JP2019059105A - 筐体用部材の製造方法、積層板、筐体用部材及び電子機器 - Google Patents

筐体用部材の製造方法、積層板、筐体用部材及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】積層板と樹脂製のフレーム部との間の接合強度を高めることができる筐体用部材の製造方法、筐体用部材、及び、該筐体用部材を用いた筐体を備える電子機器を提供する。【解決手段】筐体用部材は、一対の繊維強化樹脂板40,41の間に中間層42が配設されると共に、中間層42の外周端面42aの少なくとも一部を一対の繊維強化樹脂板40,41の外周端面30aよりも内側に所定距離オフセットさせた中間層後退部46を設けた積層板30を形成した後、金型44のキャビティ内に中間層後退部46を含む積層板30をインサートし、その外周端面30aに樹脂材料を射出成形することで、積層板30の外周端面30aの少なくとも一部に樹脂製のフレーム部を接合する。【選択図】図5B

Description

本発明は、ノート型PC等の電子機器の筐体に利用可能な筐体用部材の製造方法、積層板、筐体用部材及び電子機器に関する。
ノートブック型のパーソナルコンピュータ(ノート型PC)、タブレット型のパーソナルコンピュータ(タブレット型PC)、スマートフォン及び携帯電話等の各種の電子機器の筐体は、軽量、薄型且つ高強度である必要がある。そこで、電子機器の筐体には、炭素繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ板(繊維強化樹脂板)で発泡材等からなる中間層を挟み込んだ板状の積層板を用いることが行われている。
このような積層板をノート型PC等の筐体に使用する際は、少なくともその外周端面に壁部等の所望の形状加工を行う必要がある。ところが、積層板は硬質の繊維強化樹脂板を用いて構成されているため曲げ等の形状加工の自由度が乏しい。
例えば特許文献1には、積層板の外周端面に対して熱可塑性樹脂を射出成形することで、加工自由度の高い樹脂製のフレーム部を積層板に接合した構成の筐体用部材が開示されている。この構成では、積層板の外周端面に射出成形した熱可塑性樹脂が繊維強化樹脂板間の中間層に凸形状に入り込むことでアンカー効果を生じさせ、これにより接合強度を高めている。
特許第4670532号公報
ところで、上記のような筐体用部材で筐体を構成する場合は、通常、外側のフレーム部に対して別の筐体用部材や他の筐体等がねじや嵌合によって連結される。このため、筐体に衝撃や外力が付与されると、高い強度を有する積層板と、これより強度の劣るフレーム部との接合界面に応力集中を生じる可能性がある。そうすると、筐体用部材は、その表面で積層板とフレーム部との間に隙間を生じて外観品質が低下する。特に、筐体用部材の表面に塗装が施されている場合は、この塗装面にクラックを生じることになる。
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、積層板と樹脂製のフレーム部との間の接合強度を高めることができる筐体用部材の製造方法、積層板、筐体用部材及び電子機器を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る筐体用部材の製造方法は、一対の繊維強化樹脂板の間に中間層が配設されると共に、前記中間層の外周端面の少なくとも一部を前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面よりも内側に所定距離オフセットさせた中間層後退部を設けた積層板を形成した後、前記中間層後退部を含む前記積層板の外周端面に樹脂材料を射出成形して接合することで、前記積層板の外周端面の少なくとも一部に樹脂製のフレーム部を接合した筐体用部材を形成する。
このような方法によれば、射出成形された樹脂材料は、中間層後退部を設けた部分では速やかに中間層後退部内に進入すると共に、この中間層後退部の奥部にある中間層の外周端面を溶融して積層板と接合される。その結果、製造された筐体用部材は、積層板とフレーム部の接合強度が向上し、積層板とフレーム部との間の境界部分での剥離や表面塗装のクラック発生を抑制できる。
前記一対の繊維強化樹脂板の間に配設された前記中間層の外周端面の少なくとも一部を機械加工によって切除することにより、前記中間層後退部を形成してもよい。そうすると、例えば中間層後退部を形成する前の段階では、所望の積層板を複数枚切り出し可能な大型の積層板を形成しておくことができる。つまり、この大型の積層板から所望の設計外形の積層板を切り出した後、機械加工で容易に中間層後退部を形成できるため、製造効率が高い。
前記中間層後退部は、前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面に対して、前記中間層の外周端面を内側に0.5mm〜2mmオフセットさせたものであってもよい。そうすると、積層板における繊維強化樹脂板と中間層との間の接合強度を劣化させることなく、積層板とフレーム部の接合強度を向上させることができる。
本発明の第2態様に係る積層板は、一対の繊維強化樹脂板の間に中間層が配設されると共に、前記中間層の外周端面の少なくとも一部が前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面よりも内側に所定距離オフセットした中間層後退部を備える。
このような構成によれば、例えば金型にセットしてその外周端面に対して樹脂材料を射出成形することで、加工自由度の高いフレーム部を積層板の外周端面に高強度で接合した筐体用部材に容易に形成できる。
前記中間層後退部は、前記中間層の外周端面が、前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面よりも内側に0.5mm〜2mmオフセットしたものであってもよい。そうすると、積層板における繊維強化樹脂板と中間層との間の接合強度を劣化させることなく、当該積層板に対するフレーム部の接合強度を向上させることができる。
本発明の第3態様に係る筐体用部材は、上記構成の積層板と、該積層板の前記中間層後退部を含む外周端面の少なくとも一部に接合され、樹脂材料が前記中間層後退部から前記中間層まで入りこんだ樹脂製のフレーム部と、を備える。
本発明の第4態様に係る電子機器は、上記構成の筐体用部材を用いた筐体を備える。
本発明の上記態様によれば、積層板と樹脂製のフレーム部との間の接合強度を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る筐体用部材を用いた筐体を備える電子機器の斜視図である。 図2は、図1に示す筐体の背面カバーの構成例を模式的に示す平面図である。 図3は、図2中のIII−III線に沿う断面形状を模式的に示した断面図である。 図4は、図2中のIV−IV線に沿う断面形状を模式的に示した断面図である。 図5Aは、積層板の外周端面及びその周辺部を拡大した断面図である。 図5Bは、図5Aに示す積層板を金型にセットして筐体用部材を製造する方法を説明する断面図である。 図6は、積層板とフレーム部との接合強度を測定する実験装置の構成を模式的に示した説明図である。 図7は、積層板とフレーム部との接合強度の実験結果と評価結果を示す表である。
以下、本発明について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る筐体用部材10を用いた筐体12を備える電子機器14の斜視図である。本実施形態では、筐体用部材10を用いた筐体12をノート型PCである電子機器14の蓋体16として使用した構成を例示するが、筐体用部材10は機器本体20に用いてもよい。筐体用部材10はノート型PC以外、例えばタブレット型PC、デスクトップ型PC、スマートフォン又は携帯電話等、各種電子機器の筐体用部材として利用可能である。
図1に示すように、電子機器14は、キーボード装置18を有する機器本体20と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ装置22を有する矩形平板状の蓋体16とを備える。電子機器14は、蓋体16を左右のヒンジ24により機器本体20に対して開閉可能に連結したクラムシェル型である。
機器本体20は扁平箱状の筐体であり、内部に図示しない基板、演算処理装置、ハードディスク装置及びメモリ等の各種電子部品を収納している。キーボード装置18は、機器本体20の上面に配設されている。
蓋体16は、背面カバー12aと正面カバー12bとを重ねて締結した筐体12を備え、ヒンジ24を通過した図示しないケーブルにより機器本体20と電気的に接続されている。背面カバー12aは、蓋体16の側面及び背面を覆うカバー部材である。本実施形態では、背面カバー12aを筐体用部材10によって構成している。正面カバー12bは、蓋体16の正面を覆う樹脂製の枠状部材であり、その開口部に例えば液晶ディスプレイからなるディスプレイ装置22が設けられている。
次に、蓋体16を構成する筐体12の背面カバー12a及びこの背面カバー12aを形成する筐体用部材10の構成例を説明する。
先ず、背面カバー12aの構成例を説明する。図2は、筐体12の背面カバー12aの構成例を模式的に示す平面図であり、蓋体16の背面となる背面カバー12aを内面側から見た図である。
上記の通り、背面カバー12aは筐体用部材10によって形成されている。図2に示すように、筐体用部材10は、三層構造で軽量且つ高強度に形成された積層板30と、積層板30の外周端面30aに熱可塑性樹脂を接合することで形成されたフレーム部32とを備える。背面カバー12aは、このような筐体用部材10のフレーム部32によってその周縁部及び4辺の側面となる壁部34が形成され、積層板30によってディスプレイ装置22の背面側に位置する板状部分が形成されている。
筐体12は、背面カバー12aのフレーム部32の一縁側(図2では下縁)に左右一対設けられた締結部36を介してヒンジ24と締結される。また、背面カバー12aの他縁側(図2では上縁)のフレーム部32には無線通信用のアンテナ38が左右一対配設される。
次に、背面カバー12aを構成する筐体用部材10の具体的な構成を説明する。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面形状を模式的に示した断面図である。図4は、図2中のIV−IV線に沿う断面形状を模式的に示した断面図である。図3及び図4は、筐体用部材10の積層板30及びフレーム部32を含む部分での厚み方向の断面図である。
図3及び図4に示すように、筐体用部材10は、上下一対の繊維強化樹脂板40,41の間に中間層42を配設した積層板30と、積層板30の外周端面30aに接合されたフレーム部32とを有する。
各繊維強化樹脂板40,41は、強化繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ又はプリプレグの積層板であり、例えば、それぞれ0.175mm程度の板厚を有する。本実施形態では、強化繊維として炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いている。強化繊維としては、炭素繊維以外であってもよく、ステンレス繊維等の金属繊維やガラス繊維等の無機繊維等、各種材料を用いてもよい。
中間層42は、一対の繊維強化樹脂板40,41間に設けられ、これら硬質の繊維強化樹脂板40,41間を離隔させる軟質のスペーサであり、例えば0.9mm程度の板厚を有する。中間層42を設けたことにより、積層板30の板厚方向の断面係数が増大し、軽量且つ高強度な構造となる。中間層42は、例えばポリプロピレン等の発泡材で構成されることで空気を含む空隙部を有した発泡層によって構成される。
フレーム部32は、このような積層板30の外周端面30aに熱可塑性樹脂32aを射出成形することで該積層板30に対して接合されている。フレーム部32を形成する熱可塑性樹脂32aとしては、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等を用いるとよく、これらの樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化樹脂(例えば、GFRP)を用いてもよい。本実施形態の場合、フレーム部32を形成する熱可塑性樹脂32aを繊維強化樹脂板40,41間に挟まれた中間層42に進入させるように射出成形することでアンカー効果を生じさせ、高い接合強度を確保している。
ところで、図3及び図4に示すように、本実施形態に係る筐体用部材10は、部位によって熱可塑性樹脂32aの中間層42への進入量が異なる。図3に示す熱可塑性樹脂32aの積層板30に対する接合部となる大アンカー部32bは、図4に示す熱可塑性樹脂32aの積層板30に対するアンカー部32cよりも中間層42への進入量が大きい。つまり、図3に示す大アンカー部32bは、図4に示すアンカー部32cよりも積層板30の内側により深く進入している。これにより、大アンカー部32bは、アンカー部32cよりも熱可塑性樹脂32aの積層板30に対する接合強度が高い。
そこで、本実施形態では、図2に示すように、高強度の大アンカー部32bをヒンジ24との締結部36の周辺部に設け、他の部分には大アンカー部32bよりは接合強度が劣るものの、必要十分な接合強度を持ったアンカー部32cを設けている。勿論、筐体用部材10は、高強度の大アンカー部32bを全周に設けてもよい。但し、大アンカー部32bは、後述する中間層後退部46を形成する工程が必要であり、コストの面でアンカー部32cに劣る。このため、本実施形態では、特に強度が必要な締結部36の周辺部にのみ大アンカー部32bを設け、製造コストの増加を抑えている。
本実施形態に係る筐体用部材10は、積層板30の外周端面30aにフレーム部32を接合することで、曲げや切断等の加工の自由度が乏しい積層板30の周縁部に壁部34等の所望の形状加工を施すことが可能となっている。また、導電性材料である繊維強化樹脂板40,41から外れた位置で非導電性材料のフレーム部32にアンテナ38を設置する等の設計自由度の向上も可能となる(図2参照)。図2ではフレーム部32を積層板30の外周端面30aの全周に設けた構成を例示しているが、フレーム部32は外周端面30aの一部にのみ接合されてもよい。
次に、筐体用部材10の製造方法の一例を説明する。
図5Aは、積層板30の外周端面30a及びその周辺部を拡大した断面図である。図5Bは、図5Aに示す積層板30を金型44にセットして筐体用部材10を製造する方法を説明する断面図である。
筐体用部材10の製造方法の一手順としては、先ず、一対の平面形状の繊維強化樹脂板40,41を準備し、その間に平面形状の中間層42を挟んで全体を積層方向にプレスする。続いて、図5Aに示すように、積層板30の外周端面30aのうち、大アンカー部32bを形成させる部分に中間層後退部46を形成し、積層板30を成形する。
中間層後退部46は、中間層42の外周端面42aを積層板30の外周端面30a、つまり一対の繊維強化樹脂板40,41の外周端面30aよりも内側に所定距離オフセットさせた構造である。図5Aに示すように、中間層後退部46の外周端面30aからのオフセット量である深さdは、例えば積層板30の板厚t1が1.25mm、中間層42の板厚t2が0.9mmの場合、繊維強化樹脂板40,41の外周端面30aに対して、中間層42の外周端面42aを内側に0.5mm〜2mmオフセットさせたものであることが好ましい。但し、深さdは、積層板30や中間層42の板厚t1,t2が変化してもその最適範囲はほとんど変化しないことが確認されており、例えば積層板30の板厚t1を2.5mmとし、中間層42の板厚t2を1.8mmとした場合であっても、深さdの最適範囲は0.5mm〜2mmであった。このような中間層後退部46は、理想的には深さdの範囲から中間層42を完全に除去した構成であるが、実際には繊維強化樹脂板40,41の内面に中間層42が多少付着した状態であってもよい。
中間層後退部46の形成方法は、例えば機械加工による方法、化学処理による方法、中間層42の外形を予め繊維強化樹脂板40,41の外形よりも小さくしておいて積層板30を形成する方法等が挙げられる。機械加工による方法は、例えばCNC(コンピュータ数値制御)工作機械を用い、外周端面30a,42aが面一に形成された積層板30に対し、中間層42の外周端面30aを切削加工によって切除する方法である。なお、機械加工による方法は、例えば針や杭のような部材を中間層42の外周端面42aに打ち込む方法であってもよい。化学処理による方法は、例えば有機溶剤等の中間層42を溶融可能な薬品を用い、外周端面30a,42aが面一に形成された積層板30に対し、中間層42の外周端面30aを化学処理によって溶融切除する方法である。中間層42の外形を予め繊維強化樹脂板40,41の外形よりも小さくしておく方法は、例えば積層板30の成形時に、予め外形の小さい中間層42を繊維強化樹脂板40,41間に挟み込むことで、外周端面30a,42a間を位置ずれさせる方法である。
次に、このように形成した積層板30を金型44にセットし(図5B参照)、溶融した熱可塑性樹脂32aを金型44のキャビティ44a内に充填する。これにより、熱可塑性樹脂32aが積層板30の外周端面30aに接触するように射出成形され、フレーム部32が形成される。この際、射出された熱可塑性樹脂32aは、中間層42を溶融しながら中間層42内に進入する。ここで、図3及び図5Aに示すように、中間層後退部46を設けた部分では、熱可塑性樹脂32aは速やかに中間層後退部46内に進入すると共に、この中間層後退部46の奥部にある中間層42の外周端面42aを溶融し、大アンカー部32bを形成する。従って、大アンカー部32bは、中間層後退部46に対応する部分で中間層42の板厚の略全域に広がって直線形状となり、中間層後退部46よりも奥側の部分では凸形状となる。一方、図5Bに示すように、中間層後退部46を設けていない部分では、熱可塑性樹脂32aは外周端面30aと面一にある中間層42の外周端面42aを溶融し、凸形状のアンカー部32cを形成する。
その結果、図3及び図4に示すように外周端面30aから中間層42に熱可塑性樹脂32aが入り込んだ大アンカー部32b及びアンカー部32cが形成され、フレーム部32が積層板30に接合された筐体用部材10が形成される。
次に、中間層後退部46の深さdを変更した際の積層板30とフレーム部32との間の接合強度の変化を測定した実験結果を説明する。
図6は、積層板30とフレーム部32との接合強度を測定する実験装置の構成を模式的に示した説明図である。図7は、積層板30とフレーム部32との接合強度の実験結果と評価結果を示す表である。なお、図6では、フレーム部32の断面ハッチングを省略している。
実験は、図5Aに示す中間層後退部46の深さdを変更した積層板30のそれぞれに熱可塑性樹脂32aを射出成形してフレーム部32を接合し、複数サンプルの筐体用部材10を用いて行った。なお、各サンプルの筐体用部材10は、フレーム部32の外面32dから外面側の繊維強化樹脂板40の外面40aに亘る表面に図示しない塗装を設けた。そして、実験は、図6に示すように、各サンプルの筐体用部材10は、積層板30部分を固定治具48で固定し、フレーム部32の壁部34の根本となるコーナー部の外面32dに荷重F(N)を付与した条件で、外面32d,40a側の繊維強化樹脂板40とフレーム部32との間の境界部分Bでの表面塗装にクラックが生じた際の荷重Fと、フレーム部32の折曲量となる変位量D(mm)とを測定した。
図7に示すように、先ず、評価の基準となる深さdを0mmとした場合、つまりアンカー部32cと同様な構造では、荷重Fが78Nで、変位量Dが2.4mmの際に塗装クラックを生じた。次に、深さdを0.5mmとした場合は、荷重Fが97N、変位量Dが3.9mmの際に塗装クラックを生じた。深さdを1mmとした場合は、荷重Fが120N、変位量Dが4.5mmの際に塗装クラックを生じた。深さdを1.5mmとした場合は、荷重Fが130N、変位量Dが5.7mmの際に塗装クラックを生じた。深さdを2mmとした場合は、荷重Fが110N、変位量Dが4.0mmの際に塗装クラックを生じた。深さdを2.5mmとした場合は、荷重Fが65N、変位量Dが2.1mmの際に塗装クラックを生じた。なお、表面塗装を施さない構成の場合は、塗装クラックに代わって境界部分Bの表面で繊維強化樹脂板40とフレーム部32との間に剥離による隙間を生じることになる。
上記の実験により、深さdが0.5mm〜2mmの範囲では、深さdを0mmとした評価基準よりも大きな耐荷重性能、耐変位性能が得られ、フレーム部32の積層板30に対する接合強度が向上していることがわかった。一方、深さdが2.5mmの場合は、深さdを0mmとした評価基準と同等以下の耐荷重性能、耐変位性能が得られ、フレーム部32の積層板30に対する接合強度が逆に低下していることがわかった。
なお、中間層後退部46の深さdを2.5mmとした場合に、2mm等に比べて積層板30とフレーム部32との接合強度が低下した理由は、次の要因が考えられる。すなわち、元々積層板30における繊維強化樹脂板40,41と中間層42との間の接合強度は極めて高い。このため、中間層後退部46の深さdが大きくなり過ぎると、積層板30とフレーム部32との接合強度自体は見かけ上は高くなるが、実際には積層板30自体の強度低下を生じ、上下の繊維強化樹脂板40,41の外周端面30a,30a間が口開きをするように折れ曲がってしまい、塗装クラック等を生じるものと考えられる。
以上のように、本実施形態に係る筐体用部材10の製造方法は、一対の繊維強化樹脂板40,41の間に中間層42が配設されると共に、中間層42の外周端面42aの少なくとも一部を一対の繊維強化樹脂板40,41の外周端面30aよりも内側にオフセットさせた中間層後退部46を設けた積層板30を形成した後、中間層後退部46を含む積層板30の外周端面30aに樹脂材料を射出成形して接合することで、積層板30の外周端面30aの少なくとも一部に樹脂製のフレーム部32を接合した筐体用部材10を形成する。
従って、当該製造方法によれば、射出成形された樹脂材料は、中間層後退部46を設けた部分では速やかに中間層後退部46内に進入すると共に、この中間層後退部46の奥部にある中間層42の外周端面42aを溶融し、大アンカー部32bを形成する。その結果、筐体用部材10は、積層板30とフレーム部32の接合強度が向上し、積層板30とフレーム部32との間の境界部分Bでの剥離や表面塗装のクラック発生を抑制できる。
当該製造方法では、中間層後退部46は、例えば中間層42の外周端面42aの少なくとも一部を機械加工によって切除することにより形成する。これにより、例えば中間層後退部46を形成する前の段階では、積層板30を複数枚切り出し可能な大型の積層板を形成しておくことができる。つまり、この大型の積層板から所望の設計外形の積層板30を切り出した後、機械加工で容易に中間層後退部46を形成できるため、製造効率が高い。このような大型の積層板から積層板30を切り出した後に中間層後退部46を形成する方法は、上記した化学処理による方法等にも適用できる。
また、本実施形態に係る積層板30は、一対の繊維強化樹脂板40,41の間に中間層42が配設されると共に、中間層42の外周端面42aの少なくとも一部が一対の繊維強化樹脂板40,41の外周端面30aよりも内側にオフセットした中間層後退部46を備える。従って、このような積層板30は、例えば金型44にセットしてその外周端面30a,42aに対して樹脂材料を射出成形することで、加工自由度の高いフレーム部32を高強度で接合した筐体用部材10に容易に形成できる。
すなわち、このような積層板30を用いた筐体用部材10は、積層板30の中間層後退部46を含む外周端面30a,42aの少なくとも一部に接合され、樹脂材料が中間層後退部46から中間層42まで入りこんだ樹脂製のフレーム部32を備える。その結果、当該筐体用部材10は、積層板30とフレーム部32の接合強度が向上し、積層板30とフレーム部32との間の境界部分Bでの剥離や表面塗装のクラック発生を抑制できる。
なお、上記した通り、中間層後退部46は中間層42を完全に除去した構成以外、例えば繊維強化樹脂板40,41の内面に中間層42が多少付着した構成であってもよい。従って、このような中間層後退部46を有する積層板30に熱可塑性樹脂32aを射出成形した場合、大アンカー部32bの中間層後退部46に対応する部分では、繊維強化樹脂板40,41の内面に中間層42が多少付着していた場合であっても、この中間層42の残留物の少なくとも一部は熱可塑性樹脂32aによって溶融除去される可能性が高い。その結果、大アンカー部32bは、熱可塑性樹脂32aが直接的に繊維強化樹脂板40,41の内面と接合された部位と、熱可塑性樹脂32aが中間層42と接合された部位とが混在した構造となり、積層板30とフレーム部32との接合強度が一層向上する。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
10 筐体用部材
12 筐体
12a 背面カバー
12b 正面カバー
14 電子機器
16 蓋体
20 機器本体
30 積層板
30a,42a 外周端面
32 フレーム部
32a 熱可塑性樹脂
32b 大アンカー部
32c アンカー部
32d,40a 外面
40,41 繊維強化樹脂板
42 中間層
46 中間層後退部

Claims (7)

  1. 一対の繊維強化樹脂板の間に中間層が配設されると共に、前記中間層の外周端面の少なくとも一部を前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面よりも内側に所定距離オフセットさせた中間層後退部を設けた積層板を形成した後、
    前記中間層後退部を含む前記積層板の外周端面に樹脂材料を射出成形して接合することで、前記積層板の外周端面の少なくとも一部に樹脂製のフレーム部を接合した筐体用部材を形成することを特徴とする筐体用部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の筐体用部材の製造方法において、
    前記一対の繊維強化樹脂板の間に配設された前記中間層の外周端面の少なくとも一部を機械加工によって切除することにより、前記中間層後退部を形成することを特徴とする筐体用部材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の筐体用部材の製造方法において、
    前記中間層後退部は、前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面に対して、前記中間層の外周端面を内側に0.5mm〜2mmオフセットさせたものであることを特徴とする筐体用部材の製造方法。
  4. 一対の繊維強化樹脂板の間に中間層が配設されると共に、前記中間層の外周端面の少なくとも一部が前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面よりも内側に所定距離オフセットした中間層後退部を備えることを特徴とする積層板。
  5. 請求項4に記載の積層板において、
    前記中間層後退部は、前記中間層の外周端面が、前記一対の繊維強化樹脂板の外周端面よりも内側に0.5mm〜2mmオフセットしたものであることを特徴とする積層板。
  6. 請求項4又は5に記載の積層板と、該積層板の前記中間層後退部を含む外周端面の少なくとも一部に接合され、樹脂材料が前記中間層後退部から前記中間層まで入りこんだ樹脂製のフレーム部と、を備えることを特徴とする筐体用部材。
  7. 請求項6に記載の筐体用部材を用いた筐体を備えることを特徴とする電子機器。
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