(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、情報処理装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1では、電気機器が操作信号を受けるタイミングと電力の変化が生じるタイミングを基に電気機器が接続された電源タップを特定することを言及している。
より具体的には、特許文献1に開示される情報処理装置は、電源タップに割り当てられたタップ識別子と、当該電源タップ経由で供給された電力の量の計測結果を取得する第1取得部と、電気機器の遠隔操作が行われたときに、当該遠隔操作に用いられた操作信号を取得する第2取得部と、電気機器毎に遠隔操作に用いられる操作信号の特徴情報を記憶したデータベースとの照合により、前記第2取得部が取得した操作信号の特徴情報に合致する電気機器の種類を特定する特定部と、前記第2取得部が操作信号を取得したタイミングと、前記第1取得部が取得した計測結果とに基づいて、前記特定部により特定された種類の電気機器と、前記第1取得部が取得したタップ識別子とを対応付ける処理を行う対応付け処理部とで構成される。
この構成により、遠隔操作されたときに生じた電力変化を基にして、遠隔操作された電気機器と、その電気機器が接続された電源タップの対応付けがなされる。
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、電気機器と電力供給する回路の置かれた状態によっては、操作信号を受けても当該電気機器の電力変化を検出できない場合がある。つまり、特許文献1に開示される技術では、当該電気機器と当該電気機器が接続された電源タップとの対応付けができない場合がある。例えば、すでに電源がONの状態である電気機器が、電源をONにする操作信号を受けても動作状態が変わらないので、当該電気機器の消費電力を計測できない。
また、特許文献1に開示される技術では、電力の量を計測する電力供給回路に、複数の電気機器が接続されている場合は、電気機器の電力変化を検出できない場合がある。以下、この場合の一例について、図1A、図1B、図2Aおよび図2Bを用いて説明する。
図1Aは、電気機器と電力供給回路との接続関係の一例を示す図であり、図1Bは、電気機器と分岐回路との接続関係の一例を示す図である。図1Bに示す分岐回路921は、図1Aに示す電力供給回路920に含まれている分岐回路の一例である。図1Aに示すように、電力供給回路920には、電気機器930aと電気機器930bとが接続されており、単純化のため電気機器930aと電気機器930bとを除く他の電気機器930は電力供給回路920に接続されていないとする。また、図1Aに示すように、電気機器930aは例えば照明機器であり、電気機器930bは例えば冷蔵庫である。また、図1Aに示すように、電力供給回路920は例えば分電盤である。
図2Aは、分岐回路921に接続される2つの電気機器の電力変化の一例を時系列に示す図であり、図2Bは、電力供給回路920で計測された消費電力の一例を時系列に示す図である。図3は、分岐回路921に接続される電気機器の別の一例を示す図である。図2Bは、図2Aに示す電気機器930aと電気機器930bとが接続された分岐回路921で消費される消費電力が計測されたものに対応する。
図2Aに示すように、例えば時刻t1で電気機器930aが操作され、電源がOFFからONに変化したものとする。また、電気機器930bは、例えば冷蔵庫であるので、定期的に間欠運転を行っている。この場合、電力供給回路920に接続された全電気機器930(ここでは、電気機器930aと電気機器930b)の消費電力の合計が、電力供給回路920で計測される消費電力となる。
しかしながら、図2Bに示すように、時刻t1の時点では、電源がOFFからONに変化した電気機器930bの消費電力の変化(消費電力増加の変化)と、間欠運転のタイミングにより動作が停止した電気機器930bの消費電力の変化(消費電力減少の変化)が相殺されている。つまり、時刻t1の時点では、電力供給回路920は、分岐回路921での消費電力は主だった電力変化が発生していないと計測する。
このように、電力量が計測される分岐回路921に電気機器930が複数接続されている場合には、操作を受けた電気機器の消費電力が変化しても分岐回路921の消費電力の変化として検出できない場合がある。
なお、例えば、分電盤の分岐回路には、一部屋分のコンセントが接続されていることもよくある。つまり、電力供給回路920に含まれる分岐回路921には、複数の電気機器が接続されており、例えば図3に示すように5以上の電気機器930が接続されることも珍しくない。
分岐回路921に接続された電気機器930の数が多いと、ある一つの電気機器930の消費電力を変化させたとしても、他の電気機器930の電力消費の変化も発生している場合も多く、分岐回路921に流れる電力量を計測しても、当該一つの電気機器の電力変化を捉えることは難しい。つまり、特許文献1に開示される技術では、分岐回路921に接続された電気機器930の数が多い場合には、操作信号を受けた電気機器930の電力変化なのか、分岐回路921に接続された別の電気機器930の電力変化なのか区別できないことがあるので、結果として電気機器の種別の特定ができないという問題が生じる。
また、電力供給回路920に複数の分岐回路921が含まれる場合には、ある分岐回路に接続される電気機器930が操作信号を受信し、消費電力を変化させたとても、他の分岐回路に接続される電気機器930が偶然電力変化を起こしてしまった場合にも、上記と同様の問題が生じる。この場合の一例について、図4および図5を用いて説明する。
図4は、電力供給回路920を構成する分岐回路921と、分岐回路921に接続される電気機器930の一例を示す図である。図5は、電力供給回路920で計測された分岐回路921の消費電力の一例を時系列に示す図である。図4には、分電盤である電力供給回路920が2つの分岐回路921aと分岐回路921bとで構成された例が示されている。また、図4には、分岐回路921には、電気機器930として、例えばテレビなどの電気機器930cが接続されており、分岐回路921bには、例えば冷蔵庫などの電気機器930dが接続された例が示されている。
ここで、分岐回路921bに接続された電気機器930dが冷蔵庫であり、間欠的に冷蔵庫内を冷やすためのコンプレッサが起動したり停止したりするとし、例えば時刻t2の時点でテレビである電気機器930cが電源をONにする操作信号を受信したものとする。この場合、図5に示すように分岐回路921aで計測される消費電力は変化するが、分岐回路921bの消費電力も変化している。これは、時刻t2に電気機器930dのコンプレッサが起動したため、時刻t2に分岐回路921bで計測される消費電力が変化しているからである。その結果、電力供給回路920が計測する分岐回路921aおよび分岐回路921bの消費電力を示す電力情報では、操作信号を受けた電気機器930cの消費電力の変化が埋もれてしまい検出できない。そのため、分岐回路921aと、分岐回路921aに接続される電気機器930cとの接続関係を判定することができないという問題が生じる。
また、実際の分岐回路には図3に示すように多くの種類の電気機器が接続され、各々の電気機器が消費電力を適宜変えている。このようなときに、特許文献1に開示される技術のように、単純に電気機器を操作したときに分岐回路の消費電力変化を計測しただけでは、対象とする電気機器の消費電力変化を検出できるとは限らない。そのため、対象とする電気機器の消費電力変化計測をより行いやすくする方法が必要であった。
なお、特許文献1に開示される技術では、ユーザーがリモコン操作を行うタイミングで分岐回路と電気機器の接続関係を判定する。そのため、上述した問題により分岐回路と電気機器との接続関係を判定することに一旦失敗した場合には、次にユーザーが意図的にリモコン操作をさせない限り、分岐回路と電気機器との接続関係はわからないままであるという問題もある。
以上の考察により、本発明者らは、以下の発明の各態様を想到するに至った。即ち、本開示の一態様に係る情報処理方法は、それぞれ1以上の電気機器が接続されている複数の回路それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する取得ステップと、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力するコマンド出力ステップと、前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報に基づいて、前記一の電気機器と、前記一の電気機器が接続されている回路との接続関係を判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップでは、前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報から、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定し、前記複数の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であると判定した場合に、前記コマンド出力ステップにおいて前記一の電気機器に対するコマンドを出力させて前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報のうち、前記コマンド出力ステップにおいて出力された前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定することにより、前記接続関係を判定する。
この態様によれば、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することのできる情報処理方法を実現できる。
より具体的には、電気機器の消費電力変化が計測できる定常状態をまず判定し、その後に当該電気機器の電力変化を起こさせる。それにより、当該電気機器が接続される回路を含む複数の回路の電力情報に基づいて、起こさせた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する回路が当該電機機器と接続された回路と特定することができる。このようにして、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係を判定することができる。
また、例えば、前記判定ステップでは、前記取得ステップにおいて取得した前記複数の電力情報から、前記複数の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であるか否かを判定する定常状態判定ステップと、前記定常状態判定ステップにおいて前記複数の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であると判定された場合に、前記コマンド出力ステップおいて前記一の電気機器に対するコマンドを出力させて、前記取得ステップにおいて取得した前記複数の電力情報のうち、前記コマンド出力ステップにおいて出力された前記コマンドに応じた電力の変化が含まれている電力情報を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出した電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定された回路と、前記一の電気機器との対応付けを記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップにおいて記憶された対応付けに基づいて、前記接続関係を判定する接続関係判定ステップと、を含むとしてもよい。
ここで、例えば、前記判定ステップでは、所定期間における前記複数の回路それぞれの供給している電力量の変動が予め定められた値以下である場合に、前記複数の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であると判定し、前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、前記コマンド出力ステップにおいて前記コマンドを発行した時刻から所定時間以内に、予め定められた値以上の電力量の時間差分変化量を含む電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定するとしてもよい。
また、例えば、前記コマンド出力ステップでは、前記一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドとして、前記一の電気機器の電源状態をOFFからONに変化させるコマンドを出力してもよいし、前記コマンド出力ステップでは、前記一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドとして、前記一の電気機器の電源状態をONからOFFに変化させるコマンドを出力してもよい。
また、例えば、前記判定ステップでは、前記複数の回路のうち、少なくとも一の回路が所定期間に供給している電力量の変動が所定のパターンを示す場合に、前記少なくとも一の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であると判定し、かつ、前記複数の回路のうち前記少なくとも一の回路を除く複数の回路が前記所定期間に供給している電力量が定常状態であると判定した場合に、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であると判定するとしてもよい。
また、例えば、前記判定ステップでは、前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、前記コマンド出力ステップにおいて前記コマンドを発行した時刻から所定時間以内に、前記複数の回路のうち前記少なくとも一の回路を除く複数の回路の電力情報のうち、予め定められた値以上の電力量の時間差分変化量を含む電力情報が検出された場合には当該検出された電力情報に対応する回路を記一の電気機器が接続されている回路と特定し、前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、前記所定時間以内の前記少なくとも一の回路の電力量情報のうち、前記所定のパターンの基準に予め定められた値以上の電力量の時間差分変化量を含む電力情報が検出された場合には当該検出された電力情報に対応する回路を記一の電気機器が接続されている回路と特定するとしてもよい。
また、例えば、前記判定ステップでは、前記複数の回路それぞれの供給している電力量の所定期間における変動が特定のパターンと整合しない場合に、前記複数の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であると判定し、前記コマンド出力ステップにおいて前記一の電気機器の消費電力を前記特定のパターンで変化させるコマンドを出力させ、前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、前記コマンド出力ステップにおいて前記コマンドを発行した時刻から所定時間以内に、前記特定のパターンと整合する電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定するとしてもよい。
ここで、例えば、前記特定のパターンは、前記電力量の変化が一定の周期で同一の変化で複数回繰り返されるパターンであるとしてもよい。
また、例えば、前記判定ステップでは、前記複数の回路それぞれにおいて所定期間で供給している電力量を前記周期ごとに合算させて得た値の時間差分変化量が予め定められた値以下である場合に、前記複数の回路の供給している電力量の所定期間における変動が前記特定のパターンと整合しないと判定するとしてもよい。
また、例えば、前記コマンド出力ステップでは、前記一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドとして、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるためのコマンドセットであって種類と時間間隔の組の複数からなるコマンドセットを出力するとしてもよい。
また、例えば、前記判定ステップでは、前記電気機器、当該電気機器に対する操作、及び当該操作に伴う消費電力の変化パターンを識別する情報を対応付けたデータベースを参照することにより、前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報のうち、前記コマンド出力ステップにおいて出力された前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれていることを検出するとしてもよい。
また、それぞれ1以上の電気機器が接続されている複数の回路それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する取得ステップと、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドをユーザーに実行させるための通知を出力する通知出力ステップと、前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報に基づいて、前記一の電気機器と、前記一の電気機器が接続されている回路との接続関係を判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップでは、前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報から、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定し、前記複数の回路の供給している電力量の状態が前記定常状態であると判定した場合に、前記通知出力ステップにおいて前記一の電気機器に対するコマンドをユーザーに実行させるための通知を出力させて前記取得ステップにおいて取得した複数の電力情報のうち、前記通知出力ステップにおいて出力された前記通知に対応する前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定することにより、前記接続関係を判定する。
また、本開示の一態様に係る情報処理装置は、それぞれ1以上の電気機器が接続されている複数の回路それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する取得部と、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力するコマンド出力部と、前記取得部で取得した複数の電力情報に基づいて、前記一の電気機器と、前記一の電気機器が接続されている回路との接続関係を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記取得部で取得した複数の電力情報から、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定し、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であると判定した場合に、前記コマンド出力部に前記一の電気機器に対するコマンドを出力させて前記取得部で取得した複数の電力情報のうち、前記コマンド出力部により出力された前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定することにより、前記接続関係を判定する。
また、本開示の一態様に係る情報処理装置は、それぞれ1以上の電気機器が接続されている複数の回路それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する取得部と、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドをユーザーに実行させるための通知を出力する通知出力部と、前記取得部で取得した複数の電力情報に基づいて、前記一の電気機器と、前記一の電気機器が接続されている回路との接続関係を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記取得部で取得した複数の電力情報から、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定し、前記複数の回路の供給している電力量の状態が定常状態であると判定した場合に、前記通知出力部に前記一の電気機器に対するコマンドをユーザーに実行させるための通知を出力させて前記取得部で取得した複数の電力情報のうち、前記通知出力部により出力された前記通知に対応する前記コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する回路を、前記一の電気機器が接続されている回路と特定することにより、前記接続関係を判定する。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、本開示の一態様に係る情報処理方法等について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
[ネットワークシステムの全体構成]
図6は、実施の形態1におけるネットワークシステムの全体構成の一例を示す図である。
図6に示すネットワークシステム2は、例えば居住空間1に設置されており、情報処理装置10と、スマート分電盤20と、電気機器30a、電気機器30bおよび電気機器30cを含む電気機器30とを備える。ここで、居住空間1は、例えば一戸建ての住宅であれば例えば家屋内の空間であり、マンションや団地等の集合住宅であれば1つの住戸内(宅内)の空間である。
スマート分電盤20は、外部の電力供給業者より供給された電力を、各々の分岐回路に分け、居住空間1の各電気機器30に電力を供給できるようにする。スマート分電盤20は、各々の分岐回路の供給電力(消費電力)を計測し、通信路L1を経由して情報処理装置10に各々の分岐回路の供給電力量(消費電力量)を示す電力情報を送信することができる。
情報処理装置10は、例えば、居住空間1のホームサーバに構成され、居住空間1のスマート分電盤20と家電機器30と互いに通信可能である。図6に示す例では、情報処理装置10は、通信路L1を介してスマート分電盤20の信号(各々の分岐回路の電力情報)を受け取ることができる。また、情報処理装置10は、通信路L2を介して電気機器30にマンド(制御信号)を送信することで、電気機器30の動作を制御することができる。
電気機器30は、居住空間1内に設置された電気機器であり、例えば電気機器30a、電気機器30bおよび電気機器30cである。電気機器30は、情報処理装置10からのコマンド(制御信号)を、通信路L2を介して受信することができ、情報処理装置10からコマンドを受信した場合にコマンドに従う動作を行う。図6に示す例では、電気機器30aは照明器具であり、電気機器30bはエアコンであり、電気機器30cは冷蔵庫である。ただし、これらは電気機器30の一例にすぎず、電気機器30としては、洗濯機、電子レンジといった白物家電や、テレビ、録画装置、オーディオ機器等の黒物家電やパーソナルコンピューターであってもよい。
なお、通信路L1および通信路L2は、無線路でも有線路でも構わないし、IP通信のように双方向通信可能な通信路でも、赤外線リモコンによる信号送受信のように片方向に通信可能な通信路でも構わない。また、情報処理装置10は居住空間1のホームサーバに構成される場合に限らない。宅内の外部のWebサーバに構成されるとしてもよい。また、スマート分電盤20が情報処理装置10の機能を含み、情報処理装置10の役割を兼ねるとしてもよいし、電気機器30が情報処理装置10の機能を含み、情報処理装置10の役割を兼ねるとしてもよい。
図7は、実施の形態1におけるネットワークシステム2の機能構成の一例を示すブロック図である。
[スマート分電盤20の構成]
スマート分電盤20は、複数の分岐回路21を備える。図7に示す例では、スマート分電盤20は、n個の分岐回路21a・・・分岐回路21nを備える。スマート分電盤20は、n個の分岐回路21a・・・分岐回路21nそれぞれに供給して消費された電力量を計測している。スマート分電盤20は、計測した電力量(消費電力量)を示す電力情報を、情報処理装置10に送信する。
複数の分岐回路21は、複数の回路の一例であり、それぞれ1以上の電気機器30が接続され、接続された1以上の電気機器30に電力を供給している。複数の分岐回路21が供給した電力は、それぞれ接続された電気機器30において消費される。図7に示す例では、電気機器30a、電気機器30b、・・・電気機器30mがそれぞれ、複数の分岐回路21のいずれかに接続され、接続された分岐回路21から供給された電力を消費する。
[情報処理装置10の構成]
図7に示すように、情報処理装置10は、取得部101と、判定部102と、コマンド出力部と、第1通信部104と、第2通信部105と、を備える。ここで、情報処理装置10の最小構成部10Aは、取得部101と、判定部102と、コマンド出力部103とで構成される。
第1通信部104は、スマート分電盤20と通信を行い、スマート分電盤20が計測した電力情報を受信する。本実施の形態では、第1通信部104は、スマート分電盤20と通信を行い、スマート分電盤20が計測した複数の分岐回路21のそれぞれが供給した電力量を示す電力情報を受信する。
第2通信部105は、電気機器30の一と通信を行い、電気機器30の状態を変化させるコマンドを出力する。本実施の形態では、第2通信部105は、電気機器30の状態を変化させるコマンドとして、当該電気機器30の消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力する。
コマンド出力部103は、一の電気機器30に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力する。
本実施の形態では、コマンド出力部103は、判定部102で定常状態と判定されたときに、第2通信部105を介して、一の電気機器30に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力する。当該一の電気機器30に対して消費電力の変化を起こさせる当該コマンドは、当該一の電気機器30の電源状態をOFFからONに変化させるコマンドであってもよいし、当該一の電気機器30の電源状態をONからOFFに変化させるコマンドであってもよい。
なお、電気機器30と情報処理装置10との種類によっては、電気機器30は、情報処理装置10が出力するコマンドを理解できない場合がある。この場合、情報処理装置10は、当該コマンドを、例えば図7に示すコマンド変換機40を経由させて送ればよい。例えば、電気機器30が付属のリモコンから発行される赤外線信号を受信する能力がある一方で、LANによるIP通信等を行う能力がなく、且つ、情報処理装置10がLANによるIP通信以外の通信能力がないとする。この場合、情報処理装置10は、電気機器30に直接、当該コマンドを送っても電気機器30が当該コマンドを理解できないので、当該電気機器30は、消費電力を変化させる動作を行うことができない。そこで、情報処理装置10が、LANによるIP通信でコマンドを発行し、当該コマンドを、コマンド変換機40を経由させる。コマンド変換機40は、IP通信で受信した当該コマンドを赤外線信号に変換し、変換した赤外線信号を当該電気機器30に送信する。それにより、情報処理装置10は、間接的にではあるが電気機器30に当該コマンドを出力することで、当該電気機器30に消費電力の変化を起こさせることができる。
なお、情報処理装置10が直接当該の電気機器30に対してコマンドを発行できない場合は、コマンド出力部103が、ディスプレイやスピーカーなどのユーザーインターフェースを備える電気機器(図示せず)に対して、ユーザーに特定の操作を促すメッセージを出力するコマンドを発行してもよい。例えば、ユーザーインターフェースを備える電気機器のディスプレイに「電気機器30の電源をONにしてください」というメッセージを表示させるコマンドが挙げられる。また、ユーザーインターフェースを備える電気機器のスピーカーに「電気機器30の電源をONにしてください」という音声メッセージを出力させるコマンドが挙げられる。ユーザーがこのメッセージの指示に従うことにより、電気機器30の動作状態を変えることができ、間接的にではあるが電気機器30に消費電力の変化を起こさせることができる。ユーザーインターフェースを備える電気機器の例としては、スマートフォンを含む携帯電話機器やテレビ、タブレット、音楽プレーヤーやデジタルレコーダー、パーソナルコンピューターなどがある。なお、ユーザーインターフェースを持つ電気機器に対するコマンド信号の発信は、IP通信で直接的に行われてもよい。また、コマンド信号を発信する別の方法として、情報処理装置10から一旦インターネットのサーバにコマンドを発行し、ユーザーインターフェースを備える電気機器がサーバに接続されたときに情報処理装置10が発行したコマンド情報が発信されるようにしてもよい。
取得部101は、それぞれ1以上の電気機器30が接続されている複数の分岐回路21それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する。本実施の形態では、取得部101は、第1通信部104を経由してスマート分電盤20の各分岐回路21の電力情報を取得する。
判定部102は、取得部101で取得した複数の電力情報に基づいて、一の電気機器30と、当該一の電気機器30が接続されている分岐回路21との接続関係を判定する。判定部102は、取得部101で取得した複数の電力情報から、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定し、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定した場合に、コマンド出力部103に一の電気機器30に対するコマンドを出力させる。そして、判定部102は、取得部101が取得した複数の電力情報のうち、コマンド出力部103により出力された当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する分岐回路21を、当該一の電気機器30が接続されている分岐回路21と特定することにより、接続関係を判定する。判定部102は、このような判定を繰り返すことで、複数の分岐回路21それぞれと、複数の分岐回路21に接続されている1以上の電気機器30との対応関係を判定することができる。
図8は、実施の形態1における判定部102の詳細構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態では、判定部102は、図8に示すように、定常状態判定部1021と、検出部1022と、特定部1023と、記憶部1024と、接続関係判定部1025とを備える。
定常状態判定部1021は、取得部101が取得した複数の電力情報から、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定する。つまり、定常状態判定部1021は、取得部101が取得した複数の電力情報をもとに、各分岐回路21について、これからコマンド出力部103で出力させるコマンドに応じた消費電力の変化が観測可能な状態であるかどうか判定する処理(定常状態判定処理)を行う。本実施の形態では、定常状態判定部1021、例えば、所定期間における複数の分岐回路21それぞれの供給している電力量の変動が予め定められた値以下である場合に、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定する。また、別の例としては、一定期間における複数の分岐回路21それぞれの供給している電力量が、予め定められた上限値と下限値とで挟まれた範囲内から逸脱しない場合に、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定してもよい。
検出部1022は、定常状態判定部1021により複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定された場合に、コマンド出力部103に一の電気機器30に対するコマンドを出力させる。そして、検出部1022は、当該コマンドの出力後に取得部101が取得した複数の電力情報のうち、コマンド出力部103により出力された当該コマンドに応じた電力の変化が含まれている電力情報を検出する。
より具体的には、まず、検出部1022は、定常状態判定部1021により複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定された場合に、コマンド出力部103にコマンドを出力させる。コマンド出力部103がコマンド出力後、取得部101は、再度第1通信部104を経由してスマート分電盤20の電力情報を取得する。その後、検出部1022は、分岐回路21それぞれから取得した電力情報のうち非定常性が含まれている電力情報を検出する処理(非定常性検出処理)を行う。ここで、非定常性が含まれている電力情報とは、例えば当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報である。
本実施の形態では、検出部1022は、当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、コマンド出力部103が当該コマンドを発行した時刻から所定時間以内に、電力量の時間差分変化量の絶対値が予め定められた値以上となる電力変化を含む電力情報を検出する。
例えば、一の電気機器30に発行したコマンドが当該一の電気機器の電源状態をOFFからONにする指示である場合には、検出部1022は、コマンド出力部103が当該コマンドを発行した時刻から所定時間以内に一定以上に増加した電力変化量を含む電力情報を検出する。または反対に、例えば一の電気機器30に発行したコマンドが当該一の電気機器の電源状態をONからOFFにする指示である場合は、検出部1022は、コマンド出力部103が当該コマンドを発行した時刻から所定時間以内に電力変化量の絶対値が一定以上である減少する電力情報を検出するとしてもよい。
なお、検出部1022は、当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、コマンド出力部103が当該コマンドを発行した時刻から所定時間以内に、予め定められた下限値と上限値で挟まれた範囲を外れた値を含む電力情報を検出するとしてもよい。
例えば、一の電気機器30に発行したコマンドが当該一の電気機器の電源状態をOFFからONにする指示である場合には、検出部1022は、コマンド出力部103が当該コマンドを発行した時刻から予め定められた上限値を超えた電力量の値を含む電力情報を検出するとしてもよい。または反対に、例えば一の電気機器30に発行したコマンドが当該一の電気機器の電源状態をONからOFFにする指示である場合は、検出部1022は、コマンド出力部103が当該コマンドを発行した時刻から所定時間以内に予め定められた下限値を下回る電力量の値を含む電力情報を検出するとしてもよい。
なお、判定部102には、電気機器30と、機器の操作と、消費電力変化との関連を蓄積したデータベース(図示せず)が接続されていてもよく、検出部1022は当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、データベースに含まれている消費電力変化を検出してもよい。
例えば、電気機器を「照明機器」、機器の操作を「OFFからONにする」、消費電力変化を「1分以内に80〜110w消費電力が増え、その後は一定の消費電力になる」というような情報が前記DBに含まれている場合は、「1分以内に80〜110w消費電力が増え、その後は一定の消費電力になる」電力情報を、検出部1022は当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として検出する。なお前記DBで蓄積する電気機器の情報の粒度は、「洗濯機」「炊飯器」等といった一般的な製品分類の粒度でもよいし、「A社製洗濯機の型番XXX−XXの機種」のようにより細分化したものでもよい。
特定部1023は、検出部1022が検出した電力情報に対応する分岐回路21を、当該一の電気機器30が接続されている回路と特定する。
記憶部1024は、特定部1023により特定された分岐回路21と、当該一の電気機器30との対応付けを記憶する。
接続関係判定部1025は、記憶部1024において記憶された対応付けに基づいて、前記一の電気機器と、前記一の電気機器が接続されている回路との接続関係を判定する。また、接続関係判定部1025は、記憶部1024において記憶された対応付けに基づいて、複数の分岐回路21それぞれと、複数の分岐回路21に接続されている1以上の電気機器30との接続関係を判定する。
図9は、実施の形態1における情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
情報処理装置10は、図9に示すように、CPU、RAM、ROM、HA(Home Automation)インターフェース部、HA(Home Automation)端子、LANインターフェース部、LAN端子、無線通信インターフェース部、および、無線通信送受信アンテナで構成される。
CPU、RAM、ROM、HAインターフェース部、LANインターフェース部、および無線通信インターフェース部はIOバスを介して相互に接続されている。
CPUは、ROMに格納されたプログラムを実行し、情報処理装置10を統括制御する。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、CPUが実行するプログラムを記憶する。HA端子は、例えば、JEM−A端子である。ここで、JEM−A端子は、JEMA(日本電気工業会規格)の統一規格に適合したHA端子である。本実施の形態ではHA端子は、例えばJEM1427である。HAインターフェース部は、例えば、JEM−A端子の規格に適合する通信回路により構成される。
LAN端子は、例えば、1000BASE−Tや100BASE−TX等のLAN端子である。LANインターフェース部は、例えば、IEEE802.3等の有線LANの通信規格に適合する通信回路により構成される。本実施の形態では、LANインターフェース部およびLAN端子は、主に電気機器30やスマート分電盤20と通信する。なお、LANインターフェース部は、IEE802.11シリーズの無線LANの通信規格に適合する通信回路であってもよい。この場合、LAN端子としては無線LANのアンテナが採用される。
無線通信送受信アンテナは、例えば、デジタルコードレス電話の通信規格であるDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)に適合したアンテナにより構成される。
[ネットワークシステムの動作]
次に、以上のように構成された実施の形態1におけるネットワークシステム2の動作について説明する。
図10は、実施の形態1におけるネットワークシステム2の動作概要を示すシーケンス図である。
まず、情報処理装置10は、スマート分電盤20から、それぞれ1以上の電気機器が接続されている複数の分岐回路21それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する(S10)。
次に、情報処理装置10は、定常状態判定処理を行う(S11)。具体的には、情報処理装置10は、取得した複数の電力情報から、複数の分岐回路21(全分岐回路21)の供給している電力量の状態が定常状態であるかどうかを判定する。
情報処理装置10は、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定した場合に、一の電気機器30に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力する(S12)。
次に、当該一の電気機器30は、当該コマンドに従って、消費電力の変化を起こす動作を行う(S13)。ここで、スマート分電盤20は、分岐回路21それぞれに供給して消費された電力量を計測した電力情報を保持する。当該一の電気機器30は、複数の分岐回路21のいずれかに接続されているので、スマート分電盤20が保持する複数の電力情報の中には、当該一の電気機器30による消費電力の変化(S14)を含む電力情報がある。
次に、情報処理装置10は、取得した複数の電力情報に基づいて、非定常性検出処理を行う(S16)。具体的には、情報処理装置10は、取得した複数の電力情報のうち、出力された当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報を検出する。
そして、情報処理装置10は、検出した当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する分岐回路21を、上記一の電気機器30が接続されている分岐回路21と特定する。
このような処理(S10〜S16)を繰り返すことにより、情報処理装置10は、複数の分岐回路21と、1以上の電気機器30との接続関係を判定することができる。
[情報処理装置の詳細動作]
次に、情報処理装置10の処理の詳細について説明する。
図11は、実施の形態1における情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
以下では、ユーザーによる操作によりまたは定期的に、情報処理装置10が、分岐回路20と分岐回路21に接続されている電気機器30との接続関係を判定する場合の動作について説明する。
まず、情報処理装置10は、全分岐回路21の電力情報を取得する(S20)。より具体的には、情報処理装置10は、スマート分電盤20から、それぞれ1以上の電気機器が接続されている複数の分岐回路21それぞれが供給した電力量を示す電力情報を取得する。
次に、情報処理装置10は、全分岐回路21の定常状態判定処理を行う(S21)。より具体的には、情報処理装置10は、取得した全分岐回路21の全電力情報から、全分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であるかどうかを判定する。
情報処理装置10は、全分岐回路21が定常状態であると判定した場合に(S22でYes)、一の電気機器30である電気機器Dに対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力する(S23)。より具体的には、情報処理装置10は、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定した場合に、一の電気機器30(図では電気機器Dと表記)に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドを出力する。
本実施の形態では、全分岐回路21が定常状態である場合とは、全分岐回路21のそれぞれの電力情報により示される電力量の変動が少ない(変動が予め定めた値以下に含まれる)場合、および、全分岐回路21のそれぞれの電力情報により示される電力量の総電力量の変動が少ない場合を含む。ここで、図を用いて、一の分岐回路21が定常状態であると判定される場合の一例について説明する。
図12Aと図12Bは、実施の形態1における一の分岐回路21が定常状態であると判定される場合の一例を示す図である。図12Aと図12Bには、一の分岐回路21のそれぞれの電力情報が示す電力量の変動が示されている。図12Aによると、電力量の時間差分の値は小さく、電力量の時間差分の値が予め定められた値以下である。図12Bによると、電力量Pの値は予め定められた下限値と、上限値に挟まれた範囲を外れた値を含まない。つまり、図12には、一の全分岐回路21が定常状態である場合として、一の分岐回路21の電力情報により示される所定期間における電力量の変動が少ない場合の例が示されている。なお、電力量の変動が少ない場合には、変動がない場合(電力量が一定の場合)も含まれる。
以下、図11に戻り説明を続ける。
S22において、情報処理装置10は、全分岐回路21が定常状態ではないと判定した場合(S21でNo)、S20に戻る。より具体的には、情報処理装置10は、全分岐回路21のそれぞれの電力情報が示す電力量のうち1つでも定常状態でないと判定する場合、または全分岐回路21のそれぞれの電力情報が示す電力量の総電力量が定常状態でないと判定する場合、S20に戻る。
次に、情報処理装置10は、各分岐回路21の電力情報を再度取得し(S24)、非定常性検出処理を行う(S25)。より具体的には、S25において、まず、情報処理装置10は、全分岐回路21のうちの一(分岐回路Ci)の電力情報を選択する(S251)。続いて、情報処理装置10は、分岐回路Ciに対する非定常性検出処理を行う(S252)。S252において、情報処理装置10は、電気機器Dに対して出力されたコマンドに応じた消費電力の変化が分岐回路Ciの電力情報に含まれているかどうかを判定する。例えば、情報処理装置10は、当該コマンドを発行した時刻から所定時間における分岐回路Ciの電力情報により示される電力量の時間差分変化量の絶対値が予め定められた値以上であるかどうかの判定、または電力量が予め定められた下限値と上限値に挟まれた範囲を外れた値であるかの判定を行う。続いて、情報処理装置10は、分岐回路Ciの電力情報に非定常性が検出された場合(S253でYes)、分岐回路Ciが電気機器Dの接続されている分岐回路であると特定し、その対応付けを記憶して(S26)、処理を終了する。
一方、S253において、分岐回路Ciの電力情報に非定常性が検出されなかった場合(S253でNo)、情報処理装置10は、非定常性検出処理を行っていない分岐回路があるかどうかを判定する(S254)。非定常性検出処理を行っていない分岐回路がない場合には(S254でNo)S20に戻り処理を繰り返す。
一方、S254において、情報処理装置10が定常性検出処理を行っていない分岐回路がある場合(S254でYes)、情報処理装置10は、全分岐回路21のうちの分岐回路Ciとは異なる一の分岐回路Cjの電力情報を選択する(S255)。その後の処理は、上述したとおりであるので説明を省略する。
[実施の形態1の効果等]
以上のように、実施の形態によれば、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することのできる情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを実現できる。
より具体的には、電気機器の消費電力変化が計測できる定常状態をまず判定し、その後に当該電気機器に電力変化を起こさせる。それにより、当該電気機器が接続される回路を含む複数の回路の電力情報に基づいて、起こさせた消費電力の変化が含まれている電力情報に対応する回路が当該電機機器と接続された回路と特定することができる。このようにして、当該電気機器に電力変化を起こさせる。それにより、当該電気機器と、当該電気機器が接続される回路との接続関係を判定することができる。そして、このような判定を繰り返すことにより、複数の電気機器と1以上の電気機器と接続関係を判定することができる。なお、当該電気機器に電力変化としては、上述したように、例えば、電気機器の電源状態をOFFからONにしてもよいし、ONからOFFにしてもよい。
このように、本実施の形態の情報処理方法等によれば、分岐回路に接続された電気機器の電力変化をより確実に観測することができるので、コマンド発行した電気機器とその電力変化のタイミングとに基づいて、分岐回路と当該分岐回路に接続された電気機器の接続関係を特定することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、分岐回路で計測される電力量に変動があっても一定の範囲内に収まっている状態を定常状態と判定する場合の例について説明した。本実施の形態では、分岐回路で計測される電力量が規則的に変化するときにも定常状態と判定できる場合について説明する。
図13は、実施の形態2における電気機器が示す規則的な消費電力の変化を示す図である。
例えば電気機器が冷蔵庫である場合、冷蔵庫の機種によっては、冷却するためのコンプレッサが定期的に稼動および停止を繰り返す間欠動作を行う場合がある。この場合、冷蔵庫の消費電力は、コンプレッサが稼働しているときは高まり、コンプレッサが停止しているとき低くなる。冷蔵庫の扉の開け閉めが生じていないときや、庫外の気温が安定しているときには、例えば図13に示すように冷蔵庫の消費電力の変化は一定の周期Tで高低を繰り返す。
なお、電気機器が冷蔵庫である場合に限らず、電気機器が録画機器やテレビであっても、消費電力が規則的な変化する場合がある。例えば、録画機器やテレビの動作状態が通常省電力モードであるが、毎日同じ時間に電子番組表のデータを受信するなどで一定時間消費電力が高い動作状態となる場合も、消費電力が規則的な変化するとみなせる場合がある。
[情報処理装置の構成等]
本実施の形態における情報処理装置は、所定期間において電気機器の消費電力が規則的な変化をしている場合に、当該電気機器が消費する電力量の状態が定常状態であると判定する。なお、本実施の形態における情報処理装置は、実施の形態1における情報処理装置10に対して、判定部102Aの構成が異なる。
図14は、実施の形態2における判定部102Aの詳細構成の一例を示すブロック図である。図8と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図14に示す判定部102Aは、図8に示す判定部102に対して、定常状態判定部1021A、検出部1022Aおよび記憶部1024Aの動作が異なる。
記憶部1024Aは、特定部1023により特定された分岐回路21と、当該一の電気機器30との対応付けを記憶する。本実施の形態では、さらに、記憶部1024Aは、定常状態判定部1021Aが判定に用いる所定のパターンを記憶する。ここで、所定のパターンとは、例えば図12に示すような規則的な電力変化パターンを示すデータ(記憶デー
タ)である。
定常状態判定部1021Aは、取得部101が取得した複数の電力情報から、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定する。本実施の形態では、定常状態判定部1021Aは、複数の分岐回路21のうち、少なくとも一の分岐回路21が所定期間に供給している電力量の変動が所定のパターンを示す場合に、当該少なくとも一の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定し、かつ、複数の分岐回路21のうち当該少なくとも一の分岐回路21を除く複数の分岐回路21が上記所定期間に供給している電力量が定常状態であると判定した場合に、全分岐回路の供給している電力量の状態が定常状態であると判定する。
ここで、定常状態判定部1021Aが、一の分岐回路21が所定期間に供給している電力量の変動が所定のパターンを示すと判定する方法の一例について説明する。
図15は、実施の形態2における取得部101の取得した一の電力情報が示す電力量の一例を示す図である。なお、図15に示される一点鎖線は、図13に示す所定パターンである。図16Aおよび図16Bは、実施の形態2における定常状態判定部1021Aの判定処理を示すフローチャートである。なお、図16Aおよび図16Bにおいて、図11と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
定常状態判定部1021Aは、記憶部1024で記憶されている所定パターン(記憶データ)と取得部101が取得した一の電力情報が示す電力量(実データ)との類似性を判定し、類似していた場合に、取得部101が取得した一の電力情報が示す電力量が所定のパターンを示すと判定する。例えば、定常状態判定部1021Aは、所定期間における各時刻における記憶データと実データとの電力量の差分絶対値を足し合わせた値が予め定められた値以下である場合に、取得部101が取得した一の電力情報が示す電力量が所定のパターンを示すと判定し、当該一の電力情報が示す電力量が定常状態であると判定する。
この判定方法について、図15、図16Aおよび図16Bを用いて説明する。
S21の全分岐回路の定常状態判定処理において、定常状態判定部1021Aは、まず、全分岐回路21のうちの一(分岐回路Ci)の電力情報を選択する(S211)。
次に、定常状態判定部1021Aは、分岐回路Ciに対する定常状態判定処理を行う(S212)。
より具体的には、S212において、まず、定常状態判定部1021Aは、図16Bに示すように、分岐回路Ciの所定期間内における電力量の変動が予め定められた値以下であるか否かを判定する(S2121)。そうであれば(S2121でYes)、定常状態判定部1021Aは、実施の形態1で説明したように、分岐回路Ciの電力情報が示す電力量は定常状態であると判定する(S2122)。
一方、S2121において、分岐回路Ciの所定期間内における電力量の変動が予め定められた値以下でない場合(S2121でNo)、定常状態判定部1021Aは、本実施の形態における定常状態判定処理を行う。すなわち、定常状態判定部1021Aは、分岐回路Ciの所定期間内のサンプル点における記憶データと実データとの電力量の差(△P(i))を算出し(S2123)、総サンプル点における電力量の差の絶対値総和を算出する(S2124)。そして、定常状態判定部1021Aは、算出した絶対値総和が予め定められた値以下であるかを判定する(S2125)。図15において、所定期間は、例えば時刻t1〜時刻t2の間であり、時刻t1のときの記憶データと実データとの電力量の差がΔP(t1)で示されている。定常状態判定部1021Aは、時刻t1だけでなく各時刻ti(各サンプル点)における電力の差ΔP(ti)を求め、時刻t1〜時刻t2の間におけるサンプル点の電力量の差ΔP(ti)の絶対値を足し合わせた値を算出し、その値(絶対値総和)が予め定められた値を下回ったか判定する。
S2125において、算出した絶対値総和が予め定められた値以下であった場合(S2125でYes)に、定常状態判定部1021Aは、分岐回路Ciの電力情報が示す電力量は定常状態であると判定する(S2125)。
次に、定常状態判定部1021Aは、分岐回路Ciに対する定常状態判定処理を実行し、分岐回路Ciが定常状態であると判定されなかった場合には(S213でNo)、図11のS20に進む。
一方、定常状態判定部1021Aは、分岐回路Ciに対する定常状態判定処理を実行し、分岐回路Ciが定常状態であると判定された場合には(S213でYes)、全分岐回路の定常状態判定を行ったかどうかを判定し(S214)、まだであれば(S214でNo)、別の分岐回路Cjの電力情報を選択し(S215)、S212に戻り、S212の処理を行う。なお、定常状態判定部1021Aは、全分岐回路の定常状態判定を行った場合には(S214でYes)、図11のS20の処理に進む。
なお、上述した判定方法は、1つの分岐回路に冷蔵庫などの電気機器が1つ接続されている場合における判定方法として説明しているがそれに限らない。1つの分岐回路に複数の電気機器が接続されている場合でも、上記のような所定パターンにより判定可能ならば、適用できる。
検出部1022Aは、定常状態判定部1021Aにより複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定された場合に、コマンド出力部103に一の電気機器30に対するコマンドを出力させる。そして、検出部1022Aは、当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、コマンド出力部103が前記コマンドを発行した時刻から所定時間以内に、複数の分岐回路21のうち当該少なくとも一の分岐回路21を除く複数の分岐回路21の電力情報のうち、予め定められた値以上の電力量の時間差分変化量を含む電力情報を検出する。なお、検出部1022Aは、当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、所定時間以内の当該少なくとも一の分岐回路21の電力量情報のうち、当該所定のパターンの基準に対する、予め定められた値以上の電力量の時間差分変化量を含む電力情報を検出するとしてもよい。
特定部1023は、当該検出された電力情報に対応する回路を記一の電気機器が接続されている回路と特定する。
[実施の形態2の効果等]
以上のように、実施の形態2によれば、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することのできる情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを実現できる。
より具体的には、いずれかの分岐回路に消費電力変化を定期的に繰り返す冷蔵庫含む電気機器が接続されており、計測される分岐回路の電力量が規則的に変動しているとき、実施の形態1の定常状態判定処理では定常状態と判定しなかった。それに対して、実施の形態2の定常状態判定処理では、分岐回路で計測される電力量が規則的に変化するときにも定常状態と判定することができる。実施の形態2では、電気機器の中には、冷蔵庫などのように規則的に常に消費電力の変化を行うものがあるので、その電力量変化のパターンを学習することで、学習したパターン(所定のパターン)に類似していれば、常に消費電力の変化を行うものであっても定常状態と判定することができる。そして、全分岐回路の電力量情報から、該当する電力量変化のパターンを示す電力量情報を一旦除いて接続関係を判定することで、消費電力変化を定期的に繰り返す冷蔵庫含む電気機器が分岐回路に接続される場合でも接続関係の判定を行うことができる。なお、電力量変化のパターンを示す電力量情報においては、そのパターンを打ち消した上で、コマンドに応じた電力変化を検出することで、当該電力量情報の分岐回路に当該コマンドが出力された電気機器が接続されているか判定を行うことができる。
(実施の形態3)
一つの分岐回路に多くの電気機器が接続されているときには、分岐回路で計測される電力量の変化がなかなか安定しない場合がある。本実施の形態では、分岐回路で計測される電力量に変動があり、その変動が不規則であるときでも、接続関係の判定を行うことができる方法について説明する。
[情報処理装置の構成等]
本実施の形態における情報処理装置は、実施の形態1における情報処理装置10に対して、判定部102Bの構成が異なる。
図17は、実施の形態3における判定部102Bの詳細構成の一例を示すブロック図である。図8と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図17に示す判定部102BAは、図8に示す判定部102に対して、定常状態判定部1021B、検出部1022Bおよび記憶部1024Bの動作が異なる。
記憶部1024Bは、特定部1023により特定された分岐回路21と、当該一の電気機器30との対応付けを記憶する。本実施の形態では、さらに、記憶部1024Bは、定常状態判定部1021Bが判定に用いる特定のパターンを記憶する。ここで、特定のパターンとは、コマンド出力部103により対象の電気機器30に出力される複数のコマンドにより、当該対象の電気機器30に起こさせる消費電力の変化を想定したパターンである。例えば、ONからOFFに状態変化させるコマンドと、OFFからONに状態変化させるコマンドとを一定の周期で繰り返す、というものがコマンド出力部103により対象の電気機器30に出力される複数のコマンドであるときは、特定のパターンは、電力量の変化が一定の周期で同一の変化で複数回繰り返されるパターンであるとしてもよい。
定常状態判定部1021Bは、取得部101が取得した複数の電力情報から、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であるか否かを判定する。本実施の形態では、定常状態判定部1021Bは、複数の分岐回路21それぞれの供給している電力量の所定期間における変動が特定のパターンと整合しない場合に、複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定する。ここで、定常状態判定部1021Bは、複数の分岐回路21それぞれの供給している電力量の所定期間における変動が特定のパターンと類似しない場合に、特定のパターンと整合しないと判定してもよい。また、定常状態判定部1021Bは、複数の回路それぞれの供給している所定期間における電力量を一定周期ごとに合算させて得た値の時間差分変化量が予め定められた値以下である場合に、複数の分岐回路21それぞれの供給している電力量の所定期間における変動が特定のパターンと整合しないと判定してもよい。
検出部1022Bは、定常状態判定部1021Bにより複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定された場合に、コマンド出力部103に一の電気機器30に対する複数のコマンドを出力させる。当該一の電気機器30の消費電力は、コマンド出力部103により出力される複数のコマンドにより、上記の特定のパターンで変化する。
なお、この複数のコマンドは、例えば、当該一の電気機器30に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドとして、当該一の電気機器30に対して消費電力の変化を起こさせるためのコマンドセットであって種類と時間間隔の組の複数からなるコマンドセットであってもよい。また、複数のコマンドは、当該一の電気機器30に対して出力することで、当該一の電気機器30に消費電力量の変化パターンを生じさせることが目的である。そのため、コマンド出力部103は、当該一の電気機器30に消費電力を変化させることのできる単一のコマンドを発行することで特定のパターンに沿った消費電力の変化を起こしてもよいし、当該一の電気機器30に単純な動作変化を指示するコマンドを特定のパターンに沿うように、複数回発行するとしてもよい。
また、検出部1022Bは、当該複数のコマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報として、コマンド出力部103が複数のコマンドを発行した時刻から所定時間以内に、特定のパターンと整合する電力情報を検出する。より具体的には、検出部1022Bは、取得部101で取得した複数の分岐回路21の電力情報を調査し、コマンド出力部103が発行した複数のコマンドにより発生させようとした電力量の変化パターン(特定のパターン)に合致する電力情報を検出する。
特定部1023は、当該検出された電力情報に対応する回路を記一の電気機器が接続されている回路と特定する。
[コマンドセットの例]
次に、対象の一の電気機器の消費電力変化を特定のパターンで起こさせるためのコマンドセットについて説明する。
図18Aは、実施の形態3におけるコマンドセットの一例を示す図である。なお、図18Aに示すコマンドの種類と時間間隔との組は、例えば記憶部1024Bに記憶される。
図18Aには、コマンドセットとして、上から順にON、OFF、ONおよびOFFのコマンドが発行されることが示しており、時間として、先のコマンドを送ってからの時間間隔が示されている。また、ONのコマンドを発行したときに想定される電力変化は、消費電力が増加することであり、OFFのコマンドを発行したときに想定される電力変化は消費電力が減少することである。
図18Bは、図18Aに示すコマンドセットを発行したときに想定される電力変化パターンを示す図である。図18Bでは、30秒ごとに区切った電力変化パターンが示されており、消費電力が増加するときを「+」、消費電力が減少するときを「−」、消費電力変化がないときを「0」として示している。なお、図18Bに示す電力変化パターンは、特定のパターンの一例である。
[検出部の動作]
次に、定常状態判定部1021Bにより複数の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定された場合の検出部1022Bの動作について説明する。
図19は、実施の形態3における取得部101の取得した一の電力情報が示す電力量の一例を示す図である。図19では、横軸(時刻)を30秒ごとに区切って、予め定められた値より消費電力の値が増加した区間に「+」、予め定められた数値よりも消費電力の値が減少した区間に「−」、予め定められた値以下でしか消費電力が変わらなかった区間に「0」を付与している。
まず、検出部1022Bは、定常状態判定部1021Bにより全分岐回路21が定常状態であると判定されたので、コマンド出力部103に一の電気機器30に対して、図18Aにコマンドセットを出力させたとする。また、取得部101により取得された一の電力情報の示す電力量が図19で示されるものであったとする。
この場合、検出部1022Bは、取得部101が取得した複数の電力情報のうち、特定のパターンと整合する電力情報があれば、それを検出する。本実施の形態では、検出部1022Bは、図18Bに示される30秒ごとの区間における「+」、「−」および「0」のパターン(特定のパターン)と、図19に示される30秒ごとの区間に付与された「+」、「−」および「0」のパターン(電力情報)とが類似している場合に、図19に示すパターン(電力情報)と、図18Bに示される特定のパターンとが整合すると判断することができる。
なお、図18Bのパターンと図19のパターンの類似性は、編集距離と呼ばれる概念を基に判定できる。図18Bのパターン(パターン1)から電力変化のマークを置き換える、挿入する、削除することを繰り返して図19のパターン(パターン2)に変えた際、マークの置き換え、挿入、削除の度に予め定められた数値を加算していって、その加算された値が最小のものを編集距離とすることができる。例えば、置換え、挿入、削除のコストをそれぞれ1とした場合、パターン1「+−00+0−」からパターン2「+−000+−」に変換するためには、パターン1の5番目に「0」を挿入し、その後7番目の「0」を削除することでパターン2になる。すなわち、パターン1とパターン2の編集距離は2と判定できる。そして、判定した編集距離が予め定められた値以下のときに、パターン1とパターン2とが類似していると判定することができる。
[実施の形態3の効果等]
以上のように、実施の形態3によれば、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することのできる情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを実現できる。
より具体的には、実施の形態3によれば、これから送信しようとする複数のコマンドセットにより予想される電力量変化のパターン(特定のパターン)と区別できるときに、全回路が定常状態であると判定するなど、定常状態を幅広くとらえることができる。そして、定常状態であると判定できた場合に、上記のコマンドセットを出力し、一の分岐回路で計測される電力量変化のパターンが出力したコマンドセットに応じた特定のパターンと整合していれば、当該一の分岐回路がコマンドセットを出力した電気機器と接続されていると特定することができる。
このように、実施の形態3によれば、分岐回路で計測される電力量に変動があり、その変動が不規則であるときでも、接続関係の判定を行うことができる。
なお、接続関係を判定したい電気機器に特定のパターンで消費電力の変化をさせるコマンドがない場合でも、単純な動作変化を指示するコマンドを所定の時間間隔とパターンで出力することで電気機器に特定のパターンで消費電力の変化をさせるとしてもよい。
(実施の形態4)
一つの分岐回路に多くの電気機器が接続されているときには、分岐回路で計測される電力変化がなかなか安定しない場合がある。しかし、分岐回路で計測される電力量に変動があっても、その変動に周期性が無い場合は、周期的に重ね合わせることで、各時点での増加する変動と減少する変動とが打ち消され、重ね合わせた電力量の変化量が小さくなり、変化が安定することがある。本実施の形態では、この場合において接続関係の判定を行うことができる方法について説明する。
[情報処理装置の構成等]
本実施の形態における情報処理装置は、所定期間において電気機器の消費電力が特定の周期における周期性がないときに当該電気機器が消費する電力量の状態が定常状態であると判定する。なお、本実施の形態における情報処理装置は、実施の形態1における情報処理装置10に対して、判定部102Aの構成が異なる。
図22は、実施の形態4における判定部102Cの詳細構成の一例を示すブロック図である。図8と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図22に示す判定部102Cは、図8に示す判定部102に対して、定常状態判定部1021C、検出部1022Cの動作が異なる。
定常状態判定部1021Cは、電力データを特定の周期で重ね合わせた時に、重ね合わせた電力の変動が予め定められた値以下である場合に、当該少なくとも一の分岐回路21の供給している電力量の状態が定常状態であると判定し、かつ、複数の分岐回路21のうち当該少なくとも一の分岐回路21を除く複数の分岐回路21が上記所定期間に供給している電力量が定常状態であると判定したときに、全分岐回路の供給している電力量の状態が定常状態であると判定する。
図20Aおよび図20Bは、実施の形態4における一の分岐回路21が定常状態であると判定される場合の一例を示す図である。図20Bには、図20Aに示す一の分岐回路21の電力情報が示す電力量の変動が特定周期10で重ね合わせたものが示されている。図20Bに示される重ね合わせた電力の変動が予め定められた値以下である場合、図20Aは一の分岐回路21が定常状態である場合すなわち一の分岐回路21の電力情報により示される所定期間における電力量の変動が少ない場合の一例として示されていることになる。
したがって、本実施の形態における情報処理装置は、それぞれの分岐回路21において、特定の周期で重ね合わせたときに重ね合わせた電力の変化量が予め定められた値以下である場合に、全分岐回路21が定常状態であると判定すればよい。
また、本実施の形態における情報処理装置は、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドとして、一の電気機器に特定周期でONとOFFを繰り返させるコマンドセットを出力するとしてもよい。
図21Aは、実施の形態4におけるコマンドセットを図20Aに示す一の電気機器に発行したときの消費電力の変動の一例を示す図である。図21Bは、図21Aを特定の周期10で重ね合わせたものが示されている。
図21Aに示される消費電力では変動が不規則かつ変動が大きく、このままでは、コマンドセットに応じた消費電力の変化を検出できない。つまり、図21Aでは、本実施の形態のコマンドセットに従って図20Aに示す一の電気機器がONおよびOFFの電源状態の変化を特定周期で周期的に行うことで、計測される一の分岐回路の電力量の変動が示されているが、このままではコマンドセットに応じた消費電力の変化を検出できない。
そこで、図21Aを特定周期で重ね合わせることにより、当該一の電気機器のONおよびOFFの電源状態の変化のタイミングを重ねることができるので、図21Bに示すように、当該一の電気機器の消費電力の変化を増幅、かつ、消費電力の変動を打ち消すことができる。このようにすることで、コマンドセットの発行に応じて消費電力の変化が発生した分岐回路21を特定しやすくなる。なお、図21Bに示す例では特定周期で重ね合わせることとしたが、フーリエ変換などで周波数成分に分解して特定周期の消費電力の変化を判定してもよい。
[実施の形態4の効果等]
以上のように、実施の形態4によれば、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することのできる情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを実現できる。
より具体的には、本実施の形態の情報処理方法等によれば、コマンドセットを一の電気機器に出力することにより、当該一の電気機器の動作状態の変化を一定の周期(特定周期)で繰り返させる。そして、分岐回路で計測される電力変化の履歴を当該特定周期にて重ね合わせることで電源をOFFからONにする状態変化、ONからOFFにする状態変化を行ったタイミングを重ねる。
より詳細には、当該一の電気機器の電源状態をOFFからONにした直後は、当該一の電気機器が接続されている分岐回路の消費電力は増加し、当該一の電気機器の電源状態をONからOFFにした直後には、当該一の電気機器が接続されている分岐回路の消費電力が減少することが予想される。しかし、当該一の電気機器が接続されている分岐回路の消費電力の変動が不規則かつ大きく、このままでは、コマンドセットに応じた消費電力の変化を検出できない。そのため、本実施の形態では、分岐回路で計測される電力変化の履歴を当該特定周期にて重ね合わせることでコマンドセットの発行に応じた当該一の電気機器の消費電力の変化により計測される消費電力の変化を増幅、かつ、その消費電力の変動を打ち消すことができる。すなわち、コマンドセットの発行に応じて消費電力の変化が発生した分岐回路を特定しやすくなる。
このようにして、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することができる。
以上のように、本開示によれば、電力供給する回路とその回路に接続された電気機器との接続関係をより確実に判定することのできる情報処理方法等を実現することができる。
具体的には、本開示の情報処理方法によれば、各分岐回路で計測される供給電力(消費電力)が一定または、各分岐回路で計測され、特定周期で重ね合わせたときの供給電力(消費電力)が一定であるときを、電力変化を観測(計測)しやすい定常状態と判定する。また、本開示の情報処理方法によれば、一の電気機器に対して消費電力の変化を起こさせるコマンドは、単一のコマンドでも単一のコマンドを複数発行するコマンドセットでも、所定の消費電力の変化パターンを起こさせるコマンドセットでもよい。
また、当該コマンドに応じた消費電力の変化を起こさせる動作としては、一の電気機器の電源状態をOFFからON若しくはOFFからONにさせるとしてもよいし、一の電気機器の電源状態をOFFからONにして、さらにOFFにさせるとしてもよい。また、一の電気機器の電源状態を特定周期で繰り返しON/OFFさせてもよいし、特定のパターンで電源状態を変化させるとしてもよい。
なお、分岐回路と当該分岐回路に接続する電気機器との接続関係の判定精度が低い場合も考えられる。例えば、非定常性検出処理で用いた判定基準の数値に近い場合は、当該コマンドに応じた消費電力の変化が含まれている電力情報の検出精度が低いと判断し、一定時間後の定常状態判定時に再度、接続関係を判定するとすればよい。
また、一度接続関係を判定した場合でも、ユーザーによる部屋の模様替えなどで電気機器が当初の分岐回路と異なる分岐回路に接続される場合も考えられる。
そのため、1)ユーザーがAiSEG(登録商標)などのホームサーバ経由で操作を行い、
電気機器の電源をONにしたときに、電気機器が当初の分岐回路と異なる分岐回路に接続されている検出してもよい。この場合、ホームサーバは、ユーザーによる操作に従って当該電気機器にONの制御信号を発する前に、全分岐回路が定常状態であるかを判定する。そして、2)全分岐回路が定常状態であると判定されたにもかかわらず、当該電気機器にONの制御信号を送っても、判定された接続関係により、当該電気機器が接続されているはずの分岐回路の消費電力が変わらないことを検出したとする。本開示の情報処理方法等では、これら1)および2)が一定の期間で一定の回数以上生じたとき、接続関係が変更されていると崩れたと推定し、再度、接続関係を判定するとすればよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
(その他の変形例)
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る分岐回路と電気機器の接続関係の解決方法を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システ
ムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。