JP2019063819A - 車体部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異種金属を連結してなる車体部品を製造する上で、連結部材を溶接前に一方の部材と一体化する工程をなくすことで作業性を向上させつつ、強固な連結を確保できる車体部品の製造方法を提供すること。【解決手段】抵抗溶接を行う一対の電極のうち、第1電極41の上端平面部44に、連結ファスナ20の頭部22を設置し、第1部材11の貫通孔16に軸部21を挿通させて第1部材11を設置する。その第1部材11に第2部材12を重ね合わせ、連結ファスナ20が設けられた部分を、一対の電極41,42によって加圧しながらプロジェクション溶接を行う。これにより、連結ファスナ20の軸部21の先端部と第2部材12との界面部分に溶接ナゲット17が形成される。【選択図】 図3
Description
本発明は、車体部品の製造方法に関する。
自動車等の車両において、車体の軽量化を図るべく、鋼板によって成形され部材に、アルミ合金やマグネシウム合金等の軽合金製板材によって成形された部材が連結されてなる車体部品の存在が知られている。例えば、ドアビームとしてアルミ合金製板材が用いられ、それが鋼板よって成形されたドアインナパネルと連結された車両用のドア部材が知られている。このような車体部品を製造する場合に、軽合金製板材よりなる部材と鋼板より成る部材とを連結する連結方法としては、連結リベットとスポット溶接とを組み合わせたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の例で用いられている連結リベットは、リベット軸部が、頭部と反対側の先端に向かって径の広がるテーパ形状をなしている。この連結リベットの先端で軽合金材を打ち抜いた後、軽合金材を塑性変形させることにより、連結リベットの軸部をかしめて連結リベットと軽合金材とを一体化する。次いで、鋼材を重ね合わせ、連結リベットが設けられた部分でスポット溶接を行うことにより、連結リベットの先端部と鋼材との界面部分に溶接ナゲットが形成される。その結果、軽合金材と鋼材とが連結されて車体部品が製造される。
しかしながら、上記特許文献1の例では、スポット溶接を行う前に、軽合金材を塑性変形させて連結リベットと一体化させる工程が必要となり、連結作業を行う場合の作業性が悪いという問題がある。
そこで、本発明は、異種金属を連結してなる車体部品を製造する上で、連結部材を溶接前に一方の部材と一体化する工程をなくすことで作業性を向上させつつ、強固な連結を確保できる車体部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の発明では、軽合金製板材が成形されてなる第1部材と鋼板が成形されてなる第2部材とのそれぞれの板面同士を重ね合わせ、その重ね合わせ部分に設けられた鋼製の連結部材を用いて第1部材と第2部材とを連結し、車体部品を製造する車体部品の製造方法であって、前記連結部材は、軸部と、前記軸部の一端部に設けられたフランジ部と、前記軸部の他端部に設けられたプロジェクション部とを有しており、抵抗溶接を行う一対の電極の一方が有する先端部に、前記連結部材の前記フランジ部の側を設置する第1工程と、前記第1部材に設けられた貫通孔に前記軸部を挿通させて前記第1部材を設置し、前記第1部材が有する板面の一方を前記フランジ部に当接させるとともに、他方の板面から前記プロジェクション部を突出させた状態とする第2工程と、前記第2工程で設置された前記第1部材に前記第2部材を重ね合わせ、前記第2部材の重ね合わせ面を前記プロジェクション部に当接させる第3工程と、前記連結部材が設けられた部分を、前記一対の電極によって挟み込むようにして加圧しながらプロジェクション溶接を行い、前記軸部の前記他端部と前記第2部材との界面部分に溶接ナゲットを形成する第4工程と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明では、前記連結部材の前記軸部は、中心軸線に沿って同一形状かつ同一寸法をなす横断面を有していることを特徴とする。
第3の発明では、前記第2工程では、前記貫通孔に前記連結部材の前記軸部を挿通させる前に、異種金属接触腐食防止用の防食ワッシャを前記軸部に挿通させ、前記第3工程では、前記第2部材を重ね合わせる前に、防食ワッシャを前記第1部材から突出した前記連結部材の前記軸部に挿通させることを特徴とする。
第4の発明では、前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくともいずれか一方は、前記連結部材による連結部分に凸状部が設けられ、両者を重ね合わせた場合に前記凸状部の周囲が他方から離間する構成を有していることを特徴とする。
第5の発明では、前記連結部材の前記軸部には両端部で開口する中空部が設けられており、前記第1工程にて前記連結部材が設置される電極は、その先端部から突出した突出位置と、前記先端部から退避した退避位置との間を移動可能なガイドピンを有しており、前記第1工程では、前記ガイドピンを突出位置に配置して、前記連結部材の中空部に前記ガイドピンを差し込むことで前記連結部材を設置することを特徴とする。
第6の発明では、前記第1工程にて前記連結部材が設置される電極の前記先端部には、前記連結部材の前記フランジ部の少なくとも一部がはまり込む凹部が設けられており、前記第1工程では、前記フランジ部を前記凹部にはめ込むことにより前記連結部材を設置することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、連結部材の軸部を第1部材の貫通孔に挿通させた後、第2部材を第1部材に重ね合わせ、一対の電極で片側又は両側から加圧しながらプロジェクション溶接を行っている。この製造方法では、溶接前に連結部材と第1部材とを一体化させる工程がなく、連結部材の軸部を貫通孔に挿通させてプロジェクション溶接を行うだけである。そのため、連結作業が容易であり、作業性を向上させることができる。その結果、車体部品の生産性を向上させることができる。
しかも、軸部の先端部にプロジェクション部を設けた連結部材を用いることにより、抵抗溶接時に、当該プロジェクション部に抵抗熱を集中させることが可能となる。これにより、第2部材と連結部材の軸部の先端部との界面部分に、溶接ナゲットを確実に形成して強固な連結を確保し、溶接不良の発生を抑制することができる。
第2の発明によれば、連結部材の軸部が柱状に形成されているため、従来の連結部材が有するような特異な形状を備えておらず、第1部材の貫通孔への軸部の差し込みを容易に行える。この場合、貫通孔も、中心軸線に沿って同一形状かつ同一寸法をなす形状とすれば、連結部材の軸部を貫通孔に挿通させることにより、第1部材の位置決めを行うことができる。
第3の発明によれば、防食ワッシャの存在により、第1部材と第2部材という異種金属が接触する連結部分において、両者の接触が原因となる異種金属接触腐食が生じることを抑制できる。
第4の発明によれば、第1部材と第2部材とが接合した接合部分の周囲は、第1部材と第2部材とが離間した状態となる。そのため、両部材の接合部分に水分等の腐食液が存在する事態が生じても、その周囲に形成された隙間に腐食液を流出させてこれを逃すことが可能となる。これにより、第1部材と第2部材との接合部分に腐食液が滞留することを抑制し、異種金属接触腐食が生じることをより一層抑制できる。
第5の発明によれば、連結部材を電極の先端部に設置する際に、ガイドピンを突出位置に配置して、軸部に設けられた中空部をガイドピンにさし込むようにすれば、電極の先端部に連結部材を容易に設置することができる。また、電極の先端部に設置した連結部材が電極の先端部から外れてしまうことを抑制し、連結部材を設置する作業の作業性を向上させることができる。
第6の発明によれば、電極の先端部に連結部材を設置する際に、凹部にフランジ部をはめ込むようにすれば、電極の先端部に設置された連結部材の安定性を確保することができる。また、連結部材の中空部にガイドピンがさし込まれることとあいまって、連結部材の設置をより一層容易にし、作業性を向上させることができる。
本発明を具体化した一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、車体部品とは、自動車等の車両のボディを構成する骨格部品等であり、例えば、軽合金製板材よりなるドアビームと鋼板よりなるドアインナパネルとが連結されてなるドア部材等である。
図1は、車体部品10について、第1部材11と第2部材12とが連結された部分を拡大した断面図である。車体部品10の種類によって、このような連結部分は複数又は多数存在し、それぞれ同じ構造を有している。まず、この連結構造について説明する。
図1に示すように、第1部材11と第2部材12との連結部分では、両部材11,12の板面同士が重ね合わされている。第1部材11は軽合金製板材よりなり、第2部材12は鋼板よりなる。第1部材11を形成する軽合金としては、例えばアルミ合金やマグネシウム合金等が用いられている。第2部材12を形成する鋼板としては、強度が1.5GPa以上となる高張力鋼板が用いられている。第1部材11及び第2部材12のそれぞれがプレス加工され、車体部品10の種類に応じた所定の形状に成形されている。なお、第1部材11の板厚は5mm以下であることが好ましく、第2部材12の板厚は3mm以下であることが好ましい。
第2部材12は、両部材11,12の連結部分において、第1部材11側へ凸となる当接部13が形成されている。当接部13は、凸状部に相当する。当接部13は第1部材11と当接し、当接部13の周囲には周方向全域にわたって段差部14が設けられている。当接部13及び段差部14が設けられていることにより、第2部材12における当接部13の周囲は第1部材11から離間している。この離間により、当接部13の外方周囲には、第1部材11と第2部材12との間に隙間15が周方向全域にわたって形成されている。
第1部材11には、両部材11,12の連結部分において、連結部材としての連結ファスナ20が設けられている。連結ファスナ20は軸部21と頭部22を有しており、軸部21の中心軸線に沿った断面形状が図示のように略T字状をなしている。連結ファスナ20は鋼製であり、その全体が鋼材によって形成されている。そのため、連結ファスナ20は第2部材12と同じ材質の金属によって形成されている。
軸部21は、円柱状又は角柱状に形成され、中心軸線に沿って同一形状でかつ同一寸法をなす横断面を有している。軸部21には、中心軸線方向の両端部で開口する中空部23が設けられている。頭部22には、フランジ部24が設けられている。フランジ部24は、頭部22側の端部から軸部21の外方へ延びており、軸部21の周方向全域にわたって設けられている。フランジ部24が設けられていることにより、頭部22には、軸部21の端面よりも拡張された頭部平面部25が形成されている。前述した第2部材12の当接部13は、この頭部平面部25よりも広い領域(平面積)を有するように、寸法が設定されている。
連結ファスナ20の軸部21は、第1部材11に設けられた貫通孔16に挿通されている。貫通孔16は、第1部材11の板厚方法に沿って、軸部21が有する横断面と同一形状をなし、当該横断面よりも若干大きくかつ連結ファスナ20の頭部22よりも小さい開口面積を有している。軸部21が貫通孔16に挿通された状態で、頭部22は貫通孔16の外に設けられている。フランジ部24は、第1部材11が有する一対の板面11a,11bのうち、第2部材12との接合面11aとは反対側の板面11bに当接している。
第2部材12は、軸部21が貫通孔16に挿通された状態で、当接部13が第1部材11に接合されている。連結ファスナ20の軸部21の先端部と、第2部材12の当接部13の当接面13aとの界面部分には、溶接ナゲット17が設けられている。軸部21の先端部は、軸部21に中空部23が設けられていることにより、中空部23の開口部分を囲むように環状に形成されている。このため、溶接ナゲット17も、軸部21の先端部の全域にわたり、環状をなすように形成されている。溶接ナゲット17により、連結ファスナ20の軸部21の先端部と、第2部材12の当接部13とが接合されている。
ここで、第1部材11と連結ファスナ20のフランジ部24との間、及び第1部材11と第2部材12の当接部13との間には、それぞれ異種金属接触腐食防止用の防食ワッシャ31,32が介在されている。防食ワッシャ31,32は、素材として、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の電気絶縁性及び耐熱性を有する熱硬化性樹脂が用いられている。なお、熱硬化性樹脂の他に、金属製材料に亜鉛めっきを施すことで、防食性が付与されたものを用いてもよい。第1部材11と連結ファスナ20のフランジ部24との間に設けられた第1防食ワッシャ31は、その外形が、連結ファスナ20の頭部22の外形よりも大きく形成され、フランジ部24に当接している。また、もう一方の第2防食ワッシャ32は、その外形が、第1部材11の貫通孔16の開口よりも大きく形成され、接合面11a及び当接部13(当接面13a)に接触している。
第1部材11と第2部材12とは異種金属であり、両者が直に接触する構成とした場合、水分等を腐食液とする異種金属接触腐食が生じやすい。異種金属接触腐食が生じると、第1部材11と第2部材12との連結部分における強度の低下が懸念される。この点、防食ワッシャ31,32が介在されていることにより、このような異種金属接触腐食が生じることが抑制される。なお、貫通孔16に設けられた連結ファスナ20の軸部21は、貫通孔16の内面と接触しているため、異種金属である第1部材11と接触した状態となっている。ただ、防食ワッシャ31,32が存在することにより、水分等の腐食液が貫通孔16の内部に入り込む余地はほとんどないため、軸部21と貫通孔16の内面との接触部分での異種金属接触腐食を抑制するための措置は必須ではない。
また、第2部材12の当接部13の周囲には、隙間15が設けられている。そのため、第1部材11と第2部材12の当接部13との間に水分等の腐食液が存在する事態が生じても、隙間15に流出させて腐食液を逃すことが可能となる。これにより、第1部材11と第2部材12の当接部13との間に腐食液が滞留することを抑制し、異種金属接触腐食が生じることがより一層抑制される。
以上、車体部品10において、第1部材11と第2部材12との連結部分は、上記したとおりの連結構造を有している。次に、車体部品10を製造する過程において、第1部材11及び第2部材12を上記連結構造によって連結させる連結方法について説明する。この連結方法では、上記連結ファスナ20と抵抗溶接とが組み合わされている。まずは、この連結方法に用いられる抵抗溶接装置40の電極41,42及び連結ファスナ20について、それぞれの構成を説明する。
図2に示すように、抵抗溶接装置40は、第1電極41と、第2電極42と、図示を省略した通電装置とを有している。溶接部分を挟み込むように一対の電極41,42の先端部を当て、通電装置から各電極41,42に通電することで抵抗溶接を行う。溶接時に第2電極42を第1電極41の側に移動させて、溶接部分を加圧しながら抵抗溶接を行うことも可能となっている。
一対の電極41,42のうち、下部側に配置される第1電極41にはガイドピン43が設けられている。ガイドピン43は、第1電極41の上端平面部44よりも下方に退避した退避位置と、第1電極41の上端平面部44から突出した突出位置(図中、二点鎖線で示す位置)との間で移動可能に設けられている。抵抗溶接装置40は、この両位置の間でガイドピン43を移動させるべく、エアーガス等を用いた適宜の駆動装置を備えている。ガイドピン43は、退避位置が基準位置となっている。
車体部品10の製造時に用いられる連結ファスナ20については、図3(a)に示すように、頭部22とは反対側の端部(先端部)が、中空部23の周方向全域にわたって、凸となる弧状をなすように形成されている。この曲面状に形成された軸部21の先端部が、プロジェクション部26となっている。プロジェクション部26は、軸部21をその中心軸線方向に見た場合に、当該軸部21の外形で囲まれる領域内に設けられている。プロジェクション部26とは、プロジェクション溶接を行う場合に、抵抗熱を集中させる部分となる。
以上の構成を有する連結ファスナ20及び抵抗溶接装置40を用いて、第1部材11と第2部材12とを連結する。連結作業を開始する場合は、抵抗溶接装置40の第1電極41に設けられたガイドピン43を、図2に示した退避位置から移動させて、図3(a)に示す突出位置に配置させる。
その上で、第1電極41の上端平面部44に連結ファスナ20を設置する。具体的には、図3(a)に示すように、連結ファスナ20の頭部22を下にして、第1電極41の上端平面部44から突出したガイドピン43に中空部23を差し込み、頭部平面部25を上端平面部44に載置する。ガイドピン43が中空部23に差し込まれていることにより、連結ファスナ20が第1電極41の上端平面部44から外れて落下してしまうことが抑制される。連結ファスナ20を第1電極41の上端平面部44に設置するこの工程が、第1工程に相当する。
次いで、第1電極41の上端平面部44に載置された連結ファスナ20に対して、第1部材11を組み付ける。この段階で、第1部材11は、プレス加工工程において所定の形状に成形されているとともに、連結ファスナ20を設ける箇所に、貫通孔16が予め形成されている。貫通孔16に連結ファスナ20の軸部21を挿通させて、第1部材11を設置する。第1部材11を設置するこの工程が、第2工程に相当する。
第1部材11が設置されると、図3(b)に示すように、第1部材11の接合面11aと反対側の板面11bは、連結ファスナ20のフランジ部24と当接する。逆側となる第1部材11の接合面11aの側では、連結ファスナ20のプロジェクション部26が当該接合面11aから突出した状態となっている。この時のプロジェクション部26は、軸部21の外形の範囲内であって、かつ第1部材11の貫通孔16の範囲内に配置されている。連結ファスナ20の軸部21は、このように、貫通孔16に連結ファスナ20を設けた場合に、プロジェクション部26が第1部材11の接合面11aから突出するだけの寸法が設定されている。
その上で、図3(a)及び(b)に示すように、第1部材11の接合面11aから突出した状態にある連結ファスナ20のプロジェクション部26に、第2部材12の当接部13が当接するように第2部材12を重ね合わせる。第2部材12を第1部材11に重ね合わせるこの工程が、第3工程に相当する。当接部13の当接面13aが、第2部材12の重ね合わせ面に相当する。
なお、図3(a)及び(b)に示すように、連結ファスナ20の軸部21に第1部材11の貫通孔16を挿通させる前には、軸部21に第2防食ワッシャ32を通して、当該第2防食ワッシャ32を取り付ける。また、第1部材11に第2部材12を重ね合わせる前には、第1部材11の接合面11aから突出した軸部21に第1防食ワッシャ31を通して、当該第1防食ワッシャ31を取り付ける。
その後、図3(c)に示すように、第1電極41におけるガイドピン43を退避位置に移動させる。併せて、第2部材12の当接部13において、抵抗溶接装置40の第2電極42を上方から当てる。その後、上下各電極41,42に通電することによりプロジェクション溶接を行う。この時、プロジェクション溶接を行いつつ、第2電極42を下方の第1電極41に向けて移動させることにより、連結ファスナ20が設けられた部分を加圧する。
その結果、図1に示すように、第2部材12の当接部13と連結ファスナ20の軸部21の先端部との界面部分に、環状の溶接ナゲット17が形成されて、両者が接合される。一対の電極41,42によって加圧しながらプロジェクション溶接を行うこの工程が、第4工程に相当する。プロジェクション溶接による溶接方法を用いた場合、プロジェクション部26に抵抗熱が集中するため、溶接ナゲット17を確実に生成し、連結ファスナ20と第2部材12とがより強固に接合される。
また、溶接時の溶接熱と、電極41,42間で加えられる圧力とによって、連結ファスナ20の軸部21がその中心軸線方向に沿って押しつぶされながら溶融し、軸部21が貫通孔16内で膨張する。これにより、連結ファスナ20が第1部材11に対して強固に組み付けられる。また、第1部材11が連結ファスナ20のフランジ部24によって抜け止めされる。したがって、連結ファスナ20を用いて、第1部材11と第2部材12とが強固に連結される。
車体部品10において、第1部材11と第2部材12とを連結する連結部分が複数又は多数存在する場合には、1箇所ずつ上記の連結方法を実施することが可能である。また、抵抗溶接装置40が有する一対の電極41,42を複数設けて、複数の連結部分に対して同時に上記連結方法を実施するシリーズ抵抗溶接を行ってもよい。
第1部材11と第2部材12とを連結して車体部品10を製造する本実施形態の製造方法は上記のとおりであり、その特徴とその作用効果を以下にまとめる。
第1部材11と第2部材12とを連結する場合には、連結ファスナ20の軸部21を第1部材11の貫通孔16に挿通させた後、第2部材12を第1部材11に重ね合わせ、一対の電極41,42で片側又は両側から加圧しながらプロジェクション溶接を行っている。この方法では、溶接前に連結ファスナ20と第1部材11とを一体化させる工程がなく、連結ファスナ20の軸部21を貫通孔16に挿通させてプロジェクション溶接を行うだけである。そのため、連結作業が容易であり、作業性を向上させることができる。その結果、車体部品10の生産性を向上させることができる。
また、上記の連結方法を用いた場合、溶接前に、第1部材11を塑性変形させて連結ファスナ20と第1部材11とを一体化させる工程がないことから、当該塑性変形によって第1部材11に塑性ひずみが生じることが抑制される。そのため、両部材11,12の連結部分に割れが生じることも抑制できる。
しかも、軸部21の先端部にプロジェクション部26を設けた連結ファスナ20を用いることで、抵抗溶接を行う際に、当該プロジェクション部26に抵抗熱を集中させることが可能となる。これにより、第2部材12と軸部21の先端部との界面部分に、環状の溶接ナゲット17を確実に形成して強固な連結を確保し、溶接不良の発生を抑制することができる。
また、第1部材11の貫通孔16は、軸部21と同様、中心軸線に沿って同一形状かつ同一寸法をなす形状を有するとともに、軸部21よりも若干大きく形成されており、軸部21に合わせて形成されている。そのため、貫通孔16に軸部21が存在する状態で、一対の電極41,42を用いて、片側又は両側から加圧した状態でプロジェクション溶接を行うことにより、連結ファスナ20の軸部21がその中心軸線方向に沿って押しつぶされながら溶融し、軸部21が貫通孔16内で膨張する。膨張した軸部21は貫通孔16の内面を押さえつけるため、軸部21は第1部材11と一体化される。これにより、溶接を行う前に、第1部材11を塑性変形させて連結ファスナ20と一体化する工程を経なくても、連結ファスナ20を第1部材11に対して強固に組み付けることができる。
連結ファスナ20の軸部21は柱状に形成され、中心軸線に沿って同一形状かつ同一寸法をなす横断面を有している。つまり、軸部21は、先端に向かって横断面積が広がるテーパ形状という従来技術で指摘したような特異な形状を有していない。そのため、第1部材11の貫通孔16に対する軸部21の差し込みを容易に行うことができる。また、貫通孔16も、軸部21と同様、中心軸線に沿って同一形状かつ同一寸法をなす形状を有しているため、連結ファスナ20に軸部21を挿通させることにより、第1部材11の位置決めを行うことができる。
第1部材11と連結ファスナ20のフランジ部24との間、及び第1部材11と第2部材12の当接部13との間に、それぞれ防食ワッシャ31,32を介在させるようにしている。これにより、第1部材11と第2部材12という異種金属が接触する連結部分において、異種金属接触腐食の発生によって強度が低下することが抑制される。
第2部材12として、第1部材11との当接部13の周囲に、周方向全域にわたって段差部14が設けられたものを用いており、第1部材11との連結部分では、当接部13の周囲外方において、第1部材11との間に隙間15が形成されている。この隙間15が存在することにより、第1部材11と第2部材12の当接部13との間に水分等の腐食液が存在する事態が生じても、腐食液を隙間15に流出させて逃がすことが可能となり、異種金属接触腐食が生じることをより一層抑制することができる。
連結ファスナ20の軸部21には、両端部で開口する中空部23が設けられ、抵抗溶接装置40の第1電極41には、退避位置と突出位置とで移動可能な可動式のガイドピン43が設けられている。連結ファスナ20を第1電極41の上端平面部44に載置する際には、ガイドピン43を突出位置に配置し、中空部23をガイドピン43にさし込むようにした。これにより、第1電極41の上端平面部44に連結ファスナ20を容易に載置することができ、また、載置した連結ファスナ20が上端平面部44から外れて落下することを抑制し、連結作業の作業性を向上させることができる。
なお、車体部品10を製造する過程における第1部材11と第2部材12との連結方法としては、上記実施形態で説明した連結方法だけなく、例えば次のような連結方法を採用してもよい。
(1)上記実施の形態では、連結ファスナ20の軸部21に中空部23が形成されているが、図4に示すように、中空部23のない連結ファスナ20aを用いてもよい。この場合、溶接前の連結ファスナ20aには、軸部21aの先端部全体に、例えば弧状をなすプロジェクション部26aが設けられる。この場合、図示するように、軸部21aの先端部と第2部材12の当接部13との界面部分に、一つの溶接ナゲット17aが設けられ、両者が接合される。なお、プロジェクション部26aとしては、上記のように先端部全体に形成するのではなく、突起状をなす複数のプロジェクション部26aを設けるようにしてもよい。
なお、中空部23を有しない連結ファスナ20aを用いる場合には、抵抗溶接装置40の第1電極41に設けられた可動式のガイドピン43は用いられない。そのため、ガイドピン43を有していない第1電極41を用いてもよい。この場合は、第1電極41の上端平面部44に凹部45(図5参照)を設けた後述の構成を採用することが好ましい。
(2)上記実施の形態では、抵抗溶接装置40の第1電極41において、上端平面部44に連結ファスナ20を載置するようにしたが、図5に示すように、上端平面部44に、連結ファスナ20の頭部22の少なくとも一部を収容する凹部45を設けてもよい。凹部45を設けることにより、上端平面部44に設置された連結ファスナ20の安定性が確保される。中空部23にガイドピン43がさし込まれることと併せて凹部45を設けた構成を採用すれば、両者があいまって、連結ファスナ20の設置をより一層容易にし、作業性を向上させることができる。
(3)上記実施の形態では、連結ファスナ20のフランジ部24と第1部材11との間及び第1部材11と第2部材12の当接部13との間に、防食ワッシャ31,32がそれぞれ設けられるようにした。これら防食ワッシャ31,32を省略し、その代わりに、第1部材11の接合面11a及び板面11b、第2部材12の少なくとも第1部材11側の面及び連結ファスナ20の表面に、亜鉛めっきを施して防食用の被覆層を形成するようにしてもよい。
(4)上記実施の形態では、第2部材12として、第1部材11との連結部分に凸状部分となる当接部13が設けられ、当接部13の周囲全域に段差部14が設けられたものが用いられている。これに代えて、このような当接部13が設けられておらず、連結部分においても平板状をなす第2部材12を用いてもよい。この場合でも、第1部材11と第2部材12とが接触する部分に防食ワッシャ31,32が設けられているため、これによって異種金属接触腐食が生じることが抑制される。
(5)上記実施の形態では、第2部材12のみ、第1部材11との連結部分に、凸状部分となる当接部13と、その周囲の段差部14とが設けられたものが用いられている。このような第2部材12に代えて、第1部材11の連結部分に、第2部材12の側に凸となる当接部と、その周囲の段差部とが設けられていてもよい。また、第1部材11及び第2部材12のいずれか一方にのみにこのような構成を採用するのではなく、両部材11,12の連結部分に当接部とその周囲の段差部とを設けてもよい。
(6)上記実施の形態では、抵抗溶接装置40が有する一対の電極41,42を上下に配置しているが、これに代えて、両電極41,42を水平方向に配置するようにしてもよい。
10…車体部品、11…第1部材、12…第2部材、13…当接部(凸状部)、13a…当接面(重ね合わせ面)、16…貫通孔、17…溶接ナゲット、20…連結ファスナ(連結部材)、21…軸部、23…中空部、24…フランジ部、26…プロジェクション部、31,32…防食ワッシャ、41…第1電極、42…第2電極、43…ガイドピン。
Claims (6)
- 軽合金製板材が成形されてなる第1部材と鋼板が成形されてなる第2部材とのそれぞれの板面同士を重ね合わせ、その重ね合わせ部分に設けられた鋼製の連結部材を用いて第1部材と第2部材とを連結し、車体部品を製造する車体部品の製造方法であって、
前記連結部材は、軸部と、前記軸部の一端部に設けられたフランジ部と、前記軸部の他端部に設けられたプロジェクション部とを有しており、
抵抗溶接を行う一対の電極の一方が有する先端部に、前記連結部材の前記フランジ部の側を設置する第1工程と、
前記第1部材に設けられた貫通孔に前記軸部を挿通させて前記第1部材を設置し、前記第1部材が有する板面の一方を前記フランジ部に当接させるとともに、他方の板面から前記プロジェクション部を突出させた状態とする第2工程と、
前記第2工程で設置された前記第1部材に前記第2部材を重ね合わせ、前記第2部材の重ね合わせ面を前記プロジェクション部に当接させる第3工程と、
前記連結部材が設けられた部分を、前記一対の電極によって挟み込むようにして加圧しながらプロジェクション溶接を行い、前記軸部の前記他端部と前記第2部材との界面部分に溶接ナゲットを形成する第4工程と、
を備えたことを特徴とする車体部品の製造方法。 - 前記連結部材の前記軸部は、中心軸線に沿って同一形状かつ同一寸法をなす横断面を有していることを特徴とする請求項1に記載の車体部品の製造方法。
- 前記第2工程では、前記貫通孔に前記連結部材の前記軸部を挿通させる前に、異種金属接触腐食防止用の防食ワッシャを前記軸部に挿通させ、
前記第3工程では、前記第2部材を重ね合わせる前に、防食ワッシャを前記第1部材から突出した前記連結部材の前記軸部に挿通させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車体部品の製造方法。 - 前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくともいずれか一方は、前記連結部材による連結部分に凸状部が設けられ、両者を重ね合わせた場合に前記凸状部の周囲が他方から離間する構成を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車体部品の製造方法。
- 前記連結部材の前記軸部には両端部で開口する中空部が設けられており、
前記第1工程にて前記連結部材が設置される電極は、その先端部から突出した突出位置と、前記先端部から退避した退避位置との間を移動可能なガイドピンを有しており、
前記第1工程では、前記ガイドピンを突出位置に配置して、前記連結部材の中空部に前記ガイドピンを差し込むことで前記連結部材を設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車体部品の製造方法。 - 前記第1工程にて前記連結部材が設置される電極の前記先端部には、前記連結部材の前記フランジ部の少なくとも一部がはまり込む凹部が設けられており、
前記第1工程では、前記フランジ部を前記凹部にはめ込むことにより前記連結部材を設置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車体部品の製造方法。
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