JP2019062939A - 眼科装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】両眼開放下で、両眼同時に適切な特性測定を行うことができる眼科装置を提供する。【解決手段】被検者の左眼特性を測定する左眼用測定部を制御する左眼用コントローラと、被検者の右眼特性を測定する右眼用測定部を制御する右眼用コントローラと、左眼用コントローラ及び右眼用コントローラに制御コマンドを送信するメインコントローラと、を備えている。そして、メインコントローラは、自身が有するメインシステム時刻に基づいて、制御コマンドに応じた処理の開始時刻を設定し、制御コマンドに時刻情報を添付して送信する。また、左眼用コントローラは、自身が有する左眼用システム時刻が添付された時刻に達したときに処理を開始する。右眼用コントローラは、自身が有する右眼用システム時刻が添付された時刻に達したときに処理を開始する。【選択図】図4

Description

本発明は、眼科装置に関する。
従来、被検者の左眼特性を測定する左眼測定ヘッドと、被検者の右眼特性を測定する右眼測定ヘッドと、左右の測定ヘッドに対して制御コマンドを送信するメインコントローラと、を備え、このメインコントローラから送信された制御コマンドに基づいて、左眼測定ヘッドの固視標と右眼測定ヘッドの固視標を同時に雲霧させる眼科装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4521962号
ところで、左眼測定ヘッドの固視標と右眼測定ヘッドの固視標を同時に雲霧させるには、両眼が固視標を注視している状態で必要な処理を左右の測定ヘッドで同時に行わなければならない。しかしながら、この眼科装置は、左眼測定ヘッド及び右眼測定ヘッドがそれぞれコントローラを有しており、各測定ヘッドが有するコントローラが、メインコントローラから送信された制御コマンドに基づいて独立して処理を行う。そのため、左眼測定ヘッドが有するコントローラと、右眼測定ヘッドが有するコントローラとの間で処理の実行開始タイミングがずれると、同時に行うべき処理を適切に実行することができないという問題が生じる。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、両眼開放下で、両眼同時に適切な特性測定を行うことができる眼科装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の眼科装置は、被検者の左眼特性を測定する左眼用測定部を制御する左眼用コントローラと、前記被検者の右眼特性を測定する右眼用測定部を制御する右眼用コントローラと、前記左眼用コントローラ及び前記右眼用コントローラに対して制御コマンドを送信するメインコントローラと、を備え、前記メインコントローラは、自身が有するメインシステム時刻に基づいて前記制御コマンドに応じた処理を開始する時刻を設定し、前記制御コマンドを送信する際、設定した時刻の情報を添付し、前記左眼用コントローラは、自身が有する左眼用システム時刻が前記制御コマンドに添付された時刻に達したタイミングで、前記制御コマンドに応じた処理を開始し、前記右眼用コントローラは、自身が有する右眼用システム時刻が前記制御コマンドに添付された時刻に達したタイミングで、前記制御コマンドに応じた処理を開始する。
このように構成された検眼装置では、制御コマンドに添付された時刻になるまで、左眼用コントローラによる処理の開始と右眼用コントローラによる処理の開始をそれぞれ待たせることができ、左眼用コントローラと右眼用コントローラとでの処理の開始タイミングのずれを抑制することができる。よって、両眼開放下で、両眼同時に適切な特性測定を行うことができる。
実施例1の眼科装置の外観を示す斜視図である。 実施例1の眼科装置の測定ヘッドの構成を説明する正面図である。 実施例1の眼科装置の測定ヘッドの構成を説明する平面図である。 実施例1の眼科装置において、処理を実行する際のメインコントローラ、左眼用コントローラ、右眼用コントローラでの動作を示すタイムチャートである。 実施例1の眼科装置において、処理の実行中にエラー条件を検出したときのメインコントローラ、左眼用コントローラ、右眼用コントローラでの動作を示すタイムチャートである。
以下、本発明の眼科装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、図1〜図3に基づき、実施例1の眼科装置10の構成を、「全体構成」、「測定ヘッドの詳細構成」、「メインコントローラの詳細構成」に分けて説明する。
[全体構成]
図1に示す眼科装置10は、被検者が左右の両眼を開放した状態で、被検眼の特性測定を両眼同時に実行可能な両眼開放タイプの眼科装置である。
実施例1の眼科装置10は、図1に示すように、床面に設置された基台11と、検眼用テーブル12と、支柱13と、アーム14と、測定ヘッド20と、を備えている。
なお、この眼科装置10では、検眼用テーブル12と正対した被検者が、測定ヘッド20が有する額当部15に額を接触させた状態で被検眼の特性測定を行う。以下では、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向及びY方向と直交する方向(測定ヘッド20の前後方向)をZ方向とする。
検眼用テーブル12は、基台11に支持され、高さ位置が調節可能になっている。支柱13は、検眼用テーブル12の後端部からY方向に起立しており、上部にアーム14が設けられている。アーム14は、検眼用テーブル12の上方で測定ヘッド20を吊り下げ支持するものであり、支柱13からZ方向に延在されている。このアーム14は、支柱13に対して上下動可能に取り付けられている。
そして、検眼用テーブル12の下方には、眼科装置10の各部を統括的に制御するメインコントローラ16が収納された制御ボックス17が設けられている。なお、メインコントローラ16には、電源ケーブル17aを介して図示しない商用電源から電力供給がなされる。
測定ヘッド20は、任意の自覚検査及び任意の他覚測定の少なくとも一方を行う測定ユニットである。なお、自覚検査では、被検者に視標等を提示し、この視標等に対する被検者の応答に基づいて検査結果を取得する。この自覚検査には、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレアー検査等の自覚屈折測定や、視野検査等がある。また、他覚測定では、被検眼に光を照射し、その戻り光の検出結果に基づいて被検眼に関する情報を測定する。この他覚測定には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。さらに、他覚測定には、他覚屈折測定(レフ測定)、角膜形状測定(ケラト測定)、眼圧測定、眼底撮影、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、「OCT」という)を用いた断層像撮影(OCT撮影)、OCTを用いた計測等がある。
また、この測定ヘッド20は、制御/電源ケーブル17b(図2参照)を介してメインコントローラ16に接続されており、このメインコントローラ16を経由して電力供給がなされる。また、測定ヘッド20とメインコントローラ16との間の情報の送受信も、この制御/電源ケーブル17bを介して行われる。
[測定ヘッドの詳細構成]
測定ヘッド20は、図2に示すように、取付ベース部21と、この取付ベース部21に設けられた左眼用駆動機構22L及び右眼用駆動機構22Rと、左眼用駆動機構22Lに支持された左眼測定ヘッド23Lと、右眼用駆動機構22Rに支持された右眼測定ヘッド23Rと、を備えている。
取付ベース部21は、アーム14の先端に固定され、X方向に延在されると共に、一方の端部に左眼用駆動機構22Lが吊り下げられ、他方の端部に右眼用駆動機構22Rが吊り下げられている。また、この取付ベース部21の中央部には、額当部15が吊り下げられている。
左眼用駆動機構22Lは、後述する左眼用コントローラ24cからの制御指令に基づいて、左眼測定ヘッド23LのX方向、Y方向、Z方向の位置、及び左眼ELの眼球回旋軸OL(図3参照)を中心にした向きを変更する。この左眼用駆動機構22Lは、図2に示すように、左鉛直駆動部22aと、左水平駆動部22bと、左回旋駆動部22cと、を有している。これらの各駆動部22a〜22cは、取付ベース部21と左眼測定ヘッド23Lとの間に、上方側から左鉛直駆動部22a、左水平駆動部22b、左回旋駆動部22cの順に固定されている。
なお、左鉛直駆動部22aは、取付ベース部21に対して左水平駆動部22bをY方向に移動させる。左水平駆動部22bは、左鉛直駆動部22aに対して左回旋駆動部22cをX方向及びZ方向に移動させる。左回旋駆動部22cは、左水平駆動部22bに対して左眼測定ヘッド23Lを左眼ELの眼球回旋軸OLを中心に回転させる。
右眼用駆動機構22Rは、後述する右眼用コントローラ24gからの制御指令に基づいて、右眼測定ヘッド23RのX方向、Y方向、Z方向の位置、及び右眼ERの眼球回旋軸OR(図3参照)を中心にした向きを変更する。この右眼用駆動機構22Rは、図2に示すように、右鉛直駆動部22dと、右水平駆動部22eと、右回旋駆動部22fと、を有している。これらの各駆動部22d〜22fは、取付ベース部21と右眼測定ヘッド23Rとの間に、上方側から右鉛直駆動部22d、右水平駆動部22e、右回旋駆動部22fの順に固定されている。
なお、右鉛直駆動部22dは、取付ベース部21に対して右水平駆動部22eをY方向に移動させる。右水平駆動部22eは、右鉛直駆動部22dに対して右回旋駆動部22fをX方向及びZ方向に移動させる。右回旋駆動部22fは、右水平駆動部22eに対して右眼測定ヘッド23Rを右眼ERの眼球回旋軸ORを中心に回転させる。
ここで、左鉛直駆動部22a、左水平駆動部22b、右鉛直駆動部22d、右水平駆動部22eは、いずれもパルスモータ等の駆動力を発生するアクチュエータと、複数の歯車組やラック・アンド・ピニオン等の駆動力を伝達する伝達機構と、を有している。なお、左水平駆動部22b及び右水平駆動部22eは、X方向とZ方向とで個別にアクチュエータ及び伝達機構の組み合わせを設けてもよい。
また、左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fも、パルスモータ等の駆動力を発生するアクチュエータと、複数の歯車組やラック・アンド・ピニオン等の駆動力を伝達する伝達機構と、を有している。ここで、左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fは、アクチュエータからの駆動力を受けた伝達機構を、眼球回旋軸OL,ORを中心位置とする円弧状の案内溝に沿って移動させることで、左眼ELの眼球回旋軸OL,右眼ERの眼球回旋軸ORを中心にそれぞれ左眼測定ヘッド23L,右眼測定ヘッド23Rを回転させることができる。なお、左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fは、自らが有する回転軸線回りに左眼測定ヘッド23L,右眼測定ヘッド23Rを回転可能に取り付けるものでもよい。
左眼測定ヘッド23Lは、図2に示すように、左回旋駆動部22cに固定された左ハウジング24aと、左ハウジング24aに内蔵された左眼用測定部24b及び左眼用コントローラ24cと、左ハウジング24aの外側面に設けられた左眼用偏向部材24dと、を有している。この左眼測定ヘッド23Lでは、左眼用測定部24bからの出射光を、左眼用偏向部材24dを介して屈曲して被検者の左眼ELに照射し、左眼特性を測定する(図3参照)。
また、右眼測定ヘッド23Rは、図2に示すように、右回旋駆動部22fに固定された右ハウジング24eと、右ハウジング24eに内蔵された右眼用測定部24f及び右眼用コントローラ24gと、右ハウジング24eの外側面に設けられた右眼用偏向部材24gと、を有している。この右眼測定ヘッド23Rでは、右眼用測定部24fからの出射光を、右眼用偏向部材24gを介して屈曲して被検者の右眼ERに照射し、右眼特性を測定する(図3参照)。
そして、左眼用測定部24b及び右眼用測定部24fは、それぞれ提示する視標を切り替えながら視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切換え配置しつつ被検眼の適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定するレフラクトメータや波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が、単独又は複数組み合わされて構成されている。
また、この左眼用測定部24b及び右眼用測定部24fは、いずれも固視投影系、観察系、アライメント検出系、測定系等の光学系と、光源やセンサ、駆動部等を有している。
なお、固視投影系は、被検眼に固視標を呈示して、被検眼の視軸を固定する。また、観察系は、被検眼の前眼部を撮影し、その画像(観察画像)を表示部や接続された外部機器等に表示させる。これにより、被検眼の状態を確認可能にすると共に、画像中の基準点(瞳孔や虹彩など)や投影した視標像に基づくアライメント情報の取得を可能とする。また、アライメント検出系は、左眼用測定部24b及び右眼用測定部24fの光軸方向(Z方向(作動距離方向))やX方向、Y方向のアライメント情報を取得する。アライメント情報とは、左眼用測定部24b及び右眼用測定部24fの被検眼に対するアライメント(位置合わせ)に用いる情報である。そして、測定系は、被検眼の眼特性を測定するための光束を被検眼に照射し、反射光を受光することで眼特性を測定する。
左眼用コントローラ24cは、図2に示すように、左側プロセッサ25Lと、左側クロック26Lと、図示しないメモリ等を有し、左眼用駆動機構22L及び左眼用測定部24bを制御する。
すなわち、左側プロセッサ25Lは、メインコントローラ16から送信された制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドに応じた処理を実行し、左眼用駆動機構22L又は左眼用測定部24bに必要な制御指令を出力する。また、この左側プロセッサ25Lでは、受信した制御コマンドに対し、この制御コマンドに応じた処理を実行する時刻(後述する「実行時刻」又は「再実行時刻」)が添付されているときには、左側クロック26Lによってカウントされる左眼用システム時刻が、「実行時刻」又は「再実行時刻」に達するタイミングまで処理の実行開始を待機する。つまり、左側プロセッサ25Lでは、受信した制御コマンドに応じた処理を実行する時点で、左眼用システム時刻と「実行時刻」又は「再実行時刻」の差分の時間だけ処理の開始を待つ。
そして、この左側プロセッサ25Lは、左眼用システム時刻が「実行時刻」又は「再実行時刻」に達したとき、受信した制御コマンドに応じた処理の実行を開始する。
右眼用コントローラ24gは、図2に示すように、右側プロセッサ25Rと、右側クロック26Rと、図示しないメモリ等を有し、右眼用駆動機構22R及び右眼用測定部24fを制御する。
すなわち、右側プロセッサ25Rは、メインコントローラ16から送信された制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドに応じた処理を実行し、右眼用駆動機構22R又は右眼用測定部24fに必要な制御指令を出力する。また、この右側プロセッサ25Rでは、受信した制御コマンドに対し、この制御コマンドに応じた処理を実行する時刻(後述する「実行時刻」又は「再実行時刻」)が添付されているときには、右側クロック26Rによってカウントされる右眼用システム時刻が、「実行時刻」又は「再実行時刻」に達するタイミングまで処理の実行開始を待機する。つまり、右側プロセッサ25Rでは、受信した制御コマンドに応じた処理を実行する時点で、右眼用システム時刻と「実行時刻」又は「再実行時刻」の差分の時間だけ処理の開始を待つ。
そして、この右側プロセッサ25Rは、右眼用システム時刻が「実行時刻」又は「再実行時刻」に達したとき、受信した制御コマンドに応じた処理の実行を開始する。
なお、左側プロセッサ25L及び右側プロセッサ25Rでは、待ち時間がゼロのとき(左眼用システム時刻や右眼用システム時刻が「実行時刻」又は「再実行時刻」に達しているとき)には、処理の実行開始を待つことなく、直ちに実行を開始する。
さらに、左側プロセッサ25L及び右側プロセッサ25Rでは、制御コマンドに応じた処理を実行している途中、瞬きの検出等の所定のエラー条件が成立したか否かを判断する。エラー条件が成立したと判断したときには、メインコントローラ16に対してエラー信号を送信する。
なお、「エラー条件」とは、適切な被検眼測定ができないと判断する条件であり、ここでは、被検眼の瞬き、縮瞳、固視ずれや、睫毛による光束のけられ等を検出したことである。エラー条件が成立したか否かは、例えば、照明した被検眼からの反射光を受光する受光素子の光電流レベルを予め設定したレベルと比較することで判断する。
また、この左側プロセッサ25L及び右側プロセッサ25Rは、メインコントローラ16から、このメインコントローラ16が有するメインシステム時刻を取得する。そして、メインシステム時刻を取得したとき、取得したメインシステム時刻に、左側クロック26Lによってカウントされる左眼用システム時刻と、右側クロック26Rによってカウントされる右眼用システム時刻を同期させ、いわゆる時刻合わせを実行する。なお、この時刻合わせを行うタイミングは、メインシステム時刻を取得したときとする。
[メインコントローラの詳細構成]
メインコントローラ16は、図2に示すように、メインプロセッサ16aと、メモリ等の周辺機器16bと、メインクロック16cと、を有している。
ここで、メインプロセッサ16aには、例えばタブレット端末等の図示しない検者用コントローラや、コントロールレバーユニット等の図示しない被検者用コントローラ等からの操作情報や、測定要求情報、測定ヘッド20によって得られた測定結果情報等が入力される。そして、このメインプロセッサ16aは、入力された情報に基づいて、周辺機器16bに記憶されたプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開し、左眼用コントローラ24cや右眼用コントローラ24gに送信する制御コマンドを生成する。なお、このメインプロセッサ16aでは、制御コマンドを送信する際、メインクロック16cによってカウントされるメインシステム時刻に基づいて決まるコマンド発行時刻を添付する。つまり、「コマンド発行時刻」とは、「制御コマンドを送信したときのメインシステム時刻」である。
また、このメインプロセッサ16aでは、生成した制御コマンドに応じて実行する処理が、左眼用コントローラ24cと右眼用コントローラ24gとの間で同期が必要な処理であるか否かを判断する。なお、実施例1の眼科装置10では、同期が必要な処理を「他覚屈折測定」、「角膜形状測定」、「眼球調節力測定」、「各種の自覚検査」と、「これらの測定又は検査前のアライメント」とする。
メインプロセッサ16aは、生成した制御コマンドに応じて実行する処理が、同期が必要な処理であると判断したとき、当該制御コマンドに応じた処理を実行する時刻(以下、「実行時刻」という)をメインシステム時刻に基づいて設定する。つまり、「実行時刻」とは、「制御コマンドを受信した左眼用コントローラ24cや右眼用コントローラ24gにおいて、制御コマンドに応じた処理を開始するときのメインシステム時刻」である。なお、「実行時刻」は、左眼用コントローラ24cや右眼用コントローラ24gが制御コマンドを受信した際に行っている既存処理の完了に要する時間やシステム負荷等を見込んで設定する。
そして、このメインプロセッサ16aは、「実行時刻」を設定した後、制御コマンドに「実行時刻」を添付して送信する。
さらに、メインプロセッサ16aでは、左側プロセッサ25L又は右側プロセッサ25Rからのエラー信号を受信したとき、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに対して実行中の処理を中止させる第2制御コマンドを送信する。その後、中止した処理を再度実行させる時刻(以下、「再実行時刻」という)を、メインシステム時刻に基づいて設定する。つまり、「再実行時刻」とは、「左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gにおいて、中止した処理の再実行を開始するときのメインシステム時刻」である。なお、「再実行時刻」は、エラー条件の解消に要する時間を見込んで設定する。
そして、メインプロセッサ16aは、「再実行時刻」を設定した後、中止した処理を再度実行させる第3制御コマンドに「再実行時刻」を添付して左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに送信する。
また、このメインプロセッサ16aは、インターネットを介して図示しない外部のNTPサーバから時刻情報を取得する。そして、時刻情報を取得したら、この時刻情報にメインクロック16cによってカウントされているメインシステム時刻を同期させ、いわゆる時刻合わせを実行する。なお、このNTPサーバからの時刻情報の取得と、メインシステム時刻の時刻合わせの実行は、任意のタイミングで行う。
なお、「NTPサーバ」とは、Network Time Protocolサーバを意味し、正確な時刻情報を配信しているサーバである。
次に、実施例1の眼科装置10の作用効果を、「処理実行タイミングの同期化作用」と、「エラー条件成立時の処理実行タイミングの同期化作用」と、に分けて説明する。
[処理実行タイミングの同期化作用]
図4は、実施例1の眼科装置において、処理を実行する際のメインコントローラ、左眼用コントローラ、右眼用コントローラでの動作を示すタイムチャートである。以下、図4に基づいて、実施例1の処理実行タイミングの同期化作用を説明する。
実施例1の眼科装置10では、図4に示す時刻t時点において、メインコントローラ16に検者用コントローラからの操作情報等の所定の情報が入力された場合を考える。メインコントローラ16では、情報が入力されると、この入力情報に基づいた制御コマンドを生成する。
また、このメインコントローラ16では、生成した制御コマンドに応じて左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gにて実行する処理が、左眼用コントローラ24cと右眼用コントローラ24gとの間で同期が必要な処理であるか否かを判断する。図4に示す場合では、同期が必要な処理(例えば、他覚屈折測定)であるとする。そのため、メインコントローラ16は、生成した制御コマンドに応じた処理の実行を開始する時刻(実行時刻)をメインシステム時刻に基づいて設定する。
なお、左眼用コントローラ24cと右眼用コントローラ24gとの間で同期が必要な処理ではない場合には、生成した制御コマンドを直ちに左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに送信する。
一方、「実行時刻」を設定したら、メインコントローラ16は、時刻t時点において、生成した制御コマンドを左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに送信する。このとき、制御コマンドには「実行時刻」と、制御コマンドを送信したときのメインシステム時刻である「コマンド発行時刻」を添付する。
時刻t時点において制御コマンドが送信されたことで、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gでは、それぞれ制御コマンドを受信する。なお、この左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gでは、時刻t以前から既存の処理(例えば、測定前のアライメント等)を実行中である。そのため、制御コマンドの受信は割り込み処理となる。つまり、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gは、既存処理の実行を一時的に中断して制御コマンドを受信する。そして、制御コマンドの受信後に既存処理の実行を再開する。
そして、時刻t時点において、左眼用コントローラ24cにて既存処理の実行が完了すると、左眼用コントローラ24cは受信した制御コマンドを読み込む。ここで、制御コマンドには「実行時刻」が添付されているので、左眼用コントローラ24cでは、自身が有する左眼用システム時刻が「実行時刻」に達するときまで、制御コマンドに応じて実行する処理(左眼ELの他覚屈折測定)の実行を待機する。
時刻t時点において、右眼用コントローラ24gにて既存処理の実行が完了すると、この右眼用コントローラ24gは受信した制御コマンドを読み込む。ここで、制御コマンドには「実行時刻」が添付されているので、右眼用コントローラ24gでは、自身が有する右眼用システム時刻が「実行時刻」に達するときまで、制御コマンドに応じて実行する処理(右眼ERの他覚屈折測定)の実行を待機する。
時刻t時点において左眼用システム時刻が「実行時刻」に達したら、左眼用コントローラ24cは、制御コマンドに応じた処理の実行を開始する。また、時刻t時点において左眼用システム時刻が「実行時刻」に達したら、右眼用コントローラ24gは、制御コマンドに応じた処理の実行を開始する。
その後、時刻t時点において、左眼用コントローラ24cが処理の実行を完了したら、メインコントローラ16に処理完了信号を送信する。一方、メインコントローラ16では、処理完了信号を受信する。また、時刻t時点において、右眼用コントローラ24gが処理の実行を完了したら、メインコントローラ16に処理完了信号を送信する。そして、メインコントローラ16では、処理完了信号を受信する。
このように、実施例1の眼科装置10では、制御コマンドに応じて実行する処理が、左眼用コントローラ24cと右眼用コントローラ24gとの間で同期が必要な処理(例えば、他覚屈折測定)である場合には、メインコントローラ16は、自身が有するメインシステム時刻に基づいて設定した「実行時刻」を制御コマンドに添付して送信する。そして、左眼用コントローラ24cでは、自身が有する左眼用システム時刻が「実行時刻」に達する時刻t時点まで、処理の実行開始を待機する。また、右眼用コントローラ24gでは、自身が有する右眼用システム時刻が「実行時刻」に達する時刻t時点まで、処理の実行開始を待機する。そして、左眼用コントローラ24cは、左眼用システム時刻が「実行時刻」に達したタイミング(時刻t時点)で制御コマンドに応じた処理を開始し、右眼用コントローラ24gは、右眼用システム時刻が「実行時刻」に達したタイミング(時刻t時点)で制御コマンドに応じた処理を開始する。
このように、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gでは、制御コマンドに添付された「実行時刻」を基準にして、受信した制御コマンドに応じた処理の実行を開始する。そのため、例えば、既存処理の完了後に制御コマンドを読み込んだタイミング(時刻t,時刻t)で、この制御コマンドに応じた処理の実行を開始する場合と比較して、左眼用コントローラ24cにおける処理実行の開始タイミングと、右眼用コントローラ24gにおける処理実行の開始タイミングのずれ時間ΔTを抑制することができる。
つまり、左眼用コントローラ24cや右眼用コントローラ24gにおいて、既存処理の実行に要する時間は、処理の内容やシステム負荷等によりばらつきが生じる。そのため、左眼用コントローラ24cにおける既存処理の完了タイミング(時刻t)と、右眼用コントローラ24gにおける既存処理の完了タイミング(時刻t)との間に大幅なずれ時間ΔTが生じることがある。これにより、この既存処理の完了後に制御コマンドを読み込んだタイミングで、この制御コマンドに応じた処理の実行を開始する場合では、処理の実行開始のタイミングが左眼用コントローラ24cと右眼用コントローラ24gとの間で大きく異なり、被検者の両眼が開放した状態での適切な被検眼の特性測定を行うことができないおそれがある。
これに対し、実施例1のように、制御コマンドに添付された「実行時刻」を基準にして制御コマンドに応じた処理の実行を開始する場合では、左眼用システム時刻や右眼用システム時刻が「実行時刻」に達するまで処理の実行開始が待機される。そのため、既存処理の完了タイミング(時刻t,時刻t)に大幅なずれ時間ΔTが生じたときであっても、制御コマンドに応じた処理の実行開始のタイミング(時刻t,時刻t)のずれ時間ΔTが大きくなることを防止でき、被検眼を両眼開放した状態で、両眼同時に適切な特性測定を行うことができる。
また、この実施例1では、メインコントローラ16において、NTPサーバから取得した時刻情報にメインクロック16cによってカウントされているメインシステム時刻を同期させる。また、メインシステム時刻は、メインコントローラ16から左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに送信される。そして、左眼用コントローラ24cでは、メインシステム時刻を取得したとき、左眼用システム時刻をこのメインシステム時刻に同期させる。また、右眼用コントローラ24gでは、メインシステム時刻を取得したとき、右眼用システム時刻をこのメインシステム時刻に同期させる。
これにより、左眼用システム時刻及び右眼用システム時刻は、メインシステム時刻を介してNTPサーバから得られた時刻情報との同期を図ることができ、左眼用システム時刻と右眼用システム時刻とのずれ(最大誤差)を、被検者が感じることのできない程度に抑えることが可能になる。そのため、左眼用コントローラ24cにおける処理実行の開始タイミングと、右眼用コントローラ24gにおける処理実行の開始タイミングのずれ時間ΔTを抑制し、被検眼の不要な動き(縮瞳や緊張)の発生を防止して、両眼同時の特性測定をさらに適切な状態で行うことができる。
[エラー条件成立時の処理実行タイミングの同期化作用]
図5は、実施例1の眼科装置において、処理の実行中にエラー条件を検出したときのメインコントローラ、左眼用コントローラ、右眼用コントローラでの動作を示すタイムチャートである。以下、図5に基づいて、実施例1のエラー条件成立時の処理実行タイミングの同期化作用を説明する。
実施例1の眼科装置10において、図5に示す時刻t11時点において、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gにおいて、制御コマンドに応じた処理の実行を開始する。
そして、この制御コマンドに応じた処理を実行している途中、時刻t12時点において、左眼用コントローラ24cにて例えば左眼ELの瞬きを検出し、エラー条件が成立したと判断したら、メインコントローラ16にエラー信号を送信する。一方、メインコントローラ16では、エラー信号を受信する。
メインコントローラ16は、エラー信号を受信したら、時刻t13時点において、左眼用コントローラ24cや右眼用コントローラ24gにて実行中の処理を中止させる第2制御コマンドを生成する。そして、この処理を中止させる第2制御コマンドを、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに送信する。そのため、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラでは、第2制御コマンドを受信したら、実行中の処理を中止する。
一方、メインコントローラ16では、時刻t14時点において、エラー条件が成立したことで中止した処理の再実行の開始時刻(再実行時刻)を設定する。そして、時刻t15時点において、中止した処理を再度実行させる第3制御コマンドを生成すると共に、この第3制御コマンドに「再実行時刻」を添付して左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに送信する。左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gは、この「再実行時刻」が添付された第3制御コマンドを受信する。
そして、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gは、それぞれ受信した第3制御コマンドを読み込む。ここで、第3制御コマンドには「再実行時刻」が添付されているので、左眼用コントローラ24cでは、自身が有する左眼用システム時刻が「再実行時刻」に達するときまで、第3制御コマンドに応じた処理(中止した処理を再実行する処理)の開始を待機する。また、右眼用コントローラ24gでは、自身が有する右眼用システム時刻が「再実行時刻」に達するときまで、第3制御コマンドに応じた処理の実行を待機する。
その後、時刻t16時点において、左眼用システム時刻が「再実行時刻」に達したら、左眼用コントローラ24cは第3制御コマンドに応じた処理の再実行を開始する。また、右眼用システム時刻が「再実行時刻」に達したら、右眼用コントローラ24gは第3制御コマンドに応じた処理の再実行を開始する。
このように、実施例1の眼科装置10では、左眼用コントローラ24c又は右眼用コントローラ24gにおいてエラー条件が成立したと判断したときには、メインコントローラ16に対してエラー信号を出力する。これに対し、メインコントローラ16では、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gに、実行中の処理を中止させる第2制御コマンドを送信する。
この結果、左眼用コントローラ24c及び右眼用コントローラ24gでは、実行開始のタイミングを同期させていた処理について、自身の処理ではエラー条件が成立していなくても、他方の処理でエラー条件が成立したときには、実行中の処理を一旦中止することができる。さらに、中止した処理を再度実行させる際、第3制御コマンドに添付された「再実行時刻」を基準にして再実行を開始させる。そのため、処理の実行途中でエラー条件が成立した場合であっても、両眼開放下での両眼測定を適切に行うことができる。
また、この実施例1では、第3制御コマンドに添付された「再実行時刻」を基準にして中止した処理の再実行を開始させるので、エラー条件の解消に時間を要した場合であっても、処理の再実行を開始するまでに待機時間を設けることができる。そのため、左眼用コントローラ24cにおける処理再実行の開始タイミングと、右眼用コントローラ24gにおける処理再実行の開始タイミングのずれ時間を抑制することができる。
以上、本発明の眼科装置を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、左眼用コントローラ24cと右眼用コントローラ24gとの間で同期が必要な処理を「他覚屈折測定」、「角膜形状測定」、「眼球調節力測定」、「各種の自覚検査」と、「これらの測定又は検査前のアライメント」とする例を示したが、これに限らない。例えば、雲霧、撮影、その他の測定や検査等であっても左右の同期を図ってもよい。
10 眼科装置
16 メインコントローラ
16c メインクロック
20 測定ヘッド
21 取付ベース部
22L 左眼用駆動機構
22R 右眼用駆動機構
23L 左眼測定ヘッド
23R 右眼測定ヘッド
24c 左眼用コントローラ
24g 右眼用コントローラ
25L 左側プロセッサ
25R 右側プロセッサ
26L 左側クロック
26R 右側クロック

Claims (4)

  1. 被検者の左眼特性を測定する左眼用測定部を制御する左眼用コントローラと、
    前記被検者の右眼特性を測定する右眼用測定部を制御する右眼用コントローラと、
    前記左眼用コントローラ及び前記右眼用コントローラに対して制御コマンドを送信するメインコントローラと、を備え、
    前記メインコントローラは、自身が有するメインシステム時刻に基づいて前記制御コマンドに応じた処理を開始する実行時刻を設定し、前記制御コマンドを送信する際、前記実行時刻の情報を添付し、
    前記左眼用コントローラは、自身が有する左眼用システム時刻が前記実行時刻に達したタイミングで、前記制御コマンドに応じた処理を開始し、
    前記右眼用コントローラは、自身が有する右眼用システム時刻が前記実行時刻に達したタイミングで、前記制御コマンドに応じた処理を開始する
    ことを特徴とする眼科装置。
  2. 請求項1に記載された眼科装置において、
    前記メインコントローラは、任意のタイミングで前記左眼用コントローラ及び前記右眼用コントローラに対して、前記メインシステム時刻を送信し、
    前記メインコントローラから前記メインシステム時刻が送信されたとき、前記左眼用コントローラは、前記左眼用システム時刻を前記メインシステム時刻に同期させ、前記右眼用コントローラは、前記右眼用システム時刻を前記メインシステム時刻に同期させる
    ことを特徴とする眼科装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された眼科装置において、
    前記左眼用コントローラは、前記制御コマンドに応じた処理を実行中に所定のエラー条件が成立したとき、前記メインコントローラに対してエラー信号を送信し、
    前記右眼用コントローラは、前記制御コマンドに応じた処理を実行中に所定のエラー条件が成立したとき、前記メインコントローラに対してエラー信号を送信し、
    前記メインコントローラは、前記エラー信号を受信したとき、前記左眼用コントローラ及び前記右眼用コントローラに対して実行中の処理を中止させる第2制御コマンドを送信する
    ことを特徴とする眼科装置。
  4. 請求項3に記載された眼科装置において、
    前記メインコントローラは、中止した処理を再実行させる第3制御コマンドを生成すると共に、自身が有するメインシステム時刻に基づいて前記第3制御コマンドに応じた処理を開始する再実行時刻を設定し、前記第3制御コマンドを送信する際、前記再実行時刻の情報を添付し、
    前記左眼用コントローラは、自身が有する左眼用システム時刻が前記再実行時刻に達したタイミングで、前記第3制御コマンドに応じた処理を開始し、
    前記右眼用コントローラは、自身が有する右眼用システム時刻が前記再実行時刻に達したタイミングで、前記第3制御コマンドに応じた処理を開始する
    ことを特徴とする眼科装置。

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