JP2019074452A - 薄膜ひずみセンサ材料および薄膜ひずみセンサ - Google Patents

薄膜ひずみセンサ材料および薄膜ひずみセンサ Download PDF

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【課題】垂直配置におけるゲージ率がほぼゼロで、平行配置におけるゲージ率が大きい薄膜ひずみセンサ材料および薄膜ひずみセンサを提供する。【解決手段】一般式Cr100−xMxで表される薄膜ひずみセンサ材料であって、その材料のネール温度の高温側において、その材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第2元素Mを添加する。第2元素MがNiの場合は、組成比xが原子%で5≦x≦22であり、第2元素MがFeの場合は、組成比xが原子%で17≦x≦28である。【選択図】図2

Description

本発明は、薄膜ひずみセンサ材料および薄膜ひずみセンサに関する。
ひずみセンサは、物体に生じるひずみを計測する素子等のことであり、ひずみゲージとも呼ばれる。一般に、ひずみゲージがその正規の測定方向であるゲージ軸(主たる受感部の電流の流れる方向)に対し垂直方向に持つ感度を横感度といい、その横感度は、ゲージ軸をひずみ方向と一致させて測定した時の感度である主軸感度(縦感度)の2〜3%以下と報告されている(非特許文献1、2)。したがって、従来の一般的なひずみゲージは、ゲージ軸と垂直方向のひずみにともなう出力をほとんど生じることがない。
その特長を利用して、2アクティブ4ゲージ式ホィートストンブリッジ回路構成をなす場合に、アクティブゲージの近傍にそのゲージ方向(=ひずみ方向)と垂直にダミーゲージを形成する方法がとられる。この方法は、近年薄膜ひずみセンサで多用されている。ダミーゲージをアクティブゲージの近傍に配置するのは、成膜領域の制限を含めて他に場所がないため、配線を短くしてそこで拾うノイズを減少させるため、温度分布の影響を低減させるため等の理由による。上記ブリッジ回路における2つのダミーゲージはひずみに対して垂直方向を向いているため、そのひずみによる抵抗変化をほとんど生じることがなくダミーとしての役割を果たすことができる。
しかし、実際は、測定対象とするひずみによって、そのひずみ方向に垂直な方向(横方向)に対象計測物質のポアソン比に基づく変形が生じ、その方向にひずみ(横ひずみ)が発生する。するとその横ひずみの方向はダミーゲージのゲージ軸と一致するため、その主軸感度で出力が発生することになり、ブリッジ出力にロスを生じさせる。すなわち、ダミーとしての機能が不十分となる。また、複数の単軸ひずみゲージを異なる方向に向けて重ねて、または並べて一つのゲージ素子とした多軸(ロゼット)ひずみゲージの場合や、多軸の力学量検知のために一群のひずみゲージを配置した場合などにおいても、横ひずみが他軸干渉などの雑音成分の原因となる場合がある。
後述する図1の垂直配置試料のように、測定対象であるひずみに対して垂直方向に配置したひずみゲージとして、例えばCuNi合金箔からなる市販のストレインゲージ(ひずみゲージ)の場合、その出力値は、みかけのゲージ率として−0.4と報告されている(特許文献1)。その値は、本来の計測対象であるひずみの方向(ひずみ印加方向)とゲージの主軸方向を一致させた時のゲージ率2.1に対しては負の少し小さい値ではあるが、横感度よりも10倍ほども大きく、問題となる。
また、ゲージ率が大きくひずみゲージとして適した材料としてCr薄膜およびCr−N薄膜が知られているが(特許文献2、3)、これらは横感度も大きいことが知られている(特許文献1)。従来の一般のひずみゲージは横感度がほとんど無いことから、指向性を持ち、多軸応力場でのひずみの大きさと方向を特定することが可能になるのに対し、Cr薄膜やCr−N薄膜を用いたひずみセンサは感度がほぼ等方的であり、設置したゲージ軸の方向によらず、全ての方向のひずみの影響を受ける。そのため、ひずみ方向の特定ならびに多軸ひずみゲージを成すことなどができない。
一方、特許文献4では、従来のPd−Cr合金およびNi−Cr−Al合金には、それぞれ抵抗温度係数が大きいこと、およびひずみ感度(縦方向)が小さく横感度が大きいという課題があり、この課題を解決するために、従来と異なる組成のPd−Cr合金(Cr含有量:14〜25質量%)を提案しており、その組成のPd−Cr合金において横感度が−0.3〜0.3、ひずみ感度(ゲージ率)が1.75〜1.83、TCRが39〜60ppm/℃と、抵抗温度係数が小さく、横感度が小さく、縦方向のひずみ感度が大きい、従来よりも優れた特性のひずみセンサが得られるとしている。なお、特許文献4において横感度としている値は、純粋な横感度ではなく、横方向、すなわち縦方向に対して垂直方向にひずみゲージを配置(垂直配置)した場合に得られる見かけのゲージ率を表していると思われる。
しかし、特許文献4では、垂直配置の場合のゲージ率をゼロとすることは実現できているものの、縦方向の感度、すなわちひずみ方向と平行に配置した場合のゲージ率が約1.8と、一般的な市販のストレインゲージ(ひずみゲージ)の2.1よりもさらに小さな値となっている。多軸、高精度、および高速応答などの計測においては、横感度や垂直配置の感度が無視できず、また、より大きな平行配置のゲージ率が求められる。
特開2014−035239号公報 特開平10−270201号公報 特開2015−031633号公報 特開2013−217763号公報
高橋賞,河井正安:「ひずみゲージによるひずみ測定入門」,大成社,pp.46〜47(2007) 菅野昭,高橋賞,吉野利男:「応力ひずみ解析」,朝倉書店,p.31(1986)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、垂直配置におけるゲージ率がほぼゼロで、平行配置におけるゲージ率が大きい薄膜ひずみセンサ材料および薄膜ひずみセンサを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、所定の組成を有するCr−Ni薄膜に代表されるCr基薄膜またはCr−N基薄膜を用いることにより、垂直配置におけるゲージ率がほぼゼロで、平行配置におけるゲージ率が大きい薄膜ひずみセンサが得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)一般式Cr100−xで表される薄膜ひずみセンサ材料であって、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第2元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ材料。
(2)一般式(Cr100−x100−yで表される薄膜ひずみセンサ材料であって、組成比yは、原子%で0.0001≦y≦30の範囲であり、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第3元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ材料。
(3)前記第2元素MがNiであり、組成比xが原子%で5≦x≦22であることを特徴とする上記(1)に記載の薄膜ひずみセンサ材料。
(4)前記第2元素MがFeであり、組成比xが原子%で17≦x≦28であることを特徴とする上記(1)に記載の薄膜ひずみセンサ材料。
(5)一般式Cr100−xで表される材料の薄膜を受感部として有する薄膜ひずみセンサであって、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第2元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ。
(6)一般式(Cr100−x100−yで表される材料の薄膜を受感部として有する薄膜ひずみセンサであって、組成比yは、原子%で0.0001≦y≦30の範囲であり、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第3元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ。
(7)前記第2元素MがNiであり、組成比xが原子%で5≦x≦22であることを特徴とする上記(5)に記載の薄膜ひずみセンサ。
(8)前記第2元素MがFeであり、組成比xが原子%で17≦x≦28であることを特徴とする上記(5)に記載の薄膜ひずみセンサ。
本発明によれば、垂直配置におけるゲージ率がほぼゼロで、平行配置におけるゲージ率が大きい薄膜ひずみセンサ材料および薄膜ひずみセンサが提供される。
薄膜素子パターンにおける平行配置試料と垂直配置試料について説明するための図である。 Cr−Ni薄膜におけるNi添加量と、平行配置のゲージ率および垂直配置のゲージ率との関係を示す図である。 Cr−Fe薄膜におけるFe添加量と、平行配置のゲージ率および垂直配置のゲージ率との関係を示す図である。 Cr薄膜における温度とゲージ率の関係および温度と抵抗値の関係を示す図である。 非特許文献3の40ページに記載された図である。 非特許文献3の39ページに記載された図である。 Cr−Ni薄膜のNi量と抵抗温度係数(TCR)との関係を示す図である。 Cr−Ni薄膜のNi量と感度温度係数(TCS)との関係を示す図である。 Cr−Fe薄膜のFe量と感度温度係数(TCS)との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
最初に、以下の説明において、薄膜素子パターンにおける平行配置試料と垂直配置試料について図1を参照して説明する。図1はI字型試料であり、平行配置試料は、薄膜素子パターンの方向をひずみ印加方向に一致させた場合であり、垂直配置試料は、薄膜素子パターンの方向をひずみ印加方向と垂直にした場合である。平行配置試料のゲージ率(平行配置におけるゲージ率)が主軸方向のゲージ率であり、垂直配置試料のゲージ率(垂直配置におけるゲージ率)が横感度に関係するゲージ率である。
本発明者は、垂直配置におけるゲージ率がほぼゼロで、平行配置におけるゲージ率が大きい薄膜ひずみセンサ材料を得るべく、種々のCr基合金薄膜について検討した。その結果、Cr−Ni薄膜およびCr−Fe薄膜において、それぞれ図2および図3の結果を得た。すなわち、Ni含有量が増加するに従い平行配置におけるゲージ率および垂直配置におけるゲージ率はともに低下し、Niが8.4at%で平行配置のゲージ率が約2.6で、垂直配置のゲージ率がゼロとなること、およびFeが20at%で平行配置のゲージ率が約3.3で、垂直配置のゲージ率がゼロとなることが初めて見出された。
一方、本発明者は、先に、Cr薄膜またはCr−N薄膜において、横感度は縦感度と同程度に正に大きな値を示すことを明らかにした(上記特許文献3)。また、本発明者は、さらに、高温域までのゲージ率の測定から、Cr薄膜の大きな平行配置のゲージ率は、反強磁性体にみられるネール温度の低温側に現れることを明らかにした(丹羽英二:「高温域のゲージ率に及ぼすCr薄膜への第2元素添加の影響」,電気学会フィジカルセンサ研究会試料,PHS−17−005(2017))。
これらの知見に基づいて、上記Cr−Ni薄膜およびCr−Fe薄膜の挙動を考察した内容を図4に基づいて説明する。図4は、Cr薄膜における温度とゲージ率の関係および温度と抵抗値の関係を示す図である。図4に示すように、Cr薄膜に関しては、ネール温度以下では反強磁性相になるためピエゾ抵抗効果が大きく作用して横感度も大きくなり、平行配置の場合だけでなく垂直配置の場合にもゲージ率は正の大きな値をとることになると考えられる。
一方、ネール温度以上では常磁性相であるためピエゾ抵抗効果は作用せず、ゆえに横感度はほぼゼロとなり、ゲージ率は形状効果のみが作用してポアソン比による負の小さな値をとると考えられる。すると、両者の遷移領域、すなわちネール温度近傍では垂直配置のゲージ率がゼロになる温度があることになると考えた。そして、その時の平行配置のゲージ率はCr−Ni薄膜およびCr−Fe薄膜においては2よりも大きいことを確認した。なお、図4中、測定温度に対するCr薄膜のゲージ率および抵抗値は実測値を用いた。
また、非特許文献3(E.Fawcett et al.:"Spin-density-wave antiferromagnetism in chromium alloys", Rev. Mod. Phys., 66(1),(1994))の40ページに記載された図を図5に示し、39ページに記載された図を図6に示すが、これらの図に示す通り、Crに第2元素Mを添加した薄膜の場合、添加する第2元素Mの種類と量によって、薄膜のネール温度を高温側または低温側へ変化させることが可能であることがわかる。具体的には、第2元素MがMn、Os、Ir、Pt、Ru、Rh、Ge、As、Sn、Ga、Sb、Re等のときはネール温度を高温側に変化させることができ、第2元素MがAu、Fe、Co、Mo、W、Ti、Ni、V、Er、Yb、Be、Si等のときは、ネール温度を低温側に変化させることができる。また、第2元素MがAlのときは、その量によって低温側にも高温側にも変化させることができる。
これら図5、6のデータ、および上記考察結果から、第2元素Mの種類および量を調整することによって、任意の温度で垂直配置のゲージ率がゼロ近傍(0から±0.3以内)の特性を現出させることができることが見出された。
上記図2および図3において、Cr−Ni薄膜およびCr−Fe薄膜では、室温のゲージ率が平行配置の場合でそれぞれ約2.6および3.3、垂直配置で0となる組成があることを確認した。Cr薄膜の170℃付近のネール温度(Crバルクのネール温度は35℃であるが、薄膜であるゆえにシフトしたものと思われる)がNiまたはFe添加によって低減し、室温近傍にシフトした結果と考えられる。ネール温度を減少させるNi、Fe以外の元素でも同様の結果を得ることができ、逆に、ネール温度を上昇させる元素では、より高温において同様の特性を得ることができる。
NiおよびFe以外の種々の元素を用いた実験結果も、上記考察結果とよく整合し、現象を論理的に説明することができた。
本発明は、これら多数の実験結果と、本発明者がこれまで積み重ねた経験とに基づくものであり、一般式Cr100−xで表され、当該材料のネール温度近傍、かつ、ネール温度の高温側において、その材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合に、そのゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第2元素Mを添加する薄膜ひずみセンサ材料、およびその材料の薄膜を受感部として有する薄膜ひずみセンサを提供するものである。これにより、平行配置のゲージ率が大きく、かつ垂直配置のゲージ率がほぼゼロになる薄膜ひずみセンサを得ることができる。
第2元素Mとしては、上述したMn、Os、Ir、Pt、Ru、Rh、Ge、As、Sn、Ga、Sb、Re、Au、Fe、Co、Mo、W、Ti、Ni、V、Er、Yb、Be、Si、Al等を用いることができる。組成比xを原子%で0≦x≦30の範囲としたのは、この範囲を超えると、主軸方向の感度が小さくなってしまうからである。また、垂直配置におけるゲージ率を0±0.3以内としたのは、この範囲を外れると、他軸干渉等の雑音成分が顕著になってしまうからである。なお、Crと第2元素M以外の不可避不純物は許容される。
第2元素MがNiの場合、図2にも示すように、Ni含有量(組成比x)が5〜22at%の範囲において平行配置のゲージ率が2.1以上と大きく、かつ垂直配置のゲージ率がほぼゼロになる。したがって、第2元素MがNiの場合は、組成比xは5〜22at%の範囲が好ましい。より好ましくは、6.8〜10原子%の範囲である。
Cr−Ni薄膜において、上記Ni含有量における抵抗温度係数(TCR)は、図7に示すように、約500ppm/℃と大きい。しかし、ブリッジの4素子を狭い領域内に形成することでブリッジ内の温度差を生じなくさせることが可能であり、それによってTCRが大きい点は問題とならなくなる。
一方、感度温度係数(TCS)(ゲージ率の温度による変化の度合い)は、そのような補償方法がなく、その値自体が小さいことが重要である。Cr−Ni薄膜のTCSは、図8に示すように約400ppm/℃と小さく良好である。
また、第2元素MがFeの場合、図3に示すように、Fe含有量(組成比x)17〜28at%において、平行配置のゲージ率が3.3以上と大きく、かつ垂直配置のゲージ率がほぼゼロになる。そのFe含有量におけるTCSは、図9に示すようにほぼゼロ(<±500ppm/℃)と非常に良好である。したがって、第2元素MがFeの場合は、組成比xは17〜28at%の範囲が好ましい。より好ましくは、17〜23原子%の範囲である。
なお、上記特許文献4では、TCSについて言及されていない。
以上はCrをベースとして第2元素を添加した薄膜について説明したが、特許文献2に示すように、Cr−N薄膜もCr薄膜と同様に大きなゲージ率を有し、Cr−Nをベースとして、Crに添加する上記第2元素を、それと等価な第3元素として用いることにより、Crをベースとして第2元素を添加した場合と全く同様の添加量による調整を行うことができ、また同様の結果を得ることができる。
ここで、Cr−Nをベースとした場合は、薄膜ひずみセンサ材料は、一般式(Cr100−x100−yで表すことができ、第3元素Mの添加量xは、同様に原子%で0≦x≦30の範囲であり、Nの添加量yは、上記特許文献2と同様、0.0001≦y≦30の範囲である。
Nを添加してCr−Nをベースとすることにより、Nを添加しない場合よりもゲージ率は少し減少することはあるが、N量および熱処理温度によってTCRの調整が可能となり、TCSだけでなくTCRもほぼ0の薄膜ひずみセンサを得ることができる。組成比yを原子%で0.0001≦y≦30の範囲としたのは、この範囲を外れると、TCRの値が絶対値で大きくなってしまうからである。
以上のように、本発明により、平行配置による一般的なひずみ感度を示すゲージ率が2.1以上、垂直配置の場合のみかけのゲージ率が0±0.3以内の薄膜ひずみセンサを得ることができる。また同時に、TCSが0±500ppm/℃以内の優れた特性を得ることが可能となる。

Claims (8)

  1. 一般式Cr100−xで表される薄膜ひずみセンサ材料であって、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第2元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ材料。
  2. 一般式(Cr100−x100−yで表される薄膜ひずみセンサ材料であって、組成比yは、原子%で0.0001≦y≦30の範囲であり、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第3元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ材料。
  3. 前記第2元素MがNiであり、組成比xが原子%で5≦x≦22であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜ひずみセンサ材料。
  4. 前記第2元素MがFeであり、組成比xが原子%で17≦x≦28であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜ひずみセンサ材料。
  5. 一般式Cr100−xで表される材料の薄膜を受感部として有する薄膜ひずみセンサであって、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第2元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ。
  6. 一般式(Cr100−x100−yで表される材料の薄膜を受感部として有する薄膜ひずみセンサであって、組成比yは、原子%で0.0001≦y≦30の範囲であり、前記材料のネール温度の高温側において、前記材料の薄膜が測定対象のひずみの方向に垂直な方向に配置された場合のゲージ率が0±0.3以内となるように、組成比xが原子%で0≦x≦30の範囲で第3元素Mを添加することを特徴とする薄膜ひずみセンサ。
  7. 前記第2元素MがNiであり、組成比xが原子%で5≦x≦22であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜ひずみセンサ。
  8. 前記第2元素MがFeであり、組成比xが原子%で17≦x≦28であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜ひずみセンサ。
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