JP2019067844A - 冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の冷却効果を得ながら、設計、設置の自由度が高い冷却装置を実現する。【解決手段】冷却装置10は、イオン生成部20、および、冷却補助部材30を備える。イオン生成部20は、放電電極21と集電極22とを有する。イオン生成部20は、放電電極21と集電極22との間でコロナ放電を発生させ、イオンを生成する。冷却補助部材30は、放電電極21と集電極22との距離よりも長い距離で、放電電極21から離間して配置されている。冷却補助部材30は、イオン200によるイオン風210を受ける。【選択図】 図1
Description
本発明は、熱源体の冷却にイオン風を用いる冷却装置に関するものである。
従来、イオン風を用いた冷却装置が各種考案されている。例えば、特許文献1に記載のイオン風冷却装置は、ヒートシンクに設けられた複数の冷却フィンと、複数の放電電極とを備える。複数の冷却フィンは、間隔を空けて配置されている。複数の放電電極のそれぞれは、これら複数の冷却ファンの間に配置されている。
特許文献1に記載のイオン風冷却装置は、放電電極と冷却フィンを備えたヒートシンクとの間で放電を行い、イオン風を発生させている。
しかしながら、特許文献1に記載のイオン風冷却装置の構造では、電源電圧を変えずに放電電極とヒートシンクとの距離が長くなると、イオンの生成量が減少して、十分な冷却効果が得られない。したがって、放電電極とヒートシンクとの距離を長くするには、電源電圧の高電圧化が必要になり、必然的に大きな形状の電源が必要になる。
一方、電源電圧の高電圧化を行わないためには、放電電極とヒートシンクとの距離を短くしなければならない。すなわち、放電電極とヒートシンクとの位置関係に制限が生じる。
このように、従来の構成では、イオン風冷却装置を構成する各構成要素の設計、設置の自由度が低い。
したがって、本発明の目的は、所望の冷却効果を得ながら、設計、設置の自由度が高い冷却装置を提供することにある。
この発明の冷却装置は、イオン生成部、および、冷却補助部材を備える。イオン生成部は、放電電極と集電極とを有する。イオン生成部は、放電電極と集電極との間でコロナ放電を発生させ、イオンを生成する。冷却補助部材は、放電電極と集電極との距離よりも長い距離で、放電電極から離間して配置されている。冷却補助部材は、イオンによるイオン風を受ける。
この構成では、イオン生成部からのイオンによるイオン風が冷却補助部材まで伝搬され、冷却補助部材を冷却する。この際、放電電極と集電極との距離は、イオン生成部と冷却補助部材との距離に依存しない。したがって、イオン生成部と冷却補助部材との位置関係の自由度を得ながら、特定の電圧によって、コロナ放電を安定して発生できる。
また、この発明の冷却装置では、放電電極と冷却補助部材との距離は、冷却補助部材によって冷却される発熱体の温度境界層の厚みよりも短いことが好ましい。
この構成では、イオン風による冷却補助部材の表面への冷却効果が向上する。
また、この発明の冷却装置は、次の構成であることが好ましい。冷却補助部材は、導電性を有する電極を備える。この電極は、電気的に接地されている。
この構成では、イオンによる冷却補助部材の帯電が抑制されため、イオン風が安定して冷却補助部材に供給され、冷却効果が持続する。
また、この発明の冷却装置は、次の構成であることが好ましい。冷却補助部材は、導電性を有する電極を備える。この電極は、イオン生成部で生成するイオンの正負と逆の極性の電位が与えられている。
この構成では、イオン生成部と冷却補助部材の電極との間に、一定の電位差を与えられるため、より速度の速いイオン風が得られ、冷却効果が向上する。
また、この発明の冷却装置では、イオン生成部は、正イオンまたは負イオンを選択的に生成することが好ましい。
この構成では、イオン生成部と冷却補助部材の電極との間に、一定の電位差をさらに確実に与えられるため、速度の速いイオン風が確実に得られ、冷却効果が向上する。
また、この発明の冷却装置では、次の構成であることが好ましい。冷却補助部材は、絶縁基板、および、電界形成用の電極を備える。電界形成用の電極は、絶縁基板に形成され、絶縁基板の表面に沿った電界を発生させる。
この構成では、イオンが冷却補助部材の表面に平行な方向に伝搬され、このイオンの動きに応じたイオン風が得られる。
また、この発明の冷却装置では、次の構成であることが好ましい。冷却補助部材は、絶縁基板、および、電気力学的搬送力生成用の電極を備える。電気力学的搬送力生成用の電極は、絶縁基板に形成され、絶縁基板の表面に沿った電気力学的搬送力を発生させる。
この構成では、イオンが冷却補助部材の表面に平行な方向に搬送され、このイオンの動きに応じたイオン風が得られる。
また、この発明の冷却装置では、次の構成であることが好ましい。電気力学的搬送力生成用の電極は、電気力学的搬送力の作用する方向に沿って間隔を空けて配列された複数対の電極である。
この構成では、所望の電気力学的搬送力が得られる。
また、この発明の冷却装置では、複数対の電極は、それぞれに直線状であり、各電極の延びる方向に対して直交する方向に沿って間隔を空けて配列されていてもよい。
この構成では、冷却補助部材の表面における複数対の電極の延びる方向に平行な特定の線部から、この線部に直交する方向にイオンが伝搬され、この方向に沿ってイオン風が流れる。これにより、この線部の冷却効果が向上する。
また、この発明の冷却装置では、複数対の電極は、それぞれに環状、または、それぞれに部分的な環状であり、環状または部分的な環状に対する放射方向に沿って間隔を空けて配列されていてもよい。
この構成では、冷却補助部材の表面における特定点から、放射方向にイオンが伝搬され、この放射方向に沿ってイオン風が流れる。これにより、この特定点での冷却効果が向上する。
また、この発明の冷却装置では、冷却補助部材は、イオン生成部側の表面に絶縁層を備えることが好ましい。
この構成では、冷却補助部材がイオン等の活性種に触れず、腐食が抑制される。また、冷却補助部材として電界形成用の電極または電気力学的搬送力生成用の電極を備える絶縁基板を用いる場合には、イオンが電極に吸収されることが抑制され、イオンがより確実に冷却補助部材の表面に平行な方向に伝搬される。
また、この発明の冷却装置では、冷却補助部材の電極に、イオン生成部で生成するイオンの正負と逆の極性の電位を与える電源を備えていてもよい。
この構成では、冷却補助部材に対して所望の電位を与える電源も含んで、冷却装置が構成される。
また、この発明の冷却装置では、電界形成用の電極に、電界形成用の電圧を印加する電源を備えていてもよい。
この構成では、冷却補助部材に対して電界形成用の所望の電圧を印加する電源も含んで、冷却装置が構成される。
また、この発明の冷却装置では、電気力学的搬送力生成用の電極に、交番電圧を印加する電源を備えていていもよい。
この構成では、冷却補助部材に対して電気力学的搬送力生成用の交番電圧を印加する電源も含んで、冷却装置が構成される。
また、この発明の冷却装置では、放電電極と集電極との間に、コロナ放電用の電圧を印加する放電用電源を備えていてもよい。
この構成では、コロナ放電用の電源も含んで、冷却装置が構成される。
この発明によれば、所望の冷却効果を得ながら、設計、設置の自由度が高い、イオン風を用いた冷却装置を実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係る冷却装置の構成を示す図であり、図1(B)は、イオン風の流れの一例を簡略的に示す図である。
図1(A)に示すように、冷却装置10は、イオン生成部20、冷却補助部材30、および、電源40を備える。電源40は、冷却装置10とは別であってもよく、本発明の「放電用電源」に対応する。
イオン生成部20は、放電電極21および集電極22を備える。放電電極21および集電極22は、後述する所望の材料からなる。放電電極21と集電極22とは、図1(B)に示すように距離Ddで離間して配置されている。放電電極21と集電極22とは、電源40に接続されている。
電源40は、例えば、電圧が1kVから10kV程度の直流電源である。電源40の正極は放電電極21に接続され、電源40の負極は集電極22に接続されている。また、電源40の負極は、接地されている。
このように、電源40を介して放電電極21と集電極22との間にコロナ放電用の電圧を印加することで、放電電極21と集電極22との間にコロナ放電が発生する。
冷却補助部材30は、後述する所望の材料からなる導電体であり、表面301と裏面302とを有する平板である。なお、冷却補助部材30の形状は、平板に限るものではない。冷却補助部材30の表面301は、イオン生成部20に対向している。すなわち、イオン生成部20は、冷却補助部材30の表面301に直交する直線上に配置されている。冷却補助部材30の裏面302は、発熱体HEの表面に当接している。なお、冷却補助部材30の裏面302は、発熱体HEに直接当接していなくても、熱伝導部材を介して当接していてもよい。
この際、冷却補助部材30とイオン生成部20との距離、より具体的には、図1(B)に示すように冷却補助部材30と放電電極21との距離Lbは、放電電極21と集電極22との距離Ddよりも長い。これにより、コロナ放電は、放電電極21と集電極22との間で確実に発生する。すなわち、イオン生成部20は、コロナ放電を安定して発生でき、イオン200を安定して生成できる。
このようにコロナ放電によって生成されたイオン200は、放電電極21と集電極22との間に生じる電界、放電電極21または集電極22とイオン200との間に生じる静電気力によって、イオン生成部20を起点として遠ざかる方向に加速される。これにより、イオン200は、冷却補助部材30の方向に伝搬される。
さらに、放電電極21または集電極22と冷却補助部材30との間に生じる電界によって、イオン200は加速され、冷却補助部材30方向に加速される。このように加速されたイオン200は、その伝搬の過程において、中性粒子と衝突を繰り返す。これにより、図1(B)に示すように、イオン生成部20側から冷却補助部材30側に流れるイオン風210が生じる。
イオン風210は、冷却補助部材30の表面301付近に達し、表面301付近での風速を増大させる。これにより、冷却補助部材30の表面301側の温度境界層が破壊され、冷却補助部材30の放熱効果、すなわち、冷却効果は向上する。したがって、冷却補助部材30は、自然対流のみを用いた場合よりも効果的に冷却される。ひいては、冷却補助部材30に対して熱的に接続されている発熱体HEは、効果的に冷却される。
さらに、冷却装置10では、コロナ放電を発生させるための放電電極21と集電極22との距離Ddは、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbに依存しない。したがって、放電電極21と集電極22との間の電圧が一定であれば、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbによらず、イオン200の生成量は一定となる。これにより、イオン生成部20は、イオン200を安定して生成でき、イオン風210は安定する。
この結果、放電電極21と集電極22との間の電圧を必要最小限にしながら、所望の冷却効果を実現できる。さらに、コロナ放電用の電圧は、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbに応じて調整する必要が無く、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbの選択自由度は、向上する。したがって、冷却補助部材30すなわち発熱体HEに対するイオン生成部20の配置の自由度は向上する。
図2は、本発明の冷却装置と比較対象の冷却装置との冷却効果を示すグラフである。比較対象の冷却装置は、本発明の集電極がなく、放電電極と冷却補助部材との間でコロナ放電を行う。この際、比較対象の冷却装置と本発明の冷却装置との放電用の電圧は、同じに設定しており、距離Lbに応じて変化せず一定である。図2において、○印が本発明の冷却装置の場合を示し、×印が比較対象の冷却装置の場合を示す。図2における横軸は、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbであり、縦軸は、冷却補助部材30の表面温度である。なお、この表面温度の測定点は、冷却補助部材30の表面301において、放電電極21から表面301への垂線と表面301とが交わる点である。そして、温度T0は、冷却を行っていない場合の測定点の温度である。なお、図2では、放電電極21がステンレスであり、集電極22が酸化ルテニウムであり、冷却補助部材30が銅であり、距離Dbが3mm、コロナ放電用の電圧が4kVの場合を示している。
図2に示すように、比較対象の冷却装置では、距離Lbが極短ければ、温度Tは低下し、冷却効果は得られる。しかしながら、比較対象の冷却装置は、距離Lbが長くなると冷却効果は得られない。一方、本発明の冷却装置10では、比較対象の冷却装置が冷却効果を得られない距離Lbであっても、温度Tは低下する。すなわち、本発明の冷却装置10は、効果的な冷却効果を実現できる。
自然対流における平板状の温度環境層の厚みは、約10mmになると知られている。そして、図2から分かるように、本発明の冷却装置10を用いると、距離Lbを温度境界層の厚みよりも短くすることで、温度Tの低下量は特に大きくなる。すなわち、本発明の構成を用いることによって、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbを温度境界層の厚みよりも短くすることで、より効果的な冷却効果が得られる。これでも、比較対象の装置と比較して、本発明の冷却装置10は、距離Lbの選択範囲を広くでき、設計の自由度を確保できる。
冷却装置10の各構成要素は、例えば、次に示す構成によって実現可能である。
放電電極21は、線状の電極からなる。なお、放電電極21の形状はこれに限らず、平板状、ワイヤ状等、別の形状であってもよい。放電電極21は、コロナ放電に耐えうる材質であればよく、例えば、ステンレス、炭素鋼、タングステン、チタン、アルミニウム合金等からなる。
集電極22は、平板の電極からなる。なお、集電極22の形状はこれに限らず、線状、棒状、メッシュ状、筒状等の湾曲を有する形状であってもよい。すなわち、集電極22は、放電電極21に対向する部分を有するものであればよい。集電極22は、例えば、酸化ルテニウムからなる。平板の集電極22を構成する場合、例えば、集電極22は、Al2O3基板の表面に酸化ルテニウムペーストを印刷して焼き付けることによって実現される。集電極22は、他には、例えば、カーボン抵抗等の抵抗体、ステンレス等の金属導体であってもよい。抵抗体を用いた場合、集電極22と放電電極21との接触による電気的な短絡が生じ、発熱することを抑制できる。したがって、抵抗体は、集電極として、より好ましい。
冷却補助部材30は、導電体であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス等でもよい。また、冷却補助部材30は、酸化ルテニウム、酸化インジウムスズ等の非金属であってもよい。冷却補助部材30の形状は、平板に限るものではなく、線状、棒状、メッシュ状、筒状等の湾曲を有する形状であってもよい。
また、冷却補助部材30は、放電電極21の位置を基準にして、放電電極21と集電極22とを結ぶ方向とは異なる方向に配置されていることが好ましい。これにより、イオンは効果的に冷却補助部材30の方向に伝搬される。ただし、集電極22が線状、棒状、メッシュ状等であり、放電電極21から見て集電極22によって冷却補助部材30が隠れる関係になければ、冷却補助部材30が放電電極21と集電極22とを結ぶ方向と同じ方向に配置されていてもよい。
なお、上述の図2に示す場合のように、放電電極21と集電極22との距離Dbは、3mmに限定されるものではなく、コロナ放電用の電圧も4kVに限定されるものではない。これは、放電電極21と集電極22の材質、形状、対向面の大きさ、所望とするイオン風の風速、電気的短絡、コロナ放電の可能電圧等に応じて適宜設定すればよい。
また、上述の説明では、冷却補助部材30を導電体とする態様を示したが、冷却補助部材30の表面301側のみを導電体としてもよい。すなわち、後述する絶縁基板上に電極を備える構成でもよい。
また、集電極22は、放電電極21に対向する面に絶縁層を備えていることが好ましい。この絶縁層を備えることによって、腐食を抑制し、信頼性が向上する。また、漏れ電流が少なくなり、放電電流による発熱を小さくすることができるため、イオン風の温度を抑えられる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図3に示すように、第2の実施形態に係る冷却装置10Aは、第1の実施形態に係る冷却装置10に対して、イオン生成部20に対する冷却補助部材30の配置において異なる。冷却装置10Aの他の構成は、冷却装置10と同様であり、同様の箇所の説明は、省略する。
冷却補助部材30の表面301は、イオン生成部20と冷却補助部材30とを結ぶ方向に対して平行に配置されている。この際、イオン生成部20と冷却補助部材30との距離Lbは、例えば、図3に示すように、冷却補助部材30におけるイオン生成部20側の端部を基準に設定される。
このような配置でも、第1の実施形態と同様に、所望の冷却効果を得ながら、設計、設置の自由度が高い冷却装置を実現できる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図4に示すように、第3の実施形態に係る冷却装置10Bは、第1の実施形態に係る冷却装置10に対して、冷却補助部材30に一定の電位が設定されている点で異なる。冷却装置10Bの他の構成は、冷却装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図4に示すように、冷却補助部材30は、接地されている。この構成では、放電電極21と冷却補助部材30との間の電界強度を安定して設定できる。さらに、イオンによって冷却補助部材30が帯電することを抑制できる。これにより、冷却補助部材30は、所望の風速のイオン風を、継続的に受けることができる。したがって、冷却装置10Bは、持続的な冷却効果を実現できる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図5は、本発明の第4の実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図5に示すように、第4の実施形態に係る冷却装置10Cは、第1の実施形態に係る冷却装置10に対して、冷却補助部材用の電源を備える点で異なる。冷却装置10Cの他の構成は、冷却装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図5に示すように、冷却装置10Cは、電源41を備える。電源41の一方端子は、冷却補助部材30に接続されており、電源41の他方端子は、接地されている。
電源41は、放電電極21に与えられる電位とは正負が逆の電位を冷却補助部材30に与える。
このような構成によって、放電電極21と冷却補助部材30との電位差が大きくなる。したがって、イオン生成部20で生成されたイオンは、冷却補助部材30の方向に加速される。これにより、さらに速度の大きなイオン風が発生し、冷却効果は向上する。
さらに、冷却装置10Cでは、電源40による電圧の印加方向を調整する。例えば、電源40によって、放電電極21に正の電圧を印加する。この場合、コロナ放電では、正のイオンが発生する。この際、電源41によって冷却補助部材30に負の電位を与える。これにより、放電電極21と冷却補助部材30との電位差がさらに高くなる。また、イオン生成部20で生成されたイオンは、冷却補助部材30の方向に一様に加速される。これにより、イオン風の速度はさらに高くなる。
また、電源40によって、放電電極21に負の電圧を印加する。この場合、コロナ放電では、負のイオンが発生する。この際、電源41によって冷却補助部材30に正の電位を与える。これにより、放電電極21と冷却補助部材30との電位差がさらに高くなる。また、イオン生成部20で生成されたイオンは、冷却補助部材30の方向に一様に加速される。これにより、イオン風の速度はさらに高くなる。
このように、電源40と電源41との電圧印加方向を調整して、イオンの正負の極性と逆の電位を冷却補助部材30に与えることによって、イオン風の速度はさらに高くなり、冷却効果は向上する。
次に、本発明の第5の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第5の実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
図6に示すように、第5の実施形態に係る冷却装置10Dは、第4の実施形態に係る冷却装置10に対して、冷却補助部材用の絶縁層50を追加した点で異なる。冷却装置10Dの他の構成は、冷却装置10Cと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
絶縁層50は、冷却補助部材30の表面301を覆っている。このような構成によって、冷却補助部材がイオン等の活性種に直接触れなくなり、腐食を抑制することができる。また、冷却補助部材として、後述の電界形成用の電極または電気力学的搬送力生成用の電極を備える絶縁基板を用いる場合には、イオンが冷却補助部材30に吸収されることが抑制されてイオンが絶縁基板表面に留まり、絶縁基板表面の電界により再加速されることにより、冷却効果を向上させることができる。
次に、本発明の第6の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図7は、本発明の第6の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図である。
図7に示すように、第6の実施形態に係る冷却装置は、第1の実施形態に係る冷却装置10に対して、冷却補助部材の構造において異なる。第6の実施形態に係る冷却装置の他の構成は、冷却装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Aは、絶縁基板31、電極321、および、電極322を備える。電極321および電極322は、絶縁基板31に形成されている。電極321および電極322は、一方向に長く、これに直交する方向に短い線状もしくは帯状である。電極321および電極322は、絶縁基板31の表面301に平行な方向で、且つ、それぞれの長さ方向に直交する方向に間隔を空けて配置されている。例えば、図7の例であれば、電極321は、絶縁基板31の互いに対向する一方側面の近傍に配置され、電極322は、絶縁基板31の互いに対向する他方側面の近傍に配置されている。
電極321と電極322とは、電源42に接続されている。電源42からの直流電圧供給によって、電極321と電極322との間には、絶縁基板31の表面301に平行な、一様の電界Eが発生する。
このような構成では、イオンは、イオン生成部20で生成され冷却補助部材30Aの表面301に到達すると、電界Eによってクーロン力を受け、電界Eに沿った方向に加速される。これにより、表面301の近傍領域において、表面301に沿った速度の速いイオン風が形成される。したがって、冷却補助部材30Aの冷却効果は向上する。特に、図7に示すように、冷却補助部材30Aの表面301の略全面に亘って電界Eが形成されることによって、イオンの加速が表面301の略全面に亘って実現され、風速がさらに速くなり、冷却効果も向上する。また、イオン風の速度が低下することなく、イオン風は表面301の略全面に亘るので、冷却効果は更に向上する。特に、冷却補助部材30Aの表面301の電界Eに沿った方向の端部の冷却効果は向上する。
このような冷却補助部材30Aは、次に示す方法によって実現可能である。絶縁基板31は、高い絶縁性を有するものであり、熱伝導性を有するものであればよい。例えば、材質は、Al2O3、SiO2、ZrO2、各種のガラス、BaTiO3等の酸化物、もしくは、LTCC(低温焼成セラミック)のようなガラスと酸化物フィラーの混合物、エポキシ、ポリイミド等の樹脂からなる。なお、絶縁基板31の厚みは薄い方が発熱体の熱が伝わりやすく、大きな放熱効果が得られるため好ましい。
電極321と電極322は、絶縁基板31に形成可能なものであればよい。例えば、絶縁基板31が酸化物材料からなる場合、材質には、Cu、Ag、Pd、Pt、W、もしくは、RuO2等の抵抗ペーストを選択すればよい。
冷却補助部材30Aの製造方法としては、絶縁基板上に電極を印刷して製造する方法、セラミックグリーンシートに電極を形成して焼成することによって製造する方法等、一般的な配線基板の製造方法を採用できる。
なお、図7では、電極321および電極322は、絶縁基板31の表面301に形成される態様を示している。しかしながら、電極321および電極322は、絶縁基板31内に形成されていてもよい。または、電極321および電極322が形成された表面301に、絶縁層を形成してもよい。これにより、電極321および電極322にイオンが吸収されることを抑制でき、冷却効果は、さらに向上する。
次に、本発明の第7の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図8(A)は、本発明の第7の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図である。図8(B)は、温度分布を示すグラフである。
図8(A)に示すように、第7の実施形態に係る冷却装置は、第1の実施形態に係る冷却装置10に対して、冷却補助部材の構造において異なる。第7の実施形態に係る冷却装置の他の構成は、冷却装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図8(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Bは、絶縁基板31、電極331、および、電極332を備える。電極331および電極332は、絶縁基板31に形成されている。電極331および電極332は、それぞれに、複数の電極指と共通電極とからなる櫛歯状の電極である。電極331の電極指と電極332の電極指とは、絶縁基板31の表面301に平行な一方向に沿って、間隔を空けて、交互に配置されている。これらの電極331の電極指と電極332の電極指とによって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極指の対は、複数構成されている。
電源43は、電極331と電極332との間に接続されている。電源43は、電極331と電極332とに対して、位相が常時逆になる電圧を印加する。例えば、電源43は、電極331と電極332とに対して、交番電圧である正弦波電圧を印加する。
これにより、冷却補助部材30Bの表面301には、電極指の並ぶ方向に平行な電気力学的搬送力を発生させることができる。すなわち、交番電圧を用いて、電極331と電極332に順次電圧を印加していき、絶縁基板31上の電界を順次変化させていくことで、電界の動きに合わせてイオンを搬送していくことができる。したがって、冷却補助部材30Bの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、加速される。このため、表面301の近傍領域において、表面301に沿った速度の高いイオン風が形成される。したがって、冷却補助部材30Bの冷却効果は向上する。なお、隣り合う電極指間の間隔を均一ではなく、異ならせることにより、特定の方向の電界を強くすることができ、イオンの加速方向を限定することができる。
また、電気力学的搬送力を用いることによって、冷却補助部材30Bの全体、特に、冷却補助部材30Bにおける電極指の並ぶ方向の端部において、イオン風の速度を高速に維持できる。この結果、イオン風は表面301の略全面に亘るので、冷却効果は更に向上する。特に、冷却補助部材30Bの表面301の電界Eに沿った方向の端部の冷却効果は向上する。また、冷却補助部材30Bの総放熱量も大きくなり、結果的に、冷却補助部材30Bの表面301の中央に当たる部分の温度も、更に低下する。これにより、冷却効果はさらに高くなる。
図8(B)は、第7の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図8(B)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、PUは、図8(A)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置であり、位置PUは、冷却補助部材の表面の上端中央位置である。
図8(B)に示すように、第7の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Bを用いることによって、冷却効果は、比較例に対して約20℃向上する。
なお、図8(A)では、電極331および電極332は、絶縁基板31の表面301に形成される態様を示している。しかしながら、電極331および電極332は、絶縁基板31内に形成されていてもよい。または、電極331および電極332が形成された表面301に、絶縁層を形成してもよい。これにより、電極331および電極332にイオンが吸収されることを抑制でき、冷却効果は、さらに向上する。
次に、本発明の第8の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図9(A)は、本発明の第8の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図である。図9(B)は、本発明の第8の実施形態に係る冷却補助部材に与える電圧波形の一例を示す図である。図9(C)は、温度分布を示すグラフである。
図9(A)、図9(B)に示すように、第8の実施形態に係る冷却補助部材は、第7の実施形態に係る冷却補助部材に対して、対となる電極数、および、これらの電極に印加する電圧において異なる。第8の実施形態に係る冷却補助部材の他の構成は、第7の実施形態に係る冷却補助部材と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図9(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Cは、絶縁基板31、電極341、電極342、および、電極343を備える。電極341、電極342、および、電極343は、絶縁基板31に形成されている。電極341、電極342、および、電極343は、それぞれに、複数の電極指と共通電極とからなる櫛歯状の電極である。電極341の電極指と電極342の電極指と電極343の電極指とは、絶縁基板31の表面301に平行な一方向に沿って、間隔を空けて、交互に配置されている。これらの電極341の電極指と電極342の電極指と電極343の電極指とによって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極指の対は、複数構成されている。
電源44は、電極341、電極342、および、電極343に接続されている。電源43は、電極341、電極342、および、電極343に対して、図9(B)に示すような交番電圧を印加する。図9(B)に示すように、交番電圧は、電極341、電極342、電極343に対して、順に所定電圧を印加するものである。例えば、電極341には、図9(B)の電圧V1が印加され、電極342には、図9(B)の電圧V2が印加され、電極343には、図9(B)の電圧V3が印加される。
これにより、冷却補助部材30Cの表面301には、電極指の並ぶ方向に平行な電気力学的搬送力を発生させることができる。したがって、冷却補助部材30Cの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、加速される。このため、表面301の近傍領域において、表面301に沿った速度の高いイオン風が形成される。したがって、冷却補助部材30Cの冷却効果は向上する。
図9(C)は、第8の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図9(C)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、PUは、図9(A)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置であり、位置PUは、冷却補助部材の表面の上端中央位置である。
図9(B)に示すように、第8の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Cを用いることによって、冷却効果は、比較例に対して約20℃向上する。
なお、図9(A)では、電極341、電極342、および、電極343は、絶縁基板31の表面301に形成される態様を示している。しかしながら、電極341、電極342、および、電極343は、絶縁基板31内に形成されていてもよい。または、電極341、電極342、および、電極343が形成された表面301に、絶縁層を形成してもよい。これにより、電極341、電極342、および、電極343にイオンが吸収されることを抑制でき、冷却効果は、さらに向上する。
次に、本発明の第9の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図10(A)は、本発明の第9の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図であり、(B)は、温度分布を示すグラフであり、(C)は、温度測定位置の配置例を示す図である。
図10(A)に示すように、第9の実施形態に係る冷却補助部材は、第8の実施形態に係る冷却補助部材に対して、電極の形成パターンにおいて異なる。第9の実施形態に係る冷却補助部材の他の構成は、第8の実施形態に係る冷却補助部材と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図10(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Dは、絶縁基板31、電極351、電極352、および、電極353を備える。電極351、電極352、および、電極353は、絶縁基板31に形成されている。電極351、電極352、および、電極353は、それぞれに、複数の線状の電極である。電極351、電極352、および、電極353は、絶縁基板31の表面301に平行な一方向に沿って、間隔を空けて、交互に配置されている。これらの電極351、電極352、および、電極353によって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極の対は、複数構成されている。
より具体的には、電極351、電極352、および、電極353は、絶縁基板31の対角を結ぶ冷却基準線CRL(図10(A)参照)に平行である。電極351、電極352、および、電極353は、この順で、冷却基準線CRLに直交する方向に沿って、順に交互に配置されている。電極351、電極352、および、電極353には、上述の図9(B)に示した交番電圧が与えられる。例えば、電極351には、図9(B)の電圧V1が印加され、電極352には、図9(B)の電圧V2が印加され、電極353には、図9(B)の電圧V3が印加される。
これにより、図10(A)に示すように、冷却補助部材30Dの表面301には、冷却基準線CRLに直交する方向であって、冷却基準線CRLから離間する二方向の並ぶ方向に電気力学的搬送力を発生させることができる。したがって、冷却補助部材30Dの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、冷却基準線CRLから離間する二方向に沿って加速される。このため、表面301の近傍領域において、当該二方向に沿った速度の高いイオン風210Dが形成される。したがって、冷却補助部材30Dの冷却効果は向上する。特に、図10(A)の構成では、冷却基準線CRLの領域からイオン風210Dが流れるので、冷却基準線CRLの領域に対する冷却効果は、さらに向上する。
図10(B)は、第9の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図10(B)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、P1、P2、P3、P4、P5、P6は、図10(C)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置である。位置P1は、冷却補助部材の表面の左上端位置であり、位置P2は、冷却補助部材の表面の右上端位置である。位置P3は、冷却補助部材の表面の右下端位置であり、位置P4は、冷却補助部材の表面の左下端位置である。位置P5は、冷却補助部材の表面の上端中央位置であり、位置P6は、冷却補助部材の表面の下端中央位置である。
図10(B)に示すように、第9の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Dを用いることによって、表面全体の冷却効果が比較例に対して約20℃向上するとともに、中央位置の冷却効果は、さらに約2℃向上する。
次に、本発明の第10の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図11(A)は、本発明の第10の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図であり、(B)は、温度分布を示すグラフであり、(C)は、温度測定位置の配置例を示す図である。
図11(A)に示すように、第10の実施形態に係る冷却補助部材は、第8の実施形態に係る冷却補助部材に対して、電極の形成パターンにおいて異なる。第10の実施形態に係る冷却補助部材の他の構成は、第8の実施形態に係る冷却補助部材と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図11(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Eは、絶縁基板31、電極361、電極362、および、電極363を備える。電極361、電極362、および、電極363は、絶縁基板31に形成されている。電極361、電極362、および、電極363は、それぞれに、半径が異なる複数の環状の電極である。電極361、電極362、および、電極363は、絶縁基板31の表面301における冷却基準点CRPを中心にして、同心円状に交互に配置されている。これらの電極361、電極362、および、電極363によって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極の対は、複数構成されている。
より具体的には、電極361、電極362、および、電極363は、絶縁基板31を平面視した略中心の冷却基準点CRP(図11(A)参照)を中心点とする円環状である。電極361、電極362、および、電極363は、この順で、冷却基準点CRPを基準にして放射方向に沿って広がるように、順に配置されている。電極361、電極362、および、電極363には、上述の図9(B)に示した交番電圧が与えられる。例えば、電極361には、図9(B)の電圧V1が印加され、電極362には、図9(B)の電圧V2が印加され、電極363には、図9(B)の電圧V3が印加される。
これにより、図11(A)に示すように、冷却補助部材30Eの表面301には、冷却基準点CRPを中心として放射方向に電気力学的搬送力を発生させることができる。したがって、冷却補助部材30Eの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、放射方向に沿って加速される。このため、表面301の近傍領域において、放射方向に沿った速度の高いイオン風210Eが形成される。したがって、冷却補助部材30Eの冷却効果は向上する。特に、図11(A)の構成では、冷却基準点CRPの領域からイオン風210Eが流れるので、冷却基準点CRPの領域、すなわち、冷却補助部材30Eの表面の301の中心領域に対する冷却効果は、さらに向上する。
図11(B)は、第10の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図11(B)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、P1、P2、P3、P4、P5、P6は、図11(C)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置である。位置P1は、冷却補助部材の表面の左上端位置であり、位置P2は、冷却補助部材の表面の右上端位置である。位置P3は、冷却補助部材の表面の右下端位置であり、位置P4は、冷却補助部材の表面の左下端位置である。位置P5は、冷却補助部材の表面の上端中央位置であり、位置P6は、冷却補助部材の表面の下端中央位置である。
図11(B)に示すように、第10の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Eを用いることによって、表面全体の冷却効果が比較例に対して約20℃向上するとともに、中央位置の冷却効果は、さらに約3℃向上する。
次に、本発明の第11の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図12(A)は、本発明の第11の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図であり、(B)は、温度分布を示すグラフであり、(C)は、温度測定位置の配置例を示す図である。
図12(A)に示すように、第11の実施形態に係る冷却補助部材は、第8の実施形態に係る冷却補助部材に対して、電極の形成パターンにおいて異なる。第11の実施形態に係る冷却補助部材の他の構成は、第8の実施形態に係る冷却補助部材と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図12(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Fは、絶縁基板31、電極371、電極372、および、電極373を備える。電極371、電極372、および、電極373は、絶縁基板31に形成されている。電極371、電極372、および、電極373は、それぞれに、半径が異なる複数の環状の電極である。電極371、電極372、および、電極373は、絶縁基板31の表面301における冷却基準点CRPを中心にして、同心円状に交互に配置されている。これらの電極371、電極372、および、電極373によって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極の対は、複数構成されている。
より具体的には、電極371、電極372、および、電極373は、絶縁基板31を平面視した中心の冷却基準点CRP(図12(A)参照)を中心点とする矩形の環状である。電極371、電極372、および、電極373は、この順で、冷却基準点CRPを基準にして放射方向に沿って広がるように、順に配置されている。電極371、電極372、および、電極373には、上述の図9(B)に示した交番電圧が与えられる。例えば、電極371には、図9(B)の電圧V1が印加され、電極372には、図9(B)の電圧V2が印加され、電極373には、図9(B)の電圧V3が印加される。
これにより、図12(A)に示すように、冷却補助部材30Fの表面301には、冷却基準点CRPを中心として放射方向に電気力学的搬送力を発生させることができる。したがって、冷却補助部材30Fの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、放射方向に沿って加速される。このため、表面301の近傍領域において、放射方向に沿った速度の高いイオン風210Fが形成される。したがって、冷却補助部材30Fの冷却効果は向上する。特に、図12(A)の構成では、冷却基準点CRPの領域からイオン風210Fが流れるので、冷却基準点CRPの領域、すなわち、冷却補助部材30Fの表面の301の中心領域に対する冷却効果は、さらに向上する。
図12(B)は、第11の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図12(B)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、P1、P2、P3、P4、P5、P6は、図12(C)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置である。位置P1は、冷却補助部材の表面の左上端位置であり、位置P2は、冷却補助部材の表面の右上端位置である。位置P3は、冷却補助部材の表面の右下端位置であり、位置P4は、冷却補助部材の表面の左下端位置である。位置P5は、冷却補助部材の表面の上端中央位置であり、位置P6は、冷却補助部材の表面の下端中央位置である。
図12(B)に示すように、第11の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Fを用いることによって、表面全体の冷却効果が比較例に対して約20℃向上するとともに、中央位置の冷却効果は、さらに約3℃向上する。
次に、本発明の第12の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図13(A)は、本発明の第12の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図であり、(B)は、温度分布を示すグラフであり、(C)は、温度測定位置の配置例を示す図である。
図13(A)に示すように、第12の実施形態に係る冷却補助部材は、第8の実施形態に係る冷却補助部材に対して、電極の形成パターンにおいて異なる。第12の実施形態に係る冷却補助部材の他の構成は、第8の実施形態に係る冷却補助部材と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図13(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Gは、絶縁基板31、電極381、電極382、および、電極383を備える。電極381、電極382、および、電極383は、絶縁基板31に形成されている。電極381、電極382、および、電極383は、それぞれに、半径が異なる複数の円弧状(部分的な円環状)の電極である。電極381、電極382、および、電極383は、絶縁基板31の表面301における冷却基準点CRPを中心にして、同心円状に交互に配置されている。これらの電極381、電極382、および、電極383によって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極の対は、複数構成されている。
より具体的には、電極381、電極382、および、電極383は、絶縁基板31を平面視した一角付近の冷却基準点CRP(図13(A)参照)を中心点とする円弧状である。電極381、電極382、および、電極383は、この順で、冷却基準点CRPを基準にして放射方向に沿って広がるように、順に配置されている。電極381、電極382、および、電極383には、上述の図9(B)に示した交番電圧が与えられる。例えば、電極381には、図9(B)の電圧V1が印加され、電極382には、図9(B)の電圧V2が印加され、電極383には、図9(B)の電圧V3が印加される。
これにより、図13(A)に示すように、冷却補助部材30Gの表面301には、冷却基準点CRPを中心として放射方向に電気力学的搬送力を発生させることができる。したがって、冷却補助部材30Gの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、放射方向に沿って加速される。このため、表面301の近傍領域において、放射方向に沿った速度の高いイオン風210Gが形成される。したがって、冷却補助部材30Gの冷却効果は向上する。特に、図13(A)の構成では、冷却基準点CRPの領域からイオン風210Gが流れるので、冷却基準点CRPの領域、すなわち、冷却補助部材30Gの表面301の一角の領域に対する冷却効果は、さらに向上する。
図13(B)は、第12の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図13(B)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、P1、P2、P3、P4、P5、P6は、図13(C)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置である。位置P1は、冷却補助部材の表面の左上端位置であり、位置P2は、冷却補助部材の表面の右上端位置である。位置P3は、冷却補助部材の表面の右下端位置であり、位置P4は、冷却補助部材の表面の左下端位置である。位置P5は、冷却補助部材の表面の上端中央位置であり、位置P6は、冷却補助部材の表面の下端中央位置である。
図13(B)に示すように、第12の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Gを用いることによって、表面全体の冷却効果が比較例に対して約19℃向上するとともに、冷却基準点CRPである表面の左下角部の位置の冷却効果は、さらに約3℃向上する。
次に、本発明の第13の実施形態に係る冷却装置について、図を参照して説明する。図14(A)は、本発明の第13の実施形態に係る冷却補助部材の概略構造を示す図であり、(B)は、温度分布を示すグラフであり、(C)は、温度測定位置の配置例を示す図である。
図14(A)に示すように、第13の実施形態に係る冷却補助部材は、第8の実施形態に係る冷却補助部材に対して、電極の形成パターンにおいて異なる。第13の実施形態に係る冷却補助部材の他の構成は、第8の実施形態に係る冷却補助部材と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
図14(A)に示すように、本実施形態の冷却補助部材30Hは、絶縁基板31、電極391、電極392、および、電極393を備える。電極391、電極392、および、電極393は、絶縁基板31に形成されている。電極391、電極392、および、電極393は、線状の電極である。電極391、電極392、および、電極393は、絶縁基板31の表面301における一角付近の冷却基準点CRPを始点とする対角線に沿って、交互に配置されている。この際、電極391、電極392、および、電極393は、それぞれの延びる方向が当該対角線に直交するように、配置されている。これらの電極391、電極392、および、電極393によって、対となる電極が構成されている。そして、これらの電極の対は、複数構成されている。電極391、電極392、および、電極393には、上述の図9(B)に示した交番電圧が与えられる。例えば、電極391には、図9(B)の電圧V1が印加され、電極392には、図9(B)の電圧V2が印加され、電極393には、図9(B)の電圧V3が印加される。
これにより、図14(A)に示すように、冷却補助部材30Hの表面301には、冷却基準点CRPを中心として略放射方向に電気力学的搬送力を発生させることができる。したがって、冷却補助部材30Hの表面301の近傍に到達したイオンは、この電気力学的搬送力を受けて、放射方向に沿って加速される。このため、表面301の近傍領域において、放射方向に沿った速度の高いイオン風210Hが形成される。したがって、冷却補助部材30Hの冷却効果は向上する。特に、図14(A)の構成では、冷却基準点CRPの領域からイオン風210Hが流れるので、冷却基準点CRPの領域、すなわち、冷却補助部材30Hの表面301の一角の領域に対する冷却効果は、さらに向上する。
図14(B)は、第13の実施形態を用いた場合の表面温度と、比較例の場合の表面温度とを示している。図14(B)における比較例は、自然対流のみを用いたものである。位置PO、P1、P2、P3、P4、P5、P6は、図14(C)に示す位置である。位置POは、冷却補助部材の表面の中心位置である。位置P1は、冷却補助部材の表面の左上端位置であり、位置P2は、冷却補助部材の表面の右上端位置である。位置P3は、冷却補助部材の表面の右下端位置であり、位置P4は、冷却補助部材の表面の左下端位置である。位置P5は、冷却補助部材の表面の上端中央位置であり、位置P6は、冷却補助部材の表面の下端中央位置である。
図14(B)に示すように、第13の実施形態の構成、すなわち、冷却補助部材30Hを用いることによって、表面全体の冷却効果が比較例に対して約19℃向上するとともに、冷却基準点CRPである表面の左下角部の位置の冷却効果は、さらに約3℃向上する。
なお、これら交番電圧を印加する態様において、対を構成する電極数、対の形成する、各電極の形状は、上述のものに限るものではない。これらは、冷却基準線や冷却基準点、すなわち、冷却補助部材における最も冷却したい位置、冷却温度等に応じて適宜設定できる。
本発明の冷却装置は、例えばモジュールの冷却装置として利用することができる。この場合、モジュールのシールドとして形成された導体を発熱体側の電極として利用し、モジュール周囲にイオン発生部を配置してモジュールを冷却することができる。また、電池の冷却装置としても利用することができる。この場合は、リチウムイオン電池などのAlパッケージを発熱体側の電極として利用し、その周囲にイオン発生物を設置することで、電池を冷却することができる。
10、10A、10B、10C、10D:冷却装置
20:イオン生成部
21:放電電極
22:集電極
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H:冷却補助部材
31:絶縁基板
40、41、42、43、44:電源
50:絶縁層
200:イオン
210、210D、210E、210F、210G、210H:イオン風
301:表面
302:裏面
321、322、331、332、341、342、343、351、352、353、361、362、363、371、372、373、381、382、383、391、392、393:電極
CRL:冷却基準線
CRP:冷却基準点
Db:距離
Dd:距離
E:電界
HE:発熱体
Lb:距離
20:イオン生成部
21:放電電極
22:集電極
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H:冷却補助部材
31:絶縁基板
40、41、42、43、44:電源
50:絶縁層
200:イオン
210、210D、210E、210F、210G、210H:イオン風
301:表面
302:裏面
321、322、331、332、341、342、343、351、352、353、361、362、363、371、372、373、381、382、383、391、392、393:電極
CRL:冷却基準線
CRP:冷却基準点
Db:距離
Dd:距離
E:電界
HE:発熱体
Lb:距離
Claims (15)
- 放電電極と集電極とを有し、前記放電電極と前記集電極との間でコロナ放電を発生させ、イオンを生成するイオン生成部と、
前記放電電極と前記集電極との距離よりも長い距離で、前記放電電極から離間して配置され、前記イオンによるイオン風を受ける冷却補助部材と、
を備える、冷却装置。 - 前記放電電極と前記冷却補助部材との距離は、前記冷却補助部材によって冷却される発熱体の温度境界層の厚みよりも短い、
請求項1に記載の冷却装置。 - 前記冷却補助部材は、導電性を有する電極を備え、
該電極は、電気的に接地されている、
請求項1または請求項2に記載の冷却装置。 - 前記冷却補助部材は、導電性を有する電極を備え、
該電極は、前記イオン生成部で生成するイオンの正負と逆の極性の電位が与えられている、
請求項1または請求項2に記載の冷却装置。 - 前記イオン生成部は、正イオンまたは負イオンを選択的に生成する、
請求項4に記載の冷却装置。 - 前記冷却補助部材は、
絶縁基板と、
前記絶縁基板に形成され、前記絶縁基板の表面に沿った電界を発生させる電界形成用の電極と、
を備える、
請求項1または請求項2に記載の冷却装置。 - 前記冷却補助部材は、
絶縁基板と、
前記絶縁基板に形成され、前記絶縁基板の表面に沿った電気力学的搬送力を発生させる電気力学的搬送力生成用の電極と、
を備える、
請求項1または請求項2に記載の冷却装置。 - 前記電気力学的搬送力生成用の電極は、
前記電気力学的搬送力の作用する方向に沿って間隔を空けて配列された複数対の電極である、
請求項7に記載の冷却装置。 - 前記複数対の電極は、それぞれに直線状であり、各電極の延びる方向に対して直交する方向に沿って間隔を空けて配列されている、
請求項8に記載の冷却装置。 - 前記複数対の電極は、それぞれに環状、または、それぞれに部分的な環状であり、前記環状または前記部分的な環状に対する放射方向に沿って間隔を空けて配列されている、
請求項8に記載の冷却装置。 - 前記冷却補助部材は、前記イオン生成部側の表面に絶縁層を備える、
請求項4乃至請求項10のいずれかに記載の冷却装置。 - 前記冷却補助部材の電極に、前記イオン生成部で生成するイオンの正負と逆の極性の電位を与える電源を備える、
請求項4または請求項5に記載の冷却装置。 - 前記電界形成用の電極に、電界形成用の電圧を印加する電源を備える、
請求項6に記載の冷却装置。 - 前記電気力学的搬送力生成用の電極に、交番電圧を印加する電源を備える、
請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の冷却装置。 - 前記放電電極と前記集電極との間に、コロナ放電用の電圧を印加する放電用電源を備える、
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の冷却装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017189596A JP2019067844A (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 冷却装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017189596A JP2019067844A (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 冷却装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019067844A true JP2019067844A (ja) | 2019-04-25 |
Family
ID=66340061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017189596A Pending JP2019067844A (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 冷却装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019067844A (ja) |
-
2017
- 2017-09-29 JP JP2017189596A patent/JP2019067844A/ja active Pending
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