JP2019076391A - レーザチップ、レーザ処置具、レーザ治療装置、及びレーザ治療システム - Google Patents

レーザチップ、レーザ処置具、レーザ治療装置、及びレーザ治療システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、レーザ医療において、確実に止血することができるレーザチップ、レーザ治療装置、及びレーザ治療システムを提供することを目的とする。【解決手段】レーザ伝送路60の先端に装着されるレーザチップ70であって、レーザ伝送体63の出射側部が開口するとともにレーザ伝送路60に着脱自在に構成された装着部71と、装着部71からレーザ光57aの光軸方向Dに沿って先端側に延出された筒状のカバー部72と、カバー部72における先端側に設けられた、有底の先端底部73とで構成され、内部にレーザ光57aが照射される照射空間Sを形成するとともに、先端底部73は、照射されたレーザ光57aが透過することがなく、少なくともレーザ光57aの一部を吸収して加熱されることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、例えばレーザ伝送路の先端に装着するレーザチップ、前記レーザチップを装着したレーザ処置具、レーザ治療装置、及びレーザ治療システムに関する。
近年、開腹手術や歯科治療などの分野において、電気メスやレーザ光を利用したレーザ治療器を用いて施術されることがあり、またこれらのレーザ治療器を用いた低侵襲医療の開発が進んでいる。例えば低侵襲医療として内視鏡を用いた外科的あるいは内科的治療が行われている。特に初期消化管がんを対象とする内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal DissectionであってESDと略する。)は、患者への負担が少ない有効な治療方法として注目されている。
上記のESDでは、まず施術対象となる患部周辺をマーキングし、これを目印として粘膜層を切開する。次に粘膜下層の組織を剥離し、腫瘍部分の全組織を除去する。これらのマーキング、粘膜切開、粘膜下層剥離の各施術は、処置具として高周波電気メスが一般に使用されるが、粘膜下層には血管も存在しているため施術中に出血する可能性がある。
このような出血箇所の止血を目的とした様々なレーザ治療装置が提案されており、例えば、特許文献1にレーザ光の不透過材料である金属で構成され、レーザ光の一部を吸収して加熱されるレーザチップを装着したレーザ治療装置が開示されている。
前記レーザチップは、レーザ光の一部を吸収して加熱した前記レーザチップで施術対象箇所を切開できるとともに、吸収させない一部のレーザ光を出血箇所に照射することで出血箇所を止血できるとされている。
しかしながら、前記レーザチップと、レーザ伝送路の出射端との間には空間が開いており、この空間に血液や洗浄水等の液体が介在すると、レーザ光が液体に吸収されてレーザチップに十分到達しない。そのため血液の凝固効率が下がり出血部位を確実に止血できないおそれがあった。
特開平6−205789号公報
そこで本発明は、上述の問題を鑑み、レーザ医療において、確実に止血することができるレーザチップ、レーザ治療装置、及びレーザ治療システムを提供することを目的とする。
この発明は、レーザ伝送路の先端に備えられた、レーザ光を照射するレーザ照射口に装着するレーザチップであって、開口するとともに前記レーザ照射口に着脱自在に構成された装着部と、該装着部から前記レーザ光の照射方向に沿って先端側に延出された筒状のカバー部と、該カバー部における先端側に設けられた、有底の先端底部とで構成され、内部に前記レーザ光が照射される照射空間が形成されるとともに、前記先端底部は、照射された前記レーザ光が透過することがなく、少なくとも前記レーザ光の一部を吸収して加熱されることを特徴とする。
またこの発明は、レーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、上述のレーザチップとが備えられたレーザ処置具であることを特徴とする。
またこの発明は、炭酸ガスレーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器より発振されたレーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、上述のレーザチップとが備えられたレーザ治療装置であることを特徴とする。
さらにまたこの発明は、上述のレーザ治療装置と、前記レーザ伝送路を挿通可能とした内視鏡とで構成されたレーザ治療システムであることを特徴とする。
上述の照射された前記レーザ光が透過することがなくとは、少なくとも前記先端底部が前記レーザ光を透過せずに吸収するレーザ光非透過部材で構成されている場合や、前記先端底部における前記装着部側に前記レーザ光を透過せずに吸収する非透過部材を取付け、コーティングや貼り付けた場合を含む。
この発明により、レーザ医療において、確実に止血することができる。
詳述すると、前記レーザチップの内部に前記照射空間が形成されていることにより、前記先端底部までの間に前記レーザ光を吸収するものが介在されず、前記レーザ光が前記先端底部の前記装着部側に直接照射される。これにより、前記レーザ光は透過されることなく吸収されることとなり、前記先端底部を効率よく加熱できる。このように効率よく加熱された前記先端底部を出血部位に当接できるため、出血部位の血液を確実に凝固させて止血できる。
また、前記カバー部が前記装着部から先端側に筒状に形成されていることにより、例えば前記照射空間に血液等などの異物が侵入することを防止できる。このため、前記照射空間を導通する前記レーザ光が異物に吸収されることがなく、効率よく前記先端底部を加熱できる。
この発明の態様として、前記カバー部に、前記照射方向と交差する交差方向に貫通し、前記レーザ伝送路を導通する気体を流出させる貫通孔が設けられてもよい。
この発明により、前記貫通孔から前記気体を流出させることができるため、前記貫通孔を介して前記レーザ伝送路の内部への異物の侵入を防止できる。また、例えば前記レーザ伝送路に空気などの気体を流入させる場合には、前記照射空間の圧力が高まり、より確実に前記レーザ伝送路の内部への異物の侵入を防止できる。
さらにまた、前記レーザ光の照射を停止した場合において、前記気体が加熱された前記先端底部の温度低下を促進するとともに、前記気体が貫通孔から放出されるため、前記先端底部をすぐに冷却できる。これにより、例えば前記先端底部が不要に生体組織と当接した場合などであっても、レーザ光停止時には高温ではないため、前記先端底部の意図しない接触による生体の損傷を防止できる。
また、前記レーザ光の照射停止とともにすぐに前記レーザチップが冷却されるので、先端にレーザチップを装着したレーザ処置具を挿入した内視鏡スコープから引き抜いて取り出す際に、内視鏡スコープ内壁を損傷させることや、前記レーザチップを交換する際に術者が火傷を負う危険性もない。
またこの発明の態様として、前記先端底部が先端に向かって先細りしてもよい。
この発明により、前記先端底部の表面積を小さくができるため、前記レーザ光を照射することによる前記先端底部の加熱をより効率的にでき、前記出血部位をより確実に止血できる。
なお、上述の前記先端底部が先端に向かって先細りとは、前記先端底部の先端側が基端側や前記カバー部、前記装着部よりも細く構成された場合をさし、例えば前記先端底部の先端側が錐体状、半球状、半楕円球状や錐体台形状に形成されている場合や回転楕円体形状の一部分で形成されている場合などをさす。
またこの発明の態様として、前記先端底部の基端側に、先端に向かって先細りし、かつ、前記レーザ光の一部を反射させる反射凹部が設けられてもよい。
前記反射凹部は、前記先端底部の基端側を錐体状又は錐体台形状、あるいは半球状や回転楕円体の一部分のような窪みで形成した場合を含む。
また、前記反射凹部は、金属のように前記レーザ光の一部を反射する部材で形成された前記先端底部の前記装着部側を窪ませた構成や、先端に向かって先細りするように窪ませた前記先端底部の前記装着部側に前記レーザ光の一部を反射する反射部材を取付けた構成などを含む。
この発明により、前記先端底部の体積を減少させることができるため、前記レーザ光の照射による前記先端底部をより効率的に加熱できる。また、前記先端底部に吸収されずに反射された前記レーザ光が、他の場所に照射されるため、より効率的に前記先端底部を加熱できる。
またこの発明の態様として、前記先端底部の前方に、曲率半径が10mm以上の曲面で形成された、又は、平坦面で形成された当接面が設けられてもよい。
上述の曲面とは、具体的には、先端側に向けて突出した凸状の曲面や、前記レーザ照射口側に凹状となる曲面をさす。
この発明により、損傷領域を広げることがなく確実に止血することができる。
詳述すると、例えば、前記当接面の曲率半径が+10mm以上である場合や前記当接面が平坦である場合、すなわち前記当接面が凸状の曲面で形成されている場合や前記当接面が平坦である場合、前記当接面を前記損傷部位に直接押し当ててレーザ光を前記当接面が設けられた前記先端底部に照射することができる。これにより前記レーザ光のエネルギーを吸収して加熱された前記当接面が当接された前記損傷部位及びその周辺の血液を凝固させて、前記損傷部位を確実に止血できる。
一方で、前記当接部の曲率半径が−10mm以上である場合、すなわち前記当接部が凹状の曲面で形成されている場合、前記当接部を前記損傷部位に押し付けることで前記損傷部位から出た血液を前記凹部に溜めることができる。この前記凹部に溜められる血液は微小量であるので、レーザ光を照射することにより加熱された前記当接部で前記凹部に溜められた血液を十分に凝固して前記損傷部位を止血できる。
このように、曲率半径が異なる前記当接部を用いた止血は、止血の作用が異なるため、出血箇所の部位や出血状況に応じて曲率半径が異なる曲面又は平坦面の前記当接部を使い分けることができる。
またこの発明の態様として、前記先端底部が、金属材料又は耐熱性セラミック材料で構成されてもよい。
この発明によると、吸収された前記レーザ光が前記先端底部において熱に変換されるため、確実に前記先端底部を加熱できる。したがって、確実に出血箇所の血液を凝固して、出血箇所を止血できる。
さらにまたこの発明の態様として、前記先端底部が、石英ガラスで構成されてもよい。
前記石英ガラスは、例えば炭酸ガスレーザ等の赤外線領域の波長帯で発振するレーザ光のみに対し不透過であり、可視波長帯では透過可能な構成である。
この発明により、前記先端底部が前記赤外線領域のレーザ光を吸収するとともに、前記可視光を透過させることができるため、可視光で照らされた出血箇所を目視しながら前記先端底部の先端側を当接でき、確実に止血できる。
またこの発明の態様として、前記先端底部の基端側に、前記レーザ光の反射を低下させるコーティングが施されてもよい。
この発明により、前記当接部が吸収する前記レーザ光のエネルギーを増大させることができるため、前記当接部を効率よく加熱することができる。これにより、前記当接部を生体組織内において出血している損傷部位に当接させた場合に、確実に止血することができる。
またこの発明の態様として、前記先端底部の先端側に、生体組織との固着を防止する固着防止用コーティングが施されてもよい。
前記固着防止用コーティングは、生体組織との固着をしなければどのようなコーティングであってもよく、例えば炭化チタン(TiC)や、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素、窒化ホウ素(BN)などを含む。
この発明により、前記生体組織に対して当接させた前記当接部が前記生体組織と固着することを防止できるため、前記当接部を止血した損傷部位から離した場合に前記損傷部位などの損傷を防止できる。
この発明により、レーザ医療において、効率よく止血することができるレーザチップ、レーザ治療装置、及びレーザ治療システムを提供することができる。
内視鏡装置とレーザ治療装置による治療システムの概略構成図。 内視鏡装置とレーザ治療装置の構成を示すブロック図。 レーザ伝送路の先端に装着したレーザチップの概略斜視図。 レーザ伝送路の先端及びレーザチップの概略分解斜視図。 レーザ伝送路及びレーザチップの説明図。 治療システムに用いたレーザチップの説明図。 別の実施形態のレーザチップの説明図。 別の実施形態のレーザチップの説明図。 別の実施形態のレーザチップの説明図。 別の実施形態のレーザチップの説明図。 別の実施形態のレーザチップの説明図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、内視鏡装置10とレーザ治療装置50とで構成されるレーザ治療システム1の概略構成を示す構成図であり、図2は、内視鏡装置10とレーザ治療装置50の構成を示すブロック図である。
内視鏡装置10は、図1に示すように装置本体に対して接続ケーブル11により内視鏡スコープ12が接続されている。
内視鏡スコープ12は、主に操作部13と柔軟性を有する内視鏡チューブ21とで構成されている。
操作部13は、接眼部15、上下アングルノブ16、左右アングルノブ17、操作ボタン18、及びデバイス挿入口20等が設けられている。
操作ボタン18は、送気、送水、吸引、ズームなどの操作入力を受け付ける。
内視鏡チューブ21は、基部から先端へ向かって可撓管部22と、さらに柔軟に屈曲可能な湾曲管部23、及び先端構成部30がこの順に設けられている。また、内視鏡チューブ21の内部には、デバイス挿入口20から先端構成部30のデバイス出口36まで連通するデバイス挿入路19が設けられている。このデバイス挿入路19は、鉗子やレーザ伝送路60といった治療用デバイスを挿入する治療用デバイス挿入路として機能する。
なお、図1では可撓管部22の途中から湾曲管部23の先端にかけて拡径しているように図示しているが、これは先端構成部30の構成を分かり易く描画するためであって、実際には、食道、胃、腸といった生体内に挿通させるのに適した、一定の径を保った形状となっている。
可撓管部22は、適度に湾曲する円筒形状を有しており、デバイス挿入口20から適宜の鉗子などの治療用デバイスを先端構成部30まで挿通できる。この実施形態では、治療用デバイスとしてレーザ治療装置50と接続されたレーザ伝送路60が挿通されている。なお、レーザ伝送路60は、その先端にレーザチップ70が組み付けられている。
湾曲管部23は、上下アングルノブ16の操作によって上下方向に湾曲操作され、左右アングルノブ17によって左右方向に湾曲操作される。
先端構成部30は、ライトガイド31,35、副送水口32、レンズ33、ノズル34、及びデバイス出口36が設けられている。
ライトガイド31,35は、撮像のための照明となる光を照射する照明部位である。これにより、光の届かない体内を照らして観察及び施術できるようにする。
副送水口32は、染色液等の液体を放出する送水口である。
レンズ33は、ライトガイド31,35等の照明による光を集光し、撮像画像を取得するためのレンズ及びその後方に配置された撮像素子である。
ノズル34は、レンズ33を洗浄するための洗浄液等をレンズ33へ向かって放出する部位である。
デバイス出口36は、レーザ治療装置50のレーザ伝送路60等の治療用デバイスの出口である。このレーザ伝送路60は、内視鏡チューブ21の全長でもあるデバイス挿入路長よりも長く形成されている。なお、レーザ伝送路60の詳細については後述する。
図2に示すように、レーザ治療装置50は、操作部・表示部51、電源部52、中央制御部54、ガイド光発光部56、レーザ発振部57、及びガス放出部58を備えている。
操作部・表示部51は、レーザの出力設定や動作モードの変更などの操作入力を受け付けて入力信号を中央制御部54に伝達し、中央制御部54からレーザの出力条件や装置の動作状況などの表示信号を受け取って適宜の情報の表示を行う。
電源部52は、中央制御部54など各部に動作電力を供給する。
中央制御部54は、各部に対して各種制御動作を実行する。この中央制御部54は、レーザ出力制御部54aと記憶部54bとガス制御部54cも有している。
レーザ出力制御部54aは、操作部・表示部51で設定された出力や動作モードに応じてレーザ発振部57によるレーザ光57aの出力値を制御する。記憶部54bは、出力の設定や動作モードの設定内容などの制御データなどの他に適宜のデータを記憶している。ガス制御部54cは、操作部・表示部51で設定された出力や動作モードに応じて放出ガス58aの出力値を制御する。
ガイド光発光部56は、治療用のレーザ光57aが照射される位置を示すためのガイド光56aを発光する。このガイド光56aは、治療用のレーザ光57aが照射される位置を確認することができる。
レーザ発振部57は、施術に用いる治療用のレーザ光57aの発振を実行する。この実施形態では、レーザ光57aとして、炭酸ガスレーザを用いる。炭酸ガスレーザの照射強度の設定や照射の開始停止といった操作は、操作部・表示部51による手動操作と、中央制御部54による制御出力によって行われる。なお、手動操作の一部又は全部を、レーザ治療装置50に対して通信・制御可能に設けたフートコントローラ(不図示)を用いた足踏み操作に替えることもできる。
上述したガイド光発光部56が照射するガイド光56a、及びレーザ発振部57が発振するレーザ光57aは、全て1つのレーザ伝送体63によって伝送される。なお、レーザ伝送体63は中空導波路で構成されている。
ガス放出部58は、レーザ伝送路60に挿通させる放出ガス58aの放出を実行する。この実施形態では、放出ガス58aとして空気を用いる。空気の放出量は操作部・表示部51による手動操作と、中央制御部54による制御出力によって行われており、設定値によって空気圧を変化させて所望の量の空気をレーザ伝送体63の入射側から内部に挿通させる。このように本実施形態では、レーザ伝送体63として中空導波路を用いているため、レーザ光の伝搬領域と同じ空間に空気を流入させることができる。
なお、放出ガス58aは後述するレーザチップ70の内部空間を陽圧に保つとともに、レーザ光57aを照射していない状態でレーザチップ70を冷却することもできる。
内視鏡装置10は、操作部41、電源部42、中央制御部43、照明部44、撮像部45、水噴射部46、及び画像表示部47が設けられている。
操作部41は、操作部13(図1参照)による操作入力を中央制御部43に伝達する。すなわち、上下アングルノブ16や左右アングルノブ17の操作による湾曲管部23の湾曲動作、操作ボタン18による押下操作などを伝達する。またあるいは、内視鏡スコープ12のものとは別個に、例えば内視鏡装置の制御器本体(不図示)に操作部を設け、照明の光量、静止画の撮影記憶等の操作を中央制御部43に伝達する。
電源部42は、中央制御部43など各部に動作電力を供給し、中央制御部43は、各部に対して各種制御動作を実行する。
照明部44は、ライトガイド31,35(図1参照)からの照明を実行する。
撮像部45は、レンズ33及びその後ろに配置される撮像素子(図1参照)から伝送される画像を撮像し、施術に必要な撮像画像を得たり、画像処理をしたりする。この撮像画像を連続してリアルタイムに取得することで、術者が円滑に施術を行えるようにしている。
水噴射部46は、副送水口32からの液体の噴射を実行する。また、ノズル34からの液体の噴射も実行する。撮像部45が、先端構成部30の近傍に設けてあってもよいし、内視鏡装置10の制御器本体(不図示)内に設けてあってもよいのは、前述のとおりである。
画像表示部47は、中央制御部43から伝達される信号に従って画像を表示する。この画像には、撮像部45で取得した撮像画像も含まれる。したがって、術者は、この画像表示部47にリアルタイムに表示される撮像画像を確認しながら施術を行うことができる。
次に、図3乃至図5に基づいて、レーザ伝送路60の構造とレーザ伝送路60の先端にレーザチップ70が装着されたレーザ処置具80について説明する。
図3はレーザ処置具80の先端の拡大斜視図を示し、より具体的には先端にレーザチップ70を装着したレーザ伝送路60の概略斜視図を示し、図4はレーザ伝送路60からその先端に装着されたレーザチップ70を取り外した状態の概略分解斜視図を示し、図5はレーザ処置具80の先端部分の説明図を示す。なお、図3及び図4において、レーザ伝送路60を構成する外装チューブ61の一部は点線で示すことで、透過状態を表す。
図5について詳述すると、図5(a)はレーザ処置具80の側面図を示し、図5(b)はレーザ処置具80の平面図を示し、図5(c)は図5(b)におけるA−A断面図を示す。換言すると、図5(c)はレーザ伝送路60から、その先端に装着されたレーザチップ70を取り外した状態における縦断面図を示す。
レーザ伝送路60は、図3及び図4に示すように、外装チューブ61と、外装チューブ61の先端に設けられたレーザチップ側装着部62と、外装チューブ61の内部に挿通されたレーザ伝送体63とで構成し、上述したように、内視鏡チューブ21より長く形成している。
外装チューブ61は、内部にレーザ伝送体63を挿通させる挿通空間611(図5(c)参照)を有する中空状で可撓性のある樹脂チューブであり、図3及び図4に示すように、外周面には内視鏡チューブ21のデバイス挿入路19の内径よりわずかに小さい外径を有する複数の外周凸部612と、隣り合う外周凸部612同士の間において、外周凸部612より凹状である外周凹部613とを、周方向に並列配置しており、レーザ光57aの照射方向に対応する光軸方向Dから視た断面において略歯車状に形成している(図示省略)。
このように構成された外装チューブ61は、デバイス挿入路19に挿通した際に外周凸部612がデバイス挿入路19に当接してしっかりと固定されるとともに、内視鏡チューブ21の曲げに応じて柔軟に曲げることができる。
レーザチップ側装着部62は図4及び図5(c)に示すように、伝送路側装着部621と、チューブ連結部622と、レーザチップ装着部623が後方から並んで配列された構成である。
伝送路側装着部621は、図5(c)に示すように、外装チューブ61の内径と略同一の外径を有するとともに、後述する中空導波路からなるレーザ伝送体63の外径よりも一回り大きな内径を有する筒状体で形成されており、レーザ伝送体63を挿通できるとともに、伝送路側装着部621を挿通空間611に挿入することでレーザチップ側装着部62を外装チューブ61に嵌合できる。
チューブ連結部622は、伝送路側装着部621の先端に設けられた筒状体であり、デバイス挿入路19の内径よりわずかに小さい外径を有するとともに、レーザ伝送体63の外径と略同一の内径を有しており、レーザチップ側装着部62が外装チューブ61に装着された状態において、外装チューブ61とレーザチップ側装着部62との外周面が面一となるとともに、後述するレーザ照射口631を外装チューブ61の断面の中央部分に固定することができる。
レーザチップ装着部623は、チューブ連結部622の先端部から延びる、伝送路側装着部621と略同一の外径を有する筒状体であり、基端側における外周面には光軸方向Dに沿った伝送路側ネジ部624が設けられている。
挿通空間611に挿通されるレーザ伝送体63は中空導波路であり、内部中空の円筒形の筒状体の内面全周を誘電体薄膜(図示省略)で被覆した筒状体をし、先端にレーザ光57aを照射するレーザ照射口631が設けられている。
この中空導波路を構成するレーザ伝送体63は筒状体であり、ガラス管など表面が円滑で、銀などの反射膜及び誘電体薄膜の形成に適した素材により長尺状に形成され、誘電体薄膜は、COP(環状オレフィンポリマー)やポリイミドなど、レーザ光を効率よく反射伝送する適宜の素材で形成している。
このように、レーザ伝送体63の内周面を銀などの反射膜及び誘電体薄膜で被覆しているため、レーザ伝送体63の内部を導通する炭酸ガスレーザ等の赤外領域のレーザ光57aを高い伝送効率で導通することができる。
レーザ伝送路60の先端に装着可能なレーザチップ70は、レーザ光の入射側の基端側が開口するとともに、先端側が閉じた有底の略円筒体で構成された、赤外レーザ光不透過のステンレスで構成された金属製のレーザチップであり、図3乃至図5に示すように、レーザ伝送路60と着脱可能な装着部71と、装着部71から先端側に延設するカバー部72と、カバー部72の先端側に設けられた有底の先端底部73とで一体に構成されている。
装着部に対応する装着部71は、チューブ連結部622の外径と略同一の外径を有するとともに、レーザチップ装着部623の外径と略同一の内径を有する筒状体で形成されており、装着部71の後端側の内周面には伝送路側ネジ部624と螺合可能なチップ側ネジ部711が形成されている(図5(c)参照)。
装着部71の先端から延設するカバー部72は、図3及び図5に示すように、装着部71の外径と同じ外径を有する筒状体であり、レーザチップ装着部623の外径と同じ内径を有する基端側円筒部721と、基端側円筒部721の先端側に設けられた先端側円筒部722とで一体に構成されている。
この基端側円筒部721は、装着部71の外径と同じ外径であるとともに、レーザチップ装着部623の外径と同じ内径である円筒体であり、光軸方向Dにおける中央部分にはレーザチップ70の板厚を貫通する円形状の貫通孔74が、周方向に沿って3つ等間隔に設けられている。この貫通孔74の径は、表面張力により血液が内部に侵入することが困難な程度に小さく構成されている。
先端側円筒部722は、基端側円筒部721の外径と同じ外径であるとともに、その内径が基端側円筒部721の内径よりも一回り小さい円筒体である。なお、先端側円筒部722の内面と基端側円筒部721の内面とは段差部723を介して連結されている。
先端底部73は、図5に示すように、先端側円筒部722の先端側において円錐台形状に形成されている。詳しくは、先端底部73は先端側円筒部722の外径を同じ外径の円を底面とし、先端側円筒部722の外径の約3分の1の径で構成された円を上面とする円錐台形に形成され、先端底部73の先端には出血部位に当接させる当接面731が設けられている。
また、先端底部73の基端には、図5(c)に示すように、先端側円筒部722の内径と同じ径の円を底面とする円錐状に窪ませた凹部732が設けられている。この凹部732は、図5(c)に示すように、断面視において母線が形成する角度が90度として構成され、凹部732の深さL2がカバー部72の高さL1の約4分の1の長さに構成されている。
なお、凹部732には、レーザ光57aの反射を低下させるコーティング部材によるコーティングを施してもよい。
当接面731は、光軸方向Dに直交する断面に沿った円形状の平面で構成されている。また、その表面には生体組織との固着を防止するために、炭化チタン(TiC)によるコーティングが施されている。
なお、本実施形態において、固着防止用コーティングとして、炭化チタン(TiC)を用いているが、これに限定されるわけでなく生体組織との固着をしなければどのようなコーティングであってもよい。具体的には、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素、窒化ホウ素(BN)などでコーティングしても構わない。
このように構成されたレーザチップ70の内部には、レーザ光57a及び放出ガス58aが導通する照射空間Sが形成されている。また、レーザチップ70は、照射空間Sを導通するレーザ光57aの一部を凹部732において吸収するとともに、吸収されなかったレーザ光57aを反射することができる。換言すると、当接面731からはレーザ光57aが照射されないように構成されている。
このレーザチップ70は、レーザチップ装着部623に対して装着部71を螺合することで、レーザ伝送路60の先端部分に装着することができる。この状態で、レーザ治療装置50を操作しレーザ光57aを発振することで、先端底部73にレーザ光57aを照射できる。
以下、レーザチップ70を装着した状態のレーザ伝送路60において、レーザ光57aを照射した場合について図6に基づき説明する。
ここで、図6(a)は、レーザ伝送路60にレーザチップ70を装着した状態
のレーザ伝送路60の先端付近を示しており、レーザ伝送体63を伝搬して照射されたレーザ光57aの行路を表す側面断面図を示し、図6(b)は、レーザチップ70を装着した状態のレーザ伝送路60における放出ガス58aの行路を表す側面断面図を示す。
レーザチップ70を装着した状態のレーザ伝送路60においてレーザ照射口631から照射されたレーザ光57aは、図6(a)に示すように、先端底部73の基端側に照射されるため、先端底部73によって吸収される。これにより、先端底部73(レーザチップ70)は加熱されることとなる。
また、レーザ照射口631から照射されたレーザ光57aのうち、先端底部73の照射方向の中心から外れたレーザ光57aの一部は、凹部732によって対向する凹部732に向けて反射され、凹部732における反射面と対向する凹部732に吸収される。このように、吸収されずに反射されたレーザ光57aの一部は凹部732によりさらに吸収されるため、効率的に先端底部73が加熱される。したがって、レーザ光57aを吸収して加熱された当接面731を出血部位に当接することで、血液を凝固させて出血部位を止血できる。
一方で、レーザ照射口631から照射空間Sに放出された放出ガス58aは、図6(b)に示すように、基端側円筒部721に設けられた貫通孔74を介して外部に流出する。このとき、放出ガス58aは加圧されてレーザ伝送体63の内部を挿通する空気であり、レーザチップ70の内部が陽圧となる。また、放出ガス58aは貫通孔74を介して外部に放出される。
このように貫通孔74から放出ガス58aが放出されるとともに、貫通孔74の径が血液の表面張力により血液が内部に侵入することが困難な程度に小さく構成されていることから、仮に貫通孔74近辺に血液などが付着していたとしても、貫通孔74を介してレーザチップ70の内部空間に血液が侵入することを防止できる。
なお、上述の説明では、レーザチップ70は先端に向けて先細りする先端底部73が円筒状のカバー部72の先端に設けられるとともに、先端底部73の基端側内面に円錐状に窪ませた凹部732が設けられているが、図7及び図8に示すように、その他の形状のレーザチップ70としてもよい。
ここで、図7及び図8は、他の実施形態であるレーザチップ70a、70b、70c、70d、70eにおける、レーザチップ70のA−A断面図に対応する断面図をそれぞれ示す。
なお、図7及び図8で示すレーザチップ70a、70b、70c、70d、70eの構成のうち、レーザチップ70と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
例えば、図7(a)に示すレーザチップ70aでは、カバー部72の先端側に設けられた先端底部73aがカバー部72と同じ外径を有する円柱体であり、先端底部73aの基端側には先端側に向けて先細りする円錐状の凹部732が形成されている。このように形成されたレーザチップ70aにおける当接面731aは、当接面731と比べて面積が広く形成されている。
また、図7(b)に示すレーザチップ70bのように、カバー部72b及び先端底部73bが基端側から先細りする形状に形成されていてもよい。
具体的には、レーザチップ70bは、装着部71と、カバー部72に対応するカバー部72bと、先端底部73に対応する先端底部73bとで一体に構成されている。
そして、カバー部72bは、装着部71の外径と同じ外径の円筒と円筒の先端側に設けた円錐台とで形成された基端側円筒部721bと、基端側円筒部721bの先端から延出する円錐台である先端側円筒部722bとで構成され、先端底部73bは先端に向かうにつれて先細りする円錐台形状で一体構成されている。
なお、先端底部73bの基端面には、凹部732が形成される代わりに、基端側に突出したカバー部72の内径と同一の径を有する半球体球状に形成された突部733が一体構成されている。
この突部733は、レーザチップ70と同様に、ステンレスで構成されており、レーザ伝送路60はその先端にレーザチップ70を装着させてレーザ光57aを照射した場合に、レーザ光57aの一部を吸収して先端底部73bを加熱するとともに、吸収されなかったレーザ光57aをカバー部72bに向けて反射させて、カバー部72bを加熱することができる。
また、カバー部72bは、必ずしも錐台形状である必要はなく、例えば図7(c)に示すように、レーザチップ70cの断面における外形が光軸方向Dの先端に向かうにつれて先細りする円弧で形成されていてもよい。なお、図7(c)において、先端底部73cの基端側には、突部733が形成されているが、レーザチップ70などと同様に、凹部732が形成されていてもよい。
さらにまた、図8(a)及び図8(b)に示すレーザチップ70d、70eのように、カバー部72d、72eを、断面視において光軸方向Dの先端側に向かうにつれて内径側に向かう階段形状で構成されていてもよい。
詳述すると、図8(a)及び図8(b)に示すレーザチップ70d、70eは、装着部71と、カバー部72に対応するカバー部72d、72eと、先端底部73に対応する先端底部73d、73eとで構成されている。
装着部71から先端に向けて延出するカバー部72d、72eは、長手方向の中央部分において内径側に向けて縮径する段差形状をした円筒体である基端側円筒部721d、721eと、基端側円筒部721d、721eの先端側の外径よりも縮径した円筒体である先端側円筒部722d、722eとで一体構成されている。
基端側円筒部721d、721eは、基端側が装着部71の外径と同じ外径であるとともに、中央部分で装着部71の外径よりも一回り縮径した段差形状に形成されている。また、基端側円筒部721d、721eの内径は、レーザチップ装着部623の外径と同じとなるように構成されている。なお、基端側円筒部721d、721eの光軸方向Dにおける中央部分には、径方向外側に向けて貫通した貫通孔74が3つ設けられている。
先端側円筒部722d、722eにおける光軸方向Dの長さは、カバー部72における先端側円筒部722と比べて長く形成されるとともに、先端に有底の円錐台形状である先端底部73d、73eが設けられている。この先端底部73d、73eにおける光軸方向Dの長さは、レーザチップ70における先端底部73と比べて約半分程度の長さに形成されている。
先端底部73dは、図8(a)に示すように、基端側に円錐状に窪ませた凹部732が形成されている。一方で、先端底部73eの基端側には、図8(b)に示すように、凹部が形成されておらず、平面状に構成されている。
また、光軸方向Dに沿った先端底部73dの長さL3は、凹部732の深さL4の約1.5倍となるように構成されている。すなわち、レーザチップ70dはレーザチップ70と比べて凹部732の先端と先端底部73dの当接面731dとの間隔が短く形成されている。
このように構成されたレーザチップ70d、70eは、レーザチップ70と比べて体積が小さいため、より効率よく加熱することができる。また、当接面731d,eと先端底部73の基端側との間隔が短く形成されていることにより、先端底部73d,73eをより効率的に加熱できる。特にレーザチップ70dでは、当接面731dと凹部732dの先端との間隔がより短いため、より効率よく先端底部73dを加熱できる。
なお、図5、図7及び図8に示したレーザチップ70の構成は、この構成に限定されるわけではなく、適宜組み合わせを変更できる。すなわち、レーザチップ70cにおける先端底部73cの基端側をレーザチップ70eと同様に平面状としたり、レーザチップ70dにおける先端底部73dの基端側に突部733を設けたりすることができる。また、レーザチップ70における先端底部73の光軸方向Dの長さを短くするなどもできる。
このように構成されたレーザチップ70(レーザチップ70a、70b、70c、70d,70eを含めて、レーザチップ70として記載する。)は、レーザ伝送路60の先端に備えられた、レーザ光57aを照射するレーザ伝送体63に装着するレーザチップであって、レーザ光の入射側が開口するとともにレーザ伝送体63に着脱自在に構成された装着部71(装着部71a、71b、71c、71d、71eを含めて、装着部71として記載する。)と、装着部71からレーザ光57aの光軸方向Dに沿って先端側に延出された筒状のカバー部72(カバー部72a、72b、72c、72d,72eを含めて、カバー部72として記載する。)と、カバー部72における先端側に設けられた、有底の先端底部73(先端底部73a、73b、73c、73d,73eを含めて、先端底部73として記載する。)とで構成され、内部にレーザ光57aが照射される照射空間Sを形成するとともに、先端底部73は、照射されたレーザ光57aが透過することがなく、少なくともレーザ光57aの一部を吸収して加熱されることにより、レーザ医療において、確実に止血することができる。
詳述すると、レーザチップ70の内部に照射空間Sが形成されているため、先端底部73までの間にレーザ光57aを吸収するものがない。そのため、レーザ光57aが先端底部73に直接照射されるとともに、先端底部73がレーザ光57aを透過させることなく吸収され、先端底部73は効率よく加熱される。このように効率よく加熱された先端底部73を出血部位に当接できるため、出血部位を確実に止血できる。
また、カバー部72が装着部71から先端側に筒状に形成されていることにより、レーザチップ70の内部に血液等などの異物が侵入することを防止できる。このため、照射空間Sを導通するレーザ光57aが異物に吸収されることがなく、効率よく先端底部73を加熱できる。
また、カバー部72に、光軸方向Dと交差する交差方向に貫通し、レーザ伝送路60を導通する放出ガス58aを流出させる貫通孔74が設けられることにより、貫通孔74から放出ガス58aを流出させることができ、貫通孔74を介してレーザ伝送路60の内部に異物が侵入することを防止できる(図6(b)参照)。特に本実施形態では、レーザ伝送体63として中空導波路を使用しており、導波路内部に異物が侵入し、汚染されるとレーザ伝送効率が著しく低下する。また、放出ガス58aは、レーザ伝送体63の入射側より流入される気体であるため、より確実にレーザ伝送体63の内部への異物の侵入を防止できる。
さらにまた、貫通孔74を設けることにより、レーザ光57aの照射を停止した場合において、気体が加熱された先端底部73の温度低下を促進するとともに、気体が貫通孔74から放出されるため、レーザ光57aを照射停止するとすぐに先端底部73を冷却できる。これにより、先端底部73が不要に生体組織と当接した場合などであっても、先端底部73はレーザ光停止時には高温ではないため、先端底部73の意図しない接触による生体の損傷を防止できる。
また、レーザ光57aを照射停止するとすぐにレーザチップ70が冷却されるため、例えばレーザ伝送路60を挿入した内視鏡スコープ12から引き抜き取り出す際に、内視鏡スコープ12の内壁を損傷させたり、レーザチップ70を交換する際に施術者が火傷を負ったりする危険性もない。
また、先端底部73、73b,73c,73d,73eは、先端に向かって先細りしていることにより、先端底部73、73b,73c,73d,73eの表面積を小さくできるため、レーザ光57aを照射することによる先端底部73の加熱をより効率的にでき、出血部位をより確実に止血できる。
さらにまた、先端底部73、73a、73dの基端側には、レーザ照射方向となる先端に向かって先細りし、かつ、レーザ光57aの一部を反射させる凹部732が設けられていることにより、先端底部73の体積を減少できる。したがって、レーザ光57aの照射による先端底部73の加熱をより効率的に行うことができる。
また、図6(a)に示すように、凹部732に吸収されずに反射されたレーザ光57aが、レーザ光57aが照射された凹部732の面と異なる面に照射され、先端底部73に吸収されるため、より効率的に先端底部73を加熱できる。
さらにまた、先端底部73、73a、73b,73c,73d,73eの前方に、平坦面で形成された当接面731、731a、731b,731c,731d,731eが設けられることにより、損傷領域を広げることがなく確実に止血することができる。
詳述すると、レーザ光57aを先端底部73、73a、73b,73c,73d,73eに照射して加熱された当接面731、731a、731b,731c,731d,731eを損傷部位に直接押し当てることにより、損傷部位及びその周辺の血液を凝固させて、損傷部位を確実に止血できる。
また、本実施形態において、当接面731などは、平面としているが、平面に限定する必要はない。例えば、図9及び図10に示すように、曲率半径が10mm以上の曲面で形成された当接面731x、731yを設けてもよい。
以下、当接面が緩やかな凸面で構成されたレーザチップ70x及び緩やかな凹面で構成されたレーザチップ70yについて、図9及び図10に基づいて説明する。なお、以下で説明するレーザチップ70x,70yの構成のうち、レーザチップ70と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図9は、当接面が緩やかな凸面である場合の説明図を示し、図10は当接面が緩やかな凹面である場合の説明図を示す。詳しくは、図9(a)は当接面が緩やかな凸面であるレーザチップ70xの断面図を示し、図9(b)はレーザチップ70xを用いた出血部位Eの止血方法の概略断面図を示す。また、図10(a)は当接面が緩やかな凸面であるレーザチップ70yの断面図を示し、図10(b)はレーザチップ70yを用いた出血部位Eの止血方法の概略断面図を示す。なお、出血部位Eは、粘膜層L1と筋層L3との間にある粘膜下層L2を走る血管とする。
レーザチップ70xは、図9(a)に示すように、レーザチップ70xの前方に形成される当接面は、前方に突出する曲率半径が15mmの緩やかな曲面の当接面731xで構成されている。
このため、当接面731xを出血部位Eに当接させた場合、生体組織が曲面に沿って変形し、出血部位Eと当接面73xとの間に介在する血液量をより減らすことができ、血液Bを確実に凝固させて出血部位Eからの出血を止血できる(図9(b)参照)。
また、レーザチップ70と異なりレーザチップ70xは当接面731xの端部に角部が形成されていないため、角部で出血部位E近辺の生体組織を損傷することを防止できる。
一方、レーザチップ70yは、図10(a)に示すように、レーザチップ70yの前方に形成される当接面は、後方に窪んだ曲率半径が15mmの緩やかな曲面の当接面731yで構成されている。
このため、当接凹面73yを出血部位Eに当接させた場合、当接面731yと出血部位Eとの間に血液Bを溜めることができる。この溜めた血液Bは微小量であるため、加熱した当接凹面73yを当接させることで十分に凝固され確実に出血部位Eを止血できる(図10(b)参照)。
このように、当接面731の曲率半径が+10mm以上である場合(図9(a)参照)、すなわち凸状の曲面で形成されている当接面731xの場合、当接面731xを損傷部位に直接押し当てることができるため(図9(b)参照)、加熱された当接面731xにより損傷部位及びその周辺の血液を凝固させて、損傷部位を確実に止血できる。
一方で、当接面731の曲率半径が−10mm以上である場合、すなわち凹状の曲面で形成されている当接面731yの場合(図10(a)参照)、当接面731yを損傷部位に押し付けることで損傷部位から出た血液を凹部に溜めることができる(図10(b)参照)。レーザ光57aを照射することにより加熱された当接面731yで凹部に溜められた血液を凝固して損傷部位を止血できる。
このように、曲率半径が異なる当接面731を用いた止血は、止血の作用が異なるため、出血箇所の部位や出血状況に応じて曲率半径が異なる曲面又は平坦面の当接面731を使い分けることができる。
また、先端底部73を含むレーザチップ70が、レーザ光が不透過の金属材料で構成されていることにより、吸収されたレーザ光57aが先端底部73において熱に変換されて先端底部73を加熱できるため、確実に先端底部73を加熱できる。したがって、確実に出血部位Eからの血液を凝固して、出血箇所を止血できる。
なお、先端底部73を含むレーザチップ70は金属材料でなく、レーザ光不透過の耐熱性セラミック材料で構成されても同様の効果を有する。
本実施形態では、レーザチップ70がステンレスで構成されているが、例えばレーザチップ70を、赤外レーザ光は不透過だが可視光は透過させる石英ガラスで構成してもよい。この場合、先端底部73が赤外レーザであるレーザ光57aを吸収するとともに、可視光をガイド光として透過させることができるため、出血箇所をガイド光で照らすことにより、出血箇所を目視しながら先端底部73の先端側を正確に当接することができる。このため、より確実に出血箇所を止血できる。
また、先端底部73の基端側に、レーザ光57aの反射を低下させるコーティングが施されていることにより、当接部が吸収するレーザ光57aのエネルギーを増大させることができるため、当接部を効率よく加熱することができる。これにより、当接部を生体組織内において出血している損傷部位に当接させた場合に、確実に止血することができる。
さらにまた、先端底部73の先端側に、生体組織との固着を防止する固着防止用コーティングが施されていることにより、生体組織に対して当接させた当接部が生体組織と固着することを防止できるため、当接部を止血した損傷部位から離した場合に損傷部位などの損傷を防止できる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の反射凹部は、凹部732に対応し、
以下同様に、レーザ発振器は、レーザ発振部57に対応し、
内視鏡は、内視鏡装置10に対応するが、
照射方向は、光軸方向Dに対応し、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施形態において、先端底部73を含めレーザチップ70はレーザ光57aを吸収するステンレス製であるが、これに限定することなく、例えば生体との適合性が良いチタン合金製としたり、先端底部73の当接面731にレーザ光57aを透過せずに熱変換するレーザ光非透過部材を貼り付けたりしてもよい。
また、本実施形態において当接面731は、先端底部73の基端側を円錐状に窪ませた形状をしているが、例えば錐体台形状や球状に窪ませた形状でもよく、さらには、図11(a)に示すように、光軸方向Dに沿って回転非対称の錐体形状の窪みであっても構わない。このように回転非対称の錐体形状とすることで、当接面731に照射されたレーザ光57aがレーザ伝送体63側に反射されることを防止できる。
また、本実施形態において、凹部321の母線同士が形成する角度を90度としているが、この角度に限定されるわけではなく、90度以下でも90度以上でもよい。しかしながら、母線同士が形成する角度を90度以下とした場合、レーザ光57aをレーザ光が照射された凹部321と対向する面に反射させることができるため、反射されたレーザ光57aにより先端底部73を効率よく加熱できる。
さらにまた、本実施形態において、貫通孔74を基端側円筒部721の中央部分に設けているが、必ずしもこの位置である必要はなく、例えば先端側円筒部722に設けてもよく、さらには装着部71に設けてもよい。また、図11(b)に示すように、レーザ照射口631を先端側に突出させるとともに、貫通孔74をレーザ照射口631よりも基端側に設けてもよい。
さらにまた、本実施形態において貫通孔74は円筒体のカバー部72の径方向に沿って形成されているが、必ずしもこの方向に沿って設けてある必要はなく、例えば図11(c)に示すように、カバー部72の径方向から基端側に向けて形成されてもよい。これにより、貫通孔74の長さを長くできるとともに、レーザ照射口631から放出された放出ガス58aが直接貫通孔74から外部に放出されることなく先端側に送ることができる。したがって、貫通孔74を介して外部の血液などがレーザチップ70の内部に侵入することを抑制できるとともに、レーザ光57aを停止した場合に効率よく先端底部73を冷却できる。
また、貫通孔74は径方向外側に向かうにつれて縮径するように形成してもよい。
なお、図11に示したレーザチップ70の構成は、この構成に限定されるわけではなく、例えば図5、図7及び図8に示したレーザチップ70に対して適宜組み合わせを変更しても構わない。すなわち、本明細書において記載の実施形態の各構成については、矛盾のない限り適宜その組み合わせを変更できる。
1 治療システム
10 内視鏡装置
50 レーザ治療装置
57 レーザ発振部
57a レーザ光
60 レーザ伝送路
631 レーザ照射口
70、70a、70b、70c、70d、70e、70x、70y レーザチップ
71、71a、71b、71c、71d、71e 装着部
72、72a、72b、72c、72d、72e カバー部
73、73a、73b、73c、73d、73e、73x、73y 先端底部
732 凹部
731、731a、731b、731c、731d、731e、731x、731y 当接面
74 貫通孔
80 レーザ処置具
D 照射方向
S 照射空間

Claims (12)

  1. レーザ伝送路の先端に備えられた、レーザ光を照射するレーザ照射口に装着するレーザチップであって、
    開口するとともに前記レーザ照射口に着脱自在に構成された装着部と、
    該装着部から前記レーザ光の照射方向に沿って先端側に延出した筒状のカバー部と、
    該カバー部における先端側に設けられた、有底の先端底部とで構成され、
    内部に前記レーザ光が照射される照射空間が形成されるとともに、前記先端底部は、照射された前記レーザ光が透過することがなく、少なくとも前記レーザ光の一部を吸収して加熱される
    レーザチップ。
  2. 前記カバー部に、
    前記照射方向と交差する交差方向に貫通し、前記レーザ伝送路を導通する気体を流出させる貫通孔が設けられた
    請求項1に記載のレーザチップ。
  3. 前記先端底部が、先端に向かって先細りするように窪んで構成された
    請求項1又は請求項2に記載のレーザチップ。
  4. 前記先端底部の基端側に、先端に向かって先細りし、かつ、前記レーザ光の一部を反射させる反射凹部が設けられた
    請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のレーザチップ。
  5. 前記先端底部の前方に、曲率半径が10mm以上の曲面で形成された、又は、平坦面で形成された当接面が設けられた
    請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載のレーザチップ。
  6. 前記先端底部が、金属材料又は耐熱性セラミック材料で構成された
    請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のレーザチップ。
  7. 前記先端底部が、石英ガラスで構成された
    請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のレーザチップ。
  8. 前記先端底部の基端側に、前記レーザ光の反射を低下させるコーティングが施された
    請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載のレーザチップ。
  9. 前記先端底部の先端側に、生体組織との固着を防止する固着防止用コーティングが施された
    請求項1乃至請求項8のうちのいずれかに記載のレーザチップ。
  10. レーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、
    請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載のレーザチップとが備えられた
    レーザ処置具。
  11. 炭酸ガスレーザ光を発振するレーザ発振器と、
    前記レーザ発振器より発振されたレーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、
    請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載のレーザチップとが備えられた
    レーザ治療装置。
  12. 請求項11に記載のレーザ治療装置と、
    前記レーザ伝送路を挿通可能とした内視鏡とで構成された
    レーザ治療システム。
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