JP2019055087A - 生体解析装置および生体解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体の体内時計の指示値(例えば時刻)を実時間的かつ高精度に特定する。【解決手段】第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、生体における前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値から、前記生体の体内時計の指示値を特定する解析処理部を具備する生体解析装置。【選択図】図2
Description
本発明は、生体の状態を解析するための技術に関する。
脈拍数や体温等の各種の生体情報は、例えば日単位または月単位で周期的に変動する。特許文献1から特許文献5には、生体情報の周期的な変動(すなわち生体リズム)を解析する技術が提案されている。
生体リズムは体内時計(生物時計)により調整される。したがって、体内時計の時刻は、生体状態(例えば健康状態や疾病状態)を評価するうえで重要な指標である。しかし、特許文献1から特許文献5の技術は、生体リズムを解析する技術に過ぎず、体内時計の時刻までは特定できない。
また、特許文献1から特許文献5の技術では、生体情報の複数の測定値の時系列を三角関数により近似することで生体リズムを特定する。したがって、測定時点に近い短時間内の測定値のみからでは生体リズムを正確に特定できない。1種類の生体情報のみからでは、実際には生体リズムを正確に特定できないという問題もある。以上の事情を考慮して、本発明は、生体の体内時計の指示値(例えば時刻)を実時間的かつ高精度に特定することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る生体解析装置は、第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、生体における前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値から、前記生体の体内時計の指示値を特定する解析処理部を具備する。以上の態様では、第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、第1生体情報および第2生体情報の各々の測定値から体内時計の指示値が特定される。したがって、体内時計の時刻を実時間的かつ高精度に特定することが可能である。
本発明の好適な態様において、前記基準リズム情報は、前記第1生体情報に対応する第1軸と前記第2生体情報に対応する第2軸とが設定された座標空間において前記第1生体情報と前記第2生体情報との関係を表す環状の基準リズム曲線を規定し、前記解析処理部は、前記座標空間内において前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値が示す測定点と、前記基準リズム曲線の中心点とを通過する直線が、前記基準リズム曲線に交差する地点に対応する時刻に応じて、前記体内時計の指示値を特定する。以上の態様では、座標空間内の測定点と基準リズム曲線の中心点とを通過する直線が基準リズム曲線に交差する地点に対応する時刻に応じて、体内時計の指示値が特定される。したがって、体内時計の指示値を簡便な処理により特定できるという利点がある。
本発明の好適な態様において、前記基準リズム情報は、前記第1生体情報に対応する第1軸と前記第2生体情報に対応する第2軸とが設定された座標空間において前記第1生体情報と前記第2生体情報との関係を表す環状の基準リズム曲線を規定し、前記解析処理部は、前記座標空間内において前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値が示す測定点の位置ベクトルの角度に応じて、前記体内時計の指示値を特定する。以上の態様では、座標空間内の測定点と基準リズム曲線の中心点とを通過する直線の角度に応じて体内時計の指示値が特定される。したがって、体内時計の指示値を簡便な処理により特定できるという利点がある。
本発明の好適な態様において、前記第1生体情報と前記第2生体情報とは、時間的な変動の位相が相違する。以上の態様では、第1生体情報と第2生体情報とで時間的な変動の位相が相違するから、第1生体情報と第2生体情報とが略同等の位相で変動する場合と比較して、体内時計の時刻を高精度に特定することが可能である。
本発明の好適な態様において、前記第1生体情報は、前記生体の脈拍数、酸素飽和度および血圧の何れかであり、前記第2生体情報は、前記生体の深部温度、皮膚温度、脈拍間隔および脈拍変動の何れかである。以上の態様では、第1生体情報の時間的な変動と第2生体情報の時間的な変動との位相差が概略的にはπ/2となる。したがって、第1生体情報と第2生体情報との関係を表す環状の基準リズム曲線を利用して、体内時計の指示値を高精度に特定できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る生体解析方法は、第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、生体における前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値から、前記生体の体内時計の指示値を特定する。以上の態様では、第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、第1生体情報および第2生体情報の各々の測定値から体内時計の指示値が特定される。したがって、体内時計の時刻を実時間的かつ高精度に特定することが可能である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における生体解析装置100の外観図である。生体解析装置100は、生体に装着される可搬型の電子機器であり、生体の体内時計の時刻(以下「体内時計時刻」という)を特定する。第1実施形態の体内時計時刻は、日周期(サーカディアンリズム)の体内時計において現在の生体の状態が何れの時点(位相)に相当するかを示す指示値である。第1実施形態では、生体の手首に装着される腕時計型の生体解析装置100を例示する。ただし、生体解析装置100が装着される部位は手首に限定されない。例えば、頸部、上腕部、足首、胴体(胸部,腰部)、手足の甲部等、生体の任意の部位に装着可能な形態に生体解析装置100は構成される。
図1は、第1実施形態における生体解析装置100の外観図である。生体解析装置100は、生体に装着される可搬型の電子機器であり、生体の体内時計の時刻(以下「体内時計時刻」という)を特定する。第1実施形態の体内時計時刻は、日周期(サーカディアンリズム)の体内時計において現在の生体の状態が何れの時点(位相)に相当するかを示す指示値である。第1実施形態では、生体の手首に装着される腕時計型の生体解析装置100を例示する。ただし、生体解析装置100が装着される部位は手首に限定されない。例えば、頸部、上腕部、足首、胴体(胸部,腰部)、手足の甲部等、生体の任意の部位に装着可能な形態に生体解析装置100は構成される。
図1に例示される通り、生体解析装置100は、時針141と分針142と指針143とを含む表示装置14を具備する。時針141および分針142は現在時刻を表示し、指針143は生体の体内時計時刻を表示する。体内時計時刻は、例えば時針141が示す時間を基準とした相対的な時間として表示される。なお、体内時計時刻を表示する構成は以上の例示に限定されない。例えば、液晶表示パネルや有機EL(Electroluminescence)表示パネル等の表示器を表示装置14として体内時計時刻を表示することも可能である。また、酸素飽和度や血圧等の各種の生体情報を表示装置14が表示してもよい。
図2は、生体解析装置100の機能的な構成を例示するブロック図である。図2に例示される通り、第1実施形態の生体解析装置100は、処理装置11と記憶装置12と検出装置13と表示装置14とを具備する。
検出装置13は、生体の状態を検出するためのセンサーである。第1実施形態の検出装置13は、図2に例示される通り、光センサー131と熱センサー132とを含んで構成される。光センサー131は、生体の状態を光学的に検出するセンサーである。例えば、光センサー131は、生体に光(例えば近赤外光)を照射する発光素子と、生体から到来する光を受光する受光素子とを具備する。熱センサー132は、生体の温度を検出するセンサーであり、例えばサーミスターや熱電対等の測温体を含んで構成される。
処理装置11は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算回路であり、生体解析装置100の全体を制御する。記憶装置12は、例えば不揮発性の半導体メモリーで構成され、処理装置11が実行するプログラムと処理装置11が使用する各種のデータとを記憶する。第1実施形態の処理装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで、生体の状態を解析するための複数の機能(測定処理部21および解析処理部22)を実現する。なお、処理装置11の機能を複数の集積回路に分散した構成、または、処理装置11の一部または全部の機能を専用の電子回路で実現した構成も採用され得る。また、図2では処理装置11と記憶装置12とを別個の要素として図示したが、記憶装置12を内包する処理装置11を例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現することも可能である。
測定処理部21は、検出装置13による検出結果から生体情報を測定する。例えば、光センサー131から供給される検出信号について公知の演算処理を実行することで、測定処理部21は、光電脈波、容積脈波、脈拍数(心拍数)、脈拍間隔(心拍間隔)、脈拍変動(心拍変動)、血流速、血流量、血液灌流量、血管抵抗、血圧(拡張期血圧/収縮期血圧)および酸素飽和度(SpO2)等の生体情報を測定することが可能である。また、熱センサー132から供給される検出信号について公知の演算処理を実行することで、測定処理部21は、熱流束(単位面積内の熱流)、皮膚温度および深部温度等の生体情報を測定することが可能である。皮膚温度および深部温度は、例えば手首について測定される。深部温度は、例えば熱流束と皮膚温度とから特定される。
図3は、複数種の生体情報(脈拍数,酸素飽和度,皮膚温度,深部温度,熱流束)の時間的な変化のグラフである。図3には、実測値と近似値とが併記されている。近似値は、公知のコサイナー法を利用して実測値を三角関数で近似した数値である。
図3に例示される通り、各生体情報は、例えば日単位で周期的に変動する。生体情報の時間的な変動の位相は生体情報の種類毎に相違し得る。例えば、脈拍数や熱流束が極大となる時刻(以下「頂点位相時刻」という)は15:30前後であるのに対し、深部温度の頂点位相時刻は概ね21:00〜24:00である。また、酸素飽和度の頂点位相時刻は概ね2:30頃である。すなわち、脈拍数の頂点位相時刻が夕方の時間帯であるのに対し、深部温度の頂点位相時刻は夜間から深夜の時間帯である。
以上のように生体情報の位相が相違する理由としては、交感神経と副交感神経とからなる自律神経の機能の相違が想定される。一般的に脈拍数や熱流束等の代謝に関する機能は日中(15:00頃)に上昇して夜間は低下する。自律神経は代謝機能の変動リズムを制御し、脈拍数が低下する夜間は副交感神経が優位になる。他方、手首等の末端部位の温度は血流により変動する。自律神経は末端部位の血流を制御することで放熱を促進し、体温を調整すると推測される。以上の説明から理解される通り、各生体情報における位相の相違は、心臓等の臓器や深部等の体幹部位に対する自律神経の影響と、皮膚血流等の末端部位に対する自律神経の影響との間に時間差があることが要因であると推測される。
以下の説明では、時間的な変動の位相が相違する関係にある生体情報X(第1生体情報の例示)と生体情報Y(第2生体情報の例示)とに着目する。具体的には、生体情報Xと生体情報Yとの位相差はπ/2である。例えば、生体情報Xは、脈拍数、酸素飽和度および血圧の何れかであり、生体情報Yは、深部温度、皮膚温度、脈拍間隔および脈拍変動の何れかである。以下の説明では、生体情報Xが脈拍数であり、生体情報Yが深部温度である場合を便宜的に例示する。
図2の測定処理部21は、生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとを測定する。測定処理部21による測定値xおよび測定値yの測定は、所定長の単位期間毎に反復される。例えば、1秒毎に算定された数値を60秒毎に平均して複数の地点にわたり移動平均を算定することで、生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとが確定する。すなわち、単位期間毎に測定値xと測定値yとの組が算定される。なお、検出装置13から出力される検出信号のノイズを除去するフィルターを測定処理部21の前段に設置してもよい。
図2の解析処理部22は、測定処理部21から順次に供給される生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとから生体の体内時計時刻を特定する。解析処理部22による体内時計時刻の特定は、所定の周期で(例えば測定値xおよび測定値yの測定毎に)順次に実行される。
解析処理部22による体内時計時刻の特定には基準リズム情報Dが利用される。基準リズム情報Dは、記憶装置12に記憶されたデータであり、生体情報Xおよび生体情報Yの各々の周期的な変動と時刻との関係を規定する。基準リズム情報Dについて以下に詳述する。
生体情報における日単位の周期的な変動(以下「サーカディアンリズム(circadian rhythm)」という)は、以下の数式(1)および数式(2)で表現される。数式(1)は生体情報Xのサーカディアンリズムであり、数式(2)は生体情報Yのサーカディアンリズムである。
数式(1)および数式(2)の記号Mxおよび記号Myはメサー(mesor)であり、周期的な変動における最大値と最小値との中央値に相当する。記号Axおよび記号Ayは変動の振幅を意味し、記号Φxおよび記号Φyは変動の位相を意味する。記号Tは時刻(時間単位)である。
生体解析装置100の利用者について測定された多数の測定値xの時系列が数式(1)で近似され、当該利用者の多数の測定値yの時系列が数式(2)で近似されるように、メサー(Mx,My)と振幅(Ax,Ay)と位相(Φx,Φy)とが事前に確定される。すなわち、生体情報の測定値を三角関数で近似(フィッティング)するコサイナー法により、生体情報Xのサーカディアンリズム(数式(1))と生体情報Yのサーカディアンリズム(数式(2))とが確定される。なお、以上の説明では生体解析装置100の利用者の測定値(x,y)から生体情報Xおよび生体情報Yの各々のサーカディアンリズムを確定したが、例えば特定の母集団に属する生体について事前に観測された生体情報の統計値をサーカディアンリズムの確定に利用してもよい。また、サーカディアンリズムを確定する方法はコサイナー法に限定されない。例えばコンスタントルーチン法、自己相関法等の公知の生体リズム測定方法が任意に採用される。
図4に例示される通り、生体情報Xに対応するX軸(第1軸の例示)と生体情報Yに対応するY軸(第2軸の例示)とが設定された座標空間(以下「バイタル空間」という)を想定する。数式(1)で表現された生体情報Xのサーカディアンリズムと数式(2)で表現された生体情報Yのサーカディアンリズムとをバイタル空間に展開すると、図4に例示される通り、生体情報Xと生体情報Yとの関係を表す曲線(以下「基準リズム曲線」という)Cが規定される。
基準リズム曲線Cは、バイタル空間内の特定の地点Qc(座標(X0,Y0))を中心点とする環状の曲線である。中心点QcのX座標は生体情報XのメサーMxに相当し(X0=Mx)、中心点QcのY座標は生体情報YのメサーMyに相当する(Y0=My)。ただし、所定の時間にわたる生体情報Xの測定値xの代表値(例えば平均値や中央値)を中心点QcのX座標として利用し、生体情報Yの測定値yの代表値を中心点QcのY座標として利用してもよい。図4に例示される通り、基準リズム曲線C上の任意の1個の地点(X,Y)は特定の時刻tに対応する。すなわち、基準リズム曲線Cを例えば反時計回りに辿ることは時刻tの進行に相当する。
記憶装置12に記憶された基準リズム情報Dは、以上に説明した基準リズム曲線Cを規定する。具体的には、基準リズム情報Dは、図5に例示される通り、基準リズム曲線C上の生体情報X(脈拍数)および生体情報Y(深部温度)の各数値を時刻tに対応させたデータテーブルである。なお、数式(1)および数式(2)における各変数(Mx,My,Ax,Ay,Φx,Φy)の数値が確定すれば基準リズム曲線Cは規定される。したがって、図6に例示される通り、メサー(Mx,My)と振幅(Ax,Ay)と位相(Φx,Φy)と頂点位相時刻とを生体情報Xおよび生体情報Yの各々について登録したデータテーブルを基準リズム情報Dとして記憶装置12に記憶してもよい。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の基準リズム情報Dは、生体情報Xおよび生体情報Yの各々の周期的な変動と時刻tとの関係を表すデータである。
図2の解析処理部22は、以上に説明した基準リズム情報Dを利用して、測定処理部21が測定した生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとから生体の体内時計時刻を特定する。測定処理部21が測定値xおよび測定値yを測定するたびに(すなわち単位期間毎に)、解析処理部22は体内時計時刻を特定する。図4に例示される通り、生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとは、バイタル空間内の任意の1個の地点(以下「測定点」という)Pに対応する。すなわち、測定値xは測定点PのX軸上の座標値であり、測定値yは測定点PのY軸上の座標値である。第1実施形態の解析処理部22は、測定値xおよび測定値yに対応する測定点Pと、基準リズム曲線Cの中心点Qcとを通過する直線Lが、基準リズム曲線Cに交差する地点Qに対応する時刻tを、体内時計時刻として特定する。
直線Lは以下の数式(3)で表現される。
解析処理部22は、数式(1)と数式(2)と数式(3)とを含む未知数3の連立方程式を解くことで体内時計時刻を算定する。なお、基準リズム曲線Cと直線Lとは2点で交差するため、連立方程式から2個の時刻tが特定される。解析処理部22は、2個の時刻tのうち、基準リズム曲線C上で測定点Pに近い時点に対応する時刻tを、体内時計時刻として確定する。解析処理部22が特定した体内時計時刻が、図1を参照して前述した通り、表示装置14により表示される。
解析処理部22は、数式(1)と数式(2)と数式(3)とを含む未知数3の連立方程式を解くことで体内時計時刻を算定する。なお、基準リズム曲線Cと直線Lとは2点で交差するため、連立方程式から2個の時刻tが特定される。解析処理部22は、2個の時刻tのうち、基準リズム曲線C上で測定点Pに近い時点に対応する時刻tを、体内時計時刻として確定する。解析処理部22が特定した体内時計時刻が、図1を参照して前述した通り、表示装置14により表示される。
以上に説明した通り、第1実施形態では、生体情報Xおよび生体情報Yの各々の周期的な変動と時刻tとの関係を表す基準リズム情報Dを利用して、生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとから体内時計時刻が特定される。すなわち、基準リズム情報Dが記憶装置12に記憶された状態では、生体情報Xの測定値xと生体情報Yの測定値yとの1組さえ測定されれば体内時計時刻を特定でき、複数の測定値xの時系列や複数の測定値yの時系列は不要である。したがって、体内時計の時刻を実時間的に特定できるという利点がある。また、第1実施形態では、生体情報Xおよび生体情報Yの双方の測定値(x,y)が利用されるから、1種類の生体情報のみから体内時計時刻を特定する構成と比較して、体内時計の時刻を高精度に特定できるという利点もある。
第1実施形態では、バイタル空間内の測定点Pと基準リズム曲線Cの中心点Qcとを通過する直線Lが基準リズム曲線Cと交差する地点Qに対応する時刻tに応じて体内時計時刻が特定される。したがって、体内時計時刻を簡便な処理により特定できるという利点がある。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に例示する各形態において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に例示する各形態において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態では、生体情報Xおよび生体情報Yによりバイタル空間に基準リズム曲線Cを規定した。第2実施形態では、所定の範囲内の数値に正規化された生体情報Xnおよび生体情報Ynによりバイタル空間に基準リズム曲線Cnを規定する。
数式(1)で表現される生体情報Xは、以下の数式(4)で表現される正規化により、所定の範囲(−1≦Xn≦1)内の生体情報Xnに変換される。同様に、数式(2)で表現される生体情報Yは、以下の数式(5)で表現される正規化により、所定の範囲(−1≦Yn≦1)内の生体情報Ynに変換される。
図7に例示される通り、正規化後の生体情報Xnに対応するX軸と正規化後の生体情報Ynに対応するY軸とが規定されたバイタル空間を想定する。生体情報Xnのサーカディアンリズムと生体情報Ynのサーカディアンリズムとをバイタル空間に展開すると、図7に例示される通り、生体情報Xnと生体情報Ynとの関係を表す基準リズム曲線Cnが規定される。生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2に近似または一致する場合、基準リズム曲線Cnは単位円に相当する。
第2実施形態の基準リズム情報Dは、図8に例示される通り、基準リズム曲線Cn上の複数の地点Qnの各々について角度Θと時刻tとが登録されたデータテーブルである。図7に例示される通り、基準リズム曲線Cn上の任意の1個の地点Qnに対応する角度Θは、当該地点Qnに対応する位置ベクトルVq(Vq=(Xn,Yn))がX軸に対してなす角度(偏角)である。角度Θは、基準リズム曲線Cnの中心点Qc(すなわちバイタル空間の原点)と地点Qnとを通過する直線がX軸に対してなす角度とも換言される。以上の説明から理解される通り、基準リズム曲線Cn上の任意の地点Qnに対応する角度Θは、以下の数式(6)で表現される。
図9は、第2実施形態の解析処理部22が体内時計時刻を特定する処理のフローチャートである。測定処理部21が測定値xおよび測定値yを測定するたびに図9の処理が実行される。
図9の処理を開始すると、解析処理部22は、測定処理部21が測定した測定値xおよび測定値yを所定の範囲内の数値に正規化する(Sa1)。具体的には、解析処理部22は、以下の数式(7)で表現される正規化により、生体情報Xの測定値xを所定の範囲(−1≦xn≦1)内の測定値xnに変換する。同様に、解析処理部22は、以下の数式(8)で表現される正規化により、生体情報Yの測定値yを所定の範囲(−1≦yn≦1)内の測定値ynに変換する。添字nは正規化(normalization)を意味する。
解析処理部22は、正規化後の測定値xnおよび測定値ynが示す測定点Pnの角度θを特定する(Sa2)。図7に例示される通り、角度θは、測定点Pnに対応する位置ベクトルVp(Vp=(xn,yn))がX軸に対してなす角度(偏角)である。角度θは、基準リズム曲線Cnの中心点Qc(すなわちバイタル空間の原点)と測定点Pnとを通過する直線がX軸に対してなす角度とも換言される。具体的には、第2実施形態の解析処理部22は、正規化後の測定値xnおよび測定値ynについて以下の数式(9)の演算を実行することで角度θを算定する。
解析処理部22は、測定点Pnに対応する位置ベクトルVpの角度θから体内時計時刻を特定する(Sa3)。具体的には、解析処理部22は、基準リズム情報Dに含まれる複数の角度Θのうち位置ベクトルVpの角度θに近似または一致する角度Θを特定し、基準リズム情報Dにおいて当該角度Θに対応する時刻tを体内時計時刻として特定する。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、測定点Pnに対応する位置ベクトルVpの角度θに応じて体内時計時刻が特定される。したがって、体内時計時刻を簡便な処理により特定できるという利点がある。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態の解析処理部22が体内時計時刻を特定する処理のフローチャートである。測定処理部21が測定値xおよび測定値yを測定するたびに図10の処理が実行される。図10の処理を開始すると、解析処理部22は、第2実施形態と同様に、測定処理部21が測定した測定値xおよび測定値yを所定の範囲内に正規化する(Sb1)。すなわち、測定値xを正規化した測定値xnと測定値yを正規化した測定値ynとが算定される。
図10は、第3実施形態の解析処理部22が体内時計時刻を特定する処理のフローチャートである。測定処理部21が測定値xおよび測定値yを測定するたびに図10の処理が実行される。図10の処理を開始すると、解析処理部22は、第2実施形態と同様に、測定処理部21が測定した測定値xおよび測定値yを所定の範囲内に正規化する(Sb1)。すなわち、測定値xを正規化した測定値xnと測定値yを正規化した測定値ynとが算定される。
解析処理部22は、図11に例示される通り、位置ベクトルVqと位置ベクトルVpとがなす角度Δθの絶対値|Δθ|を算定する(Sb2)。位置ベクトルVqは、基準リズム曲線Cにおいて任意の時刻(以下「実時刻」という)Tに対応する地点Qnの位置ベクトルである。具体的には、解析処理部22は、位置ベクトルVqと位置ベクトルVpとの内積を含む以下の数式(10)の演算により角度Δθの絶対値|Δθ|を算定する。実時刻Tは、例えば現在時刻である。角度Δθは、実時刻Tを基準とした体内時計時刻に対応する。数式(10)の分子は、位置ベクトルVqと位置ベクトルVpとの内積である。
数式(10)により算定された角度Δθの絶対値|Δθ|は、基準リズム曲線Cnのうち実時刻Tに対応する地点Qnの位置ベクトルVqと測定点Pnの位置ベクトルVpとがなす角度である。ただし、測定点Pnの位置ベクトルVpが位置ベクトルVqに対して正側および負側の何れに位置するのかは、数式(10)の演算のみでは確定できない。位置ベクトルVpが位置ベクトルVqに対して正側および負側の何れに位置するのかを判別するために、解析処理部22は、位置ベクトルVpと位置ベクトルVqとの外積crossを算定する(Sb3)。外積crossは以下の数式(11)で表現される。
解析処理部22は、以上の処理で算定した角度Δθを含む以下の数式(13)の演算により、体内時計時刻τを算定する(Sb5)。
以上の説明から理解される通り、第3実施形態においても第2実施形態と同様に、生体情報Xの測定値xnと生体情報Yの測定値ynとが示す測定点Pnの位置ベクトルVpの角度θに応じて体内時計時刻τが特定される。
以上の説明から理解される通り、第3実施形態においても第2実施形態と同様に、生体情報Xの測定値xnと生体情報Yの測定値ynとが示す測定点Pnの位置ベクトルVpの角度θに応じて体内時計時刻τが特定される。
第3実施形態においても第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、測定点Pnの位置ベクトルVpと基準リズム曲線Cn上の地点Qnの位置ベクトルVqとの内積および外積により体内時計時刻τが特定される。したがって、第1実施形態や第2実施形態と比較して、体内時計時刻を簡便な処理により特定できるという利点がある。
図12は、第3実施形態により特定される体内時計時刻の誤差のグラフである。図12には、脈拍数を利用したコサイナー法で算定された体内時計時刻の誤差(対比例1)と、深部温度を利用したコサイナー法で算定された体内時計時刻の誤差(対比例2)とが図示されている。第3実施形態によれば、対比例1および対比例2と比較して体内時計時刻の誤差が全体的に小さいことが確認できる。実際に誤差の標準偏差を算定すると、対比例1では6.17[時間]であり、対比例2では6.13[時間]であるのに対し、第3実施形態では4.40[時間]である。すなわち、第3実施形態によれば、コサイナー法を利用した場合と比較して1.7時間ほど測定誤差を低減できる。
<第4実施形態>
第2実施形態および第3実施形態の例示から理解される通り、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2に近似または一致する場合、基準リズム曲線Cnは円環状となる。他方、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離する場合、基準リズム曲線Cnは楕円状または直線状となる。したがって、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離する場合には、バイタル空間内での角度θを利用した体内時計時刻の測定精度が低下する可能性がある。第4実施形態は、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離する場合でも体内時計時刻を高精度に特定するための形態である。
第2実施形態および第3実施形態の例示から理解される通り、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2に近似または一致する場合、基準リズム曲線Cnは円環状となる。他方、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離する場合、基準リズム曲線Cnは楕円状または直線状となる。したがって、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離する場合には、バイタル空間内での角度θを利用した体内時計時刻の測定精度が低下する可能性がある。第4実施形態は、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離する場合でも体内時計時刻を高精度に特定するための形態である。
関数Anと関数Bnとの間の位相差はπ/2である。数式(24)の関数Anを示すX軸と数式(25)の関数Bnを示すY軸とが規定されたバイタル空間を想定すると、関数Anと関数Bnとの関係を表す円環状の基準リズム曲線Cが規定される。
測定処理部21が算定した測定値xおよび測定値yについて、以上と同様の処理を実行することで、測定値xを補正した補正値anを表現する数式(26)と、測定値yを補正した補正値bnを表現する数式(27)とが導出される。
第2実施形態または第3実施形態における基準リズム曲線Cを、数式(24)および数式(25)で規定される基準リズム曲線Cに置換し、第2実施形態または第3実施形態における測定値xnおよび測定値ynを補正値anおよび補正値bnに置換することで、体内時計時刻を特定することが可能である。以上の説明から理解される通り、第4実施形態によれば、生体情報Xと生体情報Yとの位相差がπ/2から乖離した関係にある場合でも、体内時計時刻を高精度に特定できるという利点がある。
<補足>
第1実施形態から第4実施形態では、相異なる2種類の生体情報(生体情報Xおよび生体情報Y)を利用して体内時計時刻を特定する構成(以下「構成A」という)を採用する。体内時計時刻を特定および表示する実際の生体解析装置(以下「実製品」という)が、構成Aを採用しているか否かを判別するための方法を以下に説明する。
第1実施形態から第4実施形態では、相異なる2種類の生体情報(生体情報Xおよび生体情報Y)を利用して体内時計時刻を特定する構成(以下「構成A」という)を採用する。体内時計時刻を特定および表示する実際の生体解析装置(以下「実製品」という)が、構成Aを採用しているか否かを判別するための方法を以下に説明する。
図13に例示される通り、第1センサー51と第2センサー52と処理装置53と表示装置54とを具備する実製品50を想定する。第1センサー51および第2センサー52は、相異なる物理量(例えば光量または温度)を検出する検出器である。処理装置53は体内時計時刻を特定し、表示装置54は、処理装置53が特定した体内時計時刻を表示する。
第1に、第2センサー52を無効状態に設定したうえで、体内時計時刻の測定を実製品50に実行させる。無効状態とは、例えば第2センサー52が目的の物理量を検出できない状態(例えば遮光または断熱された状態)、または、第2センサー52が処理装置53から電気的に絶縁された状態である。以上の状態では、第1センサー51から供給される検出信号のみが、処理装置53による体内時計時刻の測定に有効に利用される。表示装置54は、処理装置53が測定した体内時計時刻τ1を表示する。
第2に、第2センサー52を有効状態に設定したうえで、体内時計時刻の測定を実製品50に実行させる。以上の状態では、第1センサー51および第2センサー52の双方から供給される検出信号が、処理装置53による体内時計時刻の測定に利用される。表示装置54は、処理装置53が測定した体内時計時刻τ2を表示する。
実製品50が体内時計時刻の測定に第1センサー51および第2センサー52の双方の検出信号を利用している場合、第2センサー52を無効状態として測定された体内時計時刻τ1と、第2センサー52を有効状態として測定された体内時計時刻τ2とは相違する。したがって、体内時計時刻τ1と体内時計時刻τ2とが乖離する場合には、実製品50が構成Aを採用している可能性が充分に高い。具体的には、体内時計時刻τ1と体内時計時刻τ2との差異|τ1−τ2|が10分以上である場合には、実製品50が構成Aを採用している可能性が高い。
次に、構成Aを採用していることが確認された製品(以下「採用品」という)を想定する。前述の通り、第1センサー51および第2センサー52の双方が有効状態に設定された実製品50により測定された体内時計時刻τ2が、採用品により測定された体内時計時刻τ3に近似する場合にも、実製品50が構成Aを採用している可能性が高い。具体的には、体内時計時刻τ1と体内時計時刻τ3との差異|τ1−τ3|が10分以上である場合には、実製品50が構成Aを採用している可能性が高い。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
(1)測定値xおよび測定値yを正規化する方法は前述の例示(数式(7)および数式(8))に限定されない。例えば、以下の数式(28)の演算で測定値xを測定値xn'に正規化し、以下の数式(29)の演算で測定値yを測定値yn'に正規化してもよい。測定値xn'および測定値yn'を利用する構成では、位置ベクトルVpが単位ベクトルとなる。
(2)前述の各形態では日単位の体内時計時刻を例示したが、月周期(インフラディアンリズム)の体内時計において生体の状態が何れの時点に相当するかを示す指示値(以下「体内時計日」という)を、前述の各形態と同様の構成により特定することも可能である。インフラディアンリズムの典型例は、28日から30日程度の月経周期である。
具体的には、生体情報Xの1日内の代表値(例えば平均値)を測定値xとし、生体情報Yの1日内の代表値(例えば平均値)を測定値yとして、月周期にわたる測定値xおよび測定値yの時系列が生成される。複数の測定値xの時系列を三角関数により近似することで生体情報Xのインフラディアンリズムが確定され、複数の測定値yの時系列を三角関数により近似することで生体情報Yのインフラディアンリズムが確定される。生体情報Xのインフラディアンリズムと生体情報Yのインフラディアンリズムとをバイタル空間に展開することで、月周期の基準リズム曲線Cが規定される。月周期の基準リズム曲線Cは、生体情報Xおよび生体情報Yの各々の月周期の変動と日付との関係を表す。なお、月周期の基準リズム曲線Cの中心点Qcは、例えば、日周期を対象とした数式(1)のメサーMxおよび数式(2)のメサーMyで規定される。
解析処理部22は、以上の方法で規定された基準リズム曲線Cを利用して、生体情報Xの測定値x(1日内の代表値)と生体情報Yの測定値y(1日内の代表値)とに応じた体内時計日を特定する。正規化後の測定値xnおよび測定値ynに対応する基準リズム曲線Cnを体内時計日の特定に利用してもよい。基準リズム曲線C(または基準リズム曲線Cn)を利用する方法は第1実施形態から第4実施形態と同様である。
図14は、体内時計日を表示する表示装置14の構成例である。図14の表示装置14は、図1と同様の指針(時針141,分針142,指針143)に加えて月齢表示盤144と指針145とを具備する。月齢表示盤144(ムーンフェイズ)は、月周期(28日〜30日)で1周する円板であり、月齢の変化(新月→満月→新月)を図形的に表示する。指針145は、月齢表示盤144に連動して回転し、体内時計日を表示する。月齢表示盤144および指針145を視認することで、利用者は月経やホルモンの状態を確認または予測することが可能である。なお、体内時計日は個人性の高い情報であるから、例えば利用者による操作に応じて表示/非表示を切替える構成が好適である。
(3)前述の各形態では、単体の機器として構成された生体解析装置100を例示したが、以下の例示の通り、生体解析装置100の複数の要素は相互に別体の装置として実現され得る。
前述の各形態では、検出装置13を具備する生体解析装置100を例示したが、図15に例示される通り、検出装置13を生体解析装置100とは別体とした構成も想定される。検出装置13は、例えば生体の特定の部位(例えば手首や上腕等)に装着される可搬型の光学センサーモジュールである。生体解析装置100は、例えば携帯電話機またはスマートフォン等の情報端末で実現される。腕時計型の情報端末で生体解析装置100を実現してもよい。検出装置13が生成した検出信号が有線または無線により生体解析装置100に送信される。生体解析装置100の処理装置11は、検出信号から体内時計時刻を算定して表示装置14に表示させる。以上の説明から理解される通り、検出装置13は生体解析装置100から省略され得る。
前述の各形態では、表示装置14を具備する生体解析装置100を例示したが、図16に例示される通り、表示装置14を生体解析装置100とは別体とした構成も想定される。生体解析装置100の処理装置11は、前述の各形態と同様の方法で特定した体内時計時刻の表示データを、有線または無線により表示装置14に送信する。表示装置14は、生体解析装置100から受信した表示データを利用して体内時計時刻を表示する。なお、表示装置14は、専用の表示機器であってもよいが、例えば、携帯電話機もしくはスマートフォン等の情報端末、または、被験者が携帯可能な腕時計型の情報端末に搭載されてもよい。以上の説明から理解される通り、表示装置14は生体解析装置100から省略され得る。
図17に例示される通り、検出装置13および表示装置14を生体解析装置100(処理装置11)とは別体とした構成も想定される。なお、検出装置13と生体解析装置100とを別体とした構成において、測定処理部21を検出装置13に搭載することも可能である。測定処理部21が測定した測定値xおよび測定値yが有線または無線により検出装置13から生体解析装置100に送信される。以上の説明から理解される通り、測定処理部21は生体解析装置100から省略され得る。
(4)前述の各形態では体内時計時刻を例示したが、生体解析装置100が特定する情報は、体内時計時刻に限定されない。例えば、体内時計時刻と基準時刻(例えば現在時刻)との時間差を生体解析装置100が特定してもよい。以上の説明から理解される通り、生体解析装置100が特定する情報は、「体内時計の指示値」として包括的に表現される。「体内時計の指示値」の典型例は、第1実施形態から第4実施形態に例示した体内時計時刻であるが、月周期の体内時計における前述の体内時計日や、体内時計時刻と基準時刻との時間差も、「体内時計の指示値」の概念に包含される。
(5)前述の各形態では、体内時計時刻を表示装置14に表示したが、体内時計時刻の表示は必須ではない。例えば、生体解析装置100が特定した体内時計時刻を通信網から他の通信装置に送信してもよい。また、生体解析装置100の記憶装置12や生体解析装置100に着脱可能な可搬型の記録媒体に体内時計時刻を格納してもよい。
(6)前述の各形態に係る生体解析装置100は、前述の例示の通り、処理装置11とプログラムとの協働により実現される。本発明の好適な態様に係るプログラムは、コンピューターが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピューターにインストールされ得る。また、配信サーバーが具備する記録媒体に格納されたプログラムを、通信網を介した配信の形態でコンピューターに提供することも可能である。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
100…生体解析装置、11…処理装置、12…記憶装置、13…検出装置、131…光センサー、132…熱センサー、14…表示装置、21…測定処理部、22…解析処理部。
Claims (6)
- 第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、生体における前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値から、前記生体の体内時計の指示値を特定する解析処理部
を具備する生体解析装置。 - 前記基準リズム情報は、前記第1生体情報に対応する第1軸と前記第2生体情報に対応する第2軸とが設定された座標空間において前記第1生体情報と前記第2生体情報との関係を表す環状の基準リズム曲線を規定し、
前記解析処理部は、前記座標空間内において前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値が示す測定点と、前記基準リズム曲線の中心点とを通過する直線が、前記基準リズム曲線に交差する地点に対応する時刻に応じて、前記体内時計の指示値を特定する
請求項1の生体解析装置。 - 前記基準リズム情報は、前記第1生体情報に対応する第1軸と前記第2生体情報に対応する第2軸とが設定された座標空間において前記第1生体情報と前記第2生体情報との関係を表す環状の基準リズム曲線を規定し、
前記解析処理部は、前記座標空間内において前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値が示す測定点の位置ベクトルの角度に応じて、前記体内時計の指示値を特定する
請求項1の生体解析装置。 - 前記第1生体情報と前記第2生体情報とは、時間的な変動の位相が相違する
請求項1から請求項3の何れかの生体解析装置。 - 前記第1生体情報は、前記生体の脈拍数、酸素飽和度および血圧の何れかであり、
前記第2生体情報は、前記生体の深部温度、皮膚温度、脈拍間隔および脈拍変動の何れかである
請求項4の生体解析装置。 - 第1生体情報および第2生体情報の各々の周期的な変動と時刻との関係を表す基準リズム情報を利用して、生体における前記第1生体情報および前記第2生体情報の各々の測定値から、前記生体の体内時計の指示値を特定する
生体解析方法。
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JP2017182101A JP2019055087A (ja) | 2017-09-22 | 2017-09-22 | 生体解析装置および生体解析方法 |
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WO2022085742A1 (ja) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | 京都府公立大学法人 | 被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置、解析方法、及び解析プログラム |
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2017
- 2017-09-22 JP JP2017182101A patent/JP2019055087A/ja active Pending
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WO2022085742A1 (ja) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | 京都府公立大学法人 | 被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置、解析方法、及び解析プログラム |
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