JP2019067624A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、トリオキソトリアンギュレンを、電極活物質として含有し、バイポーラ化が容易な二次電池を提供することを目的とする。【解決手段】特定の(COOLi)3−トリオキソトリアンギュレン又は特定の(COONa)3−トリオキソトリアンギュレンを、正極活物質及び負極活物質として含有する二次電池。【選択図】図1

Description

本開示は、二次電池に関する。
有機ラジカル活物質は、炭素系の負極活物質や、金属系の正極活物質と比較して高出力、軽量などの特徴を有することから、有機ラジカル活物質を正極又は負極活物質として活用することが提案されている。
特許文献1には、有機ラジカル活物質として(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン及び(COONa)−トリオキソトリアンギュレンが開示されている。また、当該トリオキソアンギュレン化合物をナトリウムイオン電池及びリチウムイオン電池の正極活物質又は負極活物質として用いることで容量維持率の高い電池を得ることができる旨記載されている。
特開2015−230830号公報
しかしながら、特許文献1で開示されている電池では、正極活物質と負極活物質が異なるため、高電圧化やエネルギー密度の向上を目的としたバイポーラ化が困難であるという問題があった。
本開示は、上記実情に鑑み、電極活物質として(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン又は(COONa)−トリオキソトリアンギュレンを用いるバイポーラ化が容易な二次電池を提供することを目的とする。
本開示の二次電池は、下記式(1)で表される(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン又は下記式(2)で表される(COONa)−トリオキソトリアンギュレンを、正極活物質及び負極活物質として含有する。

(上記式(1)及び(2)において、破線はπ共役系を表し、xは・、−、・2−、2・3−、または、・4−を表す。)
本開示によれば、正極および負極に共通の電極活物質として(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン又は(COONa)−トリオキソトリアンギュレンを用いるバイポーラ化が容易な二次電池を提供することができる。
本開示の二次電池の例を示す模式図である。 実施例1の二次電池の充放電電圧と電池容量の関係を示すグラフである。 実施例1の二次電池のサイクル特性を示すグラフである。 実施例1の二次電池のレート特性を示すグラフである。 100サイクル経過後の実施例1の二次電池の正極、セパレータ及び負極の写真である。 比較例1の二次電池の電極電位と電池容量との関係を示すグラフである。
本開示の二次電池は、下記式(1)で表される(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン又は下記式(2)で表される(COONa)−トリオキソトリアンギュレンを、正極活物質及び負極活物質として含有する。

(上記式(1)及び(2)において、破線はπ共役系を表し、xは・、−、・2−、2・3−、または、・4−を表す。)
ここで、上記式(1)で表される「(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン」は、トリオキソトリアンギュレンを母体とし、xが・である下記式(1−1)で表される中性ラジカル化合物、xが−である下記式(1−2)で表されるアニオン化合物、xが・2−である下記式(1−3)で表されるラジカルジアニオン化合物、xが2・3−である下記式(1−4)で表されるジラジカルトリアニオン化合物及びxが・4−である下記式(1−5)で表されるラジカルテトラアニオン化合物を包含する。
また、上記式(2)で表される「(COONa)−トリオキソトリアンギュレン」は、トリオキソトリアンギュレンを母体とし、xが・である下記式(2−1)で表される中性ラジカル化合物、xが−である下記式(2−2)で表されるアニオン化合物、xが・2−である下記式(2−3)で表されるラジカルジアニオン化合物、xが2・3−である下記式(2−4)で表されるジラジカルトリアニオン化合物及びxが・4−である下記式(2−5)で表されるラジカルテトラアニオン化合物を包含する。
このように式(1)で表される(COOLi)−トリオキソアンギュレン(以下、式(1)のTOTまたは式(1)の(COOLi)−TOTと称することがある。)及び式(2)で表される(COONa)−トリオキソアンギュレン(以下、式(2)のTOTまたは式(2)の(COONa)−TOTと称することがある。)は多段階で酸化還元反応し、また、(1−1)乃至(1−5)及び(2−1)乃至(2−5)で表される化合物はそれぞれ異なる電位を示す。
本開示の二次電池では、このような多段階で酸化還元反応するという性質を利用することで、正極および負極に共通の電極活物質として式(1)のTOT又は式(2)のTOTを用いる二次電池を作動させること、即ち、容易にバイポーラ化することができる二次電池を提供することが可能となった。
また、特許文献1に記載された(COOLi)−TOT又は(COONa)−TOTである正極活物質と炭素系の負極活物質を組み合わせた電池や、(COOLi)−TOT又は(COONa)−TOTである負極活物質と遷移金属酸化物系の正極活物質を組み合わせた電池では、放電が進むにつれて、TOTの電位が変化することから、一定の電位を保つ対極活物質との電位差(放電電圧)に変化が生じるため、放電電圧を安定させることが困難である。
これに対し、放電状態における正極及び負極の共通活物質として式(1)又は式(2)を母体とする化合物の中で、xが−であるアニオン化合物(式(1−2)又は、式(2−2))のTOTを用いることによって、正極及び負極共に式(1)又は式(2)のTOTの酸化還元反応を1段階に制限することが可能となるため、正極と負極間の電位差を2.0V程度に制御すること、即ち、放電電圧を2.0V程度で安定させることが容易になるため好ましい。
以下、正極および負極に共通の電極活物質として式(1)のTOT及び式(2)のTOTを用いる本開示の二次電池の作動様態を、放電状態における正極及び負極の共通活物質として式(1−2)のアニオン化合物を例に説明する。また、式(1−2)のアニオン化合物を用いることによって、式(1)及び式(2)のTOTの多段階の酸化還元反応を制限できる理由についての推定についても併せて記載する。なお、以下の説明においては、カウンターイオンがLiである式(1−2)の(COOLi)−TOTを例示して説明するが、式(2−2)の(COONa)−TOTであっても同じように説明可能である。また、放電状態における正極及び負極の共通活物質として式(1−3)、式(1−4)、式(2−3)、式(2−4)の化合物を用いる場合の二次電池の作動原理についても、以下の説明とほぼ同様の原理によって説明可能であるため、ここでは記載を省略する。
放電状態における正極及び負極の共通活物質が、式(1−2)で表されるアニオン化合物である本開示の二次電池では、放電状態の電池に充電することにより、式(1−2)で表されるアニオン化合物に酸化還元反応が生じ、正極活物質、負極活物質として機能するようになる。
充電に伴い、本開示の二次電池の正極及び負極では、主に以下のような反応が生じていると考えられる。
一般的な充電条件では、式(1−1)で表される中性ラジカル化合物はそれ以上酸化された状態をとることができない。そのため、充電反応は、正極における式(1−2)で表されるアニオン化合物のほとんどが式(1−1)で表される中性ラジカル化合物となった状態で終了すると考えられる。
一方、上述のように、式(1−3)で表されるラジカルジアニオン化合物は、さらに還元されて、式(1−4)で表されるジラジカルトリアニオン化合物および下記式(1−5)で表されるラジカルテトラアニオン化合物となることもできる。しかし、正極からの電子とLiイオンの供給がストップするため、負極では、正極で生じた式(1−1)で表される中性ラジカル化合物と等量の式(1−3)で表されるラジカルジアニオン化合物が生じた状態で充電反応が終了すると考えられる。
また、放電反応に伴い、本開示の二次電池の正極及び負極では、主に以下のような反応が生じていると考えられる。
上述のように、本開示の二次電池では、放電反応で生じる生成物が正極及び負極共に式(1−2)で表されるアニオン化合物であることから、正極活物質及び負極活物質の全てが、式(1−2)で表されるアニオン化合物となった時点で、電極間に電位差がなくなるため、放電反応は終了すると考えられる。
以下、本開示の二次電池について詳細に説明する。
1.電極活物質
本開示の二次電池に用いる電極活物質について説明する。本開示の二次電池に用いられる活物質は、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池に用いられ、下記式(1)で表される(COOLi)−TOT又は下記式(2)で表される(COONa)−TOTから構成されることを特徴とするものである。

(上記式(1)及び(2)において、破線はπ共役系を表し、xは・、−、・2−、2・3−、または、・4−を表す。)
上記式(1)で表される「(COOLi)−TOT」、及び、上記式(2)で表される「(COONa)−TOT」に包含される、トリオキソトリアンギュレンを母体とする化合物については、説明済みのためここでは記載を省略する。
活物質として式(1)のTOT又は式(2)のTOTを有する本開示の二次電池では、他のフェナレニル骨格を有する有機ラジカル化合物を含有する二次電池と比較して高い容量維持率を示す。
本開示の二次電池で使用される式(1)及びは式(2)のTOTは、中性ラジカル化合物群の中でも特に分解しにくい化合物であり、結晶状態では強固な分子間ネットワークを形成しているためであると考えられる。
本開示の二次電池に用いる式(1)及びは式(2)のTOTの形状は、粒子状であることが好ましい。また、式(1)及びは式(2)のTOTの平均粒径(D50)は、例えば1nm〜100μmの範囲内、中でも10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
本開示の二次電池に用いる式(1)及びは式(2)のTOTの合成方法は、特に限定されないが、例えば、例えば、下記の方法にて合成することができる。
2.二次電池
本開示の二次電池は正極活物質及び負極活物質として式(1)の(COOLi)−TOT又は式(2)の(COONa)−TOTを有する。上述のように、多段階で酸化還元反応を示す式(1)又は式(2)のTOTの特性を利用することによって、式(1)又は式(2)のTOTを正極及び負極に共通の活物質として用いた二次電池を作動させることが可能となった。また、放電状態における正極及び負極の共通活物質としてアニオン化合物(式(1−2)又は、式(2−2))のTOTを用いることによって、電位プラトーを多段ではなくし、電圧を2.0V程度で安定させることも可能となるため好ましい。
二次電池として機能するものであれば、本開示の二次電池の構成に特に制限はない。図1に示すように、典型的には、正極2、負極3、並びに、当該正極2及び当該負極3の間に配置される電解質層1を備え、正極−電解質層−負極集合体101として構成される。
正極活物質及び負極活物質が共通であるため、例えば集電体の両面に式(1)のTOT又は式(2)のTOTを電極活物質として含有する同一の電極活物質層を配置することにより、容易にバイポーラ化することが可能である。
上述のように放電状態における正極及び負極の共通活物質としてxが−であるアニオン化合物(式(1−2)又は、式(2−2))のTOTを用いる場合には、充電状態の二次電池の正極活物質である式(1−1)で表される中性ラジカル化合物と負極活物質である式(1−3)で表されるラジカルジアニオン化合物との電位差が2.0V程度であるため、正極活物質及び負極活物質として式(1)で表される(COOLi)−TOTを用いる本開示の二次電池の放電電圧が2.0V程度とすることができる。
この正極−電解質層−負極集合体101は、正極、電解質層及び負極がこの順序で配列され、直接又は他の材料からなる部分を介して接合していてもよく、さらに、正極上の電解質層が存在する位置とは反対側(正極の外方側)、及び、負極上の電解質層が存在する位置とは反対側(負極の外方側)のうちの片方又は両方の側に、他の材料からなる部分が接合していてもよい配列構造を有する各部の集合体である。
上記の正極−電解質層−負極集合体101に、必要に応じて集電体等の他の部材を取り付けることにより、二次電池の機能的単位であるセルが得られ、当該セルをそのままとして用いてもよいし、複数のセルを集積して電気的に接続することによりセル集合体として、本開示の二次電池として用いてもよいが、バイポーラ化することが好ましい。
正極−電解質層−負極集合体の正極と負極それぞれの厚みは、通常0.1μm〜10mm程度であり、固体電解質層の厚みは、通常0.01μm〜1mm程度である。
2−1.電極
上述のように本開示の二次電池は、放電状態では、正極及び負極は同一であり区別は無い。
電圧の制御が容易になるため、放電状態における正極及び負極の共通活物質としてアニオン化合物(式(1−2)又は、式(2−2))のTOTであることが好ましい。また、本開示の二次電池では、充電状態で、正極が正極活物質としてxが・である上記(1−1)又は(2−1)で表される中性ラジカル化合物、負極が負極活物質としてxが・2−である上記(1−3)又は式(2−3)で表されるラジカルジアニオン化合物を有することが好ましい。
本開示の二次電池において、電極は、電極活物質として式(1)又は式(2)のTOTを含み、必要に応じ、結着材、電解質、及び導電材等の他の原料を含む電極活物質層を有する。なお、一般的な電池では、正極活物質と負極活物質は異なるため、負極活物質層と正極活物質層の構成は異なるが、本開示の二次電池では、正極活物質と負極活物質が共通であるため、以下、電極活物質層として説明する。
電極活物質層中の電極活物質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以上であり、60質量%〜99質量%の範囲内であることが好ましく、70質量%〜95質量%の範囲内であることがより好ましい。また、電圧の制御を容易にする観点から、正極と負極中の式(1)又は式(2)のTOTの含有量は、等量であることが好ましい。
導電材の材料としては、所望の電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料を挙げることができる。さらに、炭素材料としては、具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、コークス、炭素繊維、気相成長炭素繊維、黒鉛を挙げることができる。また、結着材の材料としては、化学的、電気的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系結着材、および、スチレンブタジエンゴム等のゴム系結着材等を挙げることができる。また、電解質材料としては、所望のイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではなく、後述する「2−2.電解質層」に記載された電解質材料を用いることができる。
上記電極活物質層をそのまま、電極とすることも可能であるが、通常は、正極の集電を行う正極集電体、および負極の集電を行う負極集電体を有する。集電体の材料としては、例えばステンレススチール、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができる。また、集電体の形状としては、例えば箔、メッシュ、多孔質等の形状を挙げることができる。
また、集電体上に上記電極活物質層の原料ペーストを塗工して電極を製造する場合には、ドクターブレード法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法などが適用できる。上述のようにバイポーラ化する場合には、同一の電極活物質層の原料ペーストを集電体表面に塗工すればよいため、容易に製造することが可能である。
2−2.電解質層
次に、本開示の二次電池における電解質層について説明する。本開示の二次電池における電解質層は、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成される層である。電解質層に含まれる電解質を介して、正極活物質と負極活物質との間のイオン伝導を行う。電解質層の形態は、特に限定されるものではなく、液体電解質層、ゲル電解質層、固体電解質層等を挙げることができる。なお、以下、式(1)で表される(COOLi)−TOTを例として材料名を記載するが、式(2)で表される(COONa)−TOTを使用する場合には、LiをNaに置き換えた材料を使用すれば良い。
液体電解質層は、非水電解液又は水電解液を用いてなる層である。
非水電解液は、通常、リチウム塩および非水溶媒を含有する。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClOおよびLiAsF等の無機リチウム塩;およびLiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩等を挙げることができる。非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびこれらの任意の混合物等を挙げることができる。非水電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.3mol/L〜6.5mol/Lの範囲内であり、0.5mol/L〜5.5mol/Lの範囲内であることが好ましく、0.8mol/L〜1.5mol/Lの範囲内であることがより好ましい。リチウム塩の濃度が低すぎるとハイレート時の容量低下が生じる可能性があり、リチウム塩の濃度が高すぎると粘性が高くなり低温での容量低下が生じる可能性があるからである。なお、本発明においては、非水電解液として、例えばイオン性液体等の低揮発性液体を用いても良い。
水電解液は、通常、リチウム塩および水溶媒を含有する。リチウム塩としては、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiNO等の有機リチウム塩等を挙げることができる。水電解液のpHは中性のみならず、HTFSiを加えて酸性、LiOHを加えてアルカリ性にしてもよい。水電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.3mol/L〜6.5mol/Lの範囲内であり、0.5mol/L〜5.5mol/Lの範囲内であることが好ましく、0.8mol/L〜1.5mol/Lの範囲内であることがより好ましい。
ゲル電解質層は、例えば、非水電解液にポリマーを添加してゲル化することで得ることができる。具体的には、非水電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加することにより、ゲル化を行うことができる。
固体電解質層は、固体電解質材料を用いてなる層である。固体電解質材料としては、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば酸化物固体電解質材料および硫化物固体電解質材料を挙げることができる。Liイオン伝導性を有する酸化物固体電解質材料としては、例えばLi1+xAlGe2−x(PO(0≦x≦2)、Li1+xAlTi2−x(PO(0≦x≦2)、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.5TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.3NO0.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等を挙げることができる。また、Liイオン伝導性を有する硫化物固体電解質材料としては、例えばLiS−P化合物、LiS−SiS化合物、LiS−GeS化合物等を挙げることができる。
本開示における固体電解質材料は、非晶質であっても良く、結晶質であっても良い。また、固体電解質材料の形状は、粒子状であることが好ましい。また、固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば1nm〜100μmの範囲内、中でも10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
電解質層の厚さは、電解質の種類および電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(電極活物質の合成)
電極活物質として用いた、式(1)で表される(COOLi)−TOTは、下記の方法にて合成した。
上記式(I)で表される化合物の合成は、具体的には、以下のように行った。まず、2,4−ジメチルブロモベンゼン(24mL、0.176mol)を1.63Mのt−BuLi(216mL、0.352mol)で処理し、その後、炭酸ジエチル(7mL、58mmol)を加えた。次いで、有機溶剤で抽出し水で洗浄後、減圧留去しトリアリールメタノール体(13g、65%)を得る。この物質(10g、29mmol)を、酢酸(300mL)、次亜リン酸水溶液(45mL)中、室温で撹拌後、ヨウ素(7.3g、29mmol)で処理し、生じた白色沈殿を濾取することで、上記式(I)で表される化合物(5.4g、57%)を得た。
上記式(II)で表される化合物の合成は、具体的には、以下のように行った。上記式(I)で表される化合物(5.0g、15mmol)をt−ブチルアルコール(200mL)および水(200mL)と混合し、過マンガン酸カリウム(35.5g、225mmol)で処理した。放冷後、NaOH水溶液(50mL)を加え沈殿を濾別し、その後、塩酸(50mL)を加えpH1に調整した。酢酸エチルで抽出後、減圧濃縮することで酸化体(8.1g、93%)を白色粉末として得た。この物質(5g、9.8mmol)を濃硫酸(50mL)で処理し、水を加え生じた固形物を濾取し真空乾燥することで、上記式(II)で表される化合物(5g、粗収量)を得た。
電極活物質である上記式(IV)で表される化合物の合成は、具体的には、以下のように行った。上記式(II)で表される化合物(5g、粗収量)を、メタノール(1.0g、2.2mmol)中において、水酸化リチウム(0.8g)で処理することで、上記式(III)で表される化合物(2.0g、95%)を得た。なお、H NMR測定の結果は、H NMR (500 MHz, DMSO−d6) δ 9.27 (s, 6H); Anal calcd for C25H20O16Na4(H2O)7: C, 44.93; H, 3.02;N, 0.00. Found: C, 44.94; H, 2.87; N, 0.00となった。
(電極の作製)
電極活物質である上述のように得られた式(IV)で表される(COOLi)−TOTと、導電材であるアセチレンブラック(AB)及び気相成長炭素繊維(VGCF(登録商標))と、結着材であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、活物質:AB:VGCF:PVDF=80:8:2:10(質量%)の割合で混合して電極活物質層用のペーストを作製した。
このように得られたペーストをAl箔にドクターブレード法にて塗工後、乾燥し25μm厚の電極を得た。
(電解質の作製)
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)を、EC:DMC:EMC=3:4:3(体積%)の割合で混合し、さらに1mol/LとなるようにLiPFを混合して電解液を作製した。
(二次電池の作製)
[実施例1]
正極及び負極として上述の電極を用い、また、上述の電解質およびセパレータから構成された実施例1のコイン型(CR2032)二次電池を作製した。なお、セパレータには、ポリオレフィン系(PP/PE/PP)の多孔質膜(25μm厚)を用いた。
[比較例1]
実施例1において、負極として、Li金属を用いた以外は、実施例1と同様に比較例1のコイン型(CR2032)二次電池を作製した。
(評価方法)
1.電池動作確認
実施例1及び比較例1の二次電池に対して、環境温度25℃、電流値20mA/gの条件下で充放電を行った(電圧範囲2.5〜0.5V)。結果を図2及び図6に示す。
2.サイクル特性
実施例1の二次電池に対して、環境温度25℃、電流値200mA/gの条件下で充放電を100サイクル行った(電圧範囲2.5〜0.5V)。結果を図3に示す。
3.レート特性
実施例1の二次電池に対して、環境温度25℃条件下で、電流値を20mA/g〜4000A/gまで段階的に変化させながらの充放電を行った(電圧範囲2.5〜0.5V)。結果を図4に示す。
(結果)
図6に示すように、負極活物質としてLi金属、正極活物質として(COOLi)−TOTを組み合わせた比較例1の二次電池では、3.5V(vs Li/Li)と1.5V(vs Li/Li)に明瞭な電圧(電位)平坦部が確認された。
(COOLi)−TOTに多段レドックス反応が生じたためであると考えられる。
これに対し、図2に示すように、正極活物質、及び、負極活物質として(COOLi)−TOTを用いた実施例1の二次電池では、放電電圧が約2.3Vから安定して1.0Vまで低下し、電池として作動することが確認された。
また、実施例1の二次電池は、図3及び図4に示すように、高い容量維持率を示し、且つ、レート特性も安定していた。この点、図5に示すサイクル特性評価後の正極、負極、及びセパレータから、(COOLi)−TOTの溶出が無いことも確認された。
(COOLi)−TOTと(COONa)−TOTに活物質としての特性に、大きな違いは無いため、(COOLi)−TOTを(COONa)−TOTに置き換えた二次電池でも本結果と同様の結果を得ることが可能であると考えられる。
以上の結果より、式(1)で表される(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン又は式(2)で表される(COONa)−トリオキソトリアンギュレンを、正極活物質及び負極活物質として含有する二次電池の作動が確認され、本開示の二次電池では、バイポーラ構造の電極作製が容易であり、セル電圧の高圧化、低コスト化が可能となること、更には、放電電圧の制御が容易であることが明らかとなった。
1 電解質層
2 正極
3 負極
101 正極−電解質層−負極集合体

Claims (1)

  1. 下記式(1)で表される(COOLi)−トリオキソトリアンギュレン又は下記式(2)で表される(COONa)−トリオキソトリアンギュレンを、正極活物質及び負極活物質として含有する二次電池。
    (上記式(1)及び(2)において、破線はπ共役系を表し、xは・、−、・2−、2・3−、または、・4−を表す。)
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