JP2019060264A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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隆雄 中山
Takao Nakayama
隆雄 中山
亮 湯山
Ryo YUYAMA
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Abstract

【課題】燃費や排ガスに影響を与えることなく燃焼音を抑制すること。【解決手段】エンジン(2)の制御システム(1)は、シリンダボア(42)が形成されるシリンダブロック(40)と、シリンダボア内で摺動可能であり、端面(45)に設けられる凹部(46)によって形成される燃焼室(47)を有するピストン(43)と、シリンダボアの壁面とピストンの端面との間で所定のボア空間(48)を形成するシリンダヘッド(41)と、燃焼時期を制御するECU(3)と、を備える。ECUは、燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出する周波数算出部(30)と、共鳴周波数に基づいて燃焼時期を変更することで、燃焼室における燃焼とボア空間における燃焼とを切り換える燃焼時期制御部(31)と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
ディーゼルエンジンにおいては、燃焼圧力が高いために燃焼時の騒音(燃焼音)が問題となっている。燃焼時の騒音は、例えば、ディーゼルノックによって引き起こされる(特許文献1参照)。ディーゼルノックは、燃焼時の着火遅れ等により、燃焼圧力の上昇率が過大になり、燃焼ガスに共振が生じるために燃焼音が急激に増大する現象である。特に、高圧燃料噴射を実施する内燃機関においては、噴射圧力の増大に伴う燃焼速度の増加により、燃焼音の増大が生じ易くなっている。
燃焼音の増大を防止するためには、主燃料噴射に先立って気筒内に少量の燃料を噴射するパイロット燃料噴射が有効とされている。特許文献1では、このパイロット燃料噴射の燃料噴射量、及び噴射時期を制御することで、燃焼音の抑制、すなわち、燃焼の緩慢化を図っている。
特開2001−234800号公報
しかしながら、パイロット燃料噴射の噴射量及び噴射時期を制御する場合、燃焼音を抑制することはできるものの、燃費や排ガスに与える影響が大きくなるおそれがある。
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、燃費や排ガスに影響を与えることなく燃焼音を抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の内燃機関の制御装置は、シリンダボアが形成されるシリンダブロックと、前記シリンダボア内で摺動可能であり、端面に設けられる凹部によって形成される燃焼室を有するピストンと、前記シリンダボアの壁面と前記ピストンの端面との間で所定のボア空間を形成するシリンダヘッドと、を有する内燃機関の燃焼時期を制御する内燃機関の制御装置であって、燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出し、当該共鳴周波数に基づいて燃焼時期を変更することで、前記燃焼室における燃焼と前記ボア空間における燃焼とを切り換えることを特徴とする。
本発明によれば、燃費や排ガスに影響を与えることなく燃焼音を抑制することができる。
本実施の形態に係る内燃機関の制御システムの全体構成図である。 本実施の形態に係る2つの燃焼形態を示す模式図である。 共鳴周波数と音圧レベルとの関係を示す図である。 本実施の形態に係る内燃機関の制御フローを示す図である。 クランク角と熱発生率との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る内燃機関の制御装置が適用される車両として、自動四輪車を例にして説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、本発明に係る内燃機関の制御装置を、自動二輪車、バギータイプの自動三輪車等、他のタイプの車両に適用してもよい。
図1を参照して、本実施の形態に係る内燃機関の制御システムについて説明する。図1は、本実施の形態に係る内燃機関の制御システムの全体構成図である。なお、内燃機関の制御システムは、以下に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。
図1に示すように、本実施の形態に係る内燃機関の制御システム1は、内燃機関としてのエンジン2及びその周辺構成の動作を、制御装置としてのECU3(Electronic Control Unit)で制御するように構成されている。エンジン2は、例えば、直列多気筒のディーゼルエンジンで構成される。なお、エンジン2は、ディーゼルエンジンに限らず、例えばガソリンエンジンで構成されてもよい。
エンジン2には、筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射装置としてのインジェクタ10が気筒毎に設けられている。インジェクタ10には、燃料タンク11から高圧の燃料が供給される。具体的にインジェクタ10と燃料タンク11との間には、下流側から、燃料ポンプ12及びコモンレール13が設けられている。燃料ポンプ12は、燃料タンク11からの燃料を昇圧し、燃料噴射に必要な圧力を生成する。コモンレール13は、インジェクタ10に接続されており、燃料ポンプ12によって昇圧された燃料を一時的に蓄える。
コモンレール13には、燃料噴射圧力を調整する燃圧調整弁(不図示)が設けられている。燃圧調整弁は、例えばリリーフ弁(プレッシャリミッタとも呼ばれる)で構成され、コモンレール13内の燃料圧力が所定圧力を越えた場合に開弁して燃料圧力の上昇を制限する。インジェクタ10は、ECU3の指令を受けることにより、所定のタイミングで高圧の燃料を燃焼室内に噴射する。
エンジン2の吸気側には、インテークマニホールド14を介して吸気管15が接続されている。吸気管15には、上流側から過給機16(後述するコンプレッサ16b)、インタークーラ17、空気量センサ18が設けられている。一方、エンジン2の排気側には、エキゾーストマニホールド19を介して排気管20が接続されている。排気管20には、上流側から過給機16(後述するタービン16a)、排気浄化装置としての触媒21及びDPF22、マフラ23が設けられている。
過給機16は、排気ガスの圧力でタービン16aを回してコンプレッサ16bを駆動するターボチャージャーであり、コンプレッサ16bで吸入空気を圧縮する。具体的に過給機16は、排気管20側に設けられるタービン16aと、吸気管15側に設けられるコンプレッサ16bと、をターボシャフト16cで同軸に接続して構成される。インタークーラ17は、過給機16で圧縮された吸入空気を冷却する。空気量センサ18は、例えばMAFセンサ(Mass Flow Sensor)で構成される。空気量センサ18は、インタークーラ17を通過して吸気管15内を流れる吸入空気量(質量流量)を検出し、その検出値をECU3に出力する。
触媒21は、排気ガスを酸化させる機能を有し、例えば、三元触媒で構成される。触媒21は、排気ガス内の汚染物質(一酸化炭素、炭化水素や窒素酸化物等)を無害な物質(二酸化炭素、水、窒素等)に変換(酸化)する。DPF(Diesel Particulate Filter)22は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉(捕集)するフィルタである。
また、本実施の形態では、排気ガスの一部を吸気側に戻して再燃焼させるEGRシステム(Exhaust Gas Recirculation system)が採用されている。具体的には、タービン16aの上流側の排気管20とコンプレッサ16bの下流側かつインタークーラ17の上流側の吸気管15とが接続管24によって接続されている。当該接続管24には、排気側から順に、排気ガスを冷却するEGRクーラ25と、排気ガスの吸入量を調整するEGRバルブ26が設けられている。
ECU3は、エンジン2内外の各種構成を含む車両全体の動作を統括制御する。ECU3は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体で構成される。メモリには、上記した各種構成を制御する制御プログラム等が記憶されている。例えばECU3は、車両内に設けられた各種センサから車両の状態を判断し、インジェクタ10、EGRバルブ26、インタークーラ17等の駆動を制御する。
例えばECU3は、制御対象となる構成に応じて複数の機能ブロックを有している。具体的にECU3は、燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出する周波数算出部30、燃焼時期を制御する燃焼時期制御部31と、を有している。なお、これらの機能ブロックはあくまで一例を示すものであり、ECU3は、これらの機能ブロックに限らず、他の機能ブロックを有してもよい。また、ECU3には、後述する制御に必要な各種閾値が記憶されている。
周波数算出部30は、車両内の各種センサから得られるパラメータに基づいて共鳴周波数を算出する。具体的に共鳴周波数は、以下の2式によって算出することが可能である。
Figure 2019060264
Figure 2019060264
ここで、上式中の各パラメータは、
F:共鳴周波数
C:音速
D:共鳴する系の直径
α:振動モード係数
κ:比熱
R:気体定数
T:燃焼温度
M:気体の分子量
をそれぞれ示している。
なお、詳細は後述するが、共鳴する系の直径Dとは、共鳴が発生し得る空間の直径、すなわち、燃焼室47の直径D1又はボア空間48の直径D2を表している(共に図2参照)。
燃焼時期制御部31は、上式によって算出された共鳴周波数に基づいて燃焼時期を変更する。例えば、燃焼時期制御部31は、EGRバルブ26を制御してEGR率(排気再循環率)を調整したり、インタークーラ17を制御して吸気温度を調整することで燃焼時期を制御する。その他に、燃焼時期制御部31は、インジェクタ10の燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御することで燃焼時期を制御する。なお、燃焼時期の制御方法は、これらに限定されず、適宜変更が可能である。
ところで、ディーゼルエンジンにおいては、燃焼圧力が高いために燃焼時の騒音(燃焼音)が問題となっている。従来では、燃料圧力、主燃料噴射の時期及び噴射量、パイロット噴射の時期及び噴射量、プレ噴射の時期及び噴射量、EGR等を調整することで燃焼を制御し、所定の排ガス規制値内で低燃焼音を実現している。
例えば、燃焼音の増大を防止するために、主燃料噴射に先立って気筒内に少量の燃料を噴射するパイロット燃料噴射を実施することが考えられる。パイロット燃料噴射の燃料噴射量、及び噴射時期を制御することにより、燃焼音の抑制、すなわち、燃焼の緩慢化が可能である。
しかしながら、パイロット燃料噴射の噴射量及び噴射時期を制御する場合、燃焼音を抑制することはできるものの、燃費や排ガスに与える影響が大きくなるおそれがある。
また、上記制御は事前に適合されたマップに基づいて実施されるため、例えば低温始動時に代表される通常とは異なる条件での運転の場合や、エンジンの構成部品のバラツキによって燃焼状態が変化することがある。この結果、燃料音が過大に発生する事態が想定される。
ここで、図2及び図3を参照して、燃焼音の原因となる筒内の共鳴について説明する。図2は、本実施の形態に係る2つの燃焼形態を示す模式図である。図2Aはピストンが上死点に位置した状態(後述する第1燃焼形態)を示し、図2Bはピストンが上死点以外の位置にある状態(後述する第2燃焼形態)を示している。図3は、共鳴周波数と音圧レベルとの関係を示す図である。図3では、横軸が共鳴周波数を示し、縦軸が音圧レベルを示している。また、図3の実線部は従来の音圧レベルを示し、破線部は本願の音圧レベルを示している。
図2に示すように、エンジン2は、クランクケース内にクランクシャフトを収容し(共に不図示)、シリンダブロック40及びシリンダヘッド41等を備えて構成される。シリンダブロック40には、円柱状のシリンダボア42が形成されている。シリンダボア42内には、ピストン43が摺動可能に収容されている。シリンダヘッド41は、シリンダブロック40の端面(図2では上端面)に取り付けられている。ピストン43は、コンロッド(不図示)によってクランクシャフトに連結される。ピストン43がシリンダボア42の軸方向に沿って往復運動することにより、クランクシャフトが回転される。
シリンダヘッド41の端面(図2では下端面)には、シリンダボア42に対応してシリンダブロック40とは反対側(上側)に向かって凹む凹部44が形成されている。ピストン43の端面45(上端面(ヘッド部の端面45と呼ばれてもよい))には、クランクシャフト側(下側)に向かって凹む凹部46が形成されている。当該凹部46により、燃焼室47(キャビティと呼ばれてもよい)が形成される。
上記したように、エンジン2においては、運転条件の違いや構成部品のバラツキによって燃焼状態(例えば燃焼時期や燃焼時の筒内空間の大きさ)が変化する。例えば、図2Aに示すように、上死点において燃焼(主燃焼と呼ばれてもよい)が発生する場合は、ピストン43に形成される燃焼室47内で燃焼が発生する。一方、上死点より早いタイミング又は遅いタイミングで燃焼が発生する場合は、図2Bに示すように、シリンダボア42の壁面とピストン43の端面45とシリンダヘッド41の下端面との間に形成される所定のボア空間48内で燃焼が発生する。
なお、図2から明らかなように、ボア空間48の直径D2は、燃焼室47の直径D1より大きくなっている。このように、燃焼時期によっては、燃焼が発生する空間の大きさ(特に径)が異なることが想定される。ここで、燃焼室47とボア空間48とを総称して燃焼空間と呼ぶことにする。図2に示すエンジン2では、図2A及び図2Bのいずれかのタイミングで燃焼が発生するため、燃焼空間の異なる2つの燃焼形態が存在する。
ところで、燃焼音の原因となる筒内の共鳴周波数は、上記した式(1)から、共鳴する系の直径に依存(反比例)することが知られている。共鳴する系の直径とは、上記したように共鳴が発生し得る空間の径(直径)を意味しており、図2においては、燃焼空間(燃焼室47又はボア空間48)の直径D1、D2を示している。すなわち、燃焼時期によって燃焼空間(の径)が異なることにより、共鳴周波数も大きく変わることになる。
図3に示すように、共鳴周波数によって音圧レベルは大きく変化する。例えば、所定の共鳴周波数F1、F2の間で示される所定の周波数帯Fを人が不快に感じる周波数帯とする。従来では、燃焼時期によって燃焼空間の径が変化することにより、共鳴周波数が所定の周波数帯Fに入ることで音圧レベルが大きくなってしまう。これが、いわゆる燃焼音増大の原因となる。
そこで、本件発明者等は、燃焼時期及び燃焼空間の径と共鳴周波数との関係に着目して本発明に想到した。具体的に本実施の形態では、ECU3が燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出し、当該共鳴周波数に基づいて燃焼時期を変更する。これにより、燃焼室47における燃焼とボア空間48における燃焼とを切り換える。
より具体的には、燃焼室47における燃焼(以下、第1燃焼形態と呼ぶことがある)及びボア空間48における燃焼(以下、第2燃焼形態と呼ぶことがある)のいずれか一方の燃焼による共鳴周波数が所定の周波数帯Fにある場合、いずれか他方の燃焼に切り換える。例えば、図2Aに示す第1燃焼形態による共鳴周波数が所定の周波数帯Fに属する場合、ECU3は、燃焼時期を変更することで図2Bに示す第2燃焼形態に切り換える。一方、第2燃焼形態による共鳴周波数が所定の周波数帯Fに属する場合、ECU3は、燃焼時期を変更することで第1燃焼形態に切り換える。これにより、共鳴周波数が所定の周波数帯Fから外れることになる。
このように、騒音と成り得る共鳴周波数が検出された場合、燃焼時期を変更することで燃焼形態を切り換えることにより、共鳴周波数を所定の周波数帯Fから回避することが可能である。この結果、所定の周波数帯Fのおける音圧レベルを抑制することが可能となり、燃焼音を抑制することが可能である。なお、燃焼形態の切り換えとは、燃焼空間の径をD1とD2とで切り換えることと同義である。また、本実施の形態では、燃焼空間の体積比率、すなわち、燃焼空間の径に基づいて2つの燃焼形態を規定している。これにより、燃焼の依存度(どちらの燃焼形態であるか)を正確に判別することが可能になっている。
次に、図4及び図5を参照して、具体的な燃焼時期の制御フローについて説明する。図4は、本実施の形態に係る内燃機関の制御フローを示す図である。図5は、クランク角と熱発生率との関係、すなわち燃焼波形を示す図である。図5では、横軸がクランク角を示し、縦軸が熱発生率を示している。なお、以下に示す制御フローでは、特に明示が無い限り、動作(算出や判定等)の主体はECUとする。
図4に示すように、制御が開始されると、ステップST101において、ECU3は、各種センサからエンジン2の状態量を取得する。具体的にECU3は、エンジン回転数、燃料噴射量、吸入空気量、エンジン冷却水の温度、EGR率(排気再循環率)等を取得する。次にステップST102の処理に進む。ここで、EGR率とは、吸入空気量に対するEGRガス量の割合を表している。
ステップST102では、ECU3が、現在の運転領域において、排ガス規制を満たし得るEGR率の範囲を取得する。EGR率の範囲は、例えばステップST101で取得したエンジン2の状態量から算出(演算)が可能である。次に、ステップST103の処理に進む。
ステップST103では、ECU3が、着火時期θc及び燃焼温度を予測する。着火時期θc及び燃焼温度は、例えばステップST101で取得したエンジン2の状態量から算出(演算)が可能である。次に、ステップST104の処理に進む。
ステップST104では、ECU3が、燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出する。ここで、燃焼室47における燃焼(第1燃焼形態)での共鳴周波数をFaとし、ボア空間48における燃焼(第2燃焼形態)での共鳴周波数をFbと呼ぶことにする。共鳴周波数は、上記した式(1)、(2)からECU3(周波数算出部30)によって算出される。次に、ステップST105の処理に進む。
ステップST105では、現在の燃焼が燃焼室47における燃焼であるか、ボア空間48における燃焼であるか、すなわち、現在の燃焼形態が第1燃焼形態であるか、第2燃焼形態であるかが判定される。具体的にECU3は、着火時期θc、すなわち所定のクランク角に基づいて、現在の燃焼形態を判別する。
ここで、着火時期θcについて説明する。図5に示すように、クランク角に対する熱発生率は、所定のクランク角でピークを迎えるように山なりの燃焼波形を有する。ピーク時の熱発生率Bにおけるクランク角をθpとする。また、熱発生率が上昇し始めて所定の比率A(例えば全体の10%程度)におけるクランク角をθcとする。このθcは、主燃焼が開始した主燃焼開始クランク角、すなわち、燃焼時のクランク角を示す着火時期を表している。また、図示はしないが、第1燃焼形態と第2燃焼形態とが切り換わるタイミングのクランク角をθoとする。例えばクランク角θoは、上死点後のクランク角である。
図4のステップST105の説明に戻り、ECU3は、クランク角θc、θoに基づいて、第1燃焼形態と第2燃焼形態とを判別する。例えば、θcがθoより小さい場合(θc<θo)、ECU3は、現在の燃焼形態が第1燃焼形態であると判定して(ステップST105:YES)、ステップST106の処理に進む。θcがθoより大きい場合(θc>θo)、ECU3は、現在の燃焼形態が第2燃焼形態であると判定して(ステップST105:NO)、ステップST110の処理に進む。
ステップST106では、共鳴周波数が所定範囲内(所定の周波数帯F)にあるか否かが判定される。具体的にECU3は、ステップST104で算出した共鳴周波数が所定の周波数帯Fに含まれる場合(ステップST106:YES)、燃焼音の増大のおそれがあると判定して、ステップST107の処理に進む。共鳴周波数が所定の周波数帯Fに含まれない場合(ステップST106:NO)、燃焼音の増大のおそれは無いものとして、制御が終了する。
ステップST107では、EGR率が排ガス規制を満たし得る範囲内にあるか否かが判定される。具体的にECU3は、ステップST101で取得したEGR率が、ステップST102で取得したEGR率の範囲内にあるか否かを判定する。EGR率が所定範囲内にある場合(ステップST107:YES)、ECU3は、EGR率の調整が可能であると判定して、ステップST108の処理に進む。EGR率が所定範囲から外れる場合(ステップST107:NO)、ECU3は、排ガス規制を満たさないためにこれ以上EGR率の調整ができないと判定して、ステップST109の処理に進む。
ステップST108では、EGR率の調整が実施される。具体的にECU3は、EGRバルブ26の開度を大きくすることで、EGR率を増加させる。これにより、酸素濃度の低い排気ガスが吸入空気に混合され、燃焼時期が遅角される。この結果、燃焼形態が第1燃焼形態から第2燃焼形態に切り換えられる。よって、所定の周波数帯Fにおける音圧レベルが減衰され、燃焼音(騒音)が抑制される。以上により制御が終了する。
ステップST109では、吸気温度が調整される。具体的にECU3は、インタークーラ17を制御することにより、吸気温度を低下させる。例えば、水冷式のインタークーラ17の場合、ECU3は、インタークーラ17を流れる冷却水の流量を増やす(弁開度を大きくする)ことで冷却水温度の低下を促進し、冷却効率を上げるように制御する。また、空冷式のインタークーラ17の場合、ECU3は、インタークーラ17を通過する空気の流量を増やすことで冷却効率を上げるように制御する。これらにより、吸気温度が低下する。吸気温度が低下する結果、混合気の温度が低下され、燃焼時期が遅角される。この結果、燃焼形態が第1燃焼形態から第2燃焼形態に切り換えられる。よって、所定の周波数帯Fにおける音圧レベルが減衰され、燃焼音(騒音)が抑制される。以上により制御が終了する。
ステップST110では、ステップST106と同様に、共鳴周波数が所定範囲内(所定の周波数帯F)にあるか否かが判定される。具体的にECU3は、ステップST104で算出した共鳴周波数が所定の周波数帯Fに含まれる場合(ステップST110:YES)、燃焼音の増大のおそれがあると判定して、ステップST111の処理に進む。共鳴周波数が所定の周波数帯Fに含まれない場合(ステップST110:NO)、燃焼音の増大のおそれは無いものとして、制御が終了する。
ステップST111では、ステップST107と同様に、EGR率が排ガス規制を満たし得る範囲内にあるか否かが判定される。具体的にECU3は、ステップST101で取得したEGR率が、ステップST102で取得したEGR率の範囲内にあるか否かを判定する。EGR率が所定範囲内にある場合(ステップST111:YES)、ECU3は、EGR率の調整が可能であると判定して、ステップST112の処理に進む。EGR率が所定範囲から外れる場合(ステップST111:NO)、ECU3は、排ガス規制を満たさないためにこれ以上EGR率の調整ができないと判定して、ステップST113の処理に進む。
ステップST112では、ステップST108と同様に、EGR率の調整が実施される。具体的にECU3は、EGRバルブ26の開度を小さくすることで、EGR率を減少させる。これにより、通常のEGR率の場合に比べて燃焼時期が進角される。この結果、燃焼形態が第2燃焼形態から第1燃焼形態に切り換えられる。よって、所定の周波数帯Fにおける音圧レベルが減衰され、燃焼音(騒音)が抑制される。以上により制御が終了する。
ステップST113では、ステップST109と同様に、吸気温度が調整される。具体的にECU3は、インタークーラ17を制御することにより、吸気温度を上昇させる。例えば、水冷式のインタークーラ17の場合、ECU3は、インタークーラ17を流れる冷却水の流量を減らす(弁開度を小さくする)ことで冷却水温度の低下を抑制し、冷却効率を下げるように制御する。また、空冷式のインタークーラ17の場合、ECU3は、インタークーラ17を通過する空気の流量を減らすことで冷却効率を下げるように制御する。これらにより、吸気温度の低下が抑制される結果、吸気温度が上昇する。吸気温度が上昇する結果、混合気の温度が上昇され、燃焼時期が進角される。この結果、燃焼形態が第2燃焼形態から第1燃焼形態に切り換えられる。よって、所定の周波数帯Fにおける音圧レベルが減衰され、燃焼音(騒音)が抑制される。以上により制御が終了する。
このように、EGR率の調整及び吸気温度の調整によって燃焼時期を遅角又は進角することができ、燃焼形態を第1、第2燃焼形態間で切り換えることが可能である。よって、従来のように、パイロット燃料噴射の噴射量及び噴射時期を制御する場合に比べて、燃費や排ガスに影響を与えることなく燃焼音を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出し、当該共鳴周波数に基づいて燃焼時期を変更することで、燃焼室47における燃焼(第1燃焼形態)とボア空間48における燃焼(第2燃焼形態)とを切り換えている。これにより、人が不快に感じる周波数帯から共鳴周波数を外すことができ、燃焼音を抑制することが可能である。特に、燃焼室47における燃焼及びボア空間48における燃焼は、インジェクタ10から1サイクルで複数回噴射される燃料噴射のうち、最も燃料噴射量が大きな主燃料噴射によって発生する主燃焼である。主燃料噴射による主燃料は、大きな燃焼波となるため、主燃焼の燃焼時期を変更することで、好適に燃焼音を抑制することが可能である。
なお、上記実施の形態では、内燃機関としてディーゼルエンジンを例にして説明したが、この構成に限定されない。内燃機関としてガソリンエンジンが用いられてもよい。
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
以上説明したように、本発明は、燃費や排ガスに影響を与えることなく燃焼音を抑制することができるという効果を有し、特に、内燃機関の制御装置に有用である。
1 :内燃機関の制御システム
2 :エンジン(内燃機関)
3 :ECU(制御装置)
10 :インジェクタ(燃料噴射装置)
30 :周波数算出部
31 :燃焼時期制御部
40 :シリンダブロック
41 :シリンダヘッド
42 :シリンダボア
43 :ピストン
45 :端面
46 :凹部
47 :燃焼室
48 :ボア空間
D1 :燃焼室の径
D2 :ボア空間の径
F :所定の周波数帯
θc :燃焼時のクランク角(着火時期)
θo :上死点後のクランク角

Claims (7)

  1. シリンダボアが形成されるシリンダブロックと、
    前記シリンダボア内で摺動可能であり、端面に設けられる凹部によって形成される燃焼室を有するピストンと、
    前記シリンダボアの壁面と前記ピストンの端面との間で所定のボア空間を形成するシリンダヘッドと、を有する内燃機関の燃焼時期を制御する内燃機関の制御装置であって、
    燃焼時に筒内で径方向に共鳴する共鳴周波数を算出し、当該共鳴周波数に基づいて燃焼時期を変更することで、前記燃焼室における燃焼と前記ボア空間における燃焼とを切り換えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記ボア空間の径は、前記燃焼室の径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 上死点後のクランク角と燃焼時のクランク角に基づいて、前記燃焼室における燃焼と前記ボア空間における燃焼とを判別することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記燃焼室における燃焼及び前記ボア空間における燃焼のいずれか一方の燃焼による前記共鳴周波数が所定の周波数帯にある場合、いずれか他方の燃焼に切り換えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 排気再循環率を調整することで燃焼時期を遅角又は進角することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記排気再循環率が所定範囲から外れる場合、吸気温度を調整することで燃焼時期を遅角又は進角することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記燃焼室における燃焼及び前記ボア空間における燃焼は、燃料噴射装置から1サイクルで複数回噴射される燃料噴射のうち、最も燃料噴射量が大きな主燃料噴射によって発生する主燃焼であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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