JP2019076854A - 塗装装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車体の床裏を塗装する塗装装置において、大掛かりな設備を要することなく、簡易な構成で、車体の床裏における塗装対象部を精度良く塗装する。【解決手段】ボデーの床裏を塗装する自働塗装装置1である。載置されたボデーを搬送する台車と、ボデーが台車上に載置された状態のまま台車とボデーの床裏との隙間Gに挿入可能な塗装ノズル11と、塗装ノズル11と所定の位置関係で配置され、塗装ノズル11と共に隙間Gに挿入されて、ボデーの床裏における塗装対象部TPを撮像するカメラ20と、塗装ノズル11とカメラ20との位置関係と、カメラ20によって撮像された塗装対象部TPの画像から推定される、塗装対象部TPとカメラ20との位置関係とに基づいて、塗装ノズル11の位置を調整する自働機コントローラ6および画像コントローラ7と、を備えている。【選択図】図4
Description
本発明は、車体の床裏を塗装する塗装装置に関し、特に、大掛かりな設備を要することなく、車体の床裏塗装の簡易自働化に寄与する塗装装置に関するものである。
塗装処理済みの車体の床裏には、防錆向上を図るためワックスや防錆塗料を塗布したり、振動および騒音を減衰させる機能を持つ制振塗料を塗布したりするのが一般的であるが、かかる床裏塗装は、上向きの作業となり、作業者への負担が大きいことから、塗装ロボット等を用いた塗装ラインの自働化が従来から試みられている。
例えば特許文献1には、高所に延設された搬送レール上を走行するとともに、車体が搭載されるハンガーが吊り下げられた搬送装置を備え、当該搬送装置の移動量に応じたパルス信号の計数値に基づいて、車体に対する塗装ロボットの位置決めを制御するようにした自動車用ボデーの床裏塗装システムが開示されている。
ところで、上記特許文献1のもののような、高所に延設された搬送レールや車体が搭載されるハンガー等が備えられていない一般的な塗装工場では、床裏が塗装される車体は、搬送手段(例えば台車等)に載置された状態で塗装ラインに搬送されて来ることが多い。
そして、ボデー(車体)の床裏と搬送手段との隙間は小さいため、一般的な塗装工場では、例えば塗装ロボットによる車体の下側から作業が可能となるように、車体を持ち上げたり、車体を掴み下降させたりして塗装を行うのが一般的である。
このように、車体の床裏塗装を行う場合には、高所に延設された搬送レールやハンガー等を用いるにせよ、車体を持ち上げるリフト機構等を用いるにせよ、設備仕様が大掛かりとなるという問題がある。
また、車体の床裏骨格部は、複雑な構造を有していることから、かかる床裏骨格部を塗布するには、塗装ロボット等についても設備仕様が大掛かりになるため、既存の設備を利用するには、大規模な改造が必要になるという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車体の床裏を塗装する塗装装置において、大掛かりな設備を要することなく、簡易な構成で、車体の床裏における塗装対象部を精度良く塗装する技術を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る塗装装置では、搬送手段と車体の床裏との隙間に挿入可能な塗装ノズルと撮像手段とを用いて、車体が搬送手段上に載置された状態のまま、撮像手段からの情報をフィードバックすることにより塗装ノズルを位置決めして、高い精度で塗装を行うようにしている。
具体的には、本発明は、車体の床裏を塗装する塗装装置を対象としている。
そして、この塗装装置は、載置された上記車体を搬送する搬送手段と、上記車体が上記搬送手段上に載置された状態のまま当該搬送手段と当該車体の床裏との隙間に挿入可能な塗装ノズルと、上記塗装ノズルと所定の位置関係で配置され、当該塗装ノズルと共に上記隙間に挿入されて、上記車体の床裏における塗装対象部を撮像する撮像手段と、上記塗装ノズルと上記撮像手段との位置関係と、当該撮像手段によって撮像された上記塗装対象部の画像から推定される、当該塗装対象部と当該撮像手段との位置関係とに基づいて、上記塗装ノズルの位置を調整する調整手段と、を備えていることを特徴とするものである。
この構成によれば、搬送手段上に車体が載置された状態のまま、搬送手段と車体の床裏との隙間に挿入可能な塗装ノズルを用いて車体の床裏の塗装を行うことから、車体を持ち上げるリフト機構や、車体を吊り下げ支持するハンガーおよびそれを走行させるレール等、大掛かりな設備を要することなく、簡易な構成で、車体の床裏における塗装対象部を塗装することができる。
また、搬送手段と車体の床裏との隙間に挿入された塗装ノズルを用いて塗装を行う場合には、目視が困難であることから、塗装対象部に対する塗装ノズルの位置決めが、例えば設計値等に基づく簡易な位置決めになりがちとなるが、この構成では、調整手段が、撮像された塗装対象部の画像に基づいて塗装ノズルの位置を調整することから、車体の床裏における塗装対象部を自働的に且つ精度良く塗装することができる。
以上説明したように、本発明に係る塗装装置によれば、大掛かりな設備を要することなく、簡易な構成で、車体の床裏における塗装対象部を精度良く塗装することができる。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
−自働塗装装置−
図1は、本実施形態に係る自働塗装装置1の一部を模式的に示す斜視図である。自働塗装装置1(図4参照)は、図1に示すように、載置されたボデー(車体)50を搬送する台車30と、ボデー50が台車30上に載置された状態のまま台車30とボデー50の床裏51との隙間G(図3参照)に挿入可能な塗装ノズル11およびカメラ20を備える塗装自働機10と、を含んでいる。そして、この自働塗装装置1は、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gに挿入可能な塗装ノズル11およびカメラ20を用いることで、ボデー50を持ち上げることなく、ボデー50と台車30とのクリアランス(隙間G)を活用して、ボデー50の床裏51を精度良く塗装するものである。なお、図1では、台車30によって搬送されるボデー50の車幅方向左側に、車両前後方向に並んで設置された2台の塗装自働機10のみを示しているが、実際には、ボデー50の車幅方向右側にも、車両前後方向に並んで2台の塗装自働機10が設置されている。すなわち、本実施形態に係る自働塗装装置1は、1台のボデー50に対し4台の塗装自働機10を用いて、ボデー50の床裏51を塗装するように構成されている。
図1は、本実施形態に係る自働塗装装置1の一部を模式的に示す斜視図である。自働塗装装置1(図4参照)は、図1に示すように、載置されたボデー(車体)50を搬送する台車30と、ボデー50が台車30上に載置された状態のまま台車30とボデー50の床裏51との隙間G(図3参照)に挿入可能な塗装ノズル11およびカメラ20を備える塗装自働機10と、を含んでいる。そして、この自働塗装装置1は、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gに挿入可能な塗装ノズル11およびカメラ20を用いることで、ボデー50を持ち上げることなく、ボデー50と台車30とのクリアランス(隙間G)を活用して、ボデー50の床裏51を精度良く塗装するものである。なお、図1では、台車30によって搬送されるボデー50の車幅方向左側に、車両前後方向に並んで設置された2台の塗装自働機10のみを示しているが、実際には、ボデー50の車幅方向右側にも、車両前後方向に並んで2台の塗装自働機10が設置されている。すなわち、本実施形態に係る自働塗装装置1は、1台のボデー50に対し4台の塗装自働機10を用いて、ボデー50の床裏51を塗装するように構成されている。
図2は、台車30の一部を模式的に示す図であり、図3は、ボデー50が台車30に載置された状態を模式的に示す側面図である。図2に示すように、台車(搬送手段)30は、前後方向にそれぞれ延びる左右の縦フレーム31と、幅方向にそれぞれ延びて左右の縦フレーム31を前後で接続する横フレーム32と、これら縦フレーム31および横フレーム32に取り付けられた前後のプレート33と、各プレート33の幅方向の両端部に立てられた支柱34と、車輪35(図1参照)と、を有していて、4本の支柱34の上端にボデー50が載置された状態のまま、走行するように構成されている。なお、台車30の走行は、後述する上位制御盤2や工程制御盤3等によって管理されている。
このように、4本の支柱34の上端に載置されることで、台車30(支柱34以外の部位)とボデー50の床裏51との間には、図3に示すように、隙間Gが生じるようになっている。なお、車種にもよるが、各支柱34は、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gが例えば10(cm)程度となるような寸法に形成されている。
図4は、自働塗装装置1のシステム構成を模式的に示す図であり、図5は、塗装自働機10を模式的に示す斜視図である。なお、図4では、自働塗装装置1に含まれる台車30を図示省略している。この自働塗装装置1は、図4に示すように、上位制御盤2と、システムの動作状態等に基づき塗装開始や塗装中止等の塗装工程全般の管理を行う工程制御盤3と、ワックスや防錆塗料等の温度や圧力を一定に制御する温調盤4と、塗装自働機10を操作するコントロールボックス5と、ティーチペンダント8と、塗装自働機10と、台車30と、を備えている。
上位制御盤2は、システム全体の始動信号や停止信号を送信する等、自働塗装装置1の心臓部として、恰も人間のオペレータのように機能する。上位制御盤2は、無線通信(具体的にはFL−net規格のイーサネット(登録商標))を介して、工程制御盤3とデータ交換を行うように構成されている。
工程制御盤3は、無線通信(具体的にはイーサネット(登録商標))を介して、コントロールボックス5と接続されていて、図4の破線矢印Aで示すように、塗装自働機10の動作状態に関する情報や、塗装中にエラーが発生したことを知らせる異常情報等をコントロールボックス5から受信する一方、塗装対象であるボデー50の車種情報や起動指令等をコントロールボックス5へ送信するように構成されている。また、工程制御盤3は、速い通信速度と安定性とを得られるように、コントロールボックス5と有線通信(ハード線3a)でも接続されていて、図4の実線矢印Bで示すように、相互に安全信号の交換を行うように構成されている。さらに、工程制御盤3は、無線通信(具体的にはデバイスネットやイーサCATやリモートIO)を介して、温調盤4と接続されていて、図4の破線矢印Cで示すように、ワックスや防錆塗料等の温度や圧力に関する情報を温調盤4から受信する一方、温度調整のON/OFF指令等を温調盤4へ送信するように構成されている。
塗装自働機10は、図5に示すように、塗装ノズル11と、カメラ(撮像手段)20と、これら塗装ノズル11およびカメラ20が先端部に取り付けられたアーム部12と、数値制御によりアーム部12のH方向(上下方向)の移動を制御するNC(numerical control)走行装置13と、数値制御によりアーム部12のW方向(ボデー50における車幅方向)の移動を制御するNC走行装置14と、数値制御によりアーム部12のL方向(ボデー50における車両前後方向)の移動を制御するNC走行装置15と、塗装ノズル11からのワックス等の吐出のON/OFFを制御する電磁弁16と、を備えている。この他、塗装自働機10は、塗装ノズル11へワックス等を供給する塗料供給系配管(図示せず)や、ワックス等の温度等を調整する塗料温調システム(図示せず)等を備えている。なお、塗料温調システムは専用ケーブル4aを介して温調盤4と接続されている。
図6は、塗装ノズルを模式的に示す図であり、同図(a)は従来の塗装ノズル111を示し、同図(b)は本発明の実施形態に係る塗装ノズル11を示している。従来の塗装ノズル111は、図6(a)に示すように、H方向に延びるアーム部112の先端部に、H方向に延びる回転軸を有する回転ユニット117を介して、H方向に延びるように取り付けられていた。このため、かかる塗装ノズル111を用いて、ボデー50の床裏51を塗装する場合には、ボデー50の下方に相対的に大きな空間高さh2が必要であり、このことが、ボデー50を持ち上げるリフト機構等といった大掛かりな設備を要する要因の一つとなっていた。
これに対し、本実施形態では、図6(b)に示すように、W方向に延びるアーム部12の先端部に、H方向(W方向と直交する方向)に延びる回転軸を有する回転ユニット17を介して、H方向に延びるように塗装ノズル11が取り付けられていることから、ボデー50の下方に相対的に小さな空間高さh1さえあれば、ボデー50の床裏51を塗装することが可能となっている。例えば、本実施形態では、空間高さh1=8(cm)に設定されており、上述の如く10(cm)程度に設定された、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gに塗装ノズル11を挿入することが可能となっている。また、本実施形態の塗装ノズル11は、回転ユニット17を駆動させることで回転可能に構成されていることから、斜め上方を向いた吐出口11aから塗料を吐出しながら、塗装ノズル11を全方位に回転させることで均一な塗膜を得ることができるようになっている。
図7は、塗装ノズル11とカメラ20との位置関係を模式的に示す図である。カメラ20は、図7に示すように、塗装ノズル11と所定の位置関係で、例えば、ブラケット21等を介して塗装ノズル11からW方向にw1だけ離れた位置に配置されている。これにより、カメラ20は、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gに塗装ノズル11が挿入された際、塗装ノズル11と共に隙間Gに挿入されて、ボデー50の床裏51における塗装対象部TPを撮像するようになっている。なお、カメラ20は、塗装ノズル11と共に隙間Gに挿入されて、塗装対象部TPを撮像することができるのであれば、例えば、塗装ノズル11からL方向に所定距離だけ離れた位置に配置してもよい。
図4に戻って、コントロールボックス5は、自働機コントローラ6と、画像コントローラ7と、を備えている。自働機コントローラ6は、専用ケーブル6aを介して、塗装自働機10と接続されていて、NC走行装置13,14,15を制御することで、アーム部12の先端部に取り付けられた塗装ノズル11およびカメラ20のL方向、W方向およびH方向の位置を調整するように構成されている。また、自働機コントローラ6は、ハード線6cを介して、塗装自働機10と接続されていて、図4の実線矢印Dで示すように、塗料の塗布を開始するべく電磁弁16の開弁を指示する塗布ON指令や、回転ユニット17を駆動させるノズル回転指令を塗装自働機10へ送信する一方、各指令に対するフィードバック情報を塗装自働機10から受信するように構成されている。
画像コントローラ7は、専用ケーブル7aを介して、アーム部12の先端部に取り付けられたカメラ20と接続されていて、カメラ20によって撮像された塗装対象部TPの画像データを取得するように構成されている。
これら自働機コントローラ6と画像コントローラ7とは、無線通信(具体的にはイーサネット(登録商標))を介して接続されていて、図4の破線矢印Eで示すように、塗装対象部TPの画像データを取得させるべく画像取込み指令が自働機コントローラ6から画像コントローラ7へ送信される一方、塗装対象部TPの画像から推定される位置補正情報が画像コントローラ7から自働機コントローラ6へ送信されるように構成されている。
より詳しくは、自働機コントローラ6は、工程制御盤3からの起動指令を受信すると、NC走行装置13,14,15を制御することで、塗装対象部TPに対しカメラ20の位置決め(簡易ボデー位置決め)を実行する。次いで、自働機コントローラ6は、画像取込み指令を画像コントローラ7へ送信する。画像コントローラ7は、画像取込み指令を受信すると、カメラ20を起動して塗装対象部TPを撮像し、塗装対象部TPの画像から推定される、塗装対象部TPとカメラ20(または塗装ノズル11)との位置関係とに基づいて、位置補正情報を自働機コントローラ6へ送信する。このような、位置決め→撮像→位置補正情報のフィードバック→位置決めという操作を、少なくとも1回行う(または数回繰り返す)ことで、塗装対象部TPと塗装ノズル11との干渉を回避するとともに塗装品質を向上させることが可能となっている。
それ故、本実施形態では、自働機コントローラ6と画像コントローラ7とが、本発明でいうところの、塗装ノズル11とカメラ20との位置関係と、カメラ20によって撮像された塗装対象部TPの画像から推定される、塗装対象部TPとカメラ20との位置関係とに基づいて、塗装ノズル11の位置を調整する「調整手段」に相当する。
さらに、自働機コントローラ6は、専用ケーブル6bを介して、ティーチペンダント8とも接続されている。ティーチペンダント8は、作業者等が、塗装状況に応じて自働機コントローラ6のプログラム等に直接的に修正を加えることにより、塗装自働機10のティーチングを行うことができるように構成されている。
−塗装手順−
次に、上記のように構成された自働塗装装置1を用いた塗装手順の一例について説明する。なお、以下では、ボデー骨格部に形成された塗装穴52(図8参照)にワックスを塗装する場合について説明する。
次に、上記のように構成された自働塗装装置1を用いた塗装手順の一例について説明する。なお、以下では、ボデー骨格部に形成された塗装穴52(図8参照)にワックスを塗装する場合について説明する。
先ず、図1に示すように、ボデー50が、台車30に載置された状態で塗装ラインに搬送されて来て、所定に位置で停止すると、工程制御盤3からコントロールボックス5へ、塗装対象であるボデー50の車種情報と起動指令とが送信される。ここで、車種情報には、ボデー50の各部の設計値等が含まれており、自働機コントローラ6は、塗装穴52の設計値(設計位置等)に基づいてNC走行装置13,14,15を制御しながら、塗装ノズル11およびカメラ20を、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gに挿入する。そうして、H方向、W方向およびL方向の位置が調整されたカメラ20が、設計値上の塗装穴52の真下に移動し、且つ、設計値上の塗装穴52の高さよりも所定値だけ低い位置に移動すると、簡易ボデー位置決めが完了する。
次いで、簡易ボデー位置決めの精度を測定するため、自働機コントローラ6から画像コントローラ7へ、塗装穴52の画像データを取得させるべく画像取込み指令が送信される。画像コントローラ7は、画像取込み指令に従って、図7に示すように、カメラ20を用いてボデー50の床裏51における塗装対象部TP(この場合には塗装穴52)を撮像する。
図8は、H方向の変動を模式的に説明する図であり、図9は、H方向の変動とL方向のずれ量との関係を模式的に示すグラフ図である。なお、図9のグラフ図は実験等に基づいて得られたものであり、例えば画像コントローラ7のメモリ等に記憶されている。画像コントローラ7は、カメラ20によって撮像された塗装穴52の画像から、塗装穴52とカメラ20との位置関係を推定(算出)する。より詳しくは、画像コントローラ7は、例えば撮像された塗装穴52の大きさと塗装穴52の設計値とに基づき、H方向における塗装穴52とカメラ20との距離を算出し、図8に示すように、例えばカメラ20に対し塗装穴52が、H基準位置(所定値だけ高い位置)にあるのか、H5mm離れ(H基準位置よりも5mm離れた位置)にあるのか、H10mm離れ(H基準位置よりも10mm離れた位置)にあるのかを推定する。
次いで、画像コントローラ7は、撮像された塗装穴52の画像に基づき、塗装穴52がカメラ20に対し、図9(a)に示すように真下にあるのか、図9(b)に示すように左にずれた位置にあるのか、図9(c)に示すように右にずれた位置にあるのかを推定する。
画像コントローラ7は、例えば、カメラ20に対し塗装穴52がH基準位置にあり、且つ、塗装穴52がカメラ20に対し真下にあれば、図9のグラフ図におけるH基準位置に対応する放物線に従って補正量ΔL=ΔL1に設定して、かかる位置補正情報を自働機コントローラ6へ送信する。
一方、画像コントローラ7は、例えば、カメラ20に対し塗装穴52がH5mm離れにあり、且つ、塗装穴52がカメラ20に対し右にL1だけずれた位置にあれば、図9のグラフ図におけるH5mm離れに対応する放物線に従って補正量ΔL=ΔL2に設定して、位置補正情報を自働機コントローラ6へ送信する。より詳しくは、カメラ20に対し塗装穴52がH5mm離れにあるということは、支柱34の上端に載置されたボデー50が傾いている可能性が高いところ、この場合には、単純にL1だけ右側に移動しても、カメラ20と塗装穴52とのずれは解消されない。このため、本実施形態では、傾き等を考慮した補正量ΔL2を設定して、例えばL1+ΔL2だけ右側に移動することで、カメラ20と塗装穴52とのずれを解消するようにしている。
なお、W方向についても、図9と同様に、H方向の変動とW方向のずれ量との関係を表すグラフが実験等に基づいて作成されており、画像コントローラ7は、W方向についての位置補正情報も自働機コントローラ6へ送信するようになっている。加えて、画像コントローラ7は、平行移動(図9のグラフ図の〇印)をすべきか、塗装ノズル11の吐出口11aの回転移動(図9のグラフ図の△印)をすべきか等の情報も、位置補正情報を自働機コントローラ6へ送信するようになっている。これら、平行移動や回転移動に関するデータも実験等に基づいて得られたものである。
そうして、画像コントローラ7から位置補正情報が入力された自働機コントローラ6は、かかる位置補正情報と、塗装ノズル11とカメラ20との位置関係(W方向にw1だけ離れた位置関係)と、に基づきNC走行装置13,14,15を制御して、塗装ノズル11の位置を調整する。塗装ノズル11の位置調整が完了すると、自働機コントローラ6から塗装自働機10に対し、塗布ON指令やノズル回転指令が送信され、ボデー骨格部に形成された塗装穴52にワックスが精度良く塗布される。
なお、画像コントローラ7は、例えば、カメラ20に対し塗装穴52がH10mm離れにある場合、または、塗装穴52がカメラ20に対し閾値LTの絶対値以上ずれた位置にある場合には、ボデー50のずれが最大値を超えているとの位置補正情報を自働機コントローラ6へ送信する。かかる位置補正情報を受信した自働機コントローラ6は、異常情報を工程制御盤3へ送信し、異常情報を受信した工程制御盤3は塗装を一旦中止する。この場合には、作業者等がティーチペンダント8を用いて自働機コントローラ6のプログラム等に直接的に修正を加えることにより、例えば簡易ボデー位置決めの際の初期位置等を調整し、調整完了後に塗装を再開する。このように、不具合が生じた都度修正が行われることにより、塗装を繰り返す度に塗装精度が向上させることができる。
以上のように、本実施形態によれば、台車30にボデー50が載置された状態のまま、台車30とボデー50の床裏51との隙間Gに挿入可能な塗装ノズル11を用いてボデー50の床裏51の塗装を行うことから、ボデー50を持ち上げるリフト機構や、ボデー50を吊り下げ支持するハンガーおよびそれを走行させるレール等、大掛かりな設備を要することなく、簡易な構成で、ボデー50の床裏51における塗装対象部TPを塗装することができる。
また、自働機コントローラ6および画像コントローラ7が、塗装ノズル11とカメラ20との位置関係と、隙間Gに挿入されたカメラ20によって撮像される塗装対象部TPの画像から推定される、塗装対象部TPとカメラ20との位置関係とに基づいて、塗装ノズル11の位置を調整することから、大掛かりな塗装ロボット等を要することなく、ボデー50の床裏51における塗装対象部TPを自働的に且つ精度良く塗装することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、ボデー骨格部に形成された塗装穴52にワックスを塗装する場合について説明したが、ボデー50の床裏51であれば、これに限らず、塗装穴52が形成されていない部位も塗装することができる。
また、上記実施形態では、簡易ボデー位置決めの後、カメラ20によって撮像された画像に基づいて直ちに塗装ノズル11の位置を調整するようにしたが、これに限らず、例えば、簡易ボデー位置決めの後、カメラ20によって撮像された画像に基づくカメラ20の位置調整を繰り返すことで、正規の位置に収束させた後、塗装ノズル11の位置を調整するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、H方向の変動とL方向のずれ量との関係に基づいて補正量を設定するようにしたが、これはあくまで一例であり、カメラ20によって撮像される塗装対象部TPの画像データに基づいて、塗装ノズル11の位置を調整するのであれば、他の手法で補正量を設定するようにしてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、大掛かりな設備を要することなく、簡易な構成で、車体の床裏における塗装対象部を精度良く塗装することができるので、車体の床裏を塗装する塗装装置に適用して極めて有益である。
1 自働塗装装置(塗装装置)
6 自働機コントローラ(調整手段)
7 画像コントローラ(調整手段)
11 塗装ノズル
20 カメラ(撮像手段)
30 台車(搬送手段)
50 ボデー(車体)
51 床裏
G 隙間
TP 塗装対象部
6 自働機コントローラ(調整手段)
7 画像コントローラ(調整手段)
11 塗装ノズル
20 カメラ(撮像手段)
30 台車(搬送手段)
50 ボデー(車体)
51 床裏
G 隙間
TP 塗装対象部
Claims (1)
- 車体の床裏を塗装する塗装装置であって、
載置された上記車体を搬送する搬送手段と、
上記車体が上記搬送手段上に載置された状態のまま当該搬送手段と当該車体の床裏との隙間に挿入可能な塗装ノズルと、
上記塗装ノズルと所定の位置関係で配置され、当該塗装ノズルと共に上記隙間に挿入されて、上記車体の床裏における塗装対象部を撮像する撮像手段と、
上記塗装ノズルと上記撮像手段との位置関係と、当該撮像手段によって撮像された上記塗装対象部の画像から推定される、当該塗装対象部と当該撮像手段との位置関係とに基づいて、上記塗装ノズルの位置を調整する調整手段と、を備えていることを特徴とする塗装装置。
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