JP2019072981A - 熱転写シート、熱転写シートの製造方法、転写方法、被転写構造体、被転写構造体の製造方法及び被覆シート - Google Patents
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Abstract
Description
また、転写対象物に転写層を転写後にハードコート層を設けることもできるが、製造工程が増加し、手間とコストがかかる問題が一例として挙げられる。
しかし、転写工程において加熱による熱履歴によって樹脂の機械的特性が変化し、上記の転写層が割れる問題や手間とコストの問題が生じることが一例として挙げられる。
図1Aは、本発明の熱転写シートの全体構成を示す断面図である。
本発明の熱転写シート10は、基材層20と、基材層20上に設けられ、有機溶剤の膨潤作用により架橋剤並びに熱架橋性樹脂を含浸させて成る転写層30と、を有して構成される。
基材層20は、基材フィルム21と、離型層22から構成される。
基材フィルム21としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル、イソフタル酸共重合ポリエステル、スピログリコール共重合ポリエステル、フルオレン共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、あるいはポリ塩化ビニル樹脂等を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂のように表面張力の低い材料を基材フィルムとして用いる場合は離型層22を積層する必要はない。
離型層22は、転写層30に対して離型性を有する。すなわち、離型層22は、熱転写時に転写層30が基材から(離型層22と転写層30の界面で)容易に剥離することが可能となるように設けられる層である。離型層22は、離型性を有する材料により構成され、表面張力の低い材料であれば特に限定されるものではない。例えば、表面張力の低いシリコーン系やオレフィン系、フッ素系の樹脂などの材料でもよいし、バインダー樹脂と、離型剤等の添加剤とを含む材料からなる。
転写層30は、基材層20と対向する面の反対の面に形成される転写面31を有し、かつ被転写物(図示せず)に対して加飾を行う加飾層33と、加飾層33上に設けられ、かつ加飾層33と対向する面の反対側の面が転写面31となる接着層32と、を有する。加飾層33を傷等から保護する保護層34はUV硬化タイプのハードコート層が主に使用されるが、有っても良いしなくても良い。
転写層30は光学特性を有する透明な樹脂層でもよく、有機−無機ナノコンポジット層でもよい。加飾や意匠に限られたものではない。
加飾層33は、例えば汎用のグラビア用インキでもよいし、ポリ(メタ)アクリレート等の熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂と、適切な色の顔料または染料を含有するUV硬化タイプのインク等の着色剤とを含んで構成される層でもよい。加飾層33は、被転写体に装飾を付与するための層であり、例えば、隠ぺい性を有する隠ぺい層の上に、文字、図柄、模様など(以下、意匠等)を表す印刷層を積層して設けて構成される。
接着層32は、加飾層33の上に設けられ、被転写物に対して転写時の加熱により接着性を発現する樹脂を含有して構成される。被転写物に対して接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、またはビニル系樹脂などを用いることができる。
なお、必要に応じて転写層30を保護する保護層34が、基材層20と転写層30の間に加飾層33を保護するために設けられていてもよい。
保護層34は、摩耗や光、薬品等から転写層30を転写する被転写物や加飾層33を保護するための層である。保護層34は、加飾層33上に必要に応じて設けられるものである。このため、図1Bに示すように転写層30に保護層34を有していない構成であってもよい。また、図1Cに示すように転写層30に接着層32と保護層34を有していない構成であってもよい。
熱架橋性樹脂は、転写層30の接着層32から接着層32の反対側の面である加飾層33の離型層22と接する面に亘って転写層30の全体に含有されている。なお、保護層34が設けられる場合は、熱架橋性樹脂は、転写層30の接着層32から接着層32の反対側の面である保護層34の離型層22と接する面に亘って転写層30の全体に含有されている。
熱可塑性樹脂は、これらの樹脂のうち2以上を組み合わせて用いてもよく、これらの樹脂のうちすべての樹脂を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系樹脂は、熱可塑性アクリル樹脂である限り特に限定されない。アクリル系樹脂とは、一般に(メタ)アクリル酸エステル単位および/または(メタ)アクリル酸単位を有する樹脂のことであり、(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する構成単位を有していてもよい。なお、本願において「(メタ)アクリル」とは、「メタクリルまたはアクリル」を指すものとする。
ウレタン系樹脂としては、ポリエステル型ウレタン系樹脂、ポリカーボネート型ウレタン系樹脂、ポリエーテル型ウレタン系樹脂などのウレタン樹脂や、ポリウレタン尿素樹脂などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸と、多価アルコールとから重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを意味する。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカンジオール、2−エチル−ブチル−1−プロパンジオール、ビスフェノールA等が挙げられる。
ケトン系樹脂は、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等が挙げられる。
架橋剤は、有機系架橋剤で反応性の官能基を1分子中に2個以上有する2官能以上の架橋剤が用いられる。好もしくはイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系、ブロックイソシアネート系架橋剤、またはパーオキサイド系架橋剤が用いられ、それらのうち少なくとも1を含み、これらの架橋剤のすべてを混合して用いてもよい。
イソシアネート系架橋剤は、通常、ポリイソシアネート化合物を含有する。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。
メラミン系架橋剤としては、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。
エポキシ系架橋剤は、例えば、エポキシ基を2つ以上有する化合物である。上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
ブロックイソシアネート系架橋剤は、通常、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有し、それらイソシアネート基が保護基によってブロックされてなるブロックイソシアネート化合物を含有する。保護基としては、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、活性メチレン化合物残基、メルカプタン系化合物残基、酸アミド系化合物残基、アミノ基、イミダゾール系化合物残基、イミノ基、オキシム系化合物残基、ラクタム系化合物残基等が挙げられる。
パーオキサイド系架橋剤は通常、有機過酸化物であり、加熱によりラジカル活性種を発生して熱架橋性樹脂と架橋反応するものであればよい。たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなどが挙げられる。
以上で説明した熱転写シート10の製造方法を、図2を参照して説明する。
上述の通り、本発明の熱転写シート10の転写層30には、熱架橋性樹脂と架橋剤とが含有されている。
本発明の熱転写シート10は、転写層30を熱架橋性樹脂及び架橋剤を溶解した有機溶剤で膨潤して含浸させることによって製造される。
基材層20の上に、熱可塑性樹脂を含有する転写層30を設ける(ステップS01)。
ステップS01において、基材層20は、基材フィルム21に離型層22を形成して設けられる。離型層22の形成方法は特に限定されないが、従来公知の塗布方法により形成することができる。離型層22を形成する方法としては、例えば、適当な溶剤中に離型層22のバインダー樹脂と、必要に応じて離型剤等の添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗布液を調製した後、この塗布液を基材の上に、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段を用い塗布、乾燥させて形成することができる。
熱可塑性樹脂及び熱架橋性樹脂に対する良溶媒と熱可塑性樹脂及び熱架橋性樹脂に対する貧溶媒とを含む溶剤と、熱架橋性樹脂と、熱架橋性樹脂の架橋剤と、を少なくとも含む混合剤としてのコート剤を調製する。
このSP値を満たす貧溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(11.9)、アセトニトリル(SP値:11.9)、酢酸(SP値:12.6)、エタノール(SP値:12.7)、クレゾール(SP値:13.3)、ギ酸(SP値:13.5)、エチレングリコール(SP値:14.2)、フェノール(SP値:14.5)、メタノール(SP値:14.5)、水(SP値:23.4)等が挙げられる。これら貧溶媒は単体で使用しても良いし、何種類かを混合、調製して用いてもよい。
ステップS03において、転写層30から溶媒を除去する工程は、自然乾燥により行ってもよいし、量産には加熱乾燥、減圧乾燥によって行うこともできる。
ただし、加熱によって溶媒を除去する際には、熱架橋性樹脂の架橋剤との反応が起こらない温度、例えば、60℃以下で行う必要がある。
以上で説明した熱転写シート10の熱転写シート10の転写方法を、図3を参照して説明する。
熱転写シート10の転写面31を被転写物に密着させる(ステップS21)。熱転写シート10を加熱することにより被転写物の表面に熱転写シート10の転写層30を転写すると同時にその熱で熱転写シート10に含まれる熱架橋性樹脂が架橋反応する(ステップS22)。
各種の成形加工で使用される熱架橋性樹脂と架橋剤は成形の加工温度に合わせて適宜選定すればよい。
〈熱転写シートの調製〉
熱転写シート10は、基材層20として、基材フィルム21にエラスマー系樹脂が用いられ、基材フィルム21の一方の面に、離型層22が形成され、転写層30として、グラビア印刷法によって形成された印刷層、隠ぺい層、接着層32の順で積層されている。
この熱転写シート10に対してバーコーターを用いて熱架橋性樹脂と架橋剤を配合したコート剤を接着層32の上から塗布し、自然乾燥を2時間行った。
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤:
ポリイソシアネート 47質量部
有機溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 107質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部
ジイソブチルケトン 19質量部 (良溶媒含有率:100質量%)
得られた熱転写シート10と1mm厚のABS製の試験片と、を密着させて真空、圧空式の転写成型機にセットし、予熱真空を90℃で30秒間行い、加圧圧空を130℃で65秒を行い、実施例1に係る転写構造体を形成した。
尚、転写工程は、下記の実施例及び比較例において全て同一条件で行ったので、以後の説明を省略する。
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤:
ポリイソシアネート 47質量部
有機溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 107質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部
ジイソブチルケトン 19質量部 (良溶媒含有率:95質量%)
<貧溶媒> イソプロピルアルコール 15質量部 (貧溶媒含有率:5質量%)
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
イソプロピルアルコールを137質量部(溶剤含有率:35質量%)とした。
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤
ポリイソシアネート 47質量部
有機溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 88質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部 (良溶媒含有率:65質量%)
<貧溶媒> イソプロピルアルコール 137質量部 (貧溶媒含有率:35質量%)
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
イソプロピルアルコールを264質量部(貧溶媒含有率:51質量%)とした。
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤:
ポリイソシアネート 47質量部
有機溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 88質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部 (良溶媒含有率:49質量%)
<貧溶媒> イソプロピルアルコール 264質量部 (貧溶媒含有率:51質量%)
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
イソプロピルアルコールを397質量部(貧溶媒含有率:61質量%)とした。
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤:
ポリイソシアネート 47質量部
有機溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 88質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部 (良溶媒含有率:39質量%)
<貧溶媒> イソプロピルアルコール 397質量部 (貧溶媒含有率:61質量%)
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
イソプロピルアルコールを540質量部(貧溶媒含有率:68質量%)として、他の組成は実施例3と同様のものとした。
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤:
ポリイソシアネート 47質量部
有機溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 88質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部 (良溶媒含有率:32質量%)
<貧溶媒> イソプロピルアルコール 540質量部 (貧溶媒含有率:68質量%)
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 88質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部 (良溶媒含有率:83質量%)
<貧溶媒> イソプロピルアルコール 37質量部 (IPA含有率:12質量%)
水 15質量部 (水含有率:5質量%)
〈熱転写シートの調製〉
この熱転写シート10は、基材層20として、基材フィルム21にエラスマー系樹脂が用いられ、基材フィルム21の一方の面に、離型層22が形成され、転写層30として、UV硬化タイプのインクを用いたインクジェット法によって形成された印刷層、接着層32の順で積層されている。
この熱転写シート10に対してバーコーターを用いてコート剤を接着層32の上から塗布し、自然乾燥を2時間行った。
〈コート剤の組成〉
実施例4と同様のものとしたので省略する。
〈熱転写シートの調製〉
転写シートには東レ社製ルミエース、品番AC−5860−Sを用いた。フィルム構成は保護層34、アルミの蒸着層、接着層32の順で構成、積層されている。この熱転写シート10に対してバーコーターを用いてコート剤を接着層32の上から塗布し、自然乾燥を2時間行った。
〈コート剤の組成〉
実施例1と同様のものとしたので省略する。
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。実施例10は、コート剤の処理については実施例4と同様に行われた。ただし、実施例10は、溶剤塗装を転写層30に対して行われた点が実施例4とは異なる。塗装は溶剤系のもので行った。
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
ただし、コート剤の処理が行われなかった点で比較例1の熱転写シート10は、実施例1の熱転写シート10と異なる。
〈熱転写シートの調製〉
実施例8と同様のものとしたので説明を省略する。
ただし、コート剤の処理が行われなかった点で比較例2の熱転写シート10は、実施例8の熱転写シート10と異なる。
実施例9と同様のものとしたので説明を省略する。
ただし、コート剤の処理が行われなかった点で比較例3の熱転写シート10は、実施例9の熱転写シート10と異なる。
〈熱転写シートの調製〉
実施例1と同様のものとしたので説明を省略する。
〈コート剤の組成〉
熱架橋性樹脂:
ウレタンアクリレート 100質量部
架橋剤:
ポリイソシアネート 47質量部
溶剤:
<良溶媒> 酢酸イソブチル 113質量部
酢酸エチル 107質量部
酢酸ブチル 20質量部
メチルイソブチル 33質量部
ジイソブチルケトン 19質量部 (良溶媒含有率:95質量%)
<貧溶媒> 水 15質量部 (貧溶媒含有率:5質量%)
〈熱転写シートの調製〉
比較例1と同様のものを用いたので説明を省略する。比較例5は、コート剤の処理についても比較例1と同様に行われなかった。ただし、比較例5は、溶剤塗装を転写層30に対して行われた点が比較例1とは異なる。塗装は溶剤系のもので行った。
〈付着性試験〉
付着性試験は、JIS K5600−5−6に記載されているクロスカット法に準拠して行った。その結果を図4A〜4Dに示す。なお、接着性及び転写層30の評価基準は下記に示す通りである。
○:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれが観察されないもの。
×:カットの交差点もしくはその他の箇所における塗膜に剥がれが確認できるもの。
○:コート剤の処理前の状態を維持し、意匠等の崩れが認められないもの。
×:転写層30の表面に凹凸が生じているもの。
×(崩壊):意匠等の転写層に崩れが発生したもの。
これに対して、実施例1〜9に係る転写層30は、付着性を満たし、かつ、これらの転写層30は、転写層30はコート剤の塗布前の形態を維持している。
上記実施例1〜9及び比較例1〜4ついて、鉛筆硬度試験、クロスカット試験、転写層30の評価試験を行った。尚、実施例10及び比較例5については、耐油脂汚染性試験として行い、摩擦堅牢度試験も行った。
鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に記載されている引っかき硬度(鉛筆法)に準拠して測定した。判断基準は凝集破壊となる破壊硬度であり、表層に破れが5回の試験で2回未満発生する鉛筆硬さの濃度記号とした。その結果を図4に示す。
日焼け止めクリーム(「ニュートロジーナ(商品名)」,ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)、を実施例11及び比較例4で得られた加飾成形品に2g/100cm2で塗布し、80℃のオーブン内に4時間放置し、オーブンから取り出して、ふき取った後の加飾成形品表面を鉛筆硬度、摩擦堅牢度、クロスカット試験を行った。
転写層30の耐擦傷性については、下記の装置および条件で測定し、傷が発生するまでの往復回数が200回以上のものを合格(〇)とした。
・装置:摩擦堅牢度試験機 学振型
・綿帆布:6号
・試験荷重:4.9kPa
・試験速度:200往復/分
・試験ストローク:100mm
さらに、実施例10に係る熱転写シートは、摩擦堅牢度試験は〇であった。これに対して、比較例5は、摩擦堅牢度試験について×であった。
このように、実施例1ないし10は、全ての比較例1ないし5よりも高い鉛筆硬度、付着性を有している。また、実施例10は、比較例5に対して優れた耐油脂汚染性に優れている。
よって、被転写物の転写後に転写層30の上にハードコート層又は保護層を設ける工程がなくなるため、製造コストの削減を図ることができる。
このように実施した場合であっても、熱転写シート10と同様に、被覆シートの機械特性を向上させることができ、接着性の向上を図ることができる。
20 基材層
30 転写層
31 転写面
32 接着層
33 加飾層
Claims (16)
- 基材層と、
前記基材層上に設けられ、有機溶剤の膨潤作用により架橋剤並びに熱架橋性樹脂を含浸させて成る転写層と、
を有することを特徴とする熱転写シート。 - 前記転写層は、前記基材層と接する面に形成され且つ被転写物に対して加飾を行う加飾層と、前記加飾層の前記基材層とは反対の面に形成される接着層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記熱架橋性樹脂及び前記架橋剤は、膨潤して含浸した後に架橋反応の温度以下で乾燥し、前記有機溶剤を除去することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の熱転写シート。
- 前記熱架橋性樹脂及び前記架橋剤は、被転写物への転写する際の加熱に伴って反応することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱転写シート。
- 前記架橋剤は、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、架橋剤、パーオキサイド系架橋剤のうち、少なくとも1を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の熱転写シートの製造方法。
- 前記熱架橋性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びケトン系樹脂のうちの少なくとも1つの熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱転写シート
- 基材層上に、転写層を設ける工程と、
前記転写層の成分に対して相容性のある溶媒を含む溶剤を含む混合剤を前記転写層に塗布することによって、前記転写層の成分を膨潤させて、前記熱架橋性樹脂と架橋剤を含浸させる工程と、前記溶剤を前記転写層から乾燥除去する工程と、を有することを特徴とする熱転写シートの製造方法。 - 前記溶剤は、溶解性パラメータであるSP値が、10.0以上23.4以下である前記転写層の成分に対する貧溶媒を含むことを特徴する請求項7に記載の熱転写シートの製造方法。
- 前記貧溶媒は、前記溶剤に対する含有率が68質量%以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の熱転写シートの製造方法。
- 前記貧溶媒は、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノールのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の熱転写シートの製造方法。
- 前記架橋剤は、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、架橋剤、パーオキサイド系架橋剤のうち、少なくとも1を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の熱転写シートの製造方法。
- 前記熱架橋性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びケトン系樹脂のうちの少なくとも1つの熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の熱転写シートの製造方法。
- 熱転写シートにおける転写層の転写面を被転写物の表面に密着させる工程と、
前記熱転写シートを加熱することによって前記被転写物の表面に前記熱転写シートの転写層を転写すると共に、前記熱転写シートに含まれる熱架橋性樹脂及び架橋剤の反応を行う転写工程と、
を有することを特徴とする転写方法。 - 基材層と、
前記基材層上に設けられ、熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性樹脂に含浸している架橋剤並びに熱架橋性樹脂を含む転写層と、
を有する熱転写シートの前記転写層が、構造体に転写されていることを特徴とする被転写構造体。 - 基材層と、
前記基材層上に設けられ、熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性樹脂に含浸している架橋剤並びに熱架橋性樹脂を含む転写層と、
を有する転写シートを、
前記熱転写シートにおける前記転写層の転写面を被転写物の表面に密着させる工程と、
前記熱転写シートを加熱することによって前記被転写物の表面に前記熱転写シートの前記転写層を転写すると共に、前記熱転写シートに含まれる熱架橋性樹脂及び架橋剤の反応を行う転写工程と、を有することを特徴とする被転写構造体の製造方法。 - 基材層と、
前記基材層上に設けられ、熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性樹脂に含浸している架橋剤並びに熱架橋性樹脂を含む被覆層と、
を有することを特徴とする被覆シート。
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