JP2019056071A - 吸水性を有する複合材料及びその利用 - Google Patents

吸水性を有する複合材料及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス由来原料であるカルボキシメチル化澱粉を用いて吸水性能に優れた材料を提供する。
【解決手段】カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる吸水性を有する複合材料である。また、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、ホモジナイズ処理して、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに前記層状ケイ酸塩を分散させる工程を含む、複合材料の製造方法である。前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスは、架橋処理を施されてなるものであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙オムツ等の吸水機能製品の構成材として好適な、カルボキシメチル化澱粉に由来する複合材料に関する。
紙オムツ、生理用品、軽失禁パッド、創傷被覆材、食品鮮度保持材など様々な吸水機能製品が知られており、一般にそのような吸水機能製品の構成材としては、短時間で大量の液体(水、尿、体液、血液等)を吸収することができるポリマー材が利用されている。高吸水性のポリマー材としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフトポリマーの加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、カチオン性モノマー(アクリルアミド、エチレンイミン等)の架橋ポリマー等を主原料にするものが挙げられる。これらは、アクリル酸又はアクリルアミドをベースとする合成ポリマーもしくはコポリマーであり、再生不可能な石油由来材料をベースとしており、生分解性がないか又は不十分な素材である。
近年の環境負荷低減の要請からは、バイオマス由来の原料による吸水材の開発が求められている。このような課題に対しては、例えば、特許文献1には、バイオマス由来の原料による吸水材として、カルボキシメチルセルロース(CMC)をベースとした吸水材が記載されている。しかしながら、カルボキシメチルセルロース(CMC)を吸水材となすには、架橋剤との反応によるマトリックス形成が必要であり、所定の吸水性能にコントロールするのが難しく、また、概して吸水性能に乏しいものしか得られないという問題があった。
一方、カルボキシメチル化澱粉は、澱粉中の水酸基が、上記カルボキシメチルセルロース(CMC)と同様のカルボキシメチル基に置換された加工デンプンであり、安価で入手が容易なアニオン系バイオマス由来高分子である。澱粉が元来有するマトリックス構造を備えているので、それによる一定の吸水性能が期待できる。
このカルボキシメチル化澱粉をベースとした吸水材も開発されており、例えば、特許文献2には、酸性ガスで透過したカルボキシアルキルデンプンを含む粒子であって、分子内エステル結合が少なくとも前記粒子の表面にあることで特徴づけられる粒子が記載されている。そして当該粒子を吸水材として利用することが記載されている。
更に、他方で、特許文献3には、澱粉等の多糖類ネットワーク内部に層状珪酸塩を分散させてなるナノコンポジット材料が記載され、多糖類による吸水性に層状珪酸塩が相乗的に寄与することが記載されている。
特開2008−280429号公報 特表2012−518711号公報 特表2007−533780号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、カルボキシメチル化澱粉を酸性ガスで処理するために特殊な装置を必要とした。また、特許文献3では、カルボキシメチル化澱粉は、あくまでも一般的に共吸収材として使用可能なものの一例として記載されているにすぎなかった。
上記従来技術に鑑み、本発明の目的は、バイオマス由来原料であるカルボキシメチル化澱粉を用いて吸水性能に優れた材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、カルボキシメチル化澱粉に層状ケイ酸塩を分散させることで吸水性能に優れた複合材料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる、吸水性を有する複合材料を提供するものである。
本発明による複合材料は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなるので、吸水性能に優れている。
本発明による複合材料においては、前記カルボキシメチル化澱粉は、カルボキシメチル基置換度が0.1〜1.0のものであることが好ましい。カルボキシメチル基置換度が上記範囲であれば、更に吸水性能に優れている。
また、本発明による複合材料においては、前記層状ケイ酸塩は、下記の条件(A)において水中に分散するのに要する時間が900秒以内のものであることが好ましい。層状ケイ酸塩の水への分散性が上記範囲であれば、更に吸水性能に優れている。
条件(A):200mL容ビーカーに25℃の水100mLを入れて、更に撹拌子(幅5mm×高さ5mm×全長45mm)を入れ、これを300rpmで撹拌させて、層状ケイ酸塩5.0gを添加する。
また、本発明による複合材料においては、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスは、架橋処理を施されてなるものであることが好ましい。これによれば、架橋処理によりゲル強度を高めることができるので、更に実用性に優れている。
また、本発明による複合材料においては、前記層状ケイ酸塩は、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスにマイクロスケール凝集物の形状で分散していることが好ましい。これによれば、層状ケイ酸塩の層状構造が剥離してカルボキシメチル化澱粉のマトリックスにナノスケールで分散している場合に比べ、より吸水性能に優れている。
また、本発明による複合材料においては、前記カルボキシメチル化澱粉の100質量部に対し1〜30質量部の割合で前記層状ケイ酸塩が分散してなることが好ましい。カルボキシメチル化澱粉に対する層状ケイ酸塩を添加量が上記範囲であれば、更に吸水性能に優れている。
一方、本発明の第2は、上記の複合材料を吸水機能性の有効成分として含む吸水用組成物を提供するものである。
本発明による吸水用組成物は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を吸水機能性の有効成分として含むので、吸水等の機能性に優れている。
また、本発明の第3は、上記の複合材料を構成材として含む吸水機能製品を提供するものである。
本発明による吸水機能製品は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を構成材として含むので、吸水等の機能性に優れている。
本発明の第4は、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、ホモジナイズ処理して、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに前記層状ケイ酸塩を分散させる工程を含む、吸水性を有する複合材料の製造方法を提供するものである。
本発明による複合材料の製造方法は、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、ホモジナイズ処理して、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに前記層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を得る工程を含むので、吸水性能に優れた複合材料を得ることができる。また、複合材料の調製時に脱水工程を含む場合でも、層状ケイ酸塩により、脱水後の粉末化がし易い。
本発明による複合材料の製造方法においては、前記カルボキシメチル化澱粉と、前記層状ケイ酸塩とに、更に架橋剤を混合し、架橋処理することが好ましい。これによれば、架橋処理によりゲル強度を高めることができ、更に実用性に優れた複合材料を得ることができる。
また、本発明による複合材料の製造方法においては、前記ホモジナイズ処理を、前記層状ケイ酸塩が、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスにマイクロスケール凝集物の形状で分散する程度に行うことが好ましい。これによれば、層状ケイ酸塩の層状構造が剥離してカルボキシメチル化澱粉のマトリックスにナノスケールで分散している場合に比べ、より吸水性能に優れた複合材料を得ることができる。
また、本発明による複合材料の製造方法においては、前記カルボキシメチル化澱粉の100質量部に対し1〜30質量部の割合で前記層状ケイ酸塩を添加することが好ましい。カルボキシメチル化澱粉に対する層状ケイ酸塩を添加量が上記範囲であれば、更に吸水性能に優れた複合材料を得ることができる。
また、本発明による複合材料の製造方法においては、前記カルボキシメチル化澱粉は、カルボキシメチル基置換度が0.1〜1.0のものであることが好ましい。カルボキシメチル基置換度が上記範囲であれば、更に吸水性能に優れた複合材料を得ることができる。
また、本発明による複合材料の製造方法においては、前記層状ケイ酸塩は、下記の条件(A)において水中に分散するのに要する時間が900秒以内のものであることが好ましい。層状ケイ酸塩の水への分散性が上記範囲であれば、更に吸水性能に優れた複合材料を得ることができる。
条件(A):200mL容ビーカーに25℃の水100mLを入れて、更に撹拌子(幅5mm×高さ5mm×全長45mm)を入れ、これを300rpmで撹拌させて、層状ケイ酸塩5.0gを添加する。
一方、本発明の第5は、上記の製造方法で得られた複合材料を吸水機能性の有効成分として含有せしめる、吸水用組成物の製造方法を提供するものである。
本発明による吸水用組成物の製造方法は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を吸水機能性の有効成分として含有せしめるので、吸水等の機能性に優れた吸水用組成物を得ることができる。
また、本発明の第6は、上記の製造方法で得られた複合材料を構成材として用いる吸水機能製品の製造方法を提供するものである。
本発明による吸水機能製品の製造方法は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を構成材として用いるので、吸水等の機能性に優れた吸水機能製品を得ることができる。
本発明による複合材料は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなるので、吸水性能に優れている。
本発明による複合材料の製造方法は、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、ホモジナイズ処理して、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに前記層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を得る工程を含むので、吸水性能に優れた複合材料を得ることができる。また、複合材料の調製時に脱水工程を含む場合でも、層状ケイ酸塩により、脱水後の粉末化がし易い。
図1は、吸水材5の電子顕微鏡写真である。 図2は、吸水材19の電子顕微鏡写真である。 図3は、吸水材7の電子顕微鏡写真である。 図4は、吸水材20の電子顕微鏡写真である。 図5は、層状ケイ酸塩の電子顕微鏡写真である。 図6は、吸水材1の電子顕微鏡写真である。
本発明に用いられるカルボキシメチル化澱粉は、澱粉中の水酸基がカルボキシメチル基に置換された加工デンプンである。澱粉に配位している金属又は塩に特に制限はなく、ナトリウム、カルシウム、カリウム等が配位したものを用いることができるが、入手し易さなどの点からは、ナトリウムが配位したもの(デンプングリコール酸ナトリウム)を用いることが好ましい。
本発明に用いられるカルボキシメチル化澱粉は、市販のものを用いてもよいが、従来公知の方法で原資澱粉をカルボキシメチル化することなどにより得ることができる。例えば、アルカリ性条件下の澱粉懸濁液にモノクロロ酢酸ナトリウムを添加するなどが挙げられる。より具体的には、例えば、塩酸等の酸剤、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を加えpH9〜13程度に調整した澱粉懸濁液に、澱粉の乾燥質量100質量部に対し0.1〜50質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加し、10〜60℃で1〜48時間保持撹拌することでカルボキシメチル化することができる。その原資となる澱粉の由来としては、特に制限はなく、一般的に用いられる澱粉であればよい。例えば、コーンスターチ、タピオカ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、片栗澱粉、葛澱粉、蕨澱粉、サゴ澱粉、エンドウ豆澱粉、オオウバユリ澱粉等が挙げられる。このなかでも特にタピオカ、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉が安価で大量に入手しやすいので好ましい。また、いずれの澱粉においても通常の澱粉に加え、ウルチ種、ワキシー種、ハイアミロース種のように、育種学的手法もしくは遺伝子工学的手法において改良されたものを用いてもよい。
本発明に用いられるカルボキシメチル化澱粉は、カルボキシメチル基が導入された澱粉であれば特に制限はないが、後述の実施例の通りその性能を考慮すると、カルボキシメチル基の置換度が0.1〜1.0であることが好ましく、0.1〜0.6であることがより好ましい。カルボキシメチル基置換度が上記範囲未満であると、所望の吸水性能が得られない傾向があり、上記範囲を超えると、吸水性能に優れたものが得難くなり、また、複合材料の調製時に脱水工程を含む場合、脱水後の粉末化し難い傾向がある。なお、このカルボキシメチル基の置換度は、澱粉のグルコース1残基に対するカルボキシメチル基の置換度を意味しており、以下の手法で測定することができる。
<置換度>
試料の乾燥重量を精秤して、これをa(単位:g)として記録した後、濾紙に包んで磁製ルツボの中に入れて、600℃で灰化する。冷却した後、500mLビーカーに移し、水を250mL及び0.05N硫酸をb(単位:mL)加えて30分間煮沸する。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、0.1N水酸化ナトリウムにより滴定し、その滴定量をc(単位:mL)とする。置換度は、以下の式を用いて算出することができる。なお、以下の式中、fは0.05N硫酸の力価を示し、f´は0.1N水酸化ナトリウムの力価を示す。また、Bは、試料のアルカリ度または酸度を示し、後段に記載のように測定することができる。
A=(bf−cf´)/a−B
置換度=(162×A)÷(10000−80×A)
<アルカリ度または酸度>
試料を300mLガラスビーカーに入れて精秤して、その乾燥重量をd(単位:g)として記録した後、200mLの蒸留水を加えて溶解する。これに0.05N硫酸5mLを加え、10分間煮沸した後、冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1N水酸化ナトリウムで滴定し、その滴定量をe(単位:mL)とする。別途、試料を添加せず、空試験を実施し、その結果の滴定量をg(単位:mL)とする。アルカリ度または酸度は、次の式によって算出することができる。なお、以下の式中、fは0.05N硫酸の力価を示し、f´は0.1N水酸化ナトリウムの力価を示す。
B=(gf−ef´)/d
本発明に用いられる層状ケイ酸塩とは、ケイ酸塩を組成に含む粘土鉱物であり、顕微観察において、厚み1nm程度、幅及び長さが1〜500nm程度の薄片が層状に積層した形状を呈する粘土鉱物である。例えば、モンモリロナイト、スメクタイト、ベントナイト、サポナイト、ノントロナイト、ラポナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソウコナイト、ステベンザイト、バーミキュライト、ボルコンスコイト、マガダイト、メドモンタイト、ケニヤイト等が挙げられる。その組成は、原料によって多様であり、これら2種以上の組成が混成してなるものなども用いられ得る。
本発明に用いられる層状ケイ酸塩は、上記の性質を有する層状ケイ酸塩であれば特に制限はないが、後述の実施例の通りその性能を考慮すると、一定程度の親水性を有していることが好ましい。すなわち、例えば、下記条件(A)において測定される水への分散時間が900秒以内であるものを用いることがより好ましい。水への分散時間が上記範囲を超えると、吸水性能に優れたものが得難くなり、また、複合材料の調製時に脱水工程を含む場合、脱水後の粉末化し難い傾向がある。
条件(A):200mL容ビーカーに25℃の水100mLを入れて、更に撹拌子(幅5mm×高さ5mm×全長45mm)を入れ、これを300rpmで撹拌させて、層状ケイ酸塩5.0gを添加する。
なお、上記測定においては、水表面に層状ケイ酸塩の浮遊が無い状態もって水へ分散したと判断する。
また、本発明に用いられる層状ケイ酸塩の親水性の性質は、上記粘土鉱物等の原料を所定の処理剤で処理することで調整することもできる。例えば、無水マレイン酸等の有機酸を用いることで、表面を親水性に調整することができ、その処理後の層状ケイ酸塩の親水性を高めることができる。あるいは、場合によっては、オクタデシルアンモニウム等の長鎖アルキルアミンを用いることで、表面を疎水性に調整することもできる。
本発明は、上記で説明したカルボキシメチル化澱粉のマトリックスに、上記で説明した層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料を提供するものである。そして、そのような構成の複合材は、吸水性能に優れているので、吸水機能製品の構成材等として好適に用いられ得るというものである。
カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩の配合割合に特に制限はないが、カルボキシメチル化澱粉の100質量部に対し1〜30質量部の割合で層状ケイ酸塩が分散してなることが好ましく、5〜20質量部の割合で層状ケイ酸塩が分散してなることがより好ましい。カルボキシメチル化澱粉に対する層状ケイ酸塩を添加量が上記範囲未満であると、層状ケイ酸塩を分散したことによる効果が得難い傾向となり、上記範囲を超えると、層状ケイ酸塩がカルボキシメチル化澱粉のマトリックスに分散し難くなる傾向となる。なお、カルボキシメチル化澱粉は、2種以上ものを併用してもよく、層状ケイ酸塩も、2種以上ものを併用し得る。その場合、上記配合割合は、2種以上の合計量で算出した値である。
本発明による複合材料においては、層状ケイ酸塩は、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスにマイクロスケール凝集物の形状で分散していることが好ましい。これによれば、後述の実施例に示されるように、層状ケイ酸塩の層状構造が剥離してカルボキシメチル化澱粉のマトリックスにナノスケールで分散している場合に比べ、より吸水性能に優れている。なお、「カルボキシメチル化澱粉のマトリックスにマイクロスケール凝集物の形状で分散している」とは、層状ケイ酸塩の層状構造が保たれてマイクロスケールの大きさでカルボキシメチル化澱粉のマトリックス中に分散していることを意味する。後述の実施例で示されるように、ホモジナイズ処理の程度が強すぎると、剪断応力(シア応力)により層状ケイ酸塩の層状構造が剥離してしまい、より微細なナノスケールで分散するので、吸水性が低下してしまう。層状ケイ酸塩がマイクロスケールで分散しているか否かは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)等による顕微的観察で確認することができる。
また、本発明による複合材料においては、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスは、架橋処理を施されてなるものであることが好ましい。これによれば、後述の実施例に示されるように、架橋処理によりゲル強度を高めることができ、吸水機能製品の構成材としての実用的な条件下でもゲルが潰れ難く、吸収した水分を再放出し難いというメリットが得られる。カルボキシメチル化澱粉の架橋処理の方法は特に制限はなく、澱粉の架橋処理に用いられる通常の手法で処理することができる。
架橋剤としては、澱粉のアミロース骨格どうしを架橋できる能力のある架橋剤であればよく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、1,4−ブタンジオル、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリアミドポリアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物;ケイ酸、リン酸、縮合リン酸等の無機酸;クエン酸、こはく酸、無水マレイン酸、無水こはく酸等の有機酸;グリオキサール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド、オキシ塩化リン等の酸塩化物などの架橋剤が挙げられる。
以下、本発明による複合材料の製造方法について、更に詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明による複合材料の範囲を、特定の調製方法によるものに限定する趣旨ではない。
本発明による複合材料は、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、ホモジナイズ処理して、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩を分散させることにより得ることができる。
本発明による複合材料の製造方法において、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合する方法に特に制限はない。湿式に混合を行ってもよく、乾式に混合を行ってもよい。湿式には、例えば、カルボキシメチル化澱粉の糊液を調製し、これに層状ケイ酸塩を添加し、混合するのが好ましい。カルボキシメチル化澱粉の糊液は、カルボキシメチル化澱粉を水に添加し、その全体の質量に対するカルボキシメチル化澱粉の乾燥重量換算の濃度として、典型的には1〜95質量%、より典型的には10〜40質量%となるよう、混合することにより得ることができる。このとき、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩とは、同時に、もしくはほぼ一緒に水に添加し、混合するようにしてもよい。カルボキシメチル化澱粉の糊液は、水酸化ナトリウム等のpH調整剤(アルカリ剤)の添加により、pH9以上に調整することが好ましく、pH10以上に調整することがより好ましい。pHが10以上であることにより、層状ケイ酸塩をカルボキシメチル化澱粉のマトリックスに分散させ易くなる。また、乾式には、例えば、カルボキシメチル化澱粉及び層状ケイ酸塩に、必要に応じて水酸化ナトリウム等のpH調整剤(アルカリ剤)を添加し、押出機等を用いて混合することができる。その場合、得られる澱粉混練物の全体の質量に対するカルボキシメチル化澱粉の乾燥重量換算の濃度として、典型的に1〜99質量%、より典型的には5〜97質量%となるよう混合することが好ましい。また、得られる澱粉混練物の全体の質量に対する層状ケイ酸塩の乾燥重量換算の濃度として、典型的に0.01〜29.7質量%、より典型的には0.05〜29.1質量%となるよう混合することが好ましい。得られる澱粉混練物のpHは、pH9以上に調整することが好ましく、pH10以上に調整することがより好ましい。このような乾式反応を用いた場合、カルボキシメチル化澱粉を糊化させる工程、層状ケイ酸塩を分散させる工程及びアルカリ剤を添加する工程を同時に実施することができるため、工業生産効率の点で優れる。すなわち、この場合、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩の混合とともに、後述のホモジナイズ処理をも、一工程で行うことができる。
カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩の混合割合に特に制限はないが、カルボキシメチル化澱粉の100質量部に対し1〜30質量部の割合で層状ケイ酸塩を添加することが好ましく、5〜20質量部の割合で層状ケイ酸塩を添加することがより好ましい。上述したように、得られる複合材料において、カルボキシメチル化澱粉に対する層状ケイ酸塩を添加量が上記範囲未満であると、層状ケイ酸塩を分散したことによる効果が得難い傾向となり、上記範囲を超えると、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに分散し難くい傾向となる。なお、カルボキシメチル化澱粉は、2種以上ものを併用してもよく、層状ケイ酸塩も、2種以上ものを併用し得る。その場合、上記配合割合は、2種以上の合計量で算出した値である。
本発明による複合材料の製造方法において、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、これをホモジナイズ処理する方法に特に制限はない。例えば、攪拌式、超音波式、圧力式等、加工デンプンの調製等に通常用いられる均質化手段を利用することが可能である。また、上述したように、押出機等を用いたカルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩との混合によっても、このホモジナイズ処理を成すことができる。ただし、本発明の好ましい態様においては、得られる複合材料において、層状ケイ酸塩が、カルボキシメチル化澱粉のマトリックス中にマイクロスケール凝集物の形状を保った状態で分散していることが好ましい。これによれば、後述の実施例に示されるように、層状ケイ酸塩の層状構造が剥離してカルボキシメチル化澱粉のマトリックスにナノスケールで分散している場合に比べ、より吸水性能に優れている。その場合には、ホモジナイズ処理の程度を調整することにより、層状ケイ酸塩がカルボキシメチル化澱粉のマトリックス中にマイクロスケール凝集物の形状を保った状態で分散した状態にすることができる。
上記の混合及びホモジナイズ処理の際の温度条件に特に制限はないが、カルボキシメチル化澱粉のマトリックス構造にできるだけ変性を及ぼさない観点からは、20〜150℃程度であることか好ましく、25〜130℃程度であることがより好ましく、30〜70℃程度であることか更により好ましい。
本発明の好ましい態様においては、上述したように、得られる複合材料のゲル強度を高める観点から、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスは、架橋処理を施されてなるものであることが好ましい。カルボキシメチル化澱粉の架橋処理の方法は特に制限はなく、澱粉の架橋処理に用いられる通常の手法で処理することができる。カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩と架橋剤の各原料の添加順序等に制限はなく、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩とを接触させる前に架橋剤を添加して、架橋処理を施してもよく、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩とを混合して、ホモジナイズ処理による層状ケイ酸塩の分散処理を行なった後に架橋剤を添加して、架橋処理を施してもよく、架橋処理と層状ケイ酸塩の分散処理とを同時並行的に行うようにしてもよい。ただし、架橋した後にカルボキシメチル化澱粉のマトリックス中で層状ケイ酸塩の分散が起こり難い場合には、カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩とを混合し、ホモジナイズ処理した後に、架橋剤を添加混合して、架橋処理することがより好ましい。また、その混合及びホモジナイズ処理の際の温度条件に特に制限はなく、上述と同様に、カルボキシメチル化澱粉のマトリックス構造にできるだけ変性を及ぼさない観点からは、20〜150℃程度であることか好ましく、25〜130℃程度であることがより好ましく、30〜70℃程度であることが更により好ましい。
架橋剤の添加量は、所望する架橋処理によるゲル強度や架橋剤の種類等に応じて、適宜選択すればよく、特に制限はない。典型的には、例えば、澱粉の乾燥重量に対して0.01〜60質量%程度であり、より典型的には、澱粉の乾燥重量に対して0.1〜50質量%程度である。架橋処理をより効率的に行うために、酸またはアルカリを用いて、最適なpHに調製した後に、反応することができる。
より具体的に、例えば、架橋剤としてオキシ塩化リンを用いるケースを説明すると、カルボキシメチル化澱粉を、水中でのカルボキシメチル化澱粉の乾燥重量換算の濃度が10〜30質量%となるよう、水に添加混合して、カルボキシメチル化澱粉の糊液を得る。このとき、カルボキシメチル化澱粉の糊液は、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤の添加により、pH11〜12の範囲に調整する。架橋剤としてオキシ塩化リンの添加量は、所望するゲル強度等に応じて、適宜選択すればよく、特に制限はないが、典型的に、例えば、澱粉の乾燥重量に対して0.01〜60質量%程度であり、より典型的には、澱粉の乾燥重量に対して0.1〜50質量%程度である。このように調製した架橋処理の混合物を、温度20〜50℃の環境下で、6〜24時間静置する等により、カルボキシメチル化澱粉のヒドロキシル基同士をリン酸架橋した構造の架橋処理がなされる。
一方、例えば、架橋剤としてエピクロロヒドリンを用いるケースを説明すると、カルボキシメチル化澱粉を、水中でのカルボキシメチル化澱粉の乾燥重量換算の濃度が10〜30質量%となるように、水に添加混合して、カルボキシメチル化澱粉の糊液を得る。このとき、カルボキシメチル化澱粉の糊液は、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤の添加により、pH11〜12の範囲に調整する。架橋剤としてエピクロロヒドリンの添加量は、所望するゲル強度等に応じて、適宜選択すればよく、特に制限はないが、典型的に、例えば、澱粉の乾燥重量に対して0.01〜60質量%程度であり、より典型的には、澱粉の乾燥重量に対して0.1〜50質量%程度である。このように調製した架橋処理の混合物を、温度20〜50℃の環境下で、6〜24時間静置する等により、カルボキシメチル化澱粉のヒドロキシル基同士をエピクロロヒドリン架橋した構造の架橋処理がなされる。
本発明の好ましい態様においては、上記ホモジナイズ処理による層状ケイ酸塩の分散処理や、上記架橋剤による架橋処理を終えた後に、適宜、エタノール等の有機溶媒を添加し、それによる沈殿物として、本発明による複合材料を回収してもよい。これによれば、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる複合材料以外の、夾雑物を効率よく取り除くことができる。有機溶媒による沈殿の処理は、例えば、上記ホモジナイズ処理による層状ケイ酸塩の分散処理や、上記架橋剤による架橋処理を終えた後処理混合物の、およそ1〜5倍容量のエタノール等の有機溶媒を添加し、攪拌すること等により行うことができる。このような有機溶媒による洗浄処理は、複数回繰り返してもよい。また、更に、酢酸等の適当なpH調整剤(酸剤)を添加して、pH6〜9程度に調製することが好ましい。これによれば、このような有機溶媒による洗浄処理の際の洗浄効率がより高められる。
本発明の好ましい態様においては、上記ホモジナイズ処理による層状ケイ酸塩の分散処理や、上記架橋剤による架橋処理を終えた後に、適宜、エタノール等の有機溶媒を添加し、それによる沈殿物として、本発明による複合材料を回収し、更に、これを粉体化してもよい。すなわち、塊上の沈殿物を粉砕し、これを真空乾燥機等により乾燥することで粉体化することができる。また、ホモジナイザー等の適当な粉砕手段により、更に粒径を細かくしてもよい。粉体化後の形態としては、水分0〜7%程度であることが好ましく、水分0.5〜5%程度であることがより好ましい。また、粒度が16mesh(JIS規格、目開き寸法1mm)の網目をパスし、60mesh(JIS規格、目開き寸法0.25mm)の網目にオンするものが、全体の質量あたり50質量%以上であることが好ましく、粒度が16meshの網目をパスし、60meshの網目にオンするものが、全体の質量あたり60質量%以上であることがより好ましい。
以上のとおり説明した、本発明による複合材料は、後述の実施例で示されるように吸水性能に優れている。具体的には、例えば、JIS K 7223に準拠した、下記に示す吸水量試験において、吸水倍率が25以上、より好ましくは吸水倍率が26以上、更により好ましくは吸水倍率が27以上の吸水性能を有している。
<吸水量試験>
目開き57μmのナイロン製布で作製した5×10cmの大きさのティーバックに被験材料0.3g程度(サンプル重量:h)を量り取り、封をした後、重量を計測する(浸漬前重量:i)。1,000mLの生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に60分間浸漬した後、垂直に吊り下げて15分間水切りを実施する。水切り後の重量(浸漬後重量:j)を測定し、下記式により、吸水倍率を算出する。
吸水倍率=(j−i)/h
本発明による複合材料は、そのまま単独で用いられてもよく、他の素材と併せて用いられてもよい。他の素材としては、特に制限は無いが、例えば、CMC等のアルキルセルロース誘導体、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフトポリマーの加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、及びカチオン性モノマー(アクリルアミド、エチレンイミン等)の架橋ポリマーなどの他の吸水素材が挙げられる。
本発明による複合材料は、これを単独で、あるいは、上記のような他の素材を併せて、吸水機能性を発揮することを企図した、吸水用組成物として用いられてもよい。この場合、複合材料はその吸水用組成物中に1〜100質量%含有せしめることが好ましく、10〜100質量%含有せしめることがより好ましい。含有量が上記範囲であれば、複合材料の吸収機能性を有効に発揮させることができる。具体的に、そのようにして調製された吸水用組成物の吸収機能性は、例えば、上記に説明したJIS K 7223に準拠した吸水量試験により、評価することができる。
本発明による複合材料は、紙オムツ、生理用品、軽失禁パッド、創傷被覆材、食品鮮度保持材、医療器具用、土木用土質改良剤、人工雪、種子コーティング剤、植物栽培用保水剤など、様々な吸水機能製品の構成材として、好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、単に%と記載した場合は、質量%を意味する。
[試験例1](層状ケイ酸塩の添加量による比較)
500mLガラストールビーカーにカルボキシメチル化澱粉(カルボキシメチル基置換度 0.4)16g(乾燥重量)を量り取り、蒸留水を添加して10%糊液を160g調製した。糊液に10%水酸化ナトリウム水溶液39.5gを加え、ホモジナイザー(日音医理科器械製作所製 ヒスコトロンNS−50S)を用いて20,000rpmにて1分間撹拌した。
層状ケイ酸塩(SIGMA−ALDRICH社)を、表1に示した各割合(澱粉の乾燥重量100質量部に対して添加した層状ケイ酸塩の質量の割合として、無添加、対澱粉1%、3%、5%、10%、20%、30%)で加え、上記と同様のホモジナイズ処理にて1分間撹拌することで、層状ケイ酸塩を分散させた。その後、エピクロロヒドリンを、澱粉の乾燥重量100質量部に対して添加したエピクロロヒドリンの質量の割合として、対澱粉30%加え、更に総量400gとなるまで蒸留水を加えて、上記と同様のホモジナイズ処理にて1分間撹拌したうえ、32℃の水浴中にて24時間静置することで架橋処理を施した。架橋処理後、得られたゲルを2,000mLステンレスビーカーに移し入れ、エタノールを1,600mL加え、白濁するまで撹拌棒にて撹拌し、酢酸を用いてpH7.5程度に調整した。溶液を静置し、デカンテーションした後、沈殿に再度エタノールを800mL加え、ホモジナイザーを用いて、1分程度撹拌して沈殿を粉砕した。粉砕した沈殿を吸引濾過し、得られた沈殿を500mLガラスビーカーに移して、真空乾燥機にて40℃で一晩乾燥した。乾燥後、得られた粉体を篩にかけ、16meshの網目をパスし、60meshの網目にオンするものを採取して、吸水材1〜7を得た。
なお、本試験例に用いた層状ケイ酸塩の水への分散時間を以下に記載した測定試験によって測定したところ、14秒で水中に分散し、水表面に層状ケイ酸塩の浮遊がない状態になった。
<層状ケイ酸塩の分散時間の測定試験>
下記の条件(A)において水中に分散するのに要する時間を測定する。
条件(A):200mL容ビーカーに25℃の水100mLを入れて、更に撹拌子(幅5mm×高さ5mm×全長45mm)を入れ、これを300rpmで撹拌させて、層状ケイ酸塩5.0gを添加する。
得られた吸水材1〜7について、以下に記載した吸水量試験を行った。
<吸水量試験>
JIS K 7223に準拠し、試験を実施した。目開き57μmのナイロン製布で作製した5×10cmの大きさのティーバックに吸水材0.3g程度(サンプル重量:h)を量り取り、封をした後、重量を計測した(浸漬前重量:i)。1,000mLの生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に60分間浸漬した後、垂直に吊り下げて15分間水切りを実施した。水切り後の重量(浸漬後重量:j)を測定し、下記式により、吸水倍率を算出した。
吸水倍率=(j−i)/h
また、得られた吸水材1〜7について、以下に記載した基準で調製時の作業性を評価した。
<作業性評価>
吸水材の調製時の脱水工程におけるハンドリング性を考慮し、各種吸水材調製時の脱水作業の作業性を1〜6点の6段階で評価した。具体的には、架橋処理後のエタノールによる脱水工程において、粉末化し易いほど評価点が高く、餅状になって粉末化し難いほど評価点が低いものとし、その作業性に関して複数のパネラーの評価を集約した。
表1に、吸水量試験及び作業性評価の結果を示す。
表1に示されたとおり、層状ケイ酸塩無添加の吸水材1に比べ、層状ケイ酸塩を分散させた吸水材2〜7は、いずれも吸水性能の点で優れたものであった。特に澱粉の乾燥重量に対し3〜10質量%の層状ケイ酸塩を分散させた吸水材3〜5は顕著な吸水性能を示した。また、澱粉の乾燥重量に対し5〜30質量%の層状ケイ酸塩を分散させた吸水材4〜7は脱水作業性が良好であった。
[試験例2](原料バイオマス素材の種類による比較)
カルボキシメチル化澱粉に替えてヒドロキシプロピル化酸化澱粉(EIAMHENG社製 EXTRAFIL802)あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製 セロゲンF−SA)を用いた以外は試験例1の吸水材5と同様に操作し、吸水材8〜9を得た。
得られた吸水材8〜9について、試験例1と同様にして、吸水量試験及び作業性評価を行った。表2にその結果を示す。
表2に示されたとおり、カルボキシメチル化澱粉に替えてヒドロキシプロピル化酸化澱粉を用いた吸水材8は、カルボキシメチル化澱粉を用いた吸水材5に比べ吸水倍率において大きく劣るものであった。また、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた吸水材9は、架橋後のエタノールによる脱水時にパルプ状に変化し、十分に粉砕できず吸水材の調製自体が不可能であった。
[試験例3](架橋の有無の比較)
エピクロロヒドリンによるカルボキシメチル化澱粉の架橋処理を行わない以外は試験例1の吸水材5と同様に操作し、吸水材10を得た。
得られた吸水材10について、試験例1と同様にして、吸水量試験及び作業性評価を行った。表3にその結果を示す。
表3に示されたとおり、架橋処理を施さなかった吸水材10は、架橋処理を施した吸水材5とほぼ同等の吸水性能を示した。ただし、吸水材10は吸水材5と比べそのゲル強度が著しく低いものであったため、吸水材としての実用性を考慮すると、架橋処理を施した吸水材5の方が好ましいものであった。
[試験例4](分散時間の異なる層状ケイ酸塩の比較)
水への分散性の異なる各種層状ケイ酸塩(SIGMA−ALDRICH社)を用いた以外は試験例1の吸水材5と同様に操作し、吸水材11〜13を得た。なお、上記条件(A)において測定される各層状ケイ酸塩の水への分散時間は表4に示したとおりであった。
得られた吸水材11〜13について、試験例1と同様にして、吸水量試験及び作業性評価を行った。表4にその結果を示す。
表4に示されたとおり、水中に分散するのに要する時間が900秒以内である層状ケイ酸塩を用いた吸水材5、11、及び12は、特に吸水性能に優れており、調製時の脱水工程における作業性も良好であった。一方、吸水材13に用いた層状ケイ酸塩は、900秒間攪拌後にも、水面に浮かんでおり、完全分散することがなく、それを用いて得られた吸水材13の吸水性能や調製時の脱水工程における作業性は、吸水材5、11、及び12に比べて劣っていた。
[試験例5](カルボキシメチル基置換度による比較)
表5に示した種々のカルボキシメチル基置換度のカルボキシメチル化澱粉を用いた以外は試験例1の吸水材5と同様に操作し、吸水材14〜18を得た。
得られた吸水材14〜18について、試験例1と同様にして、吸水量試験及び作業性評価を行った。表5にその結果を示す。
表5に示されたとおり、置換度0.2〜0.8のカルボキシメチル化澱粉を用いた吸水材16、5、及び17は、特に吸水性能に優れていた。
[試験例6](ホモジナイズ条件による比較)
カルボキシメチル化澱粉の糊液に水酸化ナトリウム水溶液を添加した後のホモジナイザーによる撹拌処理を2分間としたこと、層状ケイ酸塩を蒸留水100gと共にホモジナイザーで予め1分間撹拌することで調製した層状ケイ酸塩分散液を用いたこと、カルボキシメチル化澱粉糊液に層状ケイ酸塩を添加した後のホモジナイザーによる撹拌処理を2分間としたこと、及び、その後更にホモミクサー(プライミクス社製 T.K.HOMOMIXER MARK II)を用いて20,000rpmにて2分間撹拌したこと、以外は試験例1の吸水材5及び吸水材7と同様に操作し、それぞれ吸水材19及び吸水材20を得た。
各吸水材における層状ケイ酸塩の分散状態を確認するため、走査型電子顕微鏡で観察した(図1〜図4)。また、用いた層状ケイ酸塩及び試験例1の層状ケイ酸塩未添加の吸水材(吸水材1)も同様に走査型電子顕微鏡で観察した(図5及び図6)。
吸水材19〜20について、実施例1と同様に吸水量試験および作業性評価を行った結果を表6に示した。
その結果、図1及び図3にみられるように、吸水材5及び吸水材7では、図5にみられるような層状ケイ酸塩の層状の構造を備えた凝集物が、残存し、観察された。このことにより、カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が層状構造を保ったマイクロスケールで存在しており、マイクロスケール凝集物の形状で分散していることが確認された。一方、図2及び図4にみられるように、より強力な条件でホモジナイズ処理を行った吸水材19及び吸水材20では、図5にみられるような層状ケイ酸塩の層状の構造を備えた凝集物が観察されなかった。このことにより、層状ケイ酸塩の層状構造が剥離して、より微細なナノスケールでカルボキシメチル化澱粉に分散しているものと考えられた。
また、表6に示されたとおり、ナノスケールで層状ケイ酸塩が分散した吸水材19及び20は、マイクロスケールで層状ケイ酸塩が分散した吸水材5及び7に比べ吸水性能が劣るものであった。

Claims (16)

  1. カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに層状ケイ酸塩が分散してなる、吸水性を有する複合材料。
  2. 前記カルボキシメチル化澱粉は、カルボキシメチル基置換度が0.1〜1.0のものである、請求項1記載の複合材料。
  3. 前記層状ケイ酸塩は、下記の条件(A)において水中に分散するのに要する時間が900秒以内のものである、請求項1又は2記載の複合材料。
    条件(A):200mL容ビーカーに25℃の水100mLを入れて、更に撹拌子(幅5mm×高さ5mm×全長45mm)を入れ、これを300rpmで撹拌させて、層状ケイ酸塩5.0gを添加する。
  4. 前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスは、架橋処理を施されてなるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
  5. 前記層状ケイ酸塩は、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスにマイクロスケール凝集物の形状で分散している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
  6. 前記カルボキシメチル化澱粉の100質量部に対し1〜30質量部の割合で前記層状ケイ酸塩が分散してなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料を吸水機能性の有効成分として含む吸水用組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料を構成材として含む吸水機能製品。
  9. カルボキシメチル化澱粉と層状ケイ酸塩を混合し、ホモジナイズ処理して、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスに前記層状ケイ酸塩を分散させる工程を含む、吸水性を有する複合材料の製造方法。
  10. 前記カルボキシメチル化澱粉と、前記層状ケイ酸塩とに、更に架橋剤を混合し、架橋処理する、請求項9記載の複合材料の製造方法。
  11. 前記ホモジナイズ処理を、前記層状ケイ酸塩が、前記カルボキシメチル化澱粉のマトリックスにマイクロスケール凝集物の形状で分散する程度に行う、請求項9又は10記載の複合材料の製造方法。
  12. 前記カルボキシメチル化澱粉の100質量部に対し1〜30質量部の割合で前記層状ケイ酸塩を添加する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  13. 前記カルボキシメチル化澱粉は、カルボキシメチル基置換度が0.1〜1.0のものである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  14. 前記層状ケイ酸塩は、下記の条件(A)において水中に分散するのに要する時間が900秒以内のものである、請求項9〜13のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
    条件(A):200mL容ビーカーに25℃の水100mLを入れて、更に撹拌子(幅5mm×高さ5mm×全長45mm)を入れ、これを300rpmで撹拌させて、層状ケイ酸塩5.0gを添加する。
  15. 請求項9〜14のいずれか1項に記載の製造方法で得られた複合材料を吸水機能性の有効成分として含有せしめる、吸水用組成物の製造方法。
  16. 請求項9〜14のいずれか1項に記載の製造方法で得られた複合材料を構成材として用いる吸水機能製品の製造方法。
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