JP2019066132A - 多パス型熱交換器およびそれを用いた冷凍システム - Google Patents

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一彦 丸本
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憲昭 山本
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崇裕 大城
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Abstract

【課題】伝熱流路を流れる冷媒の気液バランスを確保して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムの提供。【解決手段】一対のヘッダ流路A8、B10と、このヘッダ流路A8、B10の間に設けた多数の冷媒流路11と、蒸発条件時に入り口側となるヘッダ流路B10内に設けた分流制御管20とを備え、上記分流制御管20には長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に複数の開口22a、22bを設けた構成としてある。これにより、分流制御管20に流入した冷媒は、上面の開口22aから気相、下面の開口22bから液相が流出してヘッダ流路A8内で混合するので、冷媒流路には気相と液相が混合された状態の気液混合冷媒が流れるようになる。したがって、冷媒流路を流れる冷媒の気液バランスを確保して熱交換ムラを解消し熱交換性能を向上させることができる。【選択図】図5

Description

本発明は一対のヘッダ流路の間に多数の伝熱流路を設けた多パス型熱交換器とそれを用いた冷凍システムに関する。
一般に空気調和機や冷凍機等の冷凍システムは、圧縮機によって圧縮した冷媒を凝縮器や蒸発器等の熱交換器に循環させ第2流体と熱交換させて冷房もしくは暖房等を行うが、前記熱交換器の熱交換効率によってシステムとしての性能や省エネ性が大きく左右される。従って、熱交換器は高効率化が強く求められている。
この熱交換器の高効率化は、熱交換器の出入り口となる一対のヘッダ流路の間の伝熱流路を細径化することによって進められているが、更に、その伝熱流路数、すなわちパス数を多くすることによっても進められている。
しかしながら、上記熱交換器はヘッダ流路から伝熱流路に流れる冷媒の気液バランスが崩れると伝熱流路数を多くしたこと等による熱交換効率の向上効果を相殺してしまう。
そのため、従来、熱交換器は冷媒の入り口側となるヘッダ流路に分流制御管を設け、分流制御管によってヘッダ流路から伝熱流路へ流れる冷媒の気液バランスを確保する構成がとられていた(例えば、特許文献1参照)。
図12は上記特許文献1に記載されている熱交換器ユニットを示し、この熱交換器ユニットの各熱交換器101は、出入り口となる一対のヘッダ流路102、102の間に、伝熱流路を有する複数の伝熱チューブ103を設けて構成してある。そして、前記ヘッダ流路102、102のうち入り口となるヘッダ流路102の中に分流制御用の多孔管104を設け、この多孔管104の下部に多数の分配孔105が形成してある。
上記構成の熱交換器は、分配孔105が下向きに形成されていることにより、多孔管104に流入した気液二相の冷媒は、ヘッダ流路102の内面と多孔管104の外面とで囲まれた環状領域、つまりヘッダ流路102内の冷媒流通用間隙106にある冷媒の液膜が多孔管104の底から噴出される気泡により攪拌され、その作用が入口乾き度や流量にかかわらず所望に得られることにより、冷媒の均等分配が実現される、というものである。
特許第6104893号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている熱交換器は、多孔管104内に流入する冷媒流れが波状流、層状流状態となった場合、重力の影響や気相液相の流速差の影響を受けて多孔管104内の入口(上流)側部分では下部が液相、上部に気相という状態になっている。したがって多孔管104の上流側部分の分配孔105からは液相のみがヘッダ流路102内の冷媒流通用間隙106、すなわちヘッダ流路102の内面と多孔管104の外面との間の環状領域に流出することになる。
そのため、ヘッダ流路102内の冷媒流通用間隙106、すなわちヘッダ流路102の
内面と多孔管105の外面との間の環状領域の上流側部分で液相が多くなりがちであった。
したがって、上記従来の熱交換器は、多孔管105を設ける前に比べるとヘッダ流路102、102の内面と多孔管104の外面との間の環状領域での冷媒の気液の偏りは改善されるものの、さらなる改善の余地が残るものであった。
本発明はこのような点に鑑み鋭意検討してなしたもので、気液の偏りを更に改善して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムの提供を目的としたものである。
本発明は、上記目的を達成するため、外部から流体を導入し排出するための出入り口を有する一対のヘッダ流路と、前記一対のヘッダ流路の間に設けた多数の伝熱流路と、蒸発条件時に入り口側となるヘッダ流路内に設けた分流制御管とを備え、上記分流制御管には長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に複数の開口を設けた構成としてある。
これにより、分流制御管に流入した冷媒の流れが波状流、層状流の時、上流側では従来と同様下面に設けた開口から液相が流出するが、更に上面に設けた開口からは気相が流出し、この気相が前記液相と分流制御管の外面とヘッダ流路の内面との間の環状領域で混合して伝熱流路へと流れるようになる。したがって、分流制御管の上流側での液相の偏りを解消し分流制御管の長手方向略全域にわたって冷媒の気液バランスの偏りを抑制し、伝熱流路での熱交換性能を向上させることができる。
本発明は、上記構成により、伝熱流路を流れる冷媒の気液バランスの偏りを抑制して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムを提供することができる。
本発明の実施の形態1における多パス型熱交換器のユニットを示す構成説明図 同熱交換ユニットの多パス型熱交換器を分離した状態で示す分解斜視図 同多パス型熱交換器の分流制御管を取り外した状態で示す斜視図 同多パス型熱交換器の分流制御管部分を示す斜視図 同多パス型熱交換器の冷媒流れを説明する概略断面図 同多パス型熱交換器を構成する伝熱フィンの平面図 同熱交換ユニットの熱交換器を構成する伝熱フィンの構成の一部を拡大して示す分解図 同熱交換ユニットの熱交換器における伝熱流路群部分を切断して示す斜視図 同熱交換ユニットの熱交換器におけるヘッダ流路部分を切断して示す斜視図 本発明の多パス型熱交換器を用いた実施の形態2における空気調和機の冷凍サイクル図 同空気調和機の概略断面図 従来の熱交換器の断面図
第1の発明の熱交換器は、外部から流体を導入し排出するための出入り口を有する一対のヘッダ流路と、前記一対のヘッダ流路の間に設けた多数の伝熱流路と、蒸発条件時に入り口側となるヘッダ流路内に設けた分流制御管とを備え、上記分流制御管には長手方向に
沿ってその下面及び上面の双方に複数の開口を設けた構成としてある。
これにより、分流制御管に流入した冷媒の流れが波状流、層状流の時、上流側では従来と同様下面に設けた開口から液相が流出するが、更に上面に設けた開口からは気相が流出し、この気相が前記液相と分流制御管の外面とヘッダ流路の内面との間の環状領域で混合して伝熱流路へと流れるようになる。したがって、分流制御管の上流側での液相の偏りを解消し分流制御管の長手方向略全域にわたって冷媒の気液バランスの偏りを抑制し、伝熱流路での熱交換性能を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記熱交換器は、入口及び出口のヘッダ流路を有するヘッダ領域と、この入口及び出口のヘッダ流路を繋ぐ複数の伝熱流路を有する流路領域と、を備え、かつ、前記流路領域の伝熱流路を凹状溝によって形成した伝熱フィンを積層して構成した伝熱フィン積層熱交換器としてある。
これにより、入口及び出口のヘッダ流路の間の伝熱流路を細径化するとともに伝熱流路のパス数を多くして熱交換効率を向上させることができ、分流制御管による熱交換バランスの偏り防止効果と合わせてより高い熱交換性能を発揮する熱交換器とすることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記分流制御管に設けた開口は丸孔とした構成としてある。
これにより、分流制御管の開口を容易に形成することができ、生産性を向上することができる。
第4の発明は、第1または第2の発明において、前記分流制御管に設けた開口はスリットとした構成としてある。
これにより、分流制御管からヘッダ流路内に流出する冷媒の気液バランス改善をヘッダ流路の長手方向全域にわたって連続的なものとすることができ、より熱交換性能の高い熱交換器とすることができる。
第5の発明は冷凍システムであり、この冷凍システムは冷凍サイクルを構成する熱交換器を前記第1〜第4のいずれかの発明に記載の熱交換器としたものである。
これにより、この冷凍システムは、熱交換器の熱交換効率が高いので、省エネ性の高い高性能な冷凍システムとすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、本開示の熱交換器は、以下の実施形態に記載した伝熱フィン積層型熱交換器の構成に限定されるものではなく、以下の実施形態において説明する技術的思想と同等の熱交換器の構成を含むものである。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における多パス型熱交換器のユニットを示す構成説明図、図2は同熱交換ユニットの多パス型熱交換器を分離した状態で示す分解斜視図、図3は同多パス型熱交換器の分流制御管を取り外した状態で示す斜視図、図4は同多パス型熱交換器の分流制御管部分を示す斜視図、図5は同多パス型熱交換器の冷媒流れを説明する概略断面図、図6は同多パス型熱交換器を構成する伝熱フィンの平面図、図7は同熱交換ユニ
ットの熱交換器を構成する伝熱フィンの構成の一部を拡大して示す分解図、図8は同熱交換ユニットの熱交換器における伝熱流路群部分を切断して示す斜視図、図9は同熱交換ユニットの熱交換器におけるヘッダ流路部分を切断して示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態では、複数の多パス型熱交換器1、この例では二つの多パス型熱交換器(以下、単に熱交換器と称す)1、1を左右に並設し、そのそれぞれの冷媒回路は並列に接続してユニット化してある。
上記ユニット化した熱交換器1は、伝熱フィン積層型熱交換器で構成してあり、図2〜図9に示すように、長方形の板状である複数の伝熱フィン2aを積層して構成された伝熱フィン積層体2と、蒸発器として用いる場合には入口となり凝縮器として用いる場合は出口となる管B5及びその逆となる管A4とを有している。
また、伝熱フィン積層体2の積層方向の両側(図2では左側及び右側)には、伝熱フィン2aと平面視が略同一形状の平板からなるエンドプレート3a、3bが設けられている。エンドプレート3a、3bは、剛性を有する板材で形成されており、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材を研削により金属加工して形成されている。
なお、上記エンドプレート3a、3b、複数の伝熱フィン2aは積層された状態でロウ付け接合されて一体化している。
また、本実施の形態では、上記伝熱フィン積層体2の両側のエンドプレート3a、3bは、ボルト・ナット若しくはカシメピン軸等の連結手段9によってその長手方向両端部が連結固定されている。すなわち、伝熱フィン積層体両側のエンドプレート3a、3bは伝熱フィン積層体2を挟持した形で伝熱フィン積層体2を機械的に連結固定した形となっている。
また、上記伝熱フィン2aは、後述するように、内部に第1流体である冷媒が流れる複数の並行した伝熱流路群を有しており、この伝熱流路群は略U字状に形成されていて、これと繋がる前記管A4、管B5は、伝熱フィン積層体2の一方側(図2では右側)のエンドプレート3aの一端部側に纏めて配置されている。
詳述すると、上記伝熱フィン2aは、図6に示すように、複数の並行した伝熱流路(以下、冷媒流路と称す)11とこれに繋がるヘッダ流路A8およびヘッダ流路B10を形成した一対の板状部材6a、6b(図7参照)を向い合せにロウ付け接合して構成してあり、複数の冷媒流路11は略U字状に形成されていてこれに繋がるヘッダ流路A8とヘッダ流路B10とが一端部側に纏まった形となっている。
そして、上記構成の伝熱フィン2aは、図8、図9に示すように多数積層して熱交換器の主体をなす伝熱フィン積層体2を構成しており、各伝熱フィン2a同士の間には当該伝熱フィン2aの長辺両端部及び冷媒流路11間に適宜設けた複数の突起12(図6参照)によって第2流体である空気が流れる隙間を形成している。
なお、冷媒流路11は板状部材6a、6bに凹状溝によって形成してあり、容易に細径化できるようになっている。
また、冷媒流路11のうちヘッダ流路A8に繋がるヘッダ流路A側冷媒流路11aとヘッダ流路B10に繋がるヘッダ流路B側冷媒流路11bとの間にはこれら両者間の熱移動を防止すべくスリット溝15が形成してある。
さらにこの例では、上記ヘッダ流路A側冷媒流路11aは本数を多くし図6に示すようにヘッダ流路A8の通路部14と対向する部分は冷媒流路のない無孔部16としてヘッダ流路A8から各ヘッダ流路A側冷媒流路11aへと流れる冷媒が無孔部16の壁部に衝突して各ヘッダ流路A側冷媒流路11aへ均等に流れるように構成してある。
上記のように構成された本実施形態の熱交換器1は、冷媒が伝熱フィン積層体2の各伝熱フィン2aの内部の冷媒流路11群を長手方向に並行に流れUターンして折り返しヘッダ流路A8或いはヘッダ流路B10から管A4あるいは管B5を通して排出される。一方、第2流体である空気は、伝熱フィン積層体2を構成する伝熱フィン2aの積層間に形成された隙間を通り抜ける。これにより第1流体である冷媒と第2流体である空気との熱交換が行われる。
ここで、上記構成の伝熱フィン積層体2を主体としたこの熱交換器は、図3〜図5に示すように、蒸発器として用いる場合には入口側となるヘッダ流路B10に冷媒の分流制御管20が設けられている。
この分流制御管20は、ヘッダ流路B10内に挿設してあり、その先端部は閉塞した状態となっている。そして、上記分流制御管20は図5に示すようにヘッダ流路B10の内径より小径の管で構成してヘッダ流路B10の内面と分流制御管20の外面との間に環状領域、つまり冷媒流通用間隙21を形成しており、この冷媒流通用間隙21に開口するように長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に丸孔からなる複数の開口22a、22bが設けてある。上記開口22a、22bは分流制御管20の長手方向に略等間隔に形成してあり、開口22aは略鉛直上方、22bは略鉛直下方に向けて設置してある。
以上のように構成した熱交換器について、以下その作用効果について説明する。
冷媒は、熱交換器が蒸発条件で使用されている時、管B5から気液二相状態で伝熱フィン積層体2の入り口側のヘッダ流路B10に設けた分流制御管20内に流入する。分流制御管20内に流入した冷媒は分流制御管20の上下両面部分に設けた開口22a、22bから冷媒流通用間隙21に流入し、この冷媒流通用間隙21から各伝熱フィン2aの冷媒流路11群へ流れる。各伝熱フィン2aの冷媒流路11群に流れた冷媒はヘッダ流路AB8を介して気相状態で管A4より冷凍システムの冷媒回路へと流出する。
そして、上記冷媒流路11を流れる際に冷媒は前記伝熱フィン積層体2の伝熱フィン2a積層間を通り抜ける空気と熱交換する。
ここで、上記熱交換器の分流制御管20内に流入した冷媒は、既述したように重力の影響や気相と液相との流速差の影響等を受けて波状、層状流状態となり、図5に示すように入口(上流)側部分では下部に液相、上部に気相という状態になっている。
しかしながら、上記分流制御管20にはその上下両面に開口22a、22bが設けてあるから、ヘッダ流路B10の内面と分流制御管20の外面との間の冷媒流通用間隙21に流れた冷媒は上流から下流にわたって気液が混合した状態のものとなる。
詳述すると、上記分流制御管20の上流側では管内下部の液相が下面に設けた開口22aから冷媒流通用間隙21内に流れるが、これとともに管内上部の気相が上面の開口22aから冷媒流通用間隙21に流れる。そして、この気相が前記液相と混合し、気液混合状態となる。これによって、ヘッダ流路A8内の冷媒流通用間隙21に流れた冷媒は上流から下流にわたってほぼ同じ状態で気液が混合した冷媒となり、ヘッダ流路A8から冷媒流
通用間隙21へ流れる冷媒を略均等に分配し、冷媒流路11部分における熱交換効率のバラつきを抑制してその熱交換性能を向上させることができる。
また、上記分流制御管20に設けた開口22a、22bは丸孔で構成してあるから、開口22a、22bの形成もドリル等によって容易に行うことができる。
なお、上記開口22a、22bは丸孔に限られるものではなく四角、三角等の多角形孔としてもよいものである。
また、本実施の形態では、上記熱交換器は、入口及び出口の一対のヘッダ流路A8、B10を有するヘッダ領域Hと、この入口及び出口のヘッダ流路A8、B10の間に冷媒が並行に流れる複数の冷媒流路11を有する流路領域Pと、を備え、かつ、前記流路領域Pの冷媒流路11を凹状溝によって形成した伝熱フィン2aを積層して構成した伝熱フィン積層熱交換器としてあるから、分流制御管20による熱交換バランスの偏り防止効果と合わさった形の高い熱交換性能を発揮する熱交換器とすることができる。
即ち、この伝熱フィン積層熱交換器は凹状溝によって冷媒流路11を形成しているので、入口及び出口のヘッダ流路A8、ヘッダ流路B10の間の冷媒流路11を容易に細径化することができ、しかも積層するフィンの数に応じて冷媒流路11のパス数を多くすることもでき、熱交換効率を大きく向上させることができる。したがって、分流制御管20による熱交換バランスの偏り防止効果と合わせて高い熱交換性能を発揮する熱交換器とすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、図示はしないが分流制御管20に設けた開口22a、22bをスリットとしたものである。その他の構成は実施の形態1と同様である。
この実施の形態のように開口22a、22bをスリットとした場合、分流制御管20から流出して冷媒流通用間隙21内で行われる冷媒の気相と液相との混合はヘッダ流路A8の長手方向全域にわたって切れ目なく連続して行われる形となる。
したがって、実施の形態1で例示した伝熱フィン積層型熱交換器のようにヘッダ流路B10に繋がる冷媒流路11がヘッダ流路B10の長手方向に密集配列されたようなものであっても、冷媒流路群のすべての冷媒流路11に対し気相と液相を混合した状態の気液混合冷媒をムラなく分配することができる。
すなわち、実施の形態1のように分流制御管20に設けた開口22a、22bを独立した孔形状とすると、この開口22a、22bから流出した気相と液相が混合する気液混合冷媒は、開口22a、22bに対向する箇所、つまり部分的なものとなって、開口22a、22b同士の間に位置する冷媒流路11には気相もしくは液相が偏った形で流れがちになる。
しかしながら本実施の形態2のように開口22a、22bをスリットとすれば分流制御管20の全域にわたって気相と液相が混合された形となるので、気相もしくは液相が偏った状態で冷媒流路11に流れるのを抑制でき、すべての冷媒流路11に対し気相と液相が混合した気液混合冷媒をムラなく分配することができるのである。
これにより、冷媒流路11部分での熱交換ムラを更に低減して熱交換性能を向上させることができる。
(実施の形態3)
この実施の形態3は、先に示した実施の形態1、2におけるいずれかの熱交換器を用いて構成した冷凍システムである。
図10は空気調和機の冷凍サイクル図、図11は同空気調和機の室内機を示す概略断面図である。
図10、図11において、この空気調和装置は、室外機51と、室外機51に接続された室内機52から構成されている。室外機51には、冷媒を圧縮する圧縮機53、冷房暖房運転時の冷媒回路を切り替える四方弁54、冷媒と外気の熱を交換する室外熱交換器55、冷媒を減圧する減圧器56、室外送風機59が配設されている。また、室内機52には、冷媒と室内空気の熱を交換する室内熱交換器57と、室内送風機58とが配設されている。そして、前記圧縮機53、四方弁54、室内熱交換器57、減圧器56、室外熱交換器55を冷媒回路で連結してヒートポンプ式冷凍サイクルを形成している。
本実施形態による冷媒回路には、テトラフルオロプロペンまたはトリフルオロプロペン、ジフルオロメタンまたはペンタフルオロエタンまたはテトラフルオロエタンを、単体、もしくはそれぞれ2成分混合または3成分混合した冷媒を使用している。
上記空気調和機は、冷房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室外熱交換器55とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通って室外熱交換器55に送られる。そして、外気と熱交換して放熱し、高圧の液冷媒となり、減圧器56に送られる。減圧器56では減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室内機52に送られる。室内機52では、冷媒は室内熱交換器57に入り室内空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温のガス冷媒となる。この時室内空気は冷却されて室内を冷房する。さらに冷媒は室外機51に戻り、四方弁54を経由して圧縮機53に戻される。
暖房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室内機52とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通り、室内機52に送られる。高温高圧の冷媒は室内熱交換器57に入り、室内空気と熱交換して放熱し、冷却され高圧の液冷媒となる。この時、室内空気は加熱されて室内を暖房する。その後、冷媒は減圧器56に送られ、減圧器56において減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室外熱交換器55に送られて外気と熱交換して蒸発気化し、四方弁54を経由して圧縮機53へ戻される。
上記のように構成された空気調和機は、その室外熱交換器55或いは室内熱交換器57の一方もしくは双方に前記各実施の形態で示した熱交換器を使用することにより、高い熱交換効率を発揮することになり、省エネ性の高い高性能な冷凍システムとすることができる。
以上、本発明に係る熱交換器およびそれを用いた冷凍システムについて、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、熱交換器は伝熱フィン積層型熱交換器で説明したが、これは出入り口となる一対のヘッダパイプの間に伝熱チューブを設けた形態の熱交換器であってもよいものである。つまり、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、伝熱流路を流れる冷媒の気液バランスの偏りを抑制して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムとすることができる。よって、家庭用及び業務用エアコン等に用いる熱交換器や各種冷凍機器等に幅広く利用でき、その産業的価値は大なるものがある。
1 多パス型熱交換器(熱交換器)
2 伝熱フィン積層体
2a 伝熱フィン
3、3a、3b エンドプレート
4 管A
5 管B
6a 第1板状部材
6b 第2板状部材
8 ヘッダ流路A
9 連結手段
10 ヘッダ流路B
11 冷媒流路(第1流体流路)
11a ヘッダ流路A側冷媒流路
11b ヘッダ流路B側冷媒流路
12 突起 14 通路部
15 スリット溝
16 無孔部
16a 壁部
20 分流制御管
21 冷媒流通用間隙
22a、22b 開口
本発明は一対のヘッダ流路の間に多数の伝熱流路を設けた多パス型熱交換器とそれを用いた冷凍システムに関する。
一般に空気調和機や冷凍機等の冷凍システムは、圧縮機によって圧縮した冷媒を凝縮器や蒸発器等の熱交換器に循環させ第2流体と熱交換させて冷房もしくは暖房等を行うが、前記熱交換器の熱交換効率によってシステムとしての性能や省エネ性が大きく左右される。従って、熱交換器は高効率化が強く求められている。
この熱交換器の高効率化は、熱交換器の出入り口となる一対のヘッダ流路の間の伝熱流路を細径化することによって進められているが、更に、その伝熱流路数、すなわちパス数を多くすることによっても進められている。
しかしながら、上記熱交換器はヘッダ流路から伝熱流路に流れる冷媒の気液バランスが崩れると伝熱流路数を多くしたこと等による熱交換効率の向上効果を相殺してしまう。
そのため、従来、熱交換器は冷媒の入り口側となるヘッダ流路に分流制御管を設け、分流制御管によってヘッダ流路から伝熱流路へ流れる冷媒の気液バランスを確保する構成がとられていた(例えば、特許文献1参照)。
図12は上記特許文献1に記載されている熱交換器ユニットを示し、この熱交換器ユニットの各熱交換器101は、出入り口となる一対のヘッダ流路102、102の間に、伝熱流路を有する複数の伝熱チューブ103を設けて構成してある。そして、前記ヘッダ流路102、102のうち入り口となるヘッダ流路102の中に分流制御用の多孔管104を設け、この多孔管104の下部に多数の分配孔105が形成してある。
上記構成の熱交換器は、分配孔105が下向きに形成されていることにより、多孔管104に流入した気液二相の冷媒は、ヘッダ流路102の内面と多孔管104の外面とで囲
まれた環状領域、つまりヘッダ流路102内の冷媒流通用間隙106にある冷媒の液膜が多孔管104の底から噴出される気泡により攪拌され、その作用が入口乾き度や流量にかかわらず所望に得られることにより、冷媒の均等分配が実現される、というものである。
特許第6104893号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている熱交換器は、多孔管104内に流入する冷媒流れが波状流、層状流状態となった場合、重力の影響や気相液相の流速差の影響を受けて多孔管104内の入口(上流)側部分では下部が液相、上部に気相という状態になっている。したがって多孔管104の上流側部分の分配孔105からは液相のみがヘッダ流路102内の冷媒流通用間隙106、すなわちヘッダ流路102の内面と多孔管104の外面との間の環状領域に流出することになる。
そのため、ヘッダ流路102内の冷媒流通用間隙106、すなわちヘッダ流路102の内面と多孔管105の外面との間の環状領域の上流側部分で液相が多くなりがちであった。
したがって、上記従来の熱交換器は、多孔管105を設ける前に比べるとヘッダ流路102、102の内面と多孔管104の外面との間の環状領域での冷媒の気液の偏りは改善されるものの、さらなる改善の余地が残るものであった。
本発明はこのような点に鑑み鋭意検討してなしたもので、気液の偏りを更に改善して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムの提供を目的としたものである。
本発明は、上記目的を達成するため、外部から流体を導入し排出するための出入り口を有する一対のヘッダ流路と、前記一対のヘッダ流路の間に設けた多数の伝熱流路と、蒸発条件時に入り口側となるヘッダ流路内に設けた分流制御管とを備え、上記分流制御管には長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に複数の開口を設けた構成としてある。
これにより、分流制御管に流入した冷媒の流れが波状流、層状流の時、上流側では従来と同様下面に設けた開口から液相が流出するが、更に上面に設けた開口からは気相が流出し、この気相が前記液相と分流制御管の外面とヘッダ流路の内面との間の環状領域で混合して伝熱流路へと流れるようになる。したがって、分流制御管の上流側での液相の偏りを解消し分流制御管の長手方向略全域にわたって冷媒の気液バランスの偏りを抑制し、伝熱流路での熱交換性能を向上させることができる。
本発明は、上記構成により、伝熱流路を流れる冷媒の気液バランスの偏りを抑制して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムを提供することができる。
本発明の実施の形態1における多パス型熱交換器のユニットを示す構成説明図 同熱交換ユニットの多パス型熱交換器を分離した状態で示す分解斜視図 同多パス型熱交換器の分流制御管を取り外した状態で示す斜視図 同多パス型熱交換器の分流制御管部分を示す斜視図 同多パス型熱交換器の冷媒流れを説明する概略断面図 同多パス型熱交換器を構成する伝熱フィンの平面図 同熱交換ユニットの熱交換器を構成する伝熱フィンの構成の一部を拡大して示す分解図 同熱交換ユニットの熱交換器における伝熱流路群部分を切断して示す斜視図 同熱交換ユニットの熱交換器におけるヘッダ流路部分を切断して示す斜視図 本発明の多パス型熱交換器を用いた実施の形態2における空気調和機の冷凍サイクル図 同空気調和機の概略断面図 従来の熱交換器の断面図
第1の発明の熱交換器は、外部から流体を導入し排出するための出入り口を有する一対のヘッダ流路と、前記一対のヘッダ流路の間に設けた多数の伝熱流路と、蒸発条件時に入り口側となるヘッダ流路内に設けた分流制御管とを備え、上記分流制御管には長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に複数の開口を設けた構成としてある。
これにより、分流制御管に流入した冷媒の流れが波状流、層状流の時、上流側では従来と同様下面に設けた開口から液相が流出するが、更に上面に設けた開口からは気相が流出し、この気相が前記液相と分流制御管の外面とヘッダ流路の内面との間の環状領域で混合して伝熱流路へと流れるようになる。したがって、分流制御管の上流側での液相の偏りを解消し分流制御管の長手方向略全域にわたって冷媒の気液バランスの偏りを抑制し、伝熱流路での熱交換性能を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記熱交換器は、入口及び出口のヘッダ流路を有するヘッダ領域と、この入口及び出口のヘッダ流路を繋ぐ複数の伝熱流路を有する流路領域と、を備え、かつ、前記流路領域の伝熱流路を凹状溝によって形成した伝熱フィンを積層して構成した伝熱フィン積層熱交換器としてある。
これにより、入口及び出口のヘッダ流路の間の伝熱流路を細径化するとともに伝熱流路のパス数を多くして熱交換効率を向上させることができ、分流制御管による熱交換バランスの偏り防止効果と合わせてより高い熱交換性能を発揮する熱交換器とすることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記分流制御管に設けた開口は丸孔とした構成としてある。
これにより、分流制御管の開口を容易に形成することができ、生産性を向上することができる。
第4の発明は、第1または第2の発明において、前記分流制御管に設けた開口はスリットとした構成としてある。
これにより、分流制御管からヘッダ流路内に流出する冷媒の気液バランス改善をヘッダ流路の長手方向全域にわたって連続的なものとすることができ、より熱交換性能の高い熱交換器とすることができる。
第5の発明は冷凍システムであり、この冷凍システムは冷凍サイクルを構成する熱交換器を前記第1〜第4のいずれかの発明に記載の熱交換器としたものである。
これにより、この冷凍システムは、熱交換器の熱交換効率が高いので、省エネ性の高い高性能な冷凍システムとすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、本開示の熱交換器は、以下の実施形態に記載した伝熱フィン積層型熱交換器の構成に限定されるものではなく、以下の実施形態において説明する技術的思想と同等の熱交換器の構成を含むものである。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における多パス型熱交換器のユニットを示す構成説明図、図2は同熱交換ユニットの多パス型熱交換器を分離した状態で示す分解斜視図、図3は同多パス型熱交換器の分流制御管を取り外した状態で示す斜視図、図4は同多パス型熱交換器の分流制御管部分を示す斜視図、図5は同多パス型熱交換器の冷媒流れを説明する概略断面図、図6は同多パス型熱交換器を構成する伝熱フィンの平面図、図7は同熱交換ユニットの熱交換器を構成する伝熱フィンの構成の一部を拡大して示す分解図、図8は同熱交換ユニットの熱交換器における伝熱流路群部分を切断して示す斜視図、図9は同熱交換ユニットの熱交換器におけるヘッダ流路部分を切断して示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態では、複数の多パス型熱交換器1、この例では二つの多パス型熱交換器(以下、単に熱交換器と称す)1、1を左右に並設し、そのそれぞれの冷媒回路は並列に接続してユニット化してある。
上記ユニット化した熱交換器1は、伝熱フィン積層型熱交換器で構成してあり、図2〜図9に示すように、長方形の板状である複数の伝熱フィン2aを積層して構成された伝熱フィン積層体2と、蒸発器として用いる場合には入口となり凝縮器として用いる場合は出口となる管B5及びその逆となる管A4とを有している。
また、伝熱フィン積層体2の積層方向の両側(図2では左側及び右側)には、伝熱フィン2aと平面視が略同一形状の平板からなるエンドプレート3a、3bが設けられている。エンドプレート3a、3bは、剛性を有する板材で形成されており、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材を研削により金属加工して形成されている。
なお、上記エンドプレート3a、3b、複数の伝熱フィン2aは積層された状態でロウ付け接合されて一体化している。
また、本実施の形態では、上記伝熱フィン積層体2の両側のエンドプレート3a、3bは、ボルト・ナット若しくはカシメピン軸等の連結手段9によってその長手方向両端部が連結固定されている。すなわち、伝熱フィン積層体両側のエンドプレート3a、3bは伝熱フィン積層体2を挟持した形で伝熱フィン積層体2を機械的に連結固定した形となっている。
また、上記伝熱フィン2aは、後述するように、内部に第1流体である冷媒が流れる複数の並行した伝熱流路群を有しており、この伝熱流路群は略U字状に形成されていて、これと繋がる前記管A4、管B5は、伝熱フィン積層体2の一方側(図2では右側)のエンドプレート3aの一端部側に纏めて配置されている。
詳述すると、上記伝熱フィン2aは、図6に示すように、複数の並行した伝熱流路(以下、冷媒流路と称す)11とこれに繋がるヘッダ流路A8およびヘッダ流路B10を形成した一対の板状部材6a、6b(図7参照)を向い合せにロウ付け接合して構成してあり、複数の冷媒流路11は略U字状に形成されていてこれに繋がるヘッダ流路A8とヘッダ流路B10とが一端部側に纏まった形となっている。
そして、上記構成の伝熱フィン2aは、図8、図9に示すように多数積層して熱交換器の主体をなす伝熱フィン積層体2を構成しており、各伝熱フィン2a同士の間には当該伝熱フィン2aの長辺両端部及び冷媒流路11間に適宜設けた複数の突起12(図6参照)によって第2流体である空気が流れる隙間を形成している。
なお、冷媒流路11は板状部材6a、6bに凹状溝によって形成してあり、容易に細径化できるようになっている。
また、冷媒流路11のうちヘッダ流路A8に繋がるヘッダ流路A側冷媒流路11aとヘッダ流路B10に繋がるヘッダ流路B側冷媒流路11bとの間にはこれら両者間の熱移動を防止すべくスリット溝15が形成してある。
さらにこの例では、上記ヘッダ流路A側冷媒流路11aは本数を多くし図6に示すようにヘッダ流路A8の通路部14と対向する部分は冷媒流路のない無孔部16としてヘッダ流路A8から各ヘッダ流路A側冷媒流路11aへと流れる冷媒が無孔部16の壁部に衝突して各ヘッダ流路A側冷媒流路11aへ均等に流れるように構成してある。
上記のように構成された本実施形態の熱交換器1は、冷媒が伝熱フィン積層体2の各伝熱フィン2aの内部の冷媒流路11群を長手方向に並行に流れUターンして折り返しヘッダ流路A8或いはヘッダ流路B10から管A4あるいは管B5を通して排出される。一方、第2流体である空気は、伝熱フィン積層体2を構成する伝熱フィン2aの積層間に形成された隙間を通り抜ける。これにより第1流体である冷媒と第2流体である空気との熱交換が行われる。
ここで、上記構成の伝熱フィン積層体2を主体としたこの熱交換器は、図3〜図5に示すように、蒸発器として用いる場合には入口側となるヘッダ流路B10に冷媒の分流制御管20が設けられている。
この分流制御管20は、ヘッダ流路B10内に挿設してあり、その先端部は閉塞した状態となっている。そして、上記分流制御管20は図5に示すようにヘッダ流路B10の内径より小径の管で構成してヘッダ流路B10の内面と分流制御管20の外面との間に環状領域、つまり冷媒流通用間隙21を形成しており、この冷媒流通用間隙21に開口するように長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に丸孔からなる複数の開口22a、22bが設けてある。上記開口22a、22bは分流制御管20の長手方向に略等間隔に形成してあり、開口22aは略鉛直上方、22bは略鉛直下方に向けて設置してある。
尚、上面に開けた開口の真下に下面の開口を開けても良いし、上面に開けた開口の真下からずれた位置に下面の開口を開けても良い。さらに、上面、下面の開口は同一ピッチでも良いし、異なっていても構わない。
以上のように構成した熱交換器について、以下その作用効果について説明する。
冷媒は、熱交換器が蒸発条件で使用されている時、管B5から気液二相状態で伝熱フィ
ン積層体2の入り口側のヘッダ流路B10に設けた分流制御管20内に流入する。分流制御管20内に流入した冷媒は分流制御管20の上下両面部分に設けた開口22a、22bから冷媒流通用間隙21に流入し、この冷媒流通用間隙21から各伝熱フィン2aの冷媒流路11群へ流れる。各伝熱フィン2aの冷媒流路11群に流れた冷媒はヘッダ流路AB8を介して気相状態で管A4より冷凍システムの冷媒回路へと流出する。
そして、上記冷媒流路11を流れる際に冷媒は前記伝熱フィン積層体2の伝熱フィン2a積層間を通り抜ける空気と熱交換する。
ここで、上記熱交換器の分流制御管20内に流入した冷媒は、既述したように重力の影響や気相と液相との流速差の影響等を受けて波状、層状流状態となり、図5に示すように入口(上流)側部分では下部に液相、上部に気相という状態になっている。
しかしながら、上記分流制御管20にはその上下両面に開口22a、22bが設けてあるから、ヘッダ流路B10の内面と分流制御管20の外面との間の冷媒流通用間隙21に流れた冷媒は上流から下流にわたって気液が混合した状態のものとなる。
詳述すると、上記分流制御管20の上流側では管内下部の液相が下面に設けた開口22aから冷媒流通用間隙21内に流れるが、これとともに管内上部の気相が上面の開口22aから冷媒流通用間隙21に流れる。そして、この気相が前記液相と混合し、気液混合状態となる。これによって、ヘッダ流路A8内の冷媒流通用間隙21に流れた冷媒は上流から下流にわたってほぼ同じ状態で気液が混合した冷媒となり、ヘッダ流路A8から冷媒流通用間隙21へ流れる冷媒を略均等に分配し、冷媒流路11部分における熱交換効率のバラつきを抑制してその熱交換性能を向上させることができる。
また、上記分流制御管20に設けた開口22a、22bは丸孔で構成してあるから、開口22a、22bの形成もドリル等によって容易に行うことができる。
なお、上記開口22a、22bは丸孔に限られるものではなく四角、三角等の多角形孔としてもよいものである。
また、本実施の形態では、上記熱交換器は、入口及び出口の一対のヘッダ流路A8、B10を有するヘッダ領域Hと、この入口及び出口のヘッダ流路A8、B10の間に冷媒が並行に流れる複数の冷媒流路11を有する流路領域Pと、を備え、かつ、前記流路領域Pの冷媒流路11を凹状溝によって形成した伝熱フィン2aを積層して構成した伝熱フィン積層熱交換器としてあるから、分流制御管20による熱交換バランスの偏り防止効果と合わさった形の高い熱交換性能を発揮する熱交換器とすることができる。
即ち、この伝熱フィン積層熱交換器は凹状溝によって冷媒流路11を形成しているので、入口及び出口のヘッダ流路A8、ヘッダ流路B10の間の冷媒流路11を容易に細径化することができ、しかも積層するフィンの数に応じて冷媒流路11のパス数を多くすることもでき、熱交換効率を大きく向上させることができる。したがって、分流制御管20による熱交換バランスの偏り防止効果と合わせて高い熱交換性能を発揮する熱交換器とすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、図示はしないが分流制御管20に設けた開口22a、22bをスリットとしたものである。その他の構成は実施の形態1と同様である。
この実施の形態のように開口22a、22bをスリットとした場合、分流制御管20か
ら流出して冷媒流通用間隙21内で行われる冷媒の気相と液相との混合はヘッダ流路A8の長手方向全域にわたって切れ目なく連続して行われる形となる。
したがって、実施の形態1で例示した伝熱フィン積層型熱交換器のようにヘッダ流路B10に繋がる冷媒流路11がヘッダ流路B10の長手方向に密集配列されたようなものであっても、冷媒流路群のすべての冷媒流路11に対し気相と液相を混合した状態の気液混合冷媒をムラなく分配することができる。
すなわち、実施の形態1のように分流制御管20に設けた開口22a、22bを独立した孔形状とすると、この開口22a、22bから流出した気相と液相が混合する気液混合冷媒は、開口22a、22bに対向する箇所、つまり部分的なものとなって、開口22a、22b同士の間に位置する冷媒流路11には気相もしくは液相が偏った形で流れがちになる。
しかしながら本実施の形態2のように開口22a、22bをスリットとすれば分流制御管20の全域にわたって気相と液相が混合された形となるので、気相もしくは液相が偏った状態で冷媒流路11に流れるのを抑制でき、すべての冷媒流路11に対し気相と液相が混合した気液混合冷媒をムラなく分配することができるのである。
これにより、冷媒流路11部分での熱交換ムラを更に低減して熱交換性能を向上させることができる。
(実施の形態3)
この実施の形態3は、先に示した実施の形態1、2におけるいずれかの熱交換器を用いて構成した冷凍システムである。
図10は空気調和機の冷凍サイクル図、図11は同空気調和機の室内機を示す概略断面図である。
図10、図11において、この空気調和装置は、室外機51と、室外機51に接続された室内機52から構成されている。室外機51には、冷媒を圧縮する圧縮機53、冷房暖房運転時の冷媒回路を切り替える四方弁54、冷媒と外気の熱を交換する室外熱交換器55、冷媒を減圧する減圧器56、室外送風機59が配設されている。また、室内機52には、冷媒と室内空気の熱を交換する室内熱交換器57と、室内送風機58とが配設されている。そして、前記圧縮機53、四方弁54、室内熱交換器57、減圧器56、室外熱交換器55を冷媒回路で連結してヒートポンプ式冷凍サイクルを形成している。
本実施形態による冷媒回路には、テトラフルオロプロペンまたはトリフルオロプロペン、ジフルオロメタンまたはペンタフルオロエタンまたはテトラフルオロエタンを、単体、もしくはそれぞれ2成分混合または3成分混合した冷媒を使用している。
上記空気調和機は、冷房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室外熱交換器55とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通って室外熱交換器55に送られる。そして、外気と熱交換して放熱し、高圧の液冷媒となり、減圧器56に送られる。減圧器56では減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室内機52に送られる。室内機52では、冷媒は室内熱交換器57に入り室内空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温のガス冷媒となる。この時室内空気は冷却されて室内を冷房する。さらに冷媒は室外機51に戻り、四方弁54を経由して圧縮機53に戻される。
暖房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室内機52とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通り、室内機52に送られる。高温高圧の冷媒は室内熱交換器57に入り、室内空気と熱交換して放熱し、冷却され高圧の液冷媒となる。この時、室内空気は加熱されて室内を暖房する。その後、冷媒は減圧器56に送られ、減圧器56において減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室外熱交換器55に送られて外気と熱交換して蒸発気化し、四方弁54を経由して圧縮機53へ戻される。
上記のように構成された空気調和機は、その室外熱交換器55或いは室内熱交換器57の一方もしくは双方に前記各実施の形態で示した熱交換器を使用することにより、高い熱交換効率を発揮することになり、省エネ性の高い高性能な冷凍システムとすることができる。
以上、本発明に係る熱交換器およびそれを用いた冷凍システムについて、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、熱交換器は伝熱フィン積層型熱交換器で説明したが、これは出入り口となる一対のヘッダパイプの間に伝熱チューブを設けた形態の熱交換器であってもよいものである。つまり、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、伝熱流路を流れる冷媒の気液バランスの偏りを抑制して熱交換性能を向上させた多パス型熱交換器とそれを用いた高性能な冷凍システムとすることができる。よって、家庭用及び業務用エアコン等に用いる熱交換器や各種冷凍機器等に幅広く利用でき、その産業的価値は大なるものがある。
1 多パス型熱交換器(熱交換器)
2 伝熱フィン積層体
2a 伝熱フィン
3、3a、3b エンドプレート
4 管A
5 管B
6a 第1板状部材
6b 第2板状部材
8 ヘッダ流路A
9 連結手段
10 ヘッダ流路B
11 冷媒流路(第1流体流路)
11a ヘッダ流路A側冷媒流路
11b ヘッダ流路B側冷媒流路
12 突起 14 通路部
15 スリット溝
16 無孔部
16a 壁部
20 分流制御管
21 冷媒流通用間隙
22a、22b 開口

Claims (5)

  1. 外部から流体を導入し排出するための出入り口を有する一対のヘッダ流路と、前記一対のヘッダ流路の間に設けた多数の伝熱流路と、蒸発条件時に入り口側となるヘッダ流路内に設けた分流制御管とを備え、上記分流制御管には長手方向に沿ってその下面及び上面の双方に複数の開口を設けた多パス型熱交換器。
  2. 熱交換器は、入口及び出口のヘッダ流路を有するヘッダ領域と、この入口及び出口のヘッダ流路の間に第1流体が並行に流れる複数の伝熱流路を有する流路領域と、を備え、かつ、前記流路領域の伝熱流路を凹状溝によって形成する伝熱フィンを積層して構成した伝熱フィン積層熱交換器とした請求項1に記載の多パス型熱交換器。
  3. 分流制御管に設けた開口は丸孔とした請求項1または2に記載の多パス型熱交換器。
  4. 分流制御管に設けた開口はスリットとした請求項1または2に記載の多パス型熱交換器。
  5. 冷凍サイクルを構成する熱交換器を前記請求項1〜第4のいずれか1項に記載の多パス型熱交換器とした冷凍システム。
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