JP2019060484A - クランプ装置及びシートワーク加工装置 - Google Patents
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これらの装置は、ワークをクランプするためのクランプ部を先端部に設けた一対のクランプ片が軸によって回動可能に支持され、磁石の磁気力によって両クランプ片間にワークをクランプするためのクランプ力が付与されるようになっている。そして、これらの特許文献1及び特許文献2の装置においては、両クランプ片が同形状に形成されている。
以上の構成においては、一方のクランプ片が他方のクランプ片より幅狭であるため、両クランプ片間を通る洗浄液やエアなどの流体の流れが円滑であって、洗浄やエアによる液体除去を滞りなく行うことができる。また、幅の広いクランプ片に幅広の磁石を設けることができるため、磁石によるクランプ力を強くすることができる。そして、以上の構成においては、ワークの外周縁を複数のクランパによってクランプすることができ、ワークが大面積のものであっても、そのワークを適切にクランプすることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(シートワーク加工装置の概略)
はじめに、実施形態のシートワーク加工装置の概略の構成及び作用を説明する。このシートワーク加工装置は、可撓性を有する銅製などの薄いシート状ワークに対してエッチング及びエッチング後の洗浄を施すものである。
以下に、各部の詳細な構成及び作用を説明する。
前記クランプ装置11について説明する。
図3及び図4に示すように、クランプ装置11は、長四角環状の扁平な保持枠12を備えている。その保持枠12は、長四角形の長辺を形成する一対の長辺部材13と、同じく長四角形の短辺を形成する一対の短辺部材14とを備えている。図5及び図7に示すように、長辺部材13及び短辺部材14はその両端に重合部19,20を備えるとともに、一方の重合部20には突条191が形成され、他方の重合部19には嵌合溝201が形成されている。そして、突条191と嵌合溝201とが嵌合した状態で重合部19,20が重合されて、重合部19,20が図3に示すネジ22により締め付け固定されて、保持枠12が構成されている。なお、上側の重合部19は、長辺部材13及び短辺部材14のいずれに形成してもよく、突条191と嵌合溝201との上下関係は前記の逆でもよい。
図10及び図11に示すように、第1クランプ片16及び第2クランプ片17の各凹部251,252、172,173内には、ヨーク32,39及び永久磁石281,282、361,362となる非着磁状態のハードタイプフェライトが封入されている。すなわち、第1,第2クランプ片16,17は、ヨーク32,39及びフェライトの組み付け後、凹部251,252、172,173の開口が蓋板35,40によって閉塞され、その状態で蓋板35,40が第1,第2クランプ片16,17に溶接される。その後、第2クランプ片17は長辺部材13及び短辺部材14上に軸受部材29及び軸31を介して組み付けられて、相互間隔をおいて配置された複数のクランパ15が構成される。
以上のように構成されたクランプ装置11は、以下のように作用する。
すなわち、図9の実線に示すように、ワーク100をクランプしていない空のクランプ装置11は、永久磁石281,282、361,362の吸引作用によって閉じられ、クランプ歯27,34どうしが当接した状態にある。
(1)クランパ15は、永久磁石281,282、361,362の磁気力によってワーク100のクランプ力を得るようになっているため、クランプ力をスプリングによって得る構成とは異なり、第2クランプ片17の開閉動作における拗れや異音がなくなり、第2クランプ片17の動作が円滑になる。また、バネの破断などのような不都合が突然生じることを回避できる。また、第2クランプ片17の幅が広いため、幅広で大きな永久磁石を用いることができる。従って、強い磁気力に基づく強いクランプ力を得ることができる。
次に、ワーク搬入ステーション74の構成及び作用について説明する。
(搬入側ワーク位置決め装置78)
まず、搬入側ワーク位置決め装置78について説明する。
(搬入側クランプ位置決め装置79)
搬入側クランプ位置決め装置79について説明する。
図16に示すように、前記ベース板422にはステー(図示しない)を介して各クランパ15に対応する複数のシリンダ429が設置され、そのシリンダ429のピストンロッドには前記押圧ピン38が支持されている。そして、シリンダ429の作動により、押圧ピン38が前進後退され、前進時には、開放状態の第2クランプ片17を閉鎖方向に押すようになっている。
チャック装置83について説明する。
図17及び図18に示すように、前記ワーク搬入ステーション74には、図17において太い矢印で示すように、前記搬入側ワーク位置決め装置78の近傍位置,前記搬入側ワーク位置決め装置78の位置及び搬入側クランプ位置決め装置79を往復すように移動されるチャック装置83が設けられている。
次に、ワーク搬入ステーション74における作用を説明する。
前記戻りライン70からの空のクランプ装置11は、図15に示す搬入側クランプ位置決め装置79の位置決め枠423上に移送されて、その位置決め枠423上に載置される。ここで、位置決め枠423は、後述の搬入側ワーク位置決め装置78において位置決めされるワーク100と平行な面内に位置する。このため、位置決め枠423上のクランプ装置11は、ワーク100の張設平面と平行な面内に位置する。そして、位置決め枠423上のシリンダ426の動作により、押さえローラ427が移動されて、クランプ装置11の保持枠12が基準ローラ425に押圧されて、対角線α1上の基準位置を基準にして位置決めされる。この状態で、図16に示すノックピン42が上昇されて、そのノックピン42により各クランパ15の第2クランプ片17がノックピン42によって開放され、その開放状態が維持される。
一方、このとき、チャック装置83の第1チャック433は固定位置を保持するが、第2チャック434はシリンダ439により矢印P方向と直交する方向に移動力が付与され、第3チャック435はシリンダ440により、反矢印P方向に移動力が付与される。また、第4チャック436はシリンダ439,440により反矢印P方向及び矢印P方向と直交する方向に移動力が付与される。このため、ワーク100にはチャック装置83によって基準点εから離れる方向に張力が付与される。そして、前記のように、ワーク100のチャックに時間差が設けられるため、張力付与が有効化されて、ワーク100は弛みが生じることなく、基準点εを基準にした位置において緊張を維持した状態でクランプされる。
(17)ワーク100が搬入側ワーク位置決め装置78において位置決めされる。このとき、ワーク100はエア噴出ノズル414からのエアによって浮上状態に維持されるため、ワーク100が薄く、撓みやすいものであっても、ワーク100はほとんど抵抗なく位置決め動作され、正確に位置決めされる。
次に、ワークストックステーション75について説明する。
図19に示すように、ワーク100の搬送コンベア80の後方には、ストック手段としてのストック装置86が設置されている。このストック装置86は、昇降ロボット442によって昇降可能にしたストッカ443を備えている。ストッカ443には、クランプ装置11を載置可能にした上下方向に複数段(実施形態では10段)の棚444が設けられている。ストッカ443は、この棚444の配列ピッチごとに昇降される。この棚444の段数は、加工ライン73内におけるクランプ装置11の滞在個数と等しい。加工ライン73の搬送コンベア80上のクランプ装置11は、搬送コンベア80側と棚444との間において搬送される。
ワークストックステーション75は以下のように作用する。
通常、クランプ装置11をストックしていない空のストッカ443は図19に実線で示す下方位置に配置されている。この状態において、加工ライン73の後工程に何らかの問題が生じて、加工ライン73からのワーク100の搬出が不都合になった場合は、搬送コンベア80は稼働を継続するが、加工ライン73に対するワーク搬入ステーション74からのクランプ装置11の搬入が停止される。これと同時に、加工ライン73の末端位置において、リフタ446の作動により、搬送コンベア80上のクランプ装置11がストッカ443の上端位置まで上昇される。次いで、上昇されたクランプ装置11が上端の棚444内に引き込まれ、その棚444上に載置される。そして、リフタ446及び搬送ロボットが原位置に復帰する。
そして、加工ライン73の後工程の問題が解消された場合には、加工ライン73に対するワーク搬入ステーション74からのクランプ装置11の搬入が再開される。また、ストッカ443が一旦図19に実線で示す下降位置に配置されて、その下降位置から所定ピッチごとに間欠的に上昇しながら、ストッカ443内のクランプ装置11が棚444への搬入時と同じ順序で、つまり上側の棚444から順に搬送コンベア80に戻される。従って、搬送コンベア80上のクランプ装置11はワーク搬出ステーション77に送られる。
(22)ワーク100を保持したクランプ装置11をストッカ443に一時的にストックできるため、加工ライン73の後工程に問題が生じた場合、その後工程にワーク100を送ることなく、ワーク100を一時的に待機できる。このため、加工ライン73内にワーク100が所定時間以上停止されることはなく、ワーク100に対する過度のエッチングなどを回避できて、ワーク100の加工不良が発生することを防止できる。
次に、前記検査ステーション76について説明する。
図1,図20及び図21に示すように、検査ステーション76において、前記搬送コンベア80の後方位置には、検査手段としての検査装置51が配置されている。この検査装置51は、基枠451が固定位置に配置された下部検査ユニット452と、下部検査ユニット452の上方においてシリンダなどの昇降装置(図示しない)により昇降可能にした基枠454を備えた上部検査ユニット455とが設けられている。
すなわち、検査装置51は、以下のように作用する。図24は、前記記憶装置56に記憶されたプログラムの動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は中央処理装置55の制御のもとで進行するものであって、ひとつの永久磁石281,282、361,362ごとに磁気力検査のための動作が実行される。
そして、クランプ装置11の少なくともひとつの永久磁石281,282、361,362が使用不可能状態であると判断された場合、そのクランプ装置11は、検査工程の終了後、補修工程に移行される。補修工程では、状況に応じて、永久磁石281,282、361,362の再着磁が行われたり、使用不可能な永久磁石281,282、361,362を有する第2クランプ片17や、長辺部材13あるいは短辺部材14の交換などが行なわれたりする。
(24)検査工程において永久磁石281,282、361,362の残留磁気力を検出することにより、クランパ15が適正に使用可能であるか否かを判別できる。このため、磁気力が弱くなったクランパ15の使用を避けることができて、ワーク100の加工においてワーククランプミスなどの不都合な事態が生じることを未然に防止できる。
次に、ワーク搬出ステーション77の構成及び作用について説明する。
(搬出側クランプ位置決め装置81)
前記ワーク搬出ステーション77の搬出側クランプ位置決め装置81は、ノックピン42の高さの構成を除いて、前記ワーク搬入ステーション74のクランプ位置決め装置79と同じ構成である。
(下流側チャック装置87)
また、チャック装置87は、図27に示すように、基本的にワーク搬入ステーション74のチャック装置83と類似の構成であるが、このワーク搬出ステーション77のチャック装置87の第1〜第4チャック433〜436は、チャックフレーム432の固定位置に配置され、シリンダによってワーク100を緊張させる機能は有していない。
図25及び図26に示すように、ワーク搬出ステーション77の搬出側ワーク位置決め装置82は、ベース板512と四角形のテーブル513とを備え、テーブル513の上面には平面「田」字状の突条514が設けられている。突条514間には複数の凹部515が形成されている。突条514の上面には図示しないエア供給・吸引源と接続された通気孔516が形成され、この通気孔516を介して、突条514の上面において吸引のためのエア流と噴出のためのエア流とが生じる。突条514は、加工後のワーク100のエッチング部を避けて、エッチング部が存在しない部分と対応する配置パターンとなっている。
次に、ワーク搬入ステーション74の作用を説明する。
加工ライン73からの加工後のワーク100を保持したクランプ装置11は、搬送コンベア80上から搬出側クランプ位置決め装置81の位置決め枠423上に移送されて、その位置決め枠423上に載置される。そして、位置決め枠423上のシリンダ426の動作により、押さえローラ427が移動されて、クランプ装置11の保持枠12が押さえローラ427によって押圧され、基準ローラ425によって基準線β1,γ1を基準として位置決めされる。そして、第2クランプ片17がノックピン42によって開放され、その開放状態が維持される。
以上のように構成されたワーク搬入ステーション74においては、以下の効果を得ることができる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
・少なくとも一方のクランプ片16,17のヨーク32,39を省略すること。
図30に示すように、第1クランプ片16及び第2クランプ片17の外周端面を間隙30側に向かって後退する斜面とすること。
・クランプ歯27,34の先端部にワーク100を保護するための柔軟性を有する緩衝材を設けること。
・第1クランプ片16と第2クランプ片17との上下関係を逆にして、下向きのノックピン42が上方から降りてきて下側に位置する第2クランプ片17を下側に開放させるように構成すること。
(他の技術的思想)
前記実施形態から把握される技術的思想は以下の通りである。
前記第1クランプ片及び第2クランプ片のうちの一方のクランプ片を他方のクランプ片より幅狭形状にしたクランパ。
(C)前記第1クランプ片及び第2クランプ片を耐腐食性材料によって構成するとともに、その両クランプ片内に前記磁石を封入した前記技術的思想(A)項または(B)項に記載のクランパ。
(E)前記磁石の磁極の向きを同方向に揃えた前記技術的思想(A)〜(D)のうちのいずれか一項に記載のクランパ。
(H)請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のクランパの磁石の磁気力をホール素子が用いられた磁気力検査装置によって検査する検査方法。
(I)検出された磁気力をあらかじめ定められた磁気力のしきい値と比較して、クランパの使用適格性を判断する前記技術的思想(H)項に記載の検査方法。
(J)前記技術的思想(A)〜(E)のうちのいずれか一項に記載のクランパにおいて、非着磁状態のフェライトをクランパに組み込み、そのフェライトの近傍位置の溶接をともなう工程後にフェライトを着磁するクランパの製造方法。
Claims (12)
- シート状のワークの外周縁を同ワークの張設状態でクランプするための複数のクランパを保持枠上において相互間隔をおくとともに、前記保持枠の内方を指向させて配置し、
前記クランパは、
第1クランプ片に対して第2クランプ片を軸により開閉可能に連結し、磁石の磁気力により前記第1クランプ片の先端のクランプ部と第2クランプ片の先端のクランプ部との間においてワークをクランプできるように構成し、前記第1クランプ片及び第2クランプ片のうちの一方のクランプ片を他方のクランプ片より幅狭形状にしたクランプ装置。 - 前記保持枠は環状をなす請求項1に記載のクランプ装置。
- 前記保持枠,前記第1クランプ片及び第2クランプ片を耐腐食性材料によって構成するとともに、その両クランプ片内に前記磁石を封入した請求項1または2に記載のクランプ装置。
- 前記磁石には、前記第1クランプ片と前記第2クランプ片との間の吸引磁気力を高めるためのヨークを付設した請求項3に記載のクランプ装置。
- 前記第1クランプ片と第2クランプ片との間に間隙を形成し、その第1クランプ片及び第2クランプ片の少なくとも一方の前記間隙側の縁部には、エッジ無し構造が施されている請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のクランプ装置。
- 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のクランプ装置の前記クランパによってワークをクランプして、前記保持枠内に保持し、その状態でワークに対して加工を施すための加工部を有するシートワーク加工装置において、
前記加工部に対するクランプ装置の搬入側に設けられ、前記クランプ装置を、基準点を基準として前記ワークの張設面と平行な面内において位置決めするためのクランプ装置位置決め手段を設けたシートワーク加工装置。 - 前記クランプ装置に対してワークを搬入するための搬入手段を設け、その搬入手段には、前記ワークを前記基準位置を基準として位置決めするための搬入側ワーク位置決め手段を設けた請求項6に記載のシートワーク加工装置。
- 前記搬入手段には、ワークの周縁部をクランプしてそのワークを張設させるためのワーク張設手段を設けた請求項7に記載のシートワーク加工装置。
- 前記搬入側ワーク位置決め手段は、位置決めに際してワークをエアによって浮上させるためのエア浮上手段を設けた請求項7または8に記載のシートワーク加工装置。
- 前記加工部の搬入側には、前記第2クランプ片にそれぞれ係合可能にした複数の開放手段を前進後退可能に設け、前記開放手段が前進することにより、前記磁石の磁気力に抗して第2クランプ片を開放させるとともに、開放手段が後退することにより、前記磁石の磁気力によって前記第2クランプ片が閉鎖されるように構成し、前記開放手段は、前記基準点を離れるところに位置するものほど前記第2クランプ片の閉鎖が遅れるように構成されている請求項8または9に記載のシートワーク加工装置。
- 前記加工部の搬出側には、前記クランプ装置を出し入れ可能に一時的にストックするためのストック手段を設けた請求項6〜10のうちのいずれか一項に記載のシートワーク加工装置。
- 前記加工部の搬出側には、前記磁石の磁気力を検出するための検査手段を設けた請求項6〜11のうちのいずれか一項に記載のシートワーク加工装置。
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