JP2019058999A - 異常診断装置及び異常診断システム - Google Patents
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Abstract
【課題】生産システムにおける異常原因を適切に特定できる異常診断装置及び異常診断システムを提供すること。【解決手段】端末40は、ロボット21〜23における異常を検出する異常検出部44を備える。また、端末40は、複数台のロボット21〜23のうちいずれかのロボット21〜23において異常が検出された場合、生産システムにおける他のロボット21〜23においても異常が検出されたか否かを判定する異常判定部45を備える。また、端末40は、他のロボット21〜23において異常が検出されなかった場合には、異常が検出されたロボット21〜23自体の異常であると特定する一方、他のロボット21〜23においても異常が検出された場合には、異常が検出されたロボット21〜23以外の要因による異常であると特定する異常特定部49を備える。【選択図】 図3
Description
本発明は、ワークを搬送している間に、当該ワークに対して複数台のロボットに作業を実施させる生産システムにおいて生じる異常を診断する異常診断装置及び異常診断システムに関する。
従来、同一、同種の製品(ワーク)を大量に製造するため、1つの生産ライン上で、複数台のロボットを利用して、流れ作業によってワークを組み立てるライン方式の生産システムが知られている。このような生産システムでは、いずれかの箇所で異常が生じると、生産ライン全体に影響を及ぼす可能性がある。このため、異常原因をいち早く特定し、正常な状態に戻す必要がある。そこで、特許文献1に開示されている発明のように、複数台のロボットの情報を蓄積することで、故障時に交換する必要のある部品候補を抽出するようなシステムが提案されている。
ところで、生産システムにおいて異常が生じた場合、その異常の原因としては、大きく分けて、ロボット自体の異常(劣化や故障)と、ロボット以外の要因による異常(ワーク位置の異常、搬送設備の異常等)とが、考えられる。
上記特許文献1に開示されている発明では、ロボット自体の異常を早期に特定することはできるものの、ロボット以外の要因による異常を発見し、特定することができるものではない点に本願発明は着目した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、生産システムにおける異常原因を適切に特定できる異常診断装置及び異常診断システムを提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決するため、第1の発明として、ワークが搬送設備によって搬送されている間に、当該ワークに対して複数台のロボットに作業を実施させる生産システムに用いられる異常診断装置において、前記ロボットにおける異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部により複数台の前記ロボットのうちいずれかのロボットにおいて異常が検出された場合、前記生産システムにおける他のロボットにおいても異常が検出されたか否かを判定する異常判定部と、前記他のロボットにおいて異常が検出されなかった場合には、異常が検出されたロボット自体の異常であると特定する一方、前記他のロボットにおいても異常が検出された場合には、異常が検出されたロボット以外の要因による異常であると特定する異常特定部と、を備えたことを要旨とする。
例えば、ワークの設置位置ずれ、搬送設備の不調等、ロボット以外の要因による異常が発生した場合、1体のロボットだけでなく、生産システムを構成する複数台のロボットから異常を検出すると考えられる。そこで、上記構成では、異常検出部により複数台のロボットのうちいずれかのロボットにおいて異常が検出された場合、生産システムにおける他のロボットにおいても異常が検出されたか否かを判定する異常判定部を備えた。また、他のロボットにおいて異常が検出されなかった場合には、異常が検出されたロボット自体の異常であると特定する一方、他のロボットにおいても異常が検出された場合には、異常が検出されたロボット以外の要因による異常であると特定する異常特定部を備えた。これにより、ロボットにおいて異常が検出された場合、その異常の原因が、ロボット自体の異常であるか、それともロボット以外の要因による異常であるかを適切に特定することができる。
第2の発明において、前記ワークは、前記搬送設備によって予め定められたルートに従って上流から下流へと搬送されるように構成されており、前記ロボットは、前記ルートの予め決められた地点において作業を実施するように構成されており、前記異常判定部は、前記異常検出部により異常が検出された場合、前記ルートにおいて、前記異常が検出された前記ロボットよりも下流側の前記ロボットにおいて異常が検出されるか否かを判定することを要旨とする。
ワークは、搬送設備によって予め定められたルートに従って上流から下流へと搬送され、ロボットは、ルートの予め決められた地点において作業を実施する。このため、ロボット以外の要因による異常が発生していた場合、最初に異常が検出されたロボットよりも、下流側のロボットにおいても異常が検出されることが想定される。そこで、異常判定部は、異常検出部により異常が検出された場合、ルートにおいて、異常が検出されたロボットよりも下流側のロボットにおいて異常が検出されるか否かを判定することとした。これにより、適切に異常原因を特定することができる。
第3の発明において、前記異常判定部は、前記異常が検出された前記ロボットから前記ルートにおいて下流側の前記ロボットまでの間における前記ワークの搬送時間に基づいて、当該下流側の前記ロボットから検出される異常を前記異常判定部で利用可能とする有効期間を設定し、当該有効期間において、前記下流側の前記ロボットから異常が検出されるか否かを判定することを要旨とする。
ワークなどに異常が生じている場合、異常が検出されたロボットから下流側のロボットまでの間におけるワークの搬送時間経過後に、当該下流側のロボットから異常が検出されると考えられる。その一方で、当該搬送時間経過前においては、ワークなどに異常が生じている場合であっても、下流側のロボットから異常が検出されない可能性が高い。また、当該搬送時間経過前において下流側のロボットから異常が検出された場合、異常の原因が異なる可能性が高い。そこで、異常判定部は、搬送時間に基づいて有効期間を設定し、当該有効期間において、下流側の前記ロボットから異常が検出されるか否かを判定することとした。これにより、より適切に異常原因を特定することができる。
第4の発明は、前記ロボットの稼働状態を取得する状態取得部が備えられており、前記異常検出部は、所定の教示期間において取得された各ロボットの基準稼働状態と、作業時に取得された各ロボットの稼働状態との比較に基づき、各ロボットの異常を検出することを要旨とする。
これにより、ロボット自体に異常が生じた場合と、ロボット以外の要因で異常が生じた場合のいずれであっても、異常を検出することができる。また、ワークに対してロボットが行う作業がロボットごとに異なっていた場合であっても、ロボットにおける異常を検出できる。
第5の発明において、前記ロボットは、当該ロボットに作業を実施させるための命令及びその順序を示す動作プログラムに基づき、前記ワークに対して作業を行うものであり、前記異常特定部によって、前記ロボット自体の異常であると特定された場合、異常が検出された前記ロボットの動作プログラムに基づき、異常が検出されたタイミングにおいて前記ロボットに指示した命令を特定し、前記ロボットを構成する機械的要素のうち、特定した前記命令に関係する機械的要素に異常が生じたことを推定する推定部を備えたことを要旨とする。
これにより、異常が生じた可能性の高いロボットの機械的要素を推定することができる。このため、より迅速に異常原因を特定することが可能となる。
第6の発明は、前記異常特定部によって、異常が検出された前記ロボットの前記生産システムにおける配置及び異常が検出されたタイミングに基づき、異常発生場所を予測する場所予測部を備えたことを要旨とする。
これにより、異常の発生原因となったワーク又は搬送設備の箇所など、異常発生場所を迅速に予測することができる。
第7の発明は、異常が検出されたタイミングにおける前記ロボットの姿勢に基づき、異常発生原因を予測する原因予測部を備えたことを要旨とする。
これにより、異常の発生原因を迅速に予測することができる。
第8の発明は、ワークが搬送設備によって搬送されている間に、当該ワークに対してそれぞれ作業を実施する複数台のロボットと、前記異常診断装置と、を備えた異常診断システムであることを要旨とする。
この異常診断システムにより、ロボットにおいて異常が検出された場合、その異常の原因が、ロボット自体の異常であるか、それともロボット以外の要因による異常であるかを適切に特定することができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、機械組立工場の組立ラインにおいて、機械等の組み立てを行う産業用ロボットを複数備える生産システムに適用される異常診断装置、及び異常診断システムとして具体化している。
図1に、生産システム100を図示する。生産システム100には、ワークW(製品)を搬送する搬送設備としてのベルトコンベヤ10と、ワークWがベルトコンベヤ10によって搬送されている間に、当該ワークWに対して作業を行う複数台(本実施形態では3台)のロボット21〜23が設けられている。
ベルトコンベヤ10は、ワークWを決まったルート(ライン)に沿って、上流から下流に流す設備である。ベルトコンベヤ10の周りには、ロボット21〜23が配置されている。
ロボット21〜23は、6つの関節を有する6軸ロボットである。各ロボット21〜23は、ベルトコンベヤ10の周りにおいて、それぞれ予め決められた位置に配置されている。なお、以下では、ベルトコンベヤ10の上流から1番目に配置されているロボット21を、第1ロボット21と示す場合がある。また、ベルトコンベヤ10の上流から2番目に配置されているロボット22を、第2ロボット22と示す場合がある。また、ベルトコンベヤ10の上流から3番目に配置されているロボット23を、第3ロボット23と示す場合がある。
そして、各ロボット21〜23は、関節ごとにモータ25を備えており、モータ25を駆動させることにより、各関節を駆動させている。また、各ロボット21〜23には、それぞれロボット21〜23の各種動作を制御するロボットコントローラ(以下、単にコントローラ30と示す)が設けられている。
次に、コントローラ30について説明する。図2は、第1ロボット21のコントローラ30の電気的構成を示す図である。なお、第2ロボット22及び第3ロボット23のコントローラ30も同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
コントローラ30は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成され、記憶部36を有している。記憶部36には、第1ロボット21の動作プログラム等の各種プログラムが記憶されている。コントローラ30は、記憶部36に記憶された各種プログラムに基づいて第1ロボット21の動作制御等に係る各種機能を実現する。なお、コントローラ30の各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
コントローラ30には、各関節に設けられたモータ25が通信可能に接続されている。これらのモータ25は、コントローラ30からの制御信号に基づいて駆動される。なお、図2では便宜上、1つのモータ25のみ図示されている。
コントローラ30には、各関節の回転位置を検出する位置検出部37(エンコーダ)が接続されている。位置検出部37は、各関節(各モータ25)ごとにそれぞれ設けられ、図2では便宜上、1の位置検出部37のみ図示している。コントローラ30には、各位置検出部37からそれぞれ各関節の回転位置情報が入力される。コントローラ30は、それら入力される回転位置情報に基づいて各モータ25の駆動をフィードバック制御する。
コントローラ30には、モータ25に流れる電流値を検出する電流検出部38が接続されている。電流検出部38は、モータ25ごとにそれぞれ設けられ、図2では便宜上、1つの電流検出部38のみ図示している。コントローラ30には、各電流検出部38からそれぞれ各モータ25の電流値が入力される。
コントローラ30は、記憶部36に記憶されている動作プログラムに基づき、第1ロボット21(具体的には各関節)の動作態様や姿勢を制御する。具体的には、ワークWに対して、所定の作業を実施させるように第1ロボット21の動作態様や姿勢を制御する。ワークWに対してどのような作業を実施させるかは、動作プログラムにより、設定可能となっている。動作プログラムには、所定の作業を第1ロボット21に対して実施させるための1又は複数の命令及びその順序が設定されている。命令の種類及び順序は、例えば、後述する端末40の操作部41を操作することにより設定可能となっている。
また、各ロボット21〜23のコントローラ30には、各種操作を行うための管理者用端末(以下、単に端末40と示す)が接続されている。端末40は、周知のパーソナルコンピュータにより構成されており、キーボード等からなる操作部41と、ディスプレイ等からなる表示部42とを有している。なお、端末40は、端末装置に代えて、ティーチングペンダントにより構成されていてもよい。この端末40が、異常診断装置に相当する。また、ロボット21〜23及び端末40により、異常診断システム200が構成されている。
次に、各ロボット21〜23における異常を検出するための異常検出処理について図3に基づき説明する。この異常検出処理は、端末40により実行される。異常検出処理は、各ロボット21〜23に対してそれぞれ実行される。なお、どのロボット21〜23を検出対象としても異常検出処理は、同様であるため、以下では第1ロボット21を検出対象とした場合について説明する。第1ロボット21を検出対象とする異常検出処理は、所定周期ごとに実行される。
図3に示すように、まずステップS11では、第1ロボット21のコントローラ30から、第1ロボット21の動作期間における第1ロボット21の稼働状態を取得したか否かを判定する。第1ロボット21の稼働状態とは、第1ロボット21の動作態様や姿勢を特定可能な測定値の状態のことを指す。
動作期間における第1ロボット21の稼働状態としては、例えば、第1ロボット21の動作期間において、電流検出部38から入力した電流値の波形がある。また、第1ロボット21の稼働状態としては、例えば、第1ロボット21の動作期間において、位置検出部37から入力された回転位置情報の遷移波形などが含まれていてもよい。また、電流検出部38により検出されるモータ25の電流値に基づいてモータ25のトルク値を算出(推定)し、その算出したトルク値の波形を、稼働状態に含ませてもよい。本実施形態では、動作期間において、電流検出部38から入力した電流値の波形を採用している。
なお、第1ロボット21には、複数の関節(及びモータ25)を有しているが、端末40は、関節(又はモータ25)ごとの稼働状態を取得している。また、第1ロボット21の動作期間は、第1ロボット21の動作プログラムにより予め設定されており、動作期間終了後、第1ロボット21の稼働状態が第1ロボット21から端末40に出力されるようになっている。なお、動作期間終了後、稼働状態が出力されていたが、所定周期ごとに出力されてもよい。このステップS11を実行することにより、端末40は、ロボット21〜23の稼働状態を取得する状態取得部43としての機能を備えていることとなる。
ステップS11の判定結果が否定の場合(稼働状態を取得していない場合)、異常検出処理を終了し、肯定の場合、ステップS12に移行する。
ステップS12において、端末40は、取得した稼働状態と基準稼働状態とを比較する。基準稼働状態とは、例えば、所定の教示期間において、第1ロボット21を正常に動作させた場合において取得された稼働状態のことである。つまり、取得した稼働状態が、基準稼働状態と比較して、同じであれば、第1ロボット21は正常に動作していると判断することができる。その際、関節ごとに稼働状態を取得している場合には、関節ごとに比較を行う。また、例えば、電流値の波形と、回転位置の遷移波形のように、稼働状態として2種類以上のパラメータを取得している場合には、種類ごとに比較を行う。なお、第1ロボット21を正常に動作させた場合における稼働状態であれば、どの期間において取得されてもよい。基準稼働状態を設定する際に、正常に動作しているか否かは、例えば管理者が確認すればよい。
図4(a)において、正常な場合における第1ロボット21の稼働状態及び基本稼働状態を示す。図4(a)では、第1ロボット21の稼働状態を波形21aで示し、基本稼働状態を波形21bで示す。また、図4(b)において、異常な場合における第2ロボット22の稼働状態及び基本稼働状態を示す。図4(b)では、第2ロボット22の稼働状態を波形22aで示し、基本稼働状態を波形22bで示す。
ステップS12において具体的には、端末40は、取得した稼働状態と基準稼働状態との比率を算出する。これにより、例えば、図4(c)に示すように、取得した稼働状態と基準稼働状態との比率の遷移を示す波形を取得することができる。図4(c)では、正常な第1ロボット21についての比率を波形21cで示し、異常な第2ロボット22についての比率を波形22cで示す。そして、ステップS13に移行する。
ステップS13において、端末40は、算出した比率の絶対値が、所定範囲外であるか否かを判定する。所定範囲の上限値及び下限値は、第1ロボット21の劣化状態(使用期間)や、使用頻度などに基づき、管理者などにより設定される。本実施形態では、比率が100%であること(基準稼働状態と稼働状態が一致)を基準として、上限値を110%とし、下限値を90%としている。この所定範囲は、所定期間経過した後は、更新が求められるように構成されている。
ステップS13において、所定範囲内であると判定された場合には、異常がないため、そのまま異常検出処理を終了する。一方、所定範囲外であると判定された場合には、ステップS14に移行する。
ステップS14において、第1ロボット21において何らかの異常が生じていると検出し、その旨を検出時刻と共に記憶部36に記憶する。検出時刻は、第1ロボット21の動作期間において比率が所定範囲外となった時刻(図4において時刻T1)のことである。なお、第1ロボット21の動作期間において比率がピーク値となった時刻を検出時刻としてもよい。
このように、異常検出処理では、取得した稼働状態と基準稼働状態とを比較することにより、異常を判定している。このため、各ロボット21〜23において、異なる作業を実施するような場合であっても、同様に、異常が生じているか否かを判定可能となっている。この異常検出処理を実行することにより、端末40は、異常検出部44としての機能を備えていることとなる。
ところで、取得した稼働状態と基準稼働状態とを比較することにより、異常を判定しているため、1つのロボット21〜23からの情報では、当該異常がロボット21〜23自体の異常なのか、それともロボット21〜23以外の要因による異常なのかを特定することはできない。
なお、ロボット21〜23自体の異常とは、例えば、関節を構成する機械的要素(ギヤや軸受部材など)の劣化(傷つき)や、モータ25等の動作不良など、ロボット21〜23を構成する構成要素に基づく異常のことである。一方、ロボット21〜23以外の要因による異常とは、例えば、ワークWの設置位置ずれや、ベルトコンベヤ10の故障等、ロボット21〜23の外部要因に基づく、異常である。つまり、ロボット21〜23自体が正常であったとしても、ロボット21〜23の外部要因によって異常が生じるものである。
そこで、以下のような異常特定処理を行うこととした。異常特定処理について図5に基づき説明する。異常特定処理は、端末40により、所定周期ごとに実行される。
ステップS21において、いずれかのロボット21〜23において異常が検出されたか否かを判定する。つまり、ロボット21〜23のうちいずれかを対象とする異常検出処理において、異常が検出されたか否かを判定する。異常が検出されていない場合には、異常特定処理を終了し、異常が検出された場合(ステップS21の判定結果が肯定の場合)には、ステップS22に移行する。
ステップS22で、異常を検出した検出時刻を取得する。なお、検出時刻は、異常検出処理のステップS14において、記憶部36に記憶されているため、記憶部36から読み出せばよい。
ステップS23において、ワークWが搬送されるルートにおいて、異常を検出したロボット21〜23よりも下流側にロボット21〜23が存在するか否かを判定する。具体的には、各ロボット21〜23に対して、ルートにおけるワークWが流れてくる順序(作業順序)がそれぞれ対応付けられて記憶されている。端末40は、当該作業順序に基づき、異常が検出されたロボット21〜23よりも下流側にロボット21〜23が存在するか否か、すなわち、異常が検出されたロボット21〜23よりも、作業順序の遅いロボット21〜23が存在するか否かを判定する。
例えば、端末40は、最初に(ステップS21で)第1ロボット21において異常が検出された場合、第1ロボット21よりも作業順序が遅い第2ロボット22、第3ロボット23が存在すると判定する(肯定判定する)。また、端末40は、最初に第2ロボット22において異常が検出された場合、第2ロボット22よりも作業順序が遅い第3ロボット23が存在すると判定する(肯定判定する)。一方、端末40は、最初に第3ロボット23において異常が検出された場合、第3ロボット23よりも作業順序が遅いロボットは存在しないと判定する(否定判定する)。
下流側にロボットが存在しない場合(否定の場合)には、ステップS28に移行する。一方、下流側にロボットが存在する場合(肯定の場合)には、ステップS24に移行する。
ステップS24において、端末40は、異常が検出されたロボット21〜23から下流側のロボット21〜23までの間におけるワークWの搬送時間に基づいて、当該下流側のロボット21〜23から検出される異常を有効なもの(関連する異常原因によるもの)とする有効期間を設定する。すなわち、下流側のロボット21〜23から異常が検出されたとしても、当該異常原因が上流側のロボット21〜23と関連しているとは限らない。例えば、上流側においてワークWの設置位置ずれが発生した場合、ワークWの搬送時間よりもはるかに長い時間経過後に異常が検出されたとしても、異常原因が関連している可能性は低い。そこで、下流側のロボット21〜23から検出される異常を上流側と関連する異常であるものとする有効期間を設定することとしている。なお、有効期間は、上流側のロボット21〜23(最初に異常が検出されたロボット21〜23)において生じた異常原因と同じ又は関連する原因により発生した異常であると判定可能な期間ともいえる。
具体的には、端末40は、取得した検出時刻からワークWの搬送時間を経過した時刻(到達予想時刻)を算出し、算出した到達予想時刻から所定時間経過するまでの間において有効期間を設定する。搬送時間は、例えば、各ロボット21〜23の設置位置から、ルートにおける上流側のロボット21〜23から下流側のロボット21〜23までの距離を算出し、算出した距離は、ベルトコンベヤ10によるワークWの搬送速度により除算することにより算出される。また、所定時間は、下流側のロボット21〜23における動作期間に応じた時間としてもよいし、当該下流側のロボット21〜23からさらに下流のロボット21〜23にワークWが搬送されるまでの搬送時間に応じた時間としてもよい。
また、下流側のロボット21〜23が複数存在する場合、各ロボット21〜23についてそれぞれ有効期間を設定する。例えば、第1ロボット21において異常が最初に検出された場合、端末40は、第2ロボット22までの搬送時間に基づき、第2ロボット22から検出される異常を有効なものとする有効期間を設定する。また、第1ロボット21において異常が最初に検出された場合、第2ロボット22に対する有効期間とは別に、端末40は、第3ロボット23までの搬送時間に基づき、第3ロボット23から検出される異常を有効なものとする有効期間を設定する。
ステップS25において、端末40は、ステップS24において設定された有効期間内に、下流のロボット21〜23から異常が検出されたか否かを判定する。なお、下流側のロボット21〜23が複数存在する場合、それぞれ設定された有効期間内において、下流のロボット21〜23から異常が検出されたか否かを判定する。
例えば、第1ロボット21において異常が最初に検出された場合、端末40は、第2ロボット22から検出される異常を有効なものとする有効期間内において、第2ロボット22から異常が検出されたか否かを判定する。つまり、端末40は、第2ロボット22の異常が検出された検出時刻が、第2ロボット22に対する有効期間内であるか否かを判定する。同様に、第1ロボット21において異常が最初に検出された場合、端末40は、第3ロボット23から検出される異常を有効なものとする有効期間内において、第3ロボット23から異常が検出されたか否かを判定する。
有効期間(複数の有効期間が存在する場合にはすべての有効期間)が経過しても、他のロボット21〜23から異常が検出されなかった場合、ステップS25の判定を否定し、ステップS28に移行する。一方、有効期間内に、下流のロボット21〜23から異常が検出された場合、ステップS25の判定を肯定し、ステップS26に移行する。以上のステップS23〜S25を実行することにより、端末40は、異常判定部45としての機能を備えていることとなる。
ステップS26において、端末40は、ロボット21〜23以外の要因による異常と特定し、その旨を記憶部36に記憶する。そして、ステップS27で、端末40は、異常が検出されたロボット21〜23の生産システム100における配置、及び異常が検出されたタイミングに基づき、異常発生場所を予測する。具体的には、最初に異常が検出されたロボット21〜23の設置場所と、当該ロボットで異常が検出された検出時刻に基づき、異常発生場所を予測する。
例えば、第1ロボット21において最初に異常が検出された場合、第1ロボット21における異常の検出時刻において、第1ロボット21の設置場所付近が異常発生場所であると予測する。これにより、検出時刻において、第1ロボット21の前を通過するワークWの設置位置、又は第1ロボット21前のベルトコンベヤ10において異常発生の可能性があることを予測することができる。
また、ステップS27において、端末40は、最初に異常が検出されたタイミング(検出時刻)におけるロボット21〜23の姿勢(関節の回転位置情報)に基づき、異常発生原因を予測する。例えば、ワークWをつかむにもかかわらず、ワークWをつかむような姿勢でなかった場合、ワークWの設置位置ずれが生じていたと予測する。
ステップS27を実行することにより、端末40は、異常発生場所を予測する場所予測部46としての機能を備えることとなる。また、ステップS27を実行することにより、端末40は、異常発生原因を予測する原因予測部47としての機能を備えることとなる。ステップS27を実行すると、ステップS30に移行する。
ステップS28において、端末40は、ロボット自体の要因による異常と特定する。そして、ステップS29において、端末40は、異常が検出されたロボット21〜23の動作プログラムに基づき、異常が検出されたタイミング(検出時刻)においてロボット21〜23に指示した命令を特定する。そして、端末40は、ロボット21〜23を構成する機械的要素のうち、特定した前記命令に関係する機械的要素に異常が生じたことを推定する。
例えば、検出時刻においてワークWをつかむ命令がなされていた場合、ワークWをつかむ動作に関連する機械的要素に異常が生じたことを推定する。同様に、検出時刻においてアームを移動させる命令がなされていた場合、当該アームを移動させる動作に関連する機械的要素に異常が生じたことを推定する。ステップS29を実行することにより、端末40は、異常が生じた機械的要素を推定する推定部48としての機能を備えることとなる。ステップS29を実行すると、ステップS30に移行する。
ステップS30では、特定結果についての報知を端末40の表示部42に実行させる。なお、報知は必ずしも表示部42を用いて行う必要はない。例えば、端末40に音声を出力するスピーカ等の音声出力部を設け、その音声出力部から出力される音声により報知を行ってもよい。また、端末40に光を発する発光部を設け、その発光部からの光によって報知を行ってもよい。
具体的には、ロボット21〜23自体に異常があるのか、それとも、ロボット21〜23以外の要因による異常が発生しているかについて報知される。また、ロボット21〜23自体に異常があると特定された場合、ステップS29において特定された異常が生じていると推定される機械的要素が報知される。また、ロボット21〜23以外の要因による異常が発生していると特定される場合、ステップS27において、予測された異常発生場所や異常発生原因が報知される。
ステップS30を実行すると、異常特定処理を終了する。前述したように、異常特定処理のステップS28において、端末40は、異常が検出されたロボット自体の異常であると特定する一方、ステップS26において、異常が検出されたロボット以外の要因による異常であると特定する。このため、本実施形態の端末40は、異常特定部49としての機能を備えていることとなる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
・ロボット21〜23以外の要因による異常が発生した場合、1体のロボット21〜23だけでなく、生産システム100を構成する複数台のロボット21〜23から異常を検出すると考えられる。そこで、上記構成では、端末40により複数台のロボット21〜23のうち、いずれかのロボット21〜23において異常が検出された場合、端末40は、生産システム100における他のロボット21〜23においても異常が検出されたか否かを判定する。また、他のロボット21〜23において異常が検出されなかった場合、端末40は、異常が検出されたロボット21〜23自体の異常であると特定する。その一方、端末40は、他のロボット21〜23においても異常が検出された場合には、異常が検出されたロボット21〜23以外の要因による異常であると特定する。これにより、端末40は、ロボット21〜23において異常が検出された場合、その異常の原因が、ロボット21〜23自体の異常であるか、それともロボット21〜23以外の要因による異常であるかを適切に特定することができる。
・ワークWは、ベルトコンベヤ10によって予め定められたルートに従って上流から下流へと搬送され、ロボット21〜23は、ルートの予め決められた地点において作業を実施する。このため、ロボット21〜23以外の要因による異常が発生していた場合、最初に異常が検出されたロボット21〜23よりも、下流側のロボット21〜23においても異常が検出されることが想定される。そこで、端末40は、いずれかのロボット21〜23に異常が検出された場合、前記ルートにおいて、異常が検出されたロボット21〜23よりも、下流側のロボット21〜23において異常が検出されるか否かを判定することとした。これにより、適切に異常原因を特定することができる。
・ワークWなどに異常が生じている場合、異常が検出されたロボット21〜23から、その下流側のロボット21〜23までの間におけるワークWの搬送時間経過後に、当該下流側のロボット21〜23から異常が検出されると考えられる。その一方で、当該搬送時間経過前においては、ワークWなどに異常が生じている場合であっても、下流側のロボット21〜23から異常が検出されない可能性が高い。また、当該搬送時間経過前において下流側のロボット21〜23から異常が検出された場合、異常の原因が異なる可能性が高い。そこで、端末40は、搬送時間に基づいて有効期間を設定し、当該有効期間において、下流側のロボット21〜23から異常が検出されるか否かを判定することとした。これにより、より適切に異常原因を特定することができる。
・端末40は、所定の教示期間において取得された各ロボット21〜23の基準稼働状態と、作業時に取得された各ロボット21〜23の稼働状態との比較に基づき、各ロボット21〜23の異常を検出する。これにより、ロボット21〜23自体に異常が生じた場合と、ロボット21〜23以外の要因で異常が生じた場合のいずれであっても、異常を検出することができる。また、ワークWに対してロボット21〜23が行う作業がロボット21〜23ごとに異なっていた場合であっても、ロボット21〜23における異常をそれぞれ検出できる。
・端末40は、異常が検出されたロボット21〜23の動作プログラムに基づき、異常が検出されたタイミング(検出時刻)においてロボット21〜23に指示した命令を特定する。そして、端末40は、ロボット21〜23を構成する機械的要素のうち、特定した命令に関係する機械的要素に異常が生じたことを推定する。これにより、異常が生じた可能性の高いロボット21〜23の機械的要素を推定することができる。このため、より迅速に異常原因を特定することが可能となる。
・端末40は、異常が検出されたロボット21〜23の生産システム100内における配置、及び異常が検出されたタイミングに基づき、異常発生場所を予測する。これにより、異常が発生したワークW又はベルトコンベヤ10の箇所など、異常発生場所を迅速に予測することができる。また、端末40は、異常が検出されたタイミングにおけるロボット21〜23の姿勢に基づき、異常発生原因を予測する。これにより、異常の発生原因を迅速に予測することができる。
異常診断システム200は、ワークWがベルトコンベヤ10によって搬送されている間に、当該ワークWに対してそれぞれ作業を実施する複数台のロボット21〜23と、端末40と、を備えた。この異常診断システム200により、ロボット21〜23において異常が検出された場合、その異常の原因が、ロボット21〜23自体の異常であるか、それともロボット21〜23以外の要因による異常であるかを適切に特定することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
上記実施形態において、稼働状態を電流値の波形により特定したが、これ以外の方法で特定してもよい。例えば、モータ25は、位置検出部37(エンコーダ)により検出される関節の回転位置に基づいて、フィードバック制御(速度フィードバック制御)が実施される。そこで、その速度フィードバックを行う際の目標速度に基づきモータ25の目標トルクを算出し、その算出した目標トルクによる遷移波形に基づき上記の稼働状態を検出(取得)するようにしてもよい。
さらに、関節に振動を検出する振動センサを設け、その振動センサにより関節を回転駆動する際に、発生する振動の波形を上記の稼働状態として検出するようにしてもよい。
上記実施形態では、6つの関節を有する6軸ロボットに本発明を適用したが、5軸ロボットや4軸ロボット等、その他の多関節型ロボットに本発明を適用してもよい。また、関節を1つだけ有する1軸ロボットに本発明を適用してもよい。
上記実施形態において、端末40が備えている機能の一部又は全部をロボット21〜23に備えてもよい。この場合、各ロボット21〜23間において通信可能に接続されることが必要となる。
上記実施形態において、生産システム100を構成するロボット21〜23の数及び配置を任意に変更してもよい。
上記実施形態のステップS22において、取得した稼働状態と基準稼働状態とを比較する際、比率を算出したが、比較方法を任意に変更してもよい。例えば、差分を算出してもよい。
上記実施形態の生産システム100において、複数台のロボット21〜23がワークWに対して作業を行うならば、作業内容を変更してもよい。すなわち、ワークWを組み立てる作業だけでなく、他の作業が含まれていてもよい。例えば、ワークWの検査や選別を行う作業が含まれていてもよい。また、ワークWの場所を移動させる作業が含まれていてもよい。ワークWを分解する作業が含まれていてもよい。ワークWに対する折り曲げ、溶接、ねじ止めなどの作業が含まれていてもよい。
上記実施形態では、ベルトコンベヤ10によるワークWの搬送時間に基づいて設定された有効期間内に、異常が検出されたか否かを判定したが、このような判定をしなくてもよい。例えば、異常が検出された後に、所定時間内に、他のロボット21〜23から異常が検出したか否かを判定してもよい。また、異常が検出された後に、異常が検出されたロボット21〜23よりも下流側における他のロボット21〜23から異常が検出したか否かを判定してもよい。
上記実施形態において、下流側のロボット21〜23においても異常が検出されたか否かを判定したが、下流側のロボット21〜23に限らず、上流側のロボット21〜23においても異常が検出されたか否かを判定してもよい。
上記実施形態において、到達予想時刻から所定時間が経過するまでの間に有効期間を設定していたが、到達予想時刻を基準として、有効期間を設定してもよい。例えば、到達予想時刻を中心とした前後の期間において、有効期間を設定してもよい。
上記実施形態において、端末40は、ロボット21〜23自体の要因による異常であると判定した場合に、最初に異常が検出されたタイミング(検出時刻)におけるロボット21〜23の姿勢に基づき、異常発生原因を予測してもよい。
上記実施形態において、ステップS27を省略して、異常発生場所又は異常発生原因を予測しなくてもよい。また、ステップS29を省略して、異常が生じた可能性がある機械的要素を推定しなくてもよい。
10…ベルトコンベヤ、21…第1ロボット、22…第2ロボット、23…第3ロボット、40…端末、44…異常検出部、45…異常判定部、49…異常特定部、100…生産システム、200…異常診断システム。
Claims (8)
- ワークが搬送設備によって搬送されている間に、当該ワークに対して複数台のロボットに作業を実施させる生産システムに用いられる異常診断装置において、
前記ロボットにおける異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部により複数台の前記ロボットのうちいずれかのロボットにおいて異常が検出された場合、前記生産システムにおける他のロボットにおいても異常が検出されたか否かを判定する異常判定部と、
前記他のロボットにおいて異常が検出されなかった場合には、異常が検出されたロボット自体の異常であると特定する一方、前記他のロボットにおいても異常が検出された場合には、異常が検出されたロボット以外の要因による異常であると特定する異常特定部と、を備えた異常診断装置。 - 前記ワークは、前記搬送設備によって予め定められたルートに従って上流から下流へと搬送されるように構成されており、
前記ロボットは、前記ルートの予め決められた地点において作業を実施するように構成されており、
前記異常判定部は、前記異常検出部により異常が検出された場合、前記ルートにおいて、前記異常が検出された前記ロボットよりも下流側の前記ロボットにおいて異常が検出されるか否かを判定する請求項1に記載の異常診断装置。 - 前記異常判定部は、前記異常が検出された前記ロボットから前記ルートにおいて下流側の前記ロボットまでの間における前記ワークの搬送時間に基づいて、当該下流側の前記ロボットから検出される異常を前記異常判定部で利用可能とする有効期間を設定し、当該有効期間において、前記下流側の前記ロボットから異常が検出されるか否かを判定する請求項2に記載の異常診断装置。
- 前記ロボットの稼働状態を取得する状態取得部が備えられており、
前記異常検出部は、所定の教示期間において取得された各ロボットの基準稼働状態と、作業時に取得された各ロボットの稼働状態との比較に基づき、各ロボットの異常を検出する請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の異常診断装置。 - 前記ロボットは、当該ロボットに作業を実施させるための命令及びその順序を示す動作プログラムに基づき、前記ワークに対して作業を行うものであり、
前記異常特定部によって、前記ロボット自体の異常であると特定された場合、異常が検出された前記ロボットの動作プログラムに基づき、異常が検出されたタイミングにおいて前記ロボットに指示した命令を特定し、前記ロボットを構成する機械的要素のうち、特定した前記命令に関係する機械的要素に異常が生じたことを推定する推定部を備えた請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の異常診断装置。 - 異常が検出された前記ロボットの前記生産システムにおける配置及び異常が検出されたタイミングに基づき、異常発生場所を予測する場所予測部を備えた請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の異常診断装置。
- 異常が検出されたタイミングにおける前記ロボットの姿勢に基づき、異常発生原因を予測する原因予測部を備えた請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の異常診断装置。
- ワークが搬送設備によって搬送されている間に、当該ワークに対してそれぞれ作業を実施する複数台のロボットと、
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載された異常診断装置と、を備えた異常診断システム。
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- 2017-09-27 JP JP2017187119A patent/JP2019058999A/ja active Pending
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