JP2019062174A - 表面処理組成物、表面処理組成物の製造方法、表面処理方法、および半導体基板の製造方法 - Google Patents

表面処理組成物、表面処理組成物の製造方法、表面処理方法、および半導体基板の製造方法 Download PDF

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【課題】研磨済研磨対象物の表面に存在する有機物残渣を十分に除去することができる手段を提供する。【解決手段】グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、酸と、水と、を含み、pHが5以下であり、研磨済研磨対象物の表面を処理するために用いられる、表面処理組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理組成物、表面処理組成物の製造方法、表面処理方法、および半導体基板の製造方法に関する。
近年、半導体基板表面の多層配線化に伴い、デバイスを製造する際に、半導体基板を研磨して平坦化する、いわゆる、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)技術が利用されている。CMPは、シリカやアルミナ、セリア等の砥粒、防食剤、界面活性剤などを含む研磨用組成物(スラリー)を用いて、半導体基板等の研磨対象物(被研磨物)の表面を平坦化する方法であり、研磨対象物(被研磨物)は、シリコン、ポリシリコン、シリコン酸化膜(酸化ケイ素)、シリコン窒化物や、金属等からなる配線、プラグなどである。
CMP工程後の半導体基板表面には、不純物(ディフェクト)が多量に残留している。不純物としては、CMPで使用された研磨用組成物由来の砥粒、金属、防食剤、界面活性剤等の有機物、研磨対象物であるシリコン含有材料、金属配線やプラグ等を研磨することによって生じたシリコン含有材料や金属、更には各種パッド等から生じるパッド屑等の有機物などが含まれる。
半導体基板表面がこれらの不純物により汚染されると、半導体の電気特性に悪影響を与え、デバイスの信頼性が低下する可能性がある。したがって、CMP工程後に洗浄工程を導入し、半導体基板表面からこれらの不純物を除去することが望ましい。
かような洗浄工程に用いられる洗浄液(洗浄用組成物)としては、例えば、特許文献1には、ポリカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸と、スルホン酸型アニオン性界面活性剤と、カルボン酸型アニオン性界面活性剤と、水とを含有する、半導体基板用の洗浄用組成物によって、基板表面を腐食することなく、異物を除去しうることが開示されている。
特開2012−74678号公報
しかしながら、特許文献1にかかる技術では、研磨済研磨対象物の洗浄に際して、ディフェクトを十分に除去できないという問題があった。
ここで、本発明者らは、研磨済研磨対象物の種類とディフェクトの種類との関係について検討を行った。その結果、半導体基板として特に好ましく用いられる窒化珪素、酸化珪素またはポリシリコンを含む研磨済研磨対象物は有機物残渣が付着しやすく、かような有機物残渣は半導体デバイスの破壊の原因となりうることを見出した。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、研磨済研磨対象物の表面に存在する有機物残渣を十分に除去することができる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を進めた。その結果、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、酸と、水と、を含み、pHが5以下である表面処理組成物を使用することにより、研磨済研磨対象物表面の有機物残渣を除去する効果が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、研磨済研磨対象物の表面に存在する有機物残渣を十分に除去することができる手段が提供される。
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
また、本明細書において、化合物の具体名における表記「(メタ)アクリル」は「アクリル」および「メタクリル」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」および「メタクリレート」を表すものとする。
[有機物残渣]
本明細書において、有機物残渣とは、研磨済研磨対象物表面に付着した異物のうち、有機低分子化合物や高分子化合物等の有機物や有機塩等からなる成分を表す。
洗浄対象物に付着する有機物残渣は、例えば、後述の研磨工程もしくは任意に設けてもよいリンス研磨工程において使用したパットから発生するパッド屑、または研磨工程において用いられる研磨用組成物もしくはリンス研磨工程において用いられるリンス研磨用組成物に含まれる添加剤に由来する成分等が挙げられる。
有機物残渣とその他の異物とは色および形状が大きく異なることから、異物が有機物残渣であるか否かの判断は、SEM観察によって目視にて行うことができ、必要に応じて、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)による元素分析により行ってもよい。
[研磨済研磨対象物]
本明細書において、研磨済研磨対象物とは、研磨工程において研磨された後の研磨対象物を意味する。研磨工程としては、特に制限されないが、CMP工程であることが好ましい。
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、窒化珪素(以下、単に「SiN」とも称する)、酸化珪素、またはポリシリコン(以下、単に「Poly−Si」とも称する)を含む研磨済研磨対象物(以下、単に「洗浄対象物」とも称する)の表面に残留する有機物残渣を低減するために用いられることが好ましい。酸化珪素を含む研磨済研磨対象物としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成されるTEOSタイプ酸化ケイ素面(以下、単に「TEOS」とも称する)、HDP膜、USG膜、PSG膜、BPSG膜、RTO膜等が挙げられる。
研磨済研磨対象物は、研磨済半導体基板であることが好ましく、CMP後の半導体基板であることがより好ましい。かかる理由は、特に有機物残渣は半導体デバイスの破壊の原因となりうるため、研磨済研磨対象物が研磨済半導体基板である場合は、半導体基板の洗浄工程としては、有機物残渣をできる限り除去しうるものであることが必要とされるからである。
窒化珪素、酸化珪素またはポリシリコンを含む研磨済研磨対象物としては、特に制限されないが、窒化珪素、酸化珪素およびポリシリコンのそれぞれ単体からなる研磨済研磨対象物や、窒化珪素、酸化珪素またはポリシリコンに加え、これら以外の材料が表面に露出している状態の研磨済研磨対象物等が挙げられる。ここで、前者としては、例えば、半導体基板である窒化珪素基板、酸化珪素基板またはポリシリコン基板が挙げられる。また、後者について、窒化珪素、酸化珪素またはポリシリコン以外の材料は、特に制限されないが、例えば、タングステン等が挙げられる。かかる研磨済研磨対象物の具体例としては、タングステン上に、窒化珪素膜、酸化珪素膜、またはポリシリコン膜が形成された構造を有する研磨済半導体基板や、タングステン部分と、窒化珪素膜と、酸化珪素膜と、ポリシリコン膜と、が全て露出した構造を有する研磨済半導体基板等が挙げられる。
ここで、本発明の奏する効果の観点から、本発明の一形態に係る研磨済研磨対象物は、ポリシリコンを含むことが好ましい。
[表面処理組成物]
本発明の一形態は、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、酸と、水と、を含み、pHが5以下であり、研磨済研磨対象物の表面を処理するために用いられる、表面処理組成物である。
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、表面処理工程において、有機物残渣を選択的に除去するための有機物残渣低減剤として用いることが特に好ましい。
本発明者らは、本発明によって上記課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。
表面処理組成物は、表面処理組成物に含有される各成分と、研磨済研磨対象物の表面および異物との化学的な相互作用により、研磨済研磨対象物表面の異物を除去する機能、または除去を容易にする機能を有する。
表面処理組成物に含まれるグリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子は、研磨済研磨対象物の表面に親水層を形成し、また有機物残渣の表面にも親水層を形成する。親水層が形成された有機物残渣は、親水化された研磨済研磨対象物の表面と親和性を有するため、表面処理工程中に研磨済研磨対象物の表面に付着する。その後、洗浄等のプロセスにより、研磨済研磨対象物の表面の親水層が容易に除去され、研磨済研磨対象物表面の有機物残渣も除去される。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
以下、表面処理組成物に含まれる各成分について説明する。
[グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子]
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子を含む。
グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の好ましい例としては、ポリグリセリン(下記化学式(1)参照)、エチレンオキサイド変性ポリグリセリン、スルホン酸変性ポリグリセリン(例えば下記化学式(2)、(3)参照)、ホスホン酸変性ポリグリセリン(例えば下記化学式(4)、(5)参照)、ポリグリセリン4−ビニル安息香酸エステル(スチリル基変性ポリグリセリン)、およびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記化学式(1)〜(5)中のmおよびnは、それぞれ独立して、繰り返し単位の数を表し、上記化学式(2)〜(5)中のMは、それぞれ独立して、水素原子、Na、K、またはNH を表す。
なお、上記化学式(2)〜(5)中の複数個のMは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。たとえば、上記化学式(2)中のn個のMはすべてNaであってもよいし、水素原子、Na、K、およびNH の2種以上の組み合わせであってもよい。また、たとえば、上記化学式(3)中のm個のMはすべてNaであってもよいし、水素原子、Na、K、およびNH の2種以上の組み合わせであってもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの例としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸(C10−13)エステル、ポリグリセリン脂肪酸(C10)エステル、ポリグリセリン脂肪酸(C8)エステル、ポリグリセリン脂肪酸(C3)エステル、デカグリセリンラウレート(デカグリセリン脂肪酸(C12)エステル)、デカグリセリンステアレート(デカグリセリン脂肪酸(C18)エステル)、デカグリセリンオレート(デカグリセリン脂肪酸(C18)エステル)等が挙げられる。
これらグリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリン部分が直鎖構造のものや分岐構造のものがあり、いずれも制限なく使用できるが、分岐構造のほうが好ましい。分岐構造の場合、ポリグリセリン部分の複数のOH基が直鎖構造のものよりも立体的な配置になっているため、有機物残渣により付着しやすく、有機物残渣表面の親水層もより形成されやすくなり、有機物残渣の除去が行われやすくなると考えられる。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリン部分について、グリセリン由来の構成単位の数は、特に制限されないが、3以上20以下であることが好ましく、5以上15以下であることがより好ましい。
さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分の炭素数も特に制限されないが、2以上20以下であることが好ましく、6以上15以下であることがより好ましく、9以上14以下がさらに好ましい。
上記グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の含有量(濃度)(2種以上の場合はその合計量)は、特に制限されないが、表面処理組成物の総量に対して、0.01g/kg以上であることが好ましい。グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の含有量が0.01g/kg以上であると、本発明の効果がより向上する。
同様の観点から、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の含有量(濃度)は、表面処理組成物の総量に対して、0.02g/kg以上であることが好ましく、0.05g/kg以上であることがさらに好ましく、0.06g/kg以上であることがさらにより好ましく、0.08g/kg以上であることが特に好ましい。また、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の含有量(濃度)は、表面処理組成物の総量に対して、5g/kg以下であることが好ましい。グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の含有量(濃度)が5g/kg以下であると、表面処理後のグリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子自体の除去が容易となる。同様の観点から、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の含有量(濃度)は、表面処理組成物の総量に対して、4g/kg以下であることがより好ましく、3g/kg以下であることがさらに好ましく、2g/kg以下であることが特に好ましい。
グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、異物の除去効果がより向上する。かかる理由は、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子が洗浄対象物や異物を覆う際の被覆性がより良好となり、洗浄対象物表面からの異物の除去作用または洗浄対象物表面への異物の再付着抑止作用がより向上するからであると推測される。同様の観点から、重量平均分子量は、3,000超であることがより好ましい。また、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の重量平均分子量の上限値は、特に制限されないが、2,000,000以下であることが好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、GPC装置(株式会社島津製作所製 型式:Prominence + ELSD検出器(ELSD−LTII))などを用いてポリエチレングリコール換算によって求めることができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。合成する場合の製造方法は特に制限されず、公知の重合法を用いることができる。
[酸]
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、酸を含む。なお、本明細書において、下記イオン性分散剤は、ここで述べる添加剤としての酸とは異なるものとして取り扱う。酸は、主として表面処理組成物のpHを調整する目的で添加される。酸は、主として表面処理組成物のpHを調整する目的で添加される。
また、酸は、研磨済研磨対象物が窒化珪素、酸化珪素、またはポリシリコンを含む場合、当該研磨済研磨対象物の表面や、異物の表面を正電荷で帯電させる役割を担うと推測される。したがって、表面処理組成物を正電荷に帯電しうる性質を有する異物や洗浄対象物に対して用いる場合、酸を添加することにより、静電的な反発効果がより促進され、表面処理組成物による異物の除去効果がより向上する。
酸としては、無機酸または有機酸のいずれを用いてもよい。無機酸としては、特に制限されないが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸等が挙げられる。有機酸としては、特に制限されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸などのカルボン酸、ならびにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびイセチオン酸等が挙げられる。
これらの中でも、研磨済研磨対象物の表面および異物の表面を正電荷で帯電させる効果がより良好となり、異物の除去性を高めるという観点から、マレイン酸または硝酸であることがより好ましく、マレイン酸であることがさらに好ましい。
なお、酸は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
酸の含有量は、表面処理組成物の総量に対して、0.01質量%以上であることが好ましい。酸の含有量が0.01質量%以上であると、異物の除去効果がより向上する。かかる理由は、研磨済研磨対象物の表面および異物の表面を正電荷で帯電させる効果がより良好となるからであると推測される。同様の観点から、酸の含有量は、表面処理組成物の総量に対して、0.02質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがさらに好ましい。また、酸の含有量は、表面処理組成物の総量に対して、5質量%以下であることが好ましい。酸の含有量が5質量%以下であると、コストを削減するという観点から好ましい。同様の観点から、酸の含有量は、表面処理組成物の総量に対して、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
[分散媒]
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、分散媒(溶媒)として水を必須に含む。分散媒は、各成分を分散または溶解させる機能を有する。分散媒は、水のみであることがより好ましい。また、分散媒は、各成分の分散または溶解のために、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。この際、用いられる有機溶媒の例としては、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
水は、洗浄対象物の汚染や他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。例えば、遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水が好ましい。ここで、水の純度は、例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって高めることができる。具体的には、水としては、例えば、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などを用いることが好ましい。
[pH]
本発明の一形態に係る表面処理組成物のpHは、5以下である。pHが5以下であると、表面処理組成物を正電荷に帯電しうる性質を有する異物や洗浄対象物に対して用いる場合、洗浄対象物の表面または異物の表面をより確実に正電荷で帯電させることができ、静電的な反発により、より高い異物の除去効果が得られる。pHが5を超えると、異物の除去効果が得られにくくなる。該pHは、4以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましく、3未満であることがよりさらに好ましく、2.5以下であることが特に好ましい。また、表面処理組成物のpHは、1以上であることが好ましい。pHが1以上であると、よりコストを削減することができる。
なお、表面処理組成物のpH値は、pHメータ(株式会社堀場製作所製 製品名:LAQUA(登録商標))により確認することができる。
pH値を調整する際、本発明の一形態に係る表面処理組成物以外の成分は、異物の原因となりうるため、できる限り添加しないことが望ましい。よって、表面処理組成物は、上記グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子、酸、水、および必要に応じて添加されるイオン性分散剤のみで調製することが好ましい。しかしながら、これらのみによって所望のpHを得ることが困難である場合は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、任意に添加されうるアルカリ等の他の添加剤を用いて調整してもよい。
[イオン性分散剤]
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、イオン性分散剤をさらに含むことが好ましい。イオン性分散剤は、表面処理組成物による異物の除去に寄与する。よって、イオン性分散剤を含む表面処理組成物は、研磨済研磨対象物の表面処理(洗浄等)において、研磨済研磨対象物の表面に残留する異物(有機物残渣等を含む不純物)を十分に除去することができる。なお、本発明に係る「イオン性分散剤」とは、グリセリン由来の構成単位を有さないものを指す。該イオン性分散剤がグリセリン由来の構成単位を有する高分子であれば、「グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子」に分類するものとする。
イオン性分散剤の例としては、スルホン酸(塩)基を有する高分子化合物;リン酸(塩)基を有する高分子化合物;ホスホン酸(塩)基を有する高分子化合物;カルボン酸(塩)基を有する高分子化合物;ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピペリジン、ポリアクリロイルモルホリン(PACMO)等の窒素原子を含む水溶性高分子;ポリビニルアルコール(PVA);ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等が挙げられる。
これらの中でも、スルホン酸(塩)基を有する高分子化合物が好ましい。以下、スルホン酸(塩)基を有する高分子化合物について説明する。
<スルホン酸(塩)基を有する高分子化合物>
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、上記イオン性分散剤がスルホン酸(塩)基を有する高分子化合物であると好ましい。スルホン酸(塩)基を有する高分子化合物(本明細書中、単に「スルホン酸基含有高分子」とも称する)は、表面処理組成物による異物の除去により寄与しやすい。よって、上記スルホン酸基含有高分子を含む表面処理組成物は、研磨済研磨対象物の表面処理(洗浄等)において、研磨済研磨対象物の表面に残留する異物(有機物残渣等を含む不純物)をより除去しやすいという効果を有する。
当該スルホン酸基含有高分子は、スルホン酸(塩)基以外の部分(すなわち、スルホン酸基含有高分子のポリマー鎖部分)と、異物(特に疎水性成分)との親和性により、ミセルを形成しうる。よって、このミセルが表面処理組成物中に溶解または分散することにより、疎水性成分である異物もまた効果的に除去されると考えられる。
また、酸性条件下において、研磨済研磨対象物の表面がカチオン性である場合、スルホン酸基がアニオン化することにより、当該研磨済研磨対象物の表面に吸着しやすくなる。その結果、研磨済研磨対象物の表面には、上記スルホン酸基含有高分子が被覆した状態となると考えられる。他方、残留した異物(特にカチオン性を帯びやすいもの)には、スルホン酸基含有高分子のスルホン酸基が吸着しやすいため、異物の表面がアニオン性を帯びることとなる。よって、その表面がアニオン性となった異物と、研磨済研磨対象物の表面に吸着したスルホン酸基含有高分子のアニオン化したスルホン酸基とが、静電的に反発する。また、異物がアニオン性である場合は、異物自体と、研磨済研磨対象物上に存在するアニオン化したスルホン酸基とが静電的に反発する。したがって、このような静電的な反発を利用することで、異物をより効果的に除去することができると考えられる。
さらに、研磨済研磨対象物が電荷を帯びにくい場合には、上記とは異なるメカニズムによって異物が除去されると推測される。まず、疎水性である研磨済研磨対象物に対し、異物(特に疎水性成分)は疎水性相互作用によって付着しやすい状態にあると考えられる。ここで、スルホン酸基含有高分子のポリマー鎖部分(疎水性構造部位)は、その疎水性に起因して、研磨済研磨対象物の表面側に向き、他方、親水性構造部位であるアニオン化したスルホン酸基等は、研磨済研磨対象物表面側とは反対側に向く。これにより、研磨済研磨対象物の表面は、アニオン化したスルホン酸基に覆われた状態となり、親水性となると推測される。その結果、異物(特に疎水性成分)と、上記研磨済研磨対象物との間に疎水性相互作用が生じにくくなり、異物の付着がより抑制されると考えられる。
そして、研磨済研磨対象物の表面に吸着したグリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子およびスルホン酸基含有高分子は、さらに水洗等を行うことにより、容易に除去される。
なお、本明細書において、「スルホン酸(塩)基」とは、スルホン酸基(−SOH))またはその塩の基(−SO;ここで、Mは、有機または無機の陽イオンである)を表す。
スルホン酸基含有高分子は、スルホン酸(塩)基を複数有するものであれば特に制限されず、公知の化合物を用いることができる。スルホン酸基含有高分子の例としては、ベースとなる高分子化合物をスルホン化して得られる高分子化合物や、スルホン酸(塩)基を有する単量体を(共)重合して得られる高分子化合物等が挙げられる。
より具体的には、スルホン酸(塩)基含有ポリビニルアルコール(スルホン酸変性ポリビニルアルコール)、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸(塩)基含有ポリスチレン、スルホン酸(塩)基含有ポリ酢酸ビニル(スルホン酸変性ポリ酢酸ビニル)、スルホン酸(塩)基含有ポリエステル、(メタ)アクリル酸−スルホン酸(塩)基含有モノマーの共重合体等の(メタ)アクリル基含有モノマー−スルホン酸(塩)基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。上記スルホン酸基含有高分子は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これら高分子が有するスルホン酸基の少なくとも一部は、塩の形態であってもよい。塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの第2族元素の塩、アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。特に、研磨済研磨対象物がCMP工程後の半導体基板である場合には、基板表面の金属を極力除去するという観点から、アンモニウム塩であると好ましい。
また、スルホン酸基含有高分子がスルホン酸基含有ポリビニルアルコールである場合は、溶解性の観点から、鹸化度が80%以上であることが好ましく、85%以上であることが好ましい(上限100%)。
本発明において、スルホン酸基含有高分子の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、異物の除去効果がさらに高まる。かかる理由は、研磨済研磨対象物や異物を覆う際の被覆性がより良好となり、洗浄対象物表面からの異物の除去作用または研磨済研磨対象物表面への有機物残渣の再付着抑止作用がより向上するからであると推測される。同様の観点から、重量平均分子量は、2,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることがさらに好ましい。
また、スルホン酸基含有高分子の重量平均分子量は、100,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が100,000以下であると、異物の除去効果がさらに高まる。かかる理由は、洗浄工程後のスルホン酸基含有高分子の除去性がより良好となるからであると推測される。同様の観点から、重量平均分子量は、50,000以下であることがより好ましく、40,000以下であることがさらに好ましい。
該重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
スルホン酸基含有高分子としては、市販品を用いていてもよく、例えば、日本合成化学工業株式会社製 ゴーセネックス(登録商標)L−3226、ゴーセネックス(登録商標)CKS−50、東亞合成株式会社製 アロン(登録商標)A−6012、A−6016A、A−6020、東ソー有機化学株式会社製 ポリナス(登録商標)PS−1等を用いることができる。
スルホン酸基含有高分子の含有量(濃度)は、表面処理組成物の総量に対して、0.01g/kg以上であることが好ましい。スルホン酸基含有高分子の含有量が0.01g/kg以上であると、異物の除去効果がより向上する。かかる理由は、スルホン酸基含有高分子が、研磨済研磨対象物および異物を被覆する際に、より多くの面積で被覆がなされるからであると推測される。これにより、特に異物がミセルを形成しやすくなるため、当該ミセルの溶解・分散による異物の除去効果が向上する。また、スルホン酸(塩)基の数が増加することで、静電的な吸着または反発効果をより強く発現させることができるからであると推測される。同様の観点から、スルホン酸基含有高分子の含有量(濃度)は、表面処理組成物の総量に対して、0.03g/kg以上であることがより好ましく、0.05g/kg以上であることがさらに好ましい。また、スルホン酸基含有高分子の含有量(濃度)は、表面処理組成物の総量に対して、5g/kg以下であることが好ましい。スルホン酸基含有高分子の含有量(濃度)が5g/kg以下であると、異物の除去効果がさらに高まる。かかる理由は、洗浄工程後のスルホン酸基含有高分子自体の除去性が良好となるからであると推測される。同様の観点から、スルホン酸基含有高分子の含有量は、表面処理組成物の総量に対して、3g/kg以下であることがより好ましく、2g/kg以下であることがさらに好ましく、1g/kg以下であることが特に好ましい。
本発明の一形態によれば、イオン性分散剤中のスルホン酸基含有高分子の含有量は、イオン性分散剤の総質量に対して80質量%超であることが好ましい(上限100質量%)。スルホン酸基含有高分子の含有量が、表面処理組成物に含まれるイオン性分散剤の総質量に対して80質量%超であると、異物の除去効果がより向上する。かかる理由は、洗浄工程後における異物の原因となりうるスルホン酸基含有高分子以外のイオン性分散剤の量を低減できるからである。また、スルホン酸基含有高分子が研磨済研磨対象物および異物を被覆する際に、スルホン酸基含有高分子以外のイオン性分散剤によって被覆が妨げられることが抑制されるからであると推測される。同様の観点から、スルホン酸基含有高分子の含有量は、表面処理組成物に含まれるイオン性分散剤の総質量に対して95質量%超であることがより好ましい。かような場合、異物の除去効果は著しく向上する。
さらに、スルホン酸基含有高分子の含有量は、表面処理組成物に含まれるイオン性分散剤の総質量に対して100質量%であると特に好ましい。すなわち、表面処理組成物に含まれるイオン性分散剤は、スルホン酸基含有高分子のみであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「高分子化合物」は、その重量平均分子量が1,000以上である化合物をいう。
[他の添加剤]
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて、他の添加剤を任意の割合で含有していてもよい。ただし、本発明の一形態に係る表面処理組成物の必須成分以外の成分は、異物の原因となりうるため、できる限り添加しないことが望ましい。よって、必須成分以外の成分は、その添加量はできる限り少ないことが好ましく、含まないことがより好ましい。他の添加剤としては、例えば、砥粒、アルカリ、防腐剤、溶存ガス、還元剤、酸化剤およびアルカノールアミン類等が挙げられる。なかでも、異物除去効果のさらなる向上のため、表面処理組成物は、砥粒を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「砥粒を実質的に含有しない」とは、表面処理組成物全体に対する砥粒の含有量が0.01質量%以下である場合をいう。
[異物除去効果]
本発明の一形態に係る表面処理組成物は、研磨済研磨対象物の表面上の異物(有機物残渣)を除去する効果が高いほど好ましい。すなわち、表面処理組成物を用いて研磨済研磨対象物の表面処理を行った際、表面に残存する異物(有機物残渣)の数が少ないほど好ましい。具体的には、表面処理組成物を用いて研磨済研磨対象物を表面処理した際、異物(有機物残渣)の数が6000個以下であると好ましく、3000個以下であるとより好ましく、2000個以下であるとさらにより好ましく、1500個以下であると特に好ましい。一方、上記異物(有機物残渣)の数は少ないほど好ましいため、その下限は特に制限されないが、実質的には、100個である。
なお、上記異物(有機物残渣)の数は、実施例に記載の方法により表面処理を行った後、実施例に記載の方法により測定された値を採用する。
[表面処理組成物の製造方法]
上記表面処理組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、酸と、水と、を混合することにより製造できる。すなわち、本発明の他の形態によれば、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、酸と、水と、を混合することを含む、上記表面処理組成物の製造方法もまた提供される。上記のグリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子の種類、添加量等は、前述の通りである。さらに、本発明の一形態に係る表面処理組成物の製造方法においては、必要に応じて、上記イオン性分散剤、他の添加剤、水以外の分散媒等をさらに混合してもよい。これらの種類、添加量等は、前述の通りである。
上記各成分の添加順、添加方法は特に制限されない。上記各材料を、一括してもしくは別々に、または段階的にもしくは連続的に加えてもよい。また、混合方法も特に制限されず、公知の方法を用いることができる。好ましくは、上記表面処理組成物の製造方法は、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、酸と、水と、必要に応じて添加されるイオン性分散剤と、を順次添加し、水中で攪拌することを含む。加えて、上記表面処理組成物の製造方法は、pHが5以下となるように、表面処理組成物のpHを測定し、調整することをさらに含んでいてもよい。
[表面処理方法]
本発明の他の一形態は、上記表面処理組成物を用いて研磨済研磨対象物を表面処理することを含む、表面処理方法である。本明細書において、表面処理方法とは、研磨済研磨対象物の表面における異物を低減する方法をいい、広義の洗浄を行う方法である。
本発明の一形態に係る表面処理方法によれば、研磨済研磨対象物の表面に残留する異物を十分に除去することができる。すなわち、本発明の他の一形態によれば、上記表面処理組成物を用いて研磨済研磨対象物を表面処理する、研磨済研磨対象物の表面における異物低減方法が提供される。
本発明の一形態に係る表面処理方法は、本発明に係る表面処理組成物を研磨済研磨対象物に直接接触させる方法により行われる。
表面処理方法としては、主として、(I)リンス研磨処理による方法、(II)洗浄処理による方法が挙げられる。すなわち、本発明の一形態に係る表面処理は、リンス研磨または洗浄によって行われると好ましい。リンス研磨処理および洗浄処理は、研磨済研磨対象物の表面上の異物(パーティクル、金属汚染、有機物残渣、パッド屑など)を除去し、清浄な表面を得るために実施される。上記(I)および(II)について、以下、説明する。
(I)リンス研磨処理
本発明に係る表面処理組成物は、リンス研磨処理において好適に用いられる。リンス研磨処理は、研磨対象物について最終研磨(仕上げ研磨)を行った後、研磨対象物の表面上の異物の除去を目的として、研磨パッドが取り付けられた研磨定盤(プラテン)上で行われる。このとき、本発明に係る表面処理組成物を研磨済研磨対象物に直接接触させることにより、リンス研磨処理が行われる。その結果、研磨済研磨対象物表面の異物は、研磨パッドによる摩擦力(物理的作用)および表面処理組成物による化学的作用によって除去される。異物のなかでも、特にパーティクルや有機物残渣は、物理的な作用により除去されやすい。したがって、リンス研磨処理では、研磨定盤(プラテン)上で研磨パッドとの摩擦を利用することで、パーティクルや有機物残渣を効果的に除去することができる。
具体的には、リンス研磨処理は、研磨工程後の研磨済研磨対象物表面を研磨装置の研磨定盤(プラテン)に設置し、研磨パッドと研磨済研磨対象物とを接触させて、その接触部分に表面処理組成物(リンス研磨用組成物)を供給しながら研磨済研磨対象物と研磨パッドとを相対摺動させることにより行うことができる。
リンス研磨処理は、片面研磨装置、両面研磨装置のいずれを用いても行うことができる。また、上記研磨装置は、研磨用組成物の吐出ノズルに加え、リンス研磨用組成物の吐出ノズルを備えていると好ましい。研磨装置のリンス研磨処理時の稼働条件は特に制限されず、当業者であれば適宜設定可能である。
(II)洗浄処理
本発明に係る表面処理組成物は、洗浄処理において好適に用いられる。洗浄処理は、研磨対象物について最終研磨(仕上げ研磨)を行った後、または、上記リンス研磨処理を行った後、研磨対象物の表面上の異物の除去を目的として行われる。なお、洗浄処理と、上記リンス研磨処理とは、これらの処理を行う場所によって分類され、洗浄処理は、研磨済研磨対象物を研磨定盤(プラテン)上から取り外した後に行われる表面処理である。洗浄処理においても、本発明に係る表面処理組成物を研磨済研磨対象物に直接接触させて、当該対象物の表面上の異物を除去することができる。
洗浄処理を行う方法の一例として、(i)研磨済研磨対象物を保持した状態で、洗浄ブラシを研磨済研磨対象物の片面または両面とを接触させて、その接触部分に表面処理組成物を供給しながら洗浄対象物の表面を洗浄ブラシで擦る方法、(ii)研磨済研磨対象物を表面処理組成物中に浸漬させ、超音波処理や攪拌を行う方法(ディップ式)等が挙げられる。かかる方法において、研磨対象物表面の異物は、洗浄ブラシによる摩擦力または超音波処理や攪拌によって発生する機械的力、および表面処理組成物による化学的作用によって除去される。
上記(i)の方法において、表面処理組成物(洗浄用組成物)の研磨済研磨対象物への接触方法としては、特に限定されないが、ノズルから研磨済研磨対象物上に表面処理組成物を流しながら研磨済研磨対象物を高速回転させるスピン式、研磨済研磨対象物に表面処理組成物を噴霧して洗浄するスプレー式などが挙げられる。
短時間でより効率的な汚染除去ができる点からは、洗浄処理は、スピン式やスプレー式を採用することが好ましく、スピン式であることがさらに好ましい。
このような洗浄処理を行うための装置としては、カセットに収容された複数枚の研磨済研磨対象物を同時に表面処理するバッチ式洗浄装置、1枚の研磨済研磨対象物をホルダーに装着して表面処理する枚葉式洗浄装置などがある。洗浄時間の短縮等の観点からは、枚葉式洗浄装置を用いる方法が好ましい。
さらに、洗浄処理を行うための装置として、研磨定盤(プラテン)から研磨済研磨対象物を取り外した後、当該対象物を洗浄ブラシで擦る洗浄用設備を備えている研磨装置が挙げられる。このような研磨装置を用いることにより、研磨済研磨対象物の洗浄処理を、より効率よく行うことができる。
かような研磨装置としては、研磨済研磨対象物を保持するホルダー、回転数を変更可能なモータ、洗浄ブラシ等を有する一般的な研磨装置を使用することができる。研磨装置としては、片面研磨装置または両面研磨装置のいずれを用いてもよい。なお、CMP工程の後、リンス研磨工程を行う場合、当該洗浄処理は、リンス研磨工程にて用いた研磨装置と同様の装置を用いて行うことが、より効率的であり好ましい。
洗浄ブラシとしては、特に制限されないが、好ましくは、樹脂製ブラシを使用する。樹脂製ブラシの材質は、特に制限されないが、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を使用するのが好ましい。そして、洗浄ブラシとしては、PVA製スポンジを用いることが特に好ましい。
洗浄条件にも特に制限はなく、洗浄対象物の種類、ならびに除去対象とする有機物残渣の種類および量に応じて、適宜設定することができる。例えば、洗浄ブラシの回転数は10rpm以上200rpm以下、洗浄対象物の回転数は、10rpm以上100rpm以下、洗浄対象物にかける圧力(研磨圧力)は、0.5psi以上10psi以下がそれぞれ好ましい。洗浄ブラシに表面処理組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法(掛け流し)が採用される。この供給量に制限はないが、洗浄ブラシおよび洗浄対象物の表面が常に表面処理組成物で覆われていることが好ましく、10mL/分以上5000mL/分以下であることが好ましい。洗浄時間も特に制限されないが、本発明の一形態に係る表面処理組成物を用いる工程については5秒間以上180秒間以下であることが好ましい。このような範囲であれば、異物をより効果的に除去することが可能である。
洗浄の際の表面処理組成物の温度は、特に制限されず、通常は室温(25℃)でよいが、性能を損なわない範囲で、40℃以上70℃以下程度に加温してもよい。
上記(ii)の方法において、浸漬による洗浄方法の条件については、特に制限されず、公知の手法を用いることができる。
上記(i)、(ii)の方法による洗浄処理を行う前、後またはその両方において、水による洗浄を行ってもよい。
また、洗浄後の研磨済研磨対象物(洗浄対象物)は、スピンドライヤ等により表面に付着した水滴を払い落として乾燥させることが好ましい。また、エアブロー乾燥により洗浄対象物の表面を乾燥させてもよい。
[半導体基板の製造方法]
本発明の一形態に係る表面処理方法は、研磨済研磨対象物が研磨済半導体基板であるとき、好適に適用可能である。すなわち、本発明の他の一形態によれば、研磨済研磨対象物が研磨済半導体基板であり、当該研磨済半導体基板を、上記表面処理組成物を用いて表面処理することを含む、半導体基板の製造方法もまた提供される。
かかる製造方法が適用される半導体基板の詳細については、上記表面処理組成物によって表面処理される研磨済研磨対象物の説明の通りである。
また、半導体基板の製造方法としては、研磨済半導体基板の表面を、本発明の一形態に係る表面処理組成物を用いて表面処理する工程(表面処理工程)を含むものであれば特に制限されない。かかる製造方法として、例えば、研磨済半導体基板を形成するための研磨工程および洗浄工程を有する方法が挙げられる。また、他の一例としては、研磨工程および洗浄工程に加え、研磨工程および洗浄工程の間に、リンス研磨工程を有する方法が挙げられる。以下、これらの各工程について説明する。
<研磨工程>
半導体基板の製造方法に含まれうる研磨工程は、半導体基板を研磨して、研磨済半導体基板を形成する工程である。
研磨工程は、半導体基板を研磨する工程であれば特に制限されないが、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)工程であることが好ましい。また、研磨工程は、単一の工程からなる研磨工程であっても複数の工程からなる研磨工程であってもよい。複数の工程からなる研磨工程としては、例えば、予備研磨工程(粗研磨工程)の後に仕上げ研磨工程を行う工程や、1次研磨工程の後に1回または2回以上の2次研磨工程を行い、その後に仕上げ研磨工程を行う工程等が挙げられる。本発明に係る表面処理組成物を用いた表面処理工程は、上記仕上げ研磨工程後に行われると好ましい。
研磨用組成物としては、半導体基板の特性に応じて、公知の研磨用組成物を適宜使用することができる。研磨用組成物としては、特に制限されないが、例えば、砥粒、酸塩、分散媒、および酸を含むもの等を好ましく用いることができる。かかる研磨用組成物の具体例としては、スルホン酸修飾コロイダルシリカ、水およびマレイン酸を含む研磨用組成物等が挙げられる。
研磨装置としては、研磨対象物を保持するホルダーと回転数を変更可能なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。研磨装置としては、片面研磨装置または両面研磨装置のいずれを用いてもよい。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件にも特に制限はなく、例えば、研磨定盤の回転数、ヘッド(キャリア)回転数は、10rpm以上100rpm以下が好ましく、研磨対象物にかける圧力(研磨圧力)は、0.5psi以上10psi以下が好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法(掛け流し)が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨用組成物で覆われていることが好ましく、10mL/分以上5000mL/分以下であることが好ましい。研磨時間も特に制限されないが、研磨用組成物を用いる工程については5秒間以上180秒間以下であることが好ましい。
<表面処理工程>
表面処理工程とは、本発明に係る表面処理組成物を用いて研磨済研磨対象物の表面における異物を低減する工程をいう。半導体基板の製造方法において、リンス研磨工程の後、表面処理工程としての洗浄工程が行われてもよいし、リンス研磨工程のみ、または洗浄工程のみが行われてもよい。
(リンス研磨工程)
リンス研磨工程は、半導体基板の製造方法において、研磨工程および洗浄工程の間に設けられてもよい。リンス研磨工程は、本発明の一形態に係る表面処理方法(リンス研磨処理方法)によって、研磨済研磨対象物(研磨済半導体基板)の表面における異物を低減する工程である。
研磨装置および研磨パッド等の装置、ならびに研磨条件については、研磨用組成物を供給する代わりに本発明に係る表面処理組成物を供給する以外は、上記研磨工程と同様の装置および条件を適用することができる。
リンス研磨工程で用いられるリンス研磨方法の詳細は、上記リンス研磨処理に係る説明に記載の通りである。
(洗浄工程)
洗浄工程は、半導体基板の製造方法において、研磨工程の後に設けられてもよいし、リンス研磨工程の後に設けられてもよい。洗浄工程は、本発明の一形態に係る表面処理方法(洗浄方法)によって、研磨済研磨対象物(研磨済半導体基板)の表面における異物を低減する工程である。
洗浄工程で用いられる洗浄方法の詳細は、上記洗浄方法に係る説明に記載の通りである。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件下で行われた。
なお、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子およびポリビニルアルコールの重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量(ポリエチレングリコール換算)の値を用い、より具体的には、下記の装置および条件によって測定した。
GPC装置:株式会社島津製作所製
型式:Prominence + ELSD検出器(ELSD−LTII)
カラム:VP−ODS(株式会社島津製作所製)
移動相 A:MeOH
B:酢酸1%水溶液
流量:1mL/分
検出器:ELSD temp.40℃、Gain 8、NGAS 350kPa
オーブン温度:40℃
注入量:40μL。
<表面処理組成物の調製>
[実施例1:表面処理組成物A−1の調製]
有機酸としての濃度30質量%マレイン酸水溶液を、組成物全体を100質量部として1.0質量部(マレイン酸として0.3質量部)、グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子としてポリグリセリン(重量平均分子量(Mw):15,000)を1.0g/kgの濃度となるように、およびイオン性分散剤としてポリスチレンスルホン酸を0.25g/kgの濃度となるように、それぞれ水(脱イオン水)と混合して、表面処理組成物A−1を調製した。表面処理組成物A−1(液温:25℃)について、pHメータ(株式会社堀場製作所製 製品名:LAQUA(登録商標))により確認されたpHは2.1であった。
[実施例2:表面処理組成物A−2の調製]
ポリグリセリンの代わりに、エチレンオキサイド変性ポリグリセリン(EO変性ポリグリセリン、重量平均分子量:15,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−2を調製した。表面処理組成物A−2(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例3:表面処理組成物A−3の調製]
エチレンオキサイド変性ポリグリセリン(EO変性ポリグリセリン、重量平均分子量:15,000)の濃度を2.0g/kgとしたこと以外は、実施例2と同様にして、表面処理組成物A−3を調製した。表面処理組成物A−3(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例4:表面処理組成物A−4の調製]
ポリグリセリンの代わりに、スルホン酸変性ポリグリセリン(重量平均分子量:10,000〜15,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−4を調製した。表面処理組成物A−4(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例5:表面処理組成物A−5の調製]
スルホン酸変性ポリグリセリン(重量平均分子量:10,000〜15,000)の濃度を2.0g/kgとしたこと以外は、実施例4と同様にして、表面処理組成物A−5を調製した。表面処理組成物A−5(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例6:表面処理組成物A−6の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ホスホン酸変性ポリグリセリン(重量平均分子量:10,000〜15,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−6を調製した。表面処理組成物A−6(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例7:表面処理組成物A−7の調製]
ホスホン酸変性ポリグリセリン(重量平均分子量:10,000〜15,000)の濃度を2.0g/kgとしたこと以外は、実施例6と同様にして、表面処理組成物A−7を調製した。表面処理組成物A−7(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例8:表面処理組成物A−8の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ポリグリセリン4−ビニル安息香酸エステル(重量平均分子量:10,000〜15,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−8を調製した。表面処理組成物A−8(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例9:表面処理組成物A−9の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ポリグリセリン脂肪酸(C10−13)エステル(重量平均分子量:1000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−9を調製した。表面処理組成物A−8(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例10:表面処理組成物A−10の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ポリグリセリン脂肪酸(C10)エステル(重量平均分子量:900)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−10を調製した。表面処理組成物A−10(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例11:表面処理組成物A−11の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ポリグリセリン脂肪酸(C8)エステル(重量平均分子量:900)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−11を調製した。表面処理組成物A−11(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例12:表面処理組成物A−12の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ポリグリセリン脂肪酸(C3)エステル(重量平均分子量:800)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−12を調製した。表面処理組成物A−12(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例13:表面処理組成物A−13の調製]
ポリグリセリンの代わりに、デカグリセリンラウレート(重量平均分子量:1000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−13を調製した。表面処理組成物A−13(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例14:表面処理組成物A−14の調製]
ポリグリセリンの代わりに、デカグリセリンステアレート(重量平均分子量:1000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−14を調製した。表面処理組成物A−14(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[実施例15:表面処理組成物A−15の調製]
ポリグリセリンの代わりに、デカグリセリンオレート(重量平均分子量:1000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物A−15を調製した。表面処理組成物A−15(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[比較例1:表面処理組成物C−1の調製]
ポリグリセリンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物C−1を調製した。表面処理組成物C−1(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
[比較例2:表面処理組成物C−2の調製]
ポリグリセリンの代わりに、ポリビニルアルコール(重量平均分子量:15,000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理組成物C−2を調製した。表面処理組成物C−2(液温:25℃)について、実施例1と同様の方法により確認されたpHは2.1であった。
<評価>
<研磨済研磨対象物(表面処理対象物)の準備>
下記の化学的機械的研磨(CMP)工程によって研磨された後の、研磨済窒化珪素基板、研磨済TEOS基板、および研磨済ポリシリコン基板、または必要に応じてさらに下記のリンス研磨工程によって処理された後の研磨済窒化珪素基板、研磨済TEOS基板および研磨済ポリシリコン基板を、表面処理対象物として準備した。
[CMP工程]
半導体基板である窒化珪素基板、TEOS基板およびポリシリコン基板について、研磨用組成物M(組成;スルホン酸修飾コロイダルシリカ(“Sulfonic acid−functionalized silica through quantitative oxidation of thiol groups”,Chem.Commun.246−247(2003)に記載の方法で作製、一次粒子径30nm、二次粒子径60nm)4質量%、濃度30質量%のマレイン酸水溶液 0.018質量%、溶媒:水)を使用し、それぞれ下記の条件にて研磨を行った。ここで、窒化珪素基板、TEOS基板およびポリシリコン基板は、200mmウエハを使用した。
(研磨装置および研磨条件)
研磨装置:アプライドマテリアルズ社製 MirraMesa
研磨パッド:ニッタ・ハース株式会社製 硬質ポリウレタンパッド IC1010
研磨圧力:2.0psi(1psi=6894.76Pa、以下同様)
研磨定盤回転数:60rpm
ヘッド回転数:60rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:100mL/分
研磨時間:60秒間。
[リンス研磨工程]
必要に応じて、前記CMP工程によって研磨された後の研磨済窒化珪素基板、研磨済TEOS基板および研磨済ポリシリコン基板について、リンス研磨用組成物R(組成;ポリビニルアルコール(重量平均分子量10,000)0.1質量%、溶媒;水、硝酸でpH=2に調整)を使用し、下記の条件でリンス研磨を行った。
(リンス研磨装置およびリンス研磨条件)
研磨装置:アプライドマテリアルズ社製 MirraMesa
研磨パッド:ニッタ・ハース株式会社製 硬質ポリウレタンパッド IC1010
研磨圧力:1.0psi
研磨定盤回転数:60rpm
ヘッド回転数:60rpm
リンス研磨用組成物の供給:掛け流し
リンス研磨用組成物供給量:100mL/分
研磨時間:60秒間。
[洗浄工程]
上記で調製した各表面処理組成物または水(脱イオン水)を用いて、洗浄ブラシであるポリビニルアルコール(PVA)製スポンジで圧力をかけながら下記条件で各研磨済研磨対象物をこする洗浄方法によって、各研磨済研磨対象物を洗浄した。
(洗浄装置および洗浄条件)
装置:アプライドマテリアルズ社製 MirraMesa
洗浄ブラシ回転数:100rpm
洗浄対象物(研磨済研磨対象物)回転数:50rpm
洗浄液の流量:1000mL/分
洗浄時間:60秒間。
<評価>
上記洗浄工程後の各研磨済研磨対象物について、下記項目について測定し評価を行った。評価結果を表1に合わせて示す。
[総ディフェクト数の評価]
上記洗浄工程を行った後の研磨済研磨対象物について、0.13μm以上の総ディフェクト数を測定した。総ディフェクト数の測定にはKLA TENCOR社製SP−2を使用した。測定は、研磨済研磨対象物の片面の外周端部から幅5mmの部分を除外した残りの部分について行った。
[有機物残渣数の評価]
上記洗浄処理を行った後の研磨済研磨対象物について、有機物残渣の数を、株式会社日立製作所製Review SEM RS6000を使用し、SEM観察によって測定した。まず、SEM観察にて、研磨済研磨対象物の片面の外周端部から幅5mmの部分を除外した残りの部分に存在するディフェクトを100個サンプリングした。次いで、サンプリングした100個のディフェクトの中から、目視によるSEM観察にて有機物残渣を判別し、その個数を確認することで、ディフェクト中の有機物残渣の割合(%)を算出した。そして、上述の総ディフェクト数の評価により測定した0.13μm以上の総ディフェクト数(個)と、SEM観察により算出したディフェクト中の有機物残渣の割合(%)との積を、有機物残渣数(個)として算出した。
各表面処理組成物について、表面処理対象物として研磨済窒化珪素基板を用いた場合、研磨済TEOS基板を用いた場合、および研磨済ポリシリコン基板を用いた場合の有機物残渣の評価結果を下記表1に、それぞれ示す。
上記表1から明らかなように、実施例の表面処理組成物は、比較例の表面処理組成物に比べて、研磨済研磨対象物表面の有機物残渣を低減させうることが分かった。

Claims (11)

  1. グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、
    酸と、
    水と、
    を含み、
    pHが5以下であり、
    研磨済研磨対象物の表面を処理するために用いられる、表面処理組成物。
  2. 前記グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子は、ポリグリセリン、エチレンオキサイド変性ポリグリセリン、スルホン酸変性ポリグリセリン、ホスホン酸変性ポリグリセリン、ポリグリセリン4−ビニル安息香酸エステル、およびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の表面処理組成物。
  3. イオン性分散剤をさらに含む、請求項1または2に記載の表面処理組成物。
  4. 前記イオン性分散剤は、スルホン酸(塩)基を有する高分子化合物である、請求項3に記載の表面処理組成物。
  5. 前記pHが4以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理組成物。
  6. 砥粒を実質的に含有しない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理組成物。
  7. 前記研磨済研磨対象物はポリシリコンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面処理組成物。
  8. 前記グリセリン由来の構成単位を有する水溶性高分子と、前記酸と、前記水と、を混合することを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理組成物を用いて研磨済研磨対象物を表面処理して、研磨済研磨対象物の表面における有機物残渣を低減する、表面処理方法。
  10. 前記表面処理は、リンス研磨または洗浄によって行われる、請求項9に記載の表面処理方法。
  11. 研磨済研磨対象物が研磨済半導体基板であり、
    請求項9または10に記載の表面処理方法によって、研磨済研磨対象物の表面における有機物残渣を低減する表面処理工程を含む、半導体基板の製造方法。
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