JP2019075855A - スイッチング素子の制御回路、電源装置、スイッチング素子の制御方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

スイッチング素子の制御回路、電源装置、スイッチング素子の制御方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能なスイッチング素子の制御回路、電源装置、スイッチング素子の制御方法及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御するスイッチング素子の制御回路は、前記インダクタに流れる電流を取得する取得部と、該取得部が取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、スイッチング素子の制御回路、電源装置、スイッチング素子の制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
直流電圧を昇降圧するDC−DCコンバータ(以下、単にコンバータという)が車載機器や産業用機器の電源として広く用いられている。コンバータの制御方式としては、電圧モード制御、電流モード制御、ヒステリシス制御(リップル制御ともいう)等が知られている。中でも、電圧モード制御や電流モードの制御に比べて過渡応答性に優れるヒステリシス制御が、近年特に着目されている。
ヒステリシス制御は、例えば、出力電圧に応じたフィードバック電圧を、エラーアンプを用いずにヒステリシスコンパレータで基準電圧と比較し、比較出力に基づいてインダクタ電流をスイッチングするものである。ヒステリシス制御のコンバータは、構造が簡略であることに加え、入力設定値の変化や出力負荷の変化に対する反応が速く、安定性のための制御ループ周波数補償またはスロープ補償を行う必要がないといった多くの利点を有している。
例えば、特許文献1には、ヒステリシスコンパレータの出力を積分する積分手段と、積分手段の出力から直流成分を除く直流カット手段と、直流カット手段の出力及び電圧検出手段の出力を加算してヒステリシスコンパレータの第1の入力に供給する加算手段を備える制御回路が記載されている。この制御回路は、急激な負荷変動や入力電圧変動が生じた場合であっても、コンパレータの第1の入力に即座に反映されるため、変動要因に対してコンパレータの出力電圧に遅れが生じることがなく、高速応答性に優れている。
また、特許文献2には、出力側のインダクタに印加される電圧を積分するCR積分回路のキャパシタに、インダクタに流れる電流と相似な波形の電圧が発生することを利用し、この電圧と出力フィードバック電圧の加算電圧をヒステリシスコンパレータで比較するスイッチング電源装置が記載されている。この構成により、従来のようにインダクタと並列に接続したCR積分回路によってインダクタに流れる電流と相似な信号を取り出す場合と比較して、出力のキャパシタにESR(Equivalent Series Resistance)が小さい素子を用いることができ、出力のリップル電圧が低減される。
特開2004−208440号公報 特開2010−252627号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されたコンバータは、何れもヒステリシスコンパレータを用いるものであり、回路規模がその分だけ増大するデメリットがあった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能なスイッチング素子の制御回路、電源装置、スイッチング素子の制御方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明の一態様に係るスイッチング素子の制御回路は、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路であって、前記インダクタに流れる電流を取得する取得部と、該取得部が取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部とを備える。
本発明の一態様に係るスイッチング素子の制御回路は、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路であって、前記スイッチング素子がオン/オフすることにより前記電源の電圧から変圧された電圧を取得する取得部と、該取得部が取得した電圧に基づいて、前記変圧された電圧が前記スイッチング素子のオン期間中に上昇して第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に低下して第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部とを備える。
本発明の一態様に係る電源装置は、上述のスイッチング素子の制御回路と、該制御回路によってオン/オフが制御されるスイッチング素子と、該スイッチング素子及び外部の電源に対して直列に接続されるインダクタとを備える。
本発明の一態様に係るスイッチング素子の制御方法は、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御方法であって、前記インダクタに流れる電流を取得し、取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出し、算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する。
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記インダクタに流れる電流を取得するステップと、取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出するステップと、算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更するステップとを実行させる。
なお、本願は、このような特徴的な処理部を備えるスイッチング素子の制御回路及び電源装置として実現したり、特徴的な処理をステップとするスイッチング素子の制御方法として実現したり、係るステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができるだけでなく、スイッチング素子の制御回路及び/又は電源装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したり、スイッチング素子の制御回路及び/又は電源装置を含むシステムとして実現したりすることができる。
上記によれば、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
実施形態1に係る電源装置の構成例を示すブロック図である。 制御回路の機能構成を示すブロック図である。 実施形態1に係る電源装置でFETのオン期間の長さを変更する方法の第1例を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係る電源装置でFETのオン期間の長さを変更する方法の第2例を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係る電源装置でFETのオン期間の長さを変更する方法の第3例を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係る電源装置でFETのオン期間の長さを変更する方法の第4例を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係る電源装置でFETのオン期間の長さを変更するCPUの処理手順を示すフローチャートである。 実施形態2に係る電源装置でFETのオフ期間の長さを変更する方法を示すタイミングチャートである。 変形例1に係る電源装置の構成例を示すブロック図である。 変形例2に係る電源装置の構成例を示すブロック図である。 実施形態4に係る電源装置でFETのオン期間及びオフ期間の長さを変更する方法の第1例を示す説明図である。 実施形態4に係る電源装置でFETのオン期間及びオフ期間の長さを変更する方法の第2例を示す説明図である。 実施形態4に係る電源装置でFETのオン期間及びオフ期間の長さを変更するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本発明の一態様に係るスイッチング素子の制御回路は、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路であって、前記インダクタに流れる電流を取得する取得部と、該取得部が取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部とを備える。
(8)本発明の一態様に係るスイッチング素子の制御方法は、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御方法であって、前記インダクタに流れる電流を取得し、取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出し、算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する。
(9)本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記インダクタに流れる電流を取得するステップと、取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出するステップと、算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更するステップとを実行させる。
本態様にあっては、オン/オフするスイッチング素子を介して電源に接続されているか、又はオン/オフするスイッチング素子と電源との間に接続されているインダクタの電流を取得する。そして、取得した電流に基づき、インダクタの電流がスイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更するか、又はインダクタの電流がスイッチング素子のオフ期間中に第2閾値に到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。これにより、スイッチング素子のオン期間又はオフ期間におけるインダクタの電流の傾きが変化する場合であっても、オン期間の終了時点におけるインダクタの電流が第1閾値と一致するように、又はオフ期間の終了時点におけるインダクタの電流が第2閾値と一致するように、オン期間又はオフ期間の長さが制御される。
(2)前記インダクタに流すべき目標の電流に応じて前記第1閾値及び第2閾値を増減させる増減部を更に備えることが好ましい。
増減部は、インダクタに流れるようにすべき目標の電流の増加及び減少夫々に応じて、第1閾値と第2閾値とを共に増加及び減少させる。これにより、例えばリップル電流を小さくするために第1閾値及び第2閾値の差分を小さく設定した場合であっても、第1閾値と第2閾値とが目標の電流の上下両側にあるように追従させる。
(3)前記算出部は、前記オン期間中の相異なる2つ以上の時点にて前記取得部が取得した電流に基づいて前記第1閾値に到達する時点を算出するか、又は前記オフ期間中の相異なる2つ以上の時点にて前記取得部が取得した電流に基づいて前記第2閾値に到達する時点を算出することが好ましい。
算出部は、スイッチング素子のオン期間中の少なくとも2つの時点又はオフ期間中の少なくとも2つの時点で取得された電流に基づいて、インダクタの電流の第1閾値又は第2閾値への到達時点を算出する。これにより、必要最小限の電流検出で上記の到達時点が算出される。
(4)前記算出部は、前記オン期間中の1つの時点にて前記取得部が取得した電流と、前記第2閾値に対応する電流とに基づいて前記第1閾値に到達する時点を算出するか、又は前記オフ期間中の1つの時点にて前記取得部が取得した電流と、前記第1閾値に対応する電流とに基づいて前記第2閾値に到達する時点を算出し、前記変更部は、前記オン期間及びオフ期間の両方の長さを変更することが好ましい。
算出部は、スイッチング素子のオン期間中の1つの時点で取得された電流と直前のオフ期間の終了時点、即ちオン期間の開始時点で第2閾値に一致すべくインダクタに流れていた電流とに基づいてインダクタの電流の第1閾値への到達時点を算出するか、又はスイッチング素子のオフ期間中の1つの時点で取得された電流と直前のオン期間の終了時点、即ちオフ期間の開始時点で第1閾値に一致すべくインダクタに流れていた電流とに基づいてインダクタの電流の第2閾値への到達時点を算出する。これにより、僅か1回の電流検出で上記の到達時点が算出される。
(5)前記算出部は、2通りの前記電流から直線近似して前記第1閾値又は第2閾値に到達する時点を算出することが好ましい。
算出部は、インダクタに流れる電流が直線的に増減することを利用して、オン期間中の少なくとも2つの時点でインダクタに流れていた電流、又はオフ期間中の少なくとも2つの時点でインダクタに流れていた電流から直線近似して上記の到達時点を算出する。
(6)本発明の一態様に係るスイッチング素子の制御回路は、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路であって、前記スイッチング素子がオン/オフすることにより前記電源の電圧から変圧された電圧を取得する取得部と、該取得部が取得した電圧に基づいて、前記変圧された電圧が前記スイッチング素子のオン期間中に上昇して第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に低下して第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部とを備える。
本態様にあっては、インダクタと電源との間に接続されているか、又はインダクタを介して電源と接続されているスイッチング素子がオン/オフすることによって電源の電圧から降圧又は昇圧(即ち変圧)された変圧電圧を取得する。そして、取得した変圧電圧に基づき、変圧電圧がスイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更するか、又は変圧電圧がスイッチング素子のオフ期間中に第2閾値に到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。これにより、スイッチング素子のオン期間中又はオフ期間中に変圧電圧の上昇曲線又は下降曲線が変化する場合であっても、オン期間の終了時点における変圧電圧が第1閾値と一致するように、又はオフ期間の終了時点における変圧電圧が第2閾値と一致するように、オン期間又はオフ期間の長さが制御される。
(7)本発明の一態様に係る電源装置は、上述のスイッチング素子の制御回路と、該制御回路によってオン/オフが制御されるスイッチング素子と、該スイッチング素子及び外部の電源に対して直列に接続されるインダクタとを備える。
本態様にあっては、電源及びインダクタと直列に接続されるスイッチング素子を上述の制御回路がオン/オフに制御するため、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能なスイッチング素子の制御回路が電源装置に適用される。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るスイッチング素子の制御回路、電源装置、スイッチング素子の制御方法及びコンピュータプログラムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電源装置の構成例を示すブロック図であり、図2は、制御回路の機能構成を示すブロック図である。図1に示す電源装置は、例えば外部のバッテリである電源4の電圧をスイッチングにより降圧(即ち変圧)して負荷5に供給するDC/DCコンバータ(以下、単にコンバータという)1と、該コンバータ1にスイッチングの制御信号を与える制御回路2とを含んでいる。
コンバータ1は、ドレインが電源4に接続されたNチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:以下、単にFETという)11であるスイッチング素子と、該FET11のソースにカソードが接続されたダイオード12と、該ダイオード12のカソードに一端が接続されたインダクタ13と、該インダクタ13に流れる電流(以下、インダクタ13の電流とも言う)を検出する電流センサ14と、インダクタ13の他端及び基準電位の間に接続されたコンデンサ15とを備える。
ダイオード12のアノードは基準電位に接続されている。ダイオード12を、FET11と相補的にオン/オフする他のFETで置き換えてもよい。電流センサ14の検出端子は制御回路2に接続されている。電流センサ14は、例えばカレントトランスであるが、シャント抵抗等を用いて電流を検出するものであってもよい。FET11は、Pチャネル型のFET、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の他のスイッチング素子であってもよい。負荷5はコンデンサ15の両端に接続される。
コンバータ1は、また、FET11をオン/オフに駆動する駆動回路16を備える。駆動回路16は、例えば不図示のチャージポンプを有し、制御回路2から与えられたPFM(Pulse Frequency Modulation)信号の信号レベルを変換して生成した駆動信号をFET11のゲートに与える。
制御回路2は、CPU21を有し、CPU21は、プログラム等の情報を記憶するROM(Read Only Memory)22、一時的に発生した情報を記憶するRAM(Random Access Memory)23及び各種時間を計時するタイマ24と互いにバス接続されている。
CPU21には、また、駆動回路16に与えるPFM信号を出力する出力部25と、電流センサ14の検出結果、即ちインダクタ13の電流をデジタル値に変換するA/D変換器26と、電源4の電圧から降圧されてコンデンサ15に印加された変圧電圧をデジタル値に変換するA/D変換器27とがバス接続されている。
図2に移って、制御回路2のCPU21は、負荷5に供給する電圧及び電流を所謂電流モード制御方式によって制御するために、電圧ループ制御器28の機能と、後述する電流ループ制御器の機能とを実現する。制御回路2では、電圧ループ制御器28による電圧ループ制御と、電流ループ制御器による電流ループ制御とが同時並行的に実行される。
電圧ループ制御器28は、コンデンサ15に印加された変圧電圧をA/D変換器27でデジタル値に変換した電圧Voの基準電圧(目標の電圧)Vrefに対する偏差を減算器29で算出することにより、後段の電流ループ制御器に与える基準電流(目標の電流)Irefを算出する。電圧ループ制御では、コンバータ1が負荷5に供給する変圧電圧が、基準電圧Vrefに応じた電圧となるように制御される。なお、電圧ループ制御器28を削除して基準電流Irefが固定的に与えられるようにしてもよい。この場合、コンバータ1は定電流源として動作する。
電流ループ制御器の機能は、電圧ループ制御器28からの基準電流Irefに応じて第1閾値及び第2閾値を増減させる増減部30と、A/D変換器26でデジタル値に変換されたインダクタ13の電流が、FET11のオン期間中に第1閾値に到達する到達時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する到達時点を算出する算出部31と、該算出部が算出した到達時点でFET11のオン期間又はオフ期間が終わるようにオン期間又はオフ期間の長さを変更する変更部32とで実現される。変更部32で長さが変更されたオン期間又はオフ期間を有するPFM信号は、出力部25から駆動回路16に出力される。電流ループ制御では、インダクタ13の電流が、FET11のオン期間の終了時点で第1閾値に到達するか、又はFET11のオフ期間の終了時点で第2閾値に到達するように制御される。
以下では、FET11のオン期間及びオフ期間と、インダクタ13の電流との関係について、タイミングチャートを用いて説明する。図3、図4、図5及び図6の夫々は、実施形態1に係る電源装置でFET11のオン期間の長さを変更する方法の第1例、第2例、第3例及び第4例を示すタイミングチャートである。図3から図6の夫々に示す3つのタイミングチャートは、何れも同一の時間軸(t)を横軸にしてあり、各図の上段から順に、FET11の変更前のオン/オフ期間、インダクタ13の電流、及びFET11の変更後のオン/オフ期間を示す信号を模式的に示してある。インダクタ13について示されているImax及びImin夫々は、上述の第1閾値及び第2閾値に相当する。
図3から図6には、FET11のオフ期間の長さTfが一定であり、オン期間の長さがTn_n−1からTn_nへ、更にTn_nからTn_n+1へと順に変更される場合が示されている。例えば、時点t0を開始時点とするオン期間の変更前の長さ、即ち1つ前のオン期間の長さTn_n−1は、時点t0からt4までの時間差に等しく、変更後のオン期間の長さはTn_nである。同様に、時点t10を開始時点とするオン期間の変更前の長さTn_nは、時点t10からt14までの時間差に等しく、変更後の長さはTn_n+1である。但し簡単のために、何れの図にあっても、Tn_nがTn_n−1に対して変化がないものとする。
図3及び図4では、時点t4を開始時点とするオフ期間の終了時点t10におけるインダクタ13の電流がIminで一定である場合、即ち、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きと同じ場合が示されている。このうち、図3では、時点t0を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも、時点t10を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きの方が大きい場合が示されている。また、図4では、時点t0を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも、時点t10を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きの方が小さい場合が示されている。
図5及び図6では、時点t0を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きと、時点t10を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きとが等しい場合が示されている。このうち、図5では、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも絶対値が小さい場合が示されている。また、図6では、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも絶対値が大きい場合が示されている。オフ期間中のインダクタ13の電流の傾きの絶対値は、負荷5が重くなれば増大し、軽くなれば減少する。
具体的に、オン期間の長さをTn_n−1からTn_nに変更するには、時点t0からt4までを4等分する時点を順にt1,t2,t3とする。そして、例えば時点t1及びt2夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Imaxに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更する。即ち、時点t0と、算出される到達時点との時間差をTn_nとする。
同様に、オン期間の長さをTn_nからTn_n+1に変更するには、時点t10からt14までを4等分する時点を順にt11,t12,t13とする。そして、例えば時点t11及びt12夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Imaxに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更する。即ち、時点t10と、算出される到達時点との時間差をTn_n+1とする。
以下では、時点t1及びt2夫々におけるインダクタ13の電流がI1_n及びI2_nであるものとして説明する。また、時点t11及びt12夫々におけるインダクタ13の電流がI1_n+1及びI2_n+1であるものとして説明する。
時点t0からt4まで、及び時点t10からt14まで夫々を4等分するのは、4で除算する処理が2ビットのシフト演算で簡単に実行できるからである。オン期間中のインダクタ13の電流の傾きは、電源4の電圧と、負荷5に供給される変圧電圧との差分に比例するから、例えば電源4の電圧の変動に応じて上記の直線近似を補正するようにしてもよい。
上記の等分数4を8等の他の数にしてもよいし、時点t0から所定の第1時間が経過した時点をt1とし、更に所定の第2時間が経過した時点をt2としてもよい。また、例えば、時点t2及びt3夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似したり、時点t1及びt3夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似したり、時点t0からt3までのうち、少なくとも2つの時点におけるインダクタ13の電流を直線近似したりして、電流Imaxに到達する到達時点を算出してもよい。
一般的に、時点t0からt4までのオン期間の長さTnを4等分する時点をt1,t2,t3とし、時点t1,t2夫々におけるインダクタ13の電流をI1,I2とする場合、時点(時刻)tにおけるインダクタ13の電流I(t)は、以下の式(1)によって直線近似される。
I(t)={(I2−I1)/(Tn/4)}
×{t−(t0+Tn/4)}+I1・・・・・・・・・・・・・・・(1)
インダクタ13の電流が第1閾値であるImaxに到達する到達時点をtxとすると、t0からtxまでの時間差であるtx−t0は、式(1)を変形して以下の式(2)により、Tn’として算出される。このTn’が変更されたオン期間の長さとなる。
Tn’={(Imax−I1)×Tn/4}/(I2−I1)+Tn/4・・・・(2)
式(2)を図3から図6のタイミングチャートにおけるTn_nの算出に適用するには、TnをTn_n−1に、I1をI1_nに、I2をI2_nに夫々置き換えて、Tn’をTn_nとして算出すればよい。同様に、式(2)をTn_n+1の算出に適用するには、TnをTn_nに、I1をI1_n+1に、I2をI2_n+1に夫々置き換えて、Tn’をTn_n+1として算出すればよい。
図3では、時点t0を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも、時点t10を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きの方が大きいから、式(2)によって算出されるTn_n+1は、Tn_nよりも短くなる。即ち、時点t14より前の時点t14aでオン期間が終わるように、オン期間の長さがTn_nからTn_n+1へと短く変更される。このことは、電源4の電圧が上昇した場合に、FET11のオン期間の長さが短くなるように制御されることに対応している。
図4では、時点t0を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも、時点t10を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きの方が小さいから、式(2)によって算出されるTn_n+1は、Tn_nよりも長くなる。即ち、時点t14より後の時点t14bでオン期間が終わるように、オン期間の長さがTn_nからTn_n+1へと長く変更される。このことは、電源4の電圧が低下した場合に、FET11のオン期間の長さが長くなるように制御されることに対応している。
図5では、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも絶対値が小さいから、時点t10におけるインダクタ13の電流がIminよりも多くなる。従って式(2)によって算出されるTn_n+1は、Tn_nよりも短くなる。即ち、時点t14より前の時点t14cでオン期間が終わるように、オン期間の長さがTn_nからTn_n+1へと短く変更される。このことは、負荷5が軽くなった場合に、FET11のオン期間の長さが短くなるように制御されることに対応している。
図6では、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも絶対値が大きいから、時点t10におけるインダクタ13の電流がIminよりも少なくなる。従って式(2)によって算出されるTn_n+1は、Tn_nよりも長くなる。即ち、時点t14より後の時点t14dでオン期間が終わるように、オン期間の長さがTn_nからTn_n+1へと長く変更される。このことは、負荷5が重くなった場合に、FET11のオン期間の長さが長くなるように制御されることに対応している。
以下では、上述した制御回路2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM22に予め格納されている制御プログラムに従って、CPU21により実行される。図7は、実施形態1に係る電源装置でFET11のオン期間の長さを変更するCPU21の処理手順を示すフローチャートである。図7に手順を示す処理は、CPU21がFET11のオン/オフの1サイクルを制御する毎に起動される。図中のタイマA及びタイマBによる計時は、タイマ24を用いて実行される。目標の電流(基準電流Iref)は、電圧ループ制御器28の機能を実現する他の処理にて適時算出されてRAM23に記憶されている。また、1つ前のオン期間の長さがTnとして記憶されている。
図7の処理が起動された場合、CPU21は、他の処理にて算出された目標の電流が変化したか否かを判定し(S11)、変化した場合(S11:YES)、変化に応じて第1閾値及び第2閾値を増減させる(S12:増減部に相当)。具体的には、目標の電流が増加した場合にImax及びIminを共に増加させ、目標の電流が減少した場合にImax及びIminを共に減少させる。このようにImax及びIminを増減させない場合は、電源4の電圧変動及び負荷5の変動に対応するためにImaxとIminとの差分を大きくしておく必要があり、インダクタ13の電流リップルが大きくなる弊害が生じる。
目標の電流が変化しない場合(S11:NO)、又はステップS12の処理を実行した場合、CPU21は、出力部25によってFET11をオンに制御する信号を出力する(S13)。次いで、CPU21は、タイマAに1つ前のオン期間の長さTnを設定して計時を開始させる(S14)と共に、タイマBにTn/4を設定して計時を開始させる(S15)。タイマA及びタイマBは、設定された時間が経過したとき、即ち所謂コンペアマッチが成立したときに割込等でCPU21に通知すると共に、設定された時間の計時を繰り返すようになっている。
その後、CPU21は、タイマBでコンペアマッチが成立したか否かを判定し(S16)、成立しない場合(S16:NO)、成立するまで待機する。コンペアマッチが成立した場合(S16:YES)、即ちTn/4に相当する時間が経過した場合、CPU21は、A/D変換器26によってインダクタ13の電流(I1)を取得する(S17:取得部に相当)。
次いで、CPU21は、タイマBでコンペアマッチが成立したか否かを判定し(S18)、成立しない場合(S18:NO)、成立するまで待機する。コンペアマッチが成立した場合(S18:YES)、即ちTn/4に相当する時間が更に経過した場合、CPU21は、A/D変換器26によってインダクタ13の電流(I2)を取得する(S19:取得部に相当)。
その後、CPU21は、上述の式(2)によりTn’を算出し(S20:算出部に相当)、算出したTn’をタイマAに上書きすべく設定する(S21:変更部に相当)。これにより、ステップS14でタイマAが計時を開始してから、変更されたオン期間の長さに相当する時間が経過したときにコンペアマッチが成立するようになる。ステップS20で算出されたTn’は、次回の起動時にTnとして参照されるように記憶される。なお、時点t0はCPU21にとって既知であるから、式(2)によりTn’(即ちtx−t0)を算出することと、到達時点txを算出することとは等価である。また、ステップS21におけるタイマAへのTn’の上書きは、タイマAによるカウント周期を書き換える処理であり、ステップS21の前後でタイマAによるカウントは継続している。
次いで、CPU21は、タイマAでコンペアマッチが成立したか否かを判定し(S22)、成立しない場合(S22:NO)、成立するまで待機する。コンペアマッチが成立した場合(S22:YES)、即ち変更されたオン期間の長さに相当する時間が経過した場合、CPU21は、出力部25によってFET11をオフに制御する信号を出力する(S23)。
その後、CPU21は、タイマAにオフ時間の長さTfを設定して(S24)、タイマAでコンペアマッチが成立したか否かを判定し(S25)、成立しない場合(S25:NO)、成立するまで待機する。ここでも、ステップS24の前後でタイマAによるカウントは継続している。コンペアマッチが成立した場合(S25:YES)、即ちオフ期間の長さに相当する時間が経過した場合、CPU21は、図7の処理を終了する。これにより、制御回路2から出力されるPFM信号の1周期分の処理が終了する。
上述したフローチャートにおける各ステップの実行順序は厳密なものではなく、例えばステップS13からS15までの実行順序は順不同であり、ステップS23及びS24の実行順序を逆にしてもよい。
以上のように本実施形態1によれば、オン/オフするFET11を介して電源4に接続されているインダクタ13の電流を電流センサ14及びA/D変換器26によって取得する。そして、取得した電流に基づき、インダクタ13の電流がFET11のオン期間中に第1閾値であるImaxに到達する到達時点txを算出し、算出した到達時点txでオン期間が終わるようにオン期間の長さTnを変更する。これにより、FET11のオン期間におけるインダクタ13の電流の傾きが変化する場合であっても、オン期間の終了時点におけるインダクタ13の電流がImaxと一致するように、オン期間の長さが制御される。従って、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
また、本実施形態1によれば、増減部30の機能を実現するCPU21は、インダクタ13に流れるようにすべき目標の電流の増加及び減少夫々に応じて、ImaxとIminとを共に増加及び減少させる。これにより、例えばリップル電流を小さくするためにImax及びIminの差分を小さく設定した場合であっても、ImaxとIminとが目標の電流の上下両側にあるように追従させることができる。
更に、本実施形態1によれば、算出部31の機能を実現するCPU21は、FET11のオン期間中の少なくとも2つの時点t1,t2で取得された電流に基づいて、インダクタ13の電流のImaxへの到達時点を算出する。従って、必要最小限の電流検出で上記の到達時点txを算出することができる。
更に、本実施形態1によれば、算出部31の機能を実現するCPU21は、インダクタ13に流れる電流が直線的に増減することを利用して、オン期間中の少なくとも2つの時点t1,t2でインダクタ13に流れていた電流から直線近似して上記の到達時点txを算出することができる。
(実施形態2)
実施形態1は、インダクタ13の電流がFET11のオン期間中にImaxに到達する到達時点txを算出し、算出した到達時点txでオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更する形態である。これに対し、実施形態2は、インダクタ13の電流がFET11のオフ期間中にIminに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにスイッチング素子のオフ期間の長さを変更する形態である。本実施形態2に係る電源装置のブロック構成は、実施形態1の図1に示す構成と同様であるため、その説明を省略する。
図8は、実施形態2に係る電源装置でFET11のオフ期間の長さを変更する方法を示すタイミングチャートである。図8に示す3つのタイミングチャートは、何れも同一の時間軸(t)を横軸にしてあり、各図の上段から順に、FET11の変更前のオン/オフ期間、インダクタ13の電流、及びFET11の変更後のオン/オフ期間を示す信号を模式的に示してある。
図8には、FET11のオン期間の長さTnが一定であり、オフ期間の長さがTf_n−1からTf_nへ、更にTf_nからTf_n+1へと順に変更される場合が示されている。例えば、時点t0を開始時点とするオフ期間の変更前の長さ、即ち1つ前のオフ期間の長さTf_n−1は、時点t0からt4までの時間差に等しく、変更後のオフ期間の長さはTf_nである。同様に、時点t10を開始時点とするオフ期間の変更前の長さTf_nは、時点t10からt14までの時間差に等しく、変更後の長さはTf_n+1である。但し簡単のために、Tf_nがTf_n−1に対して変化がないものとする。
図8では、時点t4を開始時点とするオン期間の終了時点t10におけるインダクタ13の電流がImaxで一定である場合、即ち、時点t4を開始時点とするオン期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオン期間中のインダクタ13の電流の傾きと同じ場合が示されている。また、図8では、時点t0を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも、時点t10を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きの方が、絶対値が大きい場合が示されている。
具体的に、オフ期間の長さをTf_n−1からTf_nに変更するには、時点t0からt4までを4等分する時点を順にt1,t2,t3とする。そして、例えば時点t1及びt2夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Iminに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。即ち、時点t0と、算出される到達時点との時間差をTf_nとする。
同様に、オフ期間の長さをTf_nからTf_n+1に変更するには、時点t10からt14までを4等分する時点を順にt11,t12,t13とする。そして、例えば時点t11及びt12夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Iminに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。即ち、時点t10と、算出される到達時点との時間差をTf_n+1とする。
実施形態1の場合と同様に、以下では、時点t1及びt2夫々におけるインダクタ13の電流がI1_n及びI2_nであるものとして説明する。また、時点t11及びt12夫々におけるインダクタ13の電流がI1_n+1及びI2_n+1であるものとして説明する。なお、上記の等分数4を8等の他の数にしてもよいし、時点t0から所定の第1時間が経過した時点をt1とし、更に所定の第2時間が経過した時点をt2としてもよい。また、例えば、時点t2及びt3夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似したり、時点t1及びt3夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似したり、時点t0からt3までのうち、少なくとも2つの時点におけるインダクタ13の電流を直線近似したりして、電流Iminに到達する到達時点を算出してもよい。
時点t0からt4までのオフ期間の長さTfを4等分する時点をt1,t2,t3とし、時点t1,t2夫々におけるインダクタ13の電流をI1,I2とする場合、時点(時刻)tにおけるインダクタ13の電流I(t)は、実施形態1で示した式(1)におけるTnをTfで置き換えた以下の式(3)によって直線近似される。
I(t)={(I2−I1)/(Tf/4)}
×{t−(t0+Tf/4)}+I1・・・・・・・・・・・・・・・(3)
インダクタ13の電流が第2閾値であるIminに到達する到達時点をtyとすると、t0からtyまでの時間差であるty−t0は、式(3)を変形して以下の式(4)により、Tf’として算出される。このTf’が変更されたオフ期間の長さとなる。
Tf’={(Imin−I1)×Tf/4}/(I2−I1)+Tf/4・・・・(4)
式(4)を図8のタイミングチャートにおけるTf_nの算出に適用するには、TfをTf_n−1に、I1をI1_nに、I2をI2_nに夫々置き換えて、Tf’をTf_nとして算出すればよい。同様に、式(4)をTf_n+1の算出に適用するには、TfをTf_nに、I1をI1_n+1に、I2をI2_n+1に夫々置き換えて、Tf’をTf_n+1として算出すればよい。
図8では、時点t0を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも、時点t10を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きの方が、絶対値が大きいから、式(4)によって算出されるTf_n+1は、Tf_nよりも短くなる。即ち、時点t14より前の時点t14eでオフ期間が終わるように、オフ期間の長さがTf_nからTf_n+1へと短く変更される。このことは、負荷5が重くなった場合に、FET11のオフ期間の長さが短くなるように制御されることに対応している。
図8に示すタイミングチャートは、実施形態1の図3に示すタイミングチャートでオン期間とオフ期間との関係を逆転させたものに相当する。このため、図8に示す場合におけるオフ期間の長さの変更方法は、上述のとおり、実施形態1の図3に示す場合から容易に想到されるものである。同様に、図4,図5,図6夫々に示すタイミングチャートでオン期間とオフ期間との関係を逆転させた場合におけるオフ期間の長さの変更方法は、図4,図5,図6に示す場合から容易に想到されるため、ここでの説明を省略する。
上述した実施形態2に係る制御回路2の動作を示すフローチャートは、実施形態1の図7に示すものから容易に想到されるため、ここでの図示を省略する。具体的には、ステップS13でFET11をオフに制御する信号を出力し、ステップS14でタイマAに1つ前のオフ期間の長さTfを設定して計時を開始させ、ステップS15でタイマBにTf/4を設定して計時を開始させる。更に、ステップS20で式(4)によりTf’を算出し、ステップS21でTf’をタイマAに上書きすべく設定し、ステップS23でFET11をオンに制御する信号を出力し、ステップS24でタイマAにオン期間の長さTnを設定する。その他のステップの処理内容は、図7の場合と同様である。
以上のように本実施形態2によれば、電流センサ14及びA/D変換器26によって取得したインダクタ13の電流に基づき、インダクタ13の電流がFET11のオフ期間中に第2閾値であるIminに到達する到達時点tyを算出し、算出した到達時点tyでオフ期間が終わるようにオフ期間の長さTfを変更する。これにより、FET11のオフ期間におけるインダクタ13の電流の傾きが変化する場合であっても、オフ期間の終了時点におけるインダクタ13の電流がIminと一致するように、オフ期間の長さが制御される。従って、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
(実施形態3)
実施形態1又は2は、オン/オフするFET11を介して電源4に接続されているインダクタ13の電流を取得し、取得した電流に基づいてオン期間の長さ又はオフ期間の長さを変更する形態である。これに対し、実施形態3は、電源4の電圧から降圧された変圧電圧を取得し、取得した変圧電圧に基づいてオン期間の長さ又はオフ期間の長さを変更する形態である。本実施形態3に係る電源装置のブロック構成は、実施形態1の図1に示す構成と同様であるため、その説明を省略する。
インダクタ13の電流が負荷5に供給された場合、負荷5が抵抗負荷であり、コンデンサ15のインピーダンスが負荷5の抵抗値と比較して無視できる程度であれば、コンバータ1が出力して負荷5に供給する変圧電圧は、インダクタ13の電流に比例する。この場合、実施形態1の図3から図6に示すFET11のオン期間及びオフ期間における上記変圧電圧の波形は、インダクタ13の電流波形と相似である。
従って、インダクタ13の電流がImax及びImin夫々である時点における変圧電圧をVmax及びVminとし、インダクタ13の電流がI1及びI2夫々である時点t1及びt2(又は、t11及びt12)における変圧電圧をV1及びV2とすれば、式(2)によりTn’を算出するか、又は式(4)によりTf’を算出することができる。具体的には、式(2)ではImaxをVmaxに、I1をV1に、I2をV1に夫々置き換え、式(4)ではIminをVminに、I1をV1に、I2をV1に夫々置き換えればよい。これにより、実施形態1と同様にFET11のオン期間の長さを変更するか、又は実施形態2と同様にFET11のオフ期間の長さを変更することができる。
一方、コンデンサ15のインピーダンスが負荷5の抵抗値と比較して無視できない場合、コンバータ1が出力して負荷5に供給する変圧電圧は、インダクタ13の電流の増加期間中、即ちFET11のオン期間中に下に凸の曲線を描いて上昇する波形となり、インダクタ13の電流の減少期間中、即ちFET11のオフ期間中に上に凸の曲線を描いて低下する波形となる。但し、この場合であっても、コンデンサ15と負荷5の並列回路の電圧変化を推定したり、テーブルを参照したりすることにより、FET11のオン期間中に変圧電圧がVmaxに到達する到達時点を算出するか、又はFET11のオフ期間中に変圧電圧がVminに到達する到達時点を算出することができる。これにより、実施形態1と同様にFET11のオン期間の長さを変更するか、又は実施形態2と同様にFET11のオフ期間の長さを変更することができる。
上述した実施形態3に係る制御回路2の動作を示すフローチャートは、実施形態1の図7に示すものから容易に想到されるため、ここでの図示を省略する。例えばFET11のオン期間の長さを変更する場合、ステップS12で目標の電圧に応じてVmax及びVminを増減させ、ステップS17でA/D変換器27によって変圧電圧(V1)を取得し、ステップS19で再び変圧電圧(V2)を取得する。更にステップS20で式(2)によりTn’を算出するか、又は変圧電圧の変化曲線に基づいてTn’に相当する長さを算出する。その他のステップの処理内容は、図7の場合と同様である。
以上のように本実施形態3によれば、インダクタ13と電源4との間に接続されているFET11がオン/オフすることによって電源4の電圧から降圧(即ち変圧)された変圧電圧を取得する。そして、取得した変圧電圧に基づき、変圧電圧がFET11のオン期間中に第1閾値であるVmaxに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更するか、又は変圧電圧がFET11のオフ期間中に第2閾値であるVminに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。これにより、FET11のオン期間中又はオフ期間中に変圧電圧の上昇曲線又は下降曲線が変化する場合であっても、オン期間の終了時点における変圧電圧がVmaxと一致するように、又はオフ期間の終了時点における変圧電圧がVminと一致するように、オン期間又はオフ期間の長さが制御される。従って、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
(変形例1)
実施形態1から3は、コンバータ1が電源4の電圧を降圧する形態であるのに対し、変形例1は、コンバータが電源4の電圧を昇圧する形態である。図9は、変形例1に係る電源装置の構成例を示すブロック図である。制御回路2の機能構成を示すブロック図は、実施形態1の図2の場合と同様である。図9に示す電源装置は、電源4の電圧をスイッチングにより昇圧(即ち変圧)して負荷5に供給するコンバータ1bと、該コンバータ1bにスイッチングの制御信号を与える制御回路2とを含んでいる。
コンバータ1bは、一端が電源4に接続されたインダクタ13と、該インダクタ13の他端にドレインが接続されたFET11と、該FET11のドレインにアノードが接続されたダイオード12と、該ダイオード12のカソード及び基準電位の間に接続されたコンデンサ15と、インダクタ13の電流を検出する電流センサ14と、FET11をオン/オフに駆動する駆動回路16とを備える。
FET11のソースは基準電位に接続されている。ダイオード12を、FET11と相補的にオン/オフする他のFETで置き換えてもよい。負荷5はコンデンサ15の両端に接続される。その他、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
本変形例1では、実施形態1及び2の場合と同様、FET11のオン期間中にインダクタ13の電流が直線的に増加し、オフ期間中にインダクタ13の電流が直線的に減少する。つまり、FET11のオン/オフ期間におけるインダクタ13の電流を示すタイミングチャートは、実施形態1の図3から図6に示すものと同様になる。従って、FET11のオン期間及びオフ期間夫々の長さを変更する方法は、実施形態1及び2の場合と同様であり、CPU21の処理手順を示すフローチャートも図7に示すものと同様である。
以上のように本変形例1によれば、オン/オフするFET11と電源4との間に接続されているインダクタ13の電流を取得する。そして、取得した電流に基づき、インダクタ13の電流がFET11のオン期間中に第1閾値であるImaxに到達する到達時点txを算出し、算出した到達時点txでオン期間が終わるようにオン期間の長さTnを変更するか、又はインダクタ13の電流がFET11のオフ期間中に第2閾値であるIminに到達する到達時点tyを算出し、算出した到達時点tyでオフ期間が終わるようにオフ期間の長さTfを変更する。これにより、FET11のオン期間又はオフ期間におけるインダクタ13の電流の傾きが変化する場合であっても、オン期間の終了時点におけるインダクタ13の電流がImaxと一致するように、又はオフ期間の終了時点におけるインダクタ13の電流がIminと一致するように、オン期間又はオフ期間の長さが制御される。従って、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
(変形例2)
実施形態1,2及び変形例1は、絶縁トランスを用いずに電源4の電圧を変圧する形態であるのに対し、変形例2は、絶縁トランスを用いて電源4の電圧を変圧する形態である。図10は、変形例2に係る電源装置の構成例を示すブロック図である。制御回路2の機能構成を示すブロック図は、実施形態1の図2の場合と同様である。図10に示す電源装置は、電源4の電圧をスイッチングにより変圧して負荷5に供給するコンバータ1cと、該コンバータ1cにスイッチングの制御信号を与える制御回路2とを含んでいる。
コンバータ1cは、一次巻線の一端が電源4の一端に接続された絶縁トランスT1と、該一次巻線の他端にドレインが接続されたFET11と、絶縁トランスT1の二次巻線の両端にカソードを突き合わせて接続されたダイオードD1,D2の直列回路と、ダイオードD2の両端に接続されたチョークコイルL1及びコンデンサ15の直列回路と、上記一次巻線の電流を検出する電流センサ14とを備える。
コンバータ1cは、更に、FET11をオン/オフに駆動する駆動回路16と、駆動回路16及び出力部25間を絶縁する絶縁回路17とを備える。FET11のソースは電源4の他端に接続されている。負荷5はコンデンサ15の両端に接続される。本変形例2では、絶縁トランスT1の一次巻線がインダクタに相当する。コンバータ1cは、所謂フォワード型のコンバータである。その他、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
本変形例2では、実施形態1及び変形例1の場合と同様、FET11のオン期間中に絶縁トランスT1の一次巻線の電流が直線的に増加し、これと同時に絶縁トランスT1の二次巻線からダイオードD1を介してチョークコイルL1に流れる電流が直線的に増加する。一方、FET11のオフ期間中には、不図示のスナバ回路によって上記一次巻線に蓄えられたエネルギーが解放され、これと同時に絶縁トランスT1の二次側でダイオードD2を介してチョークコイルL1に還流する電流が直線的に減少する。従って、FET11のオン期間の長さを変更する方法は、実施形態1及び変形例1の場合と同様であり、CPU21の処理手順を示すフローチャートも図7に示すものと同様である。
また、本変形例2では、実施形態3の場合と同様、コンバータ1cが出力して負荷5に供給する変圧電圧は、FET11のオン期間中に下に凸の曲線を描いて上昇する波形となり、オフ期間中に上に凸の曲線を描いて低下する波形となる。従って、実施形態3の場合と同様に、電源4の電圧から変圧された変圧電圧をA/D変換器27によって取得し、取得した変圧電圧に基づいてFET11のオン期間の長さ又はオフ期間の長さを変更してもよい。
以上のように本変形例2によれば、オン/オフするFET11を介して電源4に接続されている絶縁トランスT1の一次巻線の電流を電流センサ14及びA/D変換器26によって取得する。そして、取得した電流に基づき、上記一次巻線の電流がFET11のオン期間中に第1閾値であるImaxに到達する到達時点txを算出し、算出した到達時点txでオン期間が終わるようにオン期間の長さTnを変更する。これにより、FET11のオン期間における上記一次巻線の電流の傾きが変化する場合であっても、オン期間の終了時点における一次巻線の電流がImaxと一致するように、オン期間の長さが制御される。従って、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
また、変形例2によれば、絶縁トランスT1の一次巻線と電源4との間に接続されているFET11がオン/オフすることによって電源4の電圧から変圧された変圧電圧を取得する。そして、取得した変圧電圧に基づき、変圧電圧がFET11のオン期間中に第1閾値であるVmaxに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更するか、又は変圧電圧がFET11のオフ期間中に第2閾値であるVminに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。これにより、FET11のオン期間中又はオフ期間中に変圧電圧の上昇曲線又は下降曲線が変化する場合であっても、オン期間の終了時点における変圧電圧がVmaxと一致するように、又はオフ期間の終了時点における変圧電圧がVminと一致するように、オン期間又はオフ期間の長さが制御される。従って、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能となる。
なお、本変形例2にあっては、絶縁トランスT1の一次巻線に流れる電流を検出する例を説明したが、チョークコイルL1に流れる電流を検出してFET11のオン期間の長さを変更したり、オフ期間の長さを変更したりすることも可能である。
(実施形態4)
実施形態1及び2が、FET11のオン期間及びオフ期間の長さの一方を変更する形態であるのに対し、実施形態4は、FET11のオン期間及びオフ期間の長さの両方を変更する形態である。本実施形態4に係る電源装置のブロック構成は、実施形態1の図1に示す構成と同様であるため、その説明を省略する。
図11及び図12の夫々は、実施形態4に係る電源装置でFET11のオン期間及びオフ期間の長さを変更する方法の第1例及び第2例を示すタイミングチャートである。図11及び図12の夫々に示す3つのタイミングチャートは、何れも同一の時間軸(t)を横軸にしてあり、各図の上段から順に、FET11の変更前のオン/オフ期間、インダクタ13の電流、及びFET11の変更後のオン/オフ期間を示す信号を模式的に示してある。
図11及び図12には、FET11のオン期間の長さがTn_n−1からTn_nへ、更にTn_nからTn_n+1へと順に変更され、オフ期間の長さがTf_n−1からTf_nへと変更される場合が示されている。但し簡単のために、何れの図にあっても、オン期間の長さに変化がないものとする。
図11では、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも絶対値が小さい場合が示されている。また、図12では、時点t4を開始時点とするオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きが、1つ前のオフ期間中のインダクタ13の電流の傾きよりも絶対値が大きい場合が示されている。
具体的に、オン期間の長さをTn_n−1からTn_nに変更するには、時点t0からt4までを4等分する時点を順にt1,t2,t3とする。そして、例えば時点t0及びt1夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Imaxに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更する。即ち、時点t0と、算出される到達時点との時間差をTn_nとする。なお、オフ期間の終了時点におけるインダクタ13の電流がIminとなるように制御されているため、時点t0におけるインダクタ13の電流はIminである。
同様に、オン期間の長さをTn_nからTn_n+1に変更するには、時点t10からt14までを4等分する時点を順にt11,t12,t13とする。そして、例えば時点t10及びt11夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Imaxに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオン期間が終わるようにオン期間の長さを変更する。即ち、時点t0と、算出される到達時点との時間差をTn_nとする。なお、時点t10におけるインダクタ13の電流は、上述のとおりIminである。
一方、オフ期間の長さをTf_n−1からTf_nに変更するには、時点t4からt8までを4等分する時点を順にt5,t6,t7とする。そして、例えば時点t4及びt5夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Iminに到達する到達時点を算出し、算出した到達時点でオフ期間が終わるようにオフ期間の長さを変更する。即ち、時点t4と、算出される到達時点との時間差をTf_nとする。なお、オン期間の終了時点におけるインダクタ13の電流がImaxとなるように制御されているため、時点t4におけるインダクタ13の電流はImaxである。
以下では、時点t1及びt11夫々におけるインダクタ13の電流がI1_n及びI1_n+1であるものとして説明する。また、時点t5におけるインダクタ13の電流がI5_nであるものとして説明する。なお、上記の等分数4を2,8等の他の数にしてもよいし、例えば時点t0,t2夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Imaxに到達する到達時点を算出したり、時点t4,t6夫々におけるインダクタ13の電流を直線近似して電流Iminに到達する到達時点を算出したりしてもよい。
実施形態1の式(2)を図11及び図12のタイミングチャートにおけるTn_nの算出に適用するには、TnをTn_n−1に、I1をIminに、I2をI1_nに夫々置き換えて、Tn’をTn_nとして算出すればよい。同様に、式(2)をTn_n+1の算出に適用するには、TnをTn_nに、I1をIminに、I2をI1_n+1に夫々置き換えて、Tn’をTn_n+1として算出すればよい。
また、実施形態2の式(4)を図11及び図12のタイミングチャートにおけるTf_nの算出に適用するには、TfをTf_n−1に、I1をImaxに、I2をI5_nに夫々置き換えて、Tf’をTf_nとして算出すればよい。
以下では、上述した制御回路2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図13は、実施形態4に係る電源装置でFET11のオン期間及びオフ期間の長さを変更するCPU21の処理手順を示すフローチャートである。図13に手順を示す処理は、CPU21がFET11のオン/オフの1サイクルを制御する毎に起動される。1つ前のオン期間及びオフ期間夫々の長さがTn及びTfとして記憶されている。
図13に示すステップS31〜S37及びS41〜S44夫々の処理内容は、実施形態1の図7に示すステップS11〜S17及びS21〜S24の処理内容と同様であるため、これらのステップの説明を簡略化する。
図7の処理が起動されてステップS31,32の処理を終えた場合、CPU21は、FET11をオンに制御する信号を出力し(S33)、タイマAに1つ前のオン期間の長さTnを設定して計時を開始させる(S34)と共に、タイマBにTn/4を設定して計時を開始させる(S35)。
その後、タイマBでコンペアマッチが成立した場合(S36:YES)、CPU21は、インダクタ13の電流(I1)を取得し(S17:取得部に相当)、式(2)によってTn’を算出する(S40)。この場合、上述したように、取得したI1を式(2)のI2に代入し、I1にIminを代入する。
次いで、CPU21は、算出したTn’をタイマAに上書きすべく設定し(S41:変更部に相当)、タイマAでコンペアマッチが成立した場合(S42:YES)に、FET11をオフに制御する信号を出力する(S43)。CPU21は、また、タイマAに1つ前のオフ時間の長さTfを設定する(S44)と共に、タイマBにTf/4を設定し(S45)、タイマBにコンペアマッチが成立したか否かを判定する(S46)。
タイマBにコンペアマッチが成立しない場合(S46:NO)、CPU21は、成立するまで待機する。一方、コンペアマッチが成立した場合(S46:YES)、CPU21は、A/D変換器26によってインダクタ13の電流(I5)を取得し(S47:取得部に相当)、式(4)によってTf’を算出する(S50)。この場合、上述したように、取得したI5を式(4)のI2に代入し、I1にImaxを代入する。
次いで、CPU21は、算出したTf’をタイマAに上書きすべく設定して(S51:変更部に相当)、タイマAでコンペアマッチが成立したか否かを判定し(S52)、成立しない場合(S52:NO)、成立するまで待機する。コンペアマッチが成立した場合(S52:YES)、CPU21は、図13の処理を終了する。
なお、実施形態4にあっては、FET11のオン期間中及びオフ期間中夫々の1つの時点におけるインダクタ13の電流に基づいてオン期間及びオフ期間の長さを変更したが、これに限定されるものではない。例えば、FET11のオン期間中の1つの時点におけるインダクタ13の電流に基づいてオン期間の長さを変更し、実施形態2のように、FET11のオフ期間中の少なくとも2つの時点におけるインダクタ13の電流に基づいてオフ期間の長さを変更してもよい。また、例えば、FET11のオフ期間中の1つの時点におけるインダクタ13の電流に基づいてオフ期間の長さを変更し、実施形態1のように、FET11のオン期間中の少なくとも2つの時点におけるインダクタ13の電流に基づいてオン期間の長さを変更してもよい。
以上のように本実施形態4によれば、算出部31の機能を実現するCPU21は、例えばFET11のオン期間中の1つの時点t1で取得された電流と直前のオフ期間の終了時点t0、即ちオン期間の開始時点で第2閾値に一致すべくインダクタ13に流れていた電流Iminとに基づいてインダクタ13の電流のImaxへの到達時点を算出するか、又はFET11のオフ期間中の1つの時点t5で取得された電流と直前のオン期間の終了時点t4、即ちオフ期間の開始時点で第1閾値に一致すべくインダクタ13に流れていた電流Imaxとに基づいてインダクタ13の電流のIminへの到達時点を算出する。これにより、僅か1回の電流検出で上記の到達時点を算出することができる。
また、実施形態1から4及び変形例1,2によれば、電源4及びインダクタ13(又は絶縁トランスT1の一次巻線)と直列に接続されたFET11を上述の制御回路2がオン/オフに制御するため、ヒステリシスコンパレータを用いないで実質的にヒステリシス制御を行うことが可能なFET11の制御回路2を電源装置に適用することができる。
1、1b、1c コンバータ
11 FET
12 ダイオード
13 インダクタ
14 電流センサ
15 コンデンサ
16 駆動回路
17 絶縁回路
2 制御回路
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 タイマ
25 出力部
26、27 A/D変換器
28 電圧ループ制御器
29 減算器
30 増減部
31 算出部
32 変更部
4 電源
5 負荷
D1、D2 ダイオード
L1 チョークコイル
T1 絶縁トランス

Claims (9)

  1. 電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路であって、
    前記インダクタに流れる電流を取得する取得部と、
    該取得部が取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、
    該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部と
    を備えるスイッチング素子の制御回路。
  2. 前記インダクタに流すべき目標の電流に応じて前記第1閾値及び第2閾値を増減させる増減部を更に備える請求項1に記載のスイッチング素子の制御回路。
  3. 前記算出部は、前記オン期間中の相異なる2つ以上の時点にて前記取得部が取得した電流に基づいて前記第1閾値に到達する時点を算出するか、又は前記オフ期間中の相異なる2つ以上の時点にて前記取得部が取得した電流に基づいて前記第2閾値に到達する時点を算出する請求項1又は2に記載のスイッチング素子の制御回路。
  4. 前記算出部は、前記オン期間中の1つの時点にて前記取得部が取得した電流と、前記第2閾値に対応する電流とに基づいて前記第1閾値に到達する時点を算出するか、又は前記オフ期間中の1つの時点にて前記取得部が取得した電流と、前記第1閾値に対応する電流とに基づいて前記第2閾値に到達する時点を算出し、
    前記変更部は、前記オン期間及びオフ期間の両方の長さを変更する
    請求項1又は2に記載のスイッチング素子の制御回路。
  5. 前記算出部は、2通りの前記電流から直線近似して前記第1閾値又は第2閾値に到達する時点を算出する請求項3又は4に記載のスイッチング素子の制御回路。
  6. 電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路であって、
    前記スイッチング素子がオン/オフすることにより前記電源の電圧から変圧された電圧を取得する取得部と、
    該取得部が取得した電圧に基づいて、前記変圧された電圧が前記スイッチング素子のオン期間中に上昇して第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に低下して第2閾値に到達する時点を算出する算出部と、
    該算出部が算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は前記算出部が算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更する変更部と
    を備えるスイッチング素子の制御回路。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載のスイッチング素子の制御回路と、
    該制御回路によってオン/オフが制御されるスイッチング素子と、
    該スイッチング素子及び外部の電源に対して直列に接続されるインダクタと
    を備える電源装置。
  8. 電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御する制御方法であって、
    前記インダクタに流れる電流を取得し、
    取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出し、
    算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更するスイッチング素子の制御方法。
  9. コンピュータに、電源及びインダクタと直列に接続されたスイッチング素子のオン/オフを制御させるためのコンピュータプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記インダクタに流れる電流を取得するステップと、
    取得した電流に基づいて、前記インダクタに流れる電流が前記スイッチング素子のオン期間中に第1閾値に到達する時点、又はオフ期間中に第2閾値に到達する時点を算出するステップと、
    算出した前記第1閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオン期間の長さを変更するか、又は算出した前記第2閾値に到達する時点に基づいて前記スイッチング素子のオフ期間の長さを変更するステップと
    を実行させるコンピュータプログラム。
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