WO2022085742A1 - 被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置、解析方法、及び解析プログラム - Google Patents

被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置、解析方法、及び解析プログラム Download PDF

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Abstract

本発明は、被検者の概日リズムをモニタリングし、そのデータ群から被検者の概日リズムの質を可視化し、提示することを課題とする。 被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置であって、前記解析装置は、制御部を備え、前記制御部は、前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得し、前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行い、前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成する、前記解析装置により、課題を解決する。

Description

被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置、解析方法、及び解析プログラム
 本明細書には、被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置、解析方法、解析プログラム、被検者の概日リズムの質を提示するための提示装置、提示方法、提示プログラム、被検者の健康を管理するための健康管理方法の提供方法、及び提供方法が開示される。
 看護師をはじめとする医療従事者等、交替制勤務による不規則な生活を続けている者は、概日リズム障害と呼ばれる病態に陥るリスクが高いことが知られている。近年、概日リズム障害は睡眠障害のみならず、心血管疾患、メタボリックシンドローム、生理不順、不妊症、うつ病等の気分障害、前立腺がんや乳癌等のがん等の発症リスクと相関することが明らかとなっている。
 一方、概日リズム障害を発症しているかいなかを、非侵襲的な、又は非侵襲的な生理指標で検出する方法は、有用な方法が確立されているとはいえない。
 本発明は、被検者の概日リズムをモニタリングし、そのデータ群から被検者の概日リズムの質を可視化し、提示することを課題とする。
 本発明のある実施形態は、被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置(10)に関する。解析装置(10)は、制御部(101)を備え、制御部(101)は、前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得し、前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行い、前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成する。
 好ましくは、前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標、交感神経の活動に関連する指標、副交感神経の活動に関連する指標、及び活動量に関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種である。
 好ましくは、前記概日リズムの質を示す情報が、睡眠に関連する情報を含む。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、前記周期回帰分析によって得られた周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して提示する情報を含む。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、前記周期回帰曲線のピーク位相時間、前記周期回帰曲線の振幅、前記周期回帰曲線のメサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の情報を含む。
 好ましくは、さらに、前記制御部は、前記周期回帰分析により取得された1周期における前記指標ごとのピーク位相とリズム度を示すベクトル情報を生成し、前記概日リズムの質に関連する情報が、生成されたベクトル情報の少なくとも1種を含む。
 好ましくは、前記概日リズムに関連する指標が血糖値に関する指標である時、前記概日リズムの質に関連する情報が、睡眠に関連する情報を含む。
 好ましくは、さらに、前記制御部は、前記被検者の腸内細菌叢の検査結果を取得し、前記腸内細菌叢の検査結果に基づいて、前記腸内細菌叢の構成を示す情報を生成する。
 好ましくは、前記周期回帰曲線のピーク位相時間、前記周期回帰曲線の振幅、前記周期回帰曲線のメサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の情報が基準範囲外となった時に、前記制御部は警告情報を出力する。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、ベクトル情報を含む場合において、ベクトルの大きさが基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、交感神経のベクトル情報と、副交感神経のベクトル情報を含む場合において、交感神経ベクトルと、副交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、交感神経のベクトル情報と、活動量のベクトル情報を含む場合において、交感神経ベクトルと、活動量ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、副交感神経のベクトル情報と、活動量のベクトル情報を含む場合において、副交感神経ベクトルと、活動量ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する。
 好ましくは、前記概日リズムの質に関連する情報が、血糖値に関連する指標から生成された血糖値のベクトルを含む場合であって、前記概日リズムの質に関連する情報が、交感神経のベクトル情報、副交感神経のベクトル情報、及び活動量のベクトル情報よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む時、血糖値ベクトルと、交感神経ベクトル、副交感神経ベクトル、及び活動量ベクトルよりなる群から選択される少なくとも1種との方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する。
 本発明のある実施形態は、測定装置(50)と、上記解析装置(10)を備える、被検者の概日リズムの質を解析するための解析システム(1000)に関する。
 本発明のある実施形態は、被検者の概日リズムの質を解析するための解析方法に関する。前期解析方法は、前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得することと、前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことと、前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成することと、を含む。
 本発明のある実施形態は、被検者の概日リズムの質を解析するための解析プログラム(1042)に関する。解析プログラム(1042)は、コンピュータに実行させた時に、コンピュータに、被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得するステップと、前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うステップと、前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成するステップと、を備える処理を実行させる。
 本発明のある実施形態は、被検者の概日リズムの質を提示するための提示装置(20)に関する。提示装置(20)は、制御部(201)を備え、制御部(201)は、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を提示し、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報は、前記被検者の概日リズムに関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種の指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことにより取得された前記周期回帰分析の結果に基づいて生成されたものであり、
   前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標、交感神経の活動に関連する指標、副交感神経の活動に関連する指標、活動量に関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種であり、前記概日リズムの質に関連する情報が、前記周期回帰分析によって得られた周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して示す情報を含む。
 好ましくは、さらに、制御部(201)は、睡眠に関連する情報を前記概日リズムの質に関連する情報として提示する。
 好ましくは、さらに、制御部(201)は、前記周期回帰分析により取得された1周期における各指標のピーク位相とリズム度を示すベクトル情報を前記概日リズムの質に関連する情報として提示する。
 好ましくは、さらに、前記制御部は、前記被検者の前記腸内細菌叢の検査結果に基づいて生成された、前記腸内細菌叢の構成を示す情報を前記概日リズムの質に関連する情報として提示する。
 本発明のある実施形態は、被検者の健康を管理するための健康管理方法の提供装置(30)に関する。提供装置(30)は、制御部(301)を備え、制御部(301)は、前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得し、前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行い、前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成し、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を出力し、被検者の概日リズムの質に関連する情報に基準範囲外の項目がある場合に、アドバイスメッセージを出力する。
 好ましくは、前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標であり、前記概日リズムの質に関連する情報が、睡眠に関連する情報を含む。
 本発明のある実施形態は、被検者の健康を管理するための健康管理方法の提供方法に関する。前記提供方法は、前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得することと、前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことと、前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成することと、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を出力すること、被検者の概日リズムの質に関連する情報に基準範囲外の項目がある場合に、アドバイスメッセージを提示すること、
とを、含む。
 好ましくは、前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標であり、前記概日リズムの質に関連する情報が、睡眠に関連する情報を含む。
 好ましくは、前記被検者が、シフト勤務従事者である。
 被検者の概日リズムの質を可視化できる。
周期回帰曲線の概要を示す。 (A)周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して提示する情報の例を示す。(B)概日リズムのベクトルの例を示す。(C)腸内細菌叢の構成を示す情報の例を示す。 解析システム1000の外観例を示す。 解析装置10のハードウエア構成を示す。 解析装置10の機能構成を示す。 解析プログラム1042の処理の流れを示す。 解析プログラム1042の処理の流れを示す。 解析プログラム1042の処理の流れを示す。 提示システム2000の外観例を示す。 提示装置20のハードウエア構成を示す。 提示例を示す。 提供システム3000の外観例を示す。 提供装置30のハードウエア構成を示す。 ボランティア被検者の各人の交感神経ベクトル、副交感神経ベクトル、及び活動量ベクトルを示す。 ボランティア被検者の各人の腸内細菌叢の構成を示す。 (A)は、PSQIと血糖値のリズム度の相関を示す。(B)は、PSQIと血糖値の振幅の相関を示す。(C)は、MEQと血糖値のリズム度の相関を示す。(D)は、PSQIと血糖値の振幅の相関を示す。 交感神経活動のリズム度と血糖値の振幅の相関を示す。 看護師2名(NS2020_3とNS2020_8)の食生活と睡眠の記録を示す。 NS2020_3とNS2020_8の概日リズムの質に関連する情報(周期回帰曲線と測定データ群のプロット)を示す。 (A)に今回の評価に参加した被検者全員の血糖値のリズム度と、休日-日勤日間の絶食時間の差との相関を示す。(B)に今回の評価に参加した被検者全員の血糖値の振幅と、休日-日勤日間の絶食時間の差との相関を示す。 被検者全員の活動量のリズム度と、休日-日勤日間の絶食時間の差との相関を示す。
1.解析方法の概要と用語の説明
 被検者の概日リズムの質を解析するための解析方法(以下、単に「解析方法」ともいう)は、(i)被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得することと、(ii)取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことと、(iii)周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成することを含む。
 本明細書において、「被検者」は、特に制限されない。好ましくは、シフト勤務従事者、学生等の生活リズムが不規則になりがちな者である。
 「概日リズムに関連する指標の測定データ群」(以下、単に「測定データ群」ともいう)は、各種測定装置によって経時的にモニタリングされた、概日リズムに関連する指標である生体情報の信号強度の生データの群、生データの群に対してノイズ除去処理を行った後のデータの群、ノイズ除去処理を行ったデータの群に関してさらに平滑化等の規格化を行ったデータの群等を含み得る。また、前記測定データは、各生データが測定された時の日付及び時間のデータを含む。
 概日リズムに関連する指標の測定データを取得することには、後述する各種測定装置を使ってデータを測定すること、又は後述する各種測定装置が測定した測定データをパーソナルコンピュータ、タブレット端末等の演算機能を有する端末あるいはヒトが受け取ることを含み得る。演算機能を有する端末による測定データの取得は、有線又は無線のネットワークを介して、あるいは記録媒体を介して行うことができる。また、概日リズムに関連する指標の測定データを取得することには、ヒトが演算機能を有する端末に測定データを入力し、それを演算機能を有する端末の制御部が受け付けてもよい。
 概日リズムに関連する指標は、例えば、血糖値に関連する指標、交感神経の活動に関連する指標、副交感神経の活動に関連する指標、及び活動量に関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
 血糖値に関連する指標は、測定装置によって測定した血糖値、食事時間、絶食時間等を含み得る。血糖値は、極めて微細なチューブを皮下に刺入留置し組織間液に含まれるブドウ糖濃度を測定することができる。あるいは、皮膚上から赤外線等の光を用いて組織間液に含まれるブドウ糖濃度を生データとして測定する。微細なチューブの留置及び腕時計タイプやウエアラブル端末による皮膚上から赤外線等の光を用いた測定のいずれも持続的な組織間液のブドウ糖濃度を連続測定可能である。また、組織間液に含まれるブドウ糖濃度は血糖値を反映する。血糖値は、飲食のタイミング、飲食品の摂取量を反映する。
 心拍変動周期は交感神経系の支配と、副交感神経系の支配を受けるため、心拍変動周期は、交感神経の活動に関連する指標と、副交感神経の活動に関連する指標となる。
 心拍変動周期は、ホルター心電計等の長時間心電図記録器、心拍センサを搭載したウエアラブル端末等により計測することができる。例えば、自律神経系のリズムを含む生体リズムの指標として、心拍変動周期を用いる場合、データの精度の点からホルター心電計を使用することが好ましい。例えば、ホルター心電計を使って心臓からの生データである電気信号を24時間、所定期間記録する。R波の間隔(R-R間隔)から、一定時間内における心拍数の変動周期を取得する。さらに、取得した変動周期の波形に対して、周波数解析やバンドパスフィルタを介した波形分離を行い低周波数の振幅を有する波形と高周波数の振幅を有する波形とに分離する。分離した変動周期の波形において、高周波数の振幅を有する波形の割合が高い時は、副交感神経活動が優位な状態、すなわち睡眠状態を表す。取得した変動周期の波形において、低周波数の振幅を有する波形の割合が高い時は、交感神経活動が優位な状態、すなわち覚醒状態を示す。
 活動量に関連する指標は、睡眠と覚醒のリズムから取得される被検者の活動量を示す概日リズムに関連する指標である。被検者の活動量は、加速度計を内蔵した腕時計型あるいはウエアラブル端末により、生データとして体動を検知する。継時的に連続して体動を測定することで、活動量の変動として検知することができる。被検者の活動量の周期変動と総活動量から活動リズムを測定できる。
 概日リズムに関連する指標に関する測定データ群は、経時的に、好ましくは経日的に所定期間にわたり一人の被検者において計測された生体情報の生データの群に由来する。所定期間は、1日以上、2日以上、5日以上、7日以上、10日以上、14日以上、21日以上、1ヶ月以上、2ヶ月以上、4ヶ月以上、6ヶ月以上、1年以上、2年以上、3年以上、5年以上行われることが好ましい。生データの計測は、所定期間にわたり継続的に行ってもよいが、断続的に行ってもよい。断続的に生データを計測する場合には、例えば一定時間継続して生データを計測し、一定時間生データの計測を休止するというサイクルを繰り返すことができる。この計測と計測休止の間隔は概日リズムに関連する指標に応じて選択することができる。例えば、1秒おき、5秒おき、30秒おき、1分おき、5分おき、10分おき、20分おき、30分おき、又は60分おきに計測と計測休止を繰り返すことができる。計測時間と計測休止時間は同じであってもよいが、異なっていてもよい。
 各種測定装置から演算機能を有する端末への生データの群あるいは測定データの送信は、リアルタイムであってもよく、10分ごと、20分ごと、30分ごと、1時間ごと、2時間ごと、3時間ごと、4時間ごと、6時間ごと、8時間ごと、12時間ごと、又は24時間ごとのデータパケットに分けて送信してもよい。
 概日リズムの質に関連する情報は、被検者の睡眠に関連する情報;周期回帰分析によって得られた周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して提示する情報;周期回帰曲線のピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の情報;前記周期回帰分析により取得された1周期における前記指標ごとのピーク位相とリズム度を示すベクトル情報;被検者の腸内細菌叢の構成を示す情報等を含み得る。
 取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行い、被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成する。一般的に、ヒトにおける概日リズムの1周期の時間は、24から25時間程度である。自律神経のリズムを含む生体リズムの周期は、正常人ではこの周期から大きく逸脱することはない。しかし、社会的な生活リズムは、個人の概日リズムの1周期の時間と関係なく、24時間である。このため、本明細書では、1周期を24時間として扱う。
 周期回帰分析は、各指標について24時間を1周期とする周期回帰曲線を取得できる方法である限り制限されない。各概日リズムに関連する指標に関する測定データ群から、被検者の概日リズムの1周期の時間及びリズムの強度(振幅)を決定することができる。例えば、概日リズムに関連する指標に関する測定データ群それぞれに対し、カイ二乗ピリオドグラム、高速フーリエ展開、機械学習等を活用した解析により、1周期の時間及びリズムの強度(振幅)を定量的に算出することができる。例えば周期回帰分析の手法として、コサイナー法を挙げることができる。図1にコサイナー法により得ることができる周期回帰曲線の例を示す。太い実線で描かれた曲線が周期回帰曲線を示し、細い実線で描かれた線は、測定データ群のプロットを示す。周期回帰曲線と測定データ群のプロットは、測定データの取得時間で同期されている。符号kで表される破線は周期回帰曲線のピークを示す。符号lで表される破線は、周期回帰曲線の推定正中線を示し、推定正中線は、周期回帰曲線の中央値(メサー:mesor)を示す。24時間の1周期は第1のピークの時間(ピーク位相:acrophase)から第2のピーク位相までとなる。言い換えると被検者の概日リズムの1周期が24時間でなくとも、周期回帰分析では、24時間に周期に正規化されることとなる。周期回帰曲線の振幅(amlitude)は、メサーからのピーク位置までの高さで表される。すなわち、周期回帰分析により得られる周期回帰曲線のピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、及びメサーは、それぞれ概日リズムの質に関連する情報を構成しうる。また、周期回帰曲線そのものも、概日リズムの質に関連する情報を構成しうる。例えば、図2(A)に示すように、周期回帰曲線と測定データ群のプロットを同期して提示する情報(図2(A)では複合グラフ)も概日リズムの質に関連する情報を構成しうる。図2(A)は、例示的に血糖値の例を示しているが、交感神経の活動に関連する指標、副交感神経の活動に関連する指標、及び活動量に関連する指標に関しても、同様の提示が可能である。
 さらに、上述したように、周期回帰曲線は、被検者の概日リズムが不安定になっていたり、また24時間周期となっていなくても、被検者の概日リズムを24時間を1周期とする曲線に正規化している。これは、社会的活動を規定する時間秩序が24時間周期で定まっていることから、被検者の社会的周期との「ズレ(不適合)」を評価するためである。このため、周期回帰曲線から実際の測定データ群の周期がどのくらいずれているかを示す被検者の各指標のリズム度(percentage rhythm)を算出することにより、被検者の各指標のリズムがどのくらい安定して整ったリズムなっているか、またどのくらい社会的に規定される周期(生活時間)に適応できているのかを評価することができる。
 リズム度は、下式で算出することができる。
 percentage rhythm=100×[(1-RSS)]/TSS]
 (式中、
  「RSS」は、残差平方和(Residual sum of squares)を示す。
  「TSS」は、総平方和(Total sum of squares)を示す。  「×」は乗算を示す。
  「-」は減算を示す。
  「/」は除算を示す。)
 リズム度もまた、概日リズムの質に関連する情報を構成しうる。
 周期回帰曲線のピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の基準範囲は、例えば、概日リズムに攪乱を来していない陰性対照者と概日リズムに攪乱を来している陽性対照者の概日リズムから決定することができる。基準範囲は、陰性対照者の概日リズムと、陽性対照者の概日リズムとを最も精度よく分類できる基準値から設定することができる。ここで、「最も精度よく分類できる基準値」は、平均値、中央値、最頻値、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などの指標に基づいて適宜設定することができる。
 周期回帰分析により、1周期における前記指標ごとの高値時間(ピーク位相)と概日リズムの安定性(リズム度)を示すベクトル(ピーク位相の極座標プロットともいう)を得ることができる。具体的には、各指標のピーク位相と、リズム度は、24時間取得したそれぞれの指標の測定データ群に対してコサイナー法により、フィッティング、及び定量化して算出する。また、ピーク位相と、リズム度は、極座標として算出される。
 各ベクトルは、図2(B)に示すように360°を24時間とした円グラフによって示される。図2(B)において0は午前0時を示し、90°は午前6時を示し、180°は正午を示し、270°は午後6時を示す。円グラフの中心は、周期回帰曲線の振幅が0(メサー)を示す。ベクトルは、原点から極座標に向かって記され、ベクトルの方向は、位相、すなわち最も変動が大きかった高値時間、又は変動がピークに達した時間を示す。ベクトルの長さは、リズム度、すなわち概日リズムの安定性を示す。ベクトル情報は、ベクトルの方向、及び長さの要素を含み、周期回帰分析によって得られたメサーと極座標から生成される。
 また、概日リズムが正常である場合、血糖値、交感神経活動、副交感神経活動、及び活動リズムはそれぞれの位相関係に決まった相関がある。例えば交感神経活動と副交感神経活動は逆の位相のリズムを示し、血糖値、及び活動リズムは交感神経活動のリズムに一致した位相を示す。この位相関係なども生体リズムの指標として有用である。
 各ベクトルの評価は、2つの指標のベクトルの方向の差を用いて行うことができる。例えば、図2(B)において、符号aで表されるベクトルは交感神経ベクトルを示し、符号bで表されるベクトルは副交感神経ベクトルを示し、符号cで表されるベクトルは被検者の活動量ベクトルを示す。概日リズムが正常な被検者である場合、交感神経と副交感神経の位相は通常逆の位相を示すため、交感神経ベクトルと副交感神経ベクトルは逆方向となる。また、被検者の活動量は、交感神経の活動と相関するため、活動量ベクトルは、交感神経ベクトルと重なるか、少なくとも同じ方向を示し、副交感神経ベクトルは逆方向となる。血糖値ベクトルは、飲食の時間帯の影響を受け、正常な場合は活動量ベクトル及び交感神経ベクトルと同じ方向を示す。しかし、不規則な食事によってベクトル値が変化することで他のベクトルとの位相関係が変化する。また、血糖値ベクトルは活動量ベクトル及び交感神経ベクトルと相関があり、活動リズムや交感神経活動リズムが異常を示す場合に、血糖値ベクトルが日常生活における概日リズム異常の原因の推定に利用できる。
 心拍変動周期からは、交感神経の活動時間のピーク位相と、交感神経の活動のリズム度を示す交感神経ベクトルと副交感神経の活動時間のピーク位相と、副交感神経の活動のリズム度を示す副交感神経ベクトルとを生成する。
 活動リズムからは、被検者の活動時間のピーク位相と、活動量のリズム度を示す活動量ベクトルを生成する。
 血糖値からは、血糖値変動のピーク位相と、血糖値変動のリズム度を示す血糖値ベクトルを生成する。
 概日リズムが乱れている場合、このベクトルの方向の関係に撹乱が生じる。もしくは、ベクトルの方向に撹乱が生じていなくても、ベクトルの長さが基準範囲外である場合、好ましくは基準範囲よりも短い場合には、概日リズムが乱れていることが考えられる。血糖値、交感神経活動、副交感神経活動、及び活動リズムそれぞれの位相関係が基準範囲外である場合も、概日リズムが乱れていることが考えられる。
 例えば、交感神経ベクトルと、副交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、概日リズムが乱れていると決定することができる。交感神経ベクトルと、副交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲内である時に、概日リズムが乱れていないと決定することができる。この場合、基準範囲は、例えば、交感神経ベクトルを基準とし、150°から210°(時間に換算すると、交感神経ベクトルを基準として時計回りに10時間から14時間)の範囲とすることができる。
 また、例えば、活動量ベクトルと、副交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、概日リズムが乱れていると決定することができる。活動量ベクトルと、副交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲内である時に、概日リズムが乱れていないと決定することができる。この場合、基準範囲は、例えば、活動量ベクトルを基準とし、150°から210°(時間に換算すると、交感神経ベクトルを基準として時計回りに10時間から14時間)の範囲とすることができる。
 さらに、活動量ベクトルと、交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、概日リズムが乱れていると決定することができる。活動量ベクトルと、交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲内である時に、概日リズムが乱れていないと決定することができる。この場合、基準範囲は、例えば、活動量ベクトルを基準とし、-45°から+45°(時間に換算すると、交感神経ベクトルを基準として±3時間)の範囲とすることができる。
 例えば、交感神経ベクトルと、副交感神経ベクトル、又は活動量ベクトルの少なくとも一つの大きさが、基準範囲外、もしくは基準範囲以下である時、概日リズムが乱れていると決定することができる。交感神経ベクトルと、副交感神経ベクトル、又は活動量ベクトルの少なくとも一つの大きさが、基準範囲内、もしくは基準範囲を超える時、概日リズムが乱れていないと決定することができる。
 基準範囲は、例えば、概日リズムに攪乱を来していない陰性対照者と概日リズムに攪乱を来している陽性対照者の概日リズムから決定することができる。基準範囲は、陰性対照者の概日リズムと、陽性対照者の概日リズムとを最も精度よく分類できる基準値から設定することができる。ここで、「最も精度よく分類できる基準値」は、平均値、中央値、最頻値、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などの指標に基づいて適宜設定することができる。
 生成された各ベクトルは、例えば被検者が身につけているウエアラブル端末の表示部に各ベクトルを識別できるように出力する。識別可能であるとは、被検者、被検者の健康管理を行う者等のヒトが目視し、識別できる限り制限されない。例えば、各ベクトルの色を変えて提示することにより識別可能となる。また、各ベクトルが基準範囲外である時、例概日リズムが乱れていることを示す、警告情報を出力してもよい。警告情報は、文字情報であってもよく、感嘆符等のマークであってもよく、アラーム音であってもよい。
 解析方法は、さらに、前記被検者の腸内細菌叢の検査結果を取得し、前記腸内細菌叢の検査結果に応じて、腸内細菌叢の構成を示す情報を生成することができる。腸内細菌叢の構成を示す情報の例を図2(C)に示す。図2(C)の例では、腸内細菌叢の構成が円グラフで表されているが、棒グラフ等で表してもよい。また、生成された腸内細菌叢の構成を示す情報に基づいて、前記腸内細菌叢が基準範囲内であるかいなかを示す情報を出力してもよい。腸内細菌叢の情報は、便の細菌培養検査、メタゲノム解析等で取得することができる。腸内細菌叢の情報は、例えば、1ヶ月ごと、6ヶ月後と、又は1年ごとに取得することができる。概日リズムが乱れていない被検者の腸内細菌叢は、主にフィルミクテス門、バクテロイデス門、アクチノバクテリア門、プロテオバクテリア門の4門に分類される細菌から構成される。したがって、これらの細菌が占める割合が、腸内細菌の10%以下、好ましくは5%以下である場合には、腸内細菌叢は基準範囲内であると判定することができる。一方、概日リズムが乱れた場合、これら4門の細菌以外の細菌群が出現する。ベルコミクロビア門、フソバクテリア門、デスルホバクテイリア門等が出現する。
 ここで、概日リズムの乱れによる腸内細菌叢は、比較的慢性的に概日リズムが乱れた場合に起こりうる。したがって、上記各ベクトルの方向や大きさが基準範囲外となっても、腸内細菌叢が基準範囲内である場合には、概日リズムが乱れてから比較的日が浅いと判定することができる。一方、上記各ベクトルの方向や大きさが基準範囲外であり、かつ腸内細菌叢も基準範囲外である場合には、概日リズムの乱れが慢性的になっていると判定することができる。このように、慢性的な概日リズムの乱れが認められる被検者に対しては、概日リズムを正常に戻すための、積極的な治療が必要となる。
 睡眠に関連する情報は、例えば睡眠日誌、睡眠の質に関する情報、クロノタイプ、日中の眠気に関する情報を含み得る。一般的に睡眠に関しては、睡眠日誌、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、エプワース眠気尺度(ESS)、朝型夜型質問票(MEQ)、及び自覚症状等のような患者への問診を行うことにより評価する。
 PSQIは睡眠の質を評価するための質問票である。この質問票では、睡眠時問、入眠潜時(寝床に入つてから実際に眠るまでの時間)、中途覚醒の回数といった睡眠に関する量的な内容と、「深く眠ることができたか」、「十分に眠れたと感じているか」というような自分の睡眠への感じ方(睡眠に関する主観的な内容)から睡眠を総合的にとらえ、「睡眠の質」と定義している。PSQIでは、点数が高い方が、睡眠の質が低いと判定される。
 ESSは、日中の眠気を測定する国際的に使用されている質問票である。この質問票では、日常の様々な状況下で、どれくらい「うとうとしそうになるか」という可能性を回答してもらい、どの程度日中に眠気を感じているかを測定する。ESSは、点数が高い方が日中の眠気が強いと判定される。
 MEQは、朝型、夜型という自分のクロノタイプを判定する質問票である。自分が最も活動的な時間、何かを実行するために適した時間等を被検者に回答してもらい判定を行う。この質問票によって得られたクロノタイプは、体温の位相(ピーク時刻)と関連することが知られており、被検者の体内時計の特性を知ることができる。MEQは、点数が高い方が朝方、低い方が夜型である。
 PSQI、ESS、MEQは、いずれも質問票を用いた判定方法であるため、これらの方法で睡眠に関連する情報を得ようとすると、被検者にこれらの質問票に回答してもらう必要があり煩雑である。しかし、後述する「効果の検証」で述べるように、概日リズムに関連する指標、特に、血糖値に関連する指標は、睡眠の質、クロノタイプと相関する。このため、あらかじめ、陰性対照者、及び陽性対照者から得られた各指標の周期回帰分析の結果と、PSQI、ESS、又はMEQで得られた点数を紐づけておくことにより、睡眠に関連する情報を生成することができる。
2.解析システム1000
 被検者の概日リズムの質を解析するための解析システム1000(以下、単に「システム1000」ということもある)の構成例を図3に示す。
 システム1000は、被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置10(以下、単に「解析装置10」ということもある)と測定装置50とを備えている。解析装置10は、入力デバイス111、及び出力デバイス112と接続されていてもよい。測定装置50として、ホルター心電計(例えば、日本光電工業株式会社より発売されている長時間心電図解析装置DSC-5000シリーズ、フクダ電子株式会社より発売されている長時間心電図記録解析装置WR-100シリーズ)、心拍センサを搭載したウエアラブル端末、活動量計(例えば、フィリップス・ジャパン会社より発売されているアクティウォッチスペクトラムシリーズ)、血糖値モニタ機(例えば、アボットジャパン合同会社製FreeStyleリブレPro)を例示できる。これらの機器は、複数種の測定機能が1台の装置に搭載された複合機であってもよい。
2-1.測定装置50
 以下に、図4及び図5を用いて、測定装置50のハードウエア構成及び機能構成について説明する。ただし、測定装置50は、公知の装置であるので、測定装置50のハードウエア構成及び機能構成の詳細は、メーカーから提供される各測定装置50の仕様にしたがう。
(1)測定装置50のハードウエア構成
 図4に、本実施形態で使用する測定装置50のハードウエア構成を示す。測定装置50は、被検者の生体情報の生データを計測する測定部51と、測定装置を制御する制御部52を備える。制御部52は、CPU(Central Processing Unit)521と、通信インタフェース(I/F)531と、出力部541を備える。CPU521は、測定部51が計測した生データの群に基づいて被検者の概日リズムに関連する指標の測定データを生成する等の演算処理を行う。通信I/F531は、生成した前記測定データを解析装置10に送信する。出力部541は、ディスプレイ等から構成され、通信I/F531が解析装置10から受信した各種概日リズムの質に関連する情報、各種警告情報等を表示、又は音で出力する。
(2)測定装置50の機能構成
 図5に測定装置50の機能構成を示す。測定装置50は、測定手段M51と、測定データ生成手段M52と、測定データ通信手段M53と、出力手段M54とを備える。測定手段M51は、測定部51が生データを計測する際にCPU521が行う測定部51に対する制御処理が該当する。測定データ生成手段M52は、測定部51が計測した生データの群に基づいてCPU521が被検者の概日リズムに関連する指標に関する測定データを生成する演算処理に該当する。測定データ通信手段M53は、CPU521が行う、通信I/F531を介して測定データを解析装置10に送信する処理と、CPU521が行う、通信I/F531を介して解析装置10から受信した各種ベクトル、各種警告情報等を出力部541に出力する処理が該当する。
2-2.解析装置10
 本実施形態は、上記1.の概要で述べた解析方法を実現するための解析装置10に関する。以下、図4及び図5丁目を用いて解析装置10のハードウエア構成及び機能構成について説明する。
(1)解析装置10のハードウエア構成
 図4に、解析装置10のハードウエア構成を示す。解析装置10は、汎用コンピュータであり得る。解析装置10は、入力デバイス111と、出力デバイス112と、メディアドライブ113と通信可能に接続されている。解析装置10は、CPU101と、メモリ102と、ROM(read only memory)103と、記憶デバイス104と、通信インタフェース(I/F)105と、入力インタフェース(I/F)106と、出力インタフェース(I/F)107と、メディアインターフェース(I/F)108とを備える。解析装置10内の各構成はバス109によって互いにデータ通信可能に接続されている。
 記憶デバイス104は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等によって構成される。記憶デバイス104には、オペレーティングシステム(OS)1041と、後述する解析プログラム1042と、基準範囲データベース(DB)DB1と、警告情報データベース(DB)DB2とが格納されている。解析プログラム1042は、オペレーティングシステム1041と協働して、コンピュータを解析装置10として機能させる。
 CPU101は、本実施形態において制御部101とも呼ばれる。
 基準範囲データベースDB1は、上記1.で述べた基準範囲を格納している。
 入力デバイス111は、タッチパネル、キーボード、マウス、ペンタブレット、マイク等から構成され、解析装置10に文字入力又は音声入力を行う。入力デバイス111は、制御部101の外部から接続されても、解析装置10と一体となっていてもよい。
 出力デバイス112は、例えばディスプレイ等の表示デバイス、プリンタ等で構成され、各種操作ウインドウ、解析結果等を出力する。
 メディアドライブ113は、USBドライブ、フレキシブルディスクドライブ、CD-ROMドライブ、又はDVD-ROMドライブ等であり得る。
 通信I/F105は、測定装置50から生データの群の受信を行う。出力I/F107は、出力デバイス112への結果の送信を行う。
 ここで、測定装置50は、解析装置10と一体になっているか、解析装置10に組み込まれていてもよい。
(2)解析装置10の機能構成
 図5に解析装置10の機能構成を示す。
 解析装置10は、測定データ取得手段M10と、周期解析分析手段M11と、ベクトル生成手段M12と、比較手段M13と、結果出力手段M14と、を備える。測定データ取得手段M10と、周期解析分析手段M11と、ベクトル生成手段M12と、比較手段M13と、結果出力手段M14は、それぞれ、後述するステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS22及びステップS3に該当する。
2-3.解析プログラムの処理
 図6及び図7を用いて、解析プログラム1042の処理の例を説明する。
 制御部101は、オペレータが入力デバイス111から入力した処理開始指令を受け付け、図6に示すステップS1において、測定装置50から、被検者の概日リズムに関連する指標に関する測定データ群を取得する。上記1.で述べた概日リズムに関する指標、測定データ群に関する説明は、ここに援用する。
 次に、制御部101は、ステップS2において、例えば、ステップS1で取得した測定データ群が一定時間分蓄積したことをトリガとして、測定データ群に対して周期回帰分析を実行する。上記1.で述べた周期回帰分析に関する説明は、ここに援用する。
 次に、制御部101は、ステップS2が終了したことをトリガとして、又はオペレータが入力デバイス111から入力した開始指令を受け付け、ステップS3において、ステップS2において実行した周期解析分析の結果に基づいて、概日リズムの質に関連する情報を生成する。概日リズムの質に関連する情報の生成方法は、上記1.の説明を援用する。したがって、ベクトル情報もこのステップで生成される。
 制御部101は、ステップS4において、オペレータが入力デバイス111から入力した処理終了の指令の入力を受け付けるまで、ステップS1からステップS3を繰り返す。制御部101は、ステップS4において、オペレータが入力した処理終了の指令を受け付けた場合(「YES」の場合)、処理を終了する。
 さらに、解析プログラム1042は、ステップS2とステップS3の間に、図7月に示す処理を備えていてもよい。
 制御部101は、ステップS2の終了をトリガとして、図7のステップS21において、基準範囲データベースDB1から、ピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種、各ベクトル、又は2つのベクトルの差の基準範囲を取得する。続いてステップS22において、制御部101は、ピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種、各ベクトル、又は2つのベクトルの差が、基準範囲内であるか否かを判定する。制御部101は、基準範囲内である場合(「YES」の場合)には、ステップS3へ進む。制御部101は、ステップS22において、ステップS2において取得されたピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種、各ベクトル、又は2つのベクトルの差が基準範囲から逸脱した場合(「NO」の場合)には、ステップS23に進み、警告情報データベースDB2から、対応する警告情報を選択し、警告情報を出力する。警告情報は、例えば、解析装置10の出力デバイス112、又は測定装置50の出力部541に警告マークとして表示される。上記1-1.で述べた各ベクトル、又は2つのベクトルの差がどのような場合に基準範囲を逸脱していると判定できるかの説明は、ここに援用する。
 さらに、解析プログラム1042は図8に示す、被検者の腸内細菌叢の情報を取得し、被検者の概日リズムの乱れが、慢性的なものであるか否かの判定を行ってもよい。図8のスッテプS31において、制御部101は、被検者の腸内細菌叢の情報を取得する。この取得は、オペレータが入力デバイス111から入力した情報を制御部101が受け取ることもできる。また、例えば、検査会社から送信された検査結果を制御部101が通信I/F105を介して取得することもできる。あるいは、メディアドライブ113から制御部101が読み込んでもよい。
 制御部101は、ステップS32において、腸内細菌叢の基準範囲を取得する。ステップS31と、ステップS32は逆であってもよい。
 次にステップS33において、制御部101は、被検者の腸内細菌叢が基準範囲であるか否かを判定する。基準範囲であるか否かは、上記1.に記載の方法により判定できる。
 ステップS33において、腸内細菌叢が、基準範囲内である場合(「YES」の場合)、制御部101はステップS34に進み、概日リズムの乱れは慢性的でないと判定する。
 ステップS33において、腸内細菌叢が、基準範囲内である場合(「NO」の場合)、制御部101はステップS35に進み、概日リズムの乱れは慢性的であると判定する。
続いて、制御部101はステップS36に進み、警告情報を出力する。警告情報は、上記ステップS23の例示をここに援用する。警告情報は、ステップS23と同様であってもよいが、異なっていてもよい。
 さらに、制御部101は、警告情報を出力する際に、各被検者の腸内細菌叢の構成割合を円グラフや棒グラフで解析装置10の出力デバイス112、又は測定装置50の出力部541に提示してもよい。
3.提示システム2000
 被検者の概日リズムの質を提示するための提示システム2000(以下、単に「システム2000」ということもある)の構成例を図9に示す。
 システム2000は、被検者の概日リズムの質を提示するための提示装置20(以下、単に「提示装置20」ということもある)と測定装置50とを備えている。提示装置20は、入力デバイス211、及び出力デバイス212と接続されていてもよい。測定装置50は、上記2.で述べたとおりである。
3-1.提示装置20
 図10に提示装置20のハードウエア構成を示す。提示装置20の構成は解析装置10と同様である。ただし、提示装置20の記憶デバイス204には、解析プログラム1042、基準範囲データベースDB1の他、提示プログラム2042及び提示様式データベース(DB)DB3が格納されている。
3-2.提示プログラムの処理
 提示装置20の制御部201は被検者の概日リズムの質に関連する情報を提示する。被検者の概日リズムの質に関連する情報の生成処理は、上記1.及び2-3.において述べたとおりである。
 提示様式データベースDB3に格納されている提示様式の例を図11に示す。提示装置20が提示する提示様式は、少なくとも各指標について周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して提示する情報を記載する領域pを備える。領域pに記載される指標は、1種であっても複数種であってもよい。少なくとも血糖値に関連する指標が記載されることが好ましい。また、提示様式は、ベクトル情報を提示する領域vを備えていてもよい。また、提示様式は、腸内細菌叢に関連する情報を記載する領域fを備えていてもよい。提示様式は、このほかに、絶食時間、各指標の周期回帰曲線のピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の情報を記載する領域を備えていてもよい。
 被検者の概日リズムの質の提示は、例えば、提示装置20の出力デバイス212、又は測定装置50の出力部541を介して行われる。
4.提供システム3000
 被検者の健康を管理するための健康管理方法の提供システム3000(以下、単に「システム3000」ということもある)の構成例を図12に示す。
 システム3000は、被検者の健康を管理するための健康管理方法を提供するための提供装置30(以下、単に「提供装置30」ということもある)と測定装置50とを備えている。提供装置30は、入力デバイス311、及び出力デバイス312と接続されていてもよい。測定装置50は、上記2.で述べたとおりである。
4-1.提供装置30
 図13に提供装置30のハードウエア構成を示す。提供装置30の構成は解析装置10と同様である。ただし、提供装置30記憶デバイス304には、解析プログラム1042、基準範囲データベースDB1の他、提示プログラム2042、提供プログラム3042、提示様式データベースDB3、及びアドバイスメッセージデータベース(DB)DB4が格納されている。
4-2.提供プログラムの処理
 提供装置30の制御部301は被検者の概日リズムの質に関連する情報を提示する。被検者の概日リズムの質に関連する情報の生成処理は、上記1.及び2-3.において述べたとおりである。
 また、提供装置30の制御部301は、図7のステップS21において、基準範囲データベースDB1から、ピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種、各ベクトル、又は2つのベクトルの差の基準範囲を取得する。続いてステップS22において、制御部301は、ピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種、各ベクトル、又は2つのベクトルの差が、基準範囲内であるか否かを判定する。基準範囲内である場合(「YES」の場合)には、ステップS3へ進む。ステップS22において、ステップS2において取得されたピーク位相時間、周期回帰曲線の振幅、メサー及びリズム度から選択される少なくとも1種、各ベクトル、又は2つのベクトルの差が基準範囲から逸脱した場合(「NO」の場合)には、ステップS23に進み、警告情報を出力する。警告情報は、例えば、提供装置30の出力デバイス312、又は測定装置50の出力部541に警告マークとして表示される。上記1-1.で述べた各ベクトル、又は2つのベクトルの差がどのような場合に基準範囲を逸脱していると判定できるかの説明は、ここに援用する。
 この警告情報は、単に基準範囲を超えたことを意味するものの他、アドバイスメッセージであってもよい。制御部301は、例えば、少なくとも一つの概日リズムの質に関連する情報に対して、警告情報が発せられる条件を満たした時、当該情報に関連する指標を改善するためのアドバイスメッセージをアドバイスメッセージデータベースDB4から選択し、提供することができる。より具体的には、睡眠に関連する情報や交感神経の活動に関連する項目に警告が出た場合、食生活を規則正しくするように促すメッセージをアドバイスメッセージデータベースDB4から選択し、提供装置30の出力デバイス312、又は測定装置50の出力部541から出力し、提供することができる。
 アドバイスの提示は、人が行ってもよい。
5.プログラムを記録した記録媒体
 解析プログラム1042、提示プログラム2042、及び提供プログラム3042は記録媒体に記録されていてもよい。
 すなわち、各プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記録媒体に記憶される。また各プログラムは、クラウドサーバ等のネットワークで接続可能な記録媒体に記憶されていてもよい。各プログラムは、ダウンロード形式の、又は記録媒体に記録されたプログラム製品として提供されてもよい。
 前記記録媒体へのプログラムの記憶形式は、前記各装置が前記プログラムを読み取り可能である限り制限されない。前記記録媒体への記憶は、不揮発性であることが好ましい。
6.効果の検証
(1)ベクトルを用いた被検者の各指標の評価
 図14に、ボランティア被検者各人の交感神経ベクトル、副交感ベクトル、及び活動量ベクトルを示す。図14では、3つのベクトルを1つの極座標プロット上に示している。符号aで表されるベクトルは交感神経ベクトルを示し、符号bで表されるベクトルは副交感神経ベクトルを示し、符号cで表されるベクトルは被検者の活動量ベクトルを示す。極座標プロット上の12.9、9.3、5.0等の数値は交感神経ベクトルと活動量ベクトルの時間の差を示している。K2020から始まる番号は、被検者の識別番号を示す。被検者K2020-1、K2020-2、K2020-3、K2020-9、K2020-10、K2020-26、K2020-28、及びK2020-29は、交感神経ベクトルと活動量ベクトルの方向が乱れていた。
(2)被検者の腸内細菌叢の評価
 図15に、図14と同じボランティア被検者各人の腸内細菌叢の構成を示す。指標のベクトルの方向が乱れていた被検者K2020-3、K2020-10、及びK2020-28は、腸内細菌叢も乱れていた。腸内細菌叢の解析から、これらの被検者は、概日リズム異常が慢性的になっているものと考えられた。また、K2020-24は自律神経活動リズムの測定値が欠損している被検者であり、すべての指標を用いた評価はできなかった事例だが、活動リズムは乱れており活動量ベクトルは低振幅を示し概日リズム異常を示唆する事例であることが示唆される。K2020-1、K2020-2、K2020-9、K2020-26、及びK2020-29の被検者は、概日リズムに乱れはあるものの、腸内細菌叢の解析から、その異常は慢性的ではないものと考えられた。
 (3)概日リズムと睡眠の相関
 病院に勤務する女性看護師21名[日勤1名、3交代勤務従事者20名;22歳から52歳(33.67±1.9歳);勤務年数1年から30年(11.2±2.09年)]を被検者として活動量、血糖値、交感神経系活動、副交感神経活動をモニタリングし、測定データ群を取得した。測定データ群に対して周期回帰分析を行い、リズム度、メサー、振幅を算出した。
 また、睡眠日誌を用いて測定期間中の日勤と休日の絶食(夕食摂取開示時刻から朝食接種開始時刻の差)を算出した。
 さらに、睡眠に関する主観的指標として、PSQI総得点、ESS総得点、MEQ総得点を取得した。
 すべての統計解析はSpearmanの相関解析にて行った。
 図16に、血糖値の周期回帰分析結果と、PSQI又はMEQの相関を示す。図16(A)は、PSQIと血糖値のリズム度の相関を示す。有意差を示すp値は0.002であり、相関係数Rは-0.627であった。図16(B)は、PSQIと血糖値の振幅の相関を示す。有意差を示すp値は0.009であり、相関係数Rは-0.553であった。図16(C)は、MEQと血糖値のリズム度の相関を示す。有意差を示すp値は0.008であり、相関係数Rは0.564であった。図16(D)は、PSQIと血糖値の振幅の相関を示す。有意差を示すp値は0.013であり、相関係数Rは0.530であった。このことから、血糖値の変動と睡眠の質(PSQI)は負の相関し、血糖値の変動はクロノタイプ(MEQ)と正の相関することが示された。
 この結果は朝方の人ほど規則正しい食生活をする傾向があることを示している。また、規則正しい食生活の人ほど睡眠の質が良い傾向にあることを示している。
 図17に交感神経活動のリズム度と血糖値の振幅の相関を示す。この結果から、交感神経活動と、血糖値の変動は相関することが示された。このことは、規則正しい食生活の人ほど自律神経の調節が安定していることを示している。
 食生活と睡眠との関係を検証するため、今回被検者となった看護師2名(NS2020_3とNS2020_8)の食生活と睡眠を記録した問診票から休日と日勤日の絶食時間を求めた。問診の結果を図18に示す。NS2020_3は休日の絶食時間が16時間であり、日勤日の平均絶食時間は11.25時間であり、休日の絶食時間と日勤日の絶食時間の間に4.75時間の差があった。
 一方、NS2020_8は、休日の絶食時間は13.5時間であり、日勤日の絶食時間は13時間であった。NS2020_8は、休日と日勤日の絶食時間の差は0.5時間であった。
 以上の結果から血糖値、絶食時間の規則正しさは良好な睡眠と相関があることが示された。PSQI総得点、ESS総得点、MEQ総得点の主観的な評価方法と異なり、血糖値、絶食時間の規則正しさは客観的な睡眠に関連する指標となることが示された。
 (4)参考例
 PSQI総得点、ESS総得点、MEQ総得点の間には相関関係は認められなかった。
 NS2020_3とNS2020_8の概日リズムの質に関連する情報(周期回帰曲線と測定データ群のプロット)を図19に示す。特に睡眠リズムの規則性を反映する活動量のリズムは血糖値リズムが不規則なNS2020_3と比較して血糖値リズムが規則的なNS2020_8の方が、周期回帰曲線の振幅が大きかった。
 図20(A)に今回の評価に参加した被検者全員の血糖値のリズム度と、休日-日勤日間の絶食時間の差との相関を示す。有意差を示すp値は0.0072であり、相関係数Rは-0.578であった。また、図20(B)に今回の評価に参加した被検者全員の血糖値の振幅と、休日-日勤日間の絶食時間の差との相関を示す。有意差を示すp値は0.040であり、相関係数Rは-0.451であった。血糖値のリズム度、及び血糖値の振幅は、休日-日勤日間の絶食時間の差とは逆相関を示した。このことから、休日-日勤日間の絶食時間の差が少ないほど、日々の血糖値のリズムは安定し、振幅も大きくなることが示された。
 図21に今回の評価に参加した被検者全員の活動量のリズム度と、休日-日勤日間の絶食時間の差との相関を示す。有意差を示すp値は0.042であり、相関係数Rは-0.447であった。活動量のリズム度、休日-日勤日間の絶食時間の差とは逆相関を示した。このことから、休日-日勤日間の絶食時間の差が少ないほど、日々の活動量のリズムは安定することが示された。
 以上の結果から、血糖値に関連する指標は、食事の規則正しさを反映していることが示唆された。また食事の規則正しさは、睡眠・活動リズムの規則正しさを反映しているものと考えられた。すなわち、血糖値の日内リズムは、食生活のみならず、睡眠のリズムや質を反映するパラメータであることが示された。

Claims (26)

  1.  被検者の概日リズムの質を解析するための解析装置であって、
     前記解析装置は、制御部を備え、
     前記制御部は、
      前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得し、
      前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行い、
      前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成する、
    前記解析装置。
  2.  前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標、交感神経の活動に関連する指標、副交感神経の活動に関連する指標、及び活動量に関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の解析装置。
  3.  前記概日リズムの質を示す情報が、睡眠に関連する情報を含む、請求項1又は2に記載の解析装置。
  4.  前記概日リズムの質に関連する情報が、前記周期回帰分析によって得られた周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して提示する情報を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の解析装置。
  5.  前記概日リズムの質に関連する情報が、前記周期回帰曲線のピーク位相時間、前記周期回帰曲線の振幅、前記周期回帰曲線のメサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の情報を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の解析装置。
  6.  さらに、前記制御部は、前記周期回帰分析により取得された1周期における前記指標ごとのピーク位相とリズム度を示すベクトル情報を生成し、前記概日リズムの質に関連する情報が、生成されたベクトル情報の少なくとも1種を含む、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の解析装置。
  7.  前記概日リズムに関連する指標が血糖値に関する指標である時、前記概日リズムの質に関連する情報が、睡眠に関連する情報を含む、請求項3に記載の解析装置。
  8.  さらに、前記制御部は、前記被検者の腸内細菌叢の検査結果を取得し、前記腸内細菌叢の検査結果に基づいて、前記腸内細菌叢の構成を示す情報を生成する、請求項1から7に記載の解析装置。
  9.  前記周期回帰曲線のピーク位相時間、前記周期回帰曲線の振幅、前記周期回帰曲線のメサー及びリズム度から選択される少なくとも1種の情報が基準範囲外となった時に、前記制御部は警告情報を出力する、請求項5に記載の解析装置。
  10.  前記概日リズムの質に関連する情報が、ベクトル情報を含む場合において、
     ベクトルの大きさが基準範囲外となったときに、前記制御部が警告情報を出力する、請求項6に記載の解析装置。
  11.  前記概日リズムの質に関連する情報が、交感神経のベクトル情報と、副交感神経のベクトル情報を含む場合において、
     交感神経ベクトルと、副交感神経ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する、請求項6に記載の解析装置。
  12.  前記概日リズムの質に関連する情報が、交感神経のベクトル情報と、活動量のベクトル情報を含む場合において、
     交感神経ベクトルと、活動量ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する、請求項6に記載の解析装置。
  13.  前記概日リズムの質に関連する情報が、副交感神経のベクトル情報と、活動量のベクトル情報を含む場合において、
     副交感神経ベクトルと、活動量ベクトルとの方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する、請求項6に記載の解析装置。
  14.  前記概日リズムの質に関連する情報が、血糖値に関連する指標から生成された血糖値のベクトルを含む場合であって、
     前記概日リズムの質に関連する情報が、交感神経のベクトル情報、副交感神経のベクトル情報、及び活動量のベクトル情報よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む時、血糖値ベクトルと、交感神経ベクトル、副交感神経ベクトル、及び活動量ベクトルよりなる群から選択される少なくとも1種との方向の差が基準範囲外となった時に、前記制御部が警告情報を出力する、請求項6に記載の解析装置。
  15.  測定装置と、請求項1から8のいずれか一項に記載の解析装置を備える、被検者の概日リズムの質を解析するための解析システム。
  16.  被検者の概日リズムの質を解析するための解析方法であって、
     前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得することと、
     前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことと、
     前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成することと、
    を含む、前記解析方法。
  17.  コンピュータに実行させたときに、
     コンピュータに、
     被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得するステップと、
     前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うステップと、
     前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成するステップと、を備える処理を実行させる、被検者の概日リズムの質を解析するための解析プログラム。
  18.  被検者の概日リズムの質を提示するための提示装置であって、
     前記提示装置は、制御部を備え、
     前記制御部は、
      前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を提示し、
       前記被検者の概日リズムの質に関連する情報は、前記被検者の概日リズムに関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種の指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことにより取得された前記周期回帰分析の結果に基づいて生成されたものであり、
       前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標、交感神経の活動に関連する指標、副交感神経の活動に関連する指標、活動量に関連する指標よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
       前記概日リズムの質に関連する情報が、前記周期回帰分析によって得られた周期回帰曲線と、モニタリングした測定データ群のプロットを同期して示す情報を含む、
    前記提示装置。
  19.  さらに、前記制御部は、睡眠に関連する情報を前記概日リズムの質に関連する情報として提示する、請求項18に記載の提示装置。
  20.  さらに、前記制御部は、前記周期回帰分析により取得された1周期における各指標のピーク位相とリズム度を前記概日リズムの質に関連する情報として提示する、請求項18又は19に記載の提示装置。
  21.  さらに、前記制御部は、前記被検者の前記腸内細菌叢の検査結果に基づいて生成された、前記腸内細菌叢の構成を示す情報を前記概日リズムの質に関連する情報として提示する、請求項18から20のいずれか一項に記載の提示装置。
  22.  被検者の健康を管理するための健康管理方法の提供装置であって、
     前記提供装置は、制御部を備え、
     前記制御部は、
      前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得し、
      前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行い、
      前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成し、
      前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を出力し、
      前記被検者の概日リズムの質に関連する情報に基準範囲外の項目がある場合に、アドバイスメッセージを出力する、
    前記提供装置。
  23.  前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標であり、
     前記概日リズムの質に関連する情報が、睡眠に関連する情報を含む、請求項22に記載の提供装置。
  24.  被検者の健康を管理するための健康管理方法の提供方法であって、
     前記被検者の少なくとも1種の概日リズムに関連する指標の信号強度を経時的にモニタリングした測定データ群を取得することと、
     前記取得した測定データ群について、前記指標ごとに24時間を1周期とする周期回帰分析を行うことと、
     前記周期回帰分析の結果に基づいて、前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を生成することと、
     前記被検者の概日リズムの質に関連する情報を出力すること、
      被検者の概日リズムの質に関連する情報に基準範囲外の項目がある場合に、アドバイスメッセージを提示すること、
    とを、含む、前記提供方法。
  25.  前記概日リズムに関連する指標が、血糖値に関連する指標であり、
     前記概日リズムの質に関連する情報が、睡眠に関連する情報を含む、請求項24に記載の提供方法。
  26.  前記被検者が、シフト勤務従事者である、請求項24又は25に記載の提供方法。
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