JP2017217255A - 生体情報処理装置および生体情報処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体情報の計測結果から外乱の影響を適正に除去する生体情報処理装置を提供する。【解決手段】生体情報を計測する第1計測部201と、前記第1計測部201とは異なる計測対象を計測する第2計測部203と、前記第1計測部201の第1計測結果と、前記第2計測部203の第2計測結果とに基づいて、前記第1計測結果に前記第2計測部203の計測対象の影響が及んだ影響付与期間を判定し、当該影響付与期間の前記第1計測結果を補正する計測制御部211と、を備えた生体情報処理装置1である。【選択図】図12
Description
本発明は、生体情報を処理する生体情報処理装置および生体情報処理方法に関する。
近年、体温や血圧、身体活動量といった生体情報を継時的に計測し、健康管理等に活用しようとする試みが盛んである。生体情報は、日単位や月単位、年単位等の所定周期で変動することが知られている。このような生体情報の周期変動は、生体リズム(生物時計、体内時計とも呼ばれる)によって発現する。生体リズムは、生体の活動状況や健康状態と密接に関係することから、これを把握することは、健康管理等において重要な意義がある。
例えば、特許文献1には、主センサー部で計測した生体の深部温度から1日周期の生体リズム(サーカディアンリズム)を取得する技術が開示されている。この特許文献1の技術では、主センサー部とは別の副センサー部で計測した外乱計測データに基づき外乱要素による体温変動区間を判別し、当該区間の体温データの削除・補間を行うことで外乱の影響を除去している。
ところで、特許文献1では、副センサー部の計測結果のみを用いて外乱要素の出現期間を判別し、体温変動区間を決めている。しかし、外乱要素が出現したからといって、必ずしもその影響を受けて体温データが変動しているとは限らない。そのため、実際には外乱の影響を受けていないのに体温データを補間する事態が生じ、主センサー部の有用な計測結果を削除してしまう問題があった。
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、生体情報の計測結果から外乱の影響を適正に除去することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明は、生体情報を計測する第1計測部と、前記第1計測部とは異なる計測対象を計測する第2計測部と、前記第1計測部の第1計測結果と、前記第2計測部の第2計測結果とに基づいて、前記第1計測結果に前記第2計測部の計測対象の影響が及んだ影響付与期間を判定し、当該影響付与期間の前記第1計測結果を補正する計測制御部と、を備えた生体情報処理装置である。
また、他の発明として、生体情報を計測する第1計測部と、前記第1計測部とは異なる計測対象を計測する第2計測部とを備えた装置が、前記生体情報を処理するための生体情報処理方法であって、前記第1計測部の第1計測結果と、前記第2計測部の第2計測結果とに基づいて、前記第1計測結果に前記第2計測部の計測対象の影響が及んだ影響付与期間を判定し、当該影響付与期間の前記第1計測結果を補正すること、を含む生体情報処理方法を構成してもよい。
第1の発明等によれば、第1計測部の第1計測結果と、第2計測部の第2計測結果とに基づいて、第1計測結果に第2計測部の計測対象の影響が及んだ影響付与期間を判定することができる。そして、影響付与期間の第1計測結果を補正することができる。後述するように、第2計測部は、第1計測部による生体情報の計測において外乱となり得る環境情報や他の生体情報等の外乱要素を計測できる。したがって、生体情報の計測結果から外乱の影響を適正に除去することが可能となる。
また、第2の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果に対する前記第2計測結果の影響度を算出することと、前記影響度を閾値判定することと、を行い、前記閾値判定の判定結果から前記影響付与期間を判定する、第1の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第2の発明によれば、第1計測結果に対する第2計測結果の影響度を算出して用い、影響付与期間を判定することができる。
また、第3の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果に基づき所定時間毎の前記第1計測結果の傾きの標準偏差を算出することと、前記第2計測結果に基づき所定時間毎の前記第2計測結果の傾きの標準偏差を算出することと、を行い、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差とを用いて前記影響度を算出する、第2の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第3の発明によれば、第1計測結果に係る標準偏差と、第2計測結果に係る標準偏差とから影響度を算出することができる。
また、第4の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差との積を前記影響度として算出する、第3の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第4の発明によれば、第1計測結果に係る標準偏差と、第2計測結果に係る標準偏差との積を影響度として算出できる。
また、第5の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差との和を前記影響度として算出する、第3の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第5の発明によれば、第1計測結果に係る標準偏差と、第2計測結果に係る標準偏差との和を影響度として算出できる。
また、第6の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果と前記第2計測結果の間の相関係数を算出することと、前記影響度に前記相関係数を乗じて前記影響度を修正することと、を行う、第4又は第5の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第6の発明によれば、影響度に第1計測結果と第2計測結果の間の相関係数を乗じて修正することができる。
また、第7の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差とを用いて前記相関係数を算出する、第6の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第7の発明によれば、第1計測結果に係る標準偏差と、第2計測結果に係る標準偏差とを用いて相関係数を算出できる。
また、第8の発明として、前記計測制御部は、前記第1計測結果に基づき所定時間毎の前記第1計測結果の傾きの標準偏差を算出することと、前記第1計測結果と前記第2計測結果の間の相関係数を算出することと、を行い、前記第1計測結果に係る標準偏差に前記相関係数を乗じることで前記影響度を算出する、第2の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第8の発明によれば、第1計測結果に係る標準偏差に、第1計測結果と第2計測結果の間の相関係数を乗じて影響度を算出することができる。
また、第9の発明として、前記計測制御部は、前記第2計測結果に基づき所定時間毎の前記第2計測結果の傾きの標準偏差を算出すること、を行い、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差とを用いて前記相関係数を算出する、第8の発明の生体情報処理装置を構成してもよい。
第9の発明によれば、第1計測結果に係る標準偏差と、第2計測結果に係る標準偏差とを用いて相関係数を算出できる。
以下、本発明の生体情報処理装置等を実施するための一形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
図1および図2は、生体情報処理装置1の全体構成例を示す外観図であり、図1は表面側(ユーザーに装着したときに外環境側になる面)を、図2は裏面側(ユーザーに装着したときに皮膚面側になる面)をそれぞれ示す。本実施形態の生体情報処理装置1は、例えば腕時計型のウェアラブル機器として構成され、使用時には、本体ケース3に設けられたバンド5をユーザーの手首に巻き付けることで皮膚面に装着・固定される。なお、手首に装着する構成に限らず、例えば、頸部、上腕部、足首、胸回り、胴回り、額等の別の部位に巻き付ける構成としてもよい。また、バンド5により皮膚面に巻き付ける構成に限らず、例えば皮膚面に着脱自在な粘着シートを本体ケース3の裏面側端縁部等の適所に設け、ユーザーに貼り付けるのでもよい。
先ず、生体情報処理装置1は、複数のセンサーを適所に配置して有する。例えば、生体情報処理装置1は、環境温度センサー12と、熱流センサー13と、モーションセンサー14と、光センサー15とを備える。
環境温度センサー12は、本体ケース3の表面側に配置され、外環境に面してその温度(環境温度)を計測する。環境温度センサー12は、例えば、サーミスタや熱電対、白金温度計等で実現できる。
熱流センサー13は、生体情報処理装置1を装着した生体表面(本実施形態ではユーザーの手首の皮膚面)と外環境との間の熱伝達によって当該熱流センサー13の内部に生じた温度差をもとに、皮膚面に生じる熱流を計測する。この熱流センサー13は、熱流と併せて皮膚面の温度(皮膚温度)を計測でき、これらから体温(深部温度)を計測できる。
例えば、熱流センサー13は、外形が略円環形状を有し、その一方の端面を形成する保護層133aが裏面側で露出し、他方の端面を形成する保護層133bが表面側で露出するように本体ケース3に埋設される。図3は、熱流センサー13の平面図であり、図4は、図3に示すA−A矢視断面の模式図である。なお、配線等は図示を省略している。図3および図4に示すように、熱流センサー13は、伝熱層131と、その図4中下側を覆う保護層133aと、上側を覆う保護層133bとが互いに熱拡散層135を介して接着された層構造を有し、伝熱層131の内部に複数(図3では4つ)の検出器137が組み込まれて構成される。
検出器137は、装着時に皮膚面側となる保護層133aと接するように配置された測温体139aと、この測温体139aと対向する位置で外環境側となる保護層133bと接するように配置された測温体139bとを備え、各測温体139a,139bによる検出温度の温度差(上下温度差)を出力する。各検出器137の上下温度差から、該当する検出器137の位置における熱流束(単位面積当たりの熱流)を計測できる。また、測温体139aの検出温度を皮膚温度として計測できる。測温体139a,139bには、サーミスタや熱電対等を用いることができる。なお、熱流センサー13の構成は2つの測温体を用いた構成に限定されるものではなく、サーモパイルを用いたもの等公知の構成を適宜選択して用いることができる。
モーションセンサー14は、ユーザーの運動を計測するためのものであり、例えば、加速度(3軸)、角速度(3軸)、および地磁気(3軸)を検出する9軸センサーで実現できる。このモーションセンサー14の加速度、角速度、および地磁気の各出力値を公知の技術を用いて演算処理することで、ユーザーの身体活動量、歩数、移動距離、速度、例えば「立位」「座位」「腹臥位」といった姿勢、「歩行」「走行」「階段昇降」といった運動(行動)の種類等の生体情報を計測できる。
光センサー15は、熱流センサー13の内側空洞部分において、本体ケース3の裏面にその発光面が露出するように配設された2つの発光部151,153と、本体ケース3の裏面にその受光面が露出するように配設された受光部155とを備える。これら発光部151,153の発光面や受光部155の受光面は、熱流センサー13の内側空洞部分を覆う透明なカバーガラス等で保護される。
発光部151,153は、所定の波長域内の照射光を照射するLED(Light Emitting Diode)やOLED(Organic Light Emitting Diode)、半導体レーザー等の光源を用いて実現できる。照射光の波長域は、計測対象に応じて適宜選択することができる。本実施形態では、例えば、一方の発光部151は波長域660[nm]付近の第1波長の可視光を照射し、他方の発光部153は、波長域880[nm]〜940[nm]に属する第2波長の近赤外光を照射する。
受光部155は、照射光の透過光や反射光を受光し、受光量に応じた信号を出力する。例えば、フォトダイオード、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で実現できる。
この光センサー15において何れか一方又は両方の発光部151,153から照射光を照射し、受光部155の受光結果(受光部155の出力値)を公知の技術を用いて演算処理することにより、光電脈波、容積脈波、脈拍数(心拍数)、血流量、血流速、血液潅流量、血管抵抗、血圧(収縮期血圧/拡張期血圧)、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)等の生体情報を計測できる。SpO2は、第1波長および第2波長の照射光を各発光部151,153から順番に照射して得た受光部155の出力値をもとに、各波長における酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度を用いて求めることができる。
なお、熱流センサー13や光センサー15は、その裏面側に露出する部分がユーザーの皮膚面と接触し易いように、本体ケース3の裏面から出っ張らせて配置するとよい。接触性を高めることで、計測精度の低下防止が図れる。
また、生体情報処理装置1が有するセンサーは例示したものに限らず、上記したのとは別の環境情報や生体情報を計測するためのセンサーを具備した構成としてよい。例えば、湿度を計測する湿度センサーや、気圧を計測する気圧センサーを備えるとしてもよい。湿度センサーは、例えば、高分子抵抗式や高分子容量式、酸化アルミ容量式等のものを適宜選択して用いることができる。また、気圧センサーは、MEMS静電容量型やピエゾ抵抗型等のものを適宜選択して用いることができる。
次に、生体情報処理装置1は、生体情報や環境情報を計測するセンサー以外の構成として、本体ケース3の側面において、操作スイッチ21と、メモリーカード24へのデータの読み書きを実現するリーダーライター23とを備える。
本体ケース3の表面には、熱流センサー13の端面(保護層133b)を挟んで2つのタッチパネル251,253を備える。図5は、タッチパネル251,253の表示例を示す図である。各タッチパネル251,253には、センサー12〜15の計測結果が現在時刻等とともに表示される。各タッチパネル251,253の表示内容は、ユーザーが適宜設定できる。
また、生体情報処理装置1は、本体ケース3に内蔵された制御基板29を備える。制御基板29は、例えば、熱流センサー13の内側空洞部分に収容される。なお、熱流センサー13の外側に配置されたタッチパネル253との間の配線は、検出器137を避けて熱流センサー13に形成した貫通孔を通す等して接続される。
制御基板29には、CPU(Central Processing Unit)291、IC(Integrated Circuit)メモリーやハードディスク等の記憶媒体293、無線通信モジュール295等の電子部品が搭載される。その他にも、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、各種集積回路等の必要な電子部品を搭載することができ、センサー12〜15を駆動制御するICや回路等が適宜搭載される。生体情報処理装置1は、CPU291が記憶媒体293に格納されているプログラムを実行することによって、生体情報や環境情報の計測を継時的に実施する。
[原理]
サーカディアンリズム(1日周期の生体リズム)によって周期的に変動する生体情報としては、例えば、体温(皮膚温度)や血圧、眼圧、脈拍数等が挙げられる。しかし、これらの生体情報の周期変動は、生体リズム以外の要因(外乱)によっても変動する。例えば、体温や血圧等の生体情報は、外気温(環境温度)、ユーザーの運動、自律神経の働き等の影響を受けて変動することが知られており、生体リズムを正しく知るためには、計測結果に及んだ外乱の影響を除去する必要がある。
サーカディアンリズム(1日周期の生体リズム)によって周期的に変動する生体情報としては、例えば、体温(皮膚温度)や血圧、眼圧、脈拍数等が挙げられる。しかし、これらの生体情報の周期変動は、生体リズム以外の要因(外乱)によっても変動する。例えば、体温や血圧等の生体情報は、外気温(環境温度)、ユーザーの運動、自律神経の働き等の影響を受けて変動することが知られており、生体リズムを正しく知るためには、計測結果に及んだ外乱の影響を除去する必要がある。
そのために、本実施形態では、生体リズムに伴い周期変動する生体情報を計測するとともに、並行してその外乱要素を計測する。そして、生体情報の計測結果(第1計測結果)と外乱要素の計測結果(第2計測結果)とに基づき第1計測結果に外乱要素の影響が及んだ影響付与期間を判定し、第1計測結果を補正する。以下では、その一例として、熱流センサー13から出力される皮膚温度の計測値(より詳細には、測温体139aの検出温度)を第1計測結果とし、環境温度センサー12から出力される環境温度の計測値を第2計測結果とする場合を説明する。計測は、例えば、サンプリング周期を1[sec]として行う。
はじめに、次式(1),(2)に示すように、1[sec]毎の各サンプリング点において第1計測結果として得られる皮膚温度の計測値Tskin(t)を主信号Smain(t)、第2計測結果として得られる環境温度の計測値Tair(t)を副信号Ssub(t)と定義する。
図6は、皮膚温度および環境温度の各計測値をグラフ化した図である。図6において、ある時間帯T11では、皮膚温度と環境温度の双方が変動している。そして、何れも一旦下降した後上昇していることから、その変動には相関(正の相関)がある。このような時間帯は、環境温度の影響を受けて皮膚温度が変動したとき、すなわち、影響付与期間に該当する。上記したように、生体リズムを把握するためには、このような影響付与期間において、皮膚温度の計測値から環境温度の影響を除去する必要がある。
これに対し、別の時間帯T13等のように、皮膚温度は変動しているものの環境温度は変動していない(していても変動度合いが小さい)ときには、皮膚温度の計測値に環境温度の影響が及んでいるとは考え難い。そして、これとは逆の状況も起こり得る。つまり、環境温度は、皮膚温度に影響を及ぼす外乱要素であるが、環境温度が変動したからといって皮膚温度が変動するとは限らない。影響の有無や程度は、例えば、ユーザーの体調、着衣の状況等に関係していると考えられる。したがって、単純に環境温度が変動しているときを影響付与期間と判定してしまうと、生体リズムを反映した有用な計測値を外乱として除去する事態を招く問題がある。
そこで、影響付与期間を判定するにあたり、本実施形態では、主信号Smain(t)と副信号Ssub(t)のそれぞれを信号処理し、サンプリング点毎に計測値の変動度を算出する。具体的には先ず、計測値の変動度合いを強調するために、各サンプリング点において計測値の傾きを算出する。傾きは、注目するサンプリング点の前後所定時間τ1(例えばτ1=1[sec]とするのであれば、そのサンプリング点の1秒前から1秒後までの2秒間)における計測値の変化量として算出することができ、時間微分値ということもできる。主信号Smain(t)の傾きmmain(t)は次式(3)で表され、副信号Ssub(t)の傾きmsub(t)は次式(4)で表される。
図7は、図6の皮膚温度および環境温度からそれぞれ算出した皮膚温度の傾きと環境温度の傾きを示す図である。傾きをグラフ化すると、計測値が大きく変動している時間にピークが現れる。
続いて、主信号Smain(t)の傾きmmain(t)と副信号Ssub(t)の傾きmsub(t)のそれぞれについて所定時間毎の標準偏差を算出し、それらを主信号Smain(t)および副信号Ssub(t)の各々の変動度とする。例えば、注目するサンプリング点の標準偏差は、その前後所定時間τ2(例えばτ2=5[min]とするのであれば、そのサンプリング点の5分前から5分後までの10分間)に属する各サンプリング点の傾きに基づき算出する。傾きmmain(t)の標準偏差σmain(t)は次式(5)で表され、傾きmsub(t)の標準偏差σsub(t)は次式(6)で表される。
図8は、図7の皮膚温度の傾きおよび環境温度の傾きからそれぞれ算出した皮膚温度の変動度と環境温度の変動度を示す図である。図8中の時間帯T21は図6の時間帯T11と対応しており、皮膚温度および環境温度の双方にピークが現れている。一方、時間帯T23は図6の時間帯T13と対応しており、皮膚温度の変動度にはピークが現れている一方で、環境温度の変動度に大きな変化は見られない。
皮膚温度および環境温度のそれぞれについて変動度を算出したならば、皮膚温度に対する環境温度の影響度を算出する。例えば、次式(7)に従い、主信号Smain(t)の変動度である標準偏差σmain(t)と、副信号Ssub(t)の変動度である標準偏差σsub(t)との積をサンプリング点毎に算出し、影響度E(t)として得る。
図9は、図8の皮膚温度の変動度および環境温度の変動度からそれらの積として算出した影響度E(t)を示す図である。影響度E(t)をグラフ化すると、皮膚温度および環境温度の双方の変動度が大きい時間に高いピークが現れる。これに対し、一方の変動度のみが大きい時間では、現れるピークの高さは低くなる。
以上のようにして影響度E(t)を求めたならば、影響度E(t)を閾値判定する。例えば、図9に示す判定用閾値Th1を用い、影響度E(t)が判定用閾値Th1を超えているサンプリング点を抽出して影響付与期間T31,T33,T35を判定する。なお、図9では、判定用閾値Th1を「0.05」としているが、具体的な判定用閾値Th1の値は、例えば主信号と副信号の組合せや、後述する前処理の有無等によって適宜最適な値を設定してよい。
その後は、判定した影響付与期間に属する各サンプリング点の計測値を補正する。補正は、例えば、影響付与期間内の計測値を削除し、当該影響付与期間内の皮膚温度を線形補間やスプライン補間等の公知の手法を用いて補間することで行う。これによれば、皮膚温度の計測結果から、環境温度の影響を有用な計測値を削除することなく適正に除去することができる。
なお、影響度は、式(7)に示したような変動度の積に限定されない。すなわち、外乱要素(ここでは環境温度)が実際に外乱となって目的の生体情報(ここでは皮膚温度)に及ぼした影響を定量化できればよく、目的の生体情報の種類、想定される外乱やその程度等に応じて適宜算出式を設定してよい。
例えば、変動度の和を影響度として算出してもよい。具体的には、次式(8)に示すように、主信号Smain(t)の変動度である標準偏差σmain(t)と、副信号Ssub(t)の変動度である標準偏差σsub(t)との和をサンプリング点毎に算出し、影響度E´(t)としてもよい。
あるいは、皮膚温度と環境温度の各計測値の間の相関係数(例えばピアソンの積率相関係数)をサンプリング点毎に算出して用い、式(7)により算出した影響度E(t)を修正してもよい。注目するサンプリング点の相関係数は、その前後所定時間τ3に属する各サンプリング点の皮膚温度について算出した傾きの標準偏差と、当該所定時間τ3に属する各サンプリング点の環境温度について算出した傾きの標準偏差とを用いて算出する。τ3=τ2とすれば、相関係数は、式(5)によりサンプリング点毎に主信号Smain(t)の変動度として算出した標準偏差σmain(t)と、式(6)により副信号Ssub(t)の変動度として算出した標準偏差σsub(t)とを用いて算出できる。そして、次式(9)に示すように、影響度E(t)に相関係数r(t)を乗じて修正後の影響度E´´(t)を得る。
図10は、図9の影響度E(t)に相関係数r(t)を乗じて修正した影響度E´´(t)を示す図である。図10は、τ3=10[min]として相関係数r(t)を算出した場合の結果である。相関係数r(t)を乗じて修正した影響度E´´(t)では、皮膚温度と環境温度の間の相関性が高い時間ではピークがより高く、相関性が低いときではピークが低く修正される。したがって、影響付与期間を判定するための判定用閾値Th2を図9の判定用閾値Th1よりも小さい値に設定できる。また、相関係数を乗じることから、影響度E´´(t)は、正の相関があれば値は大きく、負の相関があれば値は小さく(負の値)なる。したがって、正の相関がある時間帯を影響付与期間と判定できる。したがって、影響付与期間をより正確に判定することが可能となる。
なお、相関係数r(t)は、上記のように傾きの標準偏差から算出する場合に限らず、主信号Smain(t)と副信号Ssub(t)をそのまま用いてそれらの標準偏差から算出するのでもよい。
また、影響度は、主信号Smain(t)と相関係数r(t)とから算出してもよい。具体的には、次式(10)に示すように、主信号Smain(t)と、上記の要領で算出した相関係数r(t)との積をサンプリング点毎に算出し、影響度E´´´(t)としてもよい。
図11は、図6の皮膚温度に相関係数r(t)を乗じて算出した影響度E´´´(t)を示す図である。ここで、図11の影響度E´´´(t)を例えば図9の影響度E(t)と比較すると、影響度E´´´(t)では、15:00〜16:00の時間帯において影響度E(t)と比べて高いピークが現れている。この時間帯の皮膚温度および環境温度の各計測値は、図6に示すように、その変動度合いは小さいものの何れも下に凸となっており、相関している(T15)。そのため、相関係数r(t)を乗じた影響度E´´´(t)にはピークが現れていると考えられる。これに対し、影響度E(t)の場合は、双方とも変動度合いが小さいため高いピークが得られていない。
このように、影響度E(t)は、計測値の変動度合いが小さい場合にピークが現れ難い傾向にあるものの、削除する計測値(欠損値)を抑えられる利点がある。一方、影響度E´´´(t)の場合、外乱の影響を多く受けている状況下では欠損値が増加してしまうが、相関係数r(t)を用いるため双方の相関性を重視して影響付与期間を判定することができる。また、その際、影響度E´´(t)の場合と同様に、正の相関がある時間帯を影響付与期間と判定できる。
[機能構成]
図12は、生体情報処理装置1の主要な機能構成例を示すブロック図である。図12に示すように、生体情報処理装置1は、センサー部10と、操作入力部111と、表示部113と、通信部115と、処理部200と、記憶部300とを備える。
図12は、生体情報処理装置1の主要な機能構成例を示すブロック図である。図12に示すように、生体情報処理装置1は、センサー部10と、操作入力部111と、表示部113と、通信部115と、処理部200と、記憶部300とを備える。
センサー部10は、図1又は図2に示した環境温度センサー12や熱流センサー13、モーションセンサー14、光センサー15を含み、生体情報や環境情報を計測するための複数のセンサーで構成される。
操作入力部111は、ユーザーによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作入力信号を処理部200へ出力する。ボタンスイッチやレバースイッチ、ダイヤルスイッチ、タッチパネル等により実現できる。図1では操作スイッチ21やタッチパネル251,253がこれに該当する。
表示部113は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置によって実現され、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。図1ではタッチパネル251,253がこれに該当する。
通信部115は、処理部200の制御のもと、外部との間でデータを送受するための通信装置である。この通信部115の通信方式としては、無線通信を利用して無線接続する形式や、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式、クレイドル等と呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。図1では、制御基板29に搭載された無線通信モジュール295がこれに該当する。
処理部200は、各機能部との間でデータの入出力制御を行い、所定のプログラムやデータ、操作入力部111からの操作入力信号、センサー部10を構成するセンサー12〜15の計測結果等に基づき各種の演算処理を実行して、ユーザーの生体情報を取得する。例えば、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサーや、ASIC、ICメモリー等の電子部品によって実現される。図1では、制御基板29に搭載されたCPU291がこれに該当する。
この処理部200は、第1計測結果取得部201と、第2計測結果取得部203と、変動度算出部205と、影響度算出部207と、閾値判定部209と、第1計測結果補正部211とを含む。
第1計測結果取得部201は、主信号となる目的の生体情報の計測結果(第1計測結果)を取得する。本実施形態では、第1計測結果取得部201は、熱流センサー13とともに第1計測部を構成し、皮膚温度の計測値を取得する。
第2計測結果取得部203は、副信号となる外乱要素の計測結果(第2計測結果)を取得する。本実施形態では、第2計測結果取得部203は、環境温度センサー12とともに第2計測部を構成し、環境温度の計測値を取得する。
変動度算出部205、影響度算出部207、閾値判定部209、および第1計測結果補正部211は計測制御部を構成し、第1計測結果取得部201が取得した主信号と、第2計測結果取得部203が取得した副信号とに基づく複合信号処理を行う。
変動度算出部205は、皮膚温度の計測値を主信号として用い、式(3)および式(5)により上記の要領で主信号の変動度を算出する。また、環境温度の計測値を副信号とし、式(4)および式(6)により上記の要領で副信号の変動度を算出する。
影響度算出部207は、主信号の変動度と、副信号の変動度とを用いて式(7)により影響度E(t)を算出する。式(8)により影響度E´(t)を算出し、式(9)により修正した影響度E´´(t)を算出し、あるいは式(10)により影響度E´´´(t)を算出してもよい。
閾値判定部209は、予め定められる判定用閾値を用いて影響度を閾値判定する。本実施形態では、影響度が判定用閾値を超えているサンプリング点を抽出し、影響付与期間を判定する。
第1計測結果補正部211は、影響付与期間の第1計測結果を補正する。本実施形態では、影響付与期間と判定された各サンプリング点における第1計測結果を削除し、削除したサンプリング点の皮膚温度を有効な周囲の第1計測結果で補間する。
記憶部300は、ICメモリーやハードディスク、光学ディスク等の記憶媒体により実現されるものである。この記憶部300には、生体情報処理装置1を動作させ、生体情報処理装置1が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、当該プログラムの実行中に使用されるデータ等が事前に記憶され、或いは処理の都度一時的に記憶される。図1では、メモリーカード24や、制御基板29に搭載された記憶媒体293がこれに該当する。
また、記憶部300には、生体情報処理プログラム301と、計測結果データ303とが格納される。
処理部200は、生体情報処理プログラム301を読み出して実行することにより、第1計測結果取得部201や第2計測結果取得部203、変動度算出部205、影響度算出部207、閾値判定部209、第1計測結果補正部211等の機能を実現する。なお、これらの機能部を電子回路等のハードウェアで実現する場合には、当該機能を実現させるためのプログラムの一部を省略することができる。
計測結果データ303は、センサー12〜15の出力値を用いて計測した各種生体情報や環境情報の計測結果を時系列で記憶する。この計測結果データ303は、第1計測結果データ(主信号)305と、第2計測結果データ(副信号)307とを含む。
[処理の流れ]
図13は、生体情報処理装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。ここで説明する処理は、処理部200が記憶部300から生体情報処理プログラム301を読み出して実行し、生体情報処理装置1の各部を動作させることで実現できる。計測に先立ち、生体情報処理装置1はユーザーに装着される。
図13は、生体情報処理装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。ここで説明する処理は、処理部200が記憶部300から生体情報処理プログラム301を読み出して実行し、生体情報処理装置1の各部を動作させることで実現できる。計測に先立ち、生体情報処理装置1はユーザーに装着される。
先ず、第1計測結果取得部201が、主信号となる第1計測結果を取得する処理を開始する(ステップS1)。例えば、熱流センサー13から皮膚温度の計測値を取得する。ここでの処理により、第1計測結果データ305にデータが格納されていく。
また、第2計測結果取得部203が、副信号となる第2計測結果を取得する処理を開始する(ステップS3)。例えば、環境温度センサー12から環境温度の計測値を取得する。ここでの処理により、第2計測結果データ307にデータが格納されていく。
その後、例えば所定時間分(例えば分単位や時間単位でもよいし、1日分やそれ以上の時間分であってもよい)の第1計測結果および第2計測結果が溜まったタイミングにおいて、ステップS5〜ステップS17の複合信号処理を行う。
先ず、変動度算出部205が、サンプリング点毎に第1計測結果の傾きを算出する(ステップS5)。そして、得られた傾きの標準偏差を算出して主信号の変動度を得る(ステップS7)。また、変動度算出部205は、サンプリング点毎に第2計測結果の傾きを算出する(ステップS9)。そして、得られた傾きの標準偏差を算出して副信号の変動度を得る(ステップS11)。
続いて、影響度算出部207が、ステップS7で算出した主信号の変動度と、ステップS11で算出した副信号の変動度とから、第1計測結果に対する第2計測結果の影響度E(t)を各サンプリング点について算出する(ステップS13)。そして、閾値判定部209が、判定用閾値を用いて影響度E(t)を閾値判定し、影響度E(t)が閾値用判定を超えているサンプリング点を抽出することで影響付与期間を判定する(ステップS15)。そして、第1計測結果補正部211が、影響付与期間の第1計測結果を削除・補間して補正する(ステップS17)。
その後は、計測を終了するまでの間は(ステップS19:NO)、ステップS5に戻って複合信号処理を繰り返す。終了する場合は(ステップS19:YES)、本処理を終える。
以上説明したように、本実施形態によれば、目的の生体情報に外乱要素の影響が及んだ影響付与期間を判定し、影響付与期間の生体情報を補正することができる。したがって、第1計測結果から外乱の影響を適正に除去することができる。これによれば、生体リズムに伴う所望の生体情報の周期変動を精度良く抽出し、生体リズムを取得することが可能となる。
なお、上記した実施形態では、主信号(第1計測結果)が皮膚温度の計測値であり、副信号(第2計測結果)が環境温度の計測値の場合を例示したが、主信号と副信号の組合せは、目的の生体情報と、その外乱となり得る外乱要素に応じて適宜選択してよい。別の組合せで第1計測結果を補正する場合も、上記した皮膚温度と環境温度の組合せの場合と同様の複合信号処理を適用できる。
例えば、目的の生体情報を皮膚温度とする場合、外乱要素は、湿度等の別の環境情報としてもよい。あるいは、外乱要素は、脈拍数や身体活動量等の別の生体情報としてもよい。ユーザーが運動したことに起因する体温(皮膚温度)の変動は、皮膚温度の計測結果から生体リズムを取得する場合に外乱となる。そのため、脈拍数や身体活動量を副信号として用いることで、その影響が及んだ皮膚温度の計測値を補正することができる。ここで、本例のように第1計測結果と第2計測結果の単位が異なる場合には、影響度の算出に先立ち各計測結果を正規化する前処理を行うとよい。
また、複数の外乱要素の計測結果を第2計測結果として用いてもよい。例えば、主信号を皮膚温度の計測値とし、副信号を環境温度や湿度、脈拍数、身体活動量等の複数の計測値としてもよい。
また、主信号と副信号の組合せの別の例として、例えば、収縮期血圧を主信号(第1計測結果)、脈拍数を副信号(第2計測結果)としてもよい。一般に、運動時は血圧が上昇することが知られており、生体リズムを取得する場合に外乱となる。そして、運動時には脈拍が上昇し、安静時には脈拍は下降するため、目的の生体情報が血圧である場合、脈拍数は外乱要素となる。
本変形例では、図12の第1計測結果取得部201は、光センサー15とともに第1計測部を構成して受光部155の出力値から収縮期血圧を算出する。一方、第2計測結果取得部203は、光センサー15とともに第2計測部を構成し、受光部155の出力値から脈拍数を算出する。
先ず、次式(11),(12)に示すように、1[sec]毎の各サンプリング点において第1計測結果として得られる収縮期血圧の計測値BPsys(t)を主信号Smain(t)、第2計測結果として得られる脈拍数の計測値PUL(t)を副信号Ssub(t)と定義する。
図14は、収縮期血圧および脈拍数の各計測値をグラフ化した図である。図6で説明した場合と同様に、収縮期血圧に発現する生体リズムを把握するためには、収縮期血圧の計測値から脈拍数の影響を除去する必要がある。
そのための影響付与期間の判定、詳しくは、収縮期血圧の計測値に脈拍数の影響が及んだ影響付与期間の判定は、上記した実施形態と同様に行うことができる。先ず、式(3),(4)に従って、主信号Smain(t)の傾きmmain(t)を算出し、副信号Ssub(t)の傾きmsub(t)を算出する。図15に、図14の収縮期血圧および脈拍数からそれぞれ算出した収縮期血圧の傾きと脈拍数の傾きを示す。
続いて、主信号Smain(t)の傾きmmain(t)と副信号Ssub(t)の傾きmsub(t)のそれぞれについて式(5),(6)に従い標準偏差を算出し、主信号Smain(t)の変動度と副信号Ssub(t)の変動度とを得る。図16に、図15の収縮期血圧の傾きおよび脈拍数の傾きからそれぞれ算出した収縮期血圧の変動度と脈拍数の変動度を示す。上記したように、脈拍数が変動している場合、それが運動によるものであれば、収縮期血圧にもその運動の影響が及んでいると考えられる。しかし、脈拍数が変動したからといって、必ずしも運動によるものとは限らない。そのため、図16に示すように、収縮期血圧が変動しているときと、脈拍数が変動しているときとは必ずしも一致していない。
収縮期血圧および脈拍数のそれぞれについて変動度を算出したならば、式(7)に従い、収縮期血圧に対する脈拍数の影響度E(t)を算出する。図17に、図16の収縮期血圧の変動度および脈拍数の変動度からそれらの積として算出した影響度を示す。
以上のようにして影響度E(t)を求めたならば、影響度E(t)を閾値判定する。例えば、図17に示す判定用閾値Th3を用いて影響付与期間を判定する。具体的な判定用閾値Th3の値は、最適な値を適宜設定してよい。
なお、本例においても、影響度は、変動度の積に限定されない。例えば、式(8)や式(9)、式(10)を選択的に用いて影響度を算出してもよい。
図18は、式(9)を用い、図17の影響度E(t)に相関係数r(t)を乗じて修正した影響度E´´(t)を示す図である。ここで、図17の影響度E(t)を例えば図18の影響度E´´(t)と比較すると、影響度E(t)では、時間帯T4において、判定用閾値Th3を超える高いピークが現れている。一方、図18に示すように、同じ時間帯T4の影響度E´´(t)は、負の値となっている。この時間帯T4の変動度をみると、図16に示すように、収縮期血圧では下に凸となっている一方、脈拍数では上に凸となっており、負の相関があることから、前後区間の相関が考慮される影響度E´´(t)は負の値となる。これに対し、式(7)により算出される影響度E(t)は、前後区間の相関が考慮されないために高いピークが現れてしまっている。
ここで、運動時の血圧変動は脈拍数の変動と正の相関を示すはずであり、負の相関時は影響付与期間には該当しない。原因としては、例えば、自律神経等の影響で脈拍が上昇し、血圧が低下したものと考えられる。したがって、本変形例の場合、式(9)により影響度E´´(t)を算出することで、式(7)により影響度E(t)を算出した場合と比べて影響付与期間をより正確に判定することが可能となる。なお、負の相関のあるところを影響付与期間として判定したい場合、具体的には、主信号とする生体情報と副信号とする環境情報や他の生体情報等との関係が外乱時において負の相関を示すことが事前にわかっているのであれば、判定用閾値を負の値に設定し、これを下回るサンプリング点を抽出する等して影響付与期間を判定するとしてもよい。
また、特定の組合せ(例えば上記した皮膚温度と環境温度や、収縮期血圧と脈拍数等)について複合信号処理を行う場合に限らず、生体情報処理装置1が計測可能な生体情報の各々を主信号(第1計測結果)とし、それ以外の環境情報や他の生体情報を副信号(第2計測結果)とする全ての組合せを対象に複合信号処理を行い、組合せ毎に主信号とした生体情報を補正するようにしてもよい。
あるいは、主信号とする生体情報と、副信号とする外乱要素との組合せを予め設定しておき、設定された組合せについて複合信号処理を行うのでもよい。これは、生体情報の種類に応じて、生物学的又は物理学的に外乱となり得る環境情報や他の生体情報が限定されるためである。例えば、目的の生体情報が皮膚温度の場合、上記した環境温度や脈拍数、身体活動量、湿度等が外乱となり得る一方で、血圧や気圧、SpO2等は皮膚温度の外乱要素とは考え難い。このように組合せを予め設定しておくことによれば、全ての組合せを対象に複合信号処理を行う場合と比べて消費電力を低減しつつ、目的の生体情報の計測結果から外乱の影響を適正に除去することができる。
また、上記した実施形態では、1日周期の生体リズムを取得する場合を例示したが、生体リズムには、1ヶ月程度の周期のもの(インフラディアンリズム)や、数十分から数時間程度の周期のもの(ウルトラディアンリズム)等、様々な周期のものが知られており、これらの生体リズムを取得する場合にも同様に適用できる。
1…生体情報処理装置、10…センサー部、12…環境温度センサー、13…熱流センサー、14…モーションセンサー、15…光センサー、111…操作部、113…表示部、115…通信部、200…処理部、201…第1計測結果取得部、202…第2計測結果取得部、205…変動度算出部、207…影響度算出部、209…閾値判定部、211…第1計測結果補正部、300…記憶部、301…生体情報処理プログラム、303…計測結果データ、305…第1計測結果データ、307…第2計測結果データ
Claims (10)
- 生体情報を計測する第1計測部と、
前記第1計測部とは異なる計測対象を計測する第2計測部と、
前記第1計測部の第1計測結果と、前記第2計測部の第2計測結果とに基づいて、前記第1計測結果に前記第2計測部の計測対象の影響が及んだ影響付与期間を判定し、当該影響付与期間の前記第1計測結果を補正する計測制御部と、
を備えた生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果に対する前記第2計測結果の影響度を算出することと、前記影響度を閾値判定することと、を行い、前記閾値判定の判定結果から前記影響付与期間を判定する、
請求項1に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果に基づき所定時間毎の前記第1計測結果の傾きの標準偏差を算出することと、前記第2計測結果に基づき所定時間毎の前記第2計測結果の傾きの標準偏差を算出することと、を行い、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差とを用いて前記影響度を算出する、
請求項2に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差との積を前記影響度として算出する、
請求項3に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差との和を前記影響度として算出する、
請求項3に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果と前記第2計測結果の間の相関係数を算出することと、前記影響度に前記相関係数を乗じて前記影響度を修正することと、を行う、
請求項4又は5に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差とを用いて前記相関係数を算出する、
請求項6に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第1計測結果に基づき所定時間毎の前記第1計測結果の傾きの標準偏差を算出することと、前記第1計測結果と前記第2計測結果の間の相関係数を算出することと、を行い、前記第1計測結果に係る標準偏差に前記相関係数を乗じることで前記影響度を算出する、
請求項2に記載の生体情報処理装置。 - 前記計測制御部は、前記第2計測結果に基づき所定時間毎の前記第2計測結果の傾きの標準偏差を算出すること、を行い、前記第1計測結果に係る標準偏差と前記第2計測結果に係る標準偏差とを用いて前記相関係数を算出する、
請求項8に記載の生体情報処理装置。 - 生体情報を計測する第1計測部と、前記第1計測部とは異なる計測対象を計測する第2計測部とを備えた装置が、前記生体情報を処理するための生体情報処理方法であって、
前記第1計測部の第1計測結果と、前記第2計測部の第2計測結果とに基づいて、前記第1計測結果に前記第2計測部の計測対象の影響が及んだ影響付与期間を判定し、当該影響付与期間の前記第1計測結果を補正すること、
を含む生体情報処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016114742A JP2017217255A (ja) | 2016-06-08 | 2016-06-08 | 生体情報処理装置および生体情報処理方法 |
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Publications (1)
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JP2017217255A true JP2017217255A (ja) | 2017-12-14 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2017217255A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019117069A (ja) * | 2017-12-26 | 2019-07-18 | 株式会社Nttドコモ | 生体情報処理装置、生体情報処理システム、生体情報処理方法及びプログラム |
WO2019235277A1 (ja) * | 2018-06-06 | 2019-12-12 | 株式会社村田製作所 | 貼付型生体用デバイス |
JP2021000349A (ja) * | 2019-06-24 | 2021-01-07 | 株式会社アコーズ | 健康管理機器及びその製造方法 |
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-
2016
- 2016-06-08 JP JP2016114742A patent/JP2017217255A/ja active Pending
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