JP2019069991A - 膀胱痙攣を低減するための医薬製剤およびその使用の方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】膀胱痙攣を患う男性および女性対象の治療を目的とした組成物および方法の提供。【解決手段】アセトアミノフェンの有効量および少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の有効量を含む組成物の、対象における膀胱痙攣を低減するための医薬薬剤の製造のための使用であって、更に、該組成物が、プロスタグランジントランスポーター活性の阻害剤、プロスタグランジントランスポーター発現の阻害剤、プロスタグランジン受容体発現の阻害剤、抗利尿剤、およびゾルピデムから成る群から選択される一つまたはそれ以上を含む、前記使用。【選択図】図1
Description
本願は、全般的に膀胱痙攣の発生および/または頻度を低減するための方法および組成物に関する。
排尿筋は、らせん状、長軸方向および輪状の束に配列された平滑筋線維よりなる膀胱壁の層である。膀胱が伸展すると、これが副交感神経系にシグナルを送って排尿筋を収縮させる。これにより膀胱は尿道を経て尿を排出するよう促される。
ヒト成人の膀胱は通常約300〜350mLの尿(実働容量)を保持するものの、満量の成人膀胱は、個人によって異なるが、約1000mL(絶対容量)まで保持しうる。尿が蓄積するにつれ、膀胱壁のしわ(襞)によって生成される隆起が平坦化し、また膀胱壁が伸長するにつれて薄くなるので、膀胱は内部圧の著しい上昇を伴うことなくより大量の尿を蓄積することができる。
尿が膀胱から出るためには、自律的に制御される内括約筋および随意的に制御される外括約筋が開かなければならない。これらの筋肉の問題は失禁につながることがある。尿の量が膀胱の絶対容量の100%に達すれば、随意括約筋が不随意になると共に、直ちに尿が排泄されるであろう。
通常、膀胱が緩やかに尿で満たされるにつれて、排尿する必要性を徐々に認識するようになる。この感覚は、トイレを探し始める合図となる。しかし膀胱痙攣を有する人では、その感覚は突発的且つしばしば重度に発生する。痙攣自体は、突発的で不随意な筋肉の圧迫である。膀胱痙攣、または「排尿筋収縮」は、膀胱筋が前触れなく突然圧迫する際に発生し、緊喫の排尿の必要を引き起こす。痙攣により膀胱から尿が押し出されて漏出を引き起こすことがあり、また極度の疼痛を伴うこともある。膀胱痙攣が発生すると、膀胱はランダムに、あたかも患者が排尿直前であるかのように収縮する。患者は排尿が必要であると感じ、また多少の漏出が生じることもある。痙攣は激しく、患者はそれを引きつりになぞらえることもある。
膀胱痙攣は高齢者に特に多いものの、小児および妊婦、さらには動物で発生することもある。膀胱痙攣によって、連続した十分な休息時間に睡眠を取る能力を含む、正常な活動が妨害されうる。
そのような痙攣を経験した人は、それを痙攣痛と、また時に熱感と述べる。重度の膀胱痙攣を有する女性の一部は、筋肉の収縮を重度の月経痙攣、またさらには出産時に経験する陣痛にさえなぞらえる。一部の例では、尿意の上昇は、男性の良性前立腺肥大または前立腺癌、または女性の妊娠などの医学的状態に随伴することもある。
したがって、膀胱痙攣を患う男性および女性対象の治療を目的とした組成物および方法に対するニーズが存在する。
本願の1つの態様は、対象における膀胱痙攣を低減するための方法に関する。方法は、それを必要とする対象に、アセトアミノフェンの有効量および少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の有効量を含む医薬組成物を投与することを含む。
他の態様は、対象における膀胱痙攣を低減するための方法であって、それを必要とする対象に、少なくとも1つのプロスタグランジン(PG)経路阻害剤の有効量を含む医薬組成物を投与することを含む方法であって、少なくとも1つのPG経路阻害剤がアセトアミノフェンまたはNSAIDでない方法に関する。
他の態様は、膀胱痙攣を治療するための医薬組成物であって、アセトアミノフェン;1つまたはそれ以上のNSAID;および医薬上許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
さらなる態様は、膀胱痙攣を治療するための医薬組成物であって、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤;および医薬上許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
以下の発明を実施するための形態は、任意の当業者が本発明を作製および使用することを可能とするために提示される。説明を目的として、本発明の完全な理解を提供するために具体的な用語が示される。しかし、これらの具体的な詳細は本発明を実践するために必要とされないことが、当業者に対して明らかとなる。具体的な適用の記載は、典型的な実施例としてのみ提供される。本発明は、提示する実施形態に限定されることではなく、本願に開示される原理および特徴と一致する可能な限り最も幅広い範囲で一致することを意図する。
本願で用いる用語「膀胱痙攣」は、排尿筋の突発的で不随意的な圧迫を意味する。一部の実施形態においては、用語「膀胱痙攣」は疼痛を伴う排尿筋の突発的で不随意的な圧迫を意味する。用語「膀胱痙攣」は、一般的に不随意的な尿の漏出を意味する用語「尿失禁」、または一般的に突発的な排尿衝動を引き起こす膀胱蓄尿機能の問題を意味する用語「過活動膀胱」と識別可能である。
本願で用いる用語「NSAID」は「非ステロイド系抗炎症剤(non−steroidal anti−inflammatory drug)の頭字語であり、鎮痛、解熱効果(意識を損なうことなく上昇した体温を下降させるとともに疼痛を軽減する)を伴い、またより高い用量では抗炎症効果(炎症の低減)を伴う治療薬剤である。用語「非ステロイド系」は、(他の幅広い作用の中でもとりわけ)類似したエイコサノイド抑制抗炎症作用を有するこれらの薬剤を、ステロイドと識別するために用いられる。鎮痛剤として、NSAIDは非麻薬性である点が特異である。NSAIDはアスピリン、イブプロフェン、およびナプロキセンを含む。NSAIDは、通常、疼痛および炎症が存在する急性または慢性状態の治療を適応とする。NSAIDは、一般的に、以下の状態の症状の軽減を適応とする:関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性関節症(例:強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、急性痛風、月経困難症、転移性骨痛、頭痛および片頭痛、術後疼痛、炎症および組織損傷による軽〜中等度疼痛、発熱、イレウス、および腎疝痛)。大半のNSAIDは酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤として作用し、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)同位酵素の双方を阻害する。シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸(それ自体はホスホリパーゼA2によって細胞リン脂質二重膜から誘導される)からのプロスタグランジンおよびトロンボキサンの形成を触媒する。プロスタグランジンは(とりわけ)炎症のプロセスにおけるメッセンジャー分子として作用する。COX−2阻害剤はセレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、ロフェコキシブ、およびバルデコキシブを含む。
用語「プロスタグランジン(PG)」は、脂肪酸から酵素的に誘導され、且つ対象における平滑筋組織の収縮と弛緩を調節するなどの、多様な生理学的効果を有する脂質化合物群を意味する。各プロスタグランジンは、五炭素環を含む20個の炭素原子を含む。プロスタグランジンの例は、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタグランジンD2、プロスタグランジンI2(PGI2、プロスタサイクリン)、およびプロスタグランジンF2α(PGF2α)を含む。
本願で用いる用語「プロスタグランジン(PG)経路阻害剤」は、標的組織上でPGの合成または作用に関与する1つまたはそれ以上の成分と直接的または間接的に相互作用し、且つ標的組織上でプロスタグランジンのレベルまたは最終的作用に干渉する薬剤を意味する。PG経路阻害剤はPG阻害剤、プロスタグランジントランスポーター(PGT)阻害剤、およびプロスタグランジン受容体(PGR)阻害剤を含むが、これに限定されない。しかし用語「PG経路阻害剤」は、本願に定義する鎮痛剤またはNSAIDを含まない。
本願で用いる用語「PG阻害剤」は、PG合成の阻害剤およびPG活性の阻害剤を含むが、これに限定されない。本願で用いる用語「PG合成の阻害剤」は、ホスホリパーゼA2、プロスタグランジンシンターゼおよび組織特異的イソメラーゼ、およびトロンボキサンシンターゼ、PGFシンターゼ、サイトゾルPGシンターゼ(cPGES)、プロスタグランジンIシンターゼ(PGIS)、およびミクロソームPEGS酵素(mPGES)などのシンターゼ酵素の発現または活性を阻害する薬剤などの、プロスタグランジンの産生を阻害する薬剤を意味する。PG合成阻害剤の例はフルニキシンメグルミンを含む。本願で用いる用語「PG合成の阻害剤」または「PG合成阻害剤」は、本願に定義する鎮痛剤またはNSAIDを含まない。
本願で用いる用語「PG活性の阻害剤」は、任意の手段でプロスタグランジン自体の作用と拮抗する薬剤を意味する。プロスタグランジンシンターゼの作用には干渉するが、プロスタグランジンの作用には干渉しないことなどによって、プロスタグランジンの合成にのみ干渉する薬剤は、本明細書で用いるPG活性の阻害剤の定義内に含まれない。
本願で用いる用語「PTG阻害剤」は、ATP依存性多剤耐性(MDR)トランスポーター4、またはABCC1、ABCC2、ABCC3、ABCC6、ABCG2およびABCB11などの他のMDRチャネルなどの、PGトランスポーターの発現または活性を阻害する薬剤を意味する。PGT活性を阻害するPGT阻害剤の例は、トリアジン化合物、ベラパミル、およびカルシウムチャネル遮断剤などのMDR膜ポンプを阻害する化合物を含むが、これに限定されず;チャネルはキニジン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アジスロマイシン、バルスポダール、シクロスポリン、エラクリダール、フミトレモルギン−C、ゲフィチニブ、およびエリスロマイシンを含む。PGT発現を阻害するPGT阻害剤の例は、プロモーター領域および/またはプロモーターと結合する転写因子、または他の遺伝子制御領域を標的とすることによりMDR遺伝子の転写を制御する薬剤を含むが、これに限定されない。本願で用いる用語「PGR阻害剤」は、PGRの活性または発現を阻害する薬剤を意味する。一部の実施形態においては、PGRは、PGE受容体のEプロスタノイド受容体(EP)1、EP2、EP3、およびEP4サブタイプ;PGD受容体(DP1);PGF受容体(FP);PGI受容体(IP);およびトロンボキサン受容体(TP)を含む。オルタナティブスプライシングによって、そのC末端テールのみが異なるヒトTPの2つの追加的アイソフォーム(TPαおよびTPβ)、およびFP(FPAおよびFPB)および8つのEP3変異体が生成される。一部の実施形態においては、PGRは、化学誘引物質受容体相同分子(chemo−attractant receptor−homologous molecule:CRHME)と命名されたGタンパク質共役受容体をさらに含む。他の実施形態においては、PGRはロドプシン様7−膜貫通Gタンパク質共役受容体を活性化する受容体を全て含む。
PGR活性阻害剤の例は、抗PGR抗体、およびGタンパク質共役受容体シグナリング経路を阻害する任意の薬剤を含むが、これに限定されない PGR発現阻害剤は、転写レベル、翻訳レベル、または転写後レベルでPGR発現を阻害する薬剤を含む。PGR発現阻害剤の例は抗PGR siRNAおよびmiRNAを含むが、これに限定されない。
本願で用いる用語「有効量」は、選択された結果を達成するために必要な量を意味する。
本願で用いる用語「鎮痛剤」は、疼痛を緩和するために用いられる物質、化合物または薬剤を意味し、抗炎症化合物を含む。典型的な鎮痛剤および/または抗炎症剤、化合物または薬剤は非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、サリチレート類、アスピリン、サリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、パラアミノフェノール誘導体、アセトアニリド、アセトアミノフェン、フェナセチン、フェナメート類、メフェナム酸、メクロフェナメート、メクロフェナム酸ナトリウム、ヘテロアリール酢酸誘導体、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、プロピオン酸誘導体、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン;エノール酸、オキシカム誘導体、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、ピラゾロン誘導体、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、ジピロン、コキシブ類、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ナブメトン、アパゾン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、イソブチルフェニルプロピオン酸、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、チラコキシブ、エトドラク、ダルブフェロン、デクスケトプロフェン、アセクロフェナク、リコフェロン、ブロムフェナク、ロキソプロフェン、プラノプロフェン、ピロキシカム、ニメスリド、シゾリリン、3−ホルミルアミノ−7−メチルスルホニルアミノ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、メロキシカム、ロルノキシカム、d−インドブフェン、モフェゾラク、アムトルメチン、プラノプロフェン、トルフェナム酸、フルルビプロフェン、スプロフェン、オキサプロジン、ザルトプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、その医薬的塩、その水和物、およびその溶媒和物を含むが、これに限定されない。
本願で用いる用語「コキシブ」は、COX1またはCOX2酵素の活性または発現を阻害することが可能な化合物または化合物の組成物を意味する。
本願で用いる用語「誘導体」は、化学的に修飾された化合物であって、酸のエステルまたはアミド、またはアルコールまたはチオールに対するベンジル基またはアミンに対するtert−ブトキシカルボニル基などの保護基といったその修飾が、通常の技能を有する化学者によって常用的と見なされる化合物を意味する。
本願で用いる用語「アナログ」は、特定の化合物またはそのクラスの化学的に修飾された形態を含み且つ前記化合物またはクラスに特徴的な、薬剤学的および/または薬理学的活性を維持する化合物を意味する。
本願で用いる用語「医薬上許容可能な塩」は、親化合物がその酸性または塩基塩を作ることによって修飾される、開示された化合物の誘導体を意味する。医薬上許容可能な塩の例は、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などを含むが、これに限定されない。医薬上許容可能な塩は、たとえば、通常の無毒性塩、または無毒性無機または有機酸などから形成される親化合物の四級アンモニウム塩を含む。たとえば、そのような通常の無毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されるもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などといった有機酸から調製される塩を含む。
本願に用いる語句「医薬上許容可能な」は、正常な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症を伴うことなく、合理的なベネフィット/リスク比に見合う、ヒトおよび動物の組織と接触した使用に適した化合物、材料、組成物および/または製剤に関して用いられる。
用語「即時放出」は、本願においては溶解速度制御材料を含有しない医薬製剤に関して用いられる。即時放出製剤の投与後の有効物質の放出には、ほとんど遅延はない。即時放出コーティングは、その中の薬剤内容物を放出するために、投与直後に溶解する適切な材料を含みうる。一部の実施形態においては、用語「即時放出」は、有効成分を患者への投与後10分、20分、30分、40分50分、60分、90分または120分未満に放出する医薬製剤に関して用いられる。
本願で用いる用語「延長放出」は、持続放出(SR)、持続作用(SA)、時間放出(TR)、制御放出(CR)、修飾放出(MR)または連続放出(CR)の別名でも知られ、緩徐に溶解し且つ時間をかけて有効成分を放出する医薬錠剤またはカプセル剤において用いられるメカニズムを意味する。延長放出錠剤またはカプセル剤の利点は、同じ薬剤の即時放出製剤よりも服用頻度を低くすることができることが多く、且つ血流中の薬剤のレベルをより一定に保つことによって、薬剤作用の持続時間を延長しかつ血流中の薬剤のピーク量を低下させることである。一部の実施形態においては、用語「延長放出」は、患者への投与後に、錠剤またはカプセル中の有効成分が2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22または24時間の間にわたって、連続的またはパルス状に放出される放出プロフィールを意味する。
本願で用いる用語「遅延放出」は、医薬組成物の有効成分の放出が、医薬組成物の投与後の所与の時間(例:1,2,3,4または5時間)遅延または延期される薬剤放出プロフィールを意味する。
本願で用いる用語「遅延延長放出」は、医薬組成物の有効成分の放出が、医薬組成物の投与後の所与の時間(例:1、2、3、4または5時間の遅延時間、または胃通過後)遅延または延期される薬剤放出プロフィールを意味する。一旦放出が始まると、有効成分は時間をかけて緩徐に(例:2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22または24時間にわたって)、連続的またはパルス状に放出される。
本願で用いる用語「口腔崩壊製剤」は、口腔内で速やかに崩壊または溶解する製剤を意味する。口腔崩壊製剤は、全体を嚥下するのではなく、舌の上で溶解するようデザインされているという点で、従来の錠剤と異なる。一部の実施形態においては、口腔崩壊製剤は、さらに水を用いることなく(すなわち唾液だけで)、5、10、20、30、60、90、120、180、240または300秒で、口腔内において完全に崩壊または溶解するようデザインされている。
(膀胱痙攣を低減するための方法)
本願の1つの態様は、それを必要とする対象に対し、アセトアミノフェンおよび少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の有効量を投与することにより、膀胱痙攣を低減するための方法に関する。本願の他の態様は、それを必要とする対象に対し、アセトアミノフェンおよび少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の有効量を投与することにより、尿失禁および/または過活動膀胱を治療するための方法に関する。
本願の1つの態様は、それを必要とする対象に対し、アセトアミノフェンおよび少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の有効量を投与することにより、膀胱痙攣を低減するための方法に関する。本願の他の態様は、それを必要とする対象に対し、アセトアミノフェンおよび少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の有効量を投与することにより、尿失禁および/または過活動膀胱を治療するための方法に関する。
NSAIDは、その化学構造および作用機序に基づき以下の群に分類される:i)アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブプロフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イオキソプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミクロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキソプロフェン、プラノプロフェン、スプロプロフェン、チアプロフェン、チオキサプロフェン、ザルトプロフェン、およびその塩などのプロピオン酸誘導体;ii)アスピリン、コリンマグネシウムトリサリチル酸、ジフルニサル、オルサラジン、サルサレート、およびスルファサラジンおよびその塩などのサリチル酸誘導体;iii)アセクロフェナク、アセメタシン、アムフェナク、ジクロフェナク、エトドラク、フェンブフェン、インドメタシン、ケトロラク、ルミラコキシブ、ナブメトン、マレイン酸プログルメタシン、スリンダク、テトラデシルチオ酢酸、トルメチンおよびその塩などの酢酸誘導体;iv)メクロフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸およびその塩などのフェナム酸誘導体;v)ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカムおよびその塩などのエノール酸(オキシカム)誘導体;vi)セレコキシブ、エトリコキシブ、フロスリド、ルミラコキシブ、ニメスリド、パレコキシブ、パレコキシブナトリウム、ロフェコキシブ、スルホンアニリド類、バルデコキシブ、o−(アセトキシフェニル)ヘプト−2−イニル−2−スルフィド(APHS)、DuP−697、JTE−522、L−745337、L−748780、L−761066、N−[2−(シクロヘキシルオキシ)−4−ニトロフェニル]−メタンスルフォンアミド(NS−398)、RS−57067、S−2474、SC−57666.SC−58125およびその塩などのCOX−2阻害剤。
典型的なNSAIDSはアセクロフェナク、アセメタシン アルミノプロフェン、アロキシプリン、アンピロキシカム、アムトルメチングアシル、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロムフェナク、ブロムフェナル(bromfenal)、ブフェキサマク、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、コリンマグネシウムトリサリチル酸、クロニキシン、ダルブフェロン、デスオキシスリンダク、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジピオン、ドロキシカム、エトドラク、エトフェナメート、エトリコキシブ、フェルビナク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フィロコキシブ、フロクタフェニン、フルフェナム酸、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトララク、ケトロラク、リコフェロン、ロモキシカム、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メクロフェナメート、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、モルニフルメート、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ネブメトン、ネパフェナク、ニフルム酸、ニメスリド、オキサプロゼン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピケトプロフェン、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プリアゾラク、プロピフェナゾン、プロカゾン、ロフェコキシブ、サラレート(サルサレート)、サリチルアミド、サリチレート類(例:コリンサリチル酸、サリチル酸マグネシウム、コリンマグネシウムサリチル酸、サリチル酸ナトリウム、コリンマグネシウムトリサリチル酸など)、サリチル酸、サリチル酸類(例:アスピリン/アセチルサリチル酸など)、サルサレート、メクロフェナム酸ナトリウム、チオサリチル酸ナトリウム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、テノキシカム、チアプロフェン酸、チラコキシブ、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、サリチル酸トロラミン、バルデコキシブ、ザルトプロフェン、ゾメピラク、その塩およびその組み合わせを含むが、これに限定されない。
一定の実施形態においては、投与の前に、対象が膀胱痙攣を特徴とする状態を有すると診断してもよく、本発明に従った医薬組成物を対象に処方してもよい。
他の実施形態においては、医薬組成物は1つまたはそれ以上のプロスタグランジン(PG)経路阻害剤を含む。1つの実施形態においては、PG経路阻害剤はPGシンセターゼの阻害剤である。PG合成の阻害剤の例は、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)を含む。
他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤はPGR活性の阻害剤を含む。PG活性の阻害剤の例は、PGとその受容体:EP1、EP2、EP3、EP4、DP1、DP2、FP2、IPおよびTPのいずれかとの結合を遮断する薬剤を含むが、これに限定されない。そのような阻害剤の例は、ロシュが開発したIP受容体阻害剤:RO3244019、EP1受容体拮抗剤であるONO−85−39、EP1およびEP2受容体二重拮抗剤AH6809、およびEP4拮抗剤RQ−15986を含むが、これに限定されない。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤はPGT阻害剤を含む。一定の実施形態においては、PGT阻害剤はPGT活性阻害剤である。PGT活性阻害剤の例は、抗PGT抗体、およびATP−依存性多剤耐性トランスポーター4またはPGを輸送することが示されている関連MDRポンプを阻害することのできる任意の既知の化合物を含むが、これに限定されない。他の実施形態においては、PGT阻害剤はPGT発現阻害剤である。PGT発現阻害剤の例は抗PGT siRNA、PGT mRNAを標的とするアンチセンスRNA、およびDNAメチル化およびまたはクロマチン修飾に影響することにより遺伝子の転写を抑制する薬剤を含むが、これに限定されない。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、COX1およびCOX2の双方に含まれるCOX活性部位およびPOX活性部位の双方を標的とする阻害剤を含む。他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤はPGE2経路を阻害する阻害剤を含む。
一定の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤はPGR阻害剤を含む。PGRは、7つの膜貫通ドメインを含むGタンパク質共役受容体である。PGRの例はEP1、EP2、EP3、EP4、DP1、DP2、FP、IP1、IP2、CRTH2およびTP受容体を含む。一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は上に列記するPG受容体のいずれかを阻害する阻害剤を含む。一部の実施形態においては、PGR阻害剤はPGR活性阻害剤である。PGR活性阻害剤の例は抗PGR抗体を含むが、これに限定されない。一部の実施形態においては、PGR阻害剤は、EP1活性阻害剤、EP2活性阻害剤、EP3活性阻害剤またはEP4活性阻害剤などのPGE2受容体活性の阻害剤である。
他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤はPGR発現阻害剤を含む。PGR発現阻害剤の例は抗PGR siRNA、PGR mRNAを標的とするアンチセンスRNA、またはDNAメチル化およびまたはクロマチン修飾に影響することにより遺伝子の転写を抑制する薬剤を含むが、これに限定されない。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPGR経路阻害剤は、EP1発現阻害剤、EP2発現阻害剤、EP3発現阻害剤またはEP4発現阻害剤などのPGE2受容体発現の阻害剤を含む。一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は小分子阻害剤を含む。本願で用いる用語「小分子阻害剤」は、1000ダルトンまたはそれ以下の分子量を有する阻害剤を意味する。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は短鎖干渉RNA(siRNA)を含む。siRNAは、PG経路の成分に対応するmRNAの配列特異的転写後遺伝子サイレンシングを誘導するよう操作することのできる二重鎖RNAである。siRNAは、たとえば標的とするPGE2受容体遺伝子などの遺伝子の発現を「サイレンシングすること」を目的として、RNA干渉(RNAi)のメカニズムを利用する。この「サイレンシング」は、当初、二重鎖RNA(dsRNA)を細胞にトランスフェクトする状況において観察された。dsRNAは、そこに入った後に、RNアーゼIII様酵素Dicerによって、その3’末端に2ヌクレオチドの張り出しを含む、長さ21〜23ヌクレオチドの二重鎖短鎖干渉RNA(siRNA)に開裂することが確認された。ATP依存性のステップにおいて、siRNAはマルチサブユニットRNAi誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み入れられ、これが相補的mRNA配列のAGO2−媒介開裂のシグナルを提示し、その後引き続いて、細胞エンドヌクレアーゼによるその分解をもたらす。
一定の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、標的細胞/組織中のPGシンターゼRNA、PGT RNAまたはPGR RNAを標的とする合成siRNAまたは他のクラスの小分子RNAを含む。合成的に生成されたsiRNAは、細胞内で酵素Dicerにより正常なプロセシングを受けるsiRNAの種類を、構造的に模倣する。合成的に生成されたsiRNAは、siRNAの安定性および機能性を促進することが知られている、RNA構造に対する任意の化学的修飾を組み入れうる。たとえば、一部の例では、siRNAはロックド核酸(LNA)修飾siRNAとして合成されることがある。LNAは、リボースの2’酸素を4’炭素と結合させるメチレン架橋を含む核酸アナログである。二環式構造は、3’−エンドコンホメーションにおけるLNA分子のフラノース環を固定することにより、標準的なRNA単量体を構造的に模倣する。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、細胞内部でプロセシングされて標的siRNAとなる短鎖二重鎖ヘアピン様RNA(shRNA)を転写するよう操作された、発現ベクターを含む。shRNAは、AmbionのSILENCER(登録商標)siRNA構築キット、ImgenexのGENESUPPRESSOR(登録商標)構築キット、およびインビトロジェンのBLOCK−IT(登録商標)誘導RNAiプラスミドなどのキットおよびレンチウイルスベクターを用いて、適切な発現ベクターにクローニングすることができる。合成siRNAおよびshRHAは、周知のアルゴリズムを用いてデザインし、従来のDNA/RNA合成装置を用いて合成することができる。
一部の実施形態においては、副次的有効物質は、PG経路の成分の発現を阻害することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、DNA骨格、RNA骨格またはその化学的誘導体を含みうる。1つの実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、分解を目標とした単鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む。一定の実施形態においては、抗炎症剤は、PG経路の成分のmRNA配列に対して相補的な単鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。単鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、合成的に生成するか、または適切な発現ベクターより発現させうる。アンチセンス核酸は、mRNAの分解をもたらすRNアーゼH活性を促進するよう、mRNAセンス鎖との相補的結合を介して結合するようデザインされる。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは化学的または構造的に修飾されてヌクレアーゼの安定性および/または結合の増加を促進する。
一部の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格核酸、メチルホスホン酸、二重安定化スチルベンまたはピレニルキャップ、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、リン酸トリエステルなどを含むが、これに限定されない、従来的でない化学的または骨格付加または置換を伴うオリゴヌクレオチドを生成するよう修飾される。例として、修飾オリゴヌクレオチドは、1つまたはそれ以上の自然発生ヌクレオチドを組み入れるか、またはアナログで置換することが可能であり;ヌクレオチド間の修飾は、たとえば非荷電結合(例:メチルホスホン酸、リン酸トリエステル、ホスホアミデート、カルバミン酸など)または荷電結合(例:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を組み入れ;修飾は干渉物質(例:アクリジン、ソラレンなど)、キレート化剤(例:金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)、またはアルキル化剤および/または修飾結合(例:αアノマー核酸など)を組み入れる。
一部の実施形態においては、単鎖オリゴヌクレオチドは内部的に修飾され、その骨格に少なくとも1つの中性荷電を含む。たとえばオリゴヌクレオチドは、標的特異配列に相補的なメチルホスホン酸骨格またはペプチド核酸(PNA)を含みうる。これらの修飾は、ヘリカーゼを介した巻き戻しを防止または低減することが確認されている。非荷電プローブの使用は、古典的ハイブリダイゼーションにおける負荷電核酸鎖の斥力を緩和することにより、サンプル中のポリヌクレオチド標的へのハイブリダイゼーション率をさらに高めうる。
PNAオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格がポリアミドによって置換された非荷電核酸アナログであり、これによりPNAは、アミド結合により2アミノエチルグリシン単位が共に結合したポリマーとなる。PNAは、標準的ペプチド合成における使用と同じく、BocまたはFmoc化学反応を用いて合成される。塩基(アデニン、グアニン、シトシンおよびチミン)は、メチレンカルボニル結合により骨格に結合する。したがって、PNAは非環式、非キラル、且つ中性である。PNAの他の性質は、核酸と比較して高い特異性および融点、三重らせんを形成する能力、酸性pHにおける安定性、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼなどの細胞酵素によって認識されないことである。
メチルホスホン酸を含有するオリゴヌクレオチドは、非結合ホスホリル酸素の1つの代わりにメチル基を含む中性DNAアナログである。メチルホスホン酸結合を有するオリゴヌクレオチドは、翻訳のアンチセンス遮断を介してタンパク質合成を阻害すると最初に報告されたものに含まれる。
一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドのリン酸骨格は、ホスホロチオエート結合またはホスホロアミデートを含むことがある。このようなオリゴヌクレオチド結合の組み合わせも、本発明の範囲内である。
他の実施形態においては、オリゴヌクレオチドは、リン酸ジエステルヌクレオチド間結合によって接続された修飾糖の骨格を含むことがある。修飾糖は、2−デオキシリボフラノシド、α−D−アラビノフラノシド、α−2’−デオキシリボフラノシド、および2’,3’−ジデオキシ−3’−アミノリボフラノシドを含むがこれに限定されない、フラノースアナログを含みうる。代替的な実施形態においては、2−デオキシ−β−D−リボフラノース群は、たとえばβ−D−リボフラノースなどの他の糖で置換しうる。さらに、リボース部分の2−OHがC1〜6アルキル基(2−(O−−C1〜6アルキル)リボース)またはC2〜6アルケニル基(2−(O−−C2〜6アルケニル)リボース)でアルキル化されるか、またはフルオロ基によって置換される(2−フルオロリボース)、β−D−リボフラノースが存在しうる。
関連するオリゴマー形成糖は、上記のロックド核酸(LNA)に用いられるものを含む。典型的なLNAオリゴヌクレオチドは、米国特許第6,268,490号明細書に記載されるものなどの、2’−O−4’−Cメチレン架橋を有する修飾二環式単量体単位を含む。
また化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドは、単独でまたは任意の組み合わせとして、2’位糖修飾、5位ピリミジン修飾(例:5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−[2−(1H−インドール−3イル)エチル]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、塩化5−(N−[1−(3−トリメチルアンモニウム)プロピル]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−ナフチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン)、8位プリン修飾、環外アミンの修飾、4−チオウリジン置換、5−ブロモまたは5−ヨードウラシル置換、メチル化、イソ塩基イソシチジンとイソグアニンなどの特殊な塩基対の組み合わせも含みうる。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、PG経路の成分の発現を阻害することの可能なリボザイムを含む。リボザイムは、分子内または分子間のうちいずれかの化学反応を触媒することの可能な核酸分子である。したがってリボザイムは触媒的核酸である。リボザイムは分子間反応を触媒することが望ましい。ハンマーヘッド型リボザイム、ヘアピンリボザイム、およびテトラヒメナリボザイムなどの天然系に認められるリボザイムに基づく、ヌクレアーゼまたは核酸ポリメラーゼ型反応を触媒する、相異なる種類のリボザイムが数多く存在する。天然系には認められないものの、特定の反応を触媒するよう新規に操作されているリボザイムも数多く存在する。好ましいリボザイムはRNAまたはDNA基質を開裂し、より好ましくは、PG経路の成分のmRNAなどのRNA基質を開裂する。典型的には、リボザイムは標的基質の認識および結合とその後の開裂によって核酸基質を開裂する。この認識は、大半が標準または非標準塩基対の相互作用に基づくことが多い。標的基質の認識が標的基質配列に基づくので、この性質によりリボザイムは核酸の標的特異的開裂にとって特に優れた候補となる。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、PG経路の成分の発現を阻害することの可能なトリプレックス形成性オリゴヌクレオチドを含む。トリプレックス形成性オリゴヌクレオチド(TFO)は、ゲノムDNA標的内のコードおよび非コード領域の双方を含む、二重鎖および/または単鎖核酸のいずれかと相互作用することができる分子である。TFOが標的領域と相互作用するとき、トリプレックスと呼ばれる構造が形成され、その中にはワトソン−クリックおよびフーグスティーン塩基対の双方に依存する複合体を形成するDNA三重鎖が存在する。TFOは標的領域と高い親和性および特異性で結合することができる。好ましい実施形態においては、トリプレックス形成性分子は10−6、10−8、10−10または10−12未満のKdで標的分子と結合する。本発明における使用を目的とした典型的なTFOは、PNA、LNAおよび Zorro−LNAなどのLNA修飾PNAを含む。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は外部ガイド配列(EGS)を含む。外部ガイド配列(EGS)は、標的核酸と結合して複合体を形成する分子である。この複合体は、標的分子を開裂するRNアーゼPによって認識される。EGSは、選択されたmRNA分子を特異的に標的とするようデザインすることができる。RNAアーゼPは、細胞内でトランスファーRNA(tRNA)のプロセシングを促進する。標的RNA:EGS複合体に天然tRNA基質を模倣させるEGSを用いることにより、細菌RNAアーゼPを動員して、ほぼあらゆるRNA配列を開裂することができる。同様に、真核細胞EGS/RNAアーゼPの誘導によるRNAの回裂を利用して、真核細胞内で所望の標的を開裂することができる。
他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は標的中和剤を含む。本願で用いる用語「標的中和剤」は、標的組織上でプロスタグランジンの最終的作用に干渉するよう、PG経路の成分と特異的に直接または間接結合することが可能である抗体、抗体のフラグメント、またはアプタマーまたはシンボディなどの他の任意の非抗体ペプチドまたは合成結合分子を意味する。
標的中和剤は、SELEX、ファージディスプレイ、および技術上既知のコンビナトリアル化学および/または高スループット法を含めた、他の方法論を含む高親和性結合リガンドを作製するための任意の従来法によって生成しうる。
アプタマーは、多様な細胞表面分子、タンパク質および/または巨大分子構造との高親和性結合を示す、特異的3次元構造を形成することができるオリゴヌクレオチドのクラスを含む、抗体の核酸版である。アプタマーは、時に指数的濃縮によるリガンドの体系的進化(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)または「SELEX」と呼ばれる、インビトロ選択法によって同定されることが多い。典型的には、SELEXはランダム化したポリヌクレオチドの非常に大きなプールに始まり、通常は1つの分子標的毎に1つのアプタマーリガンドに絞り込まれる。典型的には、アプタマーは長さの範囲が15〜50塩基の、ステムループまたはGカルテットなどの規定の二次あるいは三次構造に折りたたまれる小さな核酸である。
アプタマーは、上記の核酸阻害剤と化学的に結合またはコンジュゲート化して、アプタマー−siRNAキメラなどの標的化核酸阻害剤を形成することができる。アプタマー−siRNAキメラは、siRNAと結合したアプタマーの形態にある標的部分を含む。アプタマー−siRNAキメラを用いる場合、細胞インターナライズアプタマーを用いることが好ましい。アプタマーは、特定の細胞表面分子と結合した後、そこで核酸阻害剤が作用する細胞へのインタナリゼーションを促進することができる。1つの実施形態においては、アプタマーおよびsiRNAのいずれもRNAを含む。アプタマーおよびsiRNAは、本願にさらに記載する任意のヌクレオチド修飾を含みうる。好ましくは、アプタマーは、リンパ系細胞、上皮細胞および/または内皮細胞などの、ケモカイン−、サイトカイン−、および/または受容体標的遺伝子を発現する細胞の結合に特異的に向けられた標的部分を含む。
シンボディは、目的の標的タンパク質との結合についてスクリーニングされたランダムなペプチドのストリングから構成されるライブラリーから生成された合成抗体である。
アプタマーおよびシンボディは、10−10と10−12Mの間のKdで標的分子と非常に強固に結合するよう操作することができる。一部の実施形態においては、標的中和剤は10−6未満、10−8未満、10−9未満、10−10未満または10−12未満のKdで標的分子と結合する。
一定の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、PGT阻害剤および/またはPGR阻害剤をコードし、且つこれを発現するよう改変されたポリヌクレオチドを含む。他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、PGT阻害剤および/またはPGR阻害剤をコードし、且つこれを発現するよう改変された発現ベクターを含む。
一部の実施形態においては、PG経路阻害剤は、PG経路の任意の成分をコードする遺伝子に向けられた、TALE配列またはおよび操作されたジンクフィンガーを含む操作されたタンパク質である。このTALEまたはジンクフィンガーは、当該遺伝子と直接結合し、さらに当該遺伝子を開裂してそのヌクレオチド配列を改変、または当該遺伝子をサイレンシングする役割を果たす遺伝子にリプレッサータンパク質を係留することにより、その発現を阻害するようデザインすることも可能である。
一部の実施形態においては、PG経路阻害剤はCRISPR/CAS系を用いて生成される。この戦略では、各PG経路遺伝子の遺伝子配列に特異的なガイド分子をデザインし、上記の送達系(ウイルス、プラスミドなど)を用いて細胞または組織に導入する。CRISPR/CAS系の作用は、PG経路遺伝子が削除されるか、またはRNAを発現する能力を阻害されるよう、遺伝子のDNA配列を修飾するであろう。
一部の実施形態においては、PG経路阻害剤は、翻訳後にクロマチン内のヒストンを修飾するクロマチン関連酵素を標的とすることにより、1つまたはそれ以上のPG経路遺伝子の転写を停止させることが可能である。そのような酵素の例は、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、およびヘリカーゼを含むが、これに限定されない。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPG経路阻害剤は、遺伝子のDNAメチル化状態を変化させることにより、PG経路感受性遺伝子を標的とする。DNAデメチラーゼおよびDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT1、DNMTa、およびDNMTb)のTETファミリーを標的とする化合物は、PG経路中の遺伝子のいずれかからのRNAの発現を変化させることも可能である。
本願の発現ベクターは、PG経路阻害物質をコードするポリヌクレオチドまたはその一部を含むことがある。発現ベクターは、発現されているポリヌクレオチドと機能的に結合する1つまたはそれ以上の調節配列も含む。これらの調節配列は、宿主細胞の種類に基づいて選択される。発現ベクターのデザインは、宿主細胞の選択および所望の発現レベルなどの因子に依存することが、当業者によって認識されることになる。
一部の実施形態においては、発現ベクターはプラスミドベクターである。他の実施形態においては、発現ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクターの例はレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスまたはアルファウイルスベクターを含むが、これに限定されない。ウイルスベクターはアストロウイルス、コロナウイルス、オルトミクソウイルス、パポーバウイルス、パラミクソウイルス、パルボウイルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、またはトガウイルスベクターとすることもできる。哺乳類細胞において用いる場合、発現ベクターの制御機能はしばしばウイルスの調節要素によって提供される。たとえば、一般的に用いられるプロモーターはポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。一部の実施形態においては、発現ベクターは組織特異的調節因子を含む。発現ベクターの送達は、ウイルスベクターの直接感染、死菌ウイルスと結合しているか、または結合していないポリカチオン濃縮DNAへの標的組織の曝露、リガンド結合DNA、遺伝子銃、電離放射線、核電荷中和、または細胞膜との融合を含むが、これに限定されない。裸のプラスミドまたはウイルスDNAも用いることができる。取り込み効率は、生分解性ラテックスビーズを用いて改善することができる。この方法は、ビーズを処理してその疎水性を高めることによってさらに改善することができる。リポソームによる方法を用いて、プラスミドまたはウイルスベクターを標的組織に導入することもできる。
一部の実施形 態においては、医薬組成物は鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、5型ホスホジエステラーゼの阻害剤(PDE5阻害剤)、およびゾルペジム(ゾルピデム)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の有効成分をさらに含む。
抗ムスカリン剤の例は、オキシブチニン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、フェソテロジン、トルテロジン、トロスピウム、アトロピン、および三環系抗うつ剤を含むが、これに限定されない。抗利尿剤の例は、抗利尿ホルモン(ADH)、アンジオテンシンII、アルドステロン、バソプレシン、バソプレシンアナログ(例:デスモプレシン アルギプレシン、リプレシン、フェリプレシン、オルニプレシン、テルリプレシン)、バソプレシン受容体作動剤、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)受容体(すなわちNPR1、NPR2、およびNPR3)拮抗剤(例:HS−142−1、イサチン、[Asu7,23’]b−ANP−(7−28)]、アナンチン、Streptomyces coerulescens由来環状ペプチド、および3G12モノクローナル抗体)、ソマトスタチン2型受容体拮抗剤(例:ソマトスタチン)、医薬上許容可能なその誘導体、およびそのアナログ、塩、水和物および溶媒和物を含むが、これに限定されない。鎮痙剤の例はカリソプロドール、ベンゾジアゼピン類、バクロフェン、シクロベンザプリン、メタキサロン、メトカルバモール、クロニジン、クロニジンアナログ、およびダントロレンを含むが、これに限定されない。PDE5阻害剤の例はタダラフィル、シルデナフィルおよびバルデナフィルを含むが、これに限定されない。
医薬組成物は、即時放出、延長放出、遅延放出、またはその組み合わせを目的として配合されうる。
一部の実施形態においては、医薬組成物は即時放出を目的として配合される。
一部の実施形態においては、医薬組成物は口腔崩壊製剤に配合される。一定の実施形態においては、口腔崩壊製剤は、5、10、20、30、60、90、120、180、240または300秒で、さらに水を用いることなく(すなわち唾液だけで)口腔内で完全に崩壊または溶解するようデザインされる。
一部の実施形態においては、口腔崩壊製剤は口腔崩壊錠の形態にある。口腔崩壊錠は、従来の錠剤および凍結乾燥プロセスに対して用いられる製造方法と大きく異ならないプロセスである、低圧縮打錠を用いて製造しうる。低圧縮においては、口腔崩壊製剤は従来の錠剤よりもさらに低い力(4〜20kN)で圧縮される。一部の実施形態においては、口腔崩壊製剤は、マンニトールなどの口中感を改善する一定の形態の糖を含む。一部の実施形態においては、口腔崩壊錠は凍結乾燥口腔崩壊製剤を用いて製造される。
他の実施形態においては、医薬組成物は、有効成分をアクリル樹脂またはキチンなどの不溶性物質のマトリクスに包埋することにより、延長放出を目的として配合される。延長放出形態は、特定の時間の間に一定した薬剤レベルを維持することにより、有効成分を所定の速度で放出するようデザインされる。これはリポソーム、およびハイドロゲルなどの薬剤−ポリマーコンジュゲートを含むが、これに限定されない多様な製剤により達成することができる。
延長放出製剤は、投与後、または有効成分の遅延放出に付随する遅延時間後に、約24時間、約22時間、約20時間、約18時間、約16時間、約14時間、約12時間、約10時間、約9時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、または約2時間までなどといった指定され延長された時間の間、一定の薬剤レベルを維持するために、有効成分を所定の速度で放出するようデザインすることができる。一定した有効成分レベルは、有効成分の連続放出または有効成分のパルス放出によって維持することができる。
一定の実施形態においては、延長放出製剤中の1つまたはそれ以上の有効成分は、約2から約12時間の間の時間間隔にわたって放出される。代替的に、有効成分は約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11または約12時間にわたって放出されうる。さらに他の実施形態においては、延長放出製剤中の有効成分は投与後約5から約8時間の時間にわたって放出される。
一部の実施形態においては、延長放出製剤は、たとえば流動床技術または当業者に既知である他の方法論などを用いて、薬剤含有コーティングまたはフィルム形成性組成物の形態をとる薬剤によりその表面がコーティングされたビーズ、ペレット、丸剤、顆粒状粒子、マイクロカプセル、マイクロスフェア、マイクロ顆粒、ナノカプセル、またはナノスフェアの形態をそれぞれにとる、1つまたはそれ以上の不活性粒子から構成される有効なコアを含む。不活性粒子は、低い溶解性にとどまるために十分な大きさである限り、多様なサイズであることができる。代替的に、有効なコアは、原薬を含有するポリマー組成物の造粒および粉砕および/または押出およびスフェロニゼーションによって調製しうる。本願で用いる用語「薬剤」は医薬組成物の有効成分を意味する。
有効成分は、薬剤層形成、粉末コーティング、押出/スフェロニゼーション、ローラーコンパクションまたは造粒などの、当業者に既知である技術によって不活性担体に導入しうる。コア中の有効成分の量は必要とされる用量に依存し、且つ典型的には約1から100重量%、約5から100重量%、約10から100重量%、約20から100重量%、約30から100重量%、約40から100重量%、約50から100重量%、約60から100重量%、約70から100重量%、または約80から100重量%変動する。
一般的に、有効なコアに対するポリマーコーティングは、必要とされる遅延時間および/または選択されるポリマーおよびコーティング溶媒に応じて、コーティングされる粒子の重量の約1から50%となる。当業者は、所望の用量を達成するために、コアにコーティングするための、またはその中に組み入れるための適切な薬剤の量を選択することができる。1つの実施形態においては、不活性なコアは、薬剤の放出を促進するためにその微小環境を変化させる糖類の球、または炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸などの緩衝剤の結晶または封入された緩衝剤の結晶としうる。
延長放出製剤は、有効物質の経時的な段階的放出を促進する多様な延長放出コーティングまたはメカニズムを利用しうる。一部の実施形態においては、延長放出剤は溶解制御放出によるポリマー制御放出を含む。具体的な実施形態においては、有効物質は不溶性ポリマーと、厚さの異なるポリマー材料によってコーティングされた薬剤粒子または顆粒を含むマトリクスに組み入れられる。ポリマー材料は、カルナウバロウ、ミツロウ、鯨ロウ、カンデリラロウ、シェラックロウ、カカオ脂、セトステアリルアルコール、部分硬化植物油、セレシン、パラフィンロウ、セレシン、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびステアリン酸などのロウ様材料を、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの界面活性剤と共に含む脂質バリアを含みうる。ポリマーコーティングは、生体液などの水性媒体と接触すると、ポリマーコーティングの厚さに応じた所定の遅延時間後に、乳化するかまたは浸食される。遅延時間は消化管運動性、pHまたは胃内滞留と無関係である。
他の実施形態においては、延長放出剤はポリマーマトリクス作用拡散制御放出を含む。マトリクスは、1つまたはそれ以上の親水性および/または水膨潤性、マトリクス形成性ポリマー、pH依存性ポリマーおよび/またはpH非依存性ポリマーを含みうる。
1つの実施形態においては、延長放出製剤は、1つまたはそれ以上の溶解促進剤および/または放出促進剤を任意選択として含有する、水溶性または水膨潤性マトリクス形成性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの溶解時には、有効物質は(可溶性であれば)溶解し且つマトリクスの水和部分を経て徐々に拡散する。ゲル層は、より多くの水がマトリクスのコアに浸透するにつれて時間と共に成長し、ゲル層の厚さを増加させ且つ薬剤放出に対する拡散バリアを提供する。外層が完全に水和するにつれて、ポリマー鎖は完全に緩み、且つゲル層の完全性をもはや維持できなくなり、マトリクス表面上の外側水和ポリマーの離脱および浸食に至る。ゲル層が完全に浸食されるまで、水はゲル層を経てコアまで浸透し続ける。可溶性薬剤がこの拡散および浸食メカニズムの組み合わせによって放出される一方、不溶性薬剤にとって浸食は用量にかかわらず主要なメカニズムである。
同様に、水膨潤性ポリマーは、典型的には生体液中で水和および膨潤し、薬剤放出中はその形状を維持し、且つ薬剤のための担体、溶解促進剤および/または放出促進剤の役割を果たす均一なマトリクス構造を形成する。初期のマトリクスポリマー水和相は、薬剤の徐放をもたらす(遅延相)。一旦水膨潤性ポリマーが完全に水和して膨潤すると、マトリクス内の水は同様に原薬を溶解し、且つマトリクスコーティングを経たその外部への拡散を可能とすることができる。
さらに、薬剤をより速い速度で放出するため、pH依存性放出促進剤の外部への到達によってマトリクスの空隙率を増加させることができる。その後、薬剤放出速度は一定となり、且つ水和ポリマーゲルを経た薬剤の拡散の関数となる。マトリクスからの放出速度は、ポリマーの種類およびレベル、薬剤の溶解度および用量、ポリマーの薬剤に対する比率、充填剤の種類およびレベル、ポリマーの充填剤に対する比率、薬剤およびポリマーの粒子径、およびマトリクスの空隙率および形状を含む多様な因子に依存する。
典型的な親水性および/または水膨潤性マトリクス形成性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシアルキルセルロース;微結晶性セルロースなどの粉末化セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、その塩およびその組み合わせを含むセルロース系ポリマー;アルギン酸塩;キサンタン、トラガカント、ペクチン、アラビアゴム、カラヤガム、アルギン酸塩、寒天、グアール、ヒドロキシプロピルグアール、ビーガム、カラゲナン、ローカストビーンガム、ゲランガム、およびその誘導体などのヘテロ多糖ガムおよびホモ多糖ガムを含むガム類;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、およびメタクリル酸メチルのポリマーおよびコポリマーを含むアクリル樹脂;およびカルボマー(例:CARBOPOL(登録商標)71G NFを含み、Noveon社(オハイオ州シンシナティ)より多様な分子量等級で入手可能なCARBOPOL(登録商標))などの架橋ポリアクリル酸誘導体、カラゲナン;ポリ酢酸ビニル(例:KOLLIDON(登録商標)SR);およびポリビニルピロリドンおよびクロスポビドンなどのその誘導体、ポリエチレンオキシド、およびポリビニルアルコールを含むが、これに限定されない。好ましい親水性および水膨潤性ポリマーはセルロース系ポリマー、特にHPMCを含む。
延長放出製剤は、生体液を含む水性媒体中で親水性化合物を架橋して、親水性ポリマーマトリクス(すなわちゲルマトリクス)を形成することの可能な、少なくとも1つの結合剤をさらに含みうる。
典型的な結合剤は、ガラクトマンナンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;例:Klucel EXF)およびローカストビーンガムなどのホモ多糖類を含む。他の実施形態においては、結合剤はアルギン酸誘導体、HPCまたは微結晶化セルロース(MCC)である。その他の結合剤は、デンプン、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含むが、これに限定されない。
1つの実施形態においては、導入方法は、有効物質および結合剤の懸濁液を不活性担体上に噴霧することによる薬剤層形成である。
結合剤は、重量で約0.1%から約15%、且つ好ましくは重量で約0.2%から約10%の量でビーズ製剤中に存在しうる。
一部の実施形態においては、親水性ポリマーマトリクスは、拡散および浸食速度および随伴的な有効物質の放出を緩徐にするために、より強いゲル層を提供し、且つ/またはマトリクス中の空隙の量とサイズを減少させるイオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、または非水溶性疎水性ポリマーをさらに含みうる。これは、追加的に初回バースト効果を抑制し、且つ有効物質のより安定した「ゼロ次放出」をもたらしうる。
溶解速度を緩徐にするための典型的なイオン性ポリマーは、陰イオン性および陽イオン性ポリマーの双方を含む。典型的な陰イオン性ポリマーは、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC);アルギン酸ナトリウム、アクリル酸ポリマーまたはカルボマー(例:CARBOPOL(登録商標)934、940、974P NF);ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、メタクリル酸コポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)L100、L30D55、A、およびFS 30D)、および酢酸コハク酸ハイプロメロース(AQUAT HPMCAS)などの腸溶ポリマー;およびキサンタンガムなどを含む。典型的な陽イオン性ポリマーは、たとえば、メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)E100)などを含む。陰イオン性ポリマー、具体的には腸溶ポリマーの組入れは、親水性ポリマー単独と比較して、弱塩基性薬剤に対してpH非依存的放出プロフィールを展開するために有用である。
溶解速度を緩徐にするための典型的な非イオン性ポリマーは、たとえばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびポリエチレンオキシド(PEO)(例:POLYOX(登録商標))を含む。
典型的な疎水性ポリマーは、エチルセルロース(例:ETHOCEL(登録商標)、SURELEASE(登録商標))、酢酸セルロース、メタクリル酸コポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)NE 30D)、アンモニオ−メタクリル酸コポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)RL 100またはPO RS100)、ポリ酢酸ビニル、モノステアリン酸グリセリン、クエン酸アセチルトリブチルなどの脂肪酸、およびその組み合わせおよび誘導体を含む。
膨潤性ポリマーは、重量で1%から50%、好ましくは重量で5%から40%、最も好ましくは重量で5%から20%の割合で製剤中に組み入れることができる。膨潤性ポリマーおよび結合剤は造粒の前、または後に製剤に組み入れうる。ポリマーは、有機溶媒またはハイドロアルコールに分散し、造粒の間噴霧することもできる。
典型的な放出促進剤は、約4.0未満のpH値では無変化のままであり、且つ4.0を上回る、好ましくは5.0を上回る、最も好ましくは6.0を上回るpH値で溶解するpH依存性腸溶ポリマーを含み、且つ本発明のための放出促進剤として有用と見なされる。典型的なpH依存性ポリマーは、メタクリル酸コポリマー;メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)L100(A型)、EUDRAGIT(登録商標)S100(B型)、Rohm GmbH、ドイツ)、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)L100−55(C型)およびEUDRAGIT(登録商標)L30D−55コポリマー分散剤、Rohm GmbH、ドイツ);メタクリル酸−メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)FS);メタクリル酸、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エチルのターポリマー、酢酸フタル酸セルロース(CAP);フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)(例:HP−55、HP−50、HP−55S、信越化学工業、日本);ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(例:COATERIC(登録商標)、OPADRY(登録商標)腸溶白色OY−P−7171);ポリビニルブチレートアセテート、酢酸コハク酸セルロース(CAS);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)(例:AQOAT(登録商標)LFおよびAQOAT(登録商標)MF(信越化学工業、日本)を含むHPMCAS LFグレード、MFグレード、およびHFグレード)、シェラック(例:MARCOAT(登録商標)125およびMARCOAT(登録商標)125N);酢酸ビニル−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸モノエステルコポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業、日本);酢酸フタル酸セルロース(CAP)(例;AQUATERIC(登録商標))、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、および重量比約3:1から約2:1のEUDRAGIT(登録商標)、L 100−55とEUDRAGIT(登録商標)S 100の混合物、または重量比約3:1から約5:1のEUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55とEUDRAGIT(登録商標)FSの混合物などの、その2つまたはそれ以上の約2:1から約5:1の間の重量比の混合物を含むが、これに限定されない。
ポリマーは、単独かまたは組み合わせて、または上記以外のポリマーと共に用いうる。好ましい腸溶pH依存性ポリマーは、医薬上許容可能なメタクリル酸コポリマーである。これらのコポリマーは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルを基とする陰イオン性ポリマーであり、且つ好ましくは、約50,000から200,000、好ましくは約135,000の平均分子量を有する。これらのコポリマーにおける遊離カルボキシル基対メチルエステル化カルボキシル基の比率は、たとえば1:1から1:3,たとえば1:1または1:2前後の範囲内で変動しうる。放出促進剤はpH依存性ポリマーに限定されない。迅速に溶解し、且つ剤型の外に速やかに到達して空隙構造を残すその他の親水性分子も、同じ目的のために用いることができる。
一部の実施形態においては、マトリクスは放出促進剤と溶解促進剤の組み合わせを含みうる。溶解促進剤は、イオン性および非イオン性界面活性剤、錯化剤、親水性ポリマー、および酸性化剤およびアルカリ性化剤などのpH調節剤、さらには溶解度の乏しい薬剤の溶解度を分子捕捉によって高める分子とすることができる。数種類の溶解促進剤を同時に利用することができる。
溶解促進剤は、ドクセートナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;ステアリルフマル酸ナトリウム;Tween(登録商標)およびSpan(PEO修飾ソルビタンモノエステルおよび脂肪酸ソルビタンエステル);ポリ(エチレンオキシド)−ポリプロピレンオキシド−ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマー(別名PLURONICS(登録商標))などの界面活性剤;低分子量ポリビニルピロリドンおよび低分子量ヒドロキシメチルセルロースなどの錯化剤;シクロデキストリンなどの分子捕捉によって溶解を促進する分子、およびクエン酸、フマル酸、酒石酸、および塩酸などの酸性化剤、およびメグルミンおよび水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化剤を含むpH修飾剤を含みうる。
溶解促進剤は、典型的には剤型の重量で1%から80%、重量で1%から60%、重量で1%から50%、重量で1%から40%および重量で1%から30%を構成し、且つ多様な様式で組み入れることができる。それらは乾式または湿式造粒の前に製剤に組み入れることができる。それらは残りの材料を造粒した後か、または他の方法で処理した後で製剤に添加することもできる。造粒中、結合剤を含むかまたは含まない溶液として溶解促進剤を噴霧することができる。
1つの実施形態においては、延長放出製剤は、活性のコアを覆う1つまたはそれ以上の非水溶性水浸透性フィルム形成を含む非水溶性水浸透性ポリマーコーティングまたはマトリクスを含む。コーティングは、1つまたはそれ以上の水溶性ポリマーおよび/または1つまたはそれ以上の可塑剤を追加的に含みうる。非水溶性ポリマーコーティングは、低分子量(粘性)等級が高粘性等級と比較して速い放出速度を示す、コア中の有効物質の放出を目的としたバリアコーティングを含む。
一部の実施形態においては、非水溶性フィルム形成性ポリマーは、エチルセルロースなどの1つまたはそれ以上のアルキルセルロースエーテルおよびその混合物(例:エチルセルロースグレードPR100、PR45、PR20、PR10およびPR7;ETHOCEL(登録商標)、Dow)を含む。
一部の実施形態においては、非水溶性ポリマーは、可塑剤を必要とすることなく、適した特性(例:延長放出性、機械的特性、およびコーティング特性)を提供する。たとえば、ポリ酢酸ビニル(PVA)、Evonik Industriesから市販されているEudragit NE30Dなどのアクリル酸/メタクリル酸エステルの中性コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースと組み合わせたエチルセルロース、ロウなどを含むコーティングを、可塑剤を用いることなく適用することができる。
さらなる他の実施形態においては、非水溶性ポリマーマトリクスは可塑剤をさらに含みうる。必要とされる可塑剤の量は、可塑剤、非水溶性ポリマーの特性および最終的に所望されるコーティングの特性に依存する。可塑剤の適切なレベルは、その間の全ての範囲およびサブレンジを含めて、コーティングの総重量に対して重量で約1%から約20%、約3%から約20%、約3%から約5%、約7%から約10%、約12%から約15%、約17%から約20%、または約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%または約20%の範囲である。
典型的な可塑剤は、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、油類(ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ブドウ種子油、ゴマ油、オリーブ油、など);クエン酸エステル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチルクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、メチルパラベン、プロピルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、グリセロトリブチラート、置換トリグリセリドおよびグリセリド、モノアセチル化およびジアセチル化グリセリド(例:MYVACET(登録商標)9−45)、モノステアリン酸グリセリン、トリ酪酸グリセロール、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール(PEG−4000およびPEG−400など)、プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、フマル酸ジエチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジブチル、脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、コハク酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、およびその混合物を含むが、これに限定されない。可塑剤は、放出修飾剤として作用できるような、界面活性特性を有することができる。たとえば、Brij58(ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル)などの非イオン性界面活性剤を用いることができる。
可塑剤は、これを用いなければ硬いかまたはもろいポリマー材料に可撓性を付与するために用いられる、高沸点の有機溶媒とすることができ、且つ有効物質の放出プロフィールに影響することができる。可塑剤は、全般的に、ポリマー鎖に沿った分子間凝集力の低下を引き起こし、ポリマーの性質に多様な変化をもたらす。これらの変化は、ポリマーの引っ張り強さの低下と、延伸の増加、ガラス転移または軟化温度の低下を含むが、これに限定されない。可塑剤の量および選択は、たとえば錠剤の硬度に影響することがあり、且つその溶出または崩壊特性、さらにはその物理的および化学的安定性にまで影響することがある。一定の可塑剤は被覆の弾性および/または柔軟性を高め、これにより被覆のもろさを低下させることができる。
他の実施形態においては、延長放出製剤は、少なくとも1つの非イオン性ゲル形成性ポリマー、および/または少なくとも1つの陰イオン性ゲル形成性ポリマーを含む、少なくとも2つのゲル形成性ポリマーの組み合わせを含む。ゲル形成性ポリマーの組み合わせによって形成されるゲルは、製剤が摂取され且つ消化管液と接触する時、表面に最も近いポリマーが水和して粘稠なゲル層を形成するような制御放出を提供する。高い粘度のために、粘稠な層は徐々に溶解するに過ぎず、下の材料を同じプロセスに曝露する。したがって集塊は緩徐に溶解し、これにより有効成分を消化管液に緩徐に放出する。少なくとも2つのゲル形成性ポリマーの組み合わせによって、所望の放出プロフィールを提供するために、粘度などの生成するゲルの性質を操作することができる。
具体的な実施形態においては、製剤は少なくとも1つの非イオン性ゲル形成性ポリマーおよび少なくとも1つの陰イオン性ゲル形成性ポリマーを含む。他の実施形態においては、製剤は、2つの相異なる非イオン性ゲル形成性ポリマーを含む。さらに他の実施形態においては、製剤は、化学的性質が同じであるが溶解度、粘度、および/または分子量が異なる非イオン性ゲル形成性ポリマーの組み合わせ(たとえばHPMC K100およびHPMC K15MまたはHPMC K100Mなどの異なる粘度等級のヒドロキシプロピルメチルセルロースの組み合わせ)を含む。
典型的な陰イオン性ゲル形成性ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ペクチン、ポリグルクロン酸(ポリ−α−およびβ−1,4−グルクロン酸)、ポリガラクツロン酸(ペクチン酸)、コンドロイチン硫酸、カラゲナン、ファーセレランなどの陰イオン性多糖類、キサンタンガムなどの陰イオン性ガム、アクリル酸ポリマーまたはカルボマー(Carbopol(登録商標)934、940、974P NF)、Carbopol(登録商標)コポリマー、Pemulen(登録商標)ポリマー、ポリカルボフィル他を含むが、これに限定されない。
典型的な非イオン性ゲル形成性ポリマーは、ポビドン(PVP:ポリビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール、PVPとポリ酢酸ビニルのコポリマー、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アラビアゴム、デキストリン、デンプン、ポリヒドロキシエチルメタクリラート(PHEMA)、水溶性非イオン性ポリメタクリル酸エステルおよびそのコポリマー、修飾セルロース、修飾多糖類、非イオン性ガム、非イオン性多糖類、および/またはその混合物を含むが、これに限定されない。
製剤は上記の腸溶ポリマー、および/または充填剤、(上述の)結合剤、崩壊剤および/または流動促進剤および滑剤などの少なくとも1つの添加剤を任意選択として含みうる。
典型的な充填剤は、ラクトース、グルコース、フルクトース、シュークロース、リン酸二カルシウム、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトールおよび水素化デンプン加水分解物(数種類の糖アルコールの混合物)などの「糖ポリオール」の別名でも知られる糖アルコール類、コーンスターチ、バレイショデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース、腸溶ポリマーまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
典型的な結合剤は、ポビドン(PVP:ポリビニルピロリドン)、コポビドン(ポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルのコポリマー)、低分子量HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、低分子量HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、低分子量カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アラビアゴム、デキストリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびデンプン、およびEudragit NE 30D、Eudragit RL、Eudragit RS、Eudragit Eなどのポリメタクリル酸エステル類、ポリ酢酸ビニル、腸溶ポリマーまたはその混合物などの水溶性親水性ポリマーを含むが、これに限定されない。
典型的な崩壊剤は、低置換カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(グリコール酸デンプンナトリウム)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Croscarmellose)、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶性セルロース、非水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、およびケイ酸マグネシウムまたはアルミニウムを含むが、これに限定されない。
典型的な滑剤はマグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、デンプン、二酸化チタンなどを含むが、これに限定されない。
さらに他の実施形態においては、延長放出製剤は、(上述のような)その中の1つのビーズまたはビーズ集団などの水溶性/水分散性薬剤含有粒子を、コーティング材料、および任意選択として空隙形成剤および他の添加剤でコーティングすることにより形成される。コーティング材料は、好ましくはエチルセルロース(例:SURELEASE(登録商標))、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、および酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルおよびそのコポリマーなどのアクリル性ポリマー;およびその他の水基剤または溶媒基剤のコーティング材料を含む群から選択される。所与のビーズ集団に対する放出制御コーティングは、コーティングの性質、コーティングレベル、空隙形成剤の種類および濃度、工程パラメーター、およびその組み合わせなどの、放出制御コーティングの少なくとも1つのパラメーターによって制御しうる。したがって、空隙形成剤濃度などのパラメーターまたは硬化の条件を変更することで、任意の所与のビーズ集団からの有効物質放出の変化を可能とし、これにより製剤を所定の放出プロフィールに選択的調節することを可能とする。
本願における放出制御コーティングにおける使用に適した空隙形成剤は、有機物質または無機物質とすることが可能であり、且つ使用環境においてコーティングより溶出、抽出または浸出することができる材料を含む。典型的な空隙形成剤は、シュークロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、マンノース、ガラクトース、ソルビトール、プルラン、およびデキストランを含む単糖類、オリゴ糖類および多糖類などの有機化合物;水溶性親水性ポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエーテル、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、カルボワックス、カルボポールなど、ジオール、ポリオール、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはそのブロックポリマー、ポリグリコール、およびポリ(α−Ω)アルキレンジオールといった使用環境に可溶性のポリマー;およびアルカリ金属塩、炭酸リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、適切なカルシウム塩、その組み合わせなどの無機化合物などを含むが、これに限定されない。
放出制御コーティングは、可塑剤、抗接着剤、滑剤(または流動促進剤)および消泡剤などの技術上既知である他の添加剤をさらに含むことができる。一部の実施形態においては、コーティングされた粒子またはビーズは、たとえば水分保護、静電気減少、矯味、着香、着色、および/または光沢またはビーズに対する他の美観上の訴求力を提供する「オーバーコート」を追加的に含みうる。そのようなオーバーコートに適したコーティング材料は技術上既知であり、且つヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび微結晶性セルロース、またはその組み合わせ(たとえば多様なOPADRY(登録商標)コーティング材料)などのセルロース系ポリマーを含むが、これに限定されない。
コーティングされた粒子またはビーズは、溶解促進剤、溶出促進剤、吸収促進剤、浸透促進剤、安定化剤、錯剤、酵素阻害剤、p−糖タンパク質阻害剤、および多剤耐性タンパク質阻害剤などによって例示されるが、これに限定されない促進剤をさらに含有しうる。代替的に、製剤は、たとえば別のビーズ集団の形態で、または粉末として、コーティング粒子から分離された促進剤も含有することができる。さらに他の実施形態においては、促進剤は、コーティング粒子上の、放出制御コーティングの下層または上層のいずれかの別の層に含有されうる。
他の実施形態においては、延長放出製剤は有効物質を浸透圧メカニズムによって放出するよう配合される。例として、カプセルは単一の浸透圧ユニットと共に製剤化するか、またはゼラチンハードカプセル内に封入された2、3、4、5、または6個のプッシュ−プルユニットを組み入れることによって、それぞれの二層プッシュ−プルユニットが、いずれも半透過性膜に囲まれた浸透圧プッシュ層および薬剤層を含みうる。1つまたはそれ以上の開口部が、薬剤層と隣接する膜を経て掘削される。この膜は、胃内容物の排出後まで放出を防止するpH依存性腸溶コーティングによって、さらに被覆されうる。ゼラチンカプセルは摂取の直後に溶解する。プッシュ−プルユニットが小腸に入ると、腸溶コーティングが崩壊し、次にこれが半透過性膜を経た液体の流入を可能とし、浸透圧プッシュコンパートメントが膨潤し、半透過性膜を経た水輸送速度によって正確に制御された速度で、開口部を経て薬剤を押し出させる。薬剤の放出は24時間またはそれ以上まで一定の速度で発生することができる。
浸透圧プッシュ層は、半透過性膜を経た送達担体コアへの水の輸送のための駆動力を作り出す、1つまたはそれ以上の浸透圧剤を含む。浸透圧剤の1つのクラスは、親水性ビニルおよびアクリル酸ポリマー、アルギン酸カルシウムなどの多糖類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルなどの疎水性単量体を有するPVA/PVPコポリマー、大きなPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、およびデンプングリコール酸ナトリウムを含むがこれに限定されない、「オスモポリマー」および「ハイドロゲル」とも呼ばれる水膨潤性親水性ポリマーを含む。
その他の浸透圧剤のクラスは、水を吸収して半透過性膜を横断する浸透圧勾配をもたらすことのできるオスモゲンを含む。典型的なオスモゲンは、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウムなどの無機塩;デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、シュークロース、トレハロース、およびキシリトールなどの糖類;アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸などの有機酸;尿素;およびその混合物を含むが、これに限定されない。
半透過性膜を形成する際に有用な材料は、生理的に妥当なpHで水透過性且つ非水溶性であるか、または架橋などの化学的改変によって非水溶性に変化することのできる多様な等級のアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、およびセルロース誘導体を含む。
一部の実施形態においては、延長放出製剤は、胃および腸のいずれにおける浸食に対しても抵抗性である多糖コーティングを含む。そのようなポリマーは、たとえば多糖コーティングなどを分解する生分解性酵素を含む、大きな微生物叢を含む結腸においてのみ分解され、薬剤内容物を制御された時間依存的な様式で放出することができる。典型的な多糖類コーティングは、たとえばアミロース、アラビノガラクタン、キトサン、コンドロイチン硫酸、シクロデキストリン、デキストラン、グアーガム、ペクチン、キシラン、およびその組み合わせまたは誘導体を含みうる。
一部の実施形態においては、医薬組成物中の少なくとも1つまたはそれ以上の有効物質は、遅延放出または遅延延長放出を目的として配合される。一部の実施形態においては、遅延延長放出製剤は、医薬品が小腸に達する前にその放出を防止する、経口医薬品に適用されるバリアである腸溶コーティングでコーティングされた、延長放出製剤を含む。腸溶コーティングなどの遅延放出製剤は、アスピリンなどの胃に対して刺激作用を有する薬剤が胃の中で溶解することを防止する。本願で用いる用語「腸溶コーティング」は、pH依存性またはpH非依存性放出プロフィールを有する1つまたはそれ以上のポリマーで構成されるコーティングである。腸溶コーティングされた丸剤は酸性の胃液(pH約3)では溶解しないが、小腸または大腸内に存在するアルカリ性(pH7〜9)環境においては溶解する。腸溶ポリマーコーティングは、典型的には、投与後約3〜4時間の胃内容物排出による遅延時間後しばらくは、有効物質の放出に抵抗する。
そのようなコーティングは、酸不安定性薬剤を胃の酸性曝露から保護し、その替わりに分解しない塩基性pH環境(腸のpH5.5およびそれ以上)に送達し、且つその所望の作用を得るためにも用いられる。用語「パルス型放出」は遅延放出の一種であり、本願においては、所定の遅延時間の直後に、短時間内での薬剤の迅速且つ一過性の放出を提供し、これにより薬剤投与後の薬剤の「パルス型」血漿プロフィールを生成する医薬製剤に関して用いられる。製剤は、投与後に単パルス型放出または所定の時間間隔での多パルス型放出、またはパルス型放出(例:有効成分の20〜60%)後にある時間にわたる延長放出(例:残りの有効成分の連続的放出)を提供するようデザインしうる。遅延放出またはパルス型放出製剤は、一般に、規定された遅延相の後に溶解するか、侵食されるか、または破裂するバリアコーティングで被覆された1つまたはそれ以上の要素を含む。
遅延放出を目的としたバリアコーティングは、目的に応じて多様な異なる材料から構成されうる。さらに製剤は、一時的に放出を促進するための複数のバリアコーティングを含みうる。コーティングは、糖衣であるか、フィルムコーティング(例:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸エステルコポリマー、ポリエチレングリコール、および/またはポリビニルピロリドンを基とする)、またはメタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、シェラック、および/またはエチルセルロースによるコーティングでありうる。さらに製剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料を追加的に含みうる。
一部の実施形態においては、遅延延長放出製剤は、消化管の近位または遠位領域において有効物質の放出を促進する、1つまたはそれ以上のポリマーを含む腸溶コーティングを含む。pH依存性腸溶コーティングは、胃の中のように低pHではその構造的完全性を維持するが、小腸などの消化管のより遠位の領域内のより高いpH環境で溶解し、そこで薬剤内容物が放出される、1つまたはそれ以上のpH依存性またはpH感受性ポリマーを含む。本発明の目的について、「pH依存性」は環境pHに応じて変動する特性(例:溶解)を有することと定義される。典型的なpH依存性ポリマーは前に記載されている。pH依存性ポリマーは、典型的には特徴的な溶解至適pHを示す。一部の実施形態においては、pH依存性ポリマーは約5.0と5.5の間、約5.5と6.0の間、約6.0と6.5の間、または約6.5と約7.0の間の至適pHを示す。他の実施形態においては、pH依存性ポリマーは≧5.0の、≧5.5の、≧6.0の、≧6.5の、または≧7.0の至適pHを示す。
一定の実施形態においては、コーティングの方法論は、1つまたはそれ以上のpH依存性ポリマーおよび1つまたはそれ以上のpH非依存性ポリマーの配合を用いる。pH依存性およびpH非依存性ポリマーの配合によって、可溶性ポリマーがその可溶化至適pHに一旦到達した場合の、有効成分の放出速度を低下させることができる。
一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上の有効物質を収容する非水溶性カプセル本体であって、カプセル本体の一方の端が、不溶性であるが浸透性且つ膨潤性のハイドロゲルのプラグで閉じられた非水溶性カプセル本体を用いて、「遅延放出」または「遅延延長放出」プロフィールを得ることができる。消化管液または溶媒に触れると、プラグは膨潤し、所定の遅延時間後にそれ自体をカプセルの外に押し出して薬剤を放出し、これはたとえばプラグの位置または寸法などによって制御することができる。カプセル本体は、カプセルが小腸に達するまでカプセルを無傷に保つ外層pH依存性腸溶コーティングで、さらにコーティングしてもよい。適切なプラグの材料は、たとえばポリメタクリル酸エステル、浸食性圧縮ポリマー(例:HPMC、ポリビニルアルコール)、凝結融解ポリマー(例:モノオレイン酸グリセリン)、および酵素制御浸食性ポリマー(例:アミロース、アラビノガラクタン、キトサン、コンドロイチン硫酸、シクロデキストリン、デキストラン、グアーガム、ペクチンおよびキシランなどの多糖類)を含む。
他の実施形態においては、膨潤層、および不溶性であるが半透過性である外層ポリマーコーティングまたは膜によって被覆された薬剤含有コアを含むよう、カプセルまたは二層錠を製剤化しうる。破裂前の遅延時間は、ポリマーコーティングの浸透および機械特性、および膨潤層の膨潤挙動によって制御することができる。典型的には、膨潤層は、膨潤してその構造内に水を保持する膨潤性親水性ポリマーなどの、1つまたはそれ以上の膨潤剤を含む。
遅延放出コーティングに用いられる典型的な水膨潤性材料は、ポリエチレンオキシド(たとえばPOLYOX(登録商標)のように1,000,000と7,000,000の間の平均分子量を有する);メチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)を含むがこれに限定されない100,000から6,000,000の重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシド、25,000から5,000,000の分子量を有するポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、グリオキサール、ホルムアルデヒド、またはグルタルアルデヒドと架橋する低アセタール残基を有し、且つ200から30,000の重合度を有するポリ(ビニル)アルコール;メチルセルロース、架橋寒天、およびカルボキシメチルセルロースの混合物;コポリマー中で無水マレイン酸1モルに対して0.001から0.5モルの飽和架橋剤により架橋する無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはイソブチレンの微細に分割されたコポリマーの分散を形成することによって生成されるハイドロゲル形成性コポリマー;450,000から4,000,000の分子量を有するCARBOPOL(登録商標)酸性カルボキシコポリマー;CYANAMER(登録商標)ポリアクリルアミド;架橋水膨潤性インデン無水マレイン酸ポリマー;80,000から200,000の分子量を有するGOODRITE(登録商標)ポリアクリル酸;デンプングラフトコポリマー;ジエステル架橋ポリグリカンなどの縮合グルコース単位から構成されるAQUA−KEEPS(登録商標)アクリル酸ポリマー多糖;0.5〜1%w/v水溶液として3,000から60,000mPaの粘度を有するカルボマー;1%w/w水溶液(25℃)として約1000〜7000mPaの粘度を有するヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースエーテル;2%w/v水溶液として約1000またはそれ以上、好ましくは2,500またはそれ以上から最大25,000mPaの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース;20℃の10%w/v水溶液として約300〜700mPaの粘度を有するポリビニルピロリドン;およびその組み合わせを含むが、これに限定されない。
代替的に、薬剤の放出時間は、本体の底部にあって所定の細孔を含む、(エチルセルロース(EC)などの)非水溶性ポリマー膜の耐性および厚さと、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)およびグリコール酸ナトリウムなどの膨潤性添加剤の量とのバランスに依存した崩壊遅延時間によって、制御することができる。経口投与後、GI液が細孔を経て浸透し、膨潤性添加剤の膨潤を引き起こし、これが膨潤性材料を収容する第1のカプセル本体、薬剤を収容する第2のカプセル本体、および第1のカプセル本体に着接する外キャップを含むカプセルコンポーネントを分離させる内圧をもたらす。
遅延放出コーティング層は、タルクおよびモノステアリン酸グリセリンなどの抗粘着剤をさらに含みうる。遅延放出コーティング層は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、ポリエチレングリコールアセチル化モノグリセリド、グリセリン、トリアセチン、プロピレングリコール、フタル酸エステル(例:フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル)、二酸化チタン、酸化第二鉄、ヒマシ油、ソルビトール、およびセバシン酸ジブチルを含むがこれに限定されない1つまたはそれ以上の可塑剤をさらに含みうる。
他の実施形態においては、遅延放出製剤は、有効成分および浸透圧剤を封入する水透過性であるが非水溶性であるフィルムコーティングを用いる。腸からの水がフィルムを通過して緩徐にコアに拡散するにつれて、コアはフィルムが破裂するまで膨張し、これにより有効成分が放出される。フィルムコーティングは、多様な水浸透速度または放出時間を可能とするよう調節しうる。
他の実施形態においては、遅延放出製剤は非水透過性の錠剤コーティングを用い、これにより水はコーティング内の制御された開口部を経てコアが破裂するまで流入する。錠剤が破裂すると、薬剤内容物は即時に、またはより長い時間をかけて放出される。これらおよび他の技術は、薬剤の放出が開始される前の所定の遅延時間を可能とするために変更しうる。
他の実施形態においては、有効物質は、遅延放出および延長放出の両者を提供する(遅延延長放出)製剤の形態で送達される。本願で用いる用語「遅延延長放出」は、投与後の所定の時間または遅延時間に有効物質のパルス型放出を提供し、次にその後有効物質が延長放出される医薬製剤に関して用いられる。
一部の実施形態においては、即時放出、延長放出、遅延放出、または遅延延長放出製剤は、たとえば流動床技術または当業者に既知である他の方法論などを用いて、たとえば薬剤含有フィルム形成性組成物の形態をとる薬剤によりその表面がコーティングされた、ビーズ、ペレット、丸剤、顆粒状粒子、マイクロカプセル、マイクロスフェア、マイクロ顆粒、ナノカプセル、またはナノスフェアの形態をそれぞれにとる1つまたはそれ以上の不活性粒子から構成される有効なコアを含む。不活性粒子は、低い溶解性にとどまるために十分な大きさである限り、多様なサイズであることができる。代替的に、有効なコアは、原薬を含有するポリマー組成物の造粒および粉砕および/または押出およびスフェロニゼーションによって調製しうる。
コア中の薬剤の量は必要とされる用量に依存し、且つ典型的には約1から100重量%、約5から100重量%、約10から100重量%、約20から100重量%、約30から100重量%、約40から100重量%、約50から100重量%、約60から100重量%、約70から100重量%、または約80から100重量%変動する。一般的に、有効なコアに対するポリマーコーティングは、必要とされる遅延時間および放出プロフィールの種類および/または選択されるポリマーおよびコーティング溶媒に応じて、コーティングされる粒子の重量の約1から50%となる。当業者は、所望の用量を達成するために、コアにコーティングするための、またはその中に組み入れるための適切な薬剤の量を選択することができる。1つの実施形態においては、不活性なコアは、薬剤の放出を促進するためにその微小環境を変化させる糖類の球、または炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸などの緩衝剤の結晶または封入された緩衝剤の結晶としうる。
一部の実施形態においては、たとえば、遅延放出または遅延延長放出組成物は、ビーズなどの水溶性/水分散性薬剤含有粒子を、非水溶性ポリマーと腸溶ポリマーが4:1から1:1の重量比で存在しうる、非水溶性ポリマーと腸溶ポリマーの混合物でコーティングすることにより形成することが可能であり、且つコーティングの総重量はコーティングされるビーズの総重量の10から60重量%である。薬剤積層ビーズは、エチルセルロースの内部溶出速度制御膜を、任意選択として含みうる。ポリマー膜の外層の組成、さらには内層および外層の個々の重量は、インビトロ/インビボ相関に基づいて予測される、所与の活性についての所望の概日周期放出プロフィールを達成するために最適化される。
他の実施形態においては、製剤は、溶出速度制御ポリマー膜を伴わない即時放出薬剤含有粒子と、たとえば経口投与後2〜4時間の遅延時間を示す遅延延長放出ビーズの混合物を含み、これにより2パルス放出プロフィールを提供しうる。
一部の実施形態においては、有効なコアは、遅延時間の有無にかかわらず所望の放出プロフィールを得るために、1層またはそれ以上の溶出速度制御ポリマーでコーティングされる。内層膜は、主として水または体液のコアへの吸収後の薬剤放出速度を制御できる一方、外層膜は、所望の遅延時間(水または体液のコアへの吸収後の薬剤放出がほとんどない時間)を提供することができる。内層膜は非水溶性ポリマー、または非水溶性ポリマーと水溶性ポリマーの混合物を含みうる。
主として6時間までの遅延時間を制御する外膜に適したポリマーは、上述の腸溶ポリマーおよび非水溶性ポリマーを10から50重量%含みうる。腸溶ポリマーに対する非水溶性ポリマーの比率は4:1から1:2まで変動することがあり、好ましくはポリマーは約1:1の比率で存在する。典型的に用いられる非水溶性ポリマーは、エチルセルロースである。
典型的な非水溶性ポリマーは、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル(BASF製Kollicoat SR#0D)、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸メチルを基とした中性コポリマー、EUDRAGIT(登録商標)NE、RSおよびRS30D、RLまたはRL30Dなどの、四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマーを含む。典型的な水溶性ポリマーは、使用する水および溶媒またはラテックス懸濁液基剤コーティング製剤中の活性の溶解度に応じて、約1重量%から10重量%までの範囲の濃さにある低分子量HPMC、HPC、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(分子量>3000のPEG)を含む。水溶性ポリマーに対する非水溶性ポリマーは、典型的には95:5から60:40、好ましくは80:20から65:35まで変動しうる。一部の実施形態においては、延長放出担体としてAMBERLITE(登録商標)IRP69樹脂が使用される。AMBERLITE(登録商標)IRP69は、陽イオン性(塩基性)物質の担体に適した不溶性、強酸性、ナトリウム型陽イオン交換樹脂である。他の実施形態においては、延長放出担体としてDUOLITE(登録商標)AP143/1093樹脂が使用される。DUOLITE(登録商標)AP143/1093は、陰イオン性(酸性)物質の担体として適した不溶性、強塩基性、陰イオン交換樹脂である。医薬品担体として用いるとき、AMBERLITE(登録商標)IRP69または/およびDUOLITE(登録商標)AP143/1093樹脂は、薬剤を不溶性ポリマーマトリクス上に結合するための手段を提供する。延長放出は樹脂−薬剤複合体(樹脂酸塩)の形成を経て達成される。インビボで薬剤が消化管で典型的である高電解質濃度と平衡に達するにつれ、薬剤は樹脂より放出される。より疎水性の薬剤は、陽イオン交換系の芳香族構造との疎水性相互作用により、通常はより低い速度で樹脂から溶離することになる。
一部の実施形態においては、医薬組成物は経口投与を目的として配合される。経口剤型は、たとえば、錠剤、カプセル剤、およびカプレット剤などを含み、且つ封入されることもされないこともある複数の顆粒剤、ビーズ剤、散剤またはペレット剤も含みうる。錠剤およびカプセル剤は、固形医薬担体が採用される場合の最も簡便な経口剤型を代表する。一部の実施形態においては、医薬組成物は口腔崩壊錠として配合される。
遅延放出製剤においては、緩徐な溶解および薬剤の腸内への随伴的放出を促進するために、1つまたはそれ以上のバリアコーティングをペレット剤、錠剤、またはカプセル剤に適用しうる。典型的には、バリアコーティングは、治療組成物または有効なコアを収容するか、包囲するか、またはその周囲に層または膜を形成する1つまたはそれ以上のポリマーを含有する。一部の実施形態においては、有効物質は投与後の所定の時間に遅延放出を提供する製剤の形態で送達される。遅延は最長約10分であるか、または約20分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間またはそれ以上でありうる。
有効物質を含有する顆粒剤、ビーズ剤、散剤またはペレット剤、錠剤、カプセル剤、またはその組み合わせに多様なコーティング技術を適用して、相異なり且つ特徴的な放出プロフィールをもたらしうる。一部の実施形態においては、医薬組成物は単一のコーティング層を含む錠剤またはカプセル剤の形態にある。他の実施形態においては、医薬組成物は複数のコーティング層を含む錠剤またはカプセル剤の形態にある。一部の実施形態においては、本願の医薬組成物は、有効成分の100%の延長放出または遅延延長放出を目的として配合される。
他の実施形態においては、本願の医薬組成物は、投与の2時間以内に放出される「即時放出」コンポーネント、および2〜12時間の間にわたって放出される「延長放出」コンポーネントによって特徴付けられる、2相延長放出または遅延2相延長放出を目的として配合される。一部の実施形態においては、「即時放出」コンポーネントは、医薬製剤によって送達される有効物質の総用量の約1〜90%を提供し、且つ「延長放出」コンポーネントは有効物質の総用量の10〜99%を提供する。たとえば、即時放出コンポーネントは、医薬製剤によって送達される有効物質の総用量の約10〜90%、または約10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%を提供しうる。延長放出コンポーネントは、製剤によって送達される有効物質の総用量の約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%を提供する。
一部の実施形態においては、即時放出コンポーネントおよび延長放出コンポーネントは同じ有効成分を含有する。他の実施形態においては、即時放出コンポーネントおよび延長放出コンポーネントは異なる有効成分を含有する(例:一方のコンポーネント中にアセトアミノフェン且つもう一方のコンポーネント中にNSAID)。一部の実施形態においては、即時放出コンポーネントおよび延長放出コンポーネントは、それぞれアセトアミノフェンおよび1つのNSAIDを含有する。他の実施形態においては、即時放出コンポーネントおよび/または延長放出コンポーネントは、PG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、型ホスホジエステラーゼ阻害剤(PDE5阻害剤)、ゾルピデム、およびその組み合わせからなる群から選択される、1つまたはそれ以上の追加的な有効物質をさらに含む。
一部の実施形態においては、医薬組成物はPG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムおよびその組み合わせからなる群から選択される複数の有効成分を含む。抗ムスカリン剤の例は、オキシブチニン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、フェソテロジン、トルテロジン、トロスピウム、アトロピン、および三環系抗うつ剤を含むが、これに限定されない。抗利尿剤の例は、抗利尿ホルモン(ADH)、アンジオテンシンII、アルドステロン、バソプレシン、バソプレシンアナログ(例:デスモプレシン アルギプレシン、リプレシン、フェリプレシン、オルニプレシン、テルリプレシン);バソプレシン受容体作動剤、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)受容体(すなわちNPR1、NPR2、およびNPR3)拮抗剤(例:HS−142−1、イサチン、[Asu7,23’]b−ANP−(7−28)]、アナンチン、Streptomyces coerulescens由来環状ペプチド、および3G12モノクローナル抗体);ソマトスタチン2型受容体拮抗剤(例:ソマトスタチン)、医薬上許容可能なその誘導体、およびそのアナログ、塩、水和物および溶媒和物を含むが、これに限定されない。鎮痙剤の例はカリソプロドール、ベンゾジアゼピン類、バクロフェン、シクロベンザプリン、メタキサロン、メトカルバモール、クロニジン、クロニジンアナログ、およびダントロレンを含むが、これに限定されない。PDE5阻害剤の例はタダラフィル、シルデナフィルおよびバルデナフィルを含むが、これに限定されない。
一部の実施形態においては、医薬組成物は(1)アセトアミノフェンおよび(2)1つまたはそれ以上のNSAIDを含む複数の有効成分を含む。一部の実施形態においては、複数の有効成分は即時放出を目的として配合される。他の実施形態においては、複数の有効成分は延長放出を目的として配合される。他の実施形態においては、複数の有効成分は遅延放出を目的として配合される。他の実施形態においては、複数の有効成分は即時放出および延長放出の双方を目的として配合される(例:各有効成分の第1の部分は即時放出を目的として配合され、且つ各有効成分の第2の部分は延長放出を目的として配合される)。さらに他の実施形態においては、複数の有効成分の一部は即時放出を目的として配合され、且つ複数の有効成分の一部は延長放出を目的として配合される(例:有効成分A、B、Cは即時放出を目的として配合され、且つ有効成分CおよびDは延長放出を目的として配合される)。一部の実施形態においては、複数の有効成分は遅延延長放出を目的として配合される。
一定の実施形態においては、医薬組成物は即時放出コンポーネントおよび延長放出コンポーネントを含む。即時放出コンポーネントは、アセトアミノフェン、1つまたはそれ以上のNSAID、および/またはPG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムおよびその組み合わせからなる群から選択される、1つまたはそれ以上の有効成分を含みうる。同様に、延長放出コンポーネントは、アセトアミノフェン、1つまたはそれ以上のNSAID、および/またはPG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムおよびその組み合わせからなる群から選択される、1つまたはそれ以上の有効成分を含みうる。一部の実施形態においては、即時放出コンポーネントと延長放出コンポーネントは全く同じ有効成分を有する。他の実施形態においては、即時放出コンポーネントと延長放出コンポーネントは異なる有効成分を有する。さらに他の実施形態においては、即時放出コンポーネントと延長放出コンポーネントは、1つまたはそれ以上の共通する有効成分を有する。一部の他の実施形態においては、即時放出コンポーネントおよび/または延長放出コンポーネントは、腸溶コーティングなどの遅延放出コーティングによってさらにコーティングされる。他の実施形態においては、医薬組成物は、それぞれに異なる延長放出プロフィールを提供する、2つの延長放出コンポーネントとして配合される、2つまたはそれ以上の有効成分を含む。たとえば、第1の延長放出コンポーネントが第1の有効成分を第1の放出速度で放出し、且つ第2の延長放出コンポーネントが第2の有効成分を第2の放出速度で放出する。
一定の実施形態においては、医薬組成物は即時放出コンポーネントおよび遅延放出コンポーネントを含む。他の実施形態においては、医薬組成物は、それぞれに異なる遅延放出プロフィールを提供する2つの遅延放出コンポーネントとして配合される、2つまたはそれ以上の有効成分を含む。たとえば、第1の遅延放出コンポーネントが第1の有効成分を第1の時点で放出し、且つ第2の遅延放出コンポーネントが第2の有効成分を第2の時点で放出する。
複合放出プロフィール製剤中のコンポーネント(例:即時放出コンポーネントと延長放出コンポーネントの組み合わせ、即時放出コンポーネントと遅延放出コンポーネントの組み合わせ、即時放出コンポーネント、遅延放出コンポーネント、および延長放出コンポーネントの組み合わせ、2つまたはそれ以上の遅延放出コンポーネントの組み合わせ、または2つまたはそれ以上の延長放出コンポーネントの組み合わせを有する製剤)は、同一の有効成分または異なる有効成分を含みうる。一部の実施形態においては、即時放出コンポーネントは、医薬製剤によって送達される有効物質の総用量の約1%から約80%を提供しうる。一部の実施形態においては、複合放出プロフィール製剤は即時放出コンポーネントを含有し、且つ即時放出コンポーネントは、製剤によって送達される各有効成分の総用量の約1%から約90%、約10%から約90%、約20%から約90%、約30%から約90%、約40%から約90%、約50%から約90%、約60%から約90%、約70%から約90%、または約80%から約90%を提供する。他の実施形態においては、即時放出コンポーネントは、製剤によって送達される各有効成分の総用量の最高約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%までを提供する。
一部の実施形態においては、医薬製剤は、たとえば流動床技術または当業者に既知である他の方法論などを用いて、たとえば薬剤含有フィルム形成性組成物の形態をとる薬剤によりその表面がコーティングされたビーズ、ペレット、丸剤、顆粒状粒子、マイクロカプセル、マイクロスフェア、マイクロ顆粒、ナノカプセル、またはナノスフェアの形態をそれぞれにとる、1つまたはそれ以上の不活性粒子から構成される有効なコアを含む。不活性粒子は、低い溶解性にとどまるために十分な大きさである限り、多様なサイズであることができる。代替的に、有効なコアは、原薬を含有するポリマー組成物の造粒および粉砕および/または押出およびスフェロニゼーションによって調製しうる。
コア中の薬剤の量は必要とされる用量に依存し、且つ典型的には約5から90重量%まで変動する。一般的に、有効なコアに対するポリマーコーティングは、必要とされる遅延時間および放出プロフィールの種類および/または選択されるポリマーおよびコーティング溶媒に応じて、コーティングされる粒子の重量の約1から50%となる。当業者は、所望の用量を達成するために、コアにコーティングするための、またはその中に組み入れるための適切な薬剤の量を選択することができる。1つの実施形態においては、不活性なコアは、薬剤の放出を促進するためにその微小環境を変化させる糖類の球、または炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸I.などの緩衝剤の結晶または封入された緩衝剤の結晶でありうる。
一部の実施形態においては、医薬組成物は、ビーズなどの水溶性/水分散性薬剤含有粒子を、非水溶性ポリマーと腸溶ポリマーが4:1から1:1の重量比で存在しうる、非水溶性ポリマーと腸溶ポリマーの混合物でコーティングすることにより形成される、遅延放出コンポーネントを含み、且つコーティングの総重量はコーティングされるビーズの総重量の10から60重量%である。薬剤積層ビーズは、エチルセルロースの内部溶出速度制御膜を、任意選択として含みうる。ポリマー膜の外層の組成、さらには内層および外層の個々の重量は、インビトロ/インビボ相関に基づいて予測される、所与の活性についての所望の概日周期放出プロフィールを達成するために最適化される。
他の実施形態においては、製剤は、溶出速度制御ポリマー膜を伴わない即時放出薬剤含有粒子と、たとえば経口投与後2〜4時間の遅延時間を示す遅延放出ビーズの混合物を含み、これにより2パルス放出プロフィールを提供する。さらに他の実施形態においては、製剤は2種類の遅延放出ビーズ:1〜3時間の遅延時間を示す第1の種類および4〜6時間の遅延時間を示す第2の種類の混合物を含む。さらに他の実施形態においては、製剤は2種類の放出ビーズ:即時放出を示す第1の種類および1〜4時間の遅延時間を示した後延長放出する第2の種類の混合物を含む。
一部の実施形態においては、製剤は、有効成分の一部分(例:10〜80%)が即時または投与の2時間以内に放出され、且つ残りが延長された時間にわたって(例:2〜24時間にわたって)放出されるような放出プロフィールでデザインされる。他の実施形態においては、製剤は、1つの有効成分(例:アセトアミノフェンまたはNSAID)が即時または投与の2時間以内に放出され、且つ1つまたはそれ以上の他の有効成分(例:アセトアミノフェンまたはNSAID)が、延長された時間にわたって(例:2〜24時間にわたって)放出されるような放出プロフィールでデザインされる。
医薬組成物は、連日、または必要に応じて投与することができる。医薬組成物は、経口、静脈内、または筋肉内投与することができる。好ましい実施形態においては、医薬組成物は経口投与される。他の実施形態においては、医薬組成物は尿路からの逆灌流によって投与される。他の実施形態においては、医薬組成物は膀胱筋への直接的注射によって投与される。
一部の実施形態においては、医薬組成物は1日1回、1日2回、または1日3回投与される。他の実施形態においては、医薬組成物は1日おき、3日毎、4日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週間毎、3週間毎、毎月、2ヶ月毎、または3ヶ月毎に投与される。
一部の実施形態においては、医薬組成物は就寝時に投与される。一部の実施形態においては、医薬組成物は就寝前約2時間以内、好ましくは就寝前約1時間以内に投与される。他の実施形態においては、医薬組成物は就寝の約2〜4時間前に投与される。さらなる実施形態においては、医薬組成物は就寝の少なくとも4時間前に投与される。
即時放出コンポーネント、延長放出コンポーネント、遅延放出コンポーネントまたは遅延延長放出コンポーネント中の有効成分の適切な用量(「治療的に有効な量」)は、たとえば、病状の重症度および経過、投与様式、個々の成分のバイオアベイラビリティ、患者の年齢および体重、患者の病歴および有効成分に対する反応、医師の裁量などに依存することになる。
一般的な提案として、即時放出コンポーネント、遅延放出コンポーネント、延長放出コンポーネントおよび/または遅延延長放出コンポーネント中の、アセトアミノフェンおよび1つまたはそれ以上のNSAIDの治療的に有効な量は、1回の投与によるにせよまたはそれ以上の投与によるにせよ、約1μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日の範囲で投与される。一部の実施形態においては、単一用量または複合投与で連日投与される各有効物質の範囲は約1μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約100μg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約30μg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約10μg/kg体重/日、1μg/kg体重/日から約3μg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約100μg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約30μg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約100μg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、1mg/kg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、3mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、3mg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、3mg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、10mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、10mg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日または30mg/kg体重/日から約100mg/kg体重日である。
一般的な提案として、即時放出コンポーネント、遅延放出コンポーネント、延長放出コンポーネントまたは遅延延長放出コンポーネント中の、PG経路阻害剤および/または鎮痛剤の治療的に有効な量は、1回の投与によるにせよまたはそれ以上の投与によるにせよ、約10μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日の範囲で投与される。一部の実施形態においては、単一用量または複合doesで連日投与される各有効物質の範囲は約10μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約100μg/kg体重/日、10μg/kg体重/日から約30μg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、30μg/kg体重/日から約100μg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、100μg/kg体重/日から約300μg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、300μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、1mg/kg体重/日から約3mg/kg体重/日、3mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、3mg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日、3mg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、10mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日、10mg/kg体重/日から約30mg/kg体重/日または30mg/kg体重/日から約100mg/kg体重/日である。
本願に記載の鎮痛剤は、1mgから2000mg、1mgから1000mg、1mgから300mg、1mgから100mg、1mgから30mg、1mgから10mg、1mgから3mg、3mgから2000mg、3mgから1000mg、3mgから300mg、3mgから100mg、3mgから30mg、3mgから10mg、10mgから2000mg、10mgから1000mg、10mgから300mg、10mgから100mg、10mgから30mg、30mgから2000mg、30mgから1000mg、30mgから300mg、30mgから100mg、100mgから2000mg、100mgから1000mg、100mgから300mg、300mgから2000mg、300mgから1000mgまたは1000mgから2000mgの単一用量または複合用量範囲での連日経口投与のために、即時放出コンポーネントまたは延長放出コンポーネント、遅延放出コンポーネント、遅延延長放出コンポーネントまたはその組み合わせに含めうる。予測されるように、用量は病状、サイズ、年齢、および患者の状態に依存的となる。
他の実施形態においては、医薬組成物は一対のNSAIDを含む。そのような一対の鎮痛剤の例はアセチルサリチル酸とイブプロフェン、アセチルサリチル酸とナプロキセンナトリウム、アセチルサリチル酸とナブメトン、アセチルサリチル酸とインドメタシン、イブプロフェンとナプロキセンナトリウム、イブプロフェンとナブメトン、イブプロフェンとインドメタシン、ナプロキセンまたはナプロキセンナトリウムとナブメトン、ナプロキセンまたはナプロキセンナトリウムとインドメタシン、ナブメトンとインドメタシンを含むが、これに限定されない。NSAIDの対は、0.1:1から10:1、0.2:1から5:1または0.3:1から3:1の範囲の重量比で混合される。1つの実施形態においては、NSAIDの対は重量比1:1で混合される。
一部の他の実施形態においては、本願の医薬組成物は1つまたはそれ以上の抗ムスカリン剤をさらに含む。抗ムスカリン剤の例は、オキシブチニン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、フェソテロジン、トルテロジン、トロスピウム、アトロピン、および三環系抗うつ剤を含むが、これに限定されない。抗ムスカリン剤の1日用量は1μgから300mg、1μgから100mg、1μgから30mg;1μgから10mg、1μgから3mg、1μgから1mg、1μgから300μg、1μgから100μg、1μgから30μg、1μgから10μg、1μgから3μg、3μgから100mg、3μgから100mg、3μgから30mg;3μgから10mg、3μgから3mg、3μgから1mg、3μgから300μg、3μgから100μg、3μgから30μg、3μgから10μg、10μgから300mg、10μgから100mg、10μgから30mg;10μgから10mg、10μgから3mg、10μgから1mg、10μgから300μg、10μgから100μg、10μgから30μg、30μgから300mg、30μgから100mg、30μgから30mg;30μgから10mg、30μgから3mg、30μgから1mg、30μgから300μg、30μgから100μg、100μgから300mg、100μgから100mg、100μgから30mg;100μgから10mg、100μgから3mg、100μgから1mg、100μgから300μg、300μgから300mg、300μgから100mg、300μgから30mg;300μgから10mg、300μgから3mg、300μgから1mg、1mgから300mg、1mgから100mg、1mgから30mg、1mgから3mg、3mgから300mg、3mgから100mg、3mgから30mg、3mgから10mg、10mgから300mg、10mgから100mg、10mgから30mg、30mgから300mg、30mgから100mgまたは100mgから300mgの範囲内である。
一部の他の実施形態においては、本願の医薬組成物は1つまたはそれ以上の抗利尿剤をさらに含む。抗利尿剤の例は、抗利尿ホルモン(ADH)、アンジオテンシンII、アルドステロン、バソプレシン、バソプレシンアナログ(例:デスモプレシン アルギプレシン、リプレシン、フェリプレシン、オルニプレシン、およびテルリプレシン)、バソプレシン受容体作動剤、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)受容体(すなわちNPR1、NPR2、およびNPR3)拮抗剤(例:HS−142−1、イサチン、[Asu7,23’]b−ANP−(7−28)]、アナンチン、Streptomyces coerulescens由来環状ペプチド、および3G12モノクローナル抗体)、ソマトスタチン2型受容体拮抗剤(例:ソマトスタチン)、医薬上許容可能な誘導体、およびそのアナログ、塩、水和物および溶媒和物を含むが、これに限定されない。一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上の抗利尿剤はデスモプレシンを含む。他の実施形態においては、1つまたはそれ以上の抗利尿剤はデスモプレシンである。抗利尿剤の1日用量は1μgから300mg、1μgから100mg、1μgから30mg;1μgから10mg、1μgから3mg、1μgから1mg、1μgから300μg、1μgから100μg、1μgから30μg、1μgから10μg、1μgから3μg、3μgから100mg、3μgから100mg、3μgから30mg;3μgから10mg、3μgから3mg、3μgから1mg、3μgから300μg、3μgから100μg、3μgから30μg、3μgから10μg、10μgから300mg、10μgから100mg、10μgから30mg;10μgから10mg、10μgから3mg、10μgから1mg、10μgから300μg、10μgから100μg、10μgから30μg、30μgから300mg、30μgから100mg、30μgから30mg;30μgから10mg、30μgから3mg、30μgから1mg、30μgから300μg、30μgから100μg、100μgから300mg、100μgから100mg、100μgから30mg;100μgから10mg、100μgから3mg、100μgから1mg、100μgから300μg、300μgから300mg、300μgから100mg、300μgから30mg;300μgから10mg、300μgから3mg、300μgから1mg、1mgから300mg、1mgから100mg、1mgから30mg、1mgから3mg、3mgから300mg、3mgから100mg、3mgから30mg、3mgから10mg、10mgから300mg、10mgから100mg、10mgから30mg、30mgから300mg、30mgから100mgまたは100mgから300mgの範囲内である。
他の実施形態においては、本願の医薬組成物は1つまたはそれ以上の鎮痙剤をさらに含む。鎮痙剤の例はカリソプロドール、ベンゾジアゼピン類、バクロフェン、シクロベンザプリン、メタキサロン、メトカルバモール、クロニジン、クロニジンアナログ、およびダントロレンを含むが、これに限定されない。一部の実施形態においては、鎮痙剤は0.1mgから1000mg、0.1mgから300mg、0.1mgから100mg、0.1mgから30mg、0.1mgから10mg、0.1mgから3mg、0.1mgから1mg、0.1mgから0.3mg、0.3mgから1000mg、0.3mgから300mg、0.3mgから100mg、0.3mgから30mg、0.3mgから10mg、0.3mgから3mg、0.3mgから1mg、1mgから1000mg、1mgから300mg、1mgから100mg、1mgから30mg、1mgから10mg、1mgから3mg、3mgから1000mg、3mgから300mg、3mgから100mg、3mgから30mg、3mgから10mg、10mgから1000mg、10mgから300mg、10mgから100mg、10mgから30mg、30mgから1000mg、30mgから300mg、30mgから100mg、100mgから1000mg、100mgから300mg、または300mgから1000mgの1日用量で用いられる。
他の実施形態においては、本願の医薬組成物は1つまたはそれ以上のPDE5阻害剤をさらに含む。PDE5阻害剤の例はタダラフィル、シルデナフィルおよびバルデナフィルを含むが、これに限定されない。一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPDE5阻害剤はタダラフィルを含む。他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のPDE5阻害剤はタダラフィルである。一部の実施形態においては、PDE5阻害剤は0.1mgから1000mg、0.1mgから300mg、0.1mgから100mg、0.1mgから30mg、0.1mgから10mg、0.1mgから3mg、0.1mgから1mg、0.1mgから0.3mg、0.3mgから1000mg、0.3mgから300mg、0.3mgから100mg、0.3mgから30mg、0.3mgから10mg、0.3mgから3mg、0.3mgから1mg、1mgから1000mg、1mgから300mg、1mgから100mg、1mgから30mg、1mgから10mg、1mgから3mg、3mgから1000mg、3mgから300mg、3mgから100mg、3mgから30mg、3mgから10mg、10mgから1000mg、10mgから300mg、10mgから100mg、10mgから30mg、30mgから1000mg、30mgから300mg、30mgから100mg、100mgから1000mg、100mgから300mg、または300mgから1000mgの1日用量で用いられる。
一部の他の実施形態においては、本願の医薬組成物はゾルピデムをさらに含む。ゾルピデムの1日用量は100μgから100mg、100μgから30mg、100μgから10mg、100μgから3mg、100μgから1mg、100μgから300μg、300μgから100mg、300μgから30mg、300μgから10mg、300μgから3mg、300μgから1mg、1mgから100mg、1mgから30mg、1mgから10mg、1mgから3mg、10mgから100mg、10mgから30mg、または30mgから100mgの範囲内である。
PG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデム、および/またはその組み合わせは、即時放出、延長放出、遅延放出、遅延延長放出またはその組み合わせを目的として、単独かまたは他の有効成分と共に医薬組成物に配合しうる。
一定の実施形態においては、医薬組成物は延長放出を目的として配合され、且つ(1)アセトアミノフェン;(2)1つまたはそれ以上のNSAIDおよび(3)鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデム、またはその組み合わせを含む。
医薬組成物は錠剤、カプセル剤、糖剤、散剤、顆粒剤、液剤、ゲル剤、または乳濁剤の形態に配合されうる。前記液剤、ゲル剤または乳濁剤は、裸の形態またはカプセル内に収容されて対象に摂取されうる。
一部の実施形態においては、医薬組成物は、1つまたはそれ以上のNSAIDおよび/またはアセトアミノフェンを、個別にまたは組み合わせて10〜1000mg、10〜800mg、10〜600mg、10〜500mg、10〜400mg、10〜300mg、10〜250mg、10〜200mg、10〜150mg、10〜100mg 30〜1000mg、30〜800mg、30〜600mg、30〜500mg、30〜400mg、30〜300mg、30〜250mg、30〜200mg、30〜150mg、30〜100mg、100〜1000mg、100〜800mg、100〜600mg、100〜400mg、100〜250mg、300〜1000mg、300〜800mg、300〜600mg、300〜400mg、400〜1000mg、400〜800mg、400〜600mg、600〜1000mg、600〜800mgまたは800〜1000 mgの間の量で含み、組成物は、1つまたはそれ以上のNSAIDおよび/またはアセトアミノフェンが2〜12時間、または5〜8時間の間にわたって連続的に放出される放出プロフィールを有する延長放出を目的として配合される。
一部の実施形態においては、組成物は、1つまたはそれ以上のNSAIDおよび/またはアセトアミノフェンの少なくとも90%が、2〜12時間、または5〜8時間の間にわたって連続的に放出される放出プロフィールを有する、延長放出を目的として配合される。
一部の実施形態においては、組成物は、1つまたはそれ以上のNSAIDおよび/またはアセトアミノフェンが5、6、7、8、10または12時間の間にわたって連続的に放出される放出プロフィールを有する、延長放出を目的として配合される。一部の実施形態においては、医薬組成物はPG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムまたはその組み合わせをさらに含む。
他の実施形態においては、組成物は、NSAIDおよび/またはアセトアミノフェンが2〜12時間、または5〜8時間の間にわたる一定速度で放出される放出プロフィールを有する、延長放出を目的として配合される。他の実施形態においては、組成物は、鎮痛剤が5、6、7、8、10または12時間の間にわたる一定速度で放出される放出プロフィールを有する、延長放出を目的として配合される。本願で用いる「間にわたる一定速度」は、所与の時間中の任意の点における放出速度が、その所与の時間にわたる平均放出速度の30〜300%以内である放出プロフィールと定義される。たとえば、アスピリン80mgが8時間の時間にわたる一定速度で放出される場合、この時間中の平均放出速度は10mg/時間であり、且つこの時間中の任意の時点における実際の放出速度は3mg/時間から30mg/時間の範囲内(すなわち8時間の間の平均放出速度10mg/時間の30%〜300%以内)である。一部の実施形態においては、医薬組成物はPG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムまたはその組み合わせをさらに含む。
一部の実施形態においては、NSAIDはアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキセン、インドメタシン、およびナブメトンからなる群から選択される。医薬組成物は、即時放出製剤と比較して単一用量中の薬剤の全量が減少するよう、有効な血中薬剤濃度を維持するために、NSAIDおよび/またはアセトアミノフェンの一定した放出を提供するよう配合される。
一部の他の実施形態においては、医薬組成物は、各々が10〜1000mg、10〜800mg、10〜600mg、10〜500mg、10〜400mg、10〜300mg、10〜250mg、10〜200mg、10〜150mg、10〜100mg 30〜1000mg、30〜800mg、30〜600mg、30〜500mg、30〜400mg、30〜300mg、30〜250mg、30〜200mg、30〜150mg、30〜100mg、100〜1000mg、100〜800mg、100〜600mg、100〜400mg、100〜250mg、300〜1000mg、300〜800mg、300〜600mg、300〜400mg、400〜1000mg、400〜800mg、400〜600mg、600〜1000mg、600〜800mgまたは800〜1000mgの間の量で存在する1つまたはそれ以上のNSAIDおよびアセトアミノフェンを含み、NSAIDおよびまたはアセトアミノフェンは、鎮痛剤の20〜60%が投与の2時間以内に放出され、且つ残りが2〜12時間または5〜8時間の間に渡って連続的、または一定速度で放出される2相放出プロフィールによって特徴付けられる、延長放出を目的として配合される。
さらに他の実施形態においては、NSAIDおよび/またはアセトアミノフェンは、鎮痛剤の20、30、40、50または60%が投与の2時間以内に放出され、且つ残りが2〜12または5〜8時間の間にわたって連続的に、または一定速度で放出される2相放出プロフィールを有する延長放出を目的として配合される。1つの実施形態においては、NSAIDはアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキセン、インドメタシン、およびナブメトンからなる群から選択される。
一部の実施形態においては、医薬組成物はPG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムまたはその組み合わせをさらに含む。一部の実施形態においては、PG経路阻害剤、鎮痛剤、抗ムスカリン剤、抗利尿剤、鎮痙剤、PDE5阻害剤、ゾルピデムまたはその組み合わせは即時放出を目的として配合される。
一部の実施形態においては、医薬組成物は尿失禁および/または過活動膀胱の治療のためにも用いられる。
本願の他の態様は、膀胱痙攣を低減するための方法であって、それを必要とする対象に本願の医薬組成物の有効量、およびボツリヌス毒素の有効量を投与することを含む方法に関する。
一部の実施形態においては、ボツリヌス毒素は膀胱筋内への注射によって投与され;且つ本願の医薬組成物は対象に経口投与される。一部の実施形態においては、注射するステップは、各部位につき2〜10単位の注射用量で、膀胱筋内5〜20部位への10〜200単位のボツリヌス毒素の注射を含む。1つの実施形態においては、注射するステップは、各部位につき2〜10単位の注射用量での、膀胱筋内5部位へのボツリヌス毒素の注射を含む。他の実施形態においては、注射するステップは、各部位につき2〜10単位の注射用量での、膀胱筋内10部位へのボツリヌス毒素の注射を含む。他の実施形態においては、注射するステップは、各部位につき2〜10単位の注射用量での、膀胱筋内15部位へのボツリヌス毒素の注射を含む。さらなる他の実施形態においては、注射するステップは、各部位につき2〜10単位の注射用量での、膀胱筋内20部位へのボツリヌス毒素の注射を含む。一部の実施形態においては、注射するステップは3、4、6、8、10または12ヶ月毎に反復される。
一部の実施形態においては、上記の方法は尿失禁および/または過活動膀胱の治療のためにも用いられる。
本発明は、制限的であると解釈されるべきでない以下の実施例によってさらに例示される。本願の全文にわたって引用された全ての参照文献、特許、および公開特許明細書の内容は、その全文を参照文献として本願に援用する。
(イブプロフェンによる排尿衝動の阻害)
各々が早すぎる排尿衝動または尿意を経験し、適度に休息をしたと感じる十分な時間の睡眠を取るその能力が妨げられている、男性および女性の志願被験者20名を組み入れた。各被験者は、就寝時間前にイブプロフェン400〜800mgを単回用量として摂取した。少なくとも14名の被験者が、排尿衝動によって目覚める頻度が高くないために、より良い休息が取れるようになったと報告した。
各々が早すぎる排尿衝動または尿意を経験し、適度に休息をしたと感じる十分な時間の睡眠を取るその能力が妨げられている、男性および女性の志願被験者20名を組み入れた。各被験者は、就寝時間前にイブプロフェン400〜800mgを単回用量として摂取した。少なくとも14名の被験者が、排尿衝動によって目覚める頻度が高くないために、より良い休息が取れるようになったと報告した。
数例の被験者は、数週間夜間にイブプロフェンを使用した後、排尿衝動の頻度の減少による利益はもはや認識されなかったと報告した。しかし、これらの被験者は、いずれも投与量の摂取を数日控えると利益が回復するとさらに報告した。より最近の試験により、より低い用量で、その後の利点が全く減少されることなく、同様の結果を達成することができることが確認されている。
(炎症性および非炎症性刺激物へのマクロファージの反応に対する鎮痛剤、ボツリヌス神経毒素および抗ムスカリン剤の効果)
(実験デザイン)
本試験は、COX2およびプロスタグランジン(PGE、PGHなど)を介した炎症性および非炎症性刺激物に対するマクロファージ反応を制御する際の、鎮痛剤および抗ムスカリン剤の用量およびインビトロ有効性を判定するようデザインされている。膀胱細胞における炎症および非炎症エフェクターに対し、ベースライン(用量および動態)反応を確立する。簡単に述べると、多様なエフェクターの存在下および非存在下で、培養細胞を鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤に曝露する。
(実験デザイン)
本試験は、COX2およびプロスタグランジン(PGE、PGHなど)を介した炎症性および非炎症性刺激物に対するマクロファージ反応を制御する際の、鎮痛剤および抗ムスカリン剤の用量およびインビトロ有効性を判定するようデザインされている。膀胱細胞における炎症および非炎症エフェクターに対し、ベースライン(用量および動態)反応を確立する。簡単に述べると、多様なエフェクターの存在下および非存在下で、培養細胞を鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤に曝露する。
エフェクターは:炎症性刺激物として炎症性物質且つCox2誘導物質であるリポ多糖(LPS);非炎症性刺激物として平滑筋収縮刺激剤であるカルバコールまたはアセチルコリン;陽性対照として既知のアセチルコリン放出阻害剤であるボツリヌス神経毒素A;および細胞内でシクロオキシゲナーゼ(COX1およびCOX2)および末端プロスタグランジンシンターゼによるアラキドン酸(AA)、γ−リノレン酸(DGLA)、またはエイコサペンタエン酸(EPA)の連続酸化後に生成されるプロスタグランジンの前駆体としてAA、DGLAまたはEPAを含む。
鎮痛剤は:アスピリンなどのサリチレート;アドビル、モトリン、ヌプリンおよびメディプレンなどのイソブチルプロパンフェノール酸誘導体(イブプロフェン);アレヴェ、アナプロックス、アンタルジン、フェミナックスウルトラ、フラナックス、インザ、ミドール長時間鎮痛、ナルゲシン、ナポシン、ナプレラン、ナプロゲシック、ナプロシン、ナプロシン懸濁液、EC−ナプロシン、ナロシン、プロキセン、シンフレックスおよびゼノビドなどのナプロキセンナトリウム;インドメタシン(インドシン)などの酢酸誘導体、ナブメトンまたはレラフェンなどの1−ナフタレン酢酸誘導体;アセトアミノフェンまたはパラセタモール(タイレノール)などのN−アセチルパラアミノフェノール(APAP)誘導体;およびセレコキシブを含む。
抗ムスカリン薬はオキシブチニン、ソリフェナシン、ダリフェナシンおよびアトロピンを含む。
マクロファージを以下による短時間(1〜2時間)または長時間(24〜48時間)の刺激に付す:
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。次に、PGH2;PGE;PGE2;プロスタサイクリン;トロンボキサン;IL−1β;IL−6;TNF−αの放出;COX2活性;cAMPおよびcGMPの産生;IL−1β、IL−6、TNF−αおよびCOX2 mRNAの産生;およびCD80、CD86およびMHCクラスII分子の表面発現について細胞を分析する。
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。次に、PGH2;PGE;PGE2;プロスタサイクリン;トロンボキサン;IL−1β;IL−6;TNF−αの放出;COX2活性;cAMPおよびcGMPの産生;IL−1β、IL−6、TNF−αおよびCOX2 mRNAの産生;およびCD80、CD86およびMHCクラスII分子の表面発現について細胞を分析する。
(材料および方法)
(マクロファージ細胞)
本試験ではマウスRAW264.7またはJ774マクロファージ細胞(ATCCより入手)を用いた。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)、15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンを添加したRPMI1640を含有する培地で維持した。細胞は、5%CO2雰囲気下37℃で培養し、週に1回分割(継代)した。
(マクロファージ細胞)
本試験ではマウスRAW264.7またはJ774マクロファージ細胞(ATCCより入手)を用いた。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)、15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンを添加したRPMI1640を含有する培地で維持した。細胞は、5%CO2雰囲気下37℃で培養し、週に1回分割(継代)した。
(マクロファージ細胞のインビトロ鎮痛剤処理)
RAW264.7マクロファージ細胞は、1ウェルにつき細胞培地100μL中1.5×105個細胞/ウェルの細胞密度で96ウェルプレートに播種した。細胞は、(1)多様な濃度の鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンまたはナプロキセン)、(2)マクロファージ細胞に対する炎症性刺激のエフェクターである、多様な濃度のリポ多糖(LPS)、(3)非炎症性刺激のエフェクターである、多様な濃度のカルバコールまたはアセチルコリン、(4)鎮痛剤とLPSまたは(5)鎮痛剤とカルバコールまたはアセチルコリンで処理した。簡単に述べると、鎮痛剤を無FBS培地(すなわち15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを添加したRPMI1640)に溶解し、同培地で連続希釈することにより所望の濃度に希釈した。LPS非存在下で鎮痛剤処理する細胞については、鎮痛剤溶液50μLと無FBS培地50μLを各ウェルに加えた。LPS存在下で鎮痛剤処理する細胞については、鎮痛剤溶液50μLと無FBS培地中のLPS(Salmonella typhimurium由来)50μLを各ウェルに加えた。全ての条件を2回ずつ試験した。
RAW264.7マクロファージ細胞は、1ウェルにつき細胞培地100μL中1.5×105個細胞/ウェルの細胞密度で96ウェルプレートに播種した。細胞は、(1)多様な濃度の鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンまたはナプロキセン)、(2)マクロファージ細胞に対する炎症性刺激のエフェクターである、多様な濃度のリポ多糖(LPS)、(3)非炎症性刺激のエフェクターである、多様な濃度のカルバコールまたはアセチルコリン、(4)鎮痛剤とLPSまたは(5)鎮痛剤とカルバコールまたはアセチルコリンで処理した。簡単に述べると、鎮痛剤を無FBS培地(すなわち15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを添加したRPMI1640)に溶解し、同培地で連続希釈することにより所望の濃度に希釈した。LPS非存在下で鎮痛剤処理する細胞については、鎮痛剤溶液50μLと無FBS培地50μLを各ウェルに加えた。LPS存在下で鎮痛剤処理する細胞については、鎮痛剤溶液50μLと無FBS培地中のLPS(Salmonella typhimurium由来)50μLを各ウェルに加えた。全ての条件を2回ずつ試験した。
24または48時間培養後、培養上清150μLを採取し、8,000rpm、4℃で2分間遠心分離して細胞および残渣を除去し、ELISAによるサイトカイン反応の分析のため−70℃で保存した。細胞は捕集し、且つリン酸緩衝液(PBS)500μLに遠心分離(1,500rpm、4℃で5分間)することにより洗浄した。その後、細胞の半分は液体窒素中で急速冷凍し、−70℃で保存した。残りの細胞は蛍光モノクローナル抗体で染色し、フローサイトメトリーで分析した。
(共刺激分子発現のフローサイトメトリー分析)
フローサイトメトリー分析用に、マクロファージを100μLのFACS緩衝液(2%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.01%NaN3を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈し、FITC−コンジュゲート抗CD40、PE−コンジュゲート抗CD80、PEコンジュゲート抗CD86抗体、抗MHCクラスII(I−Ad)PE(BDバイオサイエンス)を添加して、4℃で30分間染色した。その後、細胞をFACS緩衝液300μL中で遠心分離(1,500rpm、4℃で5分間)することにより洗浄した。2回目の洗浄後、細胞をFACS緩衝液200μLに再懸濁し、さらにAccuri C6フローサイトメーター(BDバイオサイエンス)を用いて、所与のマーカー(単陽性)、またはマーカーの組み合わせ(二重陽性)を発現した細胞の割合を分析した。
フローサイトメトリー分析用に、マクロファージを100μLのFACS緩衝液(2%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.01%NaN3を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈し、FITC−コンジュゲート抗CD40、PE−コンジュゲート抗CD80、PEコンジュゲート抗CD86抗体、抗MHCクラスII(I−Ad)PE(BDバイオサイエンス)を添加して、4℃で30分間染色した。その後、細胞をFACS緩衝液300μL中で遠心分離(1,500rpm、4℃で5分間)することにより洗浄した。2回目の洗浄後、細胞をFACS緩衝液200μLに再懸濁し、さらにAccuri C6フローサイトメーター(BDバイオサイエンス)を用いて、所与のマーカー(単陽性)、またはマーカーの組み合わせ(二重陽性)を発現した細胞の割合を分析した。
(ELISAによるサイトカイン反応の分析)
培養上清をサイトカイン特異的ELISAに付し、鎮痛剤、LPS単独、またはLPSと鎮痛剤の組み合わせにより処理したマクロファージの培養におけるIL−1β、IL−6およびTNF−α反応を判定した。分析は、0.1M重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中の抗マウスIL−6、TNF−α mAb(BDバイオサイエンス)またはIL−1β mAb(R&Dシステムズ)100μLで一晩コーティングしたNunc MaxiSorp Immunoplates(Nunc)上で実施した。PBS(200μL/ウェル)で2回洗浄した後、各ウェルにPBS3%BSA200μLを添加し(ブロッキング)、さらにプレートを室温で2時間インキュベートした。200μL/ウェルを添加することによりプレートを再度2回洗浄し、サイトカイン標準液および培養上清の連続希釈100μLをそれぞれ2ウェルに添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。最後に、プレートを2回洗浄し、二次ビオチニル化抗マウスIL−6、TNFα mAb(BDバイオサイエンス)またはIL−1β(R&Dシステムズ)100μL、その後ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ビオチンmAb(ベクターラボラトリーズ)でインキュベートした。2,2’−アジノ−ビス(3)−エチルベンジルチアゾリン−6−スルホン酸(ABTS)基質およびH2O2(シグマ)の添加によって呈色反応を発生させ、Victor(登録商標)Vマルチラベルプレートリーダー(パーキンエルマー)により415nmにおける吸光度を測定した。
培養上清をサイトカイン特異的ELISAに付し、鎮痛剤、LPS単独、またはLPSと鎮痛剤の組み合わせにより処理したマクロファージの培養におけるIL−1β、IL−6およびTNF−α反応を判定した。分析は、0.1M重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中の抗マウスIL−6、TNF−α mAb(BDバイオサイエンス)またはIL−1β mAb(R&Dシステムズ)100μLで一晩コーティングしたNunc MaxiSorp Immunoplates(Nunc)上で実施した。PBS(200μL/ウェル)で2回洗浄した後、各ウェルにPBS3%BSA200μLを添加し(ブロッキング)、さらにプレートを室温で2時間インキュベートした。200μL/ウェルを添加することによりプレートを再度2回洗浄し、サイトカイン標準液および培養上清の連続希釈100μLをそれぞれ2ウェルに添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。最後に、プレートを2回洗浄し、二次ビオチニル化抗マウスIL−6、TNFα mAb(BDバイオサイエンス)またはIL−1β(R&Dシステムズ)100μL、その後ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ビオチンmAb(ベクターラボラトリーズ)でインキュベートした。2,2’−アジノ−ビス(3)−エチルベンジルチアゾリン−6−スルホン酸(ABTS)基質およびH2O2(シグマ)の添加によって呈色反応を発生させ、Victor(登録商標)Vマルチラベルプレートリーダー(パーキンエルマー)により415nmにおける吸光度を測定した。
(COX2活性と、cAMPおよびcGMPの産生の測定)
培養マクロファージ中のCOX2活性は、連続競合ELISA(R&Dシステムズ)により測定する。cAMPおよびcGMPの産生は、cAMPアッセイおよびcGMPアッセイにより判定する。これらのアッセイは当該技術で常用的に実施される。
培養マクロファージ中のCOX2活性は、連続競合ELISA(R&Dシステムズ)により測定する。cAMPおよびcGMPの産生は、cAMPアッセイおよびcGMPアッセイにより判定する。これらのアッセイは当該技術で常用的に実施される。
表1は、Raw264マクロファージ細胞株を用いて実施した実験、および共刺激分子CD40およびCD80の細胞表面発現に対する鎮痛剤の効果についての主要な所見を要約する。これらの分子の発現はCOX2および炎症性シグナルによって刺激されるので、これを評価してCOX2阻害の機能的結果を判定した。
表2に示すように、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンは、共刺激分子の発現を阻害するのではなくむしろ促進するとみられる最高用量(すなわち5×106nM)を除き、全ての試験用量(すなわち5×105nM、5×104nM、5×103nM、5×102nM、50nMおよび5nM)で、マクロファージによる共刺激分子CD40およびCD80の基礎的発現を阻害する。図1Aおよび1Bに示すように、CD40およびCD50発現に対するそのような阻害効果は、0.05nM(すなわち0.00005μM)と低い鎮痛剤用量で認められた。この所見は、小用量の鎮痛剤の制御放出は大用量の急激な送達よりも好ましくなりうるという概念を裏付ける。実験より、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンが、LPSの誘導によるCD40およびCD80の発現に対し、同様の阻害効果を有することも明らかになった。
表3は、ヒト成人において経口治療用量を投与した後、鎮痛剤の血清レベルを測定した数件の試験の結果を要約する。表3に示すように、経口治療用量の投与後の最高血清レベルは、104から105nMの範囲内にある。したがって、表2におけるインビトロ試験した鎮痛剤の用量は、ヒトにおいてインビボで達成可能な濃度の範囲を包含する。
(炎症性および非炎症性刺激へのマウス膀胱平滑筋細胞の反応に対する鎮痛剤、ボツリヌス神経毒素および抗ムスカリン剤の効果)
(実験デザイン)
本試験は、実施例2で判定した鎮痛剤の至適用量が、細胞培養または組織培養中の膀胱平滑筋細胞にどのように影響するか特性解析し、且つ異なるクラスの鎮痛剤が相乗作用して、COX2およびPGE2反応をより効率よく阻害することができるか検討するようデザインされる。
(実験デザイン)
本試験は、実施例2で判定した鎮痛剤の至適用量が、細胞培養または組織培養中の膀胱平滑筋細胞にどのように影響するか特性解析し、且つ異なるクラスの鎮痛剤が相乗作用して、COX2およびPGE2反応をより効率よく阻害することができるか検討するようデザインされる。
エフェクター、鎮痛剤および抗ムスカリン剤は実施例2に記載されている。
マウス膀胱平滑筋細胞の一次培養を以下による短時間(1〜2時間)または長時間(24〜48時間)の刺激に付す:
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
次に、PGH2;PGE;PGE2;プロスタサイジン;トロンボキサン;IL−1β;IL−6;TNF−αの放出;COX2活性;cAMPおよびcGMPの産生;IL−1β、IL−6、TNF−αおよびCOX2 mRNAの産生;およびCD80、CD86およびMHCクラスII分子の表面発現について細胞を分析する。
(材料および方法)
(マウス膀胱細胞の分離および精製)
安楽死動物C57BL/6マウス(8〜12週齢)より膀胱細胞を摘出し、さらに酵素消化により細胞を分離した後パーコール勾配上で精製した。簡単に述べると、マウス10匹から採取した膀胱を、消化緩衝液(RPMI1640、2%ウシ胎児血清、0.5mg/mLコラゲナーゼ、30μg/mL DNアーゼ)10mL中で、はさみを用いて細かなスラリー状に細断した。膀胱スラリーを37℃で30分間酵素的に消化した。未消化の断片はセルトレーナーでさらに分散させた。細胞懸濁液をペレット化し、単核球上の精製用不連続20%、40%、および75%パーコール勾配に加えた。各実験には50〜60個の膀胱を用いた。
(マウス膀胱細胞の分離および精製)
安楽死動物C57BL/6マウス(8〜12週齢)より膀胱細胞を摘出し、さらに酵素消化により細胞を分離した後パーコール勾配上で精製した。簡単に述べると、マウス10匹から採取した膀胱を、消化緩衝液(RPMI1640、2%ウシ胎児血清、0.5mg/mLコラゲナーゼ、30μg/mL DNアーゼ)10mL中で、はさみを用いて細かなスラリー状に細断した。膀胱スラリーを37℃で30分間酵素的に消化した。未消化の断片はセルトレーナーでさらに分散させた。細胞懸濁液をペレット化し、単核球上の精製用不連続20%、40%、および75%パーコール勾配に加えた。各実験には50〜60個の膀胱を用いた。
RPMI1640で複数回洗浄した後、膀胱細胞を10%ウシ胎児血清、15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを添加したRPMI1640に再懸濁し、透明底黒色96ウェル細胞培養マイクロプレートに、細胞密度3×104/ウェルで100μLを播種した。細胞は、5%CO2雰囲気下、37℃で培養した。
(細胞のインビトロ鎮痛剤処理)
膀胱細胞を、鎮痛剤溶液(50μL/ウェル)単独か、または非炎症性刺激物の例としてカルバコール(10モル、50μL/ウェル)、または非炎症性刺激物の例としてSalmonella typhimuriumのリポ多糖(LPS)(1μg/mL,50μL/ウェル)と共に処理した。細胞に他のエフェクターを添加しない場合は、ウシ胎児血清を含有しないRPMI1640をウェルに50μL加えて最終体積を200μLに調節した。
膀胱細胞を、鎮痛剤溶液(50μL/ウェル)単独か、または非炎症性刺激物の例としてカルバコール(10モル、50μL/ウェル)、または非炎症性刺激物の例としてSalmonella typhimuriumのリポ多糖(LPS)(1μg/mL,50μL/ウェル)と共に処理した。細胞に他のエフェクターを添加しない場合は、ウシ胎児血清を含有しないRPMI1640をウェルに50μL加えて最終体積を200μLに調節した。
24時間培養した後、培養上清150μLを採取し、8,000rpm、4℃で2分間遠心分離して細胞および残渣を除去し、ELISAによるプロスタグランジンE2(PGE2)反応の分析のため−70℃で保存した。細胞を固定し、透過処理し、ブロッキングして、蛍光原基質を用いてシクロオキシゲナーゼ−2(COX2)を検出した。一部の実験細胞は、COX2反応の分析のためにインビトロで12時間刺激した。
(COX2反応の分析)
COX2反応は、ヒト/マウス総COXイムノアッセイ(R&Dシステムズ)を用い、メーカーの指示に従って、細胞ベースELISAにより分析した。簡単に述べると、細胞の固定および透過処理の後、マウス抗総COX2およびウサギ抗総GAPDHを、透明底黒色96ウェル細胞培養マイクロプレートのウェルに加えた。インキュベーションおよび洗浄後、HRPコンジュゲート抗マウスIgG、およびAPコンジュゲート抗ウサギIgGをウェルに加えた。さらに1回インキュベートして1連の洗浄を実施した後、HRP−およびAP−蛍光原基質を添加した。最後に、Victor(登録商標)Vマルチラベルプレートリーダー(パーキンエルマー)を用いて、600nm(COX2蛍光)および450nm(GAPDH蛍光)で発光する蛍光を読み取った。結果は、相対蛍光単位(RFU)として測定し、ハウスキーピングタンパク質GAPDHに対して正規化した、総COX2の相対レベルとして表記する。
COX2反応は、ヒト/マウス総COXイムノアッセイ(R&Dシステムズ)を用い、メーカーの指示に従って、細胞ベースELISAにより分析した。簡単に述べると、細胞の固定および透過処理の後、マウス抗総COX2およびウサギ抗総GAPDHを、透明底黒色96ウェル細胞培養マイクロプレートのウェルに加えた。インキュベーションおよび洗浄後、HRPコンジュゲート抗マウスIgG、およびAPコンジュゲート抗ウサギIgGをウェルに加えた。さらに1回インキュベートして1連の洗浄を実施した後、HRP−およびAP−蛍光原基質を添加した。最後に、Victor(登録商標)Vマルチラベルプレートリーダー(パーキンエルマー)を用いて、600nm(COX2蛍光)および450nm(GAPDH蛍光)で発光する蛍光を読み取った。結果は、相対蛍光単位(RFU)として測定し、ハウスキーピングタンパク質GAPDHに対して正規化した、総COX2の相対レベルとして表記する。
(PGE2反応の分析)
プロスタグランジンE2反応は、連続競合ELISA(R&Dシステムズ)により分析した。より具体的には、培養上清またはPGE2標準液を、ヤギ抗マウスポリクローナル抗体でコーティングした96ウェルポリスチレンマイクロプレートのウェルに加えた。マイクロプレートシェーカー上で1時間インキュベートした後、HRPコンジュゲートPGE2を添加し、プレートを室温でさらに2時間インキュベートした。その後、プレートを洗浄しHRP基質溶液を各ウェルに加えた。30分間呈色させ、硫酸の添加により反応を停止した後、570nmで波長補正しながら450nmでプレートを読み取った。結果はPGE2の平均pg/mLとして表記する。
プロスタグランジンE2反応は、連続競合ELISA(R&Dシステムズ)により分析した。より具体的には、培養上清またはPGE2標準液を、ヤギ抗マウスポリクローナル抗体でコーティングした96ウェルポリスチレンマイクロプレートのウェルに加えた。マイクロプレートシェーカー上で1時間インキュベートした後、HRPコンジュゲートPGE2を添加し、プレートを室温でさらに2時間インキュベートした。その後、プレートを洗浄しHRP基質溶液を各ウェルに加えた。30分間呈色させ、硫酸の添加により反応を停止した後、570nmで波長補正しながら450nmでプレートを読み取った。結果はPGE2の平均pg/mLとして表記する。
(その他の分析)
PGH2;PGE、プロスタサイジン;トロンボキサン;IL−1β;IL−6;およびTNF−αの放出;cAMPおよびcGMPの産生;IL−1β、IL−6、TNF−αおよびCOX2 mRNAの産生;およびCD80、CD86およびMHCクラスII分子の表面発現を、実施例2に記載の通りに判定する。
PGH2;PGE、プロスタサイジン;トロンボキサン;IL−1β;IL−6;およびTNF−αの放出;cAMPおよびcGMPの産生;IL−1β、IL−6、TNF−αおよびCOX2 mRNAの産生;およびCD80、CD86およびMHCクラスII分子の表面発現を、実施例2に記載の通りに判定する。
(結果)
(鎮痛剤は炎症性刺激物に対するマウス膀胱細胞のCOX2反応を阻害する)
数種類の鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセン)を、5μMまたは50μMの濃度でマウス膀胱細胞に対して試験し、鎮痛剤がCOX2反応を誘導することが可能であるか判定した。24時間培養の分析より、試験した鎮痛剤はいずれもインビトロでマウス膀胱細胞のCOX2反応を誘導しないことが示された。
(鎮痛剤は炎症性刺激物に対するマウス膀胱細胞のCOX2反応を阻害する)
数種類の鎮痛剤(アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセン)を、5μMまたは50μMの濃度でマウス膀胱細胞に対して試験し、鎮痛剤がCOX2反応を誘導することが可能であるか判定した。24時間培養の分析より、試験した鎮痛剤はいずれもインビトロでマウス膀胱細胞のCOX2反応を誘導しないことが示された。
カルバコールまたはLPS刺激へのマウス膀胱細胞のCOX2反応に対する、これらの鎮痛剤の効果もインビトロで試験した。表1に示すように、試験したカルバコールの用量はマウス膀胱細胞のCOX2レベルに対して有意な効果がない。その一方で、LPSは総COX2レベルを有意に上昇させた。興味深いことに、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンは、いずれもCOX2レベルに対するLPSの作用を抑制することが可能であった。鎮痛剤の抑制効果は、これらの薬剤が5μMまたは50μMのいずれかで試験された場合に見られた(表4)。
(鎮痛剤は炎症性刺激に対するマウス膀胱細胞のPGE2反応を阻害する)
マウス膀胱細胞の培養上清におけるPGE2の分泌を測定して、鎮痛剤によるマウス膀胱細胞COX2レベルの変化の生物学的重要性を判定した。表5に示すように、非刺激膀胱細胞またはカルバコールの存在下で培養された膀胱細胞の培養上清中に、PGE2は検出されなかった。上述のCOX2反応と一致して、LPSによるマウス膀胱細胞の刺激は高レベルのPGE2の分泌を誘導した。鎮痛剤アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンの添加により、PGE2分泌に対するLPSの作用が抑制され、また、5または50μM用量の鎮痛剤で処理された細胞の反応の間には差は見られなかった。
マウス膀胱細胞の培養上清におけるPGE2の分泌を測定して、鎮痛剤によるマウス膀胱細胞COX2レベルの変化の生物学的重要性を判定した。表5に示すように、非刺激膀胱細胞またはカルバコールの存在下で培養された膀胱細胞の培養上清中に、PGE2は検出されなかった。上述のCOX2反応と一致して、LPSによるマウス膀胱細胞の刺激は高レベルのPGE2の分泌を誘導した。鎮痛剤アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンの添加により、PGE2分泌に対するLPSの作用が抑制され、また、5または50μM用量の鎮痛剤で処理された細胞の反応の間には差は見られなかった。
まとめると、これらのデータより、5μMまたは50μMの鎮痛剤単独では、マウス膀胱細胞のCOX2およびPGE2反応を誘導しないことが示される。しかし、5μMまたは50μMの鎮痛剤は、LPS(1μg/mL)でインビトロ刺激したマウス膀胱細胞のCOX2およびPGE2反応を有意に阻害する。カルバコール(1mM)で刺激されたマウス膀胱細胞のCOX2およびPGE2反応に対しては、鎮痛剤の有意な効果は認められなかった。
(マウス膀胱平滑筋細胞収縮に対する鎮痛剤、ボツリヌス神経毒素および抗ムスカリン剤の効果)
(実験デザイン)
培養マウスまたはラット膀胱平滑筋細胞およびマウスまたはラット膀胱平滑筋組織を、多様な濃度の鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の存在下で、炎症性刺激および非炎症性刺激に曝露する。刺激誘導性筋収縮を測定して、鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の阻害効果を評価する。
(実験デザイン)
培養マウスまたはラット膀胱平滑筋細胞およびマウスまたはラット膀胱平滑筋組織を、多様な濃度の鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の存在下で、炎症性刺激および非炎症性刺激に曝露する。刺激誘導性筋収縮を測定して、鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の阻害効果を評価する。
エフェクター、鎮痛剤および抗ムスカリン剤は実施例2に記載されている。マウス膀胱平滑筋細胞の一次培養を下記による短時間(1〜2時間)または長時間(24〜48時間)の刺激に付す:
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(材料および方法)
実施例3に記載された通りに、一次マウス膀胱細胞を分離する。一部の実験においては、膀胱組織の培養を用いる。膀胱平滑筋細胞の収縮をGrassポリグラフ(Quincy Mass、米国)で記録する。
実施例3に記載された通りに、一次マウス膀胱細胞を分離する。一部の実験においては、膀胱組織の培養を用いる。膀胱平滑筋細胞の収縮をGrassポリグラフ(Quincy Mass、米国)で記録する。
(マウス膀胱平滑筋細胞のCOX2およびPGE2反応に対する経口鎮痛剤および抗ムスカリン剤の効果)
(実験デザイン)
正常マウスおよび過活動膀胱症候群を有するマウスに、アスピリン、ナプロキセンナトリウム、イブプロフェン、インドシン、ナブメトン、タイレノール、セレコキシブ、オキシブチニン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、アトロピンおよびその組み合わせの経口用量を投与する。対照群は、非投与正常マウスおよび過活動膀胱症候群を有する非投与OABマウスを含む。最終投与より30分後、膀胱を採取し、生体外でカルバコールまたはアセチルコリンにより刺激する。一部の実験においては、膀胱をカルバコールで刺激する前にボツリヌス神経毒素Aで処理する。動物は代謝ケージで維持し、排尿の頻度(および尿量)を評価する。水摂取量およびケージ敷き藁重量をモニタリングすることにより、膀胱排出量を算出する。ELISAにより血清PGH2、PGE、PGE2、プロスタサイジン、トロンボキサン、IL−1β、IL−6、TNF−α、cAMPおよびcGMPレベルを測定する。フローサイトメトリーで全血球中のCD80、CD86、およびMHCクラスII発現を測定する。
(実験デザイン)
正常マウスおよび過活動膀胱症候群を有するマウスに、アスピリン、ナプロキセンナトリウム、イブプロフェン、インドシン、ナブメトン、タイレノール、セレコキシブ、オキシブチニン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、アトロピンおよびその組み合わせの経口用量を投与する。対照群は、非投与正常マウスおよび過活動膀胱症候群を有する非投与OABマウスを含む。最終投与より30分後、膀胱を採取し、生体外でカルバコールまたはアセチルコリンにより刺激する。一部の実験においては、膀胱をカルバコールで刺激する前にボツリヌス神経毒素Aで処理する。動物は代謝ケージで維持し、排尿の頻度(および尿量)を評価する。水摂取量およびケージ敷き藁重量をモニタリングすることにより、膀胱排出量を算出する。ELISAにより血清PGH2、PGE、PGE2、プロスタサイジン、トロンボキサン、IL−1β、IL−6、TNF−α、cAMPおよびcGMPレベルを測定する。フローサイトメトリーで全血球中のCD80、CD86、およびMHCクラスII発現を測定する。
実験終了時に動物を安楽死させ、Grassポリグラフで生体外膀胱収縮を記録する。膀胱の一部をホルマリンで固定し、免疫組織化学検査によりCOX2反応を分析する。
(炎症性および非炎症性刺激へのヒト膀胱平滑筋細胞の反応に対する鎮痛剤、ボツリヌス神経毒素および抗ムスカリン剤の効果)
(実験デザイン)
本試験は、実施例1〜5で判定した鎮痛剤の至適用量が、細胞培養または組織培養中のヒト膀胱平滑筋細胞にどのように影響するか特性解析し、且つ異なるクラスの鎮痛剤が相乗作用してCOX2およびPGE2反応をより効率よく阻害することができるか検討するようデザインされる。
(実験デザイン)
本試験は、実施例1〜5で判定した鎮痛剤の至適用量が、細胞培養または組織培養中のヒト膀胱平滑筋細胞にどのように影響するか特性解析し、且つ異なるクラスの鎮痛剤が相乗作用してCOX2およびPGE2反応をより効率よく阻害することができるか検討するようデザインされる。
エフェクター、鎮痛剤および抗ムスカリン剤は実施例2に記載されている。
ヒト膀胱平滑筋細胞を以下による短時間(1〜2時間)または長時間(24〜48時間)の刺激に付す:
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
次に、PGH2;PGE;PGE2;プロスタサイジン;トロンボキサン;IL−1β;IL−6;TNFαの放出;COX2活性;cAMPおよびcGMPの産生;IL−1β、IL−6、TNFαおよびCOX2 mRNAの産生;およびCD80、CD86およびMHCクラスII分子の表面発現について細胞を分析する。
(ヒト膀胱平滑筋細胞収縮に対する鎮痛剤、ボツリヌス神経毒素および抗ムスカリン剤の効果)
(実験デザイン)
培養ヒト膀胱平滑筋細胞を、多様な濃度の鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の存在下で、炎症性刺激および非炎症性刺激に曝露する。刺激誘導性筋収縮を測定して、鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の阻害効果を評価する。
(実験デザイン)
培養ヒト膀胱平滑筋細胞を、多様な濃度の鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の存在下で、炎症性刺激および非炎症性刺激に曝露する。刺激誘導性筋収縮を測定して、鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤の阻害効果を評価する。
エフェクター、鎮痛剤および抗ムスカリン剤は実施例2に記載されている。
ヒト膀胱平滑筋細胞を以下による短時間(1〜2時間)または長時間(24〜48時間)の刺激に付す:
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(1)種々の用量の各鎮痛剤単独。
(2)LPS存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(3)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(4)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各鎮痛剤。
(5)種々の用量のボツリヌス神経毒素A単独。
(6)LPS存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(7)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(8)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量のボツリヌス神経毒素A。
(9)種々の用量の各抗ムスカリン剤単独。
(10)LPS存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(11)カルバコールまたはアセチルコリン存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
(12)AA、DGLAまたはEPA存在下で種々の用量の各抗ムスカリン剤。
膀胱平滑筋細胞の収縮をGrassポリグラフ(Quincy Mass、米国)で記録する。
(炎症性および非炎症性シグナルへの正常ヒト膀胱平滑筋細胞の反応に対する鎮痛剤の効果)
(実験デザイン)
(正常ヒト膀胱平滑筋細胞の培養)
正常ヒト膀胱平滑筋細胞は、肉眼的に正常なヒト膀胱片から酵素消化によって分離した。細胞は、10%ウシ胎児血清、15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリンおよび100mg/mLストレプトマイシンを添加したRPMI1640中で、5%CO2雰囲気下、37℃での培養によりインビトロで消費し、週に1回、細胞を剥離させるトリプシン処理の後で、新たな培養フラスコに再播種することにより継代した。培養第1週目は、培地に0.5ng/mL上皮成長因子、2ng/mL線維芽細胞成長因子、および5μg/mLインスリンを添加した。
(実験デザイン)
(正常ヒト膀胱平滑筋細胞の培養)
正常ヒト膀胱平滑筋細胞は、肉眼的に正常なヒト膀胱片から酵素消化によって分離した。細胞は、10%ウシ胎児血清、15mM HEPES、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリンおよび100mg/mLストレプトマイシンを添加したRPMI1640中で、5%CO2雰囲気下、37℃での培養によりインビトロで消費し、週に1回、細胞を剥離させるトリプシン処理の後で、新たな培養フラスコに再播種することにより継代した。培養第1週目は、培地に0.5ng/mL上皮成長因子、2ng/mL線維芽細胞成長因子、および5μg/mLインスリンを添加した。
(正常ヒト膀胱平滑筋細胞のインビトロ鎮痛剤処理)
トリプシン処理し、細胞密度3×104細胞/ウェル100μLでマイクロ培養プレートに播種した膀胱平滑筋細胞を、鎮痛剤溶液(50μL/ウェル)単独か、または非炎症性刺激物の例としてカルバコール(10モル、50μL/ウェル)、または非炎症性刺激物の例としてSalmonella typhimuriumのリポ多糖(LPS)(1μg/mL、50μL/ウェル)と共に処理した。細胞に他のエフェクターを添加しない場合は、ウシ胎児血清を含有しないRPMI1640をウェルに50μL加えて、最終体積を200μLに調節した。
トリプシン処理し、細胞密度3×104細胞/ウェル100μLでマイクロ培養プレートに播種した膀胱平滑筋細胞を、鎮痛剤溶液(50μL/ウェル)単独か、または非炎症性刺激物の例としてカルバコール(10モル、50μL/ウェル)、または非炎症性刺激物の例としてSalmonella typhimuriumのリポ多糖(LPS)(1μg/mL、50μL/ウェル)と共に処理した。細胞に他のエフェクターを添加しない場合は、ウシ胎児血清を含有しないRPMI1640をウェルに50μL加えて、最終体積を200μLに調節した。
24時間培養した後、培養上清150μLを採取し、8,000rpm、4℃で2分間遠心分離して細胞および残渣を除去し、ELISAによるプロスタグランジンE2(PGE2)反応の分析のため−70℃で保存した。細胞を固定し、透過処理し、ブロッキングして、蛍光原基質を用いてCOX2を検出した。一部の実験では、COX2、PGE2およびサイトカイン反応の分析を目的として、細胞をインビトロで12時間刺激した。
(COX2、PGE2およびサイトカイン反応の分析)
COX2およびPGE2反応を実施例3に記載の方法で分析した。サイトカイン反応を実施例2に記載の方法で分析した。
COX2およびPGE2反応を実施例3に記載の方法で分析した。サイトカイン反応を実施例2に記載の方法で分析した。
(結果)
鎮痛剤は、炎症性および非炎症性刺激に対する正常ヒト膀胱平滑筋細胞のCOX2反応を阻害する―24時間培養後の細胞および培養上清の分析により、試験した鎮痛剤は、いずれも単独で正常ヒト膀胱平滑筋細胞のCOX2反応を誘導しないことが示された。しかし表6に要約したように、カルバコールは、正常ヒト膀胱平滑筋細胞において低いながらも有意なCOX2反応を誘導した。その一方で、LPS処理は正常ヒト膀胱平滑筋細胞においてより高いレベルのCOX2反応をもたらした。アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンは、いずれもCOX2レベルに対するカルバコールおよびLPSの作用を抑制することが可能であった。これらの薬剤が5μMまたは50μMのいずれで試験された場合でも、LPS誘導性反応に対する鎮痛剤の抑制効果が見られた。
鎮痛剤は、炎症性および非炎症性刺激に対する正常ヒト膀胱平滑筋細胞のCOX2反応を阻害する―24時間培養後の細胞および培養上清の分析により、試験した鎮痛剤は、いずれも単独で正常ヒト膀胱平滑筋細胞のCOX2反応を誘導しないことが示された。しかし表6に要約したように、カルバコールは、正常ヒト膀胱平滑筋細胞において低いながらも有意なCOX2反応を誘導した。その一方で、LPS処理は正常ヒト膀胱平滑筋細胞においてより高いレベルのCOX2反応をもたらした。アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンは、いずれもCOX2レベルに対するカルバコールおよびLPSの作用を抑制することが可能であった。これらの薬剤が5μMまたは50μMのいずれで試験された場合でも、LPS誘導性反応に対する鎮痛剤の抑制効果が見られた。
鎮痛剤は炎症性および非炎症性刺激に対する正常ヒト膀胱平滑筋細胞のPGE2反応を阻害する―カルバコールおよびLPSは、上述のCOX2反応の誘導と一致して、いずれも正常ヒト膀胱平滑筋細胞によるPGE2の産生を誘導した。アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンも、5μMまたは50μMでLPS誘導性PGE2反応を抑制することが確認された(表7)。
鎮痛剤は炎症性刺激に対する正常ヒト膀胱細胞のサイトカイン反応を阻害する―24時間培養後の細胞および培養上清の分析により、試験した鎮痛剤は、いずれも単独で正常ヒト膀胱平滑筋細胞におけるIL−6またはTNFα分泌を誘導しないことが示された。表8および9に示されるように、正常ヒト膀胱平滑筋細胞において、カルバコール試験用量は低いながらも有意なTNFαおよびIL−6反応を誘導した。その一方で、LPS処理によりこれらの炎症誘発性サイトカインの強い誘導がもたらされた。アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンおよびナプロキセンは、TFNαおよびIL−6反応に対するカルバコールおよびLPSの作用を抑制する。これらの薬剤が5μMまたは50μMのいずれで試験された場合でも、LPS誘導性反応に対する鎮痛剤の抑制効果が見られた。
一次正常ヒト膀胱平滑筋細胞を分離し、培養し、非炎症性(カルバコール)および炎症性(LPS)刺激物の存在下で、鎮痛剤に対するその反応について評価した。この試験の目標は、正常ヒト膀胱平滑筋細胞が、マウス膀胱細胞で先に認められた所見を繰り返すか否かを判定することであった。
上述の実験は、遅延放出、または延長放出製剤、または遅延および延長放出製剤中の鎮痛剤および/または抗ムスカリン剤によって繰り返される。
上記は、当業者に本発明を実践する方法を教示することを目的としており、且つ本記載を読んだ後で当業者に明らかとなる、その明白な変更または変法の全てを詳述することを意図していない。しかし、そうした全ての明白な変更および変法は、以下の請求項に定義される本発明の範囲内に含まれることが意図される。請求項は、文脈が具体的に反対のことを示さない限り、請求された要素およびそこで意図される目的を満たすために有効である任意の順にあるステップを包含するよう意図される。
Claims (10)
- アセトアミノフェンの有効量および少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の有効量を含む組成物の、対象における膀胱痙攣を低減するための医薬薬剤の製造のための使用であって、更に、該組成物が、プロスタグランジントランスポーター活性の阻害剤、プロスタグランジントランスポーター発現の阻害剤、プロスタグランジン受容体発現の阻害剤、抗利尿剤、およびゾルピデムから成る群から選択される一つまたはそれ以上を含む、前記使用。
- 前記NSAIDがアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキセン、インドメタシン、ナブメトン、その塩およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
- 前記NSAIDがイブプロフェンである、請求項1又は2に記載の使用。
- 前記医薬製剤が即時放出、遅延放出、または延長放出を目的として配合されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
- 前記医薬製剤が経口投与を目的として配合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
- 前記医薬製剤が口腔崩壊錠として配合される、請求項5に記載の使用。
- 前記医薬製剤が腸溶コーティングで被覆されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
- 3つの有効成分と一つまたはそれ以上の医薬上許容可能な担体との組み合わせから成る、膀胱痙攣を治療するための医薬組成物であって、該3つの有効成分が:
(1)アセトアミノフェン;
(2)NSAID;および
(3)プロスタグランジン(PG)経路阻害剤であり、該PG経路阻害剤はアセトアミノフェン又はNSAIDではない、前記医薬組成物。 - 前記PG経路阻害剤が、プロスタグランジントランスポーター活性の阻害剤、プロスタグランジントランスポーター発現の阻害剤、又はプロスタグランジン受容体発現の阻害剤である、請求項8に記載の医薬組成物。
- 即時放出、遅延放出、または延長放出を目的として配合されている、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
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