリマー(A)とを予め混合した得られたコーティング液を作用電極14上に塗工してもよいし、電子受容体を含むコーティング液とアミンオキシド基を含むポリマー(A)等を含むコーティング液とを別々に用意しておき、作用電極14上に順次または同時に塗工してもよい。
図2は本発明の生体センサの他の実施態様の一例(断面図)である。図2の場合、作用電極14上には、ブロック重合体と酸化還元酵素と電子受容体とを含む層23が設けられている。
酵素を含む層に含まれるアミンオキシド基を含むポリマー(A)は、血漿タンパクや血小板等の検出対象成分を付着し難いので、生体センサの作用電極14の形成に好適であり、安定した応答が得られる。さらに、アミンオキシド基を含むポリマー(A)は、対電極16の形成や図3に示す流路26の内面塗工にも用いることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を表し、molとは物質量を表し、mol%は全モノマー中の物質量の割合を表す。
[製造例1]
<アミンオキシド基を含むポリマー(A)の調製>
<ビニル系ポリマー(A1)の調製>
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、酢酸エチル100部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、2,2’−アゾジイソブチロニトリルを1.5部、モノマー(a1)としてN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを40部、モノマー(a100)としてブチルメタアクリレートを60部混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して3級アミノ基を有するポリマーの溶液を得た。
次に、得られた3級アミノ基を有するポリマーの溶液に、オキシド化剤として35%過酸化水素水を24.7部(用いたN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートと等モル量)加え、70℃で16時間反応させることでアミノ基のオキシド化を行った。アミンオキシド変換率が98%を超えたことを確認後、冷却して取り出し、その後、ダイヤフラムポンプで溶媒を完全に揮発させ、ビニル系ポリマー(A1−1)を得た。
なお上記、アミンオキシド変換率は特開平10−182589に開示される方法に従い判断した。
得られたポリマーのアミンオキシド基含有量は、加えたN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート量と上述の数1から2.44mmol/gであった。また得られたポリマー(A)の質量平均分子量は32000であった。
[製造例2〜9]
表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で製造例2〜9のビニル系ポリマー(A1−2)〜(A1−9)を合成した。
[比較製造例1]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール98.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ブチルメタクリレート20部、スチレン50部、アクリル酸30部、および2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)3部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、室温まで冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプで1−ブタノールを除去し、比較用の共重合体(AH−1)が得られ、その重量平均分子量は34000だった。

表中の記号は以下の通り。
DMAEMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DEAEMA:N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート
DMAPAA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
VP:2−ビニルピリジン
VI:1−ビニルイミダゾール
LMA:ラウリルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
St:スチレン
AA:アクリル酸
MEA:2−メトキシエチルアクリレート
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
HPO:35%過酸化水素水
<ウレタン系ポリマー(A2)の調製>
[製造例10]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、3級アミノ基を有するモノマーとしてN−メチルジエタノールアミンを10部、ポリオール成分としてサンニックスPP4000(水酸基価:26.8KOHmg/g、三洋化成株式会社製)を87.9部、ポリイソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネートを19.6部仕込み、窒素気流下、撹拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.002部を投入し、110℃で3時間反応させた。
その後、温度を40℃に低下し、ポリアミン成分としてイソホロンジアミン13.8部を2時間かけて滴下し、鎖延長反応を行った。さらに末端停止剤としてヘキシルアミンを0.38部加え、40℃で30分反応させることで、アミンオキシド前駆体ポリマー、即ち3級アミノ基を有するポリマーの溶液を得た。
次に、得られた3級アミノ基を有するポリマーの溶液に、オキシド化剤として35%過酸化水素水を8.2部(用いたN−メチルジエタノールアミンと等モル量)加え、70℃で16時間反応させることでアミノ基のオキシド化を行った。アミンオキシド変換率が98%を超えたことを確認後、冷却して取り出し、その後、ダイヤフラムポンプで溶媒を完全に揮発させ、ウレタン系ポリマー(A2−1)を得た。
得られたポリマーのアミンオキシド基含有量は、加えたN−メチルジエタノールアミン量と上述の式1から0.63mmol/gであった。また、得られたウレタン系ポリマー(A2−1)の質量平均分子量は、136000であった。
[製造例11〜15]、[比較製造例2]
表2に示す配合組成で、製造例10と同様の方法で製造例11〜15のウレタン系ポリマー(A2−2)〜(A2−6)、比較製造例2の(AH−2)を合成した。

表中の記号は以下の通り。
MDEA:N−メチルジエタノールアミン
EDEA:N−エチルジエタノールアミン
DMAP:3−ジメチルアミノプロパン−1,2−ジオール
PP4000:サンニックスPP4000(ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価:26.8KOHmg/g、三洋化成工業株式会社製)
P4010:クラレポリオールP4010(脂肪族系ポリエステルポリオール、水酸基価28KOHmg/g、株式会社クラレ社製)
GI−3000:両末端水酸基水素化ポリブタジエン(水酸基価:27.7KOHmg/g、日本曹達株式会社製)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
BDA:1,4−ブタンジアミン
HA:ヘキシルアミン
HPO:35%過酸化水素水
[実施例1〜15]
<体液成分の非吸着性の予備評価>
製造例1〜15のポリマー10部に、酸化還元酵素としてグルコースオキシダーゼ(以下、GODという)をリン酸緩衝液(以下、PBSという)に溶解した溶液(GOD濃度:1500unit/mL)1部、および水を加え、各ブロック重合体の濃度が20%になるように調製し、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムに2000rpm10秒の条件でスピンコートし、乾燥した。
これを試験対象として、各ポリマーに対する体液成分の非吸着性等を後述する方法(1)〜(3)に従い予備評価した。別途、後述する方法(4)に従い、製造例1〜15の各ポリマーと酸化還元酵素とを含有する組成物について生体センサ用の体液接触用酵素電極としての性能を評価した。
なお、比較製造例1,2のポリマーに関しては、イオン交換水に不溶であったため、後述する<血小板粘着性評価><抗血栓性評価><タンパク質吸着性評価><グルコース分析用センサの応答感度評価>は行っていない。
(1)<血小板粘着性評価>
上記試験対象を15mmφに打ち抜き(試験片)、24ウェルプレートにシリコーンリングで固定し、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSという。)を各ウェルにそれぞれ1ml添加して、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、ヒト血小板多血漿を各ウェルにそれぞれ0.7ml加えて37℃で3時間培養する。
培養後、各ウェルから試験片を取り出し、PBSで3回リンスし、2.5%グルタルアルデヒド溶液にて1時間固定化を行う。固定化後、試験片をエタノール水溶液で脱水して、凍結乾燥後、金蒸着をする。これを走査型顕微鏡で観察し、血小板の粘着状態を評価した。ここでは、下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:試験片24枚のすべてに血小板の粘着が全くみられない。
〇:試験片24枚のうち一部に血小板の粘着がみられる。
△:試験片24枚のうち多くに血小板の粘着がみられるが、フィブリンネットの形成は確認できない。
×:試験片24枚のうち多くに血小板の粘着とともにフィブリンネットの形成も確認できる。
(2)<抗血栓性評価>
上記血小板粘着性評価の場合と同様にして、24ウェルプレート内にて試験片にPBSを添加し、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、下記カルシウム再添加血を各ウェルに0.7mlずつ分注し、1時間培養する。
培養後、各ウェルから試験片を取り出し、PBSでリンスして、目視にて血栓塊の剥がれやすさを確認することで、全血接触の評価を行った。ここでは、下記の3段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:試験片24枚のすべてに血栓塊の付着が全くみられない。
〇:試験片24枚のうち一部に少量の血栓塊の付着がみられる。
×:試験片24枚のうち多くに多量の血栓塊の付着がみられる。

カルシウム再添加血:ヒト鮮血クエン酸血10mlに対して、塩化カルシウム水溶液(1mol/l)を178μl実験直前に添加したもの。
(3)<タンパク質吸着性評価>
上記試験対象を15mmφに打ち抜き(試験片)、24ウェルプレートの任意の3つのウエルにシリコーンリングでそれぞれ固定し、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSという。)を各ウェルにそれぞれ1ml添加して、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、タンパク質として、PBS(リン酸緩衝液)で10000倍に希釈したHRP−IgG(Horseradishperoxidase-ImmunoglobulinG)溶液1mlを、上記試験片上に加え、試験片の片面(上面)だけが、前記タンパク質溶液に接するよう試験片を浸漬した。室温で1時間インキュベートした後、上記試験片を別の空ウェルに移し、PBS−T(0.1%Tween20)を用いて4回洗浄した。
洗浄後、上記試料片の入ったウェル内に染色液としてTMBZ(3,3',5,5'-Tetramethylbenzidine)溶液を各々1ml分注し、室温で10分間インキュベートした。次いで、StopSolution(タカラバイオ製WashandStopSolutionforELISAwithoutSulfuricAcid)1mlを各ウェルに分注後、試験片を取り除き、各ウェル内の溶液の吸光度を測定した。測定機器は、MITHRAS2LD943-M2Mマイクロプレートリーダーを使用し、450nm(副波長650nm)の吸光度を測定し、平均値を求めた。
別途、対照として、PETフィルムを用いて同様の処理および測定を行い、その吸光度の平均値を基準値とし、下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:0.2≧試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度
○:0.5≧試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度>0.2
△:1≧試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度>0.5
×:試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度>1
(4)[グルコース分析用センサの作製]
基材10であるポリエステル樹脂基材上にスクリーン印刷技術により下地リード電極12を印刷後、加熱乾燥した。リード電極12上には、導電性カーボンペーストをスクリーン印刷技術により印刷して作用電極14、対電極16の電極系を設けた。
作用電極14、対電極16の位置に対応する箇所に直径400μmの開口部をリソグラフィーにより設けておいた絶縁膜18を別途作成しておき、前記開口部を作用電極14、対電極16に対応させながら、絶縁膜18を基板10上に重ね、加熱圧着した。
次いで、各製造例で得たアミンオキシド基を含むポリマー(A)1部、電子受容体であるフェロセン2部、イソプロピルアルコール97部からなる混合液0.05μLを、作用電極14上の開口部内に均一に滴下、乾燥し、電子受容体を含む層20を形成した。
別途、製造例1で得たアミンオキシド基を含むポリマー(A)の1wt%水溶液1部に、酸化還元酵素としてグルコースオキシダーゼ(以下、GODという)をリン酸緩衝液(以下、PBSという)に溶解した溶液(GOD濃度:1500unit/mL)を1部加え、アミンオキシド基を含むポリマー(A)とGODとを含む溶液を用意した。そして、前記電子受容体を含む層20上に、前記ブロック重合体(a)とGODとを含む溶液を滴下し、これを乾燥させて、体液接触用酵素電極を形成し、グルコース分析用生体センサを作製した。
[試料液の作製]
リン酸緩衝液(PBS)にアルブミン(4.5g/dl)とγ−グロブリン(1.6g/dl)を溶かし、タンパク質溶液を作製した。前記タンパク質溶液に特定濃度のD−グルコース溶液を所定量ずつ添加し、グルコース濃度が50mM、30mM、20mM、10mM、5mMのグルコース溶液を調整した。合わせて、グルコース濃度が0mg/dlの溶液も準備した。
<グルコース分析用センサの応答感度評価>
各実施例、各比較例のグルコース分析用センサをそれぞれ複数(グルコース溶液の濃度の種類に応じた数)用意し、各グルコース分析用センサの酵素を含む層22および対電極16の両電極を覆うように、各濃度のグルコース溶液を3〜5μL滴下し、対電極16を基準にして作用電極14に、フェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。
酵素を含む層22において、D−グルコースの酸化反応が行われる際、フェロセンは還元される。この還元されたフェロセンの酸化電流はグルコース濃度に対応することから、試料液中のグルコースは極微量であっても測定が可能になる。
下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:5mM以上50mM以下の濃度領域で濃度に応じた酸化電流値を観察できた。
○:5mM以上30mM以下の濃度領域で濃度に応じた酸化電流値を観察できたが、30mMを超える濃度領域では濃度に応じた酸化電流値を観察できなかった。
△:5mM以上20mM以下の濃度領域で濃度に応じた酸化電流値を観察できたが、20mMを超える濃度領域では濃度に応じた酸化電流値を観察できなかった。
×:5mM以上10mM以下の濃度領域で濃度に応じた酸化電流値を観察できたが、10mMを超える濃度領域では濃度に応じた酸化電流値を観察できなかった。
以上の基準に従い、評価した結果を表3に示す。

表3の実施例と比較例の結果を見て分かる通り、実施例1〜15では、広範囲の濃度領域で高感度測定が可能であることが示された。これに対し、比較例1〜2では、グルコース濃度に応じた出力値を観察できなかった。このように、アミンオキシド基を含むポリマー(A)を用いることで、タンパク吸着が抑えられ、かつ高感度な分析を行うことができた。
本発明の体液接触用酵素電極を用いた生体センサは、アミンオキシド基を含むポリマー(A)と酸化還元酵素とを含む層を作用電極の体液接触面に担持させることにより、検査対象中に含まれるタンパク質や赤血球などの作用電極への吸着抑制が期待でき、検査対象の濃度の安定測定が期待できる。本発明の生体センサは、短時間で測定できるディスポーサブルタイプの生体センサとして期待できる。
10:基材
12:下地リード電極
14:作用電極
16:対電極
18:絶縁層
20:電子受容体を含む層
22:酵素を含む層
23:ブロック重合体と酸化還元酵素と電子受容体とを含む層
24:上基板
26:流路

Claims (12)

  1. 作用電極の体液接触面に酵素を含む層を担持する体液接触用酵素電極であって、
    前記酵素を含む層が、
    アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、
    酸化還元酵素とを含む、
    体液接触用酵素電極。
  2. 前記ポリマー(A)が、ビニル系ポリマー(A1)およびウレタン系ポリマー(A2)からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1記載の体液接触用酵素電極。
  3. 前記ポリマー(A)が、3級アミノ基を有するポリマーと酸化剤との反応生成物であるか、
    または、
    アミンオキシド基を有するモノマーと他のモノマーとを重合してなるポリマーであることを特徴とする、請求項1または2記載の体液接触用酵素電極。
  4. 前記ビニル系ポリマー(A1)が、下記一般式(1)〜(3)で示される少なくともいずれかの構造を有することを特徴とする請求項2または3記載の体液接触用酵素電極。

    (式中、
    Xは2価の結合基、または直接結合、
    yは0または1、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は水素原子またはメチル基、
    〜Rのうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
    *はビニル系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
  5. 前記ウレタン系ポリマー(A2)が、下記一般式(4)〜(6)で示される少なくともいずれかの構造を有することを特徴とする請求項2または3記載の体液接触用酵素電極。



    (式中、
    10、R12 15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
    11 13、R14、R16、R17はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
    YはOまたはNを表し、
    **はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
  6. 作用電極と酵素を含む層との間に、電子受容体を含む層がさらに配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の体液接触用酵素電極。
  7. 電子受容体を含む層が、
    アミンオキシド基を含むポリマー(A)を、さらに含む、請求項6記載の体液接触用酵素電極。
  8. 酵素を含む層が電子受容体をさらに含むか、もしくは酵素を含む層上に電子受容体をさらに担持する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の体液接触用酵素電極。
  9. 基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する生体センサであって、
    前記体液接触用酵素電極が、請求項1〜8いずれか1項に記載の体液接触用酵素電極で
    ある、生体センサ。
  10. 対電極の体液接触面に、
    アミンオキシド基を含むポリマー(A)を含む層が、
    さらに配置されている、
    請求項9記載の生体センサ。
  11. 基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する生体センサの製造方法であって、
    前記基材上に設けられた作用電極上に、
    アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、酸化還元酵素とを含有するコーティング剤を塗工する工程と、
    塗工後、コーティング剤を乾燥又は硬化し、体液接触用酵素電極を形成する工程とを含む、
    生体センサの製造方法。
  12. 基材と、該基材上に設けられた体液接触用酵素電極と対電極とを有する生体センサでの製造方法であって、
    前記基材上に設けられた作用電極上に、電子受容体を含む層を設ける工程と、
    前記電子受容媒体を含む層上に、アミンオキシド基を含むポリマー(A)と、酸化還元酵素とを含有するコーティング剤を塗工する工程と、
    塗工後、コーティング剤を乾燥又は硬化し、体液接触用酵素電極を形成する工程とを含む、
    生体センサの製造方法。
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