JP2019060026A - マグネシウム基合金伸展材及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム基合金伸展材及びその製造方法 Download PDF

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【課題】 比較的安価な元素であるMnのみを添加したMg基合金素材を、温度と減面比を制御した熱間及び温間加工を施すことにより、優れた室温加工性を有するMg基合金伸展材を提供すること。【解決手段】 本発明のMg基合金伸展材は、0.07mass%以上、2mass%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的成分からなる基合金伸展材であって、母材の平均結晶粒径が5μm以下、かつ、前記伸展材を、JIS規格に基づき、1×10−5/s以上1×10−3/s以下の範囲のひずみ速度で引張試験を行った場合に得られる応力−ひずみ曲線図において、最大負荷応力(σmax)と破断時応力(σbk)の関係、(σmax—σbk)/σmaxが0.3以上であり、棒状の形状を有する。【選択図】 図7

Description

本発明は、室温延性に優れたマンガン(Mn)が添加された微細結晶粒のマグネシウム(Mg)基合金伸展材及びその製造方法に関する。
Mg合金は、次世代の軽量金属材料として注目されている。しかし、その結晶構造が六方晶であるため、底面すべりと柱面に代表される非底面すべりの臨界分断せん断応力(CRSS)の差が、室温付近では極めて大きい。そのため、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)などの他の金属材料と比較して、延性は乏しく、室温二次成形や加工が難しい。
これらの問題を解決すべく、希土類元素添加による合金化が良く用いられている。例えば、特許文献1、2では、イットリウム(Y)やセリウム(Ce)、ランタン(La)をはじめとする希土類元素を添加し、塑性変形能の改善が図られている。希土類元素には、非底面のCRSSを低下させる、すなわち、底面と非底面のCRSSの差を縮め、非底面の転位すべり運動をしやすくする働きがあるためである。一方、希土類元素を使用することから、素材価格の高騰が懸念され、経済的観点から、安価な汎用元素の添加による延性や成形性の改善が求められている。
一方、Mgの結晶粒界近傍では、粒界コンパティビリティー応力が作用し、非底面すべりが活動することも指摘されている(非特許文献1)。そのため、大量の結晶粒界を導入(結晶粒微細化)することは、延性改善に有効であると考えられる。
特許文献3では、希土類元素又は汎用元素を微量に含有させ、強度特性に優れた微細結晶粒Mg合金が開示されている。この合金の高強度化は、これらの溶質元素が結晶粒界に偏析することが主要因とされている。他方、微細結晶粒Mg合金は、粒界コンパティビリティー応力の作用による非底面の転位すべり運動が活性化する。しかし、塑性変形を補完する働きのある粒界すべりに関して、これらの合金では、いずれの添加元素も粒界すべりの発現を抑制する働きがあるため、粒界すべりが変形に殆ど寄与しない。そのため、これらの合金の延性は、従来からのMg合金と同等レベルで、更なる延性の改善が求められている。すなわち、粒界コンパティビリティーが作用する微細組織構造を維持しながら、粒界すべりの発現を抑制しない溶質元素の探索が必要である。
一方、MgへのMnの添加は、Mg合金の耐食性を劣化するFeやニッケル(Ni)などの重元素との反応により金属間化合物を生成させ、これら重元素による合金の材質劣化を低減する効果があるとされている(非特許文献2)が、MnのMg合金伸展材の結晶粒微細化に対する影響に関しては記載されていない。
特許文献4では、0.03〜1mass%のMn添加は、ボロン(B)と共存することで、鋳造時のMg母相の結晶粒サイズを微細にする働きがあることが開示されている。しかしながら、この特許文献におけるMg合金では、鋳造組織の結晶粒サイズが100μmから数十μm程度までの微細化効果であり、延性を改善するためには、更なる結晶粒サイズの微細化が必要である。
特許文献5では、0.2〜3mass%のMnが含有し、平均結晶粒径が20〜100μmとなる所定の条件で焼鈍(圧延前焼鈍)した上で、温間圧延加工により、底面の集積度合い(集合組織)をランダム化させた、成形性に富み、制振性に優れたMg合金材が開示されている。しかし、優れた制振特性を維持するためには、大量の結晶粒界を導入することは望ましくなく、Mg母相の結晶粒サイズが50μm以下の再結晶組織を有することとある。また、成形性と制振性の向上を両立させるためには、非底面すべりの転位運動が必要であり、底面の集合組織をランダムにすることが、必須の組織制御である。また、成形性は、エリクセン試験によって評価を行っている。
特許文献6では、0.01〜20mass%のMnを含有し、強度特性に優れ、加工性に富むMg合金圧延材が開示されている。しかしながら、特許文献6では、250MPa以上、350MPa以下の降伏応力を有することが開示されているものの、これらの機械的特性は、Mnのみの添加では達成できず(例えば、本明細書、図7の機械的特性と比較)、複数の溶質元素が添加されていることが容易に推測できる。
国際出願WO2013/180122 特開2008−214668 特開2006−16658 特開2000−104136 特開2013−129914 特開2012−41637
J. Koike et al., Acta Mater, 51 (2003) p2055. ASM specialty handbook, Magnesium and magnesium alloys, ASM (1999).
本発明は、比較的安価な元素であるMnのみを添加したMg基合金素材を、温度と減面比を制御した熱間及び温間加工を施すことにより、優れた室温加工性を有するMg基合金伸展材を提供することを課題としている。これに加え、Mg基合金伸展材の延性や成形性を評価する新しい指標を導入することで、優れた室温加工性を定義付けることも課題としている。
本発明による延性に優れたMg基合金伸展材は、0.07mass%以上、2mass%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的成分からなる基合金伸展材であって、母材の平均結晶粒径が5μm以下、かつ、前記伸展材を、JIS規格に基づき、1×10−5/s以上1×10−3/s以下の範囲のひずみ速度で引張試験を行った場合に得られる応力−ひずみ曲線図において、最大負荷応力(σmax)と破断時応力(σbk)の関係、(σmax―σbk)/σmaxが0.3以上であり、棒状の形状を有することを特徴とする。
前記母材の平均結晶粒径は3μm未満であってもよい。
Mnを0.11mass%以上1.40mass%以下を含んでもよい。
本発明によるMg基合金伸展材を製造する方法は、0.07mass%以上、2mass%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的成分からなるMg基合金鋳造材を400℃以上650℃以下の温度で溶体化処理した後、100℃以上550℃以下の温度で総断面減少率70%以上となるまで、押出加工、引抜加工、溝ロール圧延のいずれかの加工法により熱間ひずみ付与を行うことを特徴とする。
前記熱間ひずみ付与を繰り返してもよい。
前記熱間ひずみ付与は、押出加工または溝ロール圧延の加工法であってもよい。
前記熱間ひずみ付与を総断面減少率90%以上となるまで行ってもよい。
公称応力と公称ひずみ曲線と応力低下度の関係。 Mg−0.25mass%Mn合金押出材の微細組織を光学顕微鏡により観察した写真。(a)実施例7、(b)比較例1。 実施例1の微細組織を光学顕微鏡により観察した写真。 実施例2の微細組織を走査型電子顕微鏡/電子線後方散乱回折により観察した写真。 実施例5の微細組織を走査型電子顕微鏡/電子線後方散乱回折により観察した写真。 実施例2の走査型電子顕微鏡/電子線後方散乱回折により得られた結晶方位分布図。 実施例の室温引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ曲線。 比較例の室温引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ曲線。 実施例7の室温引張試験後の外観写真。 実施例2と比較例2の流動応力とひずみ速度の関係。
本発明の効果を得るためのMg基合金素材のMnの含有量は、0.07mass%以上、2mass%以下である。Mnの含有量が0.07mass%(=0.03mol%)とは、溶質元素であるMnが、変形挙動に影響を及ぼす最小添加量である。すなわち、含有量が0.07mass%の場合、固溶しているMn原子は、19.5×10−10mの間隔でMg結晶中に存在すると見積もることができる。この距離は、Mgのバーガースベクトルの3倍程度の大きさに相当し、転位などの格子欠陥が原子結合論的に相互作用を及ぼす限界の値であることを意味する。一方、Mn含有量が2mass%以上の場合、Mg結晶中のMnの最大固溶量を超過するため、Mg−Mnからなる粗大な金属間化合物が、結晶粒内及び結晶粒界に分散する。これらの粗大な金属間化合物粒子の分散は、塑性変形中に破壊の起点となり、延性の向上の観点から好ましいとは言えない。ここで、Mg−Mn金属間化合物粒子の大きさは、好ましくは、500nm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
熱間加工後のMg母相の結晶粒サイズは10μm以下であることが好ましいが、さらに好ましくは7μm以下がよく、さらに好ましくは5μm以下がよい。結晶粒サイズが10μmより粗大な場合、結晶粒界で生じる粒界コンパティビリティー応力は、結晶粒内全域に影響を及ぼさない。すなわち、非底面転位すべりが結晶粒内全域で活動することが難しく、延性の向上が望めない。もちろん、結晶粒サイズが10μm以下であれば、Mg結晶粒内及び結晶粒界に500nm以下のMg−Mn金属間化合物が分散していてもかまわない。また、平均結晶粒サイズを10μm以下に維持できるのであれば、熱間加工後に、ひずみ取り焼鈍などの熱処理を行ってもかまわない。
次に微細組織を得るための製造方法を説明する。溶製したMg−Mn合金鋳造材を、400℃以上、650℃以下の温度で溶体化処理を行う。ここで、溶体化処理温度が400℃未満の場合、Mnを均質に固溶させるためには長時間の温度保持が必要となり、工業的観点から好ましくない。一方、650℃を超えると、固相温度以上であるため、局所溶解が始まり、作業上危険である。もちろん、鋳造法は、重力鋳造、砂型鋳造、ダイキャストなど、本発明のMg基合金鋳造材を作製できる手法であればいずれの方法も採用できる。
溶体化処理後、熱間ひずみ付与を行う。熱間加工の温度は、100℃以上550℃以下が好ましい。加工温度が100℃未満の場合、加工温度が低いため動的再結晶が起こりにくく、健全な伸展材を作製することができない。加工温度が550℃を超える場合、加工中に再結晶化が進行して結晶粒微細化が阻害され、更に、押出加工の金型寿命の低下の原因となる。なお、各種温度の測定は最低でも上下10℃の誤差を見込む必要があり、これらのことから20℃を温度ゾーンとして各種温度を表示するのがその実態に即したものである。
熱間加工時のひずみ付与は、総断面減少率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上とする。総断面減少率が70%未満の場合、ひずみ付与が不十分であるため、結晶粒サイズの微細化ができない。更に、ひずみ付与前、すなわち、所定温度に昇温した炉内又はコンテナ内に保持中に、Mg−Mnからなる金属間化合物が母相及び結晶粒界に生成することが考えられる。この様な場合、十分なひずみを付与しなければ、これらの金属間化合物を微細に分散させることが難しい。熱間加工方法は、押出、鍛造、圧延、引抜などが代表的であるが、ひずみを付与できる塑性加工法であればいずれの加工法でも採用できる。ただし、熱間加工を実行せず、鋳造材に溶体化処理したのみでは、Mg母相の結晶粒サイズが粗大であるため、本発明の効果が得られない。
Mg基合金伸展材の延性や成形性を評価する新しい指標、すなわち、応力低下度とひずみ速度感受性指数(m値)について説明する。図1の公称応力と公称ひずみ曲線から、一様伸び、全伸びなどが測定され、これらの値が素材の成形性の指標となっている。しかし、一様伸びは、均一変形までの伸びであるため、一軸変形を意味する。一方、実際の成形では、一軸変形ではなく、多軸状態が多いため、成形性に優れるか否かは、材料の塑性変形の限界を知ることが重要である。ここで、塑性変形限界とは、材料の延性破壊の発生から破壊に至る過程に対応づけられ、微視的欠陥(ボイド)の発生から成長・全体破壊までの変形尤度(=応力低下度)によって決定される。すなわち、図1の両矢印で示す変形低下度が大きい程、くびれが生じやすく、多軸状態にて変形に優れると言える。他方、変形低下度が小さい場合、応力集中が生じ、せん断破壊を起こす。優れた成形性を得るためには、式(1)の応力低下度の値が、
(σmax−σbk)/σmax ・・・(1)
0.3以上であることが好ましい。
また、粒界すべりの発現の有無は、m値を用いることで予測することができる。式(2)のm値は、
の関係にあり、
はひずみ速度、Aは定数、σは流動応力である。m値が大きいほど、粒界すべりの発現が大きく、変形への寄与が大きい。一般的なMg合金の室温塑性変形条件では、m値が0.05以下であることから、0.1以上であることが好ましい。
市販の純Mn(99.9%)と市販の純Mg(99.96%)を、鉄製るつぼを用いて、Ar雰囲気にて完全に溶解し、溶解温度800℃にて120分間以上保持した後、鉄製鋳型に鋳込み、Mg−Mn母合金(Mn=4.8mass%)を作製した。その後、Mn目標含有量が、0.1mass%、0.25mass%、0.7mass%、1.35mass%となるようにMg−Mn母合金とMgを調整し、鉄製るつぼを用いて4種類のMg−Mn合金鋳造材を溶製した。なお、溶解温度は700℃、溶解保持時間を5分とし、直径90mm、高さ200mmの鉄製鋳型を用いて鋳造した。鋳造材を500℃、2時間にて溶体化処理した後、Mnやその他の元素組成濃度をICP発光分光分析法により分析評価した。組成分析の結果を表1に示す。
溶体化処理後の鋳造材1〜4を、機械加工により、直径90mm、長さ80mmの円柱押出ビレットに加工した。加工後のビレットを300〜400℃に設定したコンテナ内で30分間保持した後、押出比5:1にて押出による熱間ひずみ付与加工を行い、直径40mmで長さ300mm以上の形状の一段押出材を作製した。(以下、1st押出材と称す。)この1st押出材を40mmの長さに切断した後、表2に示す押出温度に設定したコンテナ内で30分間保持し、押出比25:1(=減面率:94%)にて、2回目の熱間ひずみ付与加工を行った。(以下、2nd押出材と称す。)
次に、溝ロール材圧延工程について説明する。Mg−Mn合金の溝ロール材は、次の手順で製作した。1st押出材(直径40mm)を、長さ80mmの円柱ビレットを切り出した。溝ロール圧延用円柱ビレットを、表2に示す加工温度に設定したマッフル炉内で60分間保持し、溝ロール圧延を施した。ここで、ロール表面温度は、室温とし、溝ロール圧延による断面積減を1パスあたり18%とし、総減面率が92%となるように15回繰返し圧延を実施した。
なお、1st押出は、直径40mmからなる円柱ビレットへの形状付与を目的としている。2nd押出及び溝ロール圧延は、ひずみ付与加工中の動的再結晶を利用した結晶粒微細化を主たる目的としている。
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡/電子線後方散乱回折装置を用いて、作製したMg−Mn合金の微細組織観察を行った。図2〜5に典型的な観察例を示す。図中、黒色線で囲まれた領域が、ひとつの結晶粒である。図2は、異なる加工温度で作製したMg−0.25mass%Mn合金押出材の微細組織観察例である。加工温度の低温化にともない、結晶粒サイズは微細化する。また、図3〜5の微細組織観察から、いずれのMg−Mn合金も、結晶粒サイズが5μm以下であることが分かる。なお、各Mg−Mn合金の平均結晶粒サイズは、切片法で求め、表2にまとめている。ここで、本発明の効果を得るためには、熱間加工後のMg−Mn合金の平均結晶粒サイズが、10μm以下であることが重要である。そのため、10μmを超える平均結晶粒サイズを有するMg−Mn合金は、比較例としている。
図6に、走査型電子顕微鏡/電子線後方散乱回折から得られた結晶方位分布図を示す。各線が等高線を表し、(0001)面すなわち底面に結晶方位が集合し、その最大集積度は3.0以上である。一方で、一般的に、ランダムな集合組織を有する場合、等高線が均等に分布、もしくは、等高線が存在しないことを特徴とする。そのため、実施例に示すMg−Mn合金は、底面集合組織を有することが分かる。
2nd押出材及び溝ロール圧延から採取した試験片について、初期ひずみ速度1×10−3−1と1×10−5−1で室温引張試験を行った。引張試験は、JIS規格に基づき、平行部長さ15mm、平行部直径3mmからなる丸棒試験片を用いた。全ての試験片は、押出方向又は圧延方向に対して、平行方向から採取した。図7と図8に室温の引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ曲線を示す。実施例のMg−Mn合金(図7)は、優れた延性を示すことが確認できる。一方、平均結晶粒サイズが10μm以上の比較例の場合(図8)、実施例と比べて、延性は低下することが分かる。ここで、応力が20%以上低下した場合を「破断」したと定義(図中ではBKと表示)し、その時の公称ひずみを、破断伸びとして表2にまとめている。
また、図7に示す実施例の公称応力と公称ひずみ曲線は、最大負荷応力後、大きな応力低下度を示していることが分かる。例えば、実施例7の(σmax―σbk)/σmaxの値は0.7を示すことから、本発明合金の塑性変形限界が大きく、成形性に優れることを示唆している。図9に、実施例7の室温引張試験後の外観写真を示す。図中、矢印で示す破断部近傍では、局部収縮の大きい高絞り型となり、成形性に優れていることを裏付けている。また、他の実施例も同様の傾向を示すことも確認している。
各引張試験の結果をもとに、公称ひずみ0.05の時の、公称応力の値を流動応力とし、図10に流動応力とひずみ速度の関係を示す。図中、直線の傾きがm値に相当し、平均二乗法によって求まった値を表2に示す。実施例にあるMg−Mn合金のm値は、0.1以上を示し、粒界すべりの発現により、高延性化をもたらしている。一方、比較例のMg−Mn合金のm値は小さく、本発明の効果を得るためには、結晶粒サイズが微細であることが不可欠である。
なお、本発明の実施例では、第1段塑性ひずみ付与方法として押出加工、第2段塑性ひずみ付与方法として押出加工と溝圧延ロール加工の例を示したが、第1段及び第2段塑性ひずみ付与方法として押出加工、鍛造加工、圧延加工、引抜加工のうちのいずれか1種類の加工方法の組合せを採用しても構わない。もちろん、適性の範囲の断面減少率をとることができれば、第2段塑性ひずみ付与方法を省略することもできるし、断面減少率が所定の値より少ない場合には、更に、第3段以上の塑性ひずみ付与を行うこともできる。
本発明のMg−Mn合金は、優れた延性を示すことから、二次加工性に富み、板形状をはじめとする複雑形状への成形が容易である。また、大きなひずみを付与しても破断が起こらないことから、自動車などをはじめとする衝撃吸収材や構造材としての適応が可能と言える。また、粒界すべりが発現することから、内部摩擦特性に優れ、振動やノイズを課題とする部位への適応が考えられる。更に、希土類元素を用いていないため、従来の希土類添加Mg合金と比較して素材の価格を低減することが可能である。
σmax 最大負荷応力
σbk 破断時応力
BK 応力が20%以上低下した公称ひずみの値
FS 公称ひずみ0.05の時の公称応力の値、別称:流動応力
m ひずみ速度感受性指数
ED 押出加工に対して平行方向
RD 圧延加工に対して平行方向
TD 押出又は圧延加工に対して垂直方向

Claims (7)

  1. 0.07mass%以上、2mass%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的成分からなるMg基合金伸展材であって、母材の平均結晶粒径が5μm以下、かつ、前記伸展材を、JIS規格に基づき、1×10−5/s以上1×10−3/s以下の範囲のひずみ速度で引張試験を行った場合に得られる応力−ひずみ曲線図において、最大負荷応力(σmax)と破断時応力(σbk)の関係、(σmax―σbk)/σmaxが0.3以上であり、棒状の形状を有することを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材。
  2. 請求項1に記載のMg基合金伸展材であって、前記母材の平均結晶粒径は3μm未満であることを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材。
  3. 請求項1または2に記載のMg基合金伸展材であって、Mnを0.11mass%以上1.40mass%以下を含むことを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のMg基合金伸展材を製造する方法であって、0.07mass%以上、2mass%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的成分からなるMg基合金鋳造材を400℃以上650℃以下の温度で溶体化処理した後、100℃以上550℃以下の温度で総断面減少率70%以上となるまで、押出加工、引抜加工、溝ロール圧延のいずれかの加工法により熱間ひずみ付与を行うことを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材の製造方法。
  5. 請求項4に記載のMg基合金伸展材の製造方法において、前記熱間ひずみ付与を繰り返すことを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載のMg基合金伸展材を製造する方法において、前記熱間ひずみ付与は、押出加工または溝ロール圧延の加工法であることを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材の製造方法。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載のMg基合金伸展材の製造方法において、前記熱間ひずみ付与を総断面減少率90%以上となるまで行うことを特徴とする延性に優れたMg基合金伸展材の製造方法。
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