JP2019053793A - ホログラム再生方法およびホログラム再生装置 - Google Patents

ホログラム再生方法およびホログラム再生装置 Download PDF

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【課題】 球面参照光シフト多重記録方式を採用したホログラム再生装置において、再生可能な参照光の波長が、再生に用いるレーザ光源からのレーザ光の波長と異なっている場合にも、高い再生品質で、しかも、高速な再生を可能とするホログラム再生装置の提供。【解決手段】 ホログラム再生装置は、レーザ光源から出力された参照光を球面参照光に変換させる球面波生成集光レンズと、当該球面波生成集光レンズから出射された球面参照光が記録媒体に照射されることによって得られる再生光を読み取る読取部とを備え、さらに、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態に制御する制御部を備えることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、ホログラム再生装置およびホログラム再生方法に関する。更に詳しくは、二次元化されたデジタルビットパターンを記録媒体にホログラムとして多重に記録することにより構成される大容量光メモリにおいて、高速再生が可能なホログラム再生装置およびホログラム再生方法に関する。
従来より、ホログラムを用いてデジタル情報を二次元的に記録再生するホログラム記録再生装置が提案されている。ホログラム記録再生装置においては、空間光変調器で変調された、複数の画素よりなるデジタル情報(データ情報)を担持した信号光と、当該信号光とコヒーレントな参照光とを記録媒体内で干渉させることにより得られる干渉縞をホログラムとして記録する。また、記録媒体に記録されたホログラムの再生は、参照光をホログラムに照射することにより回折光を発生させ、例えばCCDなどの撮像素子上に、ホログラムとして記録されているデジタル情報の画像を形成させることにより、行われる。
通常、このようなホログラムメモリ技術においてはホログラムの多重記録により大容量化を図ることが行われており、ホログラムの多重記録方法としては、例えば角度多重記録方式や、参照光として球面波(以下、「球面参照光」ともいう。)を用いた球面参照光シフト多重記録方式などが知られている(例えば特許文献1参照。)。
角度多重記録方式にあっては、参照光(例えば平面波)の記録媒体に対する入射角度を微小に変更させ、当該記録媒体における同一箇所にホログラムの多重記録を行う。記録媒体の厚みが厚い(具体的には、1mm以上)場合には、ブラッグの回折条件が角度的に厳しくなり、角度が0.1°程度でブラッグの回折角条件が外れて読み出しが不可能となる。この原理を利用して、記録媒体における同一箇所に数百個のホログラムを多重記録する。
球面参照光シフト多重記録方式にあっては、参照光として球面波を用いることにより、ホログラムが記録された記録媒体を当該記録媒体の表面に沿って一方向にわずかな距離シフトさせるだけで波数ベクトルの関係がブラッグの回折条件から外れるため、既に記録されたホログラムの再生が不可となり、新たなホログラムをその記録領域の一部が既に記録されたホログラムの記録領域と重なる状態で記録することが可能となる。ここに、隣接するホログラムの距離すなわちシフト量は10μm程度である。
近年、ビッグデータの利活用や、IoT(Internet of Things)を行うために大容量のセンサー情報をクラウド上に蓄積し、必要な時にサーバに高速でダウンロードして解析等を行うことが行われている。このような場合、蓄積された大容量のデータ情報を極めて高速に各ユーザのサーバにダウンロードし、解析結果等をリアルタイムでビジネス等に反映させる必要がある。
このようなアプリケーションの広がりの中で、記録媒体に大容量のデータ情報を記録することが可能なホログラムメモリ技術を用いたホログラム記録再生装置においても、記録されたデータ情報を高速で再生し、プロセッサに高速でダウンロードすることが要求されている。
一般的に、ホログラムメモリ技術は、二次元化されたデジタルビットパターンをホログラムとして記録再生するものであるので基本的には高速転送が可能なメモリ技術であるが、上述のようなビックデータの利活用やIoTに係る解析等を行うときに要求される転送速度は、例えば10Gbps程度と従来のホログラムメモリ技術を用いたホログラム記録再生装置における転送速度から一桁以上も高速とされる。特に、ホログラムの再生時に高速転送がなされることが要求されている。
一方、ホログラム記録再生装置においては、ホログラムの記録再生に用いる光源として、単一波長化された半導体レーザによるレーザ光源が用いられている。然るに、半導体レーザから発振されるレーザ光の波長には温度依存性がある。具体的には、例えば青色半導体レーザ光を、基準の動作温度を20℃として基準の動作温度±20℃の温度範囲(0〜40℃)で動作させると、発振されるレーザ光の波長は、±1nm程度の波長範囲で変動する。このため、半導体レーザそのものに加えて、外部共振器として回折格子が一方の端面近傍に設置された高機能のレーザ光源が開発されており、このような高機能のレーザ光源においては、出力されるレーザ光の波長を数nmの範囲で能動的に変動させることができ、かつ、環境温度に依存して変動してしまうレーザ光の波長を、環境温度にかかわらず、極めて高精度、例えば0.001nmの精度のレベルで設定して制御することができる。
従って、通常のホログラム記録再生用の光学ヘッドにおいては、このような高機能のレーザ光源を使用すれば、環境温度が変動してもホログラムの再生に用いられる参照光の波長が適宜に補正されたものとされるので、ホログラムの記録再生に際して問題とならない。
しかしながら、上記のような高機能のレーザ光源は、それ自体のサイズが比較的大きく重量も大きいため、ホログラム記録再生用の光学ヘッドも比較的サイズが大きく重量的にも大きなものとされることが避けられない。このため、ホログラム記録再生装置において光学ヘッドの移動速度を速くすることが困難であり、従って、光学ヘッドを移動させることによる情報へのアクセス速度が遅くなってしまう、という問題がある。また、記録媒体を移動させることによって情報へのアクセスを行う場合も、そのアクセス速度は遅いという問題がある。以上のことから、高機能のレーザ光源を用いたホログラム記録再生装置においては、IoT等で求められる再生の高速化には対応できていないのが実情である。
また、ホログラム記録再生装置の光学ヘッドには、レーザ光源の他に、空間光変調器、撮像素子、多数のレンズ群および高速スイッチングデバイスなどを備えて構成することが必要とされる。このため、光学ヘッドが高コスト化することによって、ホログラムの記録および再生を可能とするドライブ(ホログラム記録再生装置)全体の高コスト化を招くという問題がある。
特開2014−098797号公報
このような問題を解決してデータ情報の高速転送を実現するためには、光学ヘッドの小型化および重量の軽量化を図り、情報へのアクセス速度を速めることや、複数の光学ヘッドを並列に備えることによって並列トラック再生を行うことなどが考えられる。特にホログラムの再生時の高速転送が求められる場合には、光学ヘッドを再生専用のものとして構成することによって大幅な部品点数の削減が可能となり、さらに、外部共振器などの外部波長制御機構を備えない通常の半導体レーザによるレーザ光源を使用することによって、光学ヘッドを極めて小型化および軽量化されたものとすることができる。
しかしながら、外部波長制御機構を備えない通常の半導体レーザによるレーザ光源は、上述の通り、環境温度によって出力されるレーザ光に例えば±1nm程度の波長変動が生じることがある。そして、参照光として照射されるレーザ光に係る波数ベクトルの関係がブラッグの回折条件から外れたときには、ホログラムの再生が不可となってしまう、という問題が生じる。ホログラムの再生に際しては、一般的に、参照光の波長は、ブラッグの回折条件を満たす所期の波長から±0.05nm程度の変動(得られる再生信号のレベルが相対値で0.8程度の変動)が許容範囲と考えられ、実際上、波長が±0.1nm程度変動するとホログラムの再生が困難になる。例えば、図10に示されるように、ブラッグの回折条件を満たす波数ベクトルが得られる球面参照光(再生可能な球面参照光)の波長が405nmであるホログラムに対して、405nmの波長のレーザ光を球面参照光として照射すると、高い再生品質でホログラムが再生される(図10(a))が、波長が+1nm変動された406nmの波長のレーザ光を球面参照光として照射すると、再生品質が大幅に劣化する(図10(b))。
また、環境温度が維持されて変動しない場合、すなわち出力されるレーザ光に波長変動が生じていない場合においても、記録媒体自体の物理的な収縮(媒体収縮)によって、ホログラムを再生することのできる波長、すなわち球面参照光にブラッグの回折条件を満たす波数ベクトルが得られる波長が変動する。
従来の角度多重記録方式にあっては、レーザ光源から出力されるレーザ光の波長変動に対しては、当該レーザ光の入射角度を調整することによってホログラムの再生に対応することができる。
図11は、波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。ある一つのホログラムについて、記録時の信号光の波数ベクトルKoと、記録時の参照光の波数ベクトルkrと、これらの記録時の信号光の波数ベクトルKoおよび記録時の参照光の波数ベクトルkrの干渉の結果得られたグレーティングベクトル(ホログラムの波数ベクトル)kg(kg=ko−kr)とは、ブラッグの回折条件を満たして一つの円(エバルト球k)を成す(図11において実線円で示す。)。
このホログラムの再生時は、再生時の参照光の波数ベクトルkpとホログラムの波数ベクトルkgとがエバルト球を形成する必要、すなわち参照光として照射されるレーザ光が当該エバルト球に係るブラッグの回折条件を満たす波数ベクトルを有する必要がある。ここで、参照光として照射されるレーザ光に波長変動が生じていたり、記録媒体に媒体収縮が生じていると、再生時のエバルト球k’(図11において破線円で示す。)は、記録時のエバルト球kからその大きさが変化する。例えば、k=1/λで表されるので、記録時の参照光よりも再生時の波長が長くなると再生時のエバルト球k’は小さくなる。このように、レーザ光源からのレーザ光の波長変動や媒体収縮等が生じると、期せずして再生用の参照光の波数ベクトルが再生時のエバルト球k’に係るブラッグの回折条件を満たさなくなってしまう。
しかしながら、図12に示されるように、従来の角度多重記録方式にあっては、再生用の参照光の波数ベクトルが再生時のエバルト球k’に係るブラッグの回折条件を満たさなくなったとしても、参照光として照射されるレーザ光(平面波)の入射角度をわずかに変化させることによって、ホログラムを再生することができる波数ベクトル(再生時の参照光の波数ベクトルkp)を有する平面波Rbが存在する参照光(再生可能な参照光)が得られる。図12において、Raは記録時の参照光の波数ベクトルを有する平面波である。具体的には、再生時の信号光の波数ベクトルkdは、kd=kp+kgとなるので、再生時の信号光の波数ベクトルkdの大きさと再生時の参照光の波数ベクトルkpの大きさとが一致するとき、再生時の参照光の波数ベクトルkp、ホログラムの波数ベクトルkgおよび再生時の信号光の波数ベクトルkdがブラッグの回折条件を満たしてエバルト球k’が形成されてホログラムを再生させることができる。
一方、球面参照波シフト多重方式においては、レーザ光源からのレーザ光の入射角度を調整したとしても、再生可能な参照光は得られない。
図13は、球面参照波シフト多重記録方式の波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。ある一つのホログラムについて、参照光として照射されるレーザ光に波長変動が生じていたり、記録媒体に媒体収縮が生じていると、上述のように、記録時のエバルト球k(図13において実線円で示す。)から、再生時のエバルト球k’(図13において破線円で示す。)に、その大きさが変化して、再生用の参照光の波数ベクトルが再生時のエバルト球k’に係るブラッグの回折条件を満たさなくなってしまう。そして、球面参照波シフト多重方式に用いられる球面参照光(球面波Rc)は、多数の波数ベクトルの方向を有する平面波から構成されていると考えられるので、その入射角度を変化させたとしても、球面参照光の集光点(波源)r0からの光束には、ホログラムを再生することができる波数ベクトル(再生時の参照光の波数ベクトルkp)を有する平面波が存在しない。これは、波源r0からの光束には、球面の波面に対して垂直な波数ベクトルを持つ波面のみが存在するためである。すなわち、参照光として照射されるレーザ光の入射角度を変化させたとしても、再生可能な参照光は得られない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、球面参照光シフト多重記録方式を採用したホログラム再生装置およびホログラム再生方法において、再生可能な参照光の波長が、再生に用いるレーザ光源からのレーザ光の波長と異なっている場合にも、高い再生品質で、しかも、高速な再生を可能とするホログラム再生装置およびホログラム再生方法を提供することを目的とする。
本発明のホログラム再生装置は、データ情報を担持した信号光と参照光とを干渉させることにより形成されるホログラムがシフト多重方式によって多重記録された記録媒体に対して、参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム再生装置において、
レーザ光源から出力された参照光を球面参照光に変換させる球面波生成集光レンズと、当該球面波生成集光レンズから出射された球面参照光が記録媒体に照射されることによって得られる再生光を読み取る読取部とを備え、さらに、
前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態に制御する制御部を備えることを特徴とする。
本発明のホログラム再生装置においては、前記記録媒体には、前記球面波生成集光レンズの位置を制御するための基準となる基準ホログラムが予め記録されており、
前記制御部が、前記基準ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を制御するものである構成とすることができる。
本発明のホログラム再生装置においては、前記制御部が、再生対象のホログラムの記録時に、当該再生対象のホログラムと共に記録された制御用ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を制御するものである構成とすることができる。
本発明のホログラム再生装置においては、前記制御部が、前記球面波生成集光レンズをウオブリングさせながら、当該球面波生成集光レンズから出射される球面参照光がホログラムに照射されることによって得られる再生光の回折強度、当該再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比、および、当該再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートの少なくとも1つに基づいた位置制御データ情報に従って、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を制御するものである構成とすることができる。
本発明のホログラム再生方法は、データ情報を担持した信号光と参照光とを干渉させることにより形成されるホログラムがシフト多重方式によって多重記録された記録媒体に対して、参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム再生方法において、
レーザ光源から出力された参照光を球面波生成集光レンズによって球面参照光に変換させ、当該球面波生成集光レンズから出射された球面参照光を記録媒体に照射することによって得られる再生光を読み取るときに、
前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態に制御することを特徴とする。
本発明のホログラム再生方法においては、前記記録媒体には、前記球面波生成集光レンズの位置を制御するための基準となる基準ホログラムが予め記録されており、
前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、前記基準ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って制御される構成とすることができる。
本発明のホログラム再生方法においては、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、再生対象のホログラムの記録時に、当該再生対象のホログラムと共に記録された制御用ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って制御される構成とすることができる。
本発明のホログラム再生方法においては、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、前記球面波生成集光レンズをウオブリングさせながら、当該球面波生成集光レンズから出射される球面参照光がホログラムに照射されることによって得られる再生光の回折強度、当該再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比、および、当該再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートの少なくとも1つに基づいた位置制御データ情報に従って制御される構成とすることができる。
本発明のホログラム再生装置においては、球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られるよう制御される。従って、再生対象のホログラムについて再生可能な参照光の波長が、再生に用いるレーザ光源からのレーザ光の波長と異なるときにも、球面波を形成するために集光される球面参照光の集光点の空間的な位置調整という簡易な方法によって、出力されるレーザ光から再生可能な参照光を得ることができ、レーザ光源からのレーザ光の波長変動や媒体収縮等によって期せずして再生時のブラッグの回折条件を満たさなくなった波数ベクトルを有するレーザ光から再生可能な参照光を得ることができて、再生不良を抑制して高い再生品質でホログラムを再生することができる。
さらに、ホログラムの再生に用いる光学ヘッドを、外部共振器などを備えない通常の半導体レーザを用いたとしても温度制御機構などの波長変動抑制機構等を備えたものとする必要がないので、当該再生に用いる光学ヘッドを極めて小型化および軽量化されたものとして簡素な構成とすることができるため、データ情報へのアクセス速度を速めることができる。
従って、球面参照光シフト多重記録方式を採用したホログラム再生装置およびホログラム再生方法において、再生可能な参照光の波長が再生に用いるレーザ光源からのレーザ光の波長と異なっている場合にも、高い再生品質で、しかも、高速でホログラムを再生することができる。
球面参照光シフト多重記録方式によって記録媒体にホログラムを多重記録するホログラム記録装置の構成を概略的に示す説明図である。 本発明のホログラム再生装置の一例における構成の概略を記録媒体と共に示す説明図である。 本発明のホログラム再生装置の他の例における構成の概略を記録媒体と共に示す説明図である。 本発明のホログラム再生方法において参照光が照射される概要を示す説明図である。 球面参照波シフト多重記録方式の波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。 集光点のx軸方向へのシフト量と再生光の回折効率との関係を示すグラフである。 集光点のx軸方向へのシフト量とビットエラーレートとの関係を示すグラフである。 集光点のx軸方向へのシフト量と再生光の回折効率との関係を示すグラフである。 集光点のx軸方向へのシフト量とビットエラーレートとの関係を示すグラフを示す。 (a)は、波長405nmの参照光で再生したホログラムの再生像であり、(b)波長406nmの参照光で再生したホログラムの再生像である。 波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。 角度多重記録方式の波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。 球面参照波シフト多重記録方式の波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のホログラム再生装置は、参照光として球面波を用い、当該参照光を球面参照光シフト多重記録方式によってホログラムが多重記録された記録媒体に照射することによってホログラムの各々を独立して再生するものである。
以下に、本発明のホログラム再生装置において再生させるホログラムが多重記録される記録媒体、および、当該記録媒体に球面参照光シフト多重記録方式によってホログラムを多重記録するホログラム記録装置について説明する。
ホログラムが多重記録される記録媒体は、例えば、反射型のホログラムの記録方式に対応するものである場合には、図1を参照して説明すると、一面側から信号光Lsおよび球面参照光Lrが例えばガラス材料よりなる光透過性基板14を介して照射される光反応性モノマーよりなるホログラム記録層11と、このホログラム記録層11の他面に積層された光透過層12と、この光透過層12の他面に積層された反射層13とを備えたものとされる。ここに、「光透過(性)」とは、信号光Lsおよび球面参照光Lrの波長帯域における光透過率が80%以上であることをいう。
また、ホログラムが多重記録される記録媒体が透過型のホログラムの記録方式に対応するものである場合には、図2に示されるように、記録媒体10aは、各々例えばガラス材料よりなる2枚の光透過性基板14a,14bと、これらの光透過性基板14a,14bの間に形成された、光反応性モノマーよりなるホログラム記録層11aとを備えたものとされる。
ホログラム記録層11,11aの厚みは、記録再生能の観点から、例えば0.3〜2.0mmとされ、好ましくは0.5〜1.0mmとされる。
本発明のホログラム再生装置に用いる記録媒体10,10aとしては、ディスク状およびカード状などのいずれの形状を有するものが用いられてもよい。
図1は、球面参照光シフト多重記録方式によって記録媒体にホログラムを多重記録するホログラム記録装置の構成を概略的に示す説明図である。
このホログラム記録装置は、信号光Lsおよび記録用球面参照光Lr1を記録媒体10に照射する光学機構と、記録媒体10をその表面に沿った平面内において回動および平行移動させる記録媒体駆動機構とを備えている。
ホログラム記録装置における光学機構は、例えば青色レーザ光源よりなる記録光源21と、記録光源21からの光を信号光用の光と参照光用の光とに分割する、例えばハーフミラープリズムよりなる光分離手段22と、信号光用の光をデータ情報を担持した信号光Lsとして記録媒体10に照射する信号光照射光学系と、参照光用の光を球面波に変換して記録用球面参照光Lr1として記録媒体10に照射する記録用球面参照光照射光学系とを備えている。
記録光源21と光分離手段22との間におけるレーザ光の光路L上には、シャッタ23、偏光板24およびビーム整形用レンズ25が設けられている。
信号光照射光学系は、光分離手段22から記録媒体10に至る光路L1を有しており、この光路L1上には、ビームエクスパンダ26、ピンホール27、偏光プリズムビームスプリッタ28、空間光変調器(SLM)29、ナイキストフィルタ35、リレーレンズ34および信号光集光用対物レンズ38が設けられている。
記録用球面参照光照射光学系は、光分離手段22から記録媒体10に至る光路L2を有しており、この光路L2上には、λ/2波長板(半波長板)31および参照光用の光を球面波に変換して記録用球面参照光Lr1を生成する参照光集光用対物レンズ32が設けられている。λ/2波長板31は、例えば回転可能に設けられており、参照光用の光の偏向方向を調整可能とされている。図1において、符号33は、参照光用の光の進行方向を変更するための反射ミラーである。
このホログラム記録装置においては、記録光源21から出射されたレーザ光は、光分離手段22によって信号光用の光と参照光用の光に分割される。信号光用の光は、ビームエクスパンダ26を介して偏光プリズムビームスプリッタ28に入射される。信号光用の光は、偏光プリズムビームスプリッタ28を透過して空間光変調器(SLM)29に入射される。この空間光変調器(SLM)29によって、信号光用の光は偏光面が90°変更され、ナイキストフィルタ35で空間周波数帯域が調整されて信号光Lsが生成された後、信号光集光用対物レンズ38によって集光されて記録媒体10の一面側から当該記録媒体10に照射される。
一方、参照光用の光は、λ/2波長板(半波長板)31および反射ミラー33を介して参照光集光用対物レンズ32に入射され、参照光集光用対物レンズ32によって球面波に変換されて記録用球面参照光Lr1として記録媒体10の一面側から当該記録媒体10に照射される。これにより、記録媒体10においては、信号光Lsと記録用球面参照光Lr1とによる干渉縞がホログラムとして記録される。
そして、図示しない記録媒体移動機構によって記録媒体10がその径方向(図1において白抜きの矢印で示す。)に移動されて球面参照光シフト多重記録が行われることによりシフト多重ホログラム列が記録される。
本発明のホログラム再生装置は、上記のようなホログラム記録装置においてデータ情報を担持した信号光と参照光とを干渉させることにより形成されるホログラムがシフト多重方式によって多重記録された記録媒体に対して、球面参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生する再生用光学ヘッドを備えるものである。
具体的には、再生用光学ヘッドは、例えば図2に示されるように、レーザ光源40と、当該レーザ光源40から出力された光を球面参照光に変換して再生用球面参照光Lr2として集光して記録媒体10aに照射する球面波生成集光レンズ41と、当該球面波生成集光レンズ41から出射された再生用球面参照光Lr2が記録媒体10aに照射されて当該記録媒体10aに記録されたホログラムに再生用球面参照光Lr2が照射されることにより当該ホログラムから発せられる再生光(回折光)Lgを読み取る例えばCCDなどの撮像素子よりなる読取部43とを備える。図2における符号48は、反射ミラーである。
再生用光学ヘッドは、透過型のホログラム記録方式に用いるものと反射型のホログラム記録方式に用いるものとでその構成が異なり、図2に示される再生用光学ヘッドは、透過型のホログラム記録方式に用いるものである。この透過型のホログラム記録方式に係る再生用光学ヘッドは、レーザ光源40と撮像素子よりなる読取部43とが記録媒体10aを介して互いに反対側に設置される。
また、反射型のホログラム記録方式に係る再生用光学ヘッドは、図3に示されるように、レーザ光源40と撮像素子よりなる読取部43とが記録媒体10に対して同一側(図3において下面側)に設置される。図3において、符号41は球面波生成集光レンズであり、符号47は像形成用レンズである。
そして、本発明のホログラム再生装置においては、球面波生成集光レンズ41から出射される再生用球面参照光Lr2の集光点(波源)r0の位置が、当該再生用球面参照光Lr2に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態に制御する制御部45が備えられている。
制御部45において、球面波生成集光レンズ41から出射される再生用球面参照光Lr2の集光点(波源)r0の位置の移動は、記録媒体10,10aと球面波生成集光レンズ41との相対的な位置関係の調整により行うことができ、例えば固定された記録媒体10,10aに対して球面波生成集光レンズ41を移動させること、または、固定された球面波生成集光レンズ41に対して記録媒体10,10aを微小移動あるいは微小回転させることによって、行うことができる。また、記録媒体10,10aと球面波生成集光レンズ41の両者を相対的に移動させる方法を採用してもよい。
制御部45は、具体的には、球面波生成集光レンズ41を移動させるレンズ位置制御駆動部と、球面波生成集光レンズ41を移動させるための位置制御データ情報を得る制御データ取得部とを有する。
レンズ位置制御駆動部は、例えば図4に示されるように、ボイスコイル等で構成される2次元アクチュエータ(ボイスコイルアクチュエータ)46からなり、球面波生成集光レンズ41をウオブリングさせるものとすることができる。
ボイスコイルアクチュエータ46によるウオブリング方向は、例えば、信号光の光軸をx軸、参照光の光軸をz軸とするとき、x軸およびz軸の2軸方向で合成されるベクトル方向に集光点が移動される方向であってもよく、x軸、y軸およびz軸の3軸方向で合成されるベクトル方向に集光点が移動される方向であってもよい。また、x軸、z軸方向にそれぞれ独立してウオブリングできるよう、複数のボイスコイルアクチュエータが備えられていてもよい。球面波生成集光レンズ41のウオブリング距離は、例えば最大でも数十μm程度とされる。
制御データ取得部は、球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置を制御するための位置制御データ情報を取得するものである。位置制御データ情報は、記録媒体10,10aに予め記録された基準ホログラムに球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される、或いは、再生対象のホログラムの記録時に、当該再生対象のホログラムと共に記録された制御用ホログラムに球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得されるものとすることができる。
ここに、基準ホログラムとは、再生対象のホログラムの再生に係る集光点の位置制御のために作成されて記録されたホログラムである。また、制御用ホログラムとは、実際に記録・再生すべきデータに係るホログラム(実用ホログラム)を記録するときに、当該記録に係る制御を行う目的で、実用ホログラムと共に記録されたホログラムである。制御用ホログラムは、実用ホログラムと同じシフト多重ホログラム列に、例えばシフト方向の先頭に記録されていてもよく、同記録媒体中の別領域に記録されていてもよい。
具体的には、制御データ取得部においては、球面波生成集光レンズ41をウオブリングすることによって当該球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置を微調移動させながら、基準ホログラムまたは制御用ホログラムから得られる再生光の回折強度を最適化することができる集光点の位置、すなわち最大の回折強度が得られる球面参照光の集光点の位置を検出し、基準ホログラムまたは制御用ホログラムとこの集光点の位置との関係が、位置制御データ情報として取得される。
この再生光の回折強度の代わりに、基準ホログラムまたは制御用ホログラムよりの再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比、または、当該再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートを指標として用いてもよい。また、これらの指標の複数を用いてもよい。
また、制御部45においては、基準ホログラムおよび制御用ホログラムを用いずに位置制御データ情報を取得して球面参照光の集光点の位置を制御してもよい。
具体的には、球面波生成集光レンズ41をウオブリングすることによって当該球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置を微調移動させながら、再生対象のホログラムから得られる再生光の回折強度(再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比/再生光から得られるデータ情報のビットエラーレート)が最適化される集光点の位置を検出し、当該再生対象のホログラムとこの集光点の位置との関係を位置制御データ情報として取得し、これを再生対象のホログラム毎に行うことにより、常時、球面波生成集光レンズ41を再生可能な参照光を得られる位置に移動させてもよい。
基準ホログラムは、波長変動を補償するために予め記録媒体10に記録されたホログラムであって、当該記録媒体10,10aに記録される再生対象のホログラムと同条件で形成されるものである。再生対象のホログラムは、例えば1000×1000bit程度の大きさとされる。
再生光の回折強度が最大である、再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比が最大である、または、当該再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートにおいてエラービットが少なく、エラービットがおよそ1%以下であることにより、再生用球面参照光Lr2に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態とされたとすることができる。
再生用球面参照光Lr2に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態について説明する。図5は、球面参照波シフト多重記録方式の波数ベクトル間の関係を示す波数空間での概念図である。
球面参照波シフト多重方式においては、記録時の信号光の波数ベクトルKoと、記録時の参照光の波数ベクトルkrと、これらの記録時の信号光の波数ベクトルKoおよび記録時の参照光の波数ベクトルkrの干渉の結果得られたグレーティングベクトル(ホログラムの波数ベクトル)kgとから成されるエバルト球kにおいては、ホログラムの波数ベクトルkgに対して局所的なブラッグの回折条件を満たす入射角度となる波源r0の座標の集合が一つの軸(図5において軸C1)を成す。すなわち、記録時のエバルト球kにおいては、記録時の参照光の波数ベクトルkrを包含する軸C1上に参照光の集光点(波源)r0があれば再生可能な参照光が得られたが、再生時のエバルト球k’においては、当該エバルト球k’を満たす再生時の参照光の波数ベクトルkpは、記録時の参照光の波数ベクトルkrとはその向きが異なるため、再生可能な参照光の波数ベクトルkpを包含する軸も変化することになる。
従って、再生可能な参照光の波数ベクトルkpを包含する軸C2上または当該軸C2の極近傍に波源r0が存在することにより、再生用球面参照光Lr2に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトル(再生可能な参照光の波数ベクトルkp)が得られる。図5において、記録時の参照光の集光点(波源)をr0(a)、再生時の参照光の集光点(波源)をr0(b)で示す。また、再生時の参照光を構成する多数の波数ベクトルの方向を有する平面波から構成される球面波をRdで示す。
図4において、実空間における集光点の位置の移動例を示すと、記録時の記録用球面参照光Lr1の集光点r0(a)から、再生時には、再生用球面参照光Lr2の集光点r0(b)に移動する。図4において、k1およびk2は、それぞれ記録時の記録用球面参照光Lr1の伝搬方向および再生時の再生用球面参照光Lr2の伝搬方向である。
なお、球面波は、多数の波数ベクトルの方向を有する平面波から構成されていると考えられるので、グレーティングベクトル(ホログラムの波数ベクトル)kgは波数ベクトルの方向が異なるグレーティングの集合体となる。ここで、シミュレーションから、ホログラムの再生には、光量が強い、すなわち情報が多く集まっているグレーティングベクトルkgを再生することによってホログラムのほぼ全体像が得られることが明らかになっているので、本発明においては、再生光量がもっとも強くなるグレーティングベクトルを再生することができる参照光の波数ベクトルを局所的な記録時の参照光の波数ベクトルkrとし、これによってホログラムを再生することにより、ホログラムの全体像が得られるものとしている。
記録媒体10,10aに記録されたホログラムに係るデータ情報の再生時には、まず、制御データ取得部において球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置を制御するための位置制御データ情報が取得される。具体的には、球面波生成集光レンズ41をウオブリングすることによって当該球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置を微調移動させながら、基準ホログラム、制御用ホログラムまたは再生対象のホログラムそのものから得られる再生光の回折強度(再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比/再生光から得られるデータ情報のビットエラーレート)を最適化することができる集光点の位置を検出し、基準ホログラム、制御用ホログラムまたは再生対象のホログラムとこの集光点の位置との関係が、位置制御データ情報として取得される。
そして、制御部45において取得された位置制御データ情報に従ってボイスコイルアクチュエータ46によって球面波生成集光レンズ41の位置が制御されて固定され、この固定された球面波生成集光レンズ41から出射される再生用球面参照光Lr2の集光点(波源)r0(b)の位置が、当該再生用球面参照光Lr2に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態とされる。このようにレーザ光源40から出力された参照光が球面波生成集光レンズ41によって再生用球面参照光Lr2に変換されこの再生用球面参照光Lr2が記録媒体10,10aに照射されることにより、ホログラムから再生光Lgが発せられて読取部43の撮像素子に入射され、当該撮像素子によって再生光Lgが検出されることにより、当該ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。
球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置の制御の一例としては、再生対象のホログラムについて再生時に必要とされる球面参照光の波長が記録時から長波長側にシフトした場合には、集光点をx軸の+方向に移動させるよう、その位置が制御される。
以上のようなホログラム再生装置においては、球面波生成集光レンズ41から出射される球面参照光の集光点の位置が、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られるよう制御される。再生対象の従って、ホログラムについて再生可能な参照光の波長が、再生に用いるレーザ光源40からのレーザ光の波長と異なるときにも、球面波を形成するために集光される球面参照光の集光点の空間的な位置調整という簡易な方法によって、出力されるレーザ光から再生可能な参照光を得ることができ、レーザ光源40からのレーザ光の波長変動や媒体収縮等によって期せずして再生時のブラッグの回折条件を満たさなくなった波数ベクトルを有するレーザ光から再生可能な参照光を得ることができて、再生不良を抑制して高い再生品質でホログラムを再生することができる。
さらに、ホログラムの再生に用いる光学ヘッドを、外部共振器などを備えない通常の半導体レーザを用いたとしても温度制御機構などの波長変動抑制機構等を備えたものとする必要がないので、当該再生に用いる光学ヘッドを極めて小型化および軽量化されたものとして簡素な構成とすることができるため、データ情報へのアクセス速度を速めることができる。
従って、球面参照光シフト多重記録方式を採用したホログラム再生装置およびホログラム再生方法において、再生可能な参照光の波長が再生に用いるレーザ光源40からのレーザ光の波長と異なっている場合にも、高い再生品質で、しかも、高速でホログラムを再生することができる。
本発明のホログラム再生装置においては、レーザ光源から出力されたレーザ光の波長が、再生対象のホログラムについて再生時に必要とされる球面参照光の波長から±1.5nm以内で変動したものであれば、高い品質でホログラムを再生することができる。
<実験例1>
図2に従った構成を有するホログラム再生装置を作製し、ブラッグの回折条件を満たす球面参照光の波長が405nmであるホログラムに対して、波長405.5nmのレーザ光が出力されるレーザ光源を用いて、記録媒体に記録されたホログラムを再生した。
このとき、ウオブリングされた球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を微調移動させながら、基準ホログラムから得られる再生光の回折強度が最大となる球面参照光の集光点の位置を検出した。また、再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートにエラー信号のない領域の幅が最大となる球面参照光の集光点の位置を検出した。図6に、集光点のx軸方向へのシフト量と再生光の回折効率との関係を示すグラフを示す。また、図7に、集光点のx軸方向へのシフト量とビットエラーレートとの関係を示すグラフを示す。
図6および図7の結果から、制御部によって集光点がx軸方向に+5μmシフトされるよう球面波生成集光レンズの位置が制御され、その結果、高い再生品質でホログラムが再生された。
<比較実験例1>
実験例1において、波長407nmのレーザ光が出力されるレーザ光源を用いたことの他は同様にして、記録媒体に記録されたホログラムを再生した。
このとき、ウオブリングされた球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を微調移動させながら、基準ホログラムから得られる再生光の回折強度が最大となる球面参照光の集光点の位置を検出した。また、再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートにエラー信号のない領域の幅が最大となる球面参照光の集光点の位置を検出した。図8に、集光点のx軸方向へのシフト量と再生光の回折効率との関係を示すグラフを示す。また、図9に、集光点のx軸方向へのシフト量とビットエラーレートとの関係を示すグラフを示す。
図8および図9の結果から、制御部によって集光点がx軸方向に例えば+10μmシフトされるよう球面波生成集光レンズの位置が制御されても、再生光の回折効率の最大値が低く、また、ビットエラーレートにはエラー信号のない領域が得られず、従って、集光点がx軸方向に+10μmシフトされるよう球面波生成集光レンズの位置が制御されたとしても、ホログラムの再生は困難であると予測される。
本発明のホログラム再生装置およびホログラム再生方法においては、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ホログラム再生装置としては、図2に係るホログラム再生装置および図3に係るホログラム再生装置以外のものを用いることができる。
また、本発明のホログラム再生方法において再生対象のホログラムを記録媒体に記録するホログラム記録装置は、図1に係るホログラム記録装置に限定されるものではない。
以上のホログラム再生装置に備えられる再生用光学ヘッドは、1つの記録媒体に対して複数配置して、当該記録媒体に記録されているホログラム列を並列に再生することにより、より高速な再生を行うことができる。
10,10a 記録媒体
11,11a ホログラム記録層
12 光透過層
13 反射層
14,14a,14b 光透過性基板
21 記録光源
22 光分離手段
23 シャッタ
24 偏光板
25 ビーム整形用レンズ
26 ビームエクスパンダ
27 ピンホール
28 偏光プリズムビームスプリッタ
29 空間光変調器(SLM)
31 λ/2波長板(半波長板)
32 参照光集光用対物レンズ
33 反射ミラー
34 リレーレンズ
35 ナイキストフィルタ
38 信号光集光用対物レンズ
40 レーザ光源
41 球面波生成集光レンズ
43 読取部
45 制御部
46 ボイスコイルアクチュエータ
47 像形成用レンズ
48 反射ミラー
k,k’ エバルト球
Ko 記録時の信号光の波数ベクトル
kr 記録時の参照光の波数ベクトル
kg ホログラムの波数ベクトル(グレーティングベクトル)
kd 再生時の信号光の波数ベクトル
kp 再生時の参照光の波数ベクトル
Lg 再生光
Lr 球面参照光
Lr1 記録用球面参照光
Lr2 再生用球面参照光
Ls 信号光
Ra 記録時の参照光の波数ベクトルを有する平面波
Rb 再生時の参照光の波数ベクトルを有する平面波
Rc 記録時の参照光の波数ベクトルを有する球面波
Rd 再生時の参照光の波数ベクトルを有する球面波

Claims (8)

  1. データ情報を担持した信号光と参照光とを干渉させることにより形成されるホログラムがシフト多重方式によって多重記録された記録媒体に対して、参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム再生装置において、
    レーザ光源から出力された参照光を球面参照光に変換させる球面波生成集光レンズと、当該球面波生成集光レンズから出射された球面参照光が記録媒体に照射されることによって得られる再生光を読み取る読取部とを備え、さらに、
    前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態に制御する制御部を備えることを特徴とするホログラム再生装置。
  2. 前記記録媒体には、前記球面波生成集光レンズの位置を制御するための基準となる基準ホログラムが予め記録されており、
    前記制御部が、前記基準ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を制御するものであることを特徴とする請求項1に記載のホログラム再生装置。
  3. 前記制御部が、再生対象のホログラムの記録時に、当該再生対象のホログラムと共に記録された制御用ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を制御するものであることを特徴とする請求項1に記載のホログラム再生装置。
  4. 前記制御部が、前記球面波生成集光レンズをウオブリングさせながら、当該球面波生成集光レンズから出射される球面参照光がホログラムに照射されることによって得られる再生光の回折強度、当該再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比、および、当該再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートの少なくとも1つに基づいた位置制御データ情報に従って、前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を制御するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のホログラム再生装置。
  5. データ情報を担持した信号光と参照光とを干渉させることにより形成されるホログラムがシフト多重方式によって多重記録された記録媒体に対して、参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム再生方法において、
    レーザ光源から出力された参照光を球面波生成集光レンズによって球面参照光に変換させ、当該球面波生成集光レンズから出射された球面参照光を記録媒体に照射することによって得られる再生光を読み取るときに、
    前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置を、当該球面参照光に再生対象のホログラムについてのブラッグの回折条件を満足する波数ベクトルが得られる状態に制御することを特徴とするホログラム再生方法。
  6. 前記記録媒体には、前記球面波生成集光レンズの位置を制御するための基準となる基準ホログラムが予め記録されており、
    前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、前記基準ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って制御されることを特徴とする請求項5に記載のホログラム再生方法。
  7. 前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、再生対象のホログラムの記録時に、当該再生対象のホログラムと共に記録された制御用ホログラムに前記球面参照光が照射されることによって得られる再生光から取得される位置制御データ情報に従って制御されることを特徴とする請求項5に記載のホログラム再生方法。
  8. 前記球面波生成集光レンズから出射される球面参照光の集光点の位置が、前記球面波生成集光レンズをウオブリングさせながら、当該球面波生成集光レンズから出射される球面参照光がホログラムに照射されることによって得られる再生光の回折強度、当該再生光から得られるデータ情報の信号対雑音比、および、当該再生光から得られるデータ情報のビットエラーレートの少なくとも1つに基づいた位置制御データ情報に従って制御されることを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載のホログラム再生方法。



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