以下、図を参照しながら、この発明の装置、方法、プログラムの実施の形態について説明する。
[動態管理システムの構成例]
図1は、この実施の形態の動態管理システムの構成例を説明するための図である。この実施の形態の動態管理システムは、名所旧跡、美術館、博物館、公園などの複数の観光施設(訪問場所)を有する観光地において運行される多数の観光バスの動態管理を行うものである。なお、観光地は、歴史・文化・自然景観などの遊覧資産(観光施設)が適宜整備されており、交通機関や宿泊施設なども整備され、観光客の受け入れを行える地域を意味する。
図1に示すように、この実施形態の動態管理システムは、動態管理サーバ1と、管理者端末2と、添乗員端末3(1)、3(2)、…とが、通信ネットワーク5を介して接続されて構成される。この例において、添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、携帯電話網の基地局5k(1)、5k(2)、…及び携帯電話網を通じて、通信ネットワーク5に接続される例を示している。
通信ネットワーク5は、主にインターネットであるが、動態管理サーバ1、管理者端末2、添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれからインターネットまでをつなぐ電話網、携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)などをも含む。このように、通信ネットワーク5は、種々の機器がインターネットに接続可能な環境であるIoT(Internet of Things)プラットホームを実現している。
観光バス4(1)、4(2)、…のそれぞれは、当該観光地において運行され、その動態が管理されるべき移動体である。図1においては、観光バス4(1)と観光バス4(2)しか示していないが、実際には多数の観光バスが当該観光地において運行されている。また、観光バス4(1)、4(2)、…は、地元の観光バス会社が当該観光地において運行するものや全国各地の観光バス会社が運行し、全国各地から当該観光地に来た観光バスが含まれる。
添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、観光バス4(1)、4(2)、…のそれぞれに乗車する添乗員等によって所持される移動通信端末であり、具体的にはスマートフォンなどとよばれる高機能携帯電話端末によって実現される。添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、観光バス4(1)、4(2)、…に持ち込まれ、動態管理アプリケーションソフトウェア(以下、動態管理アプリと記載する。)が実行されると、添乗員端末として機能する。
添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、これが持ち込まれた観光バスの現在位置やステータス(状態)の動態管理サーバ1への通知や動態管理サーバ1からの通知情報の受信及び出力を行う。なお、実際には添乗員が同行しない場合もある。しかし、この実施の形態では、バスガイドやバス運転手などの観光バス4(1)、4(2)、…の運行に関与するサービス提供側の者が使用して、観光バス4(1)、4(2)、…の動態管理に用いられる移動通信端末を添乗員端末と記載する。
管理者端末2は、当該観光地で運行される多数の観光バス4(1)、4(2)、…の動態を総合的に管理する管理者によって使用される。管理者は、例えば、当該観光地の観光協会、当該観光地を管理する市区町村や都道府県などの地方公共団体の担当部署などである。管理者端末2は、動態管理サーバ1からの通知情報を受信して出力することにより、観光バス4(1)、4(2)、…の動態を把握できるようにする。また、管理者端末2は、必要に応じて、動態管理サーバ1や添乗員端末3(1)、3(2)、…に指示を通知することができる。
動態管理サーバ1は、当該観光地内(観光地域内)に存在する各観光施設(訪問場所)の位置情報、観光バス4(1)、4(2)、…のそれぞれの移動スケジュール、観光バス4(1)、4(2)、…のそれぞれの現在位置を管理する。観光バスの移動スケジュールは、観光施設の訪問順番、訪問時間、観光バスのステータス(状態)などを含む。観光バスのステータスには、観光施設の未訪問/訪問中/訪問済みといった観光施設に対するものや移動中/休憩中といった観光バス自体の状態を示すものも含む。
そして、動態管理サーバ1は、観光施設のそれぞれごとに、その観光施設の周囲にジオフェンスと呼ばれる仮想的な地理的境界線を設定して、所定エリアを設ける。この観光施設ごとの所定エリアにおける観光バスの混雑度を、観光バスの現在位置と観光バスのステータスとを利用して予測する。このようにして予測する観光施設ごとの混雑度を管理者端末2や添乗員端末3(1)、3(2)、…に通知し、観光施設ごとの予測される混雑度を把握できるようにする。
また、動態管理サーバ1は、観光施設ごとの混雑度に基づいて自発的に、あるいは、管理者端末2や添乗員端末3(1)、3(2)、…からの要求に応じて、観光バス4(1)、4(2)、…の移動スケジュールを変更するためのルート探索を行う。そして、現在の移動スケジュールよりも、混雑に遭遇しない好適なルートが存在する場合には、そのルートを用いるように移動スケジュールの変更を行うことができるようにしている。
以下、この実施の形態の動態管理システムを構成する動態管理サーバ1、管理者端末2、添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれの構成と動作について具体的に説明する。なお、添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、種々のメーカーの高機能電話端末の種々の機種によって実現可能であるが、その基本的な構成は同様のものである。このため、以下においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、添乗員端末3(1)、3(2)、…のそれぞれを、添乗員端末3と総称する。また、観光バス4(1)、4(2)、…についても、特に区別して示す必要がある場合を除き、観光バス4と総称する。
[動態管理サーバ1の構成例]
図2は、実施形態の動態管理サーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。通信I/F101は、通信ネットワーク5を通じて情報の送受信を可能にする通信機能を実現する。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部102は、この実施形態の動態管理サーバ1の各部を制御する。記憶装置103は、大容量記録媒体としてハードディスクを備え、情報(データ)の書き込み、読み出し、変更、削除等を行う。
そして、動態管理サーバ1は、図2に示すように、地図情報DB104、観光施設DB105、バススケジュールDB106、バス位置データファイル(図2ではバス位置データFと記載。)107を備える。ここで、文字「DB」は、データベース(Data Base)の略称である。また、地図情報DB104、観光施設DB105、バススケジュールDB106、バス位置データファイル107もまた、記憶装置103と同様に構成されたものである。
地図情報DB104は、移動経路や現在位置などを使用者に示すために使用する市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図データを記憶する。市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図データは、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データなどを含む。地図情報DB104の地図データは、移動経路や現在位置などを添乗員端末3の使用者に示すために使用されたり、また、観光施設ごとにジオフェンスを設定して所定エリアを特定するために使用されたりする。
観光施設DB105、当該観光地内に存在する複数の観光施設(訪問場所)の位置情報などを管理する。図3は、観光施設DB105の格納データの例を説明するための図である。図3に示すように、観光施設DB105には、観光施設ごとに、施設ID、施設名称、種別、人気度、必要滞在時間、現在待ち時間、代表点、第1ジオフェンス設定情報、第2ジオフェンス設定情報、許容バス台数が管理されている。この他にも、フォーマットを変更することにより、種々の情報を管理することができる。
施設IDは、観光施設ごとに割り振られた例えば4桁の数字であり、各観光施設を一意に特定できる情報である。施設名称は、観光施設の名称であり、種別は、美術館や博物館などの「見学」対象の観光施設なのか、主に「食事」をするための観光施設なのか、「名所」や「旧跡」である観光施設なのかといった、観光施設の種類に応じた区分けを示す。人気度は、例えば、アンケートなどにより把握された観光施設ごとの訪問希望者の数に応じて例えば5段階での評価値を示す。
必要滞在時間は、その観光施設を利用するために必要であると考えられる時間を示している。例えば、○○市美術館の場合には、見学のためには少なくとも45分が必要であることが示されている。現在待ち時間は、例えば駐車場の混雑や観光施設内の混雑のために、当該施設を利用するまでに掛かる時間である。この現在待ち時間は、図1には図示しなかったが、各観光施設の事務所などに配置されているパーソナルコンピュータなどの通信端末を通じて、動態管理サーバ1に随時に通知される情報である。
そして、代表点は各観光施設の代表位置を示す緯度経度であり、例えば、円形のジオフェンスを設定する場合の中心点として用いることができる。第1ジオフェンス設定情報と第2ジオフェンス設定情報は、観光施設ごとにどのようなジオフェンスを設定するのかを示す情報である。この実施の形態において、各観光施設の第1ジオフェンス設定情報は、代表点を中心にして例えば半径100mの円形の第1のジオフェンス(第1の境界)を設定することが規定されている。また、この実施の形態において、各観光施設の第2ジオフェンス設定情報は、代表点を中心にして例えば半径1000mの円形の第2のジオフェンス(第2の境界)を設定することが規定されている。
これにより、観光施設ごとに、代表点を中心にして半径100mの円を第1のジオフェンスとし、その内側に第1のエリアを設ける。更に、代表点を中心にして半径1000mの円を第2のジオフェンスとし、第1のジオフェンスと第2のジオフェンスとの間のドーナツ状のエリアを第2のエリアとして設ける。そして、第1のエリアは、当該観光施設の来訪者を乗せた観光バス4が集中するエリアであり、当該観光施設の現在の混雑度を把握する場合には、第1のエリアを利用する。また、第2のエリアは、当該観光施設に向かう観光バス4が多く走行しているエリアであり、当該施設の所定時間経過後の将来の混雑度を予測する場合には、第1のエリアに加えて第2のエリアをも利用する。
なお、この実施の形態において、図3に示したように、第2のジオフェンス情報を、各観光施設の代表点を中心にして半径1000mの円としている。これは、第2のジオフェンス近傍から第1のジオフェンス内に至るまでにかかる時間が約15分であると計測の結果判明しているためである。すなわち、この実施の形態においては、第1のジオフェンス外を走行している観光バス4で、次の目的地が当該第1のジオフェンス内の観光施設であるものが、最大でも15分後には当該第1のジオフェンス内に至るエリアが第2のエリアであるものとしている。
許容バス台数は、訪問客を乗せてきた観光バスが何台駐車可能な駐車スペースを、各観光施設が備えているかを示す情報である。図3に示した例の場合、「○○市美術館」の「許容バス台数」は10台であり、「□□ワイナリー」の「許容バス台数」は20台であり、「××山△△寺」の「バス許容台数」は15台であることが示されている。また、図3には図示していないが、例えば、各観光施設の住所、電話番号、特色、休日などの種々の情報を、観光施設DB105のその他の情報として記憶して、それらの情報についても管理することもできる。
バススケジュールDB106は、当該観光地で運行される多数の観光バス4のそれぞれの移動スケジュール情報を記憶保持する。図4は、バススケジュールDB106の格納データの例を説明するための図である。図4に示すように、当該格納データは、いわゆるヘッダ情報として、バスID、バス会社、運転手ID、添乗員ID、添乗員端末ID、乗客数、バスステータスを有する。
バスIDは、観光バス4のそれぞれに対して予め付与され、観光バス4ごとに固有の識別情報である。運転手IDは、観光バス4の運転手に対して予め付与されるバス運転手ごとに固有の識別情報であり、添乗員IDは、添乗員に対して予め付与さる添乗員ごとに固有の識別情報である。添乗員端末IDは、例えば、当該添乗員端末3に割り当てられたIP(Internet Protocol)アドレス、電話番号、MAC(Media Access Control address)アドレスといった、添乗員端末ごとに割り当てられている固有の識別情報が用いられる。
この実施の形態において、添乗員端末IDとしては、例えばIPアドレスが用いられるものとして説明する。すなわち、バススケジュールDB106に格納される移動スケジュール情報は、この実施の形態においては、各添乗員端末3のそれぞれにおいて作成され、動態管理サーバ1に送信されて、バススケジュールDB106に登録される。このように、送信元の添乗員端末3は、通信ネットワーク5に接続されており、IPアドレスが割り当てられた状態にあるので、これを添乗員端末IDとして用いるようにする。
また、バス会社は、当該観光バス4の運行会社名を示し、乗客数は、当該観光バス4に乗車する乗客の数である。バスステータスは、当該バスの動作状態を示す情報であり、具体的には、当該バスが移動中(走行中)なのか、休憩中(停車中)なのかを示す情報である。当該、バスステータスは、添乗員端末3から送信されてくるステータス通知情報により特定して更新することができる。
また、バスステータスは、添乗員端末3から所定のタイミングごとに送信されて来る現在位置通知情報の現在位置の変化の有無に基づいて、自動的に更新することもできる。例えば、バスステータスが「休憩中」であり、「移動中」になったことが添乗員端末3から送信されてきていないのに、添乗員端末3から送信されて来る現在位置が所定の速度以上の速度で変化するようになったとする。この場合には、動態管理サーバ1は、バスステータスを「移動中」に自動更新することができる。同様に、バスステータスが「移動中」であり、「休憩中」になったことが添乗員端末3から送信されてきていないのに、添乗員端末3から送信されて来る現在位置が観光施設近傍で変化しなくなったとする。この場合には、動態管理サーバ1は、バスステータスを「休憩中」に自動更新することができる。
そして、バススケジュールDB106の格納データは、順番、目的地、到着予定、出発予定、到着時刻、出発時刻、施設ステータスからなる移動スケジュール情報を有する。順番は訪問順を示し、目的地は訪問対象の観光施設を示す。図4において目的地は、観光施設の名称で示しているが、観光施設の識別IDを用いてもよいし、観光施設の識別IDと名称との両方を用いることもできる。到着予定は到着予定時刻を、出発予定は出発予定時刻を示す。到着予定から出発予定までの時間が、その観光施設での滞在予定時間になる。
到着時刻は、実際にその観光施設に到着した時刻を示し、出発時刻は実際にその観光施設を出発した時刻を示す。到着時刻と出発時刻は、添乗員端末3から送信されてくるステータス通知情報により特定して更新することができる。すなわち、「休憩中」のバスステータスが添乗員端末3に入力された時刻を到着時刻とし、「移動中」のバスステータスが添乗員端末3に入力された時刻を出発時刻とすることができる。もちろん、動態管理サーバ1において、バスステータスを「休憩中」に更新したタイミングで取得する時刻を到着時刻とし、バスステータスを「移動中」に更新したタイミングで取得する時刻を出発時刻とすることもできる。
施設ステータスは、その観光施設に対して、当該観光バス4が「未訪問」なのか、「訪問中」なのか、「訪問済」なのかを示す。この施設ステータスもまた、添乗員端末3から送信されてくるステータス通知情報に基づいて更新することができる。施設ステータスは、初期状態では「未訪問」とされている。そして、添乗員端末3からの現在位置が観光施設の近傍にあり、当該添乗員端末3からのステータス通知情報が「休憩中」の場合には、施設ステータスを「未訪問」から「訪問中」に更新できる。この後、当該添乗員端末3から「移動中」のステータス通知情報が送信されてきたら、施設ステータスを「訪問中」から「訪問済」に更新できる。
なお、上述したように、バスステータスは、添乗員端末3からの現在位置情報に基づいて動態管理サーバ1において、自動的に更新することができる。このため、当該バスステータスの自動更新に従って、施設ステータスについても自動更新することができる。
なお、ヘッダ情報と順番、目的地、到着予定、出発予定の各情報は、添乗員端末の使用者である添乗員等により事前に入力される情報である。そして、到着時刻、出発時刻、バスステータス、施設ステータスは、添乗員端末3からのステータス通知情報や現在位置通知情報に基づいて、随時に更新される情報である。
バス位置データファイル107は、添乗員端末3から所定のタイミングごとに送信され、通信I/F101を通じて受信される現在位置通知情報を記憶保持する。現在位置通知情報の詳細については後述する。このバス位置データファイル107の格納データにより、各観光バス4の現在位置を把握し、また、上述したように、当該観光バス4のステータス(状態)を把握することができる。
ジオフェンス設定部111は、観光施設DB105の第1ジオフェンス設定情報に基づいて、観光施設ごとに第1のジオフェンスを設定することにより、第1のエリアを設ける。また、ジオフェンス設定部111は、観光施設DB105の第2ジオフェンス設定情報に基づいて、観光施設ごとに第1のジオフェンスの外側に第2のジオフェンスを設定することにより、第2のエリアを設ける。ステータス更新部112は、設定された各観光施設の第1のジオフェンスと、各添乗員端末3からの現在位置情報と、各観光バス4の移動ステータスとに基づいて、各観光バスの移動スケジュール情報の施設ステータスを更新する。
動態把握部113は、ジオフェンス設定部111により設定された各観光施設の第1のジオフェンスの内側のエリアである第1のエリア内における観光バスの動態を把握し、各観光施設の現在の混雑状況を把握する。動態把握部113は、各添乗員端末3からの現在位置情報に基づいて、設定された各観光施設の第1のジオフェンス内に位置する観光バスの数を単に把握するものではない。動態把握部113は、各観光バスのバスステータスや各観光バスの移動スケジュール情報の施設ステータスをも考慮することにより、観光バス4のそれぞれの動態を適切に把握する。
動態予測部114は、ジオフェンス設定部111により設定された第1、第2のジオフェンスにより特定される第2のエリアにおける各観光バス4の動態に基づいて、所定時間(例えば15分後)の将来の各観光施設の混雑度を予測する処理を行う。動態予測部114は、動態把握部113で把握された各観光施設の現在の混雑度と、各観光施設の第2のエリアにおける観光バス4の数と、各観光バス4の移動スケジュール情報とを勘案して、各観光施設の将来の混雑度を予測する。
これら、動態把握部113と動態予測部114の機能により、各観光施設の現在の混雑度を把握することができると共に、各観光施設の所定時間経過後の将来の混雑度を予測することができるようにしている。そして、ルート探索部115は、動態予測部114の各観光施設の混雑度の予測結果と、バススケジュールDB106の移動スケジュール情報とを考慮し、効率的に観光施設を訪問するルートを探索して、移動スケジュールを立て直す(立案し直す)処理を行う。
ルート探索部115は、訪問予定の観光施設を全て辿る(訪問する)ルートを探索することができる。また、ルート探索部115は、最終目的地への到達時間を設定することにより、訪問予定の観光施設をできるだけ訪問するようにするが、当該到達時間を遵守するように、1つ以上の訪問予定の観光施設をスルーしたルートを探索することもできる。また、ルート変更処理部116は、ルート探索部115により探索された新たなルートを辿るようにする場合に、バススケジュールDB106の移動スケジュール情報を変更する処理を行う。
そして、動態管理サーバ1は、制御部102の制御の下、動態把握部113で把握した各観光施設の現在の混雑度や動態予測部114で予測した各観光施設の所定時間経過後の混雑度を管理者端末2や添乗員端末3に通知できる。また、動態管理サーバ1は、ルート探索部115が立案し直した移動スケジュールやルート探索結果を管理者端末2や添乗員端末3に通知できる。また、動態管理サーバ1は、管理者端末2や添乗員端末3からの要求に応じて、制御部102の制御の下、ルート探索部115が機能して、各観光施設の将来の混雑度を考慮して、移動スケジュールを立案し直し、ルート変更を行うこともできるものである。
[管理者端末2の構成例]
図5は、実施の形態の管理者端末2の構成例を説明するためのブロック図である。管理者端末2は、パーソナルコンピュータの構成とされたものであり、通信I/F201、制御部202、記憶装置203、操作部204、表示部205、送信情報処理部206、受信情報処理部207を備える。
通信I/F201は、通信ネットワーク5を通じて情報の送受信を可能にする通信機能を実現する。制御部202は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、この実施形態の管理者端末2の各部を制御する。記憶装置203は、大容量記録媒体としてハードディスクとそのドライバとを備え、情報(データ)の書き込み、読み出し、変更、削除等を行う。
操作部204は、キーボードやいわゆるマウスなどと呼ばれるポインティングデバイスからなり、使用者からの操作入力を受け付けて、これを電気信号に変換し、制御部202に供給する。表示部205は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示素子を備え、制御部202の制御の下、種々の表示情報(画像)を表示素子の表示画面に表示する処理を行う。
送信情報処理部206は、制御部202の制御の下、例えば、動態管理サーバ1などの外部機器に対して提供する情報を形成し、これを通信I/F201を通じて、外部機器に対して送信する処理を行う。受信情報処理部207は、制御部202の制御の下、通信I/F201を通じて受信した自機宛ての受信情報を解析し、必要な情報を制御部202に供給する処理を行う。
そして、管理者端末2は、動態管理サーバ1からの各観光施設の現在の混雑度や予測された所定時間経過後の混雑度の提供を受けて、受信情報処理部207を通じて表示部205に表示し、管理者が把握できるようにする。また、管理者端末2は、操作部204を通じて管理者からの操作入力を受け付けて、送信情報処理部206及び通信I/F201が機能して、動態管理サーバ1や各添乗員端末3に対して必要な指示や要求を送信することができる。
[添乗員端末3の構成例]
図6は、実施の形態の添乗員端末3の構成例を説明するためのブロック図である。上述もしたように、添乗員端末3は、スマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末の構成とされたものであり、添乗員によって携帯され、観光バス4に持ち込まれて利用される。
添乗員端末3は、図6に示すように、送受信アンテナ301A、無線通信部301、制御部302、記憶装置303、操作部304、時計回路305、GPS部306、GPSアンテナ306A、タッチパネル307、音声出力部308、スピーカ309、受信情報処理部310、送信情報処理部311を備える。
送受信アンテナ301A及び無線通信部301は、通信ネットワーク5を通じて情報の送受信を可能にする通信機能を実現する。制御部302は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、この実施形態の添乗員端末3の各部を制御する。記憶装置303は、大容量記録媒体として不揮発性メモリを備え、情報(データ)の書き込み、読み出し、変更、削除等を行う。
操作部304は、電源のオン/オフキーやいくつかのファンクションキーなどのいくつかのハードウェアキーから構成される部分である。時計回路305は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供すると共に、制御部302の制御の下、タイマー機能なども提供することができるものである。GPS部306及びGPSアンテナ306Aは、複数の人工衛星からの信号を受信して解析し、自機の現在位置を測位する機能を実現する。タッチパネル307は、LCDなどの表示部307Dとタッチセンサ307Sとから構成され、情報の表示機能と使用者からの操作入力の受け付け機能を実現する。
音声出力部308は、制御部302の制御の下、制御部302を通じて供給される音声データをスピーカ309に供給するアナログ音声信号に変換し、これをスピーカ309に供給する。スピーカ309は、音声出力部308からのアナログ音声信号に応じた音声を放音する。これら音声出力部308及びスピーカ309の機能により、ガイダンスメッセージや警告メッセージなどの音声メッセージを放音したり、種々のアラーム音を放音したりするなどのことができるようにされる。
受信情報処理部310は、制御部302の制御の下、送受信アンテナ301A及び無線通信部301を通じて受信した自機宛ての受信情報を解析し、必要な情報を制御部302に供給する処理を行う。送信情報処理部311は、制御部302の制御の下、例えば、動態管理サーバ1などの外部機器に対して提供する情報を形成し、これを無線通信部301及び送受信アンテナ301Aを通じて、通信ネットワーク5に送信することにより、外部機器に対して送信する処理を行う。
そして、添乗員端末3は、動態管理サーバ1からの自機が持ち込まれた観光バス4の移動スケジュールに応じた訪問場所である観光施設の現在の混雑度や予測した所定時間経過後の将来の混雑度の提供を受けて、受信情報処理部310を通じて表示部307Dに表示し、添乗員等に提供する。また、添乗員端末3は、現在位置通知情報、ステータス通知情報、要求の通知情報を動態管理サーバ1に送信する。図7は、添乗員端末から動態管理サーバ1に送信される送信データの例を説明するための図である。
図7(A)は、所定のタイミングごとに添乗員端末3から送信される現在位置通知情報の例を示している。当該現在位置通知情報は、送信先ID、送信元ID、区分、現在位置、現在位置取得時刻、その他の情報からなる。送信先IDは、動態管理サーバ1のIPアドレスであり、送信元IDは、添乗員端末3のIPアドレスである。区分は、当該送信データが現在位置通知情報であることを示す情報であり、この例では数字の「1」とされている。現在位置は、GPS部306を通じて取得した現在位置(緯度経度)であり、現在位置取得時刻は、GPS部306を通じて現在位置を取得したときに、時計回路から取得した現在時刻である。この現在位置通知情報により、動態管理サーバ1は、所定のタイミングごとに添乗員端末3が持ち込まれている観光バス4の現在位置を把握することができる。
図7(B)は、観光施設に対する観光バス4のステータス及び観光バス自体のステータスを通知するステータス通知情報の例を示している。ステータス通知情報は、送信先ID、送信元ID、区分、ステータス、その他の情報からなる。送信先IDと送信元IDとは、上述した現在位置通知情報と同様の情報である。区分は、当該送信データがステータス通知情報であることを示す情報であり、この例では数字の「2」とされている。そして、ステータスが、添乗員によって入力されたステータス情報であり、図7(B)に示すように、「1:移動中」、「2:休憩中」といった情報が入力される。なお、図7(B)に示した2つのステータスは、一例であり、この他のステータスを通知することももちろん可能である。
図7(C)は、添乗員端末3から動態管理サーバ1への種々の要求を通知するための要求通知情報の例を示している。要求通知情報は、送信先ID、送信元ID、区分、要求内容、その他の情報からなる。送信先IDと送信元IDとは、上述した現在位置通知情報と同様の情報である。区分は、当該送信データが要求通知情報であることを示す情報であり、この例では数字の「3」とされている。そして、要求内容が、添乗員によって入力された要求内容を示す情報であり、図7(C)に示すように、「1:混雑状況の提供要求」、「2:ルート探索要求」、「3:スケジュール変更要求」、…といった情報が入力される。なお、図7(C)に示した3つの要求は、一例であり、この他の要求を通知することももちろん可能である。
上述した構成を有する動態管理サーバ1と管理者端末2と添乗員端末3とが通信ネットワーク5を通じて接続されて構成されるこの実施の形態の動態管理システムでは、3つの重要な機能を実現する。具体的には、観光施設ごとの混雑度の把握と、観光施設ごとの混雑度の予測と、観光バス4ごとの移動スケジュールのフレキシブルな変更とが可能になっている。以下、そのそれぞれの機能について具体的に説明する。
[観光施設ごとの混雑度の予測]
動態管理サーバ1は、制御部102の制御の下、ジオフェンス設定部111が機能して、観光施設DB105で管理している各観光施設について、各観光施設の代表点を中心にして、第1、第2のジオフェンスを設定する。この設定した第1のジオフェンスの内側のエリアを各観光施設の第1のエリアとし、第1のジオフェンスと第2のジオフェンスとで挟まれたドーナツ状のエリアを各観光施設の第2のエリアとする。そして、第1のエリアと第2のエリアに存在する観光バスとそれらの観光バスの移動スケジュール情報とを勘案して、各観光施設の現在の混雑度を把握すると共に、所定時間後(例えば15分後)の将来の各観光施設の混雑度を予測する。
図8は、観光施設ごとの現在の混雑度の把握の仕方と所定時間経過後の混雑度の予測の仕方について説明するための図である。図8においては、観光施設である「○○市美術館」を中心としてその近傍の地図を示している。そして、図8に示した地図上において、位置Pが「○○市美術館」の代表点であり、この位置Pを中心にして描いた半径100mの円(実践で示した内側の円)が第1のジオフェンスGf1になっている。この第1のジオフェンスGf1の内側のエリアは、「○○美術館」についての第1のエリアAr1となる。
また、図8に示した地図上において、「○○市美術館」の代表点である位置Pを中心にして描いた半径1000mの円(点線で示した外側の円)が第2のジオフェンスGf2になっている。この第2のジオフェンスGf2と第1のジオフェンスGf1との間のドーナツ状エリアが、「○○美術館」についての第2のエリアAr2となる。なお、図8において、第1のジオフェンスGf1と第2のジオフェンスGf2とは模式的にその位置関係を示している。このように、観光施設ごとに第1のジオフェンスGf1と第2のジオフェンスGf2とを設定するのが、動態管理サーバ1のジオフェンス設定部111である。
そして、動態管理サーバ1は、制御部102の制御の下、ステータス更新部112を機能させ、観光バス4ごとに移動スケジュール情報の施設ステータスを更新する処理を行う。具体的に、ステータス更新部112は、添乗員端末3から所定のタイミングごとに送信されて来る現在位置通知情報(図7(A))と、随時に送信されて来るステータス通知情報(図7(B))と、設定した第1のジオフェンスGf1とを基に、バススケジュールDB106の施設ステータスを更新する。
ステータス更新部112が行う施設ステータスの更新方法についてまとめる。上述したように、観光バス4に持ち込まれた添乗員端末3からは、所定のタイミングごとに現在位置通知情報が送信されて来る。また、観光バス4に持ち込まれた添乗員端末3からは、観光施設に到着すれば「休憩中」とし、観光施設から移動すれば「移動中」とするステータス通知情報が送信されて来る。
そこで、ステータス更新部112は、観光バス4の位置情報が観光施設の第1のジオフェンスGf1内に入り(INし)、かつ、当該観光バス4のバスステータスが「移動中」から「休憩中」に切り替わったとする。この場合に、当該観光バス4は、当該観光施設に到着したと判定し、当該観光バス4の移動スケジュール情報の対応する観光施設に対する施設ステータスを「未訪問」から「訪問中」に変更する。
また、動態管理サーバ1は、観光バス4からのバスステータスが「休憩中」から「移動中」に切り替わったとする。この場合に、動態管理サーバ1は、当該観光バス4の移動スケジュール情報の対応する観光施設に対する施設ステータスを「訪問中」から「訪問済」に変更する。なお、観光バス4からのバスステータスが「休憩中」から「移動中」に切り替わった場合に、バススケジュールDB106の当該観光バス4の移動スケジュール情報を参照し、施設ステータスが「訪問中」である観光施設の出発予定時刻が現在時刻よりも前である場合に、施設ステータスを「訪問中」から「訪問済」に更新するようにしてもよい。
また、施設ステータスを「訪問中」から「訪問済」により確実に更新する方法として、以下の方法が考えられる。すなわち、観光バス4からのバスステータスが「休憩中」から「移動中」に切り替わり、かつ、当該観光バス4の位置情報が当該観光施設の第1のジオフェンスGf1から出た(OUTした)場合に、施設ステータスを「訪問中」から「訪問済」に更新してもよい。
また、ここでは、バスステータスの更新は、添乗員が操作する添乗員端末3からのステータス通知情報に基づいて更新するようにしたが、これに限るものではない。添乗員端末3からの現在位置通知情報は、動態管理サーバ1のバス位置データファイル107に蓄積される。このため、バス位置データファイル107に蓄積される観光バス4ごとに位置情報に基づいて、自動的に「移動中」、「休憩中」のステータスの更新を行うようにすることもできる。簡単には、観光バス4の現在位置が随時変化している場合は、「移動中」に設定し、観光バス4の現在位置が所定時間変化していない場合には、「休憩中」に設定することができる。
そして、観光バス4のそれぞれの現在位置と、上述したように更新される各観光バス4の移動スケジュール情報の施設ステータスと、更には、当該移動スケジュール情報の出発予定時刻や次の目的地などを勘案して、観光施設ごとの混雑度の把握や予測を行う。以下に、観光施設ごとの現在の混雑度を把握する処理と、観光施設ごとの所定時間経過後の将来の混雑度の予測処理について具体的に説明する。ここでは説明を簡単にするため、図8に示した「○○市美術館」についての混雑度を予測する場合を例にして説明する。しかし、その他の観光施設についても同様に現在の混雑度を把握する処理と観光施設ごとの所定時間経過後の将来の混雑度の予測処理が行われることになる。
まず、動態管理サーバ1の動態把握部113は、バス位置データファイル117の格納データに基づいて、「○○市美術館」についての第1のエリアAr1内に位置する観光バス4の台数をカウントする。図8に示した例においては、第1のエリアAr1内には、7つの黒丸y1〜y7で示したように、7台の観光バス4が位置していることが把握できたとする。しかし、これら7台の観光バス4のうちの全ての乗客が「○○市美術館」を訪問中であるとは限らない。そこで、バススケジュールDB106に格納されている、第1のエリアAr1内に位置する観光バス4の移動スケジュール情報を参照し、所定時間経過後には第1のエリアAr1外に移動する観光バス4の台数を予測する。
この第1のエリアAr1外に移動する観光バス4の台数の予測処理は、以下の2つの処理により行う。第1に、第1のエリアAr1内に位置する観光バス4の移動スケジュール情報を参照し、施設ステータスが「訪問済」の観光バス4の台数をカウントする。施設ステータスが「訪問済」の観光バス4は、所定時間後に第1のエリアAr1外に移動することが明らかなためである。
第2に、第1のエリアAr1内に位置する観光バス4の移動スケジュール情報を参照し、施設ステータスが「訪問中」の出発地予定時刻を基に所定時間後に第1のエリアAr1外に移動すると確認できる観光バス4をカウントする。上述したように、この実施の形態においては、所定時間経過後として15分後の第1のエリアAr1の混雑度を予測する。このため、現時点から15分以内に出発予定時刻が到来する観光バス4をカウントする。このように、現時点から15分以内に出発予定時刻が到来する観光バス4は、現時点から15分以内には少なくとも駐車スペースから移動を開始し、速やかに第1のエリアAr1から出ることになると考えられるためである。
そして、図8に示した例では、第1のエリアAr1内に位置する観光バス4の内、黒丸y1、y2で示した観光バス4の「○○市美術館」についての施設ステータスが「訪問済」であるとする。また、黒丸y3、y4、y5で示した観光バス4の「○○市美術館」についての施設ステータスが「未訪問」で、次の訪問先が「○○市美術館」であるとする。また、黒丸y6、y7で示した観光バス4の「○○市美術館」についての施設ステータスが「訪問中」であるとする。なお、施設ステータスが「訪問済」以外で、現時点から15分以内に出発予定時刻が到来する観光バス4はなかったとする。
この場合、図8に示した第1のエリアAr1内に黒丸y1〜y7で示した7台の観光バス4の内、「○○市美術館」についての施設ステータスが「訪問済」の観光バスは2台である。このため、第1のエリアAr1に現時点において15分後も滞在する観光バス4の台数は、(7台−2台)=5台となり、これを「○○市美術館」の許容バス台数=10台を考慮すれば、現時点の混雑度は、5台/10台×100=50%となる。
次に、動態管理サーバ1の動態予測部114が機能し、所定時間経過後(この実施の形態では15分経過後)の将来の第1のエリアAr1の混雑度を予測する。具体的に、動態予測部114は、バス位置データファイル107の格納データに基づいて、第2のエリアAr2内に位置する観光バス4を特定する。更に、動態予測部114は、第2のエリアAr2内に位置していると特定した観光バス4のうち、次の訪問先が、「○○市美術館」である観光バス4をカウントする。
ここで、次の訪問先は、特定した観光バス4のバススケジュールDB106の移動スケジュール情報により特定できる。具体的に、移動スケジュール情報上、出発地の次の訪問場所の施設ステータスが「未訪問」であれば、当該出発地の次の訪問場所が次の訪問先となる。また、移動スケジュール情報上、施設ステータスが「訪問済」である訪問場所の次の訪問場所の施設ステータスが「未訪問」であれば、施設ステータスが「訪問済」である当該訪問場所の次の訪問場所が、次の訪問先となる。
図8に示した例の場合、第2のエリアAr2内に位置する観光バス4は、黒丸で示した9台が存在することが把握できたとする。そして、これら9台の観光バス4のバススケジュールDB106に格納されている移動スケジュール情報を確認したところ、黒丸y11〜y16で示した6台の観光バス4の次の訪問先が「○○市美術館」で、黒丸y21〜y23で示した3台の観光バス4の次の訪問先が「○○市美術館」でなかったとする。この場合、15分後までに第1のエリアAr1に到達する観光バスは、9台−3台=6台となる。この場合の6台の観光バス4は、次の訪問先が「○○市美術館」である黒丸y11〜y16で示した6台の観光バス4である。
そして、現時点において第1のエリアAr1に位置し、15分後も滞在しているであろう観光バスの台数は上述したように5台であり、15分後に第1のエリアAr1に到達し、「○○市美術館」を訪問するために滞在する観光バス4は6台である。このため、現時点から15分後の将来の第1のエリアAr1に滞在する観光バス4の台数は11台となり、これを「○○市美術館」の許容バス台数=10台を考慮すれば、15分後の混雑度は、11/10台×100=110%となる。
このことから、「○○市美術館」の現在の混雑度は50%であるが、15分後の混雑度は110%となり、15分後には観光バスの駐車スペースには駐車できない観光バス4が発生し、「○○市美術館」の見学のために待ち時間が生じてしまうことが予測できる。
動態管理サーバ1は、ジオフェンス設定部111、ステータス更新部112、動態把握部113、動態予測部114が機能し、観光施設ごとの現状の混雑度の把握と所定時間後の将来の混雑度の予測を行うことができる。そして、動態管理サーバ1は、観光施設ごとの現状の混雑度や予測した将来の混雑度を、通信I/F101を通じて通信ネットワーク5に送出し、管理者端末2、添乗員端末3に提供する。図9は、添乗員端末3の表示部307Dに表示される訪問先となっている観光施設の混雑度の画面表示の例を説明するための図である。
図9(A)に示すように、動態管理サーバ1から各添乗員端末3に対しては、その添乗員端末3が持ち込まれる観光バス4の移動スケジュール情報に応じて、訪問先になっている観光施設ごと混雑度に関する情報がパーセンテージで示される情報が提供される。すなわち、図9(A)に示した例の場合、1番目の訪問先である「○○市美術館」については、現状の混雑度は50%であるが、15分後の混雑度は110%になることが示されている。2番目の訪問先である「□□ワイナリー」については、現状の混雑度は10%であるが、15分後の混雑度は30%になることが示されている。
同様に、3番目の訪問先である「△○市場」については、現状の混雑度は5%で、15分後の混雑度も5%であることが示されている。また、4番目の訪問先である「××山△△寺」については、現状の混雑度は100%であるが、15分後の混雑度は70%になることが示されている。また、5番目の訪問先である「○△物産館」については、現状の混雑度は50%であるが、15分後の混雑度は40%になることが示されている。
そして、図9(A)に示した例において、各観光施設に対応して、「詳細」ボタンが設けられており、「詳細」ボタンが操作されると、図9(B)に示すように、対応する観光施設の詳細情報が表示される。各観光施設の詳細情報は、当該観光施設の郵便番号、住所、運営者、電話番号、担当者、到着日、到着時刻などの情報が表示される。また、図9(B)に示すように、「地図」ボタンや「ルート」ボタンが設けられ、その観光施設の位置を、地図を表示して地図上において確認したり、その観光施設までのルートを探索して地図上に表示したりすることもできる。そして、図9(B)に示した観光施設の詳細情報の表示により、添乗員端末3の使用者である添乗員は、観光施設に電話を掛けて駐車場の空き状況や待ち時間などを確認したりすることができる。
なお、ここでは説明を簡単にするため、第2のエリアAr2は、観光施設の代表点を中心した半径1000mの円(第2のジオフェンスGf2)と、当該代表点を中心した半径100mの円(第1のジオフェンスGf1)との間のドーナツ状のエリアとしたが、これに限るものではない。第2のエリアAr2は、各観光施設までのバスの到着予測時間で設定することもできる。
また、観光施設の周辺が渋滞している場合は、バスの到着時間が遅くなるため、第2のエリアの大きさを小さくし、観光施設の周辺が渋滞していない場合は、バスの到着時間が早くなるため、第2のエリアの大きさを大きくする。といった調整も可能である。
[観光バス4ごとの移動スケジュールのフレキシブルな変更]
上述したように、この実施の形態の動態管理システムでは、動態管理サーバ1からの情報により、管理者端末2、添乗員端末3のそれぞれは、各観光施設の現在の混雑度を把握することができると共に、所定時間後(この実施の形態においては15分後)の混雑度も予測できる。そこで、移動スケジュールにおいて、これからの訪問先となっている観光施設が混在することが予想され、スムーズな見学等ができないことが考えられる場合には、移動スケジュールの変更を行うことができる。
この場合、動態管理サーバ1の機能により、現時点の移動スケジュールによって訪問することになっている全ての観光施設を回ることができるより良いルートを探索することができる。また、時間に余裕がない場合には、訪問予定の観光施設のいくつかを訪問先から外して、ルートを探索することもできる。そして、新たに探索されたルートで観光を行う場合には、動態管理サーバ1で管理されている当該観光バス4の移動スケジュール情報を変更することができる。
例えば、図9(A)を用いて説明したように、観光バス4の添乗員は、添乗員端末3を通じて、自分が添乗している観光バス4の移動スケジュール上における各観光施設の混雑度を把握することができる。そして、出発前に今日の移動スケジュールにおける観光施設の混雑度を確認したところ、最初に訪問する「○○市美術館」については、15分後には混雑度が110%になることが予測されたとする。15分後は、図4に示した自分が添乗する観光バス4の移動スケジュールでは、ちょうど「○○市美術館」に到着する時刻である。このままでは、「○○市美術館」において待ち時間が発生し、以降の移動スケジュールが予定通りに進まなくなる可能性がある。
このような場合に、添乗員は、自己の添乗員端末3の表示部307Dに表示された混雑状況確認画面(図9(A))の右上端部に表示されている「探索」ボタンを操作する。「探索」ボタンが操作されると、添乗員端末3の送信情報処理部311は、要求内容を「2:ルート探索要求」とする、図7(C)に示した要求通知情報を形成し、これを無線通信部301及び送受信アンテナ301Aを通じて通信ネットワーク5に送出し、動態管理サーバ1に送信する。
当該ルート探索要求を受信した動態管理サーバ1では、ルート探索部115が機能し、当該要求の送信元IDで特定される添乗員端末3が持ち込まれている観光バス4の移動スケジュール(図4)を把握する。また、ルート探索部115は、現在の移動スケジュールの中で未訪問の観光施設についての現状の混雑度と15分後の混雑度とを把握する。これらの直近に求めた混雑度に関する情報は、動態管理サーバ1の記憶装置103に一時記憶されている。
そして、ルート探索部115は、把握した情報等に基づいて、現在の移動スケジュールのルートよりも時間が掛からない新たなルートを探索する。具体的には、訪問予定の観光施設の主に予測された15分後の混雑度と訪問予定の観光施設の位置とに基づいて、到着予定時刻において予測した混雑度が100%になることがなく、最終到着地への到着時刻も大幅に変わることがないルートを探索することになる。この場合の新たなルートの探索のためのアルゴリズムは種々のものを用いることができる。この実施の形態において、ルート探索部115は、以下のようにして、新たなルート探索を行う。
ルート探索部115は、現在の移動スケジュールで訪問先となっており、現時点において未訪問となっている観光施設を回る複数のルートを特定する。次に、ルート探索部115は、特定したそれぞれのルートについて、各観光施設間のルート探索を行い、各観光施設での滞在予定時間をも考慮して、各観光施設への到着予定時刻を特定する。滞在予定時間は、現在の移動スケジュールの各観光施設についての到着予定時刻から出発予定時刻までの時間や観光施設DB105の各観光施設の必要滞在時間などを考慮して特定する。
そして、ルート探索部115は、特定した到着予定時刻において当該観光施設の混雑度が100%になる可能性を判別して、移動スケジュールを組み替えて新たなルートを作成する。なお、ルート探索部115は、最終目的地への到着予定時刻が、例えば30分以上、遅れたり、早くなったりする場合には、訪問予定の観光施設を減らすなどしたルートを探索することができる。そして、ルート探索部115は、現在の移動スケジュールのルートよりも時間が掛からない新たなルートが作成できた場合は、その新たなルート(移動スケジュール)を添乗員端末3に通知する。
図10は、スケジュールの変更の例について説明するための図である。上述もしたように、図10(A)が、現在の移動スケジュールであり、最初の訪問先である「○○市美術館」は、15分後には混雑度が110%になることが予想されている。図10(A)に示した現在の移動スケジュールは、図4に示した移動スケジュールとも対応している。この実施の形態においては、図10(A)や図4を見ると分かるように、この移動スケジュールの場合、「○○駅前」から15分の位置に「○○市美術館」があり、また、「○△物産館」から15分の位置に「○○駅前」がある。すなわち、「○○駅前」から「○○市美術館」と「○△物産館」までの距離はほぼ同程度である。
このため、この実施の形態のルート探索部115は、例えば、図10(B)に示すように、1番目の訪問先と5番目の訪問先とを入れ替えた新たなルート(移動スケジュール)を作成し、これを管理者端末2や添乗員端末3に通知してきたとする。添乗員端末3の使用者である添乗員は、動態管理サーバ1からの新たな移動スケジュールを表示部307Dに表示して確認し、移動スケジュールを変更するか否かを判断する。スケジュール変更を検討する際には、スケジュール変更に伴って発生する移動時間の増減、各観光施設に到着した時刻における待ち時間などを考慮することになる。
例えば、図10(B)に示した新たに提案された移動スケジュールでは、最初の訪問先である「○△物産館」は、15分後の混雑度の予測も40%である。また、2番目に訪問する「□□ワイナリー」は、混雑度は増加傾向にあるものの、食事が目的あるために予約を入れており、予約時間には「□□ワイナリー」の駐車場に確実に駐車できるものとする。また、3番目の訪問先である「△○市場」は大規模施設であり、駐車場に充分な余裕があるとする。また、4番目、5番目の訪問先については、現状あるいは15分後は混雑しているものの、時間の経過に伴って混雑の解消も期待できる。そして、「○○駅前」駅前への到着(帰着)時間も10分程度遅れるだけであることが把握できる。
そして、別の移動スケジュールにしたい場合には、表示画面に表示されている「探索」ボタンを選択するなどの所定の操作を行うことにより、再度の移動スケジュールの変更のためのルート探索を行うことができる。また、提示された移動スケジュールに変更する場合には、添乗員は、添乗員端末3を通じてスケジュール変更のための所定の操作、例えば、図示しないが表示部307Dに表示された「変更」ボタンを操作するなどの操作を行う。これに応じて、添乗員端末3の送信情報処理部311は、要求内容を「3:スケジュール変更要求」とする要求通知情報(図7(C))を形成し、動態管理サーバ1に送信する。
当該要求通知情報を受信した動態管理サーバ1では、制御部102の制御の下、ルート変更処理部116が機能し、バススケジュールDB106の要求元の添乗員端末3が持ち込まれる観光バス4の移動スケジュール情報を変更する処理を行う。この場合、既に訪問済の観光施設についての履歴は変更されずに、これから訪問する観光施設についての移動スケジュール情報が変更される。
このように、観光バス4の添乗員は、動態管理サーバ1から添乗員端末3に通知される情報により、現状と所定時間経過後の混雑度を知ることができる。これにより、訪問先の観光施設の混雑が予測される場合に、現在の移動スケジュールとは異なる、より有利な移動ルート(移動スケジュール)の探索を動態管理サーバ1に依頼して、その提供を受けることができる。そして、現状の移動スケジュールを新たな移動スケジュールに変更することができる。もちろん、動態管理サーバ1は、変更後の移動スケジュールについても、各観光施設の現状の混雑度を把握し、所定時間後の将来の混雑度を予測して、添乗員端末3や管理者端末2に通知することができる。
なお、ルート探索部115は、新たなルートの探索においては、移動時間、観光施設での待ち時間、観光施設での滞在時間などの移動スケジュールを消化していく上で影響する種々の時間的要因を考慮することができる。また、乗客数が多い場合には、観光施設内での徒歩による移動や集合にも時間がかかることが予想されるので、乗客数を考慮する等、種々の要因を考慮して最適なルートを探索するようにできる。
[管理者端末2からの移動スケジュールの変更]
図9、図10等を用いて、添乗員端末3から移動スケジュールの変更を行う場合について説明したが、管理者端末2から目的とする観光バス4の移動スケジュールの探索を要求し、移動スケジュールを変更することもできる。つまり、管理者も、管理者端末2を通じて、各観光施設の現在の混雑度と所定時間後の予測した混雑度とを把握することができる。そこで、管理者は、移動スケジュールに含まれる観光施設が混雑していたり、混雑が予測されたりする場合において、観光バス4の移動スケジュールを変更して、混雑している観光施設を訪問する観光バス4を分散させたい場合に、管理者端末2を操作し、観光バス4のスケジュールの変更要求を動態管理サーバ1に送信する。
この場合には、移動スケジュールを変更する観光バス4を指定することができる。また、訪問を回避すべき観光施設を指定して、この指定した観光施設を訪問先とする移動スケジュールを有する全ての観光バス4の移動スケジュールを変更することもできる。また、訪問を回避すべき観光施設を指定して、この指定した観光施設を訪問先とする移動スケジュールを有する何台の観光バス4の移動スケジュールを変更するのかを指定したりすることもできる。すなわち、管理者端末2を通じては、移動スケジュール情報が動態管理サーバ1で管理されている観光バス4について、その移動スケジュールを変更するようにできる。
したがって、動態管理サーバ1のルート探索部115は、制御部102の制御の下、管理者端末2からの指示情報とバススケジュールDB106の移動スケジュール情報に基づいて、移動スケジュールの変更対象の1台以上の観光バス4を特定する。そして、ルート探索部115は、上述したように、移動スケジュールの変更対象の1台以上の観光バス4の移動スケジュール情報観光施設の訪問済、未訪問の情報を基に、上述したように未訪問の観光施設を全て巡回するルート探索を行う。もちろん、時間に制限がある場合には、訪問先をカットする場合もある。
動態管理サーバ1のルート探索部115は、探索した新たな移動スケジュールに応じたルートを、変更要求先の管理者端末2に通知する。管理者は管理者端末2の表示部205に探索結果を表示して確認し、問題がある場合には、再探索を要求できる。問題がない場合には、上述した添乗員端末3の場合と同様に、「変更」ボタンを選択するなどの所定の変更操作を行うことにより、移動スケジュール情報の変更を動態管理サーバ1に要求する。
動態管理サーバ1が管理者端末2からの移動スケジュール情報の変更要求を受信すると、ルート変更処理部116が、バススケジュールDB106の該当する観光バス4の移動スケジュール情報を変更する。そして、ルート変更処理部116は、移動スケジュール情報を変更した観光バス4に持ち込まれている添乗員端末3に対して、変更後の移動スケジュール情報を通知し、変更後の移動スケジュールに従って移動するように指示する。添乗員端末3の使用者である添乗員は、変更後の移動スケジュールを運転手に対して口頭で指示するなどして、安全かつ迅速に訪問先を変更できるように対処する。
このように、管理者は管理者端末2を通じて、当該観光地で運行されている多数の観光バス4の動態を把握すると共に、訪問先となっている観光施設の予測された混雑度を考慮して、移動スケジュールを主体的に変更することができる。これにより、当該観光地において、特定の観光施設に観光バスが集中することないように制御できる。換言すれば、管理者は管理者端末2を通じて、当該観光地で運行されている観光バス4を各観光施設に分散させるように制御できる。
なお、管理者端末2は、動態管理サーバ1から観光バス4ごとの移動スケジュール情報の提供を受けて表示部205に表示し、表示された移動スケジュール情報に基づいて、移動スケジュールを変更する観光バス4を1台ずつ指定することもできる。
また、動態管理サーバ1が新たなルートの探索を行うトリガー(契機)は、管理者端末2や添乗員端末3から移動スケジュールの変更要求を受け付けた場合だけではない。動態管理サーバ1が、観光バス4の移動スケジュールに含まれる次の観光施設が混雑していると判断した場合等も可能である。すなわち、動態管理サーバ1は、所定時間後の混雑度が例えば100%以上の観光施設を訪問先とする移動スケジュール情報を有する観光バス4を検知するようにする。
当該検知は、バススケジュールDB106の各観光バス4の移動スケジュール情報と、動態把握部113が機能して把握した各観光施設の現状の混雑度と、動態予測部114が予測した各観光施設の所定事件後の混雑度とに基づいて行うことができる。そして、次の訪問先の観光施設が混雑している移動スケジュール情報を有する観光バス4が検知できたとする。この場合には、当該観光バス4の当該移動スケジュール情報を動態管理サーバ1が主体的に機能して変更し、変更後の移動スケジュール情報を当該観光バス4に提供し、移動スケジュールを変更するようにできる。
[動態管理サーバ1の処理のまとめ]
[観光施設ごとの混雑度の予測処理]
図11は、動態管理サーバ1で行われる混雑度の予測処理について説明するためのフローチャートである。図11に示す処理は、動態管理サーバ1の制御部102が、適宜のタイミングで実行したり、また、添乗員端末3からの混雑状況の提供要求が到来した場合に実行したりする処理である。そして、実行結果は、添乗員端末3や管理者端末2に通知されることになる。
なお、この図11の処理に先立って、動態管理サーバ1のジオフェンス設定部111により、地図情報DB104の地図情報により例えば記憶装置103に形成される地図上において、観光施設ごとに第1のジオフェンスと第2のジオフェンスとが設定されている。また、図11は、説明を簡単にするため、所定の対象施設についての現在の混雑度の把握と所定時間後の混雑度の予測とを行うものとして示している。しかし、他の全ての観光施設についても、同様にして、現在の混雑度の把握と所定時間後の混雑度の予測とが実行される。
図11に示す処理が実行されると、制御部102の制御の下、動態把握部113は、バス位置データファイル107の各観光バス4の現在位置に基づいて、対象観光施設の第1のエリア内に位置する観光バス4の台数(BI1)をカウントする(ステップS1)。次に、動態把握部113は、当該対象施設の第1のエリア内に位置する観光バス4について、バススケジュールDB106の移動スケジュール情報を参照し、所定時間後に当該第1のエリア外に移動する観光バス4の台数(BO1)を予測する(ステップS2)。
ステップS2では、第1のエリアに位置する観光バス4のうち、移動スケジュール情報の施設ステータスが「訪問済」の観光バス4を第1のエリア外に移動する観光バスとしてカウントする。また、第1のエリアに位置する観光バス4のうち、移動スケジュール情報の施設ステータスが「訪問中」の観光バスであって、当該移動スケジュール情報の出発予定時刻から所定時間に第1のエリア外に移動すると考えられる観光バス4を第1のエリア外に移動する観光バスとしてカウントする。
次に、制御部102の制御の下、動態予測部114は、対象観光施設の第2のエリア内に位置する観光バス4であって、次の訪問先が当該対象施設である観光バス4の台数(BI2)をカウントする(ステップS3)。ステップS3では、まず、バス位置データファイル107の各観光バス4の現在位置に基づいて、対象観光施設の第2のエリア内に位置する観光バス4を特定する。そして、この特定した観光バス4のバススケジュールDB106に格納されている移動スケジュール情報を参照し、次の訪問先が当該対象施設である観光バス4の台数(BI2)をカウントする。
この後、制御部102の制御の下、動態予測部114は、当該対象施設の所定時間後(この実施の形態では15分後)の混雑度(Cd)を算出する(ステップS4)。ステップS4では、図11の当該欄に示した計算式により所定時間後の混雑度が求められる。すなわち、(1)ステップS1で求めた対象施設の第1のエリア内に位置する観光バスの台数(BO1)から、ステップS2で求めた所定時間後に当該第1のエリア外に移動する観光バス4の台数(BI2)を減算する。(2)この減算結果に、ステップS3で求めた対象観光施設の第2のエリア内に位置する観光バス4で次の訪問先が当該対象施設である観光バス4の台数(BI2)を加算する。(3)この加算結果を図2に示した観光施設DB105の当該観光施設の許容バス台数で割り算する。これにより、当該対象施設の所定時間後の混雑度Cdが求められる。このようにして、各観光施設について所定時間後の混雑度を予測できる。
[観光バス4ごとの移動スケジュールの変更処理]
図12は、動態管理サーバ1で行われる移動スケジュールの変更処理について説明するためのフローチャートである。上述したように、移動スケジュールの変更処理は、添乗員端末3からの要求に応じて行う場合と、管理者端末2からの要求に応じて行う場合と、動態管理サーバ1が自発的に行う場合とがある。しかし、観光バス4ごとの新たな移動スケジュールを立案する処理は、いずれの場合でも同じ処理となるため、ここでは、添乗員端末3からの要求に応じて行う場合を例にして説明する。
動態管理サーバ1の制御部102は、添乗員端末3からルート探索要求(図7(C))を受信すると、図12に示す処理を実行する。まず、制御部102の制御の下、ルート探索部115は、訪問予定の観光施設を巡回するルートを探索し、新たな移動スケジュールを立案する(ステップS11)。ステップS11においてルート探索部115は、要求元の添乗員端末3が持ち込まれる観光バス4の移動スケジュール情報(図4)と、図11の処理により求めた訪問予定の観光施設の混雑度の直近の予測結果とを考慮し、待ち時間の少ない有利なルートを探索して、新たな移動スケジュールを立案する。
そして、ルート探索部115は、図10を用いて説明したように、新たに立案した移動スケジュールをルート探索要求元の添乗員端末3に通知する(ステップS12)。そして、制御部102は、当該添乗員端末3からの変更要求等を受け付け(ステップS13)、受け付けた要求は、新たな移動スケジュールへの変更要求か否かを判別する(ステップS14)。
ステップS14の判別処理において、当該添乗員端末3から新たな移動スケジュールへの変更要求を受け付けたと判別したとする。この場合、制御部102の制御の下、ルート変更処理部116が機能して、バススケジュールDB106の対応する観光バス4についての移動スケジュール情報を、新たな移動スケジュール情報に変更する(書き換える)処理を行い(ステップS15)、この図12に示す処理を終了する。これにより、当該観光バス4についての新たな移動スケジュール情報が、動態管理サーバ1でも管理され、新たな移動スケジュール情報に応じて、各観光施設の混雑度の予測などの処理が行われることになる。
また、ステップS14の判別処理において、当該添乗員端末3から新たな移動スケジュールへの変更要求は受け付けていないと判別したとする。この場合、制御部102は、ステップS13で受け付けた要求は、新たな移動スケジュールへの変更は行わずにこの処理を終了させる終了要求か否かを判別する(ステップS16)。ステップS16の判別処理において、終了要求を受信したと判別したときには、この図12に示す処理を終了する。
また、ステップS16の判別処理において、終了要求は受信していないと判別したときには、制御部102は、ルート探索部115に対して、今回とは異なる移動スケジュールを立案するように指示を出し、ステップS11からの処理を繰り返す。これにより、今回立案した移動スケジュールとは異なる移動スケジュールを立案し直すようにすることができる。
このように、動態管理サーバ1の機能によって、観光バス4の移動スケジュール情報を、混雑度の予測も加味して立て直すことができる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の動態管理システムでは、主に、動態管理サーバ1と添乗員端末3と協働することにより、観光地の観光施設ごとに、現在の混雑度を適切に把握することができる共に、所定時間後の混雑度についても適切に予測することができる。また、把握した観光施設ごとの予測した混雑度を考慮して、観光バスごとの移動スケジュールをフレキシブルに変更することができる。これにより、訪問予定の複数の観光施設を時間の延長なく効率よく訪問できるように、移動スケジュールを制御できる。
[管理者端末2と添乗員端末3の処理]
なお、管理者端末2と添乗員端末3には、必要な情報や操作入力を受け付けて、動態管理サーバ1に対して情報や要求を送信し、また、動態管理サーバ1から必要な情報の提供を受けて表示するといった機能を実現する動態管理アプリが搭載される。当該アプリケーションプログラムは、動態管理サーバ1から提供を受けることができる。
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、添乗員端末3は、スマートフォンであるものとして説明したが、これに限るものではない。添乗員端末3は、観光バスに搭載される車載端末として実現することもできる。当該車載端末は、固定的に取り付けられるものでもよいし、PND(Portable Navigation Device)などと呼ばれる観光バス4に対して簡単に着脱が可能な小型のカーナビゲーション装置のような装置として実現することもできる。
また、上述した実施の形態では、ルートの探索は、主に、移動スケジュールによって、訪問予定のある未訪問の観光施設を全て訪問するルートを探索するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、訪問予定のいくつかの観光施設の訪問を取りやめて、到着地への到着時刻が遅くなることがないルートを探索するようにすることもできる。すなわち、到着地への到着時刻を優先にしたルート探索も可能である。この場合、訪問を取りやめる観光施設の数を指定したり、訪問を取りやめる観光施設自体を指定したりすることも可能である。
また、ルートの探索を行う場合に、訪問予定のある観光施設の滞在時間を調整することも可能である。この場合の滞在時間の調整は、動態管理サーバ1が自動的に行うようにしたり、添乗員端末3を通じた指示により、訪問する観光施設の訪問時間を指示したりすることもできるようにされる。
また、上述もしたように、第1、第2のジオフェンスの大きさは適宜の大きさとすることができる。例えば、観光施設間の距離が近い場合には、ジオフェンスを狭くし、観光施設間の距離が離れている場合には、ジオフェンスを大きくするといった調整が可能である。
また、上述した実施の形態では、第1のジオフェンスと第2のジオフェンスとを設けるようにしたが、これに限るものではない。2つ以上のジオフェンスを設けてももちろんよい。例えば、第1のジオフェンスは、当該観光施設を訪問中または3分以内に訪問中になる観光バスの台数を把握し、第2のジオフェンスは、5分以内に訪問中になる観光バスの台数を把握し、第3のジオフェンスは10分以内に訪問中になる観光バスの台数を把握するというように、段階的に訪問中になる観光バスの台数を把握するようにできる。
また、上述した実施の形態では、ジオフェンスは円形のものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、観光施設の敷地の形状などに応じて種々の形状のジオフェンスを設定することができる。例えば、多角形のジオフェンスを設定する場合には、ジオフェンス上の多点の位置を設定するようにすればよい。もちろん、ジオフェンス上の多くの位置を設定することにより、種々の複雑な形状のジオフェンスを設定することもできる。
また、動態管理サーバ1は、添乗員端末3からの現在位置通知情報をバス位置データファイル107に蓄積しているので、現在位置通知情報から観光バス4の移動速度も計算できる。このため、所定速度(例えば時速30km)で移動するようになった場合に移動中になったと判別するなど、移動速度を考慮してもよい。同様に、現在位置通知情報から観光バス4の移動方向も分かるので、この移動方向から観光施設に向かっているのか、観光施設から離れているのかを検知し、これを考慮して観光バス4の動態管理を行うようにしてもよい。
また、図4に示した観光施設DB105において、各観光施設の過去の混雑度情報も管理するようにして、この過去の履歴データも用いてルートの探索を行うようにすることもできる。
また、実施の形態の動態管理サーバ1の構成例はあくまで一例であり、動態管理サーバ1の各機能を複数のサーバ装置の協働によって実現してもよく、各データベースやデータファイルの内の少なくとも一部は、他の装置の内部/外部記憶装置に設けてもよく、例えば、いわゆるクラウド上に構成されていてもよい。
また、添乗員端末3の位置情報の取得方法は、特に限定されるものではなく、衛星測位、Wi−Fi(登録商標)測位、基地局測位等の任意の方法を用いて位置情報を取得すればよい。
また、添乗員端末3の時刻情報の取得方法は、特に限定されるものではない。例えば、添乗員端末3に内蔵される時計回路から取得した時刻、NTP(Network Time Protocol)サーバから取得した時刻、衛星からの信号に含まれる時刻等、取得経路を問わず適切に正確な時刻が取得できる種々の方法を用いることができる。
[適用分野の拡張]
上述した実施の形態では、観光地においては、多くの観光バス4により多数の観光客を運ぶ点に鑑み、観光バス4の台数に基づいて、観光施設の混雑度を把握したり、所定時間後の混雑度を予測したりするようにした。しかし、観光バス以外の移動体の数により、種々の施設の混雑度を把握することもできる。例えば、大規模テーマパークにおいて、利用する複数のアトラクションとその利用順番を移動スケジュール情報として動態管理サーバで管理する。そして、使用者が持つ高機能携帯電話端末で、現在位置を測位して動態管理サーバに通知したり、ステータスの変更を要求したりする。
動態管理サーバは、アトラクションごとに、ジオフェンスを設定し、ジオフェンス内の当該アトラクションを利用中の使用者とこれから利用する使用者の数を把握して、現在の混雑度を把握し、また、所定時間後の混雑度を予測する。そして、各アトラクションの現在の混雑度や所定時間後の混雑度の予測を利用者の高機能携帯電話端末を通じて利用者に通知するといったことも可能である。
この他にも、自転車、オートバイ、自動車(観光バス以外)といった移動体を、動態の管理対象とし、これらの移動体が利用する施設およびその周辺の混雑度を、移動スケジュールを加味して把握したり、予測したりすることも可能である。すなわち、この発明は、人、自転車、オートバイ、自動車なの種々の移動体の動態管理を行う場合に利用できる。
[その他]
請求項における動態管理サーバの各手段と、実施の形態の動態管理サーバ1の構成部分とを対応付けると、以下のようになる。すなわち、通信手段の機能は通信I/F101が実現し、把握手段の機能は動態把握部113が実現し、予測手段の機能は動態予測部114が実現する。また、記憶手段の機能は、バススケジュールDB106が実現し、作成手段の機能は、ルート探索部115が実現している。
また、図11、図12のフローチャートに示した処理を行う方法が、この発明の動態管理方法の一実施の形態が適用されたものであり、図11、図12のフローチャートに示した処理を行うプログラムが、この発明の動態管理プログラムの一実施の形態が適用されたものである。また、実施の形態の動態管理サーバ1のジオフェンス設定部111、ステータス更新部112、動態把握部113、動態予測部114、ルート探索部115、ルート変更処理部116の各機能は、制御部102で実行されるソフトウェアにより、制御部102の機能として実現することもできる。