以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
各図には、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
以下の説明において、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に説明のために用いられる方向であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」又は「上下方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
[モータ]
図1は、本実施形態のモータ1の断面図である。本実施形態のモータ1は、3相交流モータである。また、本実施形態のモータ1は、インナーロータ型のモータである。
モータ1は、シャフト21を有するロータ20と、ステータ30と、バスバーユニット60と、ハウジング40と、上側ベアリング(ベアリング)6Aと、下側ベアリング6Bと、ベアリングホルダ10と、を備える。
モータ1は、バスバーユニット60から上側に延びる外部接続端子71c、72c、73cにより外部機器(制御部)9に接続される。モータ1は、外部機器9により、ロータ20の回転を制御される。
[ハウジング]
ハウジング40は、上側(+Z側)に開口する筒状である。ハウジング40は、ロータ20およびステータ30を収容する。ハウジング40は、筒状部45と、底部49と、下側ベアリング保持部48と、を有する。
筒状部45は、ステータ30を径方向外側から囲む。本実施形態において筒状部45は、中心軸Jを中心とする円筒状である。
底部49は、筒状部45の下端に位置する。底部49は、ステータ30の下側に位置する。下側ベアリング保持部48は、底部49の平面視中央に位置する。下側ベアリング保持部48は、下側ベアリング6Bを保持する。下側ベアリング保持部48は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる保持筒部48aと、保持筒部48aの下端から径方向内側に延びる下端突出部48bと、を有する。下端突出部48bの平面視中央には、軸方向に貫通する孔部48cが設けられる。
[ロータ]
ロータ20は、中心軸Jを中心として回転する。ロータ20は、シャフト21と、ロータコア24と、ロータマグネット23と、を有する。
シャフト21は、上下方向(軸方向)に延びる中心軸Jを中心として、中心軸Jに沿って配置される。シャフト21は、上側ベアリング6Aと下側ベアリング6Bとによって、中心軸Jの軸周りに回転可能に支持される。
ロータコア24は、シャフト21に固定される。ロータコア24は、シャフト21を周方向に囲んでいる。ロータマグネット23は、ロータコア24に固定される。より詳細には、ロータマグネット23は、ロータコア24の周方向に沿った外側面に固定される。ロータコア24およびロータマグネット23は、シャフト21とともに回転する。
[上側ベアリングおよび下側ベアリング]
上側ベアリング6Aは、ロータコア24の上側においてロータ20に設けられたシャフト21を回転可能に支持する。上側ベアリング6Aは、ベアリングホルダ10に支持される。
下側ベアリング6Bは、ロータコア24の下側においてロータ20に設けられたシャフト21を回転可能に支持する。下側ベアリング6Bは、ハウジング40の下側ベアリング保持部48に支持される。
[ベアリングホルダ]
ベアリングホルダ10は、ステータ30の上側(+Z側)に位置する。また、ベアリングホルダ10は、後段に説明するバスバーユニット60の上側に位置する。ベアリングホルダ10は、上側ベアリング6Aを保持する。また、ベアリングホルダ10は、ハウジング40の筒状部45に保持される。ベアリングホルダ10の平面視(XY面視)形状は、例えば、中心軸Jと同心の円形状である。
ベアリングホルダ10は、円板状のベアリングホルダ本体部16と、ベアリングホルダ本体部16の径方向内側に位置する上側ベアリング保持部18と、ベアリングホルダ本体部16の径方向外側に位置する嵌合筒部15と、を有する。上側ベアリング保持部18、ベアリングホルダ本体部16および嵌合筒部15は、径方向内側から外側に向かってこの順で配置される。
ベアリングホルダ本体部16は、軸方向と直交する平面に沿って延びる。ベアリングホルダ本体部16には、バスバーユニット60の外部接続端子71c、72c、73cが挿通される貫通孔16aが設けられる。
上側ベアリング保持部18は、上側ベアリング6Aを保持する。上側ベアリング保持部18は、ベアリングホルダ10の平面視中央に位置する。上側ベアリング保持部18は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる保持筒部18aと、保持筒部18aの上端から径方向内側に延びる上端突出部18bと、を有する。上端突出部18bは、上側ベアリング6Aを上下方向に位置決めする。上端突出部18bの平面視中央には、軸方向に貫通する孔部18cが設けられる。孔部18cには、シャフト21の上端部が挿通される。
嵌合筒部15は、ベアリングホルダ本体部16の外縁から下側に延びる。嵌合筒部15は、周方向に沿って筒状に延びる。嵌合筒部15は、筒状部45の内周面45cと径方向に対向して嵌め合わされる。これにより、ベアリングホルダ10は、ハウジング40に固定される。
[ステータ]
ステータ30は、中心軸J周りに環状に配置される。ステータ30は、ロータ20と隙間を介して径方向に対向する。ステータ30は、ロータ20の径方向外側を囲む。ステータ30は、ハウジング40の筒状部45の内周面45cに固定される。ステータ30は、ステータコア31と、上側インシュレータ(インシュレータ)35と、下側インシュレータ34と、コイル33と、を有する。
図2は、ステータ30の平面図である。なお、図2には、後述するバスバーユニット60のコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aの一部を図示する。
ステータコア31は、周方向に沿って環状に並ぶ複数のコアピース32から構成される。ステータコア31において、周方向に隣接するコアピース32同士は、連結される。すなわち、ステータコア31は、コアピース32を周方向に沿って複数連結させて、構成される。
コアピース32は、コアバック部32aと、ティース部32bと、アンブレラ部32cと、を有する。すなわち、ステータコア31は、複数のコアバック部32a、複数のティース部32bおよび複数のアンブレラ部32cを有する。本実施形態のステータコア31は、12個のコアピース32から構成される。したがって、本実施形態のステータ30は、12個のティース部32bを有する。なお、コアピース32およびティース部32bの数は、これに限定されない。
コアバック部32aは、周方向に沿って延びる。コアバック部32aは、周方向を向く端部において、隣接するコアピース32のコアバック部32aと連結される。周方向において互いに隣接するコアバック部32a同士は、溶接等により結合される。これにより、全てのコアピース32のコアバック部32aが、環状に結合される。
ティース部32bは、コアバック部32aの周方向中央から径方向内側に向かって延びる。ティース部32bには、上側インシュレータ35および下側インシュレータ34を介してコイル33が巻き付けられる。
アンブレラ部32cは、ティース部32bの先端(径方向内側端部)に位置する。アンブレラ部32cの周方向に沿う寸法は、ティース部32bの周方向に沿う寸法より大きく、コアバック部32aの周方向に沿う寸法より小さい。アンブレラ部32cの径方向内側を向く面は、ロータ20のロータマグネット23と対向する。
また、本実施形態のステータコア31は、いわゆる分割コアとしての複数のコアピース32から構成される。しかしながら、ステータコア31を構成するコアピースは、隣接するコアバック部32a同士が部分的に接続され、コイル33の巻線後に環状に屈曲されるカーリングコアであってもよい。
図1に示す様に、上側インシュレータ35は、ステータコア31の上面のうち少なくともティース部32bの上側を覆う。同様に下側インシュレータ34は、ステータコア31の下面のうち少なくともティース部32bの下側を覆う。すなわち、上側インシュレータ35は、ティース部32bの上面を覆い、下側インシュレータ34は、ティース部32bの下面を覆う。上側インシュレータ35および下側インシュレータ34は、絶縁性を有する材料から構成される。上側インシュレータ35と下側インシュレータ34とは、ステータコア31の上下方向反対側に設けられる点を除き、同様の構成を有する。
図2に示す様に、上側インシュレータ35は、それぞれのコアピース32の上側に位置する複数のインシュレータピース36を有する。なお、図示を省略するが、下側インシュレータ34は、上側インシュレータ35と同様に、複数のインシュレータピース36を有する。
上側インシュレータ35のインシュレータピース36は、コアピース32と同数(本実施形態において12個)だけ設けられる。1つのコアピース32の上側には、1つのインシュレータピース36が配置される。複数のインシュレータピース36は、周方向に沿って環状に並ぶ。
インシュレータピース36は、基部36bと第1の立壁部36aと第2の立壁部36cとを有する。基部36bは、ティース部32bの上側に位置し、ティース部32bの上面を覆う。第1の立壁部36aは、基部36bの径方向外側の端部から上側に突出し周方向に沿って延びる。第1の立壁部36aは、コアバック部32aの上側に位置する。第2の立壁部36cは、基部36bの径方向内側の端部から上側に突出し周方向に沿って延びる。第2の立壁部36cは、アンブレラ部32cの上側に位置する。
基部36bには、コイル33が巻き付けられる。第1の立壁部36aと第2の立壁部36cは、基部36bを挟んで径方向に対向する。第1の立壁部36aと第2の立壁部36cは、それぞれ径方向外側および内側から、基部36bに巻き付けられたコイル33をガイドする。
第1の立壁部36aは、周方向の両側を向く一対の端面36dと、径方向外側を向く外周面36eとを有する。隣接するインシュレータピース36の端面36dは、周方向に対向する。第1の立壁部36aと外周面36eとの間には、面取り36fが設けられている。隣接するインシュレータピース36の面取り36f同士の間には、軸方向から見てV字状の脚部収容部37が設けられる。すなわち、上側インシュレータ35には、脚部収容部37が設けられる。
従来、1つインシュレータピースの径方向外側を向く外周面に設けた凹部を脚部収容部とした構造が知られている。これに対して、本実施形態によれば、周方向に並ぶ一対のインシュレータピース36の面取り36fを、径方向に突き合わせることで脚部収容部37を設ける。このため、1つのインシュレータピース36に凹部を設ける必要がなく、インシュレータピース36を射出成型により製造する場合に、インシュレータピース36の抜き方向の自由度を高めることができる。結果的にインシュレータピース36を安価に製造できる。
脚部収容部37は、軸方向から見て径方向の一方側(本実施形態では径方向外側)に開口し他方側(本実施形態では径方向内側)に向かうに従って幅狭となるV字状である。脚部収容部37は、軸方向から見て、隣接するコアピース32同士の境界部の上側に位置する。
脚部収容部37には、後段において説明するバスバーユニット60の脚部65が収容される。脚部65は、脚部収容部37のV字状に嵌る。すなわち、脚部65は、軸方向から見て径方向他方側(本実施形態では径方向内側)に向かうに従って幅狭となるV字状である。
コイル33は、上側インシュレータ35および下側インシュレータ34を介してティース部32bにコイル線を巻き付けることで構成される。したがって、複数のコイル33は、周方向に沿って環状に並ぶ。
本実施形態において、ステータ30には、12個のコイル33が設けられる。12個のコイル33は、一対のコイル33を1組として連弧巻きされている。連弧巻きされた2つのコイル33は、渡り線33bを介して繋がっている。渡り線33bは、コイル33の上側を通過する。なお、渡り線33bには、絶縁チューブ(図示略)によりコイル33に対して絶縁されている。
それぞれのコイル33からは、1つの引出線33aが上側に延び出る。引出線33aは、連弧巻きされた2つのコイル33の巻き始めと巻き終りに対応する。したがって、1つのコイル33から1つの引出線33aが延び出る。引出線33aは、後段において説明するコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aに接続される。なお、コイル用端子71a、72a、73a、81a、82aは、相用バスバー71、72、73のコイル用端子71a、72a、73aと、中性点バスバー81、82のコイル用端子81a、82aと、に分類される。
図3は、ステータ30の各コイル33の結線を示す模式図である。
ステータ30の12個のコイル33は、4つのU相コイルU1a、U1b、U2a、U2bと、4つのV相コイルV1a、V1b、V2a、V2bと、4つのW相コイルW1a、W1b、W2a、W2bと、から構成される。
図4は、12個のコイル33が構成する二系統のY結線を示す模式図である。図4に示す様に、ステータ30は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを一系統のコイル群として、複数の系統(本実施形態では、二系統)のコイル群(第1系統のコイル群7および第2系統のコイル群8)を有する。すなわち、ステータ30は、第1系統のコイル群7と第2系統のコイル群とに分類される二系統のコイル群7、8を有する。
第1系統のコイル群7は、U相コイルU1a、U1b、V相コイルV1a、V1bおよびW相コイルW1a、W1bを有する。また、第2系統のコイル群8は、U相コイルU2a、U2b、V相コイルV2a、V2bおよびW相コイルW2a、W2bを有する。すなわち、各系統の1つの相には、2つのコイル33が設けられる。各系統の各相の2つのコイル33は、渡り線33bで接続される。言い換えると、それぞれの系統において、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルはそれぞれ複数設けられ、渡り線33bを介して複数のティース部32bに跨って設けられる。
第1系統のコイル群7において、U相コイルU1a、U1b、V相コイルV1a、V1bおよびW相コイルW1a、W1bは、Y結線により互いに結線されている。同様に、第2系統のコイル群8において、U相コイルU2a、U2b、V相コイルV2a、V2bおよびW相コイルW2a、W2bは、Y結線により互いに結線されている。
図3に示す様に、渡り線33bを介して繋がる第1系統の2つのU相コイルU1a、U1bの一方の引出線33aは、後述する第1系統相用バスバー群70AのU相用バスバー71Aに接続され、他方の引出線33aは、第1系統中性点バスバー81に接続される。
同様に、渡り線33bを介して繋がる第1系統の2つのV相コイルV1a、V1bの一方の引出線33aは、第1系統相用バスバー群70AのV相用バスバー72Aに接続され、他方の引出線33aは、第1系統中性点バスバー81に接続される。
また、渡り線33bを介して繋がる第1系統の2つのW相コイルW1a、W1bの一方の引出線33aは、第1系統相用バスバー群70AのW相用バスバー73Aに接続され、他方の引出線33aは、第1系統中性点バスバー81に接続される。
以上に説明したように、第1系統のU相コイルU1a、U1b、V相コイルV1a、V1b、W相コイルW1a、W1bの一端は、それぞれ異なる相用バスバー71、72、73に接続される。すなわち、複数の相用バスバー71、72、73は、各相のコイル33から引き出された引出線33aにそれぞれ接続される。
また、第1系統のU相コイルU1a、U1b、V相コイルV1a、V1b、W相コイルW1a、W1bの他端は、第1系統中性点バスバー81に接続される。すなわち、1つの第1系統中性点バスバー81は、各相のコイル33から引き出された引出線33aに接続される。
これにより、第1系統のU相コイルU1a、U1b、V相コイルV1a、V1bおよびW相コイルW1a、W1bは、Y結線を構成する。
第2系統のコイル群8の各相のコイル33の結線構成は、第1系統のコイル群7の各相のコイルの結線構成と同様である。すなわち、第2系統のU相コイルU2a、U2bは、第2系統のU相用バスバー71Bおよび第2系統中性点バスバー82に接続される。第2系統のV相コイルV2a、V2bは、第2系統のV相用バスバー72Bおよび第2系統中性点バスバー82に接続される。第2系統のW相コイルW2a、W2bは、第2系統のW相用バスバー73Bおよび第2系統中性点バスバー82に接続される。これにより、第2系統のU相コイルU2a、U2b、V相コイルV2a、V2bおよびW相コイルW2a、W2bは、Y結線を構成する。
本実施形態によれば、ステータ30が、複数系統のコイル群(第1系統のコイル群7および第2系統のコイル群8)を有する。また、ステータ30において、互いに異なる系統のコイル群7、8同士は、中心軸J周りに対称に配置される。これにより、モータ1の冗長性を確保することができる。すなわち、複数系統のコイル群7、8の何れか1つに不具合が生じた場合であっても、他の系統のコイル群を用いて、モータ1をスムーズに駆動させることができる。
[バスバーユニット]
バスバーユニット60は、モータ1に設けられる。バスバーユニット60は、軸方向においてステータ30とベアリングホルダ10との間に位置する。すなわち、バスバーユニット60は、ステータ30の上側かつベアリングホルダ10の下側に設けられる。
図5は、バスバーユニット60の斜視図である。図6は、バスバーユニット60の分解斜視図である。図7は、バスバーユニット60の平面図である。
バスバーユニット60は、バスバーホルダ61と、一対の端子サポート(外部接続端子サポート)66と、第1系統相用バスバー群70Aと、第2系統相用バスバー群70Bと、第1系統中性点バスバー81と、第2系統中性点バスバー82と、を備える。
第1系統相用バスバー群70Aおよび第1系統中性点バスバー81は、第1系統のコイル群7に接続される。また、第2系統相用バスバー群70Bおよび第2系統中性点バスバー82は、第2系統のコイル群8に接続される。
第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70Bは、バスバーホルダ61の軸方向一方側(本実施形態では上側)に固定され、第1系統中性点バスバー81および第2系統中性点バスバー82は、バスバーホルダ61の軸方向他方側(本実施形態では下側)に固定される。
なお、本明細書において、「一方側」および「他方側」は、特定の方向を示すものではない。すなわち、上述の記載は、以下の様に言い換えることができる。
第1系統中性点バスバー81および第2系統中性点バスバー82は、バスバーホルダ61の軸方向一方側に固定され、第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70Bは、バスバーホルダ61の軸方向他方側に固定される。
また、第1系統相用バスバー群70Aは、U相用バスバー71A、V相用バスバー72AおよびW相用バスバー73Aを有する。同様に、第2系統相用バスバー群70Bは、U相用バスバー71B、V相用バスバー72BおよびW相用バスバー73Bを有する。
以下の説明において、異なる系統のU相用バスバー71A、71Bを区別しない場合、単にU相用バスバー71と呼ぶ。また、異なる系統のV相用バスバー72A、72Bを区別しない場合、単にV相用バスバー72と呼ぶ。異なる系統のW相用バスバー73A、73Bを区別しない場合、単にW相用バスバー73と呼ぶ。さらに、U相用バスバー71、V相用バスバー72およびW相用バスバー73を区別しない場合、単に相用バスバー71、72、73と呼ぶ。同様に、第1系統中性点バスバー81および第2系統中性点バスバー82を区別しない場合、単に中性点バスバー81、82と呼ぶ。
U相用バスバー71A、71B、V相用バスバー72A、72BおよびW相用バスバー73A、73Bは、相用バスバー(第1のバスバー)である。すなわち、複数の相用バスバー71、72、73は、第1系統のコイル群7および第2系統のコイル群8のそれぞれのU相コイルU1a、U1b、U2a、U2b、V相コイルV1a、V1b、V2a、V2bおよびW相コイルW1a、W1b、W2a、W2bにそれぞれ接続される相用バスバーを含む。
(バスバーホルダ)
図1に示す様に、バスバーホルダ61は、ステータ30の上側に設けられる。バスバーホルダ61は、相用バスバー71、72、73および中性点バスバー81、82を保持する。バスバーホルダ61は、樹脂材料から構成される。
図6に示す様に、バスバーホルダ61は、ホルダ本体部(バスバーホルダ本体)62と、一対のベース部63と、複数(本実施形態では6個)の挟持部64と、複数(本実施形態では6個)の脚部65と、を有する。
ホルダ本体部62は、軸方向から見て中心軸Jを中心とする円環形状である。ホルダ本体部62は、軸方向において相用バスバー71、72、73と中性点バスバー81、82との間に位置する。また、ホルダ本体部62は、上側を向く上面62aと、下側を向く下面62bと、を有する。ホルダ本体部62の上面62aには、複数の相用バスバー71、72、73が配置される。ホルダ本体部62の下面62bには、複数の中性点バスバー81、82が配置される。
図1に示す様に、ホルダ本体部62の下面62bには、第1の壁部62cと第2の壁部62dとが設けられる。すなわち、バスバーホルダ61は、第1の壁部62cおよび第2の壁部62dを有する。第1の壁部62cおよび第2の壁部62dは、下面62bから軸方向に突出する。また、第1の壁部62cおよび第2の壁部62dは、それぞれ周方向に沿って延びる。第1の壁部62cは、中性点バスバー81、82に対して径方向外側に位置する。第2の壁部62dは、中性点バスバー81、82に対して径方向内側に位置する。したがって、中性点バスバー81、82は、径方向において第1の壁部62cと第2の壁部62dとの間に位置して周方向に沿って延びる。
ホルダ本体部62の下面62bには、複数の軸部67a、68a、69aと、それぞれの軸部67a、68a、69aの先端に位置する複数の溶着部67b、68b、69bと、が設けられる。すなわち、バスバーホルダ61は、複数の軸部67a、68a、69aと、複数の溶着部67b、68b、69bと、を有する。後段において図10を基に説明するように、複数の溶着部67b、68b、69bは、中性点バスバー81、82をバスバーホルダ61に固定する。
図6に示す様に、ベース部63は、ホルダ本体部62の上面62aから上側に突出する。一対のベース部63は、中心軸Jを挟んで反対側に位置する。一対のベース部63のうち、一方は、第1系統相用バスバー群70Aの外部接続端子71c、72c、73cを保持し、他方は、第2系統相用バスバー群70Bの外部接続端子71c、72c、73cを保持する。
ベース部63は、上側を向く上面63aを有する。ベース部63の上面63aには、端子サポート66が搭載される。上面63aには、4つの凹溝(凹部)63dが設けられる。すなわち、バスバーホルダ61には、凹溝63dが設けられる。4つの凹溝63dには、V相用バスバー72の一部、W相用バスバー73の一部および互いに異なる系統の2つのU相用バスバー71(第1系統のU相用バスバー71Aおよび第2系統のU相用バスバー71B)の一部が挿入される。これにより、ベース部63は、複数の相用バスバー71、72、73を保持する。
図1に示す様に、ベース部63の上面63aには、上側に延びる軸部63bと、軸部63bの上端に位置する溶着部63cと、が設けられる。すなわち、バスバーホルダ61は、軸部63bと溶着部63cとを有する。
軸部63bは、端子サポート66に設けられた固定孔66hを通過する。溶着部63cは、端子サポート66の固定孔66hの上側において、軸方向から見て、固定孔66hの外側まで広がる。溶着部63cは、上側に凸となる半球状である。溶着部63cは、軸部63bの上端部を熱によって溶融させることで成形される。溶着部63cは、端子サポート66が、軸部63bから抜け出すことを抑制する。溶着部63cが設けられることで、端子サポート66は、バスバーホルダ61に固定される。
図7に示す様に、挟持部64は、ホルダ本体部62の上面62aに設けられる。挟持部64は、上面62aから上側に延びる一対の爪部64aを有する。一対の爪部64aは、相用バスバー71、72、73を厚さ方向から挟み込んで保持する。すなわち、挟持部64は、複数の相用バスバー71、72、73を厚さ方向から保持する。本実施形態において、挟持部64は、バスバーホルダ61の上側に設けられた相用バスバー71、72、73と同数(6つ)だけ設けられる。したがって、1つの相用バスバー71、72、73は、1つの挟持部64により保持される。なお、挟持部64の数は、6より多くてもよい。
脚部65は、バスバーホルダ61に複数(本実施形態では6個)設けられる。複数の脚部65は、中心軸周りに等間隔に配置される。バスバーホルダ61は、脚部65において、ステータ30に支持される。
図6に示す様に、脚部65は、ホルダ本体部62の外縁から径方向外側に延びる径方向延出部65aと、径方向延出部65aの径方向外側先端から下側に延びる下側延出部65bと、を有する。すなわち、脚部65は、ホルダ本体部62に対して下側に延びる。
図9に示す様に、脚部65の下端部65cは、軸方向から見て径方向内側に向かうに従って幅狭となるV字状である。図2に示す様に、V字状の下端部65cは、上側インシュレータ35に設けられた脚部収容部37に収容される。また、脚部65は、下端面においてステータ30の上面に接触する。上述したように、脚部収容部37は、軸方向から見て脚部65の下端部65cと同形状又は相似形状のV字状である。脚部65が、脚部収容部37に収容されることで、軸方向と直交する面内において、バスバーホルダ61が、ステータ30に対して位置決めされる。
脚部収容部37は、周方向に隣接するコアピース32同士の境界部の上側に設けられる。脚部収容部37に収容される脚部65は、周方向に隣接するコアピース32同士の境界部の上側に設けられる。すなわち、脚部65は、軸方向から見て周方向に隣接するコアピース32同士の境界に重なって配置される。
本実施形態によれば、脚部65の下端部65cおよび脚部収容部37が、径方向一方側に向かうに従って幅狭となるV字状とすることで、脚部収容部37に対する脚部65の挿入を容易に行うことができる。加えて、それぞれの脚部65が、脚部収容部37の周方向の一方側および他方側を向く軸方向から見てV字状の壁部に接触する。このため、バスバーホルダ61の周方向の位置決め精度を高めることができる。なお、脚部収容部37は、V字状以外の形状であってもよい。例えば、台形状、半円弧状であっても、同様の効果を得られる。
図2に示す様に軸方向から見て、それぞれのコイル33から引き出される引出線33aと中心軸Jとを結ぶ直線を仮想線VLとする。軸方向から見て、脚部65は、周方向に隣接する一対のコイル33の引出線33aの仮想線VL同士の間に位置する。なお、引出線33aは、複数の相用バスバー71、72、73および複数の中性点バスバー81、82にそれぞれ設けられたコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aのうち何れか1つに接続される。
本実施形態によれば、脚部65が、周方向に並ぶ一対の仮想線VL同士の間に配置されることで、周方向において、脚部65とコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aとをずらして配置することができる。これにより、脚部65とコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aおよび引出線33aとの干渉を抑制できる。加えて、脚部65が、コイル用端子71a、72a、73a、81a、82aと引出線33aとの溶接工程を阻害し難い。
本実施形態において、複数のコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aは、周方向に沿って第1の間隔と、第1の間隔より狭い第2の間隔と、で交互に並ぶ。このため、中心軸Jから放射状に延びる複数の仮想線VLは、周方向に沿って第1の角度αと、第1の角度αより小さい第2の角度βと、で交互に延びる。本実施形態の脚部65は、第1の角度αをなす一対の仮想線VL同士の間に位置する。
脚部65を、第1の角度αをなす一対の仮想線VL同士の間、および第2の角度βをなす一対の仮想線VL同士の間、の何れに配置する場合であっても、脚部65と引出線33aとの干渉を抑制する一定の効果を得ることができる。
また、本実施形態に示すように、脚部65を、第1の角度αをなす一対の仮想線VL同士の間に配置することで、脚部65と引出線33aとの干渉を抑制する効果をさらに高めることができる。
また、軸方向から見て、脚部65は、周方向に隣接する一対のコイル33の引出線33aに接続される一対のコイル用端子(例えば、一対のコイル用端子81a、73a)の間に位置する。本実施形態によれば、脚部65とコイル用端子81a、73aとの径方向位置が一致する場合であっても、脚部65とコイル用端子81a、73aとが周方向にずれて配置されるため、脚部65とコイル用端子81a、73aとの干渉を抑制できる。
また、本実施形態によれば、上述の配置によって、脚部65とコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aとの干渉が抑制される為、脚部65とコイル用端子71a、72a、73a、81a、82aを軸方向にずらして配置する必要がない。より具体的には、図5に示す様に、脚部65の一部を、一部のコイル用端子82aと軸方向に重なるように配置することができる。脚部65の少なくとも一部を、コイル用端子82aと軸方向に重なる様に配置することで、バスバーユニット60の軸方向の寸法を小型化することができる。
(相用バスバー(第1のバスバー、バスバー))
複数の相用バスバー71、72、73は、バスバーホルダ61の上側に固定される。複数の相用バスバー71、72、73は、第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70Bに分類される。上述したように、第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70Bは、それぞれU相用バスバー71、V相用バスバー72およびW相用バスバー73を有する。
なお、第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70BのU相用バスバー71同士は同形状であり、第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70BのV相用バスバー72同士は同形状であり、第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70BのW相用バスバー73同士は同形状である。
図6に示す様に、U相用バスバー71は、バスバー本体部71bと、コイル用端子71aと、外部接続端子71cと、突出部71eと、を有する。同様に、V相用バスバー72は、バスバー本体部72bと、コイル用端子72aと、外部接続端子72cと、突出部72eと、を有する。さらに、W相用バスバー73は、バスバー本体部73bと、コイル用端子73aと、外部接続端子73cと、突出部73eと、を有する。
バスバー本体部71b、72b、73bは、軸方向と直交する平面に沿って延びる。バスバー本体部71b、72b、73bは、それぞれ周方向に沿って延びる。バスバー本体部71b、72b、73bは、軸方向に直交する方向を厚さ方向として配置される。
コイル用端子71a、72a、73aは、それぞれバスバー本体部71b、72b、73bの一端に位置する。コイル用端子71a、72a、73aは、バスバー本体部71b、72b、73bから径方向外側に延びる。なお、コイル用端子71a、72a、73aは、バスバー本体部71b、72b、73bに対し径方向内側に延びていてもよい。すなわち、コイル用端子71a、72a、73aは、バスバー本体部71b、72b、73bに対し径方向一方側に延びていればよい。
コイル用端子71a、72a、73aは、引出線33aに接続される。コイル用端子71a、72a、73aは、引出線33aを把持する部分である。コイル用端子71a、72a、73aの平面視形状は、径方向内側に開口する略U字状である。コイル用端子71a、72a、73aは、軸方向に直交する方向を厚さ方向として配置される。
外部接続端子71c、72c、73cは、それぞれバスバー本体部71b、72b、73bのコイル用端子71a、72a、73aと反対側の端部(他端)に位置する。外部接続端子71c、72c、73cは、バスバー本体部71b、72b、73bから上側に延びる。
3つの外部接続端子71c、72c、73cは、それぞれ第1系統相用バスバー群70Aおよび第2系統相用バスバー群70Bに設けられる。第1系統相用バスバー群70Aの外部接続端子71c、72c、73cと、第2系統相用バスバー群70Bの外部接続端子71c、72c、73cは、中心軸Jを挟んで反対側に配置される。
外部接続端子71c、72c、73cは、軸方向に直交する方向を厚さ方向として配置される。また、U相用バスバー71の外部接続端子71cは、径方向と直交する方向を板幅方向として配置される。一方で、V相用バスバー72およびW相用バスバー73の外部接続端子72c、73cは、U相用バスバー71の外部接続端子71cの板幅方向と直交する方向を板幅方向として配置される。
図6に示す様に、突出部71e、72e、73eは、バスバー本体部71b、72b、73bと外部接続端子71c、72c、73cとの接続部からバスバー本体部71bの反対側に延びる。突出部71e、72e、73eは、軸方向に直交する方向を厚さ方向として配置される。
相用バスバー71、72、73は、バスバー本体部71b、72b、73bと外部接続端子71c、72c、73cとの接続部および突出部71e、72e、73eにおいてバスバーホルダ61に設けられた凹溝(凹部)63dに挿入される。したがって、相用バスバー71、72、73は、外部接続端子71c、72c、73cの根元においてバスバーホルダ61に保持される。このため、外部接続端子71c、72c、73cを外部機器のソケットに挿入する際に受ける応力を、バスバーホルダ61によって安定的に支持できる。
また、本実施形態によれば、バスバー本体部71b、72b、73bと突出部71e、72e、73eとが、外部接続端子71c、72c、73cの根元において、外部接続端子71c、72c、73cの板幅方向両側に延びる。バスバー本体部71b、72b、73bおよび突出部71e、72e、73eは、凹溝63dの内部で、外部接続端子71c、72c、73cの板幅方向へのガタツキを抑制する。これにより、外部接続端子71c、72c、73cの外部機器のソケットへの挿入の安定性を高めることができる。
相用バスバー71、72、73は、軸方向において、バスバー本体部71b、72b、73bの全幅と、突出部71e、72e、73eの全幅とが重なる。このため、外部接続端子71c、72c、73cの安定性を外部接続端子71c、72c、73cの幅方向両側のガタツキ抑制の効果を高めることができる。
図7に示す様に、U相用バスバー71は、3種類の相用バスバー71、72、73のうち、バスバー本体部の周方向に沿う長さが最も大きい相用バスバーである。U相用バスバー71のバスバー本体部71bは、他の相用バスバー(V相用バスバー72およびW相用バスバー73)のバスバー本体部72b、73bより径方向内側に位置する。より具体的には、U相用バスバー71のバスバー本体部71bは、同じ系統のバスバー群に属するV相用バスバー72および他の系統のバスバー群に属するW相用バスバー73の径方向内側に位置する。
本実施形態の相用バスバー71、72、73は、バスバー本体部71b、72b、73bにおいて、径方向に重なって配置される。このため、バスバー本体部71b、72b、73bの厚さ方向を軸方向と直交させて配置することで、相用バスバー71、72、73を径方向にコンパクトに配置できる。結果として、バスバーユニット60の径方向寸法を小型化できる。
本実施形態によれば、複数の相用バスバー71、72、73のうち、バスバー本体部71bの周方向に沿う長さが最も大きいU相用バスバー71は、他の相用バスバー(すなわち、V相用バスバー72およびW相用バスバー73)のうち少なくとも一部と径方向に重なる。また、U相用バスバー71のバスバー本体部71bは、径方向において他の相用バスバーのコイル用端子72a、73aが延び出る方向と反対側に位置する。このため、U相用バスバー71のバスバー本体部71bは、V相用バスバー72およびW相用バスバー73のコイル用端子72a、73aに接続される引出線33aに対して径方向に十分に距離を離して配置できる。結果として、U相用バスバー71のバスバー本体部71bと引出線33aとの間を壁などで隔てることなく、絶縁を確保することができる。
本実施形態において、V相用バスバー72およびW相用バスバー73は、コイル用端子72a、73aの径方向に延びる領域において、挟持部64に保持される。一方で、U相用バスバー71は、バスバー本体部71bにおいて、挟持部64に保持される。U相用バスバー71を保持する挟持部64は、径方向においてV相用バスバー72およびW相用バスバー73と径方向に重ならない。すなわち、複数の相用バスバー71、72、73のうち、バスバー本体部71bの周方向に沿う長さが最も大きいU相用バスバー71は、他の相用バスバーと径方向に重ならない領域で、バスバー本体部71bが、挟持部64に保持される。言い換えると、U相用バスバー71のバスバー本体部71bは、挟持部64に保持されない領域で、V相用バスバー72およびW相用バスバー73と径方向に重なる。このため、径方向において、U相用バスバー71と、V相用バスバー72およびW相用バスバー73を近接して配置できる。
U相用バスバー71のバスバー本体部71bは、周方向に沿って中心軸J周りに180°延びる。したがって、バスバー本体部71bの一端に位置する外部接続端子71cと、バスバー本体部71bの他端に位置するコイル用端子71aとは、中心軸Jを挟んで反対側に配置される。これにより、他の相用バスバー(V相用バスバー72およびW相用バスバー73)の本体部72b、73bの周方向に沿う寸法を小さくしつつ、1つの系統の外部接続端子71c、72c、73cを並べて配置できる。
なお、本実施形態では、複数の相用バスバー71、72、73のうち、バスバー本体部の周方向に沿う長さが最も大きい相用バスバーがU相用バスバー71である場合について説明した。しかしながら、V相用バスバー72又はW相用バスバー73のバスバー本体部72b、73bが、他の相用バスバーのバスバー本体部より長い場合には、これらの相用バスバー72、73のバスバー本体部72b、73bが中心軸J周りに180°延びていればよい。
本実施形態において、異なる系統であり同じ相の相用バスバー71、72、73の外部接続端子71c、72c、73c同士は、中心軸Jを挟んで反対側に位置する。すなわち、第1系統のコイル群7および第2系統のコイル群8の互いに同じ相のコイル33に接続される一対の相用バスバー71、72、73の外部接続端子71c、72c、73cは、中心軸Jを挟んで反対側に配置される。これにより、第1系統および第2系統の3つの外部接続端子71c、72c、73cを、中心軸Jを中心として対称に配置できる。結果として、モータ1の周方向位置を180°回転させてもモータ1を外部機器に接続することができ、外部機器に対するモータ1の接続工程を簡素化できる。
軸方向から見て、第1系統のU相用バスバー71Aおよび第2系統のU相用バスバー71Bのうち一方の外部接続端子71cと他方のコイル用端子71aとは、軸方向から見て部分的に重なる。U相用バスバー71Aのバスバー本体部71bは、外部接続端子71cの根元の近傍において軸方向に延びるクランク部71dを有する。バスバー本体部71bには、クランク部71dが設けられることで、外部接続端子71cが上側にオフセットされ、コイル用端子71aとの干渉が抑制される。
図6に示す様に、V相用バスバー72およびW相用バスバー73のバスバー本体部72b、73bは、U相用バスバー71のクランク部71dに相当する部分を有していない。したがって、V相用バスバー72およびW相用バスバー73のバスバー本体部72b、73bは、軸方向と直交する平面内においてのみ延びる。
相用バスバー71、72、73において、バスバー本体部71b、72b、73bおよびコイル用端子71a、72a、73aは、一方向に延びる板材を屈曲させることで成形される。また、V相用バスバー72およびW相用バスバー73は、軸方向において、バスバー本体部72b、73bの全幅と、コイル用端子72a、73aの全幅と、が重なる。このため、V相用バスバー72およびW相用バスバー73をプレス加工により製造する場合、コイル用端子がバスバー本体部に対して上側又は下側に延び出る場合と比較して、板材からのV相用バスバー72およびW相用バスバー73の取り数を増加させることができる。
(端子サポート(外部接続端子サポート))
端子サポート66は、バスバーホルダ61の上側に固定される。端子サポート66は、バスバーホルダ61のベース部63の上面63aを覆う。端子サポート66は、樹脂材料から構成される。
端子サポート66は、端子サポート本体部66aと、端子サポート本体部66aから上側に柱状に延びる3つのサポート部66bと、端子サポート本体部66aから下側に突出する凸部66dと、を有する。サポート部66bは、円柱形状である。3つのサポート部66bは、周方向に沿って並ぶ。
図1に示す様に、端子サポート本体部66aには、軸方向に貫通する固定孔66hが設けられる。固定孔66hには、バスバーホルダ61の軸部63bが挿入される。
3つのサポート部66bには、それぞれ軸方向に貫通する保持孔66cが設けられる。すなわち、端子サポート66には、3つの保持孔66cが設けられる。
3つの保持孔66cには、それぞれU相用バスバー71、V相用バスバー72およびW相用バスバー73の外部接続端子71c、72c、73cが挿通される。これにより、3つの保持孔66cは、外部接続端子71c、72c、73cを保持する。
外部接続端子71c、72c、73cは、保持孔66cの下側から挿入され、サポート部66bの上側に突出する。外部接続端子71c、72c、73cは、サポート部66bに囲まれた領域において、ベアリングホルダ10の貫通孔16aを通過する。
本実施形態によれば、外部接続端子71c、72c、73cが、端子サポート66の保持孔66cにより保持される。これにより、外部機器のソケットに挿入する際の外部接続端子71c、72c、73cの安定性を高めることができる。
本実施形態によれば、外部接続端子71c、72c、73cが端子サポート66のサポート部66bに囲まれている。このため、バスバーユニット60をベアリングホルダ10の下側に配置し外部接続端子71c、72c、73cをベアリングホルダ10の貫通孔16aに挿通させる場合に、外部接続端子71c、72c、73cと貫通孔16aの内周面との間にサポート部66bを介在させることができる。結果的に、外部接続端子71c、72c、73cとベアリングホルダ10との絶縁を確保することができる。
図6に示す様に、凸部66dは、端子サポート本体部66aから下側に向かって板状に延びる。凸部66dは、バスバーホルダ61の凹溝63dに嵌る。これにより、バスバーホルダ61による端子サポート66の保持の確実性を高めることができる。また、結果的に端子サポート66に保持される外部接続端子71c、72c、73cの保持の確実性を高めることができる。
上述したように、凹溝63dは、相用バスバー71、72、73のバスバー本体部71b、72b、73bが挿入される。凸部66dは、バスバー本体部71b、72b、73bの上側から凹溝63dに嵌る。これにより、凹溝63dにおいて相用バスバー71、72、73を上側から押さえて、バスバーユニット60における相用バスバー71、72、73の保持を安定させることができる。
3つの凸部66dのうち、V相用バスバー72およびW相用バスバー73のバスバー本体部72b、73bを上側から押さえる2つの凸部66dは、それぞれ外部接続端子72c、73cに沿って下側に延びて凹溝63dに嵌る。したがって、これら2つの凸部66dは、外部接続端子72c、73cの根元の近傍を上側から押さえることができ、外部接続端子72c、73cを安定させる効果が高まる。
図8は、図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図8には、凹溝63dに挿入されるV相用バスバー72の固定構造について説明する。ここでは説明を省略するが、他の凹溝63dに挿入されるU相用バスバー71およびW相用バスバー73についても、同様の固定構造が採用される。
凹溝63dの上側の開口には、上側に向かうに従い溝幅が広くなるテーパ部63eが設けられる。テーパ部63eが設けられることで、相用バスバー72および凸部66dの凹溝63dへの挿入工程が容易となる。
凸部66dの先端面66fは、相用バスバー72の上側を向く面に接触する。凸部66dの先端部には、凹溝63dの内面に接合する溶着部66eが設けられる。溶着部66eは、凸部66dの先端が溶融し固化することで成形される。溶着部66eは、固化の過程において凹溝63dの壁面および相用バスバー72に接合される。これによって、端子サポート66をバスバーホルダ61に強固に固定できる。加えて、相用バスバー72の凹溝63dからの抜け出しを効果的に抑制できる。
なお、本実施形態では、凸部66dの先端部に溶着部66eが設けられる場合を例示した。しかしながら、凸部66dの少なくとも一部に溶着部66eが設けられていれば、よい。
端子サポート66は、一体的に成形された第1の樹脂部66Aと第2の樹脂部66Bとを含む樹脂材料から構成される。すなわち、端子サポート66は、2色成型により成形されている。すなわち、端子サポート66は、第1の樹脂部66Aと第2の樹脂部66Bと、を2色成型することで成形される。
第2の樹脂部66Bは、第1の樹脂部66Aより融点が低い熱可塑性の樹脂材料である。端子サポート本体部66aおよびサポート部66bは、第1の樹脂部66Aから構成される。一方で、凸部66dは、第2の樹脂部66Bから構成される。
本実施形態によれば、溶着部66eは、融点の低い第2の樹脂部66Bから構成される。このため、凸部66dを凹溝63dに挿入した状態で端子サポート66を加熱することで容易に溶着部66eを成形できる。
なお、本実施形態では、凸部66dの全体が第2の樹脂部66Bから構成される場合を例示した。しかしながら、凸部66dの凹溝63dに嵌る部分の一部が、第2の樹脂部66Bから構成されていればよい。
バスバーユニット60の製造方法において、バスバーホルダ61に端子サポート66を固定する手順について説明する。
まず、バスバーホルダ61に、相用バスバー71、72、73を取り付けるバスバー取り付け工程を行う。相用バスバー取り付け工程では、バスバーホルダ61に設けられた凹溝63dに相用バスバー71、72、73を挿入する。
次に、バスバーホルダ61に、端子サポート66を取り付ける端子サポート取り付け工程(外部接続端子サポート取り付け工程)を行う。端子サポート取り付け工程では、まず、端子サポート66の保持孔66cに外部接続端子71c、72c、73cを挿入する。次いで、端子サポート66の凸部66dを相用バスバー71、72、73の上側から凹溝63dに嵌める。さらに、端子サポート66に熱を加えて凸部66dの一部を溶融しさらに固化させ、凹溝63dの内面に接合する溶着部66eを成形する。
溶着部66eを成形する手順において、相用バスバー71、72、73に電流を流して凸部66dの一部を溶融させてもよい。相用バスバー71、72、73に電流を流すことで、ジュール熱によって相用バスバー71、72、73が発熱する。この熱は、凸部66dに伝わり凸部66dの一部を溶融させる。相用バスバー71、72、73に電流を流すことで溶着部66eを成形する場合、凸部66dの先端部のみを局所的に加熱することができる。このため、端子サポート66の他の部位に影響を与えることなく、溶着部66eを成形できる。なお、ジュール熱により溶着部66eを成形する際に相用バスバー71、72、73に流す電流値は、モータ1を駆動させる際の電流値より十分に大きい。
(中性点バスバー(第2のバスバー、バスバー))
上述したように本実施形態のステータ30は、2系統のコイル群7、8を有する(図4参照)。複数の中性点バスバー81、82は、コイル群の数(すなわち、系統数)と同数だけ設けられる。したがって、本実施形態のバスバーユニット60は、2つの中性点バスバー81、82を有する。
図9は、バスバーユニット60の底面図である。
図9に示す様に、中性点バスバー81、82は、バスバー本体部81b、82bと、3つのコイル用端子81a、82aと、を有する。中性点バスバー81、82は、板状である。中性点バスバー81、82において、少なくともバスバー本体部81b、82bは、軸方向を厚さ方向として配置される。
バスバー本体部81b、82bは、軸方向と直交する平面に沿って延びる。バスバー本体部81b、82bは、それぞれ中心軸J周りの240°の領域において周方向に沿って延びる。バスバー本体部81b、82bの少なくとも一部は、バスバーホルダ61から露出する。すなわち、中性点バスバー81、82は、バスバーホルダ61に樹脂インサート成型されていない。
コイル用端子81a、82aは、引出線33aに接続される。コイル用端子81a、82aは、引出線33aを把持する部分を含む。コイル用端子81a、82aの平面視形状は、径方向内側に開口する略U字状である。コイル用端子81a、82aは、軸方向に直交する方向を厚さ方向として配置される。
3つのコイル用端子81a、82aは、それぞれバスバー本体部81b、82bの長さ方向(すなわち、周方向)に沿って、等間隔に配置される。3つのコイル用端子81a、82aのうち2つのコイル用端子81a、82aは、バスバー本体部81b、82bの両端に位置し、残る1つのコイル用端子81a、82aは、前述の2つのコイル用端子81a、82aの間に位置する。
コイル用端子81a、82aは、径方向においてバスバー本体部81b、82bから離れる方向に延びる。より具体的には、コイル用端子81a、82aは、バスバー本体部81b、82bから径方向外側に延びる。
なお、コイル用端子81a、82aは、バスバー本体部81b、82bに対し径方向内側に延びていてもよい。すなわち、コイル用端子81a、82aは、バスバー本体部81b、82bに対し径方向一方側に延びていればよい。
中性点バスバー81、82のコイル用端子81a、82aと相用バスバー71、72、73のコイル用端子71a、72a、73aとは、それぞれのバスバー本体部81b、82b、71b、72b、73bに対して径方向の同方向に延びる。このように配置することで、バスバーホルダ61に対して、中性点バスバー81、82および相用バスバー71、72、73のコイル用端子81a、82a、71a、72a、73aが突出する径方向の向きをそろえることができる。したがって、ステータ30から延び出てコイル用端子81a、82a、71a、72a、73aに接続される引出線33aの径方向の位置を揃えて配置することができる。これにより、バスバーホルダ61の、中性点バスバー81、82および相用バスバー71、72、73と引出線33aとを絶縁する構造(本実施形態における第1の壁部62cなど)が複雑化しにくい。また、このように配置することで、軸方向から見て、複数の相用バスバー71、72、73のコイル用端子71a、72a、73aおよび複数の中性点バスバー81、82のコイル用端子81a、82aが、中心軸J周りの単一の仮想円上VCに並ぶ。このため、溶接工程において、バスバーユニット60およびステータ30を中心軸J周りに回転させることで、溶接治具を径方向に移動させることなく引出線33aとコイル用端子81a、82a、71a、72a、73aを溶接して接続することができる。これにより、溶接工程を簡素化できる。
コイル用端子81a、82aは、バスバー本体部81b、82bから下側に延びる。すなわち、コイル用端子81a、82aは、軸方向において相用バスバー71、72、73から離れる方向に延びる。これにより、コイル用端子81a、82aを相用バスバー71、72、73のコイル用端子71a、72a、73aから軸方向に離して配置することができ、互いの干渉を抑制できる。加えて、中性点バスバー81、82および相用バスバー71、72、73のうち何れか一方のコイル用端子と引出線33aとの溶接工程において、他方のコイル用端子が溶接の作業性を悪化させることを抑制できる。
複数の中性点バスバー81、82は、第1系統中性点バスバー81と第2系統中性点バスバー82とに分類される。第1系統中性点バスバー81は、1つの系統のコイル群(第1系統のコイル群7)の各相(U相、V相、W相)のコイル33の引出線33aに接続される。同様に、第2系統中性点バスバー82は、1つの系統のコイル群(第2系統のコイル群8)の各相(U相、V相、W相)のコイル33の引出線33aに接続される。
なお、相用バスバー71、72、73のコイル用端子71a、72a、73aと、中性点バスバー81、82のコイル用端子81a、82aとは、周方向に沿って交互に並ぶ。
図6に示すように、複数の中性点バスバー81、82は、バスバーホルダ61の下側に固定される。複数の中性点バスバー81、82は、少なくとも一部が軸方向から見て互いに重なる。
複数の中性点バスバー81、82は、少なくともバスバー本体部81b、82bが軸方向を厚さ方向として配置される板材である。すなわち、本実施形態の中性点バスバー81、82は、いわゆる平置きタイプである。このため、複数の中性点バスバー81、82を、軸方向に重ねて配置する場合であっても軸方向の寸法が大きくなりにくい。
本実施形態によれば、相用バスバー71、72、73および中性点バスバー81、82のうち、中性点バスバー81、82が平置きタイプとされている。一方で、相用バスバー71、72、73は、バスバー本体部71b、72b、73bが軸方向を厚さ方向として配置される、いわゆる縦置きタイプである。一般的に、相用バスバー71、72、73は、U相、V相、W相のコイル33に対応して少なくとも3つ必要となる。このため、相用バスバー71、72、73を平置きタイプにして軸方向に重ねて配置する場合、各相のバスバーに対応して3層以上の積層配置が必要となる。また、積層されたバスバー同士の間には、絶縁層が設けられる。このため、3層以上の積層配置が必要となる場合には、軸方向の寸法が、3つのバスバーの板厚と、その間の絶縁層の厚さと、の合計となり、重ね合わせて配置することによる軸方向の小型化の効果が小さくなってしまう。本実施形態によれば、2系統の中性点バスバー81、82を平置きタイプとして積層することによって、軸方向の寸法抑制の効果を高めることができる。
なお、上述した軸方向に重ね合わせるバスバー同士の間に設けられる絶縁層は、本実施形態において空気層である。
図9に示す様に、複数の中性点バスバー81、82は、ホルダ本体部62に設けられた第1の壁部62cと第2の壁部62dとの間に配置されて、周方向に沿って延びる。第1の壁部62cおよび第2の壁部62dは、径方向において中性点バスバー81、82のバスバー本体部81b、82bを挟んで配置される。
本実施形態によれば、第1の壁部62cが、軸方向から見て、中性点バスバー81、82のバスバー本体部81b、82bと引出線33aとの間に位置する。これにより、中性点バスバー81、82と、引出線33aとを容易に絶縁することができる。
本実施形態によれば、中性点バスバー81、82が径方向内外から第1の壁部62cと第2の壁部62dとの間に挟まれる。このため、中性点バスバー81、82を径方向に容易に位置決めすることができる。
本実施形態によれば、ホルダ本体部62に第1の壁部62cおよび第2の壁部62dが設けられることにより、ホルダ本体部62の剛性を高めることができる。
第1の壁部62cには、第1の切欠部62caおよび第2の切欠部62cbが設けられる。また、第2の壁部62dには、第2の切欠部62dbのみが設けられる。中性点バスバー81、82は、第1の切欠部62ca又は第2の切欠部62cb、62dbにおいて、径方向に露出する。
第1の切欠部62caには、中性点バスバー81、82のコイル用端子81a、82aが通過する。第1の切欠部62caが設けられることで、コイル用端子81a、82aを、バスバー本体部81b、82bから径方向外側に直接的に延ばす構造を採用できる。すなわち、コイル用端子81a、82aに、下側に延びて第1の壁部62cを乗り越える部分を設ける必要がなく、中性点バスバー81、82を安価に製造できる。
第2の切欠部62cb、62dbは、後段において説明する中性点バスバー81、82の幅広部81s、82sと径方向に重なる。第2の切欠部62cb、62dbが設けられることで、幅広部81s、82sがバスバーホルダ61に干渉することを抑制できる。
なお、本実施形態において、一部の第2の切欠部62cbは、コイル用端子81aを通過させる。すなわち、一部の第2の切欠部62cbは、コイル用端子81aを通過させる切欠部としても機能する。
第1の壁部62cに設けられた複数の第2の切欠部62cbのうち、少なくとも一部の第2の切欠部62cbは、径方向において引出線33aとずれて配置される。第2の切欠部62cbが、径方向において引出線33aとずれて配置されることで、第2の切欠部62cbから露出するバスバー本体部81b、82bと引出線33aとの絶縁を確保しやすい。なお、全ての第2の切欠部62cbが径方向において引出線33aとずれて配置されていてもよい。
以下の説明において、複数の中性点バスバー81、82のうち、ホルダ本体部62側(すなわち、バスバーホルダ61側)に位置する一方を第1層バスバー81とする。また、複数の中性点バスバー81、82のうち、ホルダ本体部62(バスバーホルダ61側)に対し第1層バスバー81より外側に位置する他方を第2層バスバー82とする。また、以下の説明において、第1層バスバー81および第2層バスバー82をまとめて、中性点バスバー81、82と呼ぶ。第1層バスバー81は、第1系統のコイル群7に接続される第1系統中性点バスバー81であり、第2系統のコイル群8に接続される第2層バスバー82は、第2系統中性点バスバー82である。
図10は、図9のX−X線に沿う断面模式図である。
第1層バスバー81のバスバー本体部81bには、軸方向に貫通する固定孔(貫通孔)81hおよび通過孔(貫通孔)81iが設けられる。第2層バスバー82のバスバー本体部82bには、軸方向に貫通する固定孔(貫通孔)82hおよび退避孔(貫通孔)82iが設けられる。
なお、本実施形態において、固定孔81h、82h、通過孔81iおよび退避孔82iは、内部領域がバスバー本体部81b、82bに四方から囲まれている。しかしながら、固定孔81h、82h、通過孔81iおよび退避孔82iは、軸方向に貫通していれば、切欠形状であってもよい。すなわち、固定孔81h、82h、通過孔81iおよび退避孔82iは、内部領域がバスバー本体部81b、82bに三方から囲まれていればよく、内部領域の全てがバスバー本体部81b、82bに囲まれていなくてもよい。
ホルダ本体部62の下面62bには、複数の軸部67a、68a、69aと、それぞれの軸部67a、68a、69aの先端に位置する複数の溶着部67b、68b、69bと、が設けられる。溶着部67b、68b、69bは、下側に凸となる半球状である。溶着部67b、68b、69bは、軸部67a、68a、69aの先端部を熱によって溶融させることで成形される。
図9に示す様に、複数の軸部67a、68a、69aは、3つの第1軸部67aと、2つの第2軸部68aと、1つの第3軸部69aを含む。また、複数の溶着部67b、68b、69bは、第1軸部67aの先端に位置する第1溶着部67bと、第2軸部68aの先端に位置する第2溶着部68bと、第3軸部69aの先端に位置する第3溶着部69bと、を含む。
第1軸部67aおよび第1溶着部67bは、第1層バスバー81を固定する為に設けられる。第2軸部68a、第3軸部69a、第2溶着部68bおよび第3溶着部69bは、第2層バスバー82を固定するために設けられる。したがって、第1層バスバー81および第2層バスバー82は、それぞれ3つの溶着部によって固定される。
第1溶着部67b、第2溶着部68bおよび第3溶着部69bは、中心軸J周りの単一の仮想円上に並ぶ。このため、第1溶着部67b、第2溶着部68bおよび第3溶着部69bを成形する熱かしめ工程において、バスバーユニット60を中心軸J周りに回転させることで、熱かしめ治具を径方向に移動させる必要がない。これにより、熱かしめ工程を簡素化できる。
なお、図9では、第1溶着部67b、第2溶着部68bおよび第3溶着部69bが並ぶ仮想円の図示を省略した。この仮想円は、図9に示す円弧状のX−X線を含む円である。
図10に示す様に、第1軸部67aは、第1層バスバー81の固定孔81hを通過する。第1溶着部67bは、第1層バスバー81の下側に位置する。第1溶着部67bは、軸方向から見て第1層バスバー81の固定孔81hの外側まで広がる。第1溶着部67bは、第1軸部67aに対して外側に広がる部分に、上側を向く第1固定面67dを有する。第1固定面67dは、第1層バスバー81の下面81pに接触する。また、第1層バスバー81の上面81qは、ホルダ本体部62の下面62bに接触する。すなわち、第1層バスバー81は、ホルダ本体部62と第1溶着部67bとの間に挟まれる。これにより、第1溶着部67bは、第1層バスバー81を固定する。
第2層バスバー82の退避孔82iは、第1層バスバー81と第2層バスバー82とが軸方向から見て重なる領域に位置し第1層バスバー81を固定する第1溶着部67bの下側に位置する。すなわち、退避孔82iは、軸方向から見て第1溶着部67bと重なる。図9に示す様に、軸方向から見て、第1溶着部67bは、退避孔82iの内周面より内側に位置する。すなわち、第1溶着部67bは、軸方向から見て退避孔82iの孔内に配置される。
本実施形態によれば、第2層バスバー82に退避孔82iが設けられることで、第1層バスバー81と第2層バスバー82が重なった領域で第1層バスバー81を固定する場合に、第1層バスバー81と第2層バスバー82とを軸方向に近接して配置しても第1溶着部67bと第2層バスバー82との干渉を抑制できる。
すなわち、本実施形態によれば、第1層バスバー81と第2層バスバー82とが重なった領域で第1層バスバー81を固定できる。このため、第1層バスバー81を固定する溶着部67bを、第1層バスバー81のバスバー本体部81bの長さ方向においてバランスよく配置できる。加えて、第1層バスバー81と第2層バスバー82とを近接して配置できるため、バスバーユニット60を軸方向に小型化できる。
図10に示す様に、第2軸部68aには、ホルダ本体部62と反対側(すなわち、バスバーホルダ61と反対側、下側)を向く段差面68cが設けられる。第2軸部68aは、段差面68cより基端側(上側)の直径が、段差面68cより先端側(下側)の直径より大きい。
第2軸部68aは、第1層バスバー81の通過孔81iおよび第2層バスバー82の固定孔82hを通過する。第1層バスバー81の下面81pは、段差面68cより上側に位置する。したがって、第1層バスバー81の通過孔81iは、段差面68cより基端側で第2軸部68aに挿通される。
一方で、第2層バスバー82は、段差面68cより下側に位置する。第2層バスバー82の上面82qは、段差面68cに接触する。したがって、第2層バスバー82の固定孔82hは、段差面68cより先端側で第2軸部68aに挿通される。
第2溶着部68bは、第2層バスバー82の下側に位置する。第2溶着部68bは、軸方向から見て第2層バスバー82の固定孔82hの外側まで広がる。第2溶着部68bは、第2軸部68aに対して外側に広がる部分に、上側を向く第2固定面68dを有する。第2固定面68dは、第2層バスバー82の下面82pに接触する。第2層バスバー82の上面82qは、段差面68cに接触するため、第2層バスバー82は、段差面68cと第2溶着部68bとの間に挟まれる。これにより、第2溶着部68bは、第2層バスバー82を固定する。
本実施形態によれば、第1層バスバー81と第2層バスバー82が重なった領域において、第2層バスバー82を固定することができる。また、第2軸部68aが第1層バスバー81の通過孔81iを通過するため、軸方向と直交する面内において第1層バスバー81を位置決めできる。なお、第2軸部68aの外周面の少なくとも一部が、段差面68cより基端側(上側)の領域において、通過孔81iの内周面と接触していてもよい。この場合には、第2軸部68aによる第1層バスバー81の位置決めの精度を高めることができる。
図10に示す様に、ホルダ本体部62の下面62bには、下側に突出する段部62eが設けられる。段部62eには、下側を向く段部下面62fを有する。第3軸部69aは、段部下面62fから下側に突出する。段部下面62fは、ホルダ本体部62の下面62bにおいて、第2層バスバー82のみが設けられる領域に配置される。段部下面62fには、第2層バスバー82の上面82qが接触する。
第3軸部69aは、第1層バスバー81と第2層バスバー82とが重ならない領域において、第2層バスバー82の固定孔82hを通過する。第3溶着部69bは、第2層バスバー82の下側に位置する。第3溶着部69bは、軸方向から見て第2層バスバー82の固定孔82hの外側まで広がる。第3溶着部69bは、第3軸部69aに対して外側に広がる部分に、上側を向く第3固定面69dを有する。第3固定面69dは、第2層バスバー82の下面82pに接触する。すなわち、第2層バスバー82は、ホルダ本体部62の段部62eと第3溶着部69bとの間に挟まれる。これにより、第3溶着部69bは、第2層バスバー82を固定する。
図10に仮想線(二点鎖線)として示す様に、第1層バスバー81と第2層バスバー82との間には、絶縁シート(絶縁部材)4が挟み込まれていてもよい。すなわち、バスバーユニット60は、複数の中性点バスバー81、82の間に介在する絶縁シート4を有してもよい。絶縁シート4には、第1溶着部67bおよび第2軸部68aとの干渉を避けるための孔部4hが設けられる。第1層バスバー81と第2層バスバー82との間に絶縁シート4を設けることで、第1層バスバー81と第2層バスバー82との絶縁の確実性を高めることができる。
図9には、バスバーホルダ61の上側に配置される相用バスバー71、72、73を隠れ線(破線)として示す。図9に示す様に、中性点バスバー81、82と相用バスバー71、72、73とは、軸方向から見て少なくとも一部が互いに重なる。これにより、バスバーユニット60を径方向に小型化することができる。また、相用バスバー71、72、73と中性点バスバー81、82との軸方向の間には、バスバーホルダ61のホルダ本体部62が介在する。これにより、相用バスバー71、72、73と中性点バスバー81、82とを、軸方向から見て互いに重ねた場合であっても、相用バスバー71、72、73と中性点バスバー81、82との絶縁を確保しやすい。
溶着部67b、68b、69bは、軸方向から見て相用バスバー71、72、73からずれて配置される。上述したように、溶着部67b、68b、69bは、軸部67a、68a、69aの先端において樹脂を溶融させることで成形される。したがって、溶着部67b、68b、69bを成形するために、バスバーホルダ61には熱が加えられる。ホルダ本体部62の、軸方向から見て溶着部67b、68b、69bと重なる部分が、溶着部67b、68b、69bの成形時の熱によってわずかに変形する虞がある。軸方向から見て、溶着部67b、68b、69bを相用バスバー71、72、73からずらして配置することで、溶着部67b、68b、69bを溶融させた際の変形が相用バスバー71、72、73の位置精度に影響を与えることを抑制できる。これにより、相用バスバー71、72、73の位置精度を高めることができる。
本実施形態において、複数の相用バスバー71、72、73のうち、バスバー本体部71b、72b、73bの周方向に沿う長さが最も大きいU相用バスバー71は、溶着部67b、68bより径方向内側を通過する。U相用バスバー71が、溶着部67b、68bより径方向内側を通って周方向に沿って延びることで、U相用バスバー71を短くすることができる。結果的にモータ1の重量を軽減するとともに、U相用バスバー71の材料費を節約できる。
本実施形態において、複数の相用バスバー71、72、73は、板状であり、バスバー本体部71b、72b、73bが軸方向に直交する方向を厚さ方向として配置された縦置きタイプである。相用バスバー71、72、73を縦置きタイプとすることで、軸方向から見て、相用バスバー71、72、73と溶着部67b、68b、69bとが重ならいように配置する場合であっても、バスバーユニット60の径方向の寸法が大きくなりにくい。
本実施形態において、6つの溶着部67b、68b、69bのうち、1つの溶着部67bは、第1層バスバー81のコイル用端子81aの根元に位置する。すなわち、1つの溶着部67bは、コイル用端子81aと径方向に重なる。このように配置することで、コイル用端子81aの位置精度を確保するとともに、コイル用端子81aの振動を抑制し易い。
なお、本実施形態では、1つの溶着部67bのみがコイル用端子81aの根元に位置する場合を説明した。しかしながら、全ての溶着部67b、68b、69bが、コイル用端子81aの根元に位置していてもよい。
第1層バスバー81のバスバー本体部81bは、通過孔81iの周囲に設けられた幅広部81sを有する。同様に、第2層バスバー82のバスバー本体部82bは、退避孔82iの周囲に設けられた幅広部82sを有する。幅広部81s、82sは、通過孔81i又は退避孔82iの中心と中心が一致する円形状に幅方向外側に傍出する。
本実施形態によれば、幅広部81s、82sを設けることで、中性点バスバー81、82に、通過孔81i又は退避孔82iを設けても、バスバー本体部81b、82bの断面積が小さくなることがない。中性点バスバー81、82の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。
なお、本実施形態では、ステータ30が、2系統のコイル群(第1系統のコイル群7および第2系統のコイル群8)を有し、バスバーユニット60が、2系統各相に対応する6つの相用バスバー71、72、73と、2系統に対応する2つの中性点バスバー81、82と、を有するモータ1について説明した。しかしながら、系統数については、限定されない。例えば、ステータ30が、一系統のコイル群のみを有し、バスバーユニット60が、一系統の相用バスバーおよび中性点バスバーを有していてもよい。また、ステータ30が、3系統以上のコイル群のみを有し、バスバーユニット60が、コイル群に対応する3以上の系統数の相用バスバーおよび中性点バスバーを有していてもよい。
次に、本実施形態のモータ1を搭載する装置の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態のモータ1を搭載する電動パワーステアリング装置の模式図である。電動パワーステアリング装置2は、自動車の車輪の操舵機構に搭載される。電動パワーステアリング装置2は、操舵力を油圧により軽減する装置である。電動パワーステアリング装置2は、モータ1と、操舵軸214と、オイルポンプ216と、コントロールバルブ217と、を備える。
操舵軸214は、ステアリング211からの入力を、車輪212を有する車軸213に伝える。オイルポンプ216は、車軸213に油圧による駆動力を伝えるパワーシリンダ215に油圧を発生させる。コントロールバルブ217は、オイルポンプ216のオイルを制御する。電動パワーステアリング装置2において、モータ1は、オイルポンプ216の駆動源として搭載されている。
なお、本実施形態のモータ1は、電動パワーステアリング装置に限られず、いかなる装置に搭載されてもよい。
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。