以下に、本発明の実施の形態による光学機器の一例について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による光学機器の1つであるレンズ鏡筒が装着された撮像装置の一例を説明するための図である。そして、図1(a)は撮像装置を破断してその内部を示す図であり、図1(b)は撮像装置を上側から見た図である。
図示の撮像装置は、例えば、一眼レフタイプのデジタルカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)であり、カメラ本体(カメラボディ:撮像装置本体)2には、レンズ鏡筒である撮影レンズユニット(以下単に撮影レンズ)1が交換可能に装着されている。
撮影レンズ1は光軸10を備える撮像光学系11を有しており、撮像光学系11には、フォーカスレンズ(光学素子又は光学レンズ)11aが備えられている。さらに、撮影レンズ1には、レンズ基板13が備えられ、当該レンズ基板13にはレンズシステム制御部12などの電子部品が搭載されている。そして、レンズシステム制御部12は撮影レンズ1の制御を司る。
また、撮影レンズ1には、レンズ駆動部14およびレンズ位置検出センサ15が備えられ、レンズ駆動部14によって撮像光学系11が駆動されて焦点調整などか行われる。なお、レンズ位置検出センサ15によってフォーカスレンズ11aの位置が検出される。
撮影レンズ1の外周面には操作リング16が配設されるとともに、液晶表示部17が配置されている。そして、液晶表示部17には、フォーカスレンズ11aの位置などのレンズ位置を示す情報などが表示される。
図示のように、撮像光学系11には撮像光学系11を通過する光量を調整する絞り部18が備えられている。また、操作リング16を回転操作した際の回転量は回転量検出部19によって検出される。
カメラボディ2には、カメラシステム制御部21が備えられており、カメラシステム制御部21はカメラ全体の制御を司る。撮像素子22には撮影レンズ1を介して光学像が結像する。撮像素子22の前段には、クイックリターンミラーユニット23が配置されており、クイックリターンミラーユニット23はメインミラー23aおよびサブミラー23bを有している。
サブミラー23bで反射した光学像はAFユニット24に結像する。そして、AFユニット24は光学像に応じて測距を行う。画像表示部25には、撮像素子22で得られた画像が表示されるとともに、撮影設定に係る情報などが表示される。
メインミラー23aで反射した光学像はファインダ光学系28に導かれ、これによって、撮影者であるユーザはファインダ光学系28を介して光学像を観察することができる。カメラボディ2の上面にはレリーズ釦26aが配置され、撮影レンズ1およびカメラボディ2は電気接点27によって接続され、これによって、レンズシステム制御部12とカメラシステム制御部21とは相互に通信を行う。
図2は、図1に示すカメラの制御系の一例を示すブロック図である。なお、図2において、図1に示す構成要素と同一の構成要素について同一の参照番号を付す。
レンズシステム制御部12は、フォーカスレンズ駆動部14、絞り部18、および液晶表示部17を制御する。さらに、レンズシステム制御部12は、レンズ位置検出センサ15および回転量検出部19の検出結果に基づいてそれぞれ光学レンズ(例えば、フォーカスレンズ11a)の位置および操作リング16の回転量を算出する。また、レンズシステム制御部12は電気接点27を介してカメラシステム制御部21と通信を行って、カメラシステム制御部21から駆動命令などを受ける。
レンズシステム制御部12から駆動命令を受けると、フォーカスレンズ駆動部14はフォーカスレンズ11aを光軸10に沿って移動し、撮像素子22に結像する光学像の焦点状態を調整する。そして、レンズシステム制御部12はレンズ位置検出センサ15の検出結果に応じてフォーカスレンズ11aの位置を求める。
操作リング16を撮影者が回転操作(駆動操作)した際の回転量が回転量検出部19によって検出され、レンズシステム制御部12は当該回転量(つまり、操作量)に応じてレンズ駆動14に駆動命令を送る。フォーカスレンズ11aの位置に応じて、レンズシステム制御部12は光学像が撮像素子22に結像する際の結像面から被写体までの距離を示すピント位置を算出する。例えば、カメラの1.5m前方に被写体が位置し、当該被写体にピントが合っている場合には、ピント位置は1.5mとなる。
レンズシステム制御部12は、得られたピント位置に係る情報およびフォーカスレンズ11aの位置に関する情報を液晶表示部17に表示する。さらに、レンズシステム制御部12はカメラシステム制御部21から命令を受けて、絞り部18を制御して、例えば、絞りばね(図示せず)を絞り込むことによって撮像光学系11を通過する光量を調整する。
なお、レンズシステム制御部12は、前述のようにしてフォーカスレンズ11aの位置および駆動速度を求めるとともに、撮影レンズ1の設定および電気接点27によるカメラボディ2との接続状態などを検出する。
撮像光学系11を通過した光学像は、図1(a)に示すように、クイックリターンミラーユニット23がダウン状態においては、メインミラー23aおよびサブミラー23bによって反射される。そして、反射光はそれぞれファインダ光学系28およびAFユニット24に導かれる。
AFユニット24は、受光した反射光に基づいて、所謂位相差検出による焦点検出を行う。一方、ファインダ光学系28に導かれた反射光(つまり、光学像)は接眼レンズを介して撮影者に導かれる。
クイックリターンミラーユニットが、光軸10から退避するアップ状態である場合には、撮像光学系11を通過した光学像は撮像素子22に結像する。撮像素子22は、光電変換によって光学像に応じた電気信号を出力し、当該電気信号はA/D変換器(図示せず)による量子化処理によってデジタル信号に変換される。
画像処理部31は、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、および補間演算回路などを有している。画像処理部31は、カメラシステム制御部21の制御下でデジタル信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。そして、画像処理部31は当該画像データをメモリ部32に記憶する。
カメラシステム制御部21はCPU(中央演算処理装置)などを備え、前述のように、撮影レンズ1およびカメラボディ2の制御を統括する。カメラシステム制御部21は、撮影の際にはタイミング信号などを生成してカメラの各部に出力する。カメラシステム制御部21は、レリーズ釦26aなどの操作部から操作指示を受け付ける。そして、カメラシステム制御部21は、該指示に応じてAFセンサ24および撮像素子22などを制御するとともに、レンズシステム制御部12に命令を送信する。
図3は、図2に示す液晶表示部を表示制御する際の第1および第2の表示モードを説明するための図である。そして、図3(a)および図3(b)は第1の表示モードを示す図であり、図3(c)および図3(d)は第2の表示モードを示す図である。
図3(a)および図3(b)に示す第1の表示モードにおいては、液晶表示部17には複数の目盛が列状に表示され、フォーカスレンズ11aの位置に関する位置情報が指標(位置指標)によって表示される。以下、図3(a)および図3(b)に示す表示をアナログ調目盛表示(又はアナログ目盛表示)と呼ぶ。
図3(c)および図3(d)に示す第2の表示モードでは、フォーカスレンズ11a位置に関する位置情報が数値で表示される。以下、図3(c)および図3(d)に示す表示をデジタル調数値表示(又はデジタル数値表示)と呼ぶ。
ところで、液晶表示部17は密に配置された複数の画素を有しており、数字および図を表示することが可能であり、前述のようにアナログ調の目盛およびデジタル調の数値を表示することができる。
まず、図3(a)および図3(b)を参照して、第1の表示モードにおいては、液晶表示部17には、固定指標41および距離目盛列42が表示される。さらに、撮像光学系11のピント位置に対応する距離目盛42が表示され、距離目盛列42は複数の距離メモリ42a〜42fを有している。
ここでは、固定指標41によって指示される距離目盛42が現在の撮像光学系11におけるピント位置である。フォーカスレンズ11aの位置に応じて、レンズシステム制御部12は固定指標41に対して距離目盛42を相対的に図中左右に移動することによって撮像光学系11におけるピント位置を表示する。
図3(a)に示す例では、ピント位置が約2.7mであることを示している。また、図3(b)に示す例では、図3(a)に示す状態から距離目盛42が至近側である右側に移動してピント位置が約1.4mに変更されたことが示されている。
次に、図3(c)および図3(d)を参照して、第2の表示モードにおいては、液晶表示部17には、撮像光学系11の現在のピント位置を示すデジタル調数値43が表示される。さらに、フォーカスレンズ11aを移動した際のピント位置の移動可能範囲が示され、ここでは、至近端44aおよび無限遠端側44bで規定される移動可能範囲が表示される。
なお、至近端44aおよび無限遠端側44bはそれぞれ図3(a)に示す距離目盛42aおよび42fに対応する。そして、図3(a)および図3(b)に示す撮像光学系11のピント位置をデジタル調数値表示すると、それぞれ図3(c)および図3(d)に示すように表示される。
図4は、図2に示す液晶表示部の表示切替制御の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図示のフローチャートに係る処理は、レンズシステム制御部12の制御下で行われる。
表示切替制御を開始すると、レンズシステム制御部12は、レンズ位置検出センサ15によって検出されたフォーカスレンズ11aの位置に応じて、現在のフォーカスレンズ11aの位置におけるピント位置を算出する(ステップS101)。
続いて、レンズシステム制御部12は、第2の表示モードによってピント位置をデジタル調数値によって液晶表示部17に表示する(ステップS102)。例えば、レンズシステム制御部12は、図3(d)に示す状態を液晶表示部17に表示する。
次に、レンズシステム制御部12は、回転量検出部19によって検出された操作リング16の回転量を受けて、操作リング16の回転速度ωが所定の速度ωn未満(速度未満)であるか否かを判定する(ステップS103)、回転速度ωが所定の速度ωn未満であると(ステップS103において、YES)、レンズシステム制御部12は撮影者がピント位置を微調整しているものと判定して、第2の表示モードによるデジタル調数値の表示を継続する(ステップS104)。
続いて、レンズシステム制御部12は回転検出部19で検出された回転量に基づいて操作リング16の回転が停止した(ω=0)であるか否かを判定する(ステップS105)。操作リング16の回転が停止していなければ(ステップS105において、NO)、レンズシステム制御部12はステップS103の処理に戻る。
一方、操作リング16の回転が停止すると(ステップS105において、YES)、レンズシステム制御部12は操作リング16の回転が停止した状態で所定の時間(一定時間)が経過したか否かを判定する(ステップS106)。所定の時間が経過しないと(ステップS106において、NO)、レンズシステム制御部12はステップS105の処理に戻る。所定の時間が経過すると(ステップS106において、YES)、レンズシステム制御部12は表示切替処理を終了する。
回転速度ωが所定の速度ωn以上(速度以上)であると(ステップS103において、NO)、レンズシステム制御部12は撮影者がピント位置を大きく移動させると判定して、第2の表示モードを第1の表示モードに切り替えて液晶表示部17にアナログ調目盛を表示する(ステップS107)。例えば、レンズシステム制御部12は、図3(b)に示す状態を液晶表示部17に表示する。そして、レンズシステム制御部12はステップS103の処理に戻る。
このようにして、操作リング16の回転操作に応じた回転速度に基づいて液晶表示部17の表示モードを切り替える。そして、ピント位置の変化速度が大きい場合には、ピント位置をアナログ調目盛表示する。これによって、撮影者は直感的な操作で目標とするピント位置にフォーカスレンズ11aを移動させることができる。一方、ピント位置の変化速度が小さい場合には、ピント位置をデジタル調数値表示する。これによって、撮影者はピント位置の調整を正確に行うことができる。このようにして、表示モードを切り替えれば、撮影者の操作に適したピント位置を液晶表示部17に表示することができる。
なお、上述の例では、フォーカスレンズ11aのピント位置に関する情報を液晶表示部17に表示するようにしたが、その他の情報を液晶表示部17に表示するようにしてもよい。
図5は、図2に示す液晶表示部にその他の情報の1つである被写界深度をピント位置とともに表示する例を説明するための図である。そして、図5(a)は第1の表示モードを示す図であり、図5(b)および図5(c)は第2の表示モードを示す図である。
いま、撮像素子22において許容錯乱円δが決定されているとする。この際には、フォーカスレンズ11aの位置から求められるピント位置と撮影の際の絞り部18の絞り値Fnとに基づいて、撮像光学系11における被写界深度を求めることができる。
図5(a)に示す例では、ピント位置とともに被写界深度がアナログ調目盛で表示される。図5(a)においては、固定指標41の他に、固定指標41と異なる長さの被写界深度指標51aおよび51bが表示される。被写界深度は、1つのピント位置において合焦とみなせる範囲であり、ここでは、合焦しているピント位置を挟んで被写界深度指標51aおよび51b(被写界深度情報)によって幅が規定される。つまり、ピント位置よりも至近側の位置を示す被写界深度指標51aと無限遠側の位置を示す被写界深度指標51bで規定される幅が被写界深度範囲である。
このように、第1の表示モードにおいては、被写界深度範囲を固定指標41とは異なる被写界深度指標51aおよび51bによって表示する。なお、レンズシステム制御部12は、ピント位置とカメラシステム制御部21によって制御される絞り部18の絞り値Fnとに基づいて被写界深度を求める。被写界深度の算出手法については、既知であるので、ここでは説明を省略する。
図5(b)および図5(c)に示す例では、ピント位置とともに被写界深度がデジタル調目盛で表示される。図5(b)および図5(c)においては、デジタル調数値43の他に、被写界深度範囲値53aおよび53bが表示される。ここでは、被写界深度範囲値53aが至近端側の被写界深度範囲値であり、被写界深度範囲値53bが無限遠側の被写界深度範囲値である。
このように、第2の表示モードにおいては、レンズ位置を示すデジタル調数値43とともに、被写界深度範囲をデジタル数字である被写界深度範囲値53aおよび53bによって表示する。これによって、1つのピント位置における被写界深度範囲値を覚えておけば、操作リング16を操作して被写界深度範囲の端までピント位置を変更する際正確にピント位置を合わせることができる。例えば、1つの被写体にピント位置を設定した後、操作リング16に別の距離の被写体を被写界深度範囲に入れる操作をする際などにおいて精度よくピント位置の操作をすることができる。
図5(b)に示す例では、札絵者の視認性を向上させるため、被写界深度範囲値53aおよび53bを、ピント位置を示すデジタル調数値43と異なるフォントサイズで表示したが、別のフォントを用いるか又は異なる表示をしてもよい。例えば、図5(c)のように、ピント位置を示すデジタル調数値43と被写界深度範囲値53aおよび53bを反転表示して表示するようにしてもよい。被写界深度範囲値53aおよび53bを、至近端44aおよび無限遠端側44bで規定される移動可能範囲と異なる表示をすることによって、視認性を向上させることができる。
さらに、上述の例では、被写界深度をピント位置と絞り値とを用いて算出したが、ピント位置および絞り値毎の被写界深度を予め算出してテーブルとして記録するようにしてもよい。
また、ピント位置が素早く変更される場合、デジタル調数値の表示においては表示画面がちらつき視認性が下がる。よって、次のような場合にはアナログ調目盛の表示とすることが望ましい。例えば、撮像光学系11が焦点距離を変更可能なズームレンズを有する場合には、ズームレンズを駆動する際には、第1のモードであるアナログ調目盛を表示する。そして、ズームレンズの駆動によってピント位置およびピント位置の移動可能範囲が変更されることになるものの、撮影者がズームレンズの駆動中において正確なピント位置を得る必要はない。つまり、撮影者はズームレンズの駆動中においてはおおまかなピント位置とズームレンズの駆動後のピント位置が分かればよい。
デジタル調数値の表示を行っていると、表示画面がちらついてピント位置が至近側および無限遠側のいずれに変化しているかが分かりにくい。そこで、ズームレンズ駆動の際には、第1のモードであるアナログ調目盛を表示することが望ましい。
ここで、フォーカスレンズ11aを移動した際の画像のコントラスト変化に応じて焦点位置を求めるコントラストAFを行う場合について説明する。
コントラストAFを高速化するため、常にフォーカスレンズ11aを微小量で反復駆動を繰り返すウォブリング駆動と呼ばれるフォーカスレンズ駆動手法が知られている。なお、ウォブリング駆動については既知であるので、ここでは説明を省略する。
ウォブリング駆動を行うウォブリング駆動モードにおいては、ピント位置が細かく変動するので、第1のモードであるアナログ調目盛を表示することが望ましい。代わりに、デジタル調数値を表示する場合には、ウォブリング駆動によってフォーカスレンズ11aが反復駆動する際の中央値をピント位置のデジタル調数値43として表示することが望ましい。
上述の例では、フォーカスレンズ11aの位置をレンズ位置検出センサ15によって検出したが、フォーカスレンズ駆動部14による駆動量が分かれば、レンズ位置検出センサ15の代わりに他の手法を用いるようにしてもよい。例えば、フォーカスレンズ駆動部14がステッピングモーターを備える場合には、起動の際にまずフォーカスレンズ11aを初期位置に移動して、レンズシステム制御部12から与えられる駆動量に応じてフォーカスレンズ11aの位置を算出することができる。つまり、レンズ位置検出センサ15を備えることなく、レンズシステム制御部12がレンズ駆動量に応じてフォーカスレンズ11aの位置を求めるようにすればよい。
また、上述の例では、フォーカスレンズ11aの駆動に応じたフォーカスレンズ11aの位置を液晶表示部17に表示するようにしたが、撮像光学系が備える他のレンズを駆動した際に、当該他のレンズの位置を表示するようにしてもよい。例えば、撮像光学系11が焦点距離を変更可能なズームレンズを有する場合には、ズームレンズの位置に関する情報である撮像光学系11の焦点距離の変化を液晶表示部17に表示するようにしてもよい。
さらに、操作リング16を回転操作する際に、撮影者にクリック感を与えるクリック機構(クリック感発生部)を備えるとともに、クリック感の有無を切り替えるクリック切替機構を備える場合には、次のように液晶表示部17を制御してもよい。
クリック機構は、操作リング16の内側にボールおよびバネなどを備え、当該ボールおよびバネなどによって操作リング16の回転操作の際にクリック感を与える機構であり、その構成は既知であるので説明を省略する。
上述のクリック機構を操作リング16に配置するとともに、クリック感の有無を切り替えるクリック切替機構を配置する。クリック切替機構はクリック切替スイッチを備えており、当該クリック切替スイッチのON又はOFFに応じてクリック機構をクリック感を発生させる状態とクリック感を発生させない状態に切り替える。
さらには、クリック機構は操作リング16の一定の微小回転量毎にクリック感を発生させる。これによって、撮影者はクリック感が発生した回数を数えることによってどの程度、操作リング16を回転させたかを認識することが容易となる。1回のクリック感が発生する所定の回転量に対して、フォーカスレンズ11aの駆動について制御可能な最小駆動量が設定されていれば、フォーカスレンズ11aの位置を繰り返して同一の位置に移動させて微調整することが容易になる。そして、フォーカスレンズ11aの位置を微調整する際には、所望のフォーカスレンズ11aの位置を読み取ることができるので、液晶表示部17にはデジタル調表示を行うことが望ましい。
このため、クリック切替スイッチのONを検出した際には、つまり、クリック機構によりクリック感が発生すると検出した場合には、レンズシステム制御部12は撮影者が微調整動作を行うと判定して液晶表示部17をデジタル調表示に切り替える。
また、上述の例では、操作リング16の回転操作を回転量検出部19で検出して、その検出結果に応じた回転速度に基づいて液晶表示部17の表示を切り替えた。一方、表示設定モードに応じて液晶表示部17の表示を切り替えるようにしてもよい。例えば、操作部26によって設定可能な表示設定モードとしてアナログ調目盛表示モード、デジタル調数値表示モード、およびオート表示モードを準備する。
アナログ調目盛表示モードに設定されると、レンズシステム制御部12は常に液晶表示部17をアナログ調目盛表示とする。デジタル調数値表示モードに設定されると、レンズシステム制御部12は常に液晶表示部17をデジタル調数値表示とする。そして、オート表示モードに設定されると、前述のように、レンズシステム制御部12は操作リング16の回転量に基づいて、液晶表示部17の表示を切り替える。
このように、本発明の第1の実施形態では、操作リング16の回転量に応じて、液晶表示部17の表示モードを第1の表示モードおよび第2の表示モードのいずれかに切り替える。この結果、フォーカスレンズなどの撮像光学系に係る情報について表示の際の視認性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態に係るカメラの一例について説明する。なお、第2の実施形態に係る撮影レンズおよびカメラの構成は図1および図2に示す撮影レンズおよびカメラと同様である。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るカメラにおいて液晶表示部における表示を説明するための図である。そして、図6(a)はアナログ調目盛表示を示す図であり、図6(b)および図6(c)は図6(a)に示す状態からピント位置を移動させた際のアナログ調目盛表示を示す図である。また、図6(d)および図6(e)はデジタル調表示を示す図である。
図6(a)においては、ピント位置が約2.7mである場合のアナログ調目盛表示であり、ここでは、距離目盛2.7mの位置に目標指標54が表示される。そして、図6(a)に示す状態からピント位置を移動させると、図6(b)又は図6(c)に示すアナログ調目盛表示となる。図示のように、目標指標54は距離目盛列42とともに水平方向に移動して表示される。
なお、図6(d)および図6(e)に示す例は、図3(c)および図3(d)に示す例に対応するものである。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るカメラにおける液晶表示部の表示切替制御を説明するためのフローチャートである。なお、図7において、図4に示すフローチャートのステップと同一のステップについては同一の参照符号を付して説明を省略する。
ステップS102の処理の後、撮影者が目標位置設定を行うためプリセット釦(図示せず)を押し下げると、レンズシステム制御部12は現在のピント位置が目標位置として設定する(ステップS203)。そして、撮影者が操作リング16を回転操作すると、レンズシステム制御部12はレンズ位置検出センサ15による検出結果に応じてフォーカスレンズ11aの位置を得て現在のピント位置を算出する(ステップS204)。
例えば、撮影者が2.7mのピント位置に存在する被写体にピントを合わせて、プリセット釦によって目標位置に設定する。そして、撮影者が別の被写体が異なるピント位置にいるとして、操作リング16を回転操作すると、図6(b)に示すように、ピント位置が1.4mに変更される。この状態から、再度、元の被写体にピントを合わせるため、操作リング16を回転操作すると、図6(c)に示すように、ピント位置が再度移動して目標位置である2.7mとなる。
続いて、レンズシステム制御部12は現在のピント位置xが目標位置tに対して所定範囲e内に収まるか否かを判定する。つまり、レンズシステム制御部12は、|x−t|≦eであるか否かを判定する(ステップS205)。|x−t|≦eであると(ステップS205において、YES)、レンズシステム制御部12はステップS104の処理に進む。
その後、レンズシステム制御部12はステップS106において、ピント位置の変化がない状態で一定時間が経過したか否かを判定する。そして、一定時間が経過しないと(ステップS106において、NO)、レンズシステム制御部12はステップS204の処理に戻る。一方、一定時間が経過すると(ステップS106において、YES)、レンズシステム制御部12は表示切替処理を終了する。
|x−t|>eであると(ステップS205において、NO)、レンズシステム制御部12はステップS107の処理に進む。その後、レンズシステム制御部12はステップS204の処理に戻る。
例えば、所定範囲eを0.2mとし、現在のピント位置xが1.4mにあるとする。この場合、目標位置t=2.7から現在のピント位置xが1.3m離れているので、図6(b)に示すように、液晶表示部17にはアナログ調目盛が表示される。
一方、図6(c)に示すように、ピント位置xを目標位置tに近づけて、ピント位置xが目標位置tの±e以内、つまり、2.5〜2.9mの範囲に収まると、図6(d)に示すようにデジタル調数値が表示される。そして、ピント位置xが目標位置tと一致すると、図6(e)に示すように、レンズ制御部12はピント位置を示すデジタル調数値43を反転表示する。
これによって、ピント位置を目標位置に合わせる際に、ピント位置の移動量が大きい場合にはアナログ調目盛表示が行われるので、撮影者は直感的にピント位置を視認することができる。一方、目標位置近傍に近づくと、デジタル調数値表示に切り替わるので、撮影者はピント位置を目標位置に精度よく合わせることができる。
なお、目標位置に対する所定範囲を、無限遠側と至近側とにおいて異なる値に設定するようにしてもよい。例えば、目標位置が2.7mの際の所定範囲を、2.5mから3.5mとして、無限遠側の範囲を大きくするようにしてもよい。
上述の例では、ピント位置が予め設定された目標位置に近づいた際にデジタル調数値表示を行うようにしたが、現在の被写界深度範囲を表示して、被写界深度範囲を含む所定の範囲に目標位置がある場合にデジタル調数値表示を行うようにしてもよい。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るカメラにおいて目標位置ととともに現在のピント位置における被写界深度範囲を表示する例を説明するための図である。そして、図8(a)はアナログ調目盛表示を示す図であり、図8(b)はデジタル調数値表示を示す図である。
図示の例では、目標位置を示す目標指標54とともに、現在のピント位置xにおいて被写界深度指標51aおよび51bで規定される被写界深度範囲が表示される。ここで、目標位置tを2.7m、現在のピント位置xを1.3m、現在のピント位置xにおける被写界深度範囲を含む所定範囲を0.8〜2.0mとする。この際、目標位置tは所定範囲外にあるので、図8(a)に示すように、アナログ調目盛表示が行われる。
図8(b)には、図8(a)に示す状態からピント位置が無限遠側に移動した際のデジタル調数値表示が示されている。ここでは、被写界深度範囲値53aおよび53bが表示されるとともに、目標位置tが目標値55で反転表示される。
この場合には、ピント位置における被写界深度範囲1.2〜2.6mを含む所定範囲が1.0〜2.9mに設定されている。そして、被写界深度範囲を含む所定範囲に目標値55が収まっているので、デジタル調数値表示が行われる。
このようにして、アナログ調目盛表示とデジタル調数値表示とを切り替えることによって、1つの位置に目標とする被写体があって、当該被写体が現在のピント位置における被写界深度範囲に入るか否かを容易に確認することができる。その結果、例えば、目標位置と異なる位置に別の被写体が存在する場合に、いずれの被写体も被写界深度範囲に入って合焦状態となるようにピント位置の操作を容易に行うことができる。
このように、本発明の第2の実施形態では、1つのピント位置を目標位置として設定した後、操作リングを操作してフォーカスレンズを移動させた際にピント位置が目標位置を含む所定範囲にあるとデジタル調数値表示を行う。これによって、撮影者は目標位置にピント位置を精度よく調整することができる。
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態に係るカメラの一例について説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るカメラの一例を説明するための図である。そして、図9(a)はカメラを破断してその内部を示す図であり、図9(b)はカメラを上側から見た図である。なお、図9において、図1に示すカメラと同一の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
図9に示すカメラでは、操作リング16の代わりにタッチ式操作リング51が備えられており、タッチ式操作リング51内部には、押圧力を検出するための感圧センサ52が配置されている。
図10は、図9に示すカメラの制御系の一例を示すブロック図である。
図9および図10を参照して、接触操作部であるタッチ式操作リング51は操作リング16と同様に撮影レンズ1の円周方向に沿ってリング状に配置される。そして、タッチ式操作リング51内に接触操作を検出するための感圧センサ52が同様にリング状に配置される。
タッチ式操作リング51の外周面は、撮影者が指を滑らかに動かせるように摺動性の高い表面処理が施されている。撮影者がタッチ式操作リング51を指で触れ、触れた状態で指を円周方向に移動させると、感圧センサ52によって指による接触位置と押圧力とが検出される。
感圧センサ52による検出結果はレンズシステム制御部12に送られる。そして、レンズシステム制御部12は接触位置の移動量に応じてレンズ駆動部14によってフォーカスレンズ11aを移動させる。このようにして、タッチ式操作リング51を触ることによって、撮影者はフォーカスレンズ11aを所望の位置に移動させることができる。
さらに、感圧センサ52はタッチ式操作リング51を触れて押圧した際の押圧力を少なくとも2段階で検出することができる。ここでは、撮影者がタッチ式操作リング51に軽く触れていると、感圧センサ52は押圧力が低いと検出する。一方、強く握っていると、感圧センサ52は押圧力が高いと検出する。
例えば、すばやくフォーカスレンズ11aを移動させたい場合には、タッチ式操作リング51に軽く指で触れてすばやく指を移動させればよい。この場合には、フォーカスレンズ11aの移動速度は速いので、アナログ調目盛表示の方が視認しやすい。このため、感圧センサ52によって検出された押圧力が所定値よりも低いと、レンズシステム制御部12はアナログ調目盛表示を行う。
一方、フォーカスレンズ11aを少しずつ移動させて微調整を行いたい場合には、指でしっかりとタッチ式操作リング51を握るか又は接触面を強く押すことになる。そして、フォーカスレンズ11aの位置を微調整する場合には、デジタル調数値表示の方が視認しやすい。このため、感圧センサ52によって検出された押圧力が所定値以上の場合には、レンズシステム制御部12はデジタル調数値表示を行う。
このように、本発明の第3の実施形態では、感圧センサによる検知結果に応じて液晶表示部における表示を切り替えるようにしたので、撮影者の意図に応じて液晶表示部17の視認性を高めることができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係るカメラの一例について説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態に係るカメラの一例を説明するための図である。そして、図11(a)はカメラを破断してその内部を示す図であり、図11(b)はカメラを上側から見た図である。なお、図11において、図1に示すカメラと同一の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
図11に示すカメラでは、撮影レンズ1の下部には外部装置が取り付け可能な取付機構が配置されている。例えば、ここでは、外部装置として、外部操作命令を行うためのパワーフォーカスアダプター6が配置されている。さらに、撮影レンズ1の下部には外部装置と通信を行う外部装置電気接点64bが設けられている。そして、パワーフォーカスアダプター6が撮影レンズ1に装着された際には、パワーフォーカスアダプター6に備えられた外部装置電気接点64aが外部装置電気接点64bに接続される。
図12は、図11に示すカメラの制御系の一例を示すブロック図である。なお、図12においては、外部装置電気接点は参照番号64で示されている。
図11および図12を参照して、パワーフォーカスアダプター6は操作レバー65、切り替えスイッチ66、外部装置操作検出部62、外部装置制御部61、ギア駆動部67、およびパワーフォーカスギア63を有している。そして、操作レバー65は撮影者によって操作され、切り替えスイッチ66によってフォーカスレンズ11aの駆動速度モードが切り替えられる。また、外部装置操作検出部62は操作レバー65の操作および切り替えスイッチ66の切り替え操作を検出する。
なお、図11(a)は断面図であるので、操作レバー65および切り替えスイッチ66は不可視であるが、説明の便宜上図11(a)には示されている。
前述のように、撮影レンズ1にパワーフォーカスアダプター6が取り付けられると外部装置電気接点64aおよび64bが接続されて、レンズシステム制御部12と外部装置制御部61との通信が可能となる。
フォーカスレンズ11aの駆動速度モードには、例えば、駆動速度が速いハイモードと、ハイモードよりも駆動速度が遅いローモードとがある。そして、切り替えスイッチ66を操作することによって、駆動速度モードをハイモードおよびローモードに選択的に切り替えることができる。
操作レバー65は、プラス部65aおよびマイナス部65bを有し、撮影者は操作レバー65をプラス部65aの位置、マイナス部65bの位置、両者の中立位置の3位置に操作することができる。操作レバー65がプラス部65aに押圧されている際には、外部装置制御部61はフォーカスレンズ11aを無限遠側に移動する駆動命令(無限遠命令)を送出する。操作レバー65がマイナス部65bに押圧されている際には、外部装置制御部61はフォーカスレンズ11aを至近側に移動する駆動命令(至近命令)を送出する。駆動レバー65が中立位置にある際には、外部装置制御部61は駆動命令を送出しない。
前述のように、外部操作検出部62は切り替えスイッチ66および操作レバー65の操作を検出する。そして、外部装置制御部61は外部操作検出部62による検出結果に応じてギア駆動部67を駆動制御する。つまり、外部装置制御部61は操作レバー65の操作に応じてフォーカスレンズ11aの移動方向を制御し、切り替えスイッチ66の位置に応じてフォーカスレンズ11aの駆動速度を制御することになる。
ギア駆動部67はモーターを有しており、当該モーターの回転軸には減速器(図示せず)を介してパワーフォーカスギア63が連結されている。パワーフォーカスギア63は、撮影レンズ1に取り付けられた際に操作リング16(図11(a)には参照番号16aで示す)と連結され、モーターの駆動に応じて操作リング16に回転力を伝達する。
つまり、ギア駆動部67が回転すると、減速器を介しパワーフォーカスギア63が所定の速度で回転して、撮影者の指示に応じた速度および方向に操作リング16が回転する。これによって、フォーカスレンズ11aが光軸10に沿って移動する。
このように、操作レバー65を操作することによって、所定の速度でフォーカスレンズ11aを移動させることができる結果、撮影者は滑らかにピントの変更を行うことができる。なお、図示の例では、ギア駆動部67としてモーターを用いたが、他のアクチュエータを用いるようにしてもよい。
ここで、液晶表示部17の表示制御について説明する。
撮影レンズ1にパワーフォーカスアダプター6が装着されると、レンズシステム制御部12はパワーフォーカスアダプター6に備えられた切り替えスイッチ66の状態を検出する。切り替えスイッチ66がハイモードであると、レンズシステム制御部12は液晶表示部17をアナログ調目盛表示に切り替える。
ハイモードの場合には、フォーカスレンズ11aが素早く動くのでアナログ調目盛表示の方が撮影者にとっては視認性がよく、そして、直感的な操作で目標位置にフォーカスレンズ11aを移動させることができるため操作性がよい。
一方、切り替えスイッチ66がローモードの際には、レンズシステム制御部12は液晶表示部17をデジタル調数値表示に切り替える。ローモードの場合には、フォーカスレンズ11aがゆっくり動くのでデジタル調数値表示であっても、数値の変化によるちらつきが少なくピント位置の調整を正確に行い易くなる。
このように、本発明の第4の実施形態では、パワーフォーカスアダプター6状態を検出して、液晶表示部17の表示を切り替えるようにしたので、撮影レンズ1を操作する際の液晶表示部17の視認性を向上させることができる。
なお、上述の例では、外部操作命令装置として、フォーカスレンズ11aの駆動を命令するパワーフォーカスアダプターを例に挙げて説明したが、その他の外部操作命令手段を用いても本発明を適応することができる。例えば、撮影レンズ1が焦点距離を変更可能なズームレンズを有するとともに、ズームレンズを駆動させるズーム操作リングを有しているとする。そして、液晶表示部17にはズームレンズの焦点距離が表示されるものとする。
この場合、撮影レンズ1に、外部操作命令装置としてパワーフォーカスアダプター6と同様の構成を有するパワーズームアダプターが取り付けられる。そして、切り替えスイッチおよび操作レバーの操作によってズームレンズを駆動する。この際、パワーズームアダプターに備えられた切り替えスイッチの状態を検出して、パワーフォーカスアダプター6が取り付けられた場合と同様にして液晶表示部17の表示を切り替えるようにする。
さらに、外部操作命令装置が撮影レンズに取り付けられた場合に、次のようにして液晶表示部17の表示を切り替えるようにしてもよい。
前述の例では、パワーフォーカスアダプター6において操作レバー65がプラス部又はマイナス部に押圧されると、フォーカスレンズ11aを所定の速度で駆動する。この場合、フォーカスレンズ11aを所定の速度で駆動しても、ピント位置に係る数値は線形に変化しない。例えば、図3(a)に示す目盛り0.5mから1.0mまでの長さと目盛り1.0mmから1.5mmまでの長さが異なっているので、ピント位置の変化が非線形でないことが分かる。
言い替えると、1つのピント位置からフォーカスレンズ11aが所定の量(距離)を移動した場合においても、移動開始前のピント位置によってピント位置の移動量は異なる。例えば、ピント位置が無限遠側付近にあった場合に、フォーカスレンズ11aが1mm移動したとする。この場合、ピント位置が2m分移動したとしても、移動開始前のピント位置が至近側付近から移動した場合にはピント位置が2mよりも少ない、例えば、0.5m分しか移動しないことがある。
さらに、フォーカスレンズ11aが無限遠側に移動するか又は至近側に移動するかによってもピント位置の移動量は異なる。つまり、所定の速度でフォーカスレンズ11aを駆動させたとしても、液晶表示部17がデジタル調数値表示の場合には数値変化は指数的であるので、表示のちらつきが生じて直感的な視認性が低下する。
一方、アナログ調目盛表示であれば、目盛位置は非線形に配置されているので、違和感少なく視認することができる。よって、フォーカスレンズ11aの駆動速度が所定の速度(つまり、一定)の場合にはアナログ調目盛表示の方が視認性がよい場合がある。
このため、外部装置電気接点64を介してパワーフォーカスアダプター6が取り付けられたと判定した場合には、レンズシステム制御部12は液晶表示部17をアナログ調目盛表示に切り替えるようにしてもよい。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係るカメラの一例について説明する。
図13は、本発明の第5の実施形態に係るカメラの一例を破断してその内部を示す図である。なお、図13において、図1に示すカメラと同一の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
また、図14は、図13に示すカメラの制御系の一例を示すブロック図である。
図13および図14を参照して、図示のカメラでは、撮影レンズ1とカメラボディ2との間に着脱可能なエクステンションチューブ7が配置されている。図13において斜線で示すエクステンションチューブ7は中空構造であり、撮影レンズ1を通過した光学像はエクステンションチューブ7によって遮られることなく、ミラーユニット23又は撮像素子22に達する。
エクステンションチューブ7を取り付けることによって撮影レンズ1の結像位置がレンズ側(図13において左側)に移動する。この結果、撮影レンズ1においてピント位置を合わせることができる最短至近距離を短くすることができる。
さらに、エクステンションチューブ7には導通部71が備えられている。導通部71はカメラボディ2側の電気接点27aと撮影レンズ1側の電気接点27bとの双方に電気的に接続される。これによって、レンズシステム制御部12とカメラシステム制御部21との通信が可能となる。
さらに、レンズシステム制御部12は電気接点27bを介してエクステンションチューブ7が取り付けられたか否かを検出する。例えば、電気接点27bに複数の結線を備える。そして、カメラボディ2に撮影レンズ1が直接取り付けられている場合には全ての結線が導通し、エクステンションチューブ7が取り付けられると、一部の結線が導通しなくなるようにする。
なお、エクステンションチューブ7に備えられた導通部71の抵抗値に応じた電圧の変化を検出して、エクステンションチューブ7が取り付けられたか否かを検出するようにしてもよい。
ここで、図示のカメラにおける液晶表示部17の表示の制御について説明する。
撮影レンズ1とカメラボディ2との間にエクステンションチューブ7が配置された場合には、前述のように、撮影レンズ1において撮像光学系11の結像位置が移動する。その結果、ピント位置の移動可能範囲における至近側の端である最短至近距離が短くなる。さらに、ピント位置の移動可能範囲におけるもう一方の端が無限遠であったが有限距離に変化する。
よって、エクステンションチューブ7が取り付けられた場合には、液晶表示部17の表示を変更する必要がある。エクステンションチューブ7はピント位置を合わせることができる最短至近距離を短くできるので、一般的に至近撮影、所謂マクロ撮影を行う際に取り付けられことが多い。
マクロ撮影の際に、撮影者が操作リング16を操作してピント位置を調整する場合には、フォーカスレンズ11aを微小駆動させつつ調整を行うことが多い。この場合には、液晶表示部17には常にデジタル調数値表示を行う方が撮影者にとっては視認性がよい。
このため、レンズシステム制御部12はエクステンションチューブ71が取り付けられたと判定すると、液晶表示部17をデジタル調数値表示に切り替える。これによって、エクステンションチューブ71が取り付けられた場合には、撮影者にとって視認性がよい表示を行うことができる。
なお、上述の例では、エクステンションチューブ71の取り付けを、電気接点27bを介して電気的に行うとした。一方、カメラボディ2に備えられた画像表示部25を見て操作部26によってエクステンションチューブ71の接続の有無を入力するようにしてもよい。エクステンションチューブ71が接続された際には、操作部26の操作に応じて、エクステンションチューブ71の接続状態情報がカメラシステム制御部21からレンズシステム制御部12に送られる。そして、レンズシステム制御部12は接続状態情報に応じてエクステンションチューブ71の接続を知る。
エクステンションチューブ71の他の外部撮像光学系変更装置として、例えば、マウントアダプターがある。マウントアダプターはマウント形状およびフランジバックが異なるカメラボディに撮影レンズを取り付ける際に用いられる。そして、マウントアダプターはカメラボディと撮影レンズとの間に配置される。
図15は、マウントアダプターが取り付けられたカメラの一例を破断してその内部を示す図である。
図15においては、カメラボディが図1に示すカメラボディと異なり、所謂ミラーレスカメラボディ200である。ミラーレスカメラボディ200はミラーユニット23およびファインダ光学系28が備えられておらず、そのフランジバックがカメラボディ2よりも短くマウント径がカメラボディ2と異なる。
このため、マウントアダプター8を撮影レンズ1とミラーレスカメラボディ200との間に配置して撮影レンズ1をマウントアダプター8に対して着脱可能とする。この場合、マウントアダプター8によってミラーレスカメラボディ200のフランジバックをカメラボディ2と一致するようにしている。
マウントアダプター8には導通部81が備えられている。導通部81はカメラボディ2側の電気接点27aと撮影レンズ1側の電気接点27bとの双方に電気的に接続される。
ところが、マウントアダプター8を用いると、マウント径およびフランジバックなどの規格が異なるカメラボディに撮影レンズ1を取り付けることができるものの、次のような問題が発生する。
カメラボディの規格が異なるので、レンズシステム制御部12が撮像素子のサイズおよび画素ピッチに係る情報を得られないことがある。この場合には、レンズシステム制御部12は当該情報に応じて被写界深度を正確に求めることができないことがある。
このような場合、液晶表示部17の表示がデジタル調数値表示であって、図5(b)に示すように被写界深度を表示していると、実際の被写界深度と表示された被写界深度とが合致しない。この結果、撮影者の意図とは異なるピント状態に陥ることがあって操作性が低下してしまう。
一方、液晶表示部17の表示がアナログ調目盛表示の場合には、被写界深度の表示は大まかな表示であるので、撮影者には実際の被写界深度と表示された被写界深度との誤差が認知されにくく操作性の低下が少ない。
さらに、マウントアダプター8自体の光軸方向の長さ、つまり、装着した際のフランジバックの変化量が不明である場合にも正確なピント位置および被写界深度を算出することができず上述の問題が生じる。
このため、マウントアダプター8および撮像素子における画素ピッチなどを含む光学系情報が得られない場合には、液晶表示部17をアナログ調目盛表示に切り替えるようにしてもよい。このようにすることによって、撮影者は実際のピント位置および被写界深度と液晶表示部17の表示との間に誤差があっても、誤差が認識されずに操作性の低下を防ぐことができる。
このように、本発明の第5の実施形態では、撮影レンズとカメラボディとの間に外部撮像光学系変更装置が装着された場合においても、レンズ光学系に係る情報について表示の際の視認性を向上させることができる。
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法をレンズ鏡筒に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、当該制御プログラムをレンズ鏡筒が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。