JP2019062747A - 乳酸菌入り飲料 - Google Patents

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【課題】経時的な沈殿の発生を抑制する、ラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有する飲料の提供。【解決手段】乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有し、pHが5.7以上である飲料。【選択図】図3

Description

本発明は、乳酸菌入り飲料に関する。より詳しくは、本発明は、ラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムである乳酸菌を含有し、沈殿の発生が抑えられた飲料組成物に関する。
近年、様々な乳酸菌が持つ多様な健康効能が明らかにされ、これらを含有する飲食品が注目されている。特に、乳酸菌が死菌であっても種々の効果が期待できる場合は、乳酸菌を含有する飲食品として、摂取しやすく、保存や携帯などに便利な形態として容器詰飲料が採用されることがある。
例えば、非特許文献1には、ラクトバチラス・ブレビスKB290という乳酸菌が過敏性腸症候群の症状を改善する可能性が記載されている。ラクトバチルス・ブレビスは、乳酸菌飲料である「ラブレ」(商標)に配合され、市場に出ている。また、ラクトバチルス・カゼイは古くからその特性が研究されており、「ヤクルト」(商標)といった乳酸菌飲料に配合されている。
また、ラクトバチルス・ブレビスやラクトバチルス・カゼイとは異なる乳酸菌に関しても、乳酸菌が有する健康効能がヒトや動物において確認されている。例えば、ラクトバチルス・ペントーサスについては特許文献1〜3に記載されており、ラクトバチラス・プランタラムについては非特許文献2に、乳酸菌によって体温上昇効果が確認できた旨が記載されている。
特許第5866115号 特許第5891337号 国際公開2016/143745
BioPsychoSocial Medicine, 2012 Aug 3;6(1):16 Food Science and Technology Research, 18 (6), 885 - 891, 2012
本発明者らは、乳酸菌を含有する飲料について種々検討したところ、ラクトバチルス・ペントーサスやラクトバチルス・プランタラムといった乳酸菌に関しては、通常の方法で飲料を調製すると飲料に配合した乳酸菌が経時的に沈降して沈殿が発生してしまうことが明らかになった。容器詰飲料などの飲料においては、飲料の製造から摂取までに時間がかかる場合があるため、経時的な沈殿の生成が抑制されていないと、飲料を飲用した際の乳酸菌の摂取量が不均一になることはもちろん、飲料の外観が好ましくないものとなってしまう。
本発明の課題は、ラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有する飲料について、経時的な沈殿の発生を抑制することである。
上記課題について鋭意検討した結果、本発明者らは、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムを乳酸菌として配合した飲料については、従来の一般的な乳酸菌含有飲料とは飲料における経時的な沈殿の発生に関して異なる挙動を示すこと、特に飲料のpHが経時的な沈殿生成と関係していることを見出した。さらに検討を進めたところ、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムである乳酸菌を含有する飲料については、飲料のpHを酸性でなくより中性側に調整することによって経時的な沈殿生成を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は、下記の態様を包含する。
(1) 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有し、pHが5.7以上である飲料。
(2) 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスを含有する、(1)に記載の飲料。
(3) 前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ペントーサスTUA4337L株(受託番号:BP−1479)である、(1)または(2)に記載の飲料。
(4) 前記乳酸菌が、死菌である、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
(5) pHが10.0以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の飲料。
(6) 加熱殺菌済の容器詰飲料である、(1)〜(5)のいずれかに記載の飲料。
(7) 麦茶飲料である、(1)〜(6)のいずれかに記載の飲料。
(8) 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを配合し、pHを5.7以上にすることを含む、乳酸菌含有飲料の製造方法。
(9) 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有する飲料のpHを5.7以上に調整することを含む、乳酸菌含有飲料における経時的な沈降を抑制する方法。
本発明によれば、ラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有する飲料について、経時的に沈殿物が生成することを抑制できる。
図1は、実験1の結果を示す図である(縦軸:沈降性、横軸:時間)。 図2は、実験2の結果を示す図である(縦軸:12時間経過後の沈降性、横軸:pH)。 図3は、実験3の結果を示す図である(縦軸:6時間経過後の沈降性、横軸:pH)。
乳酸菌
本発明に係る飲料は、乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有する。
ラクトバチルス・ペントーサスとしては、例えば、JCM1558T株やTUA4337L株を例示することができる。JCM1558T株は理化学研究所バイオリソースセンター、TUA4337L株は製品評価技術基盤機構・特許生物寄託センター(NITE−IPOD)から入手可能である。TUA4337L株の受託番号はBP−1479(2012年12月10日付で国際寄託、識別の表示:NRIC0883)である。
ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムは、植物由来の発酵物から主に分離される、グラム陽性の桿菌であり、免疫賦活効果をはじめ、様々な効果効能を持つことが知られている。飲料においては、ブドウ酒の製造においてリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに変換することによって酸度を低下させ、ブドウ酒の酸味と香味の調節に寄与したり、碁石茶や阿波番茶などの微生物発酵茶でもその発酵に関与したりしている。
本発明に係る乳酸菌であるラクトバチルス・ペントーサスやラクトバチルス・プランタラムの菌体形態としては、生菌及び死菌のいずれであってもよい。生菌は、例えば、当該乳酸菌株を培養することにより得ることができる。死菌は、例えば、生菌に対して加熱、紫外線照射、ホルマリン処理、酸処理などを行うことにより得ることができる。
本発明の乳酸菌については、適宜培養して使用することができる。培養するための培地としては、特に制限されず、通常の、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素などを含む培地が挙げられる。また、寒天培地や液体培地での培養も可能である。培養温度は、好ましくは10〜45℃、より好ましくは15〜42℃、さらに好ましくは28〜38℃、さらに好ましくは35〜37℃であり、増殖可能pHは、好ましくはpH3.0〜12.5、より好ましくはpH3.5〜12.0である。
また、菌体の処理物としては、得られた生菌、死菌に対して、磨砕や破砕等の公知の処理を行ったものが挙げられる。具体的には、磨砕物、破砕物、液状物(抽出液等)、濃縮物、ペースト化物、乾燥物(噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物等)、希釈物などを挙げることができる。
ラクトバチルス・ペントーサスやラクトバチルス・プランタラムについては、例えば、酵母エキス及びグルコースを含む培地で乳酸菌株を培養し、培養液を遠心除去した後に加熱殺菌を行って、凍結乾燥および粉砕して死菌粉末を得ることができる。
乳酸菌を含有する飲料
本発明に係る飲料は、乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムを含有する。本発明の飲料における前記乳酸菌の含有量は特に限定されず、菌株の種類や形態、使用目的などによって適宜設定することができるが、好ましい態様において、本発明に係る飲料は、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムを1mLあたり20万個〜10億個含有し、より好ましくは30万個/mL〜1億個/mL、さらに好ましくは40万個/mL〜5000万個/mL、よりさらに好ましくは50万個/mL〜900万個/mLであり、60万個/mL〜600万個/mLとしてもよい。乳酸菌の含有量は「CFU/mL」として表示してもよい。
本発明に係る飲料を調製するにあたって、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムは、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などを加えておくこともできる。このようにすることによって、飲料の原料として使用しやすくなることがある。
本発明に係る飲料は、例えば、風邪予防のための食品として、免疫力を亢進させたり、内臓脂肪の低下や蓄積の改善又は予防のための食品として、基礎代謝、脂肪燃焼/分解、糖代謝、体温、エネルギー代謝などを亢進/上昇させたりするための食品として好適に使用され得る。具体的には、特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、機能性食品、健康補助食品(サプリメント)として、例えば、前記医薬組成物の項に記載したヒトにおける免疫力の低下に起因する症状の改善又は予防のために用いられるものである旨の表示を付して提供することが考えられる。
本発明に係る飲料は、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、清涼飲料水(果汁入りも含む)、果肉飲料、野菜系飲料、豆乳・豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ゼリー飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、乳酸菌飲料などの嗜好飲料とすることができる。
飲料の調製にあたっては、例えば、公知の食品組成物を調製する際に、その原材料に本発明の乳酸菌を所定量混合して、公知の食品組成物の製造方法に従って調製してもよく、また、既製の公知の食品組成物に、本発明の乳酸菌を所定量となるように添加することで調製してもよい。添加時期や添加方法については特に限定されるものではない。
本発明に係る飲料は、その形態に応じた適当な方法で経口摂取することができる。なお、本明細書において、摂取とは、摂取、服用、又は飲用の全態様を含むものとして用いられる。
本発明の飲料の摂取量は、その形態、摂取方法、使用目的、摂取する者の年齢、体重、症状によって適宜設定すればよい。例えば、経口摂取する場合は、本発明の乳酸菌の有効ヒト摂取量としては、菌体数として、体重50kgのヒトで1日当たり、好ましくは1.0×10個以上、より好ましくは1.0×10個以上、さらに好ましくは1.0×1010個以上、よりさらに好ましくは3.0×1010個以上であり、好ましくは1.0×1013個以下、より好ましくは1.0×1012個以下、さらに好ましくは2.0×1011個以下、よりさらに好ましくは1.0×1011個以下である。また、乾燥重量としては、体重50kgのヒトで1日当たり、好ましくは0.0002g以上、より好ましくは0.002g以上、さらに好ましくは0.02g以上、よりさらに好ましくは0.06g以上であり、好ましくは20g以下、より好ましくは2g以下、さらに好ましくは0.4g以下、よりさらに好ましくは0.2g以下である。摂取は、所望の摂取量範囲内において、1日内において単回で又は数回に分けて行ってもよい。摂取期間も任意である。本発明においては、前記有効量の範囲内において摂取する場合に、摂取時の呈味を邪魔することなく、より強力な免疫賦活作用を示すため好ましい。
本発明に係る飲料は、乳酸菌の経時的な沈降を抑制するため、そのpHが5.7以上に調整される。本発明に係る飲料は、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムを含有するが、pHを5.7以上に調整することによって経時的な沈殿の発生を効果的に抑制することができ、好ましい態様において飲料のpHを6.1以上、より好ましくは6.5以上に調整する。飲料のpHの上限は特に制限されないが、10.0以下であることが好ましく、9.0以下や8.0以下であることがより好ましい。
一般に、乳酸菌を含有する容器詰飲料は、微生物制御のため、そのpHを4.0以下の酸性に調整することが多い。ところが、本発明者らが、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムを含有する飲料を調製したところ、飲料のpHが4.0以下であると経時的に沈殿が顕著に生じてしまうことが明らかになった。乳酸菌含有飲料における経時的な沈殿生成については、乳酸菌の種類によっても傾向が大きく異なり、後述する実施例に示したように、ラクトバチルス・ブレビスを配合した飲料については、pHによって経時的な安定性に差異は見られなかった一方、ラクトバチルス・カゼイを配合した飲料については、pHが3.6のサンプルの方が経時的な安定性がやや良好であった。それに対して、本発明に係るラクトバチルス・ペントーサスやラクトバチルス・プランタラムについては、飲料のpHを高くした方が経時的な飲料の均一性が向上することが確認された。
飲料のpHは公知の方法によって調整すればよいが、例えば、アスコルビン酸やクエン酸、炭酸カリウムや重曹などのpH調整剤を添加することによって行うことができる。
本発明の飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記の乳酸菌に加えて、甘味料、酸味料、果汁や各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、香料、ビタミン類、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を挙げることができる。
本発明の飲料は、炭酸ガスを含有する炭酸飲料としてもよいが、非炭酸飲料とすることが好ましい。また、本発明の飲料はアルコール飲料とすることもできるが、非アルコール飲料とすることが好ましい。ここで、非アルコール飲料とは、飲料中のアルコール濃度が1%未満の飲料をいう。
本発明の飲料は、一つの態様において、スポーツ飲料やニアウォーターなどの非炭酸飲料かつ非アルコール飲料として好適に利用することが可能である。可溶性固形分濃度は、糖度計や屈折計などを用いて得られるブリックス(Brix)値によって評価することができ、ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値で、溶液中の可溶性固形分濃度を表す。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。本発明の飲料は、好ましい態様においてブリックス値が0〜20%であるが、0〜10%や0〜3や0〜2%としてもよい。
本発明に係る乳酸菌含有飲料は、経時的に乳酸菌が沈降しにくいため、本発明は、比較的、色の薄い飲料に適用すると好適である。飲料の色に関しては、光の透過率色差計などを用いて評価することが可能である。飲料の透明度については、例えば、液体の濁度を測定する公知の手法により数値化することができる。また、色差計などを用いて乳酸菌を配合した飲料の特徴を数値化することが出来る。好ましい態様において、本発明に係る飲料の濁度は300以下であり、100以下や50以下としてもよい。また、色差計では純水を基準として測定した際の透過光のΔE値、Lab値などによって評価することができる。好ましい態様において、純水を基準とした本発明に係る飲料のΔE値は100以下であり、50以下や40以下や30以下とすることもできる。
好ましい態様において本発明の飲料は、常温で長期保存しても、沈殿が生じにくい飲料である。すなわち、本発明に係る飲料は経時的な沈殿が抑制されており、飲料の外観を長期にわたって均一に維持することができるため、容器詰飲料として好適に提供される。ここでいう容器詰飲料とは、PET容器などの樹脂製容器、缶、瓶、紙容器などの容器に収容した飲料をいう。本発明に係る飲料は、飲料の経時的な沈殿を抑制できるため、一つの態様において透明容器に充填した容器詰飲料とすることが好ましい。
本発明に係る容器詰飲料は、常温で長期保存するために、好ましくは、調合工程で得られた調合液を加熱殺菌処理した後、容器に充填して製造される。加熱殺菌処理は食品衛生法に定められた処理を行えばよく、例えば、PETボトルなどの樹脂製容器などにおいて、UHT殺菌(例えば、調合液を100〜150℃で1秒〜数十秒保持する)を行うことができる。
一つの態様において、本発明は容器詰飲料の製造方法と理解することもできる。本発明の飲料は、上記のとおり、ラクトバチルス・ペントーサスまたはラクトバチルス・プランタラムを含有するが、飲料のpHが5.7以上に調整される。例えば、本発明に係る飲料の製造方法は、所定の成分を配合して飲料を調製する工程、調製した飲料を加熱殺菌する工程、容器に充填する工程などを備えていてよいが、飲料のpHを5.7以上に調整する工程を必須とする。
本発明の容器詰飲料は、従来公知の方法を用いて製造することができる。当業者であれば、配合方法、必要に応じ殺菌方法、容器充填方法の条件を、適宜設計することができる。
以下、具体的な実験例を示しつつ、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、濃度などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:乳酸菌含有飲料の製造と評価
種々の乳酸菌(死菌)を含有する容器詰飲料を調製して、飲料の経時的な均一性(沈降性)とpHとの関係を評価した。
(乳酸菌)
下記の乳酸菌5株について、MRS培地で培養・洗浄後、5分間ボイルして死菌化し、3日間の凍結乾燥に供することによって、各菌株の粉末を得た。粉末1gあたりの菌数は下記のとおりであった。
・ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus TUA4337L)9.1×1011 cells/g
(NITE特許生物寄託センターに寄託、受託番号:FERM BP−1479)
・ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus JCM1558T)7.6×1011 cells/g
(理化学研究所バイオリソースセンターから入手可)
・ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantrum JCM1149T)9.6×1011 cells/g
(理化学研究所バイオリソースセンターから入手可)
・ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis JCM1059T)7.5×1011 cells/g
(理化学研究所バイオリソースセンターから入手可)
・ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei JCM1134T)9.8×1011 cells/g
(理化学研究所バイオリソースセンターから入手可)
(飲料の調製)
200億個/500mL(400万個/mL)の濃度になるように純水に菌体粉末を添加し、飲料を調製した(pH:6.4)。また、さらにクエン酸を添加し、pHを3.6に調製した飲料も調製した。
調製した各飲料30mLを容器に充填してから、90℃、15分間の条件で加熱殺菌して、容器詰飲料を調製した(容器詰飲料のブリックス値:0.1未満)。
(沈降性の評価)
容器詰飲料を常温で静置して、容器上部の飲料サンプルの濁度を経時的に測定した。濁度(NTU)は、濁度計(2100AN、HACH社)を用いて測定した。飲料サンプルの沈降性は、製造直後の容器詰飲料の濁度を100とした場合の割合(%)で評価した。乳酸菌粉末を配合した飲料においては、乳酸菌が容器下部に沈降すると容器上部の濁度が低下し、沈降しにくいと容器上部の濁度は低下しにくい。従って、経時的な濁度の低下度合いが小さい程、飲料の均一性が維持されており、飲料として好ましいといえる。
Figure 2019062747
Figure 2019062747
調製した飲料サンプルについて、経時的な沈降性を評価した結果を表1および図1に示す。
ラクトバチルス・ペントーサス(2種)およびラクトバチルス・プランタラムを配合した飲料については、pHが6.4であると経時的な安定性が良好であったが(表1−1)、pHが3.6であると沈降性しやすく、経時的な安定性が低くなった(表1−2)。
一方、ラクトバチルス・ブレビスを配合した飲料については、飲料のpHによって経時的な安定性に差異は見られなかった。また、ラクトバチルス・カゼイを配合した飲料については、pHが3.6の方が経時的な安定性がやや良好であった。
乳酸菌飲料においては、一般にpHが4以下に調整されることが多いが、乳酸菌の中でもラクトバチルス・ペントーサスやラクトバチルス・プランタラムについては、pHを高くした方が経時的な飲料の均一性が向上した。
実験2:乳酸菌含有飲料の製造と評価(pHの影響)
乳酸菌含有飲料の経時的安定性について、pHの影響をより詳細に検討した。
実験1と同様にして、ラクトバチルス・ペントーサスを含有する容器詰飲料を製造して沈降性を評価した。ラクトバチルス・ペントーサスとしてLactobacillus pentosus JCM1558Tを使用し、200億個/500mL(400万個/mL)の濃度になるように飲料に配合した。本実験おいてはクエン酸の添加量を変化させて、pHの異なる飲料サンプルを調製した(pH:3.5〜6.8、ブリックス値:0.1未満)。
Figure 2019062747
pHの異なる飲料サンプルについて、実験1と同様にして経時的な沈降性を評価した結果を表2および図2に示す。評価結果から明らかなように、ラクトバチルス・ペントーサスを配合した飲料については、pH高いほど経時的な安定性が良好になった。
実験3:乳酸菌含有飲料の製造と評価(茶飲料)
乳酸菌含有飲料として、麦茶飲料を製造した。具体的には、市販の麦茶飲料(厳選むぎ茶、セブンイレブンプレミアム)に乳酸菌を配合して容器詰飲料を製造し、その経時的安定性について評価した。乳酸菌はLactobacillus pentosus JCM1558Tを使用し、200億個/500mL(400万個/mL)の濃度になるように飲料に配合した。本実験おいては、クエン酸を添加してpHの異なる飲料サンプルを調製し、30mLを容器に充填してから、90℃、15分間の条件で加熱殺菌して容器詰飲料を製造した(ブリックス値:0.1未満)。
市販の麦茶飲料について、紫外可視分光光度計(UV−1800、島津製作所製)および色差計SE6000,日本電色工業)を用いて分析したところ、波長530nmにおける吸光度は0.14、水を対照としたΔE値は26.89だった(L値:88.25、a値:−2.58、b値:24.05)。目視で確認したところ、乳酸菌を配合した後も飲料の液色に大きな変化はなかった。
Figure 2019062747
乳酸菌を配合した麦茶飲料について、実験1と同様に経時的な沈降性を評価した結果を表3および図3に示す。評価結果から明らかなように、ラクトバチルス・ペントーサスを配合した飲料については、本発明によって経時的な安定性が良好になることが確認された。

Claims (6)

  1. 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有し、pHが5.7以上である飲料。
  2. 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスを含有する、請求項1に記載の飲料。
  3. 加熱殺菌済の容器詰飲料である、請求項1または2に記載の飲料。
  4. 麦茶飲料である、請求項1〜3のいずれかに記載の飲料。
  5. 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを配合し、pHを5.7以上にすることを含む、乳酸菌含有飲料の製造方法。
  6. 乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスおよび/またはラクトバチルス・プランタラムを含有する飲料のpHを5.7以上に調整することを含む、乳酸菌含有飲料における経時的な沈降を抑制する方法。
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