JP2019073941A - 地盤改良体の造成管理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図14は、従来の高圧噴射攪拌工法による地盤改良体の造成方法を説明する説明図であり、図14Aは地盤改良体の造成を開始したときの説明図、図14Bは地盤改良体の造成を行っているときの説明図である。
地盤中の地盤改良体Tの出来形を確認する方法は、地盤改良体Tを造成した後、ボーリングマシンを使用してサンプルを採取するチェックボーリングを行う方法、あるいは地盤を掘削して直接確認する方法がある。
また、チェックボーリングでのサンプルの採取は、地盤改良体Tを造成した後に行うことから、硬化した地盤改良体Tの部分もボーリングする場合があり、そのため、使用するロッドを剛性の高いものにする必要がある。このことからコストが高くなるという問題がある。
本実施形態に係る地盤改良体の造成管理方法(以下、単に本造成管理方法という)は、高圧噴射攪拌工法により地盤中に地盤改良体を造成する際に、地盤中への硬化材の充填状態(充填前、充填不足、充填完了)を判別して、造成する地盤改良体の出来形の管理を行う方法である。
ここでは、硬化材はセメントミルクMである。ただし、硬化材はこれに限られるものではない。
また、地盤改良方法は高圧噴射攪拌工法であるとして説明するが、必ずしも高圧噴射攪拌工法に限られるものではなく、例えば、後述する地盤中に薬液を吐出して地盤改良体を造成する薬液注入工法などでもよい。
地盤改良体を造成する装置は、図1に示すように、地盤中に挿入する管ロッド1を有するとともに、管ロッド1を所定の深度まで挿入したり又は引き抜いたりする施工機械2を有する。施工機械2は、前部にマスト3を立設し、マスト3に沿って管ロッド1を取り付ける。これとともに、管ロッド1を地盤中に挿入又は引き抜くための昇降装置4と、管ロッド1を回転させるための回転装置5を有する。管ロッド1は、中空の鋼管で、その内部にセメントミルクMが流れる。管ロッド1は、その下端にセメントミルクMを噴射する噴射口6を有し、噴射口6からセメントミルクMが地盤中に高速高圧で噴射される。
なお、図示していないが、施工機械2の周辺には、施工機械2に取り付けた管ロッド1にセメントミルクMや圧縮空気などを供給するための設備を有している。
地盤挿入ボード7は、剛性が低くて振動や熱が伝わりにくい非通水性の材料で形成された細長い板状で、その長手方向に延在する複数の長孔11を板厚内に備えている。ここで、剛性が低くて振動や熱が伝わりにくい非通水性の材料とは、ポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
なお、地盤挿入ボード7は、後述する設置方法で、地盤中に設置するために、先端において折り返し、そこにアンカー15を取り付けている。
センサー20は、振動を測定する振動デバイスであって、振動を測定することにより、地盤中へのセメントミルクMの充填状態を検出する振動センサーである。センサー20の大きさは、地盤挿入ボード7に備えた長孔11内に配置できる大きさであり、ここでは、縦と横が17mm程度、厚さが5mm程度である。
センサー20を装着した長孔11の表面には、開口部14が形成されており、センサー20は、開口部14により地盤挿入ボード7の表面に露出している。
ここでは、センサー20にケーブル21を接続する有線方式を採用しているが、必ずしも有線方式に限られるものではなく、無線方式を採用してもよい。
また、センサー20及び管理装置8では、セメントミルクMの充填状態を判別するだけでなく、測定した振動から、それがセメントミルクMなのか、水なのか、土なのかということも判別可能である。
センサー20は、振動センサーに限られるものではなく、その他のセンサー、例えば、温度を測定することによりセメントミルクMを検出する温度センサー、水素イオン指数(pH:ペーハー)を測定することによりセメントミルクMを検出する水素イオン指数センサー、酸化還元電位(ORP)を測定することによりセメントミルクMを検出する酸化還元電位センサー、電気伝導率(EC)を測定することによりセメントミルクMを検出する電気伝導率センサーなどでもよい。また、センサー20は、振動センサー、温度センサー、水素イオン指数センサー、酸化還元電位センサー、電気伝導率センサーのうちの1つではなく、複数のセンサーを併用してもよい。
本造成管理方法は、地盤中に地盤挿入ボード7を設置する第1工程と、地盤中へのセメントミルクMの充填状態を判別する第2工程とを含む。
第1工程は、地盤改良体Tが造成される地盤中の所定の位置、例えば地盤改良体Tの設計された出来形の外周縁部に、噴射したセメントミルクMを検出するセンサー20を装着した地盤挿入ボード7を設置する。地盤挿入ボード7の設置位置は、基本的には1ヶ所である。ただし、設置位置は、これに限らず、複数箇所にしてもよい。
これにより、地盤改良体T造成時に、噴射したセメントミルクMが、地盤挿入ボード7に装着したセンサー20に真正面から当たることで、センサー20ではセメントミルクMを正確に検出することができる。
具体的には、施工機械2にて管ロッド1を地盤中の所定の深度まで挿入した後、管ロッド1を回転しながら噴射口6からセメントミルクMを噴射し、これを上方に向かって行って地盤中に地盤改良体Tを造成する。地盤改良体Tを造成するとき、図9Aに示すように、地盤挿入ボード7に装着した複数のセンサー20にてそれぞれ振動を測定する。
この複数のセンサー20による振動の測定、管理装置8でのセメントミルクMの充填状態の判別及びディスプレー25への判別結果の表示は、図9Bに示すように、地盤中に地盤改良体Tを造成している間、連続して行われ、即ち、地盤中の所定の深度から地表面の近傍(造成する地盤改良体の上端)まで行われる。
また、ディスプレー25にセメントミルクMの充填状態がリアルタイムで表示されることから、作業者は、例えばセメントミルクMの充填が不足であるとわかれば、さらにセメントミルクMを噴射することができ、これにより、設計通りの地盤改良体Tを造成できる。
地盤挿入ボード7は、センサー20を装着した箇所の表面のみに開口部14を形成しているので、地盤挿入ボード7の長孔11内に、噴射したセメントミルクMが入り込むことがない。これにより、セメントミルクMの地盤中への充填を良好に行える。
地盤中に地盤改良体Tを造成する際、前述の第一実施形態では、硬化材であるセメントミルクMを高圧噴射する高圧噴射攪拌工法にて行っていたが、ここでは、薬液Sを地盤中に吐出して地盤改良体Tを造成する薬液注入工法で行われる。
地盤改良体Tを造成する装置は、地盤中に挿入する管ロッド1を有するとともに、管ロッド1を所定の深度まで挿入したり又は引き抜いたりする施工機械2を有するが、管ロッド1からは地盤中に薬液Sが吐出される。これにより、施工機械2にて管ロッド1を所定の深度まで挿入し、挿入後、管ロッド1から薬液Sを吐出し、薬液Sの吐出を上方に向かって複数回行うことで、地盤中に地盤改良体Tを造成する。
本実施形態に係る地盤改良体Tの造成管理方法も、地盤中に地盤挿入ボード7を設置する第1工程と、地盤中への薬液Sの充填状態を判別する第2工程とを含む。第1工程は、第一実施形態と同様、地盤改良体Tが造成される地盤中に、吐出した薬液Sを検出するセンサー20(振動センサー)を装着した地盤挿入ボード7を設置する。なお、このときの地盤挿入ボード7の向きは、第一実施形態と同様、地盤挿入ボード7における吐出した薬液Sを検出する側の面が、地盤改良体T造成時の薬液Sの吐出方向(管ロッド1から薬液Sが飛んでくる方向)に対して直交するようにしている。
それとともに、地盤挿入ボード7に装着したセンサー20と地上に設置した管理装置8を接続し、管理装置8において、センサー20より入力された検出結果から、地盤中への薬液Sの充填状態を判別できるように準備する。
また、地盤挿入ボード7におけるセンサーを配置する位置は、第一実施形態と同様、複数のセンサーを、長孔の延在方向において互いに間隔をおいて配置してもよいし、あるいはセンサーの少なくとも一部を、長孔の延在方向において互いに間隔を空けることなく同じ位置に配置してもよい。
具体的には、管ロッド1を地盤中の所定の深度まで挿入した後、図11に示すように、管ロッド1から薬液Sを吐出し、これを上方に向かって複数回行って地盤改良体Tを造成する。地盤改良体Tを造成するとき、地盤挿入ボード7に装着した複数のセンサー20にて振動を測定する。
続いて、複数のセンサー20で測定した振動は検出結果として管理装置8に入力される。管理装置8では、所定の演算処理により測定した振動の大きさ(振幅)を予め定めた大きさと対比することで、地盤中への薬液Sの充填状態を判別し、その判別結果(薬液Sの充填状態)がディスプレー25に表示される。
また、ディスプレー25に薬液Sの充填状態がリアルタイムで表示されることから、作業者は、例えば薬液Sの充填が不足であるとわかれば、さらに薬液Sを吐出することができ、これにより、設計通りの地盤改良体Tを造成できる。
これにより、地盤中に設置した地盤挿入ボード37において、所定の長孔11内に薬剤Sを注入することで、その長孔11に形成した開口部14から薬液Sを地盤中に吐出して、地盤中に地盤改良体Tを造成できる。
これにより、地盤中に薬液Sを吐出して地盤改良体Tを造成する際に、地盤挿入ボード37の所定の長孔11から薬液Sを吐出するとともに、他の長孔11の上下2ヶ所に装着したセンサー20で吐出した薬液Sを検出して、地盤中への薬液Sの充填状態を判別することができる。
Claims (6)
- 地盤中に硬化材を高圧噴射して又は薬液を吐出して造成する地盤改良体の造成管理方法であって、
地盤改良体が造成される地盤中に、噴射した硬化材又は吐出した薬液を検出するセンサーを装着した地盤挿入ボードを設置する第1工程と、
第1工程の後、地盤中に地盤改良体を造成する際に、地盤挿入ボードに装着したセンサーで噴射した硬化材又は吐出した薬液を検出し、当該検出結果に基づき地盤中への硬化材又は薬液の充填状態を判別する第2工程と、を有し、
地盤挿入ボードは、剛性が低くて振動や熱が伝わりにくい非通水性の材料で形成されるともに、長手方向に延在する複数の長孔を備えた板状で、センサーが長孔内に配置されていることを特徴とする地盤改良体の造成管理方法。 - 請求項1に記載された地盤改良体の造成管理方法において、
センサーの検出結果に基づいて硬化材又は薬液の充填状態を管理装置で判別し、かつ判別結果を表示装置に表示する工程を有することを特徴とする地盤改良体の造成管理方法。 - 請求項1又は2に記載された地盤改良体の造成管理方法において、
センサーは、振動を測定することにより硬化材又は薬液を検出する振動センサー、温度を測定することにより硬化材又は薬液を検出する温度センサー、水素イオン指数を測定することにより硬化材又は薬液を検出する水素イオン指数センサー、酸化還元電位を測定することにより硬化材又は薬液を検出する酸化還元電位センサー、電気伝導率を測定することにより硬化材又は薬液を検出する電気伝導率センサーのうちの少なくとも1つであることを特徴とする地盤改良体の造成管理方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載された地盤改良体の造成管理方法において、
複数の長孔内に配置されたセンサーは、長孔の延在方向において互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする地盤改良体の造成管理方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載された地盤改良体の造成管理方法において、
複数の長孔内に配置されたセンサーの少なくとも一部は、長孔の延在方向において互いに間隔を空けることなく同じ位置に配置されていることを特徴とする地盤改良体の造成管理方法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載された地盤改良体の造成管理方法において、
第1工程で地盤中に地盤挿入ボードを設置するとき、地盤挿入ボードの向きは、地盤挿入ボードにおける噴射した硬化材又は吐出した薬液を検出する側の面が、地盤改良体造成時の硬化材の噴射方向又は薬液の吐出方向に対して直交するようにしたことを特徴とする地盤改良体の造成管理方法。
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