JP2019073991A - 多気筒エンジンの冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】多気筒エンジンのシリンダブロック1のウォータジャケット7内にウォータジャケットスペーサ11を収容する場合に、該エンジンの燃焼室の冷却性能の確保と保温性能の確保との両立を図る。【解決手段】ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12において、隣り合うシリンダボア間に対応する位置に、周壁部12の内側に位置する内側流路7bと周壁部12の外側に位置する外側流路7cとを連通する連通孔19が形成され、周壁部12の内側流路7b側の面における、連通孔19の反シリンダヘッド35側の部分に、外側流路7cから連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液の少なくとも一部を、シリンダヘッド35側へ流れ易くするための、内側流路7bに突出した突出部20が設けられている。【選択図】図11

Description

本発明は、多気筒エンジンの冷却構造に関する技術分野に属する。
従来より、多気筒エンジンの冷却構造として、シリンダブロックに複数のシリンダボア(複数のシリンダボア壁)の周囲を囲むようにウォータジャケットを形成し、このウォータジャケットにウォータポンプから圧送された冷却液を導入してエンジンを冷却する構造が知られている。
また、冷却性能の向上等を目的として、例えば特許文献1に開示されるように、上記ウォータジャケット内に、該ウォータジャケットの内部空間を区画するウォータジャケットスペーサを収容することが知られている。この特許文献1のウォータジャケットスペーサには、隣り合うシリンダボア間に対応する位置において、ウォータジャケットにおけるウォータジャケットスペーサの外側部分と内側部分とを連通する複数の導入孔が形成されている。そして、ウォータポンプから圧送された冷却液は、まず、ウォータジャケットの上記外側部分に流入し、その冷却液の一部が、上記導入孔を通過することで上記内側部分に流入するようになっている。このような構成により、高温となり易い、シリンダブロック(シリンダボア壁)のシリンダボア間の部分を効果的に冷却するようにしている。
特開2015−224627号公報
ところで、ディーゼルエンジンを初めとする圧縮着火式エンジンでは、安定して燃料を圧縮着火させるための環境を確保するため、つまり、エンジンの燃焼室の温度を圧縮着火可能な温度に維持するために、燃焼室を保温する必要がある。一方、エンジンの、特に高負荷運転時には、燃焼室の冷却が必要となる。
そこで、上記特許文献1のように、ウォータジャケットスペーサによって、ウォータジャケット内に、ウォータジャケットスペーサの内側に位置する内側流路と、ウォータジャケットスペーサの外側に位置する外側流路とを形成するとともに、ウォータジャケットスペーサに、上記内側流路と上記外側流路とを連通する連通孔を形成することが考えられる。そして、ウォータポンプから圧送された冷却液を外側流路に流入させ、その冷却液の一部を、上記導入孔を通過することで内側流路に流入させる。この場合、上記内側流路内では、新鮮な冷却液が内側流路全体に広がらないようにして燃焼室を保温しながら、連通孔を通過する新鮮な冷却液により、シリンダボア壁のシリンダボア間付近を冷却するようにすることが考えられる。
しかし、ウォータジャケットスペーサに単に連通孔を形成するだけでは、該連通孔を通過した冷却液の流れが安定せず、その流れによっては、新鮮な冷却液が内側流路全体に広がって、燃焼室の保温性能の確保が困難になる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃焼室の冷却性能の確保と保温性能の確保との両立を図ることが可能な、多気筒エンジンの冷却構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、複数のシリンダボアと該複数のシリンダボアの周囲を囲むウォータジャケットとが設けられ、シリンダボア軸方向の一側の面にシリンダヘッドが取り付けられるシリンダブロックと、該シリンダブロックのウォータジャケット内に収容され、上記複数のシリンダボアの周囲を囲む周壁部を有するウォータジャケットスペーサとを備えた多気筒エンジンの冷却構造を対象として、上記ウォータジャケットスペーサは、上記周壁部によって、上記ウォータジャケット内に、該周壁部の内側に位置する内側流路と、該周壁部の外側に位置する外側流路とが形成されるように構成され、上記シリンダブロックの外面には、上記外側流路に連通する、該外側流路への冷却液入口が設けられ、上記周壁部には、隣り合うシリンダボア間に対応する位置に、上記内側流路と上記外側流路とを連通する連通孔が形成されており、上記周壁部の内側流路側の面における、上記連通孔の反シリンダヘッド側の部分に、上記外側流路から該連通孔を通って上記内側流路に流入した冷却液の少なくとも一部を、シリンダヘッド側へ流れ易くするための、内側流路に突出した突出部が設けられている、という構成とした。
上記の構成により、冷却液が冷却液入口から外側流路に流入し、その冷却液の一部が連通孔を通って内側流路に流入する。その内側流路に流入した冷却液は、突出部のシリンダヘッド側の面に沿って、シリンダボア壁の隣り合うシリンダボア間の部分(くびれ部)に向かって流れ易くなり、シリンダボア壁のくびれ部に当たり易くなる。しかも、連通孔を通って内側流路に流入した冷却液の少なくとも一部は、突出部によってシリンダヘッド側へ流れ易くされているので、シリンダボア壁のくびれ部に当たった後は、基本的に、シリンダヘッド側へと流れることになり、そのシリンダヘッド側へ流れる冷却液により、シリンダボア壁のくびれ部のうち、特に高温となる、シリンダヘッド側の部分を冷却することができるようになる。
また、連通孔を通って内側流路に流入した冷却液のうち、反シリンダヘッド側へ流れる冷却液の量が、突出部によって少なくなることから、内側流路内においては、突出部よりも反シリンダヘッド側で、新鮮な冷却液が流れ難く、冷却液が淀んだ状態となっている。この結果、多気筒エンジンの燃焼室の保温性能を確保することができる。
したがって、シリンダボア壁のくびれ部のシリンダヘッド側の部分を効果的に冷却して多気筒エンジンの燃焼室の冷却性能を確保することができるとともに、内側流路の冷却液により燃焼室の保温性能を確保することができる。
上記多気筒エンジンの冷却構造において、上記連通孔は、上記周壁部におけるシリンダヘッド側の端部近傍に形成されており、上記突出部は、該突出部のシリンダヘッド側の面が、上記連通孔の内周面における反シリンダヘッド側の部分に連続するように形成されている、ことが好ましい。
このことにより、突出部のシリンダヘッド側の面が、連通孔の内周面における反シリンダヘッド側の部分に連続していることで、連通孔を通って内側流路に流入した冷却液が、シリンダボア壁のくびれ部に向かってより一層流れ易くなる。また、連通孔が周壁部におけるシリンダヘッド側の端部近傍に形成されているので、シリンダボア壁のくびれ部のうち、特に高温となる、シリンダヘッド側の端部及びその近傍を効果的に冷却することができるようになる。また、内側流路におけるシリンダヘッド側の端部を除く部分には、冷却液を淀んだ状態で溜めておくことができ、この結果、多気筒エンジンの燃焼室の保温性能をより一層確保し易くなる。
上記多気筒エンジンの冷却構造において、上記突出部のシリンダヘッド側の面が、突出先端側ほどシリンダヘッド側に位置するように傾斜している、ことが好ましい。
このことで、連通孔を通って内側流路に流入した冷却液が、突出部によって、シリンダヘッド側へより一層流れ易くなる。よって、多気筒エンジンの燃焼室の冷却性能の確保と保温性能の確保との両立をより一層図り易くなる。
上記多気筒エンジンの冷却構造において、上記ウォータジャケットスペーサは、樹脂製であり、上記突出部における少なくとも突出先端側の部分が、上記ウォータジャケットスペーサの成形時のゲートのカットにより残ったゲート残り部により形成されている、ことが好ましい。
このことにより、突出部をゲートとは別個に形成する場合に比べて、突出部を容易にかつ効率良く形成することができるとともに、ゲート残り量を小さくする必要がなくなる。よって、ウォータジャケットスペーサを容易に製造することができる。
上記多気筒エンジンの冷却構造の一実施形態において、上記ウォータジャケットの内側の側壁面は、隣り合うシリンダボア間のシリンダヘッド側の部分に、その反シリンダヘッド側の部分よりも壁内側に凹んだ追い込み部を有し、上記突出部は、該突出部の先端部が上記追い込み部に入り込むように、上記周壁部の内側流路側の面に設けられている。
すなわち、ウォータジャケットの内側の側壁面(シリンダボア壁の外側側面)が追い込み部を有していない場合には、隣り合うシリンダボア間に対応する位置において、ウォータジャケットスペーサの周壁部における突出部よりも反シリンダヘッド側の部分とウォータジャケットの内側の側壁面との間の隙間が、突出部の突出量の分だけ大きくなる。これに対して、ウォータジャケットの内側の側壁面が追い込み部を有している場合には、ウォータジャケットスペーサの周壁部における突出部よりも反シリンダヘッド側の部分とウォータジャケットの内側の側壁面における追い込み部よりも反シリンダヘッド側の部分との間の隙間を、突出部の突出量に関係なく小さくすることができる。したがって、内側流路内の冷却液の量が無駄に多くなるのを抑制することができる。
また、突出部の突出量の誤差が大きくても、突出部がウォータジャケットの内側の側壁面に干渉しないようにすることができ、この結果、ウォータジャケットスペーサを容易に製造することができる。
以上説明したように、本発明の多気筒エンジンの冷却構造によると、多気筒エンジンのシリンダブロックのウォータジャケット内に収容されたウォータジャケットスペーサの周壁部において、隣り合うシリンダボア間に対応する位置に、周壁部の内側に位置する内側流路と周壁部の外側に位置する外側流路とを連通する連通孔が形成され、上記周壁部の内側流路側の面における、連通孔の反シリンダヘッド側の部分に、外側流路から該連通孔を通って内側流路に流入した冷却液の少なくとも一部を、シリンダヘッド側へ流れ易くするための、内側流路に突出した突出部が設けられていることにより、多気筒エンジンの燃焼室の冷却性能の確保と保温性能の確保との両立を図ることができるようになる。
本発明の実施形態に係る冷却構造が適用された多気筒エンジンのシリンダブロックを、ブロックウォータジャケットにウォータジャケットスペーサを収容した状態で示す斜視図である。 図1の、ブロックウォータジャケットにウォータジャケットスペーサが収容されたシリンダブロックの平面図である。 図2のIII−III線に沿って切断した断面斜視図である。 ウォータジャケットスペーサを示す斜視図である。 ウォータジャケットスペーサを反変速機側から見た図である。 ウォータジャケットスペーサを排気側から見た図である。 ウォータジャケットスペーサを変速機側から見た図である。 ウォータジャケットスペーサを吸気側から見た図である。 シリンダボア壁のくびれ部及びブロックウォータジャケットの内側湾曲部を拡大して示す拡大平面図である。 図2のX−X線断面図である。 図10のXI部分を拡大して示す拡大断面図である。 ゲート(ブリッジ)をカットする前のウォータジャケットスペーサを示す斜視図である。 変形例に係る図9相当図である。 変形例に係る図11相当図(図13のXIV−XIV線断面図)である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る冷却構造が適用された多気筒エンジン(以下、単にエンジンという)のシリンダブロック1を示す。本実施形態では、上記エンジンは、直列4気筒のディーゼルエンジンであり、シリンダブロック1には、一列に並ぶ4つのシリンダボア2と、各シリンダボア2の周囲を囲む筒状のシリンダボア壁2aとが設けられている。任意の隣り合うシリンダボア壁2a同士は一体的に連結されていて、シリンダブロック1は、サイアミーズ型のシリンダブロックと呼ばれる。シリンダボア壁2aにおける隣り合うシリンダボア2間の部分は、くびれている。
本実施形態では、上記エンジンは、車両前部のエンジンルーム内に、気筒列方向が車幅方向となりかつシリンダボア軸方向が上下方向となるように搭載される。図1の手前側及び図2の下側が、エンジンに対して吸気が導入される吸気側であり、図1の奥側及び図2の上側が、エンジンから排気が排出される排気側である。また、シリンダブロック1の車両左側(図2の右側)の端面には、変速機(図示せず)が取り付けられる。以下の説明では、上記エンジンが上記車両に搭載された状態にあるものとする。
本実施形態では、シリンダブロック1の吸気側の面における変速機側の部分に、寒冷地で使用されるブロックヒータ(図示せず)が乗員によって差し込まれるヒータ差し込み孔3が設けられている。
シリンダブロック1の上面(シリンダブロック1におけるシリンダボア軸方向の一側の面)には、ガスケット36を介してシリンダヘッド35が取り付けられる(図10参照)。シリンダブロック1の上面には、シリンダヘッド35をシリンダブロック1に取付固定するためのボルト(図示せず)が螺号する8つのねじ穴4が形成されている。
シリンダブロック1には、4つのシリンダボア2(4つのシリンダボア壁2a)の周囲を囲むブロックウォータジャケット7が設けられている。このブロックウォータジャケット7は、シリンダブロック1の上面に開口するように溝状に形成されている。この開口は、シリンダブロック1の上面にシリンダヘッド35がガスケット36を介して取り付けられたときに、該ガスケット36により閉塞される。
ブロックウォータジャケット7の内側の側壁は、シリンダボア壁2aで構成される。ブロックウォータジャケット7の内側の側壁面は、シリンダボア壁2aの外側側面となる。ブロックウォータジャケット7は、シリンダボア壁2aにおける隣り合うシリンダボア2間の吸気側及び排気側の部分に対応して、4つのシリンダボア2の中心線を全て含む仮想の中央平面に近づくように内側に湾曲している。以下、シリンダボア壁2aにおける隣り合うシリンダボア2間の吸気側及び排気側の部分それぞれを、くびれ部2bという。本実施形態では、シリンダボア壁2aに6つのくびれ部2bが設けられていることになる。
ブロックウォータジャケット7には、吸気側かつ反変速機側の部分に、該ブロックウォータジャケット7内に冷却液を導入するための冷却液導入部7aが設けられている。
シリンダブロック1の吸気側の側面における反変速機側の部分には、ブロックウォータジャケット7に冷却液(エンジン冷却水)を流入させるための冷却液入口8が設けられている。この冷却液入口8は、シリンダブロック1の吸気側の側壁部に設けられた断面矩形状の連通路9(図3参照)を介して、冷却液導入部7aと連通している。これにより、冷却液入口8は、ブロックウォータジャケット7(詳細には、後述の外側流路7c)に連通していることになる。冷却液入口8は、不図示のウォータポンプの吐出口と接続される。これにより、ウォータポンプの吐出口から吐出された冷却液が、冷却液入口8及び連通路9を介して冷却液導入部7aに導入され、冷却液導入部7aからブロックウォータジャケット7(詳細には、後述の外側流路7c)に流入する。
図3に示すように、連通路9は、ブロックウォータジャケット7の外側の側壁面(詳細には、冷却液導入部7aの側壁面)に開口している。この開口の下面は、冷却液導入部7aの底面よりも高い高さ位置にあり、該開口の下面と冷却液導入部7aの底面との間に段差が生じている。この段差は、シリンダブロック1を鋳造する際の連通路9用の型(冷却液入口8側に型抜きされる)とブロックウォータジャケット7用の型(上側に型抜きされる)との型抜きの関係で生じるものである。
図4〜図11に示すように、ブロックウォータジャケット7内には、4つのシリンダボア2(4つのシリンダボア壁2a)の周囲を囲む周壁部12を有する筒状のウォータジャケットスペーサ11が収容されている。このウォータジャケットスペーサ11は、樹脂製のものである。周壁部12の高さ(シリンダボア軸方向の長さ)は、ブロックウォータジャケット7の溝深さ(シリンダボア軸方向の長さ)と略同じにされている。
ウォータジャケットスペーサ11は、該ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12によって、ウォータジャケット7内に、周壁部12の内側(シリンダボア壁2aの側)に位置する内側流路7bと、周壁部12の外側(シリンダボア壁2aとは反対側)に位置する外側流路7cとが形成されるように構成されている(特に図10参照)。内側流路7bの幅(周壁部12の内側の面とウォータジャケット7の内側の側壁面との間の距離)は、外側流路7cの幅(周壁部12の外側の面とウォータジャケット7の外側の側壁面との間の距離)よりも小さくされている。ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12は、シリンダボア壁2aの6つのくびれ部2bにそれぞれ対応して、ウォータジャケット7と同様に、上記中央平面に近づくように内側に湾曲した6つの内側湾曲部13を有している。
ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12の下端部における冷却液導入部7aに対応する部分には、冷却液導入部7aの底面の上側を覆うように延びる延設部14が設けられている。この延設部14の上面は、連通路9の上記開口の下面と同じ高さ位置にあり、この延設部14により上記段差をなくすようにしている。仮に上記段差を残したままにしておくと、該段差によって、連通路9から冷却液導入部7aに導入された冷却液の流れが乱れることになるが、延設部14により上記段差をなくすことで、冷却液の流れが乱れるのを抑制することができる。
冷却液導入部7aは、平面視で、変速機側に向かって排気側に傾斜して延びている。この冷却液導入部7aの下流端が、外側流路7cにおける反変速機側の部分に接続されている。このことで、冷却液入口8は、外側流路7cへの冷却液入口であって、外側流路7cにおける反変速機側の部分に連通することになる。冷却液導入部7aの上記傾斜により、図4及び図5に示すように、冷却液導入部7aから外側流路7cに流入した冷却液の大部分は、ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12の反変速機側の部分における外側の面に沿って排気側に向かって流れる。残りの冷却液は、周壁部12における吸気側の部分における外側の面に沿って変速機側に向かって流れる(図4及び図5の矢印参照)。
図示は省略するが、シリンダヘッド35及びガスケット36における反変速機側の端部には、外側流路7cの反変速機側の部分を流れる冷却液を、シリンダヘッド35のヘッドウォータジャケット35a(図10参照)に流入させるための流入孔が形成されている。シリンダヘッド35及びガスケット36の流入孔は、外側流路7cの反変速機側の部分の上側に位置していて、互いに上下方向に連通した状態で、外側流路7cをヘッドウォータジャケット35aに連通させる。
冷却液導入部7aから外側流路7cに流入した直後の冷却液であって排気側に向かって流れようとする冷却液は、上記ウォータポンプの吐出口から吐出されたばかりの冷却液であるため、その流れが強く、上側にも勢いよく流れようとする。これにより、排気側に向かって流れようとする冷却液の一部は、上記流入孔を通って、気筒列方向に延びるヘッドウォータジャケット35aの反変速機側の端部に流入することになる。上記流入孔に流入しなかった冷却液は、外側流路7cを略一周するように、外側流路7cにおいて、反変速機側の部分、排気側の部分、変速機側の部分、及び、吸気側の部分を順に流れる(図6〜図8の矢印参照)。すなわち、冷却液入口8より外側流路7cに流入して該外側流路7cを流れる冷却液の経路は、基本的に、該外側流路7cにおける反変速機側の部分から排気側の部分及び変速機側の部分を順に通って吸気側の部分に流れるような経路とされており、外側流路7cを流れる冷却水は、平面視で、略U字状に流れることになる。
ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12の外側の面(外側流路7c側の面)には、外側流路7cの下流側ほど冷却液を上側に持ち上げるための冷却液案内スロープ15が突出形成されている。この冷却液案内スロープ15は、周壁部12の反変速機側の部分では、図5に示すように、上記延設部14の基端部から排気側に延びてその途中から排気側に向かって上側に傾斜し、周壁部12の排気側の部分では、図6に示すように、周壁部12の反変速機側の部分における冷却液案内スロープ15に連続するように、変速機側に向かって上側に傾斜し、周壁部12の変速機側の部分では、図7に示すように、周壁部12の排気側の部分における冷却液案内スロープ15に連続するように、吸気側に向かって上側に傾斜し、周壁部12の排気側の部分では、図8に示すように、周壁部12の変速機側の部分における冷却液案内スロープ15に連続するように、反変速機側に向かって上側に傾斜している。尚、周壁部12の排気側の部分における冷却液案内スロープ15は、反変速機側から2番目のシリンダボア2に対応する位置から反変速機側では、反変速機側に向かって下側に傾斜している。これは、冷却液導入部7aから外側流路7cに流入した、変速機側に向かって流れる冷却液を上側に持ち上げるためである(図8の右側に向かう矢印参照)。
外側流路7cを略一周した冷却液及び冷却液導入部7aから外側流路7cに流入しかつ変速機側に向かって流れた冷却液は、シリンダブロック1の吸気側の側壁面に設けられた冷却液出口5(図1参照)から不図示のオイルクーラへと流れるようになっている。
外側流路7cを流れる冷却液の一部は、後に詳細に説明するように、後述の6つの連通孔19を介して内側流路7bへと流れて、この内側流路7bから後述の6つのボア間流路31を通ってヘッドウォータジャケット35aに流入するようになっている。
上記流入孔からヘッドウォータジャケット35aに流入した冷却液は、ヘッドウォータジャケット35a内を反変速機側から変速機側へと流れ、その途中で、ボア間流路31を通ってヘッドウォータジャケット35aに流入した冷却液と合流する。こうして合流した冷却液は、シリンダヘッド35の変速機側の端面に設けられた流出口からシリンダヘッド35の外側へ流出する。この流出口から流出した冷却液、及び、上記オイルクーラを通過した冷却液は、ラジエータを通過した後、上記ウォータポンプの吸込み口に吸い込まれる。
ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12の外側の面における上端部には、周壁部12の外側に突出する(つまり外側流路7cに突出する)上側フランジ16が形成されている。この上側フランジ16は、周壁部12の周方向において、反変速機側の部分(上記流入孔に対応する部分)を除いた略全体に形成されている。この上側フランジ16により、外側流路7cを流れる冷却液が周壁部12の上端を超えて内側流路7bに流れ込むのを抑制している。
また、図5及び図6に示すように、周壁部12の外側の面における周方向の一部には、上側フランジ16に対して下側に所定間隔をあけて、上側フランジ16と略平行に周壁部12の周方向に延びる下側フランジ17が形成されている。この下側フランジ17は、周壁部12の周方向において、上記流入孔に対応する部分を除いて、外側流路7cの上流側に対応する部分に形成されている。すなわち、外側流路7cの上流側の部分では、上記のように、冷却液が上側にも勢いよく流れようとしているので、上側フランジ16と下側フランジ17との二重フランジにより、冷却液が周壁部12の上端を超えて内側流路7bに流れ込むのを抑制するようにしている。尚、下側フランジ17において後述の連通孔19の真下側となる部分には、冷却液が該連通孔19に流れるように、切込み17aが形成されている。
図4及び図8に示すように、周壁部12の吸気側の部分における変速機側かつ下側の部分には、ヒータ差し込み孔3に差し込まれた上記ブロックヒータとの干渉を避けるための切欠き部18が形成されている。
図4、図6、図8〜図11に示すように、ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12には、シリンダボア壁2aのくびれ部2bに対応する位置(つまり、内側湾曲部13)に、内側流路7bと外側流路7cとを連通する連通孔19(本実施形態では、全部で6つの連通孔19)が形成されている。これらの連通孔19は、周壁部12における上端近傍(シリンダヘッド35側の端部近傍)に形成されている。これらの連通孔19を介して、外側流路7cを流れる冷却液の一部が内側流路7bへと流れることになる。
各連通孔19は、縦長の断面矩形状に形成されている。すなわち、各連通孔19の上下方向の長さが、当該連通孔19の横幅(気筒列方向の長さ)よりも大きくされている。
図9〜図11に示すように、周壁部12の内側の面(内側流路7b側の面)における、各連通孔19の下側(反シリンダヘッド35側)の部分には、外側流路7cから連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液の少なくとも一部を、上側(シリンダヘッド35側)へ流れ易くするための、内側流路7bに突出した突出部20が設けられている。
本実施形態では、各突出部20の横幅(気筒列方向の長さ)は、対応する連通孔19の横幅よりも小さくされている。各突出部20の突出量は、出来る限り大きい量であって、製造誤差があっても突出部20の先端がウォータジャケット7の内側の側壁面(シリンダボア壁2aの外側側面)に当接しない量に設定されている。このため、各突出部20の突出先端とウォータジャケット7の内側の側壁面との間には、隙間が形成されるものの、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液がその隙間から下側へは流れ難くなっている。
本実施形態では、各突出部20は、該突出部20の上側の面が、対応する連通孔19の内周面における下側の部分と同一面であって、対応する連通孔19の内周面における下側の部分に連続するように形成されている。
また、本実施形態では、各突出部20の上側の面が、突出先端側ほど上側に位置するように傾斜した傾斜面20aとされている。上記のように、各突出部20の上側の面が、対応する連通孔19の内周面における下側の部分と同一面であるので、該部分は、各突出部20の上側の面と同じ角度で傾斜した(内側流路7b側ほど上側に位置するように傾斜した)下側傾斜面19aとされている。突出部20の傾斜面20a及び下側傾斜面19aによって、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液は、上側により一層流れ易くなる。
さらに、本実施形態では、各連通孔19の内周面における上側の部分が、内側流路7b側ほど下側に位置するように傾斜した上側傾斜面19bとされている。上側フランジ16の下面における各連通孔19の上側に位置する部分には、上側傾斜面19bと同一面となるように傾斜した傾斜面16aが形成されている。
図10及び図11に示すように、シリンダボア壁2aの各くびれ部2bには、外側流路7cから連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液の一部を、シリンダヘッド35のヘッドウォータジャケット35aに流入させるためのボア間流路31が設けられている。
各くびれ部2bのボア間流路31は、上流側流路31aと下流側流路31bとで構成され、上流側流路31aの下流端に下流側流路31bの上流端が接続されている。上流側流路31aの上流端は、該上流側流路31aの他の部分よりも拡径されていて、ウォータジャケット7の内側の側壁面に開口している。この上流側流路31aにおける上記内側の側壁面の開口は、ボア間流路31の入口31cに相当する。下流側流路31bの下流端は、シリンダボア壁2aの上面に開口している。この下流側流路31bにおけるシリンダブロック1上面の開口は、ボア間流路31の出口31dに相当する。
上流側流路31a及び下流側流路31bは共に、上記中央平面に向かって下側に傾斜するように延びている。上流側流路31aの水平に対する鋭角側の傾斜角が、下流側流路31bの水平に対する鋭角側の傾斜角よりも小さくされている。上流側流路31a及び下流側流路31bは共に、ドリルによって形成されたものである。
下流側流路31bの下流端(シリンダブロック1上面の開口)は、ガスケット36に設けられた接続孔36a及びシリンダヘッド35に設けられた接続流路35bを介して、シリンダヘッド35のヘッドウォータジャケット35aに接続されている。
各突出部20は、気筒列方向において、対応するくびれ部2bのボア間流路31の入口31cと同じ位置に位置している。また、各突出部20の上側の面における突出先端での高さ位置が、対応するくびれ部2bのボア間流路31の入口31cの高さ位置よりも低い位置に位置している。さらに、各連通孔19の上側傾斜面19bは、対応するくびれ部2bのボア間流路31の入口31cを指向するように傾斜している。
連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液の一部は、突出部20の上側の面に沿ってシリンダボア壁2aのくびれ部2bに向かって流れて、シリンダボア壁2aのくびれ部2b(厳密には、シリンダボア壁2aの外側側面におけるくびれ部2bの部分)に当たる。該くびれ部2bに当たった冷却液は、各突出部20の突出先端とウォータジャケット7の内側の側壁面との間の隙間から下側へは流れ難くなっているので、上側へ流れ易い。したがって、シリンダボア壁2aのくびれ部2bに当たった後は、基本的に、上側へと流れることになり、その上側へ流れる冷却液により、シリンダボア壁2aのくびれ部2bのうち、特に高温となる、シリンダヘッド7側(上側)の端部及びその近傍を冷却する。
本実施形態では、各連通孔19の上下方向の長さが、当該連通孔19の横幅よりも大きくされていることで、シリンダボア壁2aのくびれ部2bの縦方向の出来る限り広い範囲を冷却する。また、各連通孔19の横幅を小さくすることで、冷却液の流速を出来る限り高めて、冷却液を勢いよくシリンダボア壁2aのくびれ部2bに当てる。さらに、各突出部20の横幅が、対応する連通孔19の横幅よりも小さくされているため、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液のうち、突出部20の気筒列方向両側を流れる冷却液は、突出部20がないために、下側に流れ易くなる。但し、上記のように、連通孔19の内周面における下側の部分(下側傾斜面19a)が、内側流路7b側ほど上側に位置するように傾斜しているとともに、冷却液の流速が高いので、突出部20の気筒列方向両側を流れる冷却液は、シリンダボア壁2aのくびれ部2bにおける突出部20と略同じ高さの部分に当たる。これにより、シリンダボア壁2aのくびれ部2bの縦方向の更に広い範囲を冷却する。
突出部20によって上側へ流れた冷却液の一部は、該突出部20と気筒列方向において同じ位置に位置するボア間流路31の入口31cに流入する(シリンダヘッド35側に吸い込まれる)。また、連通孔19内の上側部分を流れて内側流路7bに流入した冷却液は、上側傾斜面19bによって案内されて、該上側傾斜面19bが指向する先のボア間流路31の入口31cに流入し易くなる。そして、ボア間流路31の入口31cに流入した冷却液は、上流側流路31a及び下流側流路31bを順に流れることで、シリンダボア壁2aのくびれ部2bを壁内部から更に冷却する。その後、冷却液は、ボア間流路31の出口31dから出て、ガスケット36の接続孔36a及びシリンダヘッド35の接続流路35bを介してヘッドウォータジャケット35aに流入する。
ここで、樹脂製のウォータジャケットスペーサ11は、射出成形により成形されたものである。このウォータジャケットスペーサ11の成形時に、周壁部12における吸気側の部分と排気側の部分とが互いに離間するような変形が生じ易い。
そこで、図12に示すように、ウォータジャケットスペーサ11の成形時に、周壁部12の内側の面における、上記中央平面とは垂直な方向に相対向する2つの部分を、互いに連結する1つ又は複数のブリッジ22を形成する。本実施形態では、3つのブリッジ22を形成し、各ブリッジ22は、周壁部12の内側の面において、上記中央平面とは垂直な方向に相対向する、突出部20が設けられる部分を互いに連結する。各ブリッジ22は、ウォータジャケットスペーサ11の成形時に、周壁部12における吸気側の部分と排気側の部分とが互いに離間するような変形を抑制する。各ブリッジ22は、ウォータジャケットスペーサ11の成形時にゲートとして利用され、このゲートの両端部をカットすることによりブリッジ22が取り除かれる。
上記ゲートのカットの際に、ゲートの一部を残した状態でカットすることで、突出部20を形成することができる。本実施形態では、突出部20の全体が、ウォータジャケットスペーサ11の成形時のゲートのカットにより残ったゲート残り部により形成されている。突出部20の全体ではなく、突出部20における突出先端側の部分を、ゲート残り部により形成することも可能である。
したがって、本実施形態では、ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12における上端近傍において、シリンダボア壁2aのくびれ部2bに対応する位置(内側湾曲部13)に、内側流路7bと外側流路7cとを連通する連通孔19が形成され、ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12の内側流路7b側の面における、連通孔19の下側の部分に、外側流路7cから連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液の少なくとも一部を、上側へ流れ易くするための、内側流路7bに突出した突出部20が設けられているので、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液を、シリンダボア壁2aのくびれ部2bに当てることができるとともに、該くびれ部2bに当たった冷却液を、基本的に、上側へと流すことができ、その上側へ流れる冷却液により、シリンダボア壁2aのくびれ部2bのうち、特に高温となる、シリンダヘッド7側の端部及びその近傍を効果的に冷却することができる。
また、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液のうち、下側へ流れる冷却液の量が、突出部20によって少なくなることから、内側流路7b内においては、突出部20よりも下側で、新鮮な冷却液が流れ難く、冷却液が淀んだ状態となっている。この結果、上記エンジンの燃焼室の保温性能を確保することができる。
したがって、シリンダボア壁2aのくびれ部2bのシリンダヘッド7側の部分を効果的に冷却して上記エンジンの燃焼室の冷却性能を確保することができるとともに、内側流路7bの冷却液により燃焼室の保温性能を確保することができる。
図13及び図14は、上記実施形態の変形例を示す。
この変形例では、ウォータジャケット7の内側の側壁面(シリンダボア壁2aの外側側面)は、くびれ部2bの上側(シリンダヘッド35側)の部分に、その下側(反シリンダヘッド35側)の部分よりも壁内側に凹んだ追い込み部2cを有している。そして、突出部20は、該突出部20の先端部が追い込み部2cに入り込むように、周壁部12の内側流路7b側の面に設けられている。
ウォータジャケット7の内側の側壁面が、上記のような追い込み部2cを有していない場合には、くびれ部2bに対応する位置において、ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12における突出部20よりも下側の部分とウォータジャケット7の内側の側壁面との間の隙間が、突出部20の突出量の分だけ大きくなる。これに対して、ウォータジャケット7の内側の側壁面が追い込み部2cを有している場合には、ウォータジャケットスペーサ11の周壁部12における突出部20よりも下側の部分とウォータジャケット7の内側の側壁面における追い込み部2cよりも下側の部分との間の隙間を、突出部20の突出量に関係なく小さくすることができる。したがって、内側流路7b内の冷却液の量が無駄に多くなるのを抑制することができる。
また、突出部20の突出量の誤差が大きくても、突出部20がウォータジャケット7の内側の側壁面に干渉しないようにすることができ、この結果、ウォータジャケットスペーサ11を容易に製造することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、各突出部20の上側の面が、対応する連通孔19の内周面における下側の部分に連続しているが、突出部20の上側の面が、対応する連通孔19の内周面における下側の部分よりも下側に位置していて、突出部20の上側の面と連通孔19の内周面における下側の部分との間に段差が生じてもよい。但し、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液を上側へ流れ易くするためには、その段差量を出来る限り小さくする必要がある。
また、上記実施形態では、各突出部20の上側の面が、突出先端側ほど上側に位置するように傾斜しているが、水平に延びていてもよい。さらに、各連通孔19の内周面における下側の部分も、水平に延びていてもよい。但し、各突出部20の上側の面及び各連通孔19の内周面における下側の部分の少なくとも一方(特に各突出部20の上側の面)は、上記実施形態のように傾斜していることが好ましい。また、各連通孔19の内周面における上側の部分も、水平に延びていてもよい。
さらに、上記実施形態では、各突出部20の横幅が、対応する連通孔19の横幅よりも小さくされているが、対応する連通孔19の横幅と同じか、又は大きくされていてもよい。この場合、突出部20によって、連通孔19を通って内側流路7bに流入した冷却液の略全部を、上側へ流れ易くすることができる。
また、上記実施形態では、エンジンを、シリンダボア軸方向が上下方向となるように車両に搭載したが、これに限るものではなく、例えば、シリンダボア軸方向が水平方向となるように車両に搭載されるエンジンの冷却構造にも、本発明を適用することができる。
さらにまた、上記実施形態では、多気筒のディーゼルエンジンに本発明を適用したが、多気筒の圧縮着火式エンジンであればどのようなエンジンであっても本発明を好適に適用することができる。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、複数のシリンダボアと該複数のシリンダボアの周囲を囲むウォータジャケットとが設けられ、シリンダボア軸方向の一側の面にシリンダヘッドが取り付けられるシリンダブロックと、該シリンダブロックのウォータジャケット内に収容され、上記複数のシリンダボアの周囲を囲む周壁部を有するウォータジャケットスペーサとを備えた多気筒エンジンの冷却構造に有用であり、特に、該多気筒エンジンがディーゼルエンジン等の圧縮着火式エンジンである場合に有用である。
1 シリンダブロック
2 シリンダボア
7 ブロックウォータジャケット
7b 内側流路
7c 外側流路
8 冷却液入口
11 ウォータジャケットスペーサ
12 周壁部
19 連通孔
20 突出部
20a 傾斜面
22 ブリッジ(ゲート)
35 シリンダヘッド

Claims (5)

  1. 複数のシリンダボアと該複数のシリンダボアの周囲を囲むウォータジャケットとが設けられ、シリンダボア軸方向の一側の面にシリンダヘッドが取り付けられるシリンダブロックと、該シリンダブロックのウォータジャケット内に収容され、上記複数のシリンダボアの周囲を囲む周壁部を有するウォータジャケットスペーサとを備えた多気筒エンジンの冷却構造であって、
    上記ウォータジャケットスペーサは、上記周壁部によって、上記ウォータジャケット内に、該周壁部の内側に位置する内側流路と、該周壁部の外側に位置する外側流路とが形成されるように構成され、
    上記シリンダブロックには、上記外側流路に連通する、該外側流路への冷却液入口が設けられ、
    上記周壁部には、隣り合うシリンダボア間に対応する位置に、上記内側流路と上記外側流路とを連通する連通孔が形成されており、
    上記周壁部の内側流路側の面における、上記連通孔の反シリンダヘッド側の部分に、上記外側流路から該連通孔を通って上記内側流路に流入した冷却液の少なくとも一部を、シリンダヘッド側へ流れ易くするための、内側流路に突出した突出部が設けられていることを特徴とする多気筒エンジンの冷却構造。
  2. 請求項1記載の多気筒エンジンの冷却構造において、
    上記連通孔は、上記周壁部におけるシリンダヘッド側の端部近傍に形成されており、
    上記突出部は、該突出部のシリンダヘッド側の面が、上記連通孔の内周面における反シリンダヘッド側の部分に連続するように形成されていることを特徴とする多気筒エンジンの冷却構造。
  3. 請求項1又は2記載の多気筒エンジンの冷却構造において、
    上記突出部のシリンダヘッド側の面が、突出先端側ほどシリンダヘッド側に位置するように傾斜していることを特徴とする多気筒エンジンの冷却構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多気筒エンジンの冷却構造において、
    上記ウォータジャケットスペーサは、樹脂製であり、
    上記突出部における少なくとも突出先端側の部分が、上記ウォータジャケットスペーサの成形時のゲートのカットにより残ったゲート残り部により形成されていることを特徴とする多気筒エンジンの冷却構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多気筒エンジンの冷却構造において、
    上記ウォータジャケットの内側の側壁面は、隣り合うシリンダボア間のシリンダヘッド側の部分に、その反シリンダヘッド側の部分よりも壁内側に凹んだ追い込み部を有し、
    上記突出部は、該突出部の先端部が上記追い込み部に入り込むように、上記周壁部の内側流路側の面に設けられていることを特徴とする多気筒エンジンの冷却構造。
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