以下、本発明の照明装置、反射型表示装置および電子機器について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<反射型表示装置>
図1は、本発明の反射型表示装置の実施形態を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示す反射型表示装置の一部を示す平面図であり、図3は、図1に示す反射型表示装置の組み立て後を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図3の上方を「上」といい、下方を「下」という。
図1に示す反射型表示装置1は、照明装置10(本実施形態に係る照明装置、図2参照)と表示パネル12とを備えている。
このうち、照明装置10は、光源14と、光源14から出射された光L1が側面から入射されるように配置されている導光板11と、導光板11の下面側(一方の面側)に設けられ、導光板11よりも屈折率が低い第1接着層13(第1低屈折率層)と、導光板11を平面視したとき、第1接着層13よりも光源14側に設けられ、導光板11よりも屈折率が低い第2接着層16(第2低屈折率層)と、第2接着層16の上側(導光板11とは反対側)に設けられている光吸収層15と、を有している。そして、第1接着層13を介して導光板11と表示パネル12とが積層されている。
このような照明装置10では、光源14から出射された光L1が、導光板11の側面から入射し、導光板11を伝搬させた後、表示パネル12を照明するように構成されている。これにより、照明装置10は、表示パネル12を表示面側(上側)から照明するフロントライトとして用いられる。このため、反射型表示装置1は、暗所であっても表示パネル12における表示内容を視認可能なものとなる。
以下、反射型表示装置1の各部について詳述する。なお、以下の説明では、図20に示す従来例のように、外縁に沿って周方向に光を伝搬させるように構成された導光板を代表に説明するが、かかる形態の導光板について得られる後述の効果は、図18に示す従来例と同様、一方向に光を伝搬させるように構成された導光板においても同様に得られる。
(導光板)
導光板11は、図2または図3に示すように、板状の基部110と、基部110の主面の外縁に沿って設けられている第1溝111および第2溝112(以下、これらを合わせて「溝115」とも言う。)と、基部110の側面に設けられ溝115よりも外側に位置する入光面114と、を有している。なお、図2では、説明の便宜のため、基部110にドットを付している。
基部110は、円形をなす板状体である。板状体とは、互いに表裏の関係にある2つの面を有し、かつ、その面が厚さに対して十分に大きい形状の部材を指す。この基部110は、光透過性を有しており、内部に入射された光を閉じ込めて伝搬する。
また、本明細書では、基部110のうち、互いに表裏の関係にある2つの面を「主面」といい、主面同士をつなぐ面を「側面」といい、主面と側面とを合わせて「表面」という。
なお、本実施形態において2つの主面はいずれも平坦面であるが、少なくとも一方の主面が湾曲凹面または湾曲凸面であってもよい。
また、導光板11は、図2に示すように、基部110を貫通する貫通孔113を備えている。かかる貫通孔113の内面は、導光板11を伝搬する光を反射させ、光路を変換する。
図2および図3では、光源14から出射した光の光路の例を示している。なお、図2、3に矢印で示す光路は、説明の便宜のため、簡易的に表されたものである。
光源14から出射した光L1は、まず、入光面114から入射される。この光L1は、貫通孔113で反射され、左右に分割されるとともにその光路が導光板11の周方向に変換される。そして、光路が変換された光L1は、導光板11の表面で全反射を繰り返しながら、導光板11を周方向に伝搬する。
また、本実施形態に係る導光板11の主面には、外縁に沿って前述した溝115(低屈折率領域)が設けられている。導光板11を伝搬する光L1は、この溝115よりも外側(以下、これを「外周部116」とも言う。)を周方向に伝搬する。このとき、光L1は、外周部116の主面や外側の側面、そして溝115の内面での全反射を繰り返す。これにより、光L1は、導光板11の外縁に沿って設けられた環状をなす外周部116を、周方向に伝搬することができる。
一方、このように光L1が伝搬している状態において、基部110の側面に後述する第2光路変換構造が設けられていると、外周部116を周方向に伝搬する光L1の一部の光路が、図2に示すように、導光板11の溝115よりも内側(以下、これを「内周部117」とも言う。)に向けて変換される。換言すれば、導光板11を周方向に伝搬する光L1は、その光量の一部が内周部117側に少しずつ振り分けられながら外周部116を伝搬している。このように導光板11では、光L1が外縁に沿って伝搬しているため、内周部117側に向かう光L2の出射点も、溝115の形成範囲にわたってより広範囲に分布することとなる。
そして、このように外周部116から内周部117側に向かう光L2の出射点がより広範囲に分布することにより、例えば表示パネル12内に隔壁等が存在していても、この隔壁等に対してもその周囲から(好ましくは全周から)光L2を照射することが可能になる。これにより、隔壁等をより多くの方向から(好ましくは全方向から)照明することができ、隔壁等の一部の領域のみが特異的に照明されることが抑制される。
すなわち、光源14から出射した光L1を表示パネル12に照射する過程で、外周部116と内周部117とを順次経由させることによって、外縁側から中心に向かうような光L2の伝搬が誘起されることとなり、光L2の伝搬方向がより多様になる。これにより、隔壁等の一部の領域のみが特異的に照明されてしまうことが抑制され、一部が目立つことによって観察者に違和感を与えることが抑制される。その結果、反射型表示装置1の表示品位がより低下しにくくなり、高品位の表示が可能な反射型表示装置1が得られる。
なお、貫通孔113は、導光板11を成形する際に比較的簡単にかつ高い精度で形成することが可能である。このため、第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bの傾斜角度についても高い精度で制御することができ、結果的に光L1の伝搬方向についても高い精度で制御することができる。その結果、光L2の光量分布をより均一化することができる。
なお、傾斜角度が前記上限値を上回ると、導光板11の設計によっては光L1が外周部116を伝搬しにくくなり、光L2の光量分布が不均一になるおそれがある。
また、貫通孔113と溝115とを組み合わせることにより、一度の成形プロセスで製造可能な形状であるにもかかわらず、外周部116と内周部117とを内在する導光板11を実現することができる。したがって、導光板11は、外周部116と内周部117とによってもたらされる前述したような効果を奏する一方、製造容易性および組立容易性を併せ持つものとなる。
一方、このような導光板11を備えることにより、より多様な方向からの照明が可能な照明装置10が得られる。かかる照明装置10は、例えば隔壁等の凹凸形状を照明する際に、特定の方向に臨む面のみを照明してしまうことによる不具合(違和感)の発生を抑え得るものとなる。つまり、凹凸形状に対して多様な方向から照明することができる。このため、良好な照明特性を示す照明装置10が得られる。
また、基部110の外形形状は、円形をなしている。これにより、内周部117の周囲を取り囲むように外周部116を配したとき、内周部117の中心と外周部116との距離が均一になりやすくなるという利点がある。このため、例えば表示パネル12内に隔壁等が存在していても、この隔壁等に対して周囲から照射される光L2の光量分布がより均一になる。これにより、隔壁等がより均一な明るさで照明されることとなる。すなわち、光の伝搬方向が多様で、かつ光量分布がより均一な導光板11が得られる。
なお、本明細書における円形とは、実質的に円形であることをいい、例えば角数が20以上の多角形(好ましくは正多角形)を含む概念である。
また、基部110の外形形状は、円形に限定されず、それ以外の形状、例えば四角形、六角形、八角形のような多角形、楕円形、長円形等であってもよい。
一方、内周部117に入射した光L2は、図3に示すように、内周部117の表面で全反射を繰り返しながら、内周部117を主面の面内方向に伝搬する。
このように光L2が伝搬している状態において、内周部117に後述する第1光路変換構造が設けられていると、内周部117の主面の面内方向に伝搬する光L2の一部の光路が、図3に示すように内周部117の厚さ方向に変換される。その結果、表示パネル12が照明されるとともに、表示パネル12で反射した光L3を観察者の目に届けることができ、観察者は暗所であっても表示内容を視認することができる。そして、前述した特異的な照明の発生を抑えるとともに、照度ムラの発生も抑えられ、より高品位な表示が可能な反射型表示装置1が得られる。
次に、導光板11の各部についてさらに詳述する。
図4は、図2に示す導光板11の一部を拡大して示す平面図であり、図5は、図3の部分拡大図であり、図6は、図1に示す導光板11の部分断面斜視図であり、図7は、図2の部分拡大図である。また、図8は、図2に示す導光板11のうち基部110の上面110aを示す平面図であり、図9は、図2に示す導光板11のうち基部110の下面110bを示す平面図である。なお、図5では、溝115の他、一部の図示を省略している。
基部110の厚さは、導光板11の大きさ等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、0.2mm以上2mm以下であるのが好ましく、0.3mm以上1mm以下であるのがより好ましい。
基部110の構成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネートのような樹脂材料の他、ガラス材料等が挙げられる。このうち、樹脂材料が好ましく用いられる。樹脂材料によれば、寸法精度が高く軽量な基部110が容易に得られる。また、樹脂材料であれば各種成形法を用いることができるため、製造効率の観点からも有用である。
−貫通孔−
本実施形態に係る導光板11は、前述したように貫通孔113を備えている。この貫通孔113は、入光面114の近傍に設けられ、基部110を厚さ方向に貫通している。図4では、貫通孔113の内部が空洞になっているため、入光面114から入射した光L1は、貫通孔113の内面で全反射する確率が高くなる。これにより、入光面114から入射した光L1の光路を、周方向に変換することができる。したがって、貫通孔113は、入光面114から入射した光L1の光路を周方向に変換する第3光路変換構造として機能する。
図4に示す貫通孔113は、その内面に、入光面114に対して傾斜する第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bを含んでいる。これらの第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bは、入光面114から入射された光L1を、互いに異なる方向へ反射するように傾斜している。このため、光源14から出射し入光面114から入射した光L1を、2つに分割し、周方向でかつ互いに異なる方向へ伝搬させることができる。これにより、外周部116を周方向に伝搬する光L1を、より簡単な構造の貫通孔113によって発生させることができる。
第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bの傾斜角度(入光面114となす角度)は、好ましくは0°超45°以下とされ、より好ましくは3°以上30°以下とされ、さらに好ましくは5°以上20°以下とされる。
また、第1傾斜面113aの傾斜角度と第2傾斜面113bの傾斜角度は、互いに異なっていてもよいが、互いに同じであるのが好ましい。すなわち、貫通孔113は、基部110の主面を平面視したとき、入光面114の法線を対称の軸として互いに線対称の関係を有する第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bを含むことが好ましい。これにより、第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bで反射されて外周部116を伝搬する光L1の光量分布についても、線対称の関係を有するものとなる。このため、光L2の光量分布をより均一化することができる。
一方、図4に示す貫通孔113は、その内面に、入光面114に対してほぼ平行な対向面113cを含んでいる。この対向面113cは、内周部117に入射された光L2を反射させる。これにより、内周部117を主面の面内方向に伝搬する光L2を閉じ込めることができる。
また、図4に示す対向面113cは、貫通孔113の内側に向かって突出するような複数の凸部113xを備えている。この凸部113xは、内周部117を伝搬する光L2を散乱させる光散乱構造として機能する。すなわち、導光板11は、基部110を伝搬する光L2を散乱させる光散乱構造を備えているのが好ましい。このような光散乱構造を設けることにより、例えば対向面113c(貫通孔113の内面)が凹面鏡のように作用してしまうのを抑制し、対向面113cで反射された光L2が局所に集束してしまうのを抑制することができる。これにより、局所が特異的に照明されてしまうのを抑制し、例えば反射型表示装置1の表示品位の低下を防止することができる。
なお、凸部113xの突出長さは、特に限定されないが、一例として、基部110の外縁の直径の0.05%以上5%以下程度であるのが好ましく、0.2%以上1%以下程度であるのがより好ましい。これにより、上述した効果がより十分に得られる。
また、上述した光散乱構造は、平面視で半円状をなす凸部113xが連続している形状を有しているが、その他の形状、例えば三角形や四角形のような多角形あるいは異形状が連続している形状であってもよく、その形状は特に限定されない。
なお、凸部113xの平面視形状が半円状である場合、その曲線の半径は導光板11の大きさ等によっても異なるが、一例として0.05mm以上2mm以下程度であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下程度であるのがより好ましい。
また、上述した光散乱構造は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
また、本実施形態に係る貫通孔113の内部の媒質は空気であるが、かかる媒質として貫通孔113の内部に充填された任意の低屈折率材料を用いるようにしてもよい。
媒質として空気を用いた場合には、基部110と貫通孔113との屈折率差が実質的に最大となる。このため、第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bで全反射する確率をより高めることができる。
一方、媒質として低屈折率材料を用いた場合には、貫通孔113による機械的強度の低下を補うことができる。かかる低屈折率材料としては、特に限定されないものの、各種樹脂材料が挙げられる。また、低屈折率材料は、固体の他、液体やゲル体等であってもよい。その場合、基部110と低屈折率材料との屈折率差は、できるだけ大きいことが好ましいが、一例として0.01以上1以下であるのが好ましく、0.03以上0.7以下であるのがより好ましい。
また、貫通孔113の平面視形状は、図4に示すような第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bおよび対向面113cからなる内面で形成された形状に限定されず、例えば四角形、六角形のような多角形、真円、長円、楕円のような円形、異形状等であってもよい。
また、貫通孔113の内側には、遮光性を示す遮光部が設けられていてもよい。これにより、第1傾斜面113aおよび第2傾斜面113bで反射されることなく透過した光L1が対向面113cから内周部117に入射してしまうことが防止される。その結果、例えば反射型表示装置1の表示品位が低下するのを防止することができる。
遮光部としては、光L1を遮光し得るもの、または、減光し得るものであれば、いかなるものであってもよい。遮光部の構成材料としては、例えば金属材料、着色等の遮光処理を施した樹脂材料等が挙げられる。
なお、貫通孔113の内側における遮光部の位置は、特に限定されない。
また、図4に示す外周部116は、その外縁に設けられ、内側に向かって凹没するような複数の凹部116xを備えている。この凹部116xは、第1傾斜面113aで反射した光L2を散乱させる光散乱構造として機能する。このような光散乱構造を設けることにより、例えば外周部116の外縁が凹面鏡のように作用してしまうのを抑制し、反射した光L1が局所に集束してしまうのを抑制することができる。これにより、局所が特異的に照明されてしまうのを抑制し、反射型表示装置1の表示品位の低下を防止することができる。
なお、凹部116xの凹没深さは、特に限定されないが、一例として、基部110の外縁の直径の0.05%以上5%以下程度であるのが好ましく、0.2%以上1%以下程度であるのがより好ましい。これにより、上述した効果がより十分に得られる。
また、上述した光散乱構造は、平面視で半円状をなす凹部116xが連続している形状を有しているが、その他の形状、例えば三角形や四角形のような多角形あるいは異形状が連続している形状であってもよく、その形状や配置は特に限定されない。
なお、凹部116xの平面視形状が半円状である場合、その曲線の半径は導光板11の大きさ等によっても異なるが、一例として0.05mm以上2mm以下程度であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下程度であるのがより好ましい。
また、上述した光散乱構造は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
−溝−
本実施形態に係る導光板11は、前述したように溝115を備えている。このような溝115が設けられることにより、溝115の内面と基部110の外縁との間、すなわちリング状の外周部116において、光L1を周方向に伝搬するための導光路が形成される。すなわち、本実施形態に係る導光板11は、光源14から出射された光L1が外縁に沿って伝搬し得る導光路を備えている。これは、外周部116の表面において屈折率差に基づく全反射が生じ、光L1が外周部116に閉じ込められることに起因する。
具体的には、光L1のうち、一部は溝115の内面で反射する。この反射により、外周部116において一部の光L1が閉じ込められ、周方向に伝搬する。
一方、光L1のうち、他部は溝115を透過したり、溝115同士の隙間を透過したりする。この透過により、他部の光L1が光L2として内周部117に出射されることとなる。このようにして導光板11の外縁から内側に向かう光L2の出射点を広く分布させることができ、多様な方向から光L2を伝搬させることができるので、例えば凹凸形状を照明するときでも陰影を生じさせにくい照明が可能になる。
これらの溝115は、基部110の外形の同心円に沿って延在している。このため、基部110のうち溝115よりも外側の領域である外周部116は、基部110の外縁に沿うとともに、ほぼ等幅の領域となる。その結果、外周部116から内周部117へ向かう光L2の光量分布をより均一にしやすくなる。
なお、このような溝115の形状や配置は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、溝115が基部110を厚さ方向に貫通していてもよい。つまり、溝115に代えて、外周部116と内周部117との間に位置する間隙が設けられていてもよい。
本実施形態に係る導光板11は、基部110の2つの主面を上面110aおよび下面110bとするとき、溝115として、上面110aに設けられている第1溝111と、下面110bに設けられている第2溝112と、を有している。
また、本実施形態に係る溝115では、第1溝111が第2溝112よりも内側に位置している。すなわち、基部110の上面110aを平面視したとき、第1溝111と第2溝112とが互いにずれている。つまり、第1溝111および第2溝112は、基部110の外縁の同心円であって半径が互いに異なる円の円周に沿って延在しているため、溝115は多重になっているとも言える。
このような溝115の外周部116側の内面では、多重になっている第1溝111および第2溝112によって、屈折率差に基づく全反射が生じる確率がより高くなる(図5参照)。これにより、外周部116において光L1をより閉じ込めやすくなり、例えば外周部116の周長が長い場合であっても、表示パネル12の照度ムラを抑えることができる。
なお、溝115を多重化する場合、基部110の上面110aまたは下面110bのいずれかに複数の溝を形成することによって多重化してもよいが、本実施形態のように第1溝111と第2溝112とを互いに異なる主面に設けるようにするのが好ましい(図5参照)。これにより、外周部116に光L1をより閉じ込めやすくなるため、例えば光源14の輝度が低い場合であっても表示パネル12を十分な照度で照明することができる。また、基部110が反りにくくなるとともに、基部110の機械的強度が低下しにくくなる。
また、このように溝115を設けることで、外周部116を伝搬する光L1の光路を内周部117側に変換する際、前述した溝115の外周部116側の内面に対する入射角が、全反射の臨界角より小さな角度(界面に対して垂直な成分)に制限されやすくなる。このようにして入射角が絞り込まれることにより、外周部116から内周部117に向かう光L2の伝搬方向をより多様化することができる。すなわち、溝115の外周部116側の内面に対してより垂直に近い方向で光L2を出射させることができるため、内周部117の中心に向かってそれを取り囲む様々な方向から光L2が伝搬することとなる。このため、前述した特異的な照明をより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態に係る第1溝111および第2溝112は、それぞれ途中で途切れている。
このうち、第1溝111および第2溝112は、それぞれ貫通孔113の近傍で途切れている。ただし、この部分(溝115が途切れた部分)には貫通孔113が設けられているので、この貫通孔113によって溝115の機能が実質的に代替されている。したがって、別の観点で見ると、この部分において溝115の形成を省略することにより、機械的強度の低下を避けることができる。
一方、基部110の中心を介して貫通孔113の反対側の部分でも溝115が途切れている。この部分は、光L1の伝搬経路の終点に当たる。伝搬経路の終点では外周部116に光L1を閉じ込める必要がないため、この部分で溝115の形成を省略することにより、機械的強度の低下を避けることができる。
なお、溝115の途切れている部分の長さは、全周の20%以下であるのが好ましく、15%以下であるのがより好ましい。
また、第1溝111および第2溝112の形状は、図示のものに限定されず、例えば閉じた環状をなしていてもよく、基部110の外縁に沿って間欠的に(点線状に)設けられていてもよい。
また、上面110aおよび下面110bの少なくとも一方に対し、さらに別の溝を追加するようにしてもよい。
なお、溝115の少なくとも一部は基部110を厚さ方向に貫通していてもよい。
一方、溝115の少なくとも一部が貫通していないことにより、基部110を一体的に取り扱うことができる。このため、外周部116と内周部117との位置関係が自ずと一義的に決定されることとなり、両者の位置合わせが厳密に合わせられることとなる。
また、図6に示すように、第1溝111の深さをD1とし、第2溝112の深さをD2とし、基部110の厚さをTとしたとき、これらは以下の式で表される関係を満たすことが好ましい。
D1+D2≧T
これにより、基部110の外周部116側から内周部117側を見たとき、第1溝111と第2溝112とが繋がって見えることになる。このため、第1溝111および第2溝112に隠されて、内周部117側を直接透視することができないことになる。このことは、外周部116から内周部117へ光L1が直接伝搬しにくいことにつながるため、外周部116に光L1をさらに閉じ込めやすくなる。
また、溝115の幅(基部110の径方向における長さ)は、基部110の厚さTより小さいことが好ましい。これにより、溝115を設けたことによる基部110の機械的強度の低下を最小限に留めることができる。その結果、より信頼性の高い反射型表示装置1が得られる。
溝115の幅は、導光板11の機械的強度や小型化等を考慮した場合、0.1mm以上2mm以下程度であるのが好ましく、0.3mm以上1mm以下程度であるのがより好ましい。
なお、溝115の幅は、その長手方向において一定であってもよく、部分的に異なっていてもよい。
また、溝115の深さは、その長手方向において一定であっても部分的に異なっていてもよい。溝115の深さは、前述したように、外周部116に光L1を閉じ込める程度(閉じ込め性)を左右する。このため、かかる深さを適宜設定することにより、外周部116から内周部117へ出射される光L2の光量を制御することができる。
かかる観点から、溝115は、入光面114から離れるにつれて深さが浅くなる部分を含んでいてもよい。このようにして溝115の深さを設定することにより、入光面114から離れるにつれて外周部116から内周部117へ光L2が出射されやすくなる。これにより、光L2の光量分布をより均一化することができる。
すなわち、外周部116を光L1が伝搬するとき、その伝搬距離が長くなるほど減衰するため、減衰分に応じて光L2の光量が徐々に増えるように設定しておくことが好ましい。かかる観点から、入光面114から離れるにつれて溝115の深さを浅くする部分を設けておくことで、前述した光L1の減衰を相殺するように光L2の光量を増やすことができ、光L2の光量分布の均一化を図ることができる。
なお、溝115の深さは、連続的に浅くなっていてもよく、段階的に浅くなっていてもよい。また、深さが一定の部分と深さが変化している部分とが混在していてもよい。
また、本実施形態に係る溝115の内部の媒質は空気であるが、かかる媒質として溝115の内部に充填された任意の低屈折率材料を用いるようにしてもよい。すなわち、本実施形態に係る導光板11は、基部110の主面の外縁に沿って設けられ、基部110よりも屈折率が低い低屈折率領域として、溝115を有する。これにより、溝115(低屈折率領域)の内面と基部110の外縁との間、すなわち外周部116において、光L1を周方向に伝搬するための導光路が形成される。そして、光L1は、外周部116を伝搬しつつ、溝115を透過したり、溝115同士の隙間を透過したりする。この透過により、光L2が内周部117(外周部116の内側)に出射されることとなる。
なお、溝115を満たす媒質として空気を用いた場合には、基部110と溝115との屈折率差が実質的に最大となる。このため、光L1をより遠くまで伝搬させることができ、光L2の光量分布をより均一化することができる。
一方、媒質として低屈折率材料を用いた場合には、溝115による機械的強度の低下を補うことができる。かかる低屈折率材料としては、特に限定されないものの、各種樹脂材料が挙げられる。また、低屈折率材料は、固体の他、液体やゲル体等であってもよい。その場合、基部110と低屈折率材料との屈折率差は、できるだけ大きいことが好ましいが、一例として0.01以上1以下であるのが好ましく、0.03以上0.7以下であるのがより好ましい。
また、第1溝111および第2溝112において、底面と側面とがなす角度は、90°にできるだけ近いことが好ましいが、基部110の製造効率(例えば成形後の離型しやすさ)等を考慮した場合、図5、6に示すように90°超100°以下であってもよい。
また、導光板11は、溝115の内周部117側の内面に設けられ、溝115の内側に向かって突出するような複数の凸部115xを備えていてもよい(図7参照)。この凸部115xは、内周部117を伝搬する光L2を散乱させる光散乱構造として機能する。このような光散乱構造を設けることにより、例えば溝115の内周部117側の内面が凹面鏡のように作用してしまうのを抑制し、反射した光L2が局所に集束してしまうのを抑制することができる。これにより、局所が特異的に照明されてしまうのを抑制し、反射型表示装置1の表示品位の低下を防止することができる。
なお、上述した光散乱構造は、平面視で半円状をなす凸部115xが連続している形状を有しているが、その他の形状、例えば三角形や四角形のような多角形あるいは異形状が連続している形状であってもよく、その形状や配置は特に限定されない。
また、溝115内には、図示しない光吸収層や半透過膜が配置されていてもよい。この光吸収層や半透過膜は、例えば一部の光L2を遮蔽し、光L2の光量分布を調整する目的で配置される。これにより、光L2の光量分布の均一化を図りやすくなる。
光吸収層の構成材料としては、例えば金属材料、着色等の遮光処理を施した樹脂材料等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る導光板11では、図8、9に示すように、上面110aに設けられた第1溝111よりも、下面110bに設けられた第2溝112の方が外縁側に位置している。このような導光板11は、下面110bを表示パネル12に臨むように配置されることが好ましい。下面110bでは上面110aよりも溝115の内側の領域が広くなっている。このため、この領域に後述する第1光路変換構造を設けることができ、照明可能な面積をより大きく確保することができる点で有効である。
−第2光路変換構造−
光L1の一部は、前述したように、溝115を介して外周部116から内周部117へ向かうように伝搬方向が変換される。
図10は、図2の部分拡大図であって、光路の一例を矢印として付加した図である。
図10に示す導光板11は、外周部116の側面(外縁の側面)に設けられ、側面の一部が凹没してなる凹部116yを備えている。この凹部116yは、外周部116を伝搬する光L1の光路を変換する第2光路変換構造として機能する。したがって、外周部116を伝搬する光L1のうち、凹部116yに入光した一部は、その伝搬方向が内周部117側に変換される。このようにして内周部117を主面の面内方向に伝搬する光L2が発生する。
なお、凹部116yの凹没深さは、特に限定されないが、一例として、基部110の外縁の直径の0.05%以上5%以下程度であるのが好ましく、0.2%以上1%以下程度であるのがより好ましい。これにより、上述した効果がより十分に得られる。
凹部116yの平面視形状、すなわち導光板11の主面を平面視したときの形状としては、特に限定されず、例えば半円状、多角形状のような規則的な形状が挙げられるが、不規則的な形状(異形状)であってもよい。
一方、基部110の厚さ方向における凹部116xの形状は、厚さ方向において部分的に異なっていてもよいが、厚さ方向全体において同形状であるのが好ましい。これにより、厚さ方向のどの部位から出射したとしても、光L2の挙動を均一にすることができる。
また、本実施形態に係る凹部116yは、図8、9に示すように、複数が所定の間隔を保ちつつ配置されている。このため、外周部116を伝搬する光L1の光路は、周方向において一定の確率で内周部117に向けて変換されることとなる。
なお、凹部116yは、基部110の全周において等間隔に設けられていてもよく、不等間隔に設けられてもよい。不等間隔に設ける場合、例えば、光源14から離れるにつれて配置密度が高くなるように設けるパターンが挙げられる。
また、複数の凹部116yの凹没深さは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
凹部116yの平面視形状が半円状である場合、その曲線の半径は導光板11の大きさ等によっても異なるが、一例として0.05mm以上2mm以下程度であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下程度であるのがより好ましい。
また、上述した第2光路変換構造の具体的な形状は、図10に示すものに限定されない。
図11〜図13は、それぞれ図10に示す第2光路変換構造の変形例を示す平面図である。
以下、第2光路変換構造の変形例について説明するが、以下の説明では、図10に示す第2光路変換構造との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図11に示す導光板11は、外周部116の側面に設けられ、側面の一部が突出してなる複数の凸部116zを備えている。この凸部116zも、外周部116を伝搬する光L1の光路を変換する第2光路変換構造として機能する。したがって、外周部116を伝搬する光L1のうち、凸部116zに入光した光L1は、内周部117に向かって反射され、光L2として溝115を経て内周部117に入射されることとなる。
凸部116zの平面視形状は、半円状をなしている。
また、図11に示す例では、複数の凸部116zが設けられており、かつ、凸部116z同士が接するように設けられている。なお、かかる配置等は、特に限定されない。
また、凸部116zの突出長さは、特に限定されないが、一例として、基部110の外縁の直径の0.05%以上5%以下程度であるのが好ましく、0.2%以上1%以下程度であるのがより好ましい。これにより、上述した効果がより十分に得られる。
図12に示す導光板11は、外周部116の側面に設けられ、側面の一部が突出してなる複数の凸部116wを備えている。
凸部116wの平面視形状は、三角形をなしている。
また、図12に示す例でも、複数の凸部116wが設けられており、かつ、凸部116w同士が接するように設けられている。なお、かかる配置等は、特に限定されない。
一方、図13に示す導光板11は、溝115の外周部側の内面に設けられ、内面の一部が突出してなる凸部115yを備えている。この凸部115yも、外周部116を伝搬する光L1の光路を変換する第2光路変換構造として機能する。したがって、外周部116を伝搬する光L1のうち、凸部115yに入光した光L1は、全反射することなく出射し、光L2として溝115を経て内周部117に入射されることとなる。
凸部115yの平面視形状は、半円状をなしている。なお、凸部115yの平面視形状は、これに限定されず、例えば多角形状のような規則的な形状の他、不規則的な形状であってもよい。
なお、第2光路変換構造は、上述した2種類以上が併用されたものであってもよい。
−第1光路変換構造−
図14は、図3に示す反射型表示装置1の部分拡大図である。
図14に示す内周部117は、下面110bから突出する凸部117aを備えている。この凸部117aは、内周部117を伝搬する光L2の光路を変換する第1光路変換構造として機能する。すなわち、内周部117は、その下面110bに設けられ、内周部117を伝搬する光L2の光路を変換する第1光路変換構造を備えている。これにより、光L2の伝搬方向を、内周部117の厚さ方向に変換し、内周部117の下面110bから出射させて表示パネル12を照明することができる。すなわち、内周部117を伝搬する光L2のうち、凸部117aに入光した光L2は、全反射することなく出射し、光L3として表示パネル12に入射されることとなる。
なお、凸部117aの突出高さは、特に限定されないが、一例として、0.5μm以上50μm以下程度であるのが好ましく、1μm以上20μm以下程度であるのがより好ましい。これにより、表示パネル12をより均一に照明することができる。
また、内周部117の下面110bのうち、第2溝112の内側の領域(例えば図9に示す導光パターン領域118)に複数の凸部117aが敷き詰められるように配置される。これにより、表示パネル12を照明するときの照度ムラの発生を抑えることができる。
なお、複数の凸部117aの突出高さは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、図14に示す凸部117aは半球状をなしている。なお、凸部117aの形状は、これに限定されず、例えば三角錐や四角錐のような角錐といった規則的な形状の他、不規則的な形状であってもよい。また、凸部117aに代えて凹部が設けられていてもよい。
一方、図示しないものの、このような凸部117a(または凹部)は、内周部117の上面110aに設けられていてもよく、下面110bと上面110aの双方に設けられていてもよい。
(導光板の変形例)
次に、導光板11の変形例について説明する。
図15は、図2に示す導光板11の変形例を含む反射型表示装置を示す平面図である。
以下、導光板の変形例1について説明するが、以下の説明では、図2に示す導光板との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図15に示す導光板11では、基部110の外縁形状が四角形をなしている以外、図2に示す導光板11と同様である。
このように形状が異なっていても、図15に示す導光板11は、図2に示す導光板11と同様の効果を奏する。
(表示パネル)
表示パネル12は、図3に示すように、下基板121と、上基板122と、下基板121と上基板122との間に設けられた表示層123と、を備えている。
下基板121は、絶縁基板と、それに形成された駆動回路と、を備えている。
絶縁基板の構成材料としては、例えば各種樹脂材料、各種ガラス材料等が挙げられる。
駆動回路には、例えば画素電極、外部端子、TFT(Thin Film Transistor)素子、電子部品等が含まれており、これらは配線パターンによって電気的に接続されている。かかる駆動回路に通電することにより、例えば表示層123に含まれた電気泳動粒子を泳動させる等して表示内容を変化させることができる。これにより、所望の表示内容を観察者に視認させることができる。
上基板122は、絶縁基板と、それに形成された共通電極回路と、を備えている。
共通電極回路には、例えば共通電極、外部端子等が含まれており、これは配線パターンによって電気的に接続されている。
表示層123は、隔壁等によって複数の区画(画素)に分割された電気泳動分散液を備えている。各画素には前述した画素電極が設けられており、画素ごとに電気泳動粒子の泳動を独立して制御することができる。これにより、任意の内容を表示することができる。
なお、表示パネル12は、上述した電気泳動表示パネルに限定されず、例えば反射型液晶表示パネルや磁気泳動表示パネル等の各種反射型表示パネルであってもよい。
(第1接着層)
第1接着層13は、導光板11と表示パネル12との間に介挿され、これらを接着している。
第1接着層13を構成する接着剤としては、例えば、硬化後に光透過性を有する接着剤の中から適宜選択される。また、光学粘着シート(OCA)のような粘着フィルムを用いるようにしてもよい。
第1接着層13の硬化後の屈折率は、導光板11の屈折率より低い。これにより、導光板11に対して第1接着層13が接していても、導光板11における光L1および光L2の伝搬特性が確保される。すなわち、導光板11と第1接着層13との界面で屈折率差に基づく全反射が生じやすくなるため、伝搬損失の低減が図られる。
導光板11と第1接着層13の硬化物との屈折率差は、特に限定されないが、一例として0.01以上0.7以下であるのが好ましく、0.03以上0.5以下であるのがより好ましい。屈折率差を前記範囲内に設定することにより、導光板11における光L1および光L2の伝搬特性が確保される一方、前述した第1光路変換構造において適切な光路変換がなされる。また、第1光路変換構造によって光路変換された光L3が第1接着層13を透過するときの透過率を高めることができ、明度やコントラストが良好な表示が可能になる。
第1接着層13の構成材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。
第1接着層13の厚さは、特に限定されないが、0.01mm以上0.5mm以下であるのが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下であるのがより好ましい。第1接着層13の厚さを前記範囲内に設定することにより、導光板11の下面110bから凸部117a(図14参照)が突出していても、それを第1接着層13に内包することができる。すなわち、凸部117aの先端が表示パネル12に接触してしまうのを抑制することができる。その結果、前述した凸部117aが第1光路変換構造としてより確実に機能することができる。また、照明装置10が必要以上に厚くなるのを防止することができる。
なお、第1接着層13は、導光板11よりも屈折率が低い層であれば、接着機能以外の機能(例えば粘着機能)を有する層であってもよい。
(第2接着層および光吸収層)
次に、第2接着層16および光吸収層15について詳述する。
図16は、図3に示す反射型表示装置1の部分拡大図であって、特に第1接着層13、第2接着層16、光源14および光吸収層15の位置関係を示す図である。なお、図16に示す矢印は、図3に示す光路の例をさらに詳述に示したものである。
第2接着層16は、導光板11と光吸収層15との間に介挿され、これらを接着している。
第2接着層16を構成する接着剤としては、例えば、硬化後に光透過性を有する接着剤の中から適宜選択される。また、光学粘着シート(OCA)のような粘着フィルムを用いるようにしてもよい。
第2接着層16の硬化後の屈折率は、導光板11の屈折率より低いことが好ましい。これにより、導光板11に対して第1接着層13が接していても、導光板11における光L1および光L2の伝搬特性が確保される。
一方、第2接着層16の上側(導光板11とは反対側)には光吸収層15が設けられている。
光吸収層15は、光吸収性を有しているため、導光板11から第2接着層16に漏れ出た光L1を吸収することが可能である。
具体的には、導光板11を平面視したとき、第2接着層16(第2低屈折率層)は、第1接着層13(第1低屈折率層)よりも光源14側に設けられている(図16参照)。また、光吸収層15は、第2接着層16の上側(導光板11とは反対側)に設けられているため、光吸収層15についても第1接着層13より光源14側に位置している(図16参照)。
このように第2接着層16と光吸収層15とが光源14側に位置していると、光源14から出射して導光板11に入射した光L1のうち、導光板11と第2接着層16との界面に対する入射角(表面の法線と光路とのなす角度)が小さい光L1’が、第2接着層16に漏れ出し、さらに光吸収層15に到達する。その結果、この光L1’は光吸収層15に吸収され、導光板11に戻ることが抑制される。すなわち、従来であれば図16に破線で示すような光路を辿る光L1’について、光吸収層15で吸収することができる。
これにより、光L1’が第1接着層13を介して表示パネル12へと伝搬されることが抑制される。その結果、表示パネル12のうち、光源14に近いほど照度が高くなる問題(照度ムラ)の発生を抑制することができる。すなわち、表示パネル12をより均一な照度で照明可能な照明装置10が得られる。そして、観察者に違和感を与えにくく、審美性が高い反射型表示装置1が得られる。
なお、「第2接着層16が第1接着層13よりも光源14側に設けられている」とは、導光板11を平面視したとき、第2接着層16の少なくとも一部が第1接着層13よりも光源14側に位置していることを指す。したがって、本実施形態の場合、導光板11が円形をなしているとともに、その端面に入光面114が存在することから、第2接着層16の少なくとも一部が第1接着層13よりも外縁側に位置していればよいことになる。その場合、好ましくは、図1、3に示すように、導光板11の全周にわたって、第1接着層13よりも第2接着層16の少なくとも一部が外縁側に位置していることが好ましい。これは、本実施形態の場合、外周部116があたかもリング状の光源としてみなすこともできるためである。したがって、導光板11の全周にわたってそのような位置関係が満たされることで、導光板11の全周にわたって光L1’をいち早く光吸収層15で捉えることができる。このため、光L1’が表示パネル12へと伝搬される確率をより低く抑えることが可能になり、照度ムラの発生をより確実に抑制することができる。
また、第2接着層16として導光板11よりも屈折率の低いものを用いることで、光L1のうち、導光板11と第2接着層16との界面に対する入射角が小さい光L1’のみを第2接着層16側に導く一方、入射角が大きいものについては界面で反射され、導光板11を伝搬し続ける。したがって、導光板11を伝搬する光L1の光量の減少を抑えつつ、照度ムラを発生させやすい光L1’を選択的に第2接着層16に導くことができる。その結果、表示パネル12に対する十分な照度を確保しつつ、照度ムラの発生を抑制することができる。
導光板11と第2接着層16の硬化物との屈折率差は、特に限定されないが、一例として0.01以上0.7以下であるのが好ましく、0.03以上0.5以下であるのがより好ましい。屈折率差を前記範囲内に設定することにより、前述した照度ムラを発生させやすい光L1’を選択的に第2接着層16に導くことができる。併せて、第2接着層16側に移行することなく導光板11を伝搬する光量も一定量確保することができる。したがって、表示パネル12における十分な照度と照度ムラの抑制とを両立させることができる。
第1接着層13と第2接着層16は、それぞれ屈折率が導光板11よりも低くなるように設定されるが、好ましくは以下の関係を満たすように設定される。
第1接着層13(第1低屈折率層)の屈折率をn1とし、第2接着層16(第2低屈折率層)の屈折率をn2としたとき、n2≧n1の関係を満たすことが好ましい。これにより、照度ムラの発生を招きやすい光L1’をより高い確率で第2接着層16に導くことができる。その結果、上述したような表示パネル12における十分な照度と照度ムラの抑制との両立という効果をより確実に得ることができる。
なお、前記関係を満たさない場合には、照度ムラの発生を招きやすい光L1’が導光板11と第2接着層16との界面で反射され、第1接着層13側に移行する確率が高くなるおそれがある。この場合、照度ムラが発生するおそれがある。
このとき、屈折率n2と屈折率n1との差は、特に限定されないが、0.2以下であるのが好ましく、0.1以下であるのがより好ましい。
また、第2接着層16および光吸収層15は、図4に示すように、外周部116と重なる位置に設けられている。換言すれば、導光板11を平面視したとき、第2接着層16および光吸収層15は、光源14から出射された光L1が外縁に沿って伝搬し得る導光路と重なる位置に設けられている。これにより、光源14の近傍のみならず、外周部116の全体において、照度ムラを発生させやすい光L1’を選択的に第2接着層16に導くという効果を享受することができる。すなわち、外周部116を伝搬する光L1から照度ムラを発生させやすい光L1’を効果的に除去することができる。その結果、照度ムラの発生を抑制するという効果がより増強されることとなる。
さらには、外周部116を伝搬する光L1が上面から漏れ出すことが防止されるため、かかる漏れ光が反射型表示装置1の観察者の目に届いてしまうことが防止される。これにより、意図しない光を視認してしまうことによる表示品位の低下を防止することができる。
なお、外周部116(導光路)と重なるとは、導光板11を平面視したとき、第2接着層16および光吸収層15と外周部116との間に重なっている領域が存在している状態をいう。したがって、第2接着層16および光吸収層15は、その一部が内周部117とも重なっていてもよい。
また、導光板11を平面視したとき、第1接着層13と第2接着層16は、互いに重なっている部分があってもよいが、好ましくは互いにずれているように配置される。これにより、第2接着層16および光吸収層15において照度ムラの発生を招きやすい光L1’を除去する、という効果がより確実に発揮されることとなる。すなわち、互いにずれていることで、光L1がまず先に、導光板11と第2接着層16との界面に到達する確率が高くなるため、前述したような効果を享受しやすくなる。
また、本実施形態では、第1接着層13が導光板11の下面側(一方の主面側)に設けられているのに対し、第2接着層16が導光板11の上面側(他方の面側)に設けられている。すなわち、第1接着層13と第2接着層16とが導光板11を介して互いに反対側に設けられている。これにより、双方が干渉しにくくなるため、照明装置10の組み立てが容易になるという利点がある。また、干渉を防止するためには表示パネル12の余白部分、すなわち表示に関与しない領域を拡大する必要があるが、かかる干渉が回避されることにより、余白部分の拡大が防止され、例えば反射型表示装置1(照明装置10)のベゼルの縮小を図ることができる。
一方、第1接着層13と第2接着層16とが、導光板11の同じ主面側に設けられていてもよい。この場合、上記のような効果は得られないものの、照明装置10の薄型化を図ることができる。
なお、導光板11は、第1接着層13よりも面積が大きくなるように設定されるのが好ましい。これにより、導光板11のうち、第1接着層13からはみ出す部分が生じることとなる。このはみ出した部分に第2接着層16を配置することによって、全体の小型化を図りつつ、前述したような照度ムラの発生を抑制するという効果を享受することができる。その結果、例えば小型でかつ高品位な表示が可能な反射型表示装置1が得られる。
第2接着層16の構成材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。
また、光吸収層15の構成材料としては、例えば、光吸収材を含む各種樹脂材料が挙げられる。このうち、光吸収材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料、酸化クロム、酸化鉄のような金属酸化物、各種顔料、各種染料等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものが用いられる。また、これらの光吸収材を分散させる分散媒となる樹脂材料としては、特に限定されず、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、トリアセテート、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられる。
第2接着層16の厚さは、特に限定されないが、0.01mm以上0.5mm以下であるのが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下であるのがより好ましい。第2接着層16の厚さを前記範囲内に設定することにより、導光板11と光吸収層15との間を十分な強度で接着することができる。また、照明装置10が必要以上に厚くなるのを防止することができる。
また、光吸収層15の厚さも、特に限定されないが、0.01mm以上0.5mm以下であるのが好ましく、0.03mm以上0.2mm以下であるのがより好ましい。光吸収層15の厚さを前記範囲内に設定することにより、光吸収層15において十分な光吸収性が確保されるため、上述したような効果をより確実に得ることができる。また、照明装置10が必要以上に厚くなるのを防止することができる。
なお、導光板11と第1接着層13との間、および、導光板11と第2接着層16との間には、それぞれ上述した効果を損なわないことを条件に、任意の中間層が介在していてもよい。
また、第2接着層16は、導光板11よりも屈折率が低い層であれば、接着機能以外の機能(例えば粘着機能)を有する層であってもよい。
(光源)
光源14は、導光板11に向けて光L1を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えばLED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、冷陰極管等が挙げられる。
また、複数の光源14が設けられてもよい。
また、光源14と導光板11との間に任意の光学要素が設けられていてもよい。かかる光学要素としては、例えばレンズ、プリズム、拡散板等が挙げられる。
(その他の構成部品)
反射型表示装置1は、上述した各部の他に、任意の構成部品を備えていてもよい。
例えば、反射型表示装置1は、フレキシブル回路基板、リジッド回路基板のような各種回路基板を備えていてもよい。かかる回路基板には、コネクター、電子部品等が搭載されていてもよい。電子部品としては、例えば、発振回路や分周回路等の計時回路を含む制御素子、各種演算素子(CPU(Central Processing Unit)、LSI(Large-Scale Integration)等)のような能動素子、コンデンサー、抵抗、ダイオード、コイルのような受動素子等が挙げられる。
また、反射型表示装置1は、太陽電池、一次電池、二次電池、操作ボタン、アンテナ、センサー素子、モーター等を備えていてもよい。
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。本実施形態に係る電子機器は、前記実施形態に係る反射型表示装置を備えている。
図17は、本発明の電子機器の実施形態を適用した腕装着型電子機器を示す平面図である。
図17に示す腕装着型電子機器100は、本体部120と、本体部120に内蔵された図示しない時計機構と、バンド部130と、を備えている。
また、本体部120には図示しない機器ケース部材が含まれるとともにその内側には表示部140が内蔵されており、例えば現在の日時や位置情報等を表示している。かかる表示部140は、前記実施形態に係る反射型表示装置1である。このため、暗所であっても表示内容を視認することができ、しかもその際、一部の領域が特異的に照明されてしまうことによる不具合の発生が抑えられることによって、高品位な表示が可能である。その結果、例えば視認性および演出性が良好な腕装着型電子機器100が得られる。
また、前述した反射型表示装置1に含まれる溝115は、本体部120の機器ケース部材によって覆われていることが好ましい。これにより、溝115から発生した漏洩光が観察者の目に届くのを防止することができる。その結果、漏洩光による反射型表示装置1の表示品位の低下を防止することができる。
なお、溝115を覆う部材は、機器ケース部材に限定されず、例えば太陽電池やダイヤルリング等の部材であってもよい。
一方、腕装着型電子機器100は、衛星測位システムの一種であるGPS(Global Positioning System)アンテナや時刻修正用の標準電波受信アンテナ等を内蔵していてもよい。
なお、本発明の電子機器は、上記の他にも、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、電子ペーパー、ウェアラブル端末、カメラ、フォトフレーム、各種計器類(例えば自動車、鉄道車両、航空機等)、各種リモートコントローラー(リモコン)、デジタルサイネージ等の各種機器に適用可能である。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、導光板、照明装置、反射型表示装置および電子機器では、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができ、また、他の任意の構成を付加することもできる。