しかしながら、上記特許文献1に開示された片引戸では、建具の寸法基準と建具が取り付けられる建物の寸法基準とが異なっている場合、これらの寸法基準が同一である場合と比し、建具枠と外壁の壁面を構成する外壁材との間の間隔が大きくなる。そして、建具枠と外壁材との間を湿式シール材のみでシールしようとすると、建物の外観が損なわれることが考えられる。つまり、上記先行技術では、建具枠の寸法基準と建物の寸法基準とが異なっている場合において、建物の外観品質を確保しつつ、建具枠と外壁材との間の水密性並びに気密性を確保するという点において改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、建具枠の寸法基準と建物の寸法基準とが異なっている場合において、建物の外観品質を確保しつつ、建具枠と外壁材との間の水密性並びに気密性を確保することができる建具枠と外壁材とのシール構造を得ることが目的である。
第1の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造は、建物の外壁に設けられた開口部に配置された建具の一部を構成しかつ当該開口部の周縁部に沿って配置された建具枠と、前記建具枠の周縁部と前記外壁の壁面の一部を構成する外壁材の周縁部との間に双方から離間して配置されて当該建具枠の周縁部及び当該外壁材の周縁部に沿って延びる目地部と、前記目地部と前記外壁材の周縁部との間の隙間に配置されて当該隙間を建物外側からシールする定型シール部と、前記目地部における前記定型シール部の反対側において当該目地部と前記建具枠の周縁部との間の隙間に配置されて当該隙間を建物外側からシールする湿式シール部と、を有している。
第1の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、建物の外壁に設けられた開口部に建具が配置されており、当該建具の一部を構成する建具枠が当該開口部の周縁部に沿って配置されている。また、外壁の壁面の一部を構成する外壁材の周縁部と建具枠の周縁部とは、互いに離間された状態となっている。
ところで、建具の寸法基準と建物の寸法基準とが異なっている場合、具体的には、建具に尺モジュールが採用されると共に建物にメーターモジュールが採用されている場合、建具の寸法基準と建物の寸法基準が同一である場合と比し、外壁材の周縁部と建具枠の周縁部との間の間隔が大きくなる。この場合、外壁材と建具枠との間の水密性並びに気密性を確保するために、外壁材の周縁部と建具枠の周縁部との間を湿式シール材のみでシールしようとすると、建物の外観が損なわれると共に、所定のシール性能を得られないことが考えられる。
ここで、本態様では、建具枠の周縁部と外壁材の周縁部との間に双方から離間して配置されて当該建具枠の周縁部及び当該外壁材の周縁部に沿って延びる目地部を有している。このため、建具枠の周縁部と外壁材の周縁部との間の隙間の一部を目地部で埋めることができ、当該隙間を湿式シール材のみで埋める場合と比し、建物の外観を向上させることができる。また、目地部と外壁材の周縁部との間の隙間には、定型シール部が配置されており、当該隙間を建物外側からシールすることができるため、目地部と外壁材との間の水密性並びに気密性を確保することができる。一方、目地部における定型シール部の反対側では、当該目地部と建具枠の周縁部との間の隙間に湿式シール部が配置されており、当該隙間を建物外側からシールすることができるため、目地部と建具枠との間の水密性並びに気密性を確保することができる。
第2の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造は、第1の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造において、前記建具枠は、建物上下方向に延びる縦枠部を備え、前記建具枠の周縁部のうち当該縦枠部を構成する部分からは板厚方向を前記外壁材の板厚方向とされて建物上下方向に延びるフランジ部が前記目地部側に延びており、前記目地部は、目地下地部と目地化粧部とを含んで構成されていると共に、前記目地下地部は、前記外壁の骨格を構成する外壁フレームに取り付けられ、板厚方向を前記外壁材の板厚方向とされて建物上下方向に延びる板状とされた取付部と、当該取付部における前記定型シール部側の周縁部から建物外側に延出された第1立上り部と、当該取付部の前記湿式シール部側の周縁部から建物外側に延出された第2立上り部と、を含んで構成されており、前記目地化粧部は、板厚方向を前記外壁材の板厚方向とされて前記目地下地部に沿って延びると共に、前記取付部を建物外側から覆う覆い部を含んで構成されている。
第2の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、建具枠が建物上下方向に延びる縦枠部を備えており、建具枠の周縁部のうち当該縦枠部を構成する部分からは、板厚方向を外壁材の板厚方向とされて建物上下方向に延びるフランジ部が目地部側に延びている。
また、目地部は、目地下地部と目地化粧部とを含んで構成されており、当該目地下地部は、取付部と、第1立上り部と、第2立上り部とを含んで構成されている。そして、取付部は、板厚方向を外壁材の板厚方向とされて建物上下方向に延びる板状とされていると共に、外壁の骨格を構成する外壁フレームに取り付けられている。この取付部の定型シール部側の周縁部からは、第1立上り部が建物外側に延出されており、当該第1立上り部の建物外側の端部の位置を調整することで定型シール部の位置を適切な位置に設定することが可能となる。一方、取付部の湿式シール部側の周縁部からは、第2立上り部が建物外側に延出されており、縦枠部の取付時において、縦枠部のフランジ部を第2立上り部に当接させることで第2立上り部を縦枠部のガイドとして用いることができる。
さらに、目地化粧部は、板厚方向を外壁材の板厚方向とされて目地下地部に沿って延びる覆い部を備えており、当該覆い部によって目地下地部の取付部を建物外側から覆い隠すことができる。
第3の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造は、第2の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造において、前記定型シール部は、前記目地部と前記外壁材の周縁部との間の隙間に配置された状態において前記外壁材の周縁部に係止されるリップ部を含んで構成されており、前記第1立上り部の建物外側の端部の位置は、前記定型シール部が前記隙間に配置された状態において前記リップ部が前記外壁材の周縁部及び当該端部に係止可能な位置に設定されている。
第3の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、定型シール部がリップ部を含んで構成されており、当該リップ部は、定型シール部が目地部と外壁材の周縁部との間の隙間に配置された状態において外壁材の周縁部に係止されるようになっている。
ここで、本態様では、第1立上り部の建物外側の端部の位置が、定型シール部が目地部と外壁材の周縁部との間の隙間に配置された状態においてリップ部が外壁材の周縁部及び当該端部に係止可能な位置に設定されている。このため、定型シール部が目地部と外壁材の周縁部との間の隙間に配置された状態において、定型シール部のリップ部を外壁材の周縁部及び第1立上り部の建物外側の端部に密着させることができる。
第4の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造は、第2の態様又は第3の態様の何れか一態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造において、前記第2立上り部の建物上下方向の長さは、前記フランジ部の建物上下方向の長さと同じ長さに設定されている。
第4の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、目地下地部の第2立上り部の建物上下方向の長さが、縦枠部のフランジ部の建物上下方向の長さと同じ長さに設定されている。このため、縦枠部を取り付けるときに、当該縦枠部のフランジ部の位置を目地下地部の第2立上り部を基準として位置合わせすることができる。
第5の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造は、第4の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造において、前記目地化粧部は、前記覆い部の前記定型シール部側の周縁部から建物内側に延びると共に前記第1立上り部の当該定型シール部の反対側の面に沿って配置された第1延出部と、当該覆い部の前記湿式シール部側の周縁部から建物内側に延びると共に前記第2立上り部の当該湿式シール部側の面に沿って配置された第2延出部と、当該第2延出部の建物内側の周縁部から当該定型シール部の反対側に延びると共に前記フランジ部の建物外側の面に沿って配置された第3延出部と、を含んで構成されている。
第5の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、目地化粧部が第1延出部と第2延出部と第3延出部とを含んで構成されている。第1延出部は、覆い部の定型シール部側の周縁部から建物内側に延びると共に、目地下地部の第1立上り部における当該定型シール部の反対側の面に沿って配置されている。このため、目地化粧部、目地下地部及び定型シール部の納まりを良好なものとすることができる。
また、第2延出部は、覆い部の湿式シール部側の周縁部から建物内側に延びると共に目地下地部の第2立上り部の湿式シール部側の面に沿って配置されており、当該第2延出部の建物内側の周縁部からは、定型シール部の反対側に延びる第3延出部が設けられている。このため、目地化粧部と目地下地部とで構成される閉空間内に水等が浸入するのを抑制することができる。さらに、第3延出部は、フランジ部の建物外側の面に沿って配置されており、目地化粧部及び縦枠部を共通の取付部材で取り付けることができる。
以上説明したように、第1の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、建具枠の寸法基準と建物の寸法基準とが異なっている場合において、建物の外観品質を確保しつつ、建具枠と外壁材との間の水密性並びに気密性を確保することができるという優れた効果を有する。
第2の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、建具枠の設置作業の簡易化を図ることができると共に、建具枠の周辺部の外観品質を確保することができるという優れた効果を有する。
第3の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、目地部と外壁材との間の水密性並びに気密性をより確保することができるという優れた効果を有する。
第4の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、建具枠の取付作業を簡略化することができるという優れた効果を有する。
第5の態様に係る建具枠と外壁材とのシール構造では、目地部の外観品質を確保しつつ建具枠の取付作業を簡略化することができるという優れた効果を有する。
以下、図1〜図6を用いて、本発明の実施形態に係る建具枠と外壁材とのシール構造が適用された建物の一例について説明する。
まず、本実施形態に係る「建物10」の全体構造について説明する。この建物10は、図示しない基礎上に複数個の建物ユニット12が据え付けられて構成されており、図5及び図6に示されるように、その下階部分に玄関14を備えている。なお、建物ユニット12は、図示しない躯体フレームを備えており、四隅に立設された柱と、柱の上端部同士を連結する天井フレームと、柱の下端部同士を連結する床フレームとを含んで構成されている。そして、天井フレームの一部を構成する建物外側の天井大梁と、床フレームの一部を構成しかつ当該天井大梁と建物上下方向に対向して配置された床大梁とには、建物10の「外壁16」の一般部を構成する外壁パネル18及び外壁16における玄関14の周辺部を構成する外壁パネル20が取り付けられている。
外壁パネル18は、その骨格を構成する外壁フレーム22と、外壁16の壁面の一部を構成する「外壁材24」とを含んで構成されている。外壁フレーム22は、一対の横桟26と一対の縦桟28とを含んで正面視で矩形枠状に構成されており、当該外壁フレーム22には、矩形平板状の外壁材24が図示しないネイル等の取付部材によって取り付けられている。
一方、外壁パネル20は、その骨格を構成する「外壁フレーム30」、一対の外壁材32及び外壁材34を含んで構成されており、当該外壁パネル20には、後述する建具としての「片引戸58」で開閉される「開口部36」が設けられている。詳しくは、外壁フレーム30は、上部壁20Aの一部を構成する上部側フレーム部30Aと、引込壁20Bの一部を構成する引込側フレーム部30Bと、開口部36を構成する開口部フレーム部30Cとを備えている。
上部側フレーム部30Aは、外壁フレーム30の外枠を構成しかつ建物上下方向に延びる縦桟38、40の建物上方側の部分と、縦桟38、40の建物上方側の端部を連結する横桟42と、横桟42の建物下方側に配置されてその長さが横桟42の半分程度の長さに設定された一対の横桟44と、横桟42とそれぞれの横桟44とを横桟42の中央部で建物上下方向に連結する縦桟46と、を含んで構成されている。なお、縦桟38は、開口部36側に配置されており、縦桟40は、引込壁20B側に配置されている。一方、外壁材32は、横桟42の延在方向を長手方向とされた矩形平板状とされており、上部側フレーム部30Aにその長手方向に連なって配置されて、図示しないネイル等の取付部材によって取り付けられている。
引込側フレーム部30Bは、縦桟40の上部側フレーム部30Aよりも建物下方側の部分と、横桟44の建物下方側に配置されてその長さが横桟42と同程度の長さに設定された横桟48におけるその中央部から縦桟40までの部分と、横桟48の当該部分の建物下方側に配置されて引込側フレーム部30Bの下枠を構成する横桟50と、横桟48と横桟50とを連結する縦桟52とを含んで正面視で矩形枠状に構成されている。そして、引込側フレーム部30Bには、縦桟40の延在方向を長手方向とされた矩形平板状の外壁材34が、図示しないネイル等の取付部材によって取り付けられて引込壁20Bの壁面を構成している。なお、外壁材32と外壁材34との間には、所定の間隔があけられており、この部分には、後述するように片引戸58の一部を構成する「建具枠60」の一部が納まるようになっている。
開口部フレーム部30Cは、縦桟38の上部側フレーム部30Aよりも建物下方側の部分と、横桟48におけるその 中央部から縦桟38までの部分と、横桟48の当該部分の建物下方側に配置されて開口部36の下枠を構成する横桟54と、縦桟52と隣接しかつ横桟48と横桟54とを連結する縦桟56とを含んで正面視で矩形枠状に構成されている。そして、図6に示されるように、開口部フレーム部30Cには、片引戸58が取り付けられている。なお、上述した建物ユニット12の構成要素は、基本的にメーターモジュールが設計基準とされて設計されている。
図3及び図4にも示されるように、片引戸58は、その主な部分が開口部36の周縁部に沿って配置された建具枠60と当該建具枠60に沿って移動可能な障子部(引戸本体部)62とを含んで構成されている。建具枠60は、上枠64、点検カバー66、上枠アタッチメント68、アタッチメントカバー70、縦枠部としての「縦枠72」、同じく縦枠部としての「方立74」及び下枠76を備えている。上枠64は、建具枠60の建物上方側の部分を構成しており、障子部62の移動方向に延びると共に、当該移動方向から見て複数の仕切り部で区画された筒状の本体部64Aと、本体部64Aから建物外側に延びる延出部64Bとを含んで構成されている。
本体部64Aの建物外側には、障子部62の建物上方側の端部に設けられた吊戸車78を支持する戸車支持部80が、図示しない取付部材で取り付けられている。そして、吊戸車78及び本体部64Aは、延出部64Bに係止された点検カバー66で建物外側から覆い隠されている。
一方、本体部64Aの建物下方側には、上枠アタッチメント68が配置されている。この上枠アタッチメント68は、障子部62の移動方向に延びると共に、当該移動方向から見て複数の仕切り部で区画された筒状とされていると共に、本体部64Aに係止されている。なお、上枠アタッチメント68は、当該上枠アタッチメント68に係止されたアタッチメントカバー70に建物下方側から覆い隠されている。また、上枠64、点検カバー66等の一部は、正面視で開口部フレーム部30Cから引込側フレーム部30B側に張り出した状態となっており、外壁材32と外壁材34との間に納まっている。
下枠76は、建具枠60の建物下方側の部分を構成しており、障子部62の移動方向に延びている。また、下枠76には、ガイドローラー82が設けられており、当該ガイドローラー82によって、障子部62が案内されるようになっている。
縦枠72は、建具枠60における障子部62の戸先側の部分を構成すると共に、縦桟38に沿って建物上下方向に延びており、図1にも示されるように、建具枠60の周縁部の一部を構成する「縦壁部72A」と、縦壁部72Aの建物内側の周縁部から障子部62と反対側に延出された「フランジ部72B」とを含んで構成されている。なお、フランジ部72Bは、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて建物上下方向に延びており、後述するように、ねじ96で縦桟38に取り付けられている。
方立74は、建具枠60における縦枠72と反対側の縦枠部の一部として機能しており、開口部36側と引込壁20B側とを仕切っている。なお、本実施形態では、図2に示されるように、上枠64における縦枠72と反対側の「縦壁部64C」も建具枠60の周縁部の一部を構成しており、当該縦壁部64Cの建物内側の周縁部からは、「フランジ部64D」が縦枠72と反対側に延出されている。なお、フランジ部64Dは、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて建物上下方向に延びており、後述するように、ねじ110で縦桟40に取り付けられている。なお、上述した片引戸58の構成要素は、基本的に尺モジュールが設計基準とされて設計されている。
ここで、本実施形態では、図1及び図2に示されるように、建具枠60の縦枠72と開口部36側に配置された外壁パネル18の外壁材24との境界部と、上枠64と引込壁20B側に配置された外壁パネル18の外壁材24との境界部との二箇所に本実施形態に係る建具枠と外壁材とのシール構造が適用されている。以下、本実施形態に係る建具枠と外壁材とのシール構造について詳細に説明していくが、上記二箇所は、基本的に同様の構成とされているため、縦枠72と外壁材24との境界部の構成を中心に説明していくこととする。
図1に示されるように、縦枠72の縦壁部72Aと外壁材24の外壁材24の周縁部としての「先細り部24A」との間には、双方から離間されて当該縦壁部72A及び先細り部24Aに沿って延びる「目地部88」が配置されており、当該目地部88は、「目地下地部90」と「目地化粧部92」とを備えている。
目地下地部90は、鋼製とされており、「取付部90A」と「第1立上り部90B」と「第2立上り部90C」とを含んで構成されている。なお、目地下地部90は、鋼以外の材質で構成されていてもよい。取付部90Aは、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて建物上下方向に延びる矩形の板状とされており、縦桟38のウェブ部38Aに沿って配置されている。そして、取付部90Aは、止水材94を介してウェブ部38Aに当接された状態とされて、ねじ84で当該ウェブ部38Aに取り付けられている。なお、止水材94は、外壁材24と外壁フレーム22との間にも配置されている。
第1立上り部90Bは、取付部90Aの外壁材24側の周縁部から建物外側に延出された板状とされており、その外壁材24の厚さ方向の寸法L1が、外壁材24の先細り部24Aにおける外壁材24の厚さ方向の寸法T1と同様の寸法に設定されている。第2立上り部90Cは、取付部90Aの縦桟28側の周縁部から建物外側に延出された板状とされており、その外壁材24の厚さ方向の寸法L2が外壁材24の一般部24Bにおける外壁材24の厚さ方向の寸法T2と同様の寸法に設定されている。また、第2立上り部90Cの建物上下方向の長さは、縦枠72のフランジ部72Bの建物上下方向の長さと同じ長さに設定されている。なお、ここでいう「同じ長さ」には、第2立上り部90Cの建物上下方向の長さとフランジ部72Bの建物上下方向の長さとが、所定の範囲で異なる構成も含まれる。
一方、目地化粧部92は、鋼製とされていると共に、「覆い部92A」と「第1延出部92B」と「第2延出部92C」と「第3延出部92D」とを含んで構成されており、建物上下方向の長さが目地下地部90の建物上下方向の長さと同様の長さに設定されている。覆い部92Aは、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて目地下地部90に沿って延びており、建物外側から見て当該目地下地部90の取付部90Aを覆い隠した状態となっている。
第1延出部92Bは、覆い部92Aの外壁材24側の周縁部から建物内側に延出された板状とされており、その先端部が目地下地部90の第1立上り部90Bにおける外壁材24の反対側の面に沿って配置されている。第2延出部92Cは、覆い部92Aの縦枠72側の周縁部から建物内側に延出された板状とされており、目地下地部90の第2立上り部90Cにおける縦枠72側の面に沿って配置されている。第3延出部92Dは、第2延出部92Cの建物内側の周縁部から外壁材24と反対側に延びていると共に、縦枠72のフランジ部72Bにおける建物外側の面に沿って配置されており、建物外側からねじ96が螺入されることで、フランジ部72Bと共に縦桟38に取り付けられている。なお、第3延出部92Dが縦桟38に取り付けられた状態において、目地下地部90の第2立上り部90Cの先端部は、覆い部92Aに当接されているか、当該覆い部92Aと僅かに隙間があけられた状態となっている。
また、上記のように構成された目地部88と外壁材24の先細り部24Aとの間には、隙間があいており、当該隙間には、定型シール部としての「ガスケット98」が配置されている。このガスケット98は、目地下地部90の第1立上り部90Bと先細り部24Aとの間に嵌め込まれた本体部98Aと、第1立上り部90Bの建物外側の端部及び先細り部24Aに係止された「リップ部98B」とを備えている。そして、ガスケット98によって目地部88と先細り部24Aとの間の隙間が建物外側からシールされるようになっている。また、第1立上り部90Bの建物外側の端部の位置は、第1立上り部90Bの寸法L1が上記のように設定されることで、リップ部98Bが当該端部及び先細り部24Aに係止可能な位置に設定されている。なお、第1立上り部90Bの建物外側の端部の位置は、リップ部98Bが当該端部及び先細り部24Aに係止可能な範囲において変更可能である。
一方、目地部88におけるガスケット98の反対側では、当該目地部88と縦枠72の縦壁部72Aとの間に隙間があいており、当該隙間には、湿式シール部としての「シーリング材100」が配置されている。詳しくは、シーリング材100は、縦壁部72A、フランジ部72B、第2延出部92C及び第3延出部92Dで仕切られた隙間に充填されており、当該シーリング材100によって当該隙間が建物外側からシールされている。なお、本実施形態では、目地部88を基準とした場合、ガスケット98側と外壁材24側とは同義であり、シーリング材100側と縦枠72側とは同義である。
次に、図2を用いて上枠64と引込壁20B側に配置された外壁パネル18の外壁材24との境界部の構成について簡単に説明することとする。上枠64の縦壁部64Cと外壁材24の先細り部24Aとの間には、双方から離間されて当該縦壁部64C及び先細り部24Aに沿って延びる「目地部102」が配置されており、当該目地部102は、「目地下地部104」と「目地化粧部106」とを備えている。
目地下地部104は、「取付部104A」と「第1立上り部104B」と「第2立上り部104C」とを含んで目地下地部90と同様の構成されており、目地化粧部106は、「覆い部106A」と「第1延出部106B」と「第2延出部106C」と「第3延出部106D」とを含んで目地化粧部92と同様の構成とされている。そして、取付部104Aは、ねじ108で縦桟38に取り付けられており、第3延出部106Dは、ねじ110でフランジ部64Dと共に縦桟40に取り付けられている。なお、目地部102(第2立上り部104C)の建物上下方向の長さは、フランジ部64Dの建物上下方向の長さに対応しており、目地部88の建物上下方向の長さよりも短い長さに設定されている。
また、目地部102と外壁材24の先細り部24Aとの間には、隙間があいており、当該隙間には、定型シール部としての「ガスケット112」が配置されており、当該ガスケット112は、「リップ部112A」を備えている。そして、ガスケット112によって目地部102と先細り部24Aとの間の隙間が建物外側からシールされるようになっている。
一方、目地部102におけるガスケット112の反対側では、当該目地部102と縦壁部64Cとの間に隙間があいており、当該隙間には、湿式シール部としての「シーリング材114」が配置されており、シーリング材114によって当該隙間が建物外側からシールされている。
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、上述したように、建具枠60の縦枠72と外壁材24との境界部(図1参照)と、上枠64と外壁材24との境界部(図2参照)とに本実施形態に係る建具枠と外壁材とのシール構造が適用されているが、便宜上、図1を主に用いて本実施形態の作用並びに効果を説明することとする。
本実施形態では、図5及び図6に示されるように、建物10の外壁16に設けられた開口部36に片引戸58が配置されており、片引戸58の一部を構成する建具枠60が当該開口部36の周縁部に沿って配置されている。また、図1に示されるように、外壁16の壁面の一部を構成する外壁材24の先細り部24Aと建具枠60の周縁部とは、互いに離間された状態となっている。
ところで、片引戸58の寸法基準と建物10の寸法基準とが異なっている場合、具体的には、片引戸58に尺モジュールが採用されると共に建物10にメーターモジュールが採用されている場合、片引戸58の寸法基準と建物10の寸法基準が同一である場合と比し、外壁材24の先細り部24Aと建具枠60の周縁部との間の間隔が大きくなる。この場合、外壁材24と建具枠60との間の水密性並びに気密性を確保するために、外壁材24の先細り部24Aと建具枠60の周縁部との間を湿式シール材のみでシールしようとすると、建物10の外観が損なわれると共に、所定のシール性能を得られないことが考えられる。
ここで、本実施形態では、建具枠60の縦枠72における縦壁部72Aと外壁材24の先細り部24Aとの間に双方から離間して配置されて当該縦壁部72A及び当該先細り部24Aに沿って延びる目地部88を有している。このため、縦壁部72Aと先細り部24Aとの間の隙間の一部を目地部88で埋めることができ、当該隙間を湿式シール材のみで埋める場合と比し、建物10の外観を向上させることができる。
また、目地部88と先細り部24Aとの間の隙間には、ガスケット98が配置されており、当該隙間を建物外側からシールすることができるため、目地部88と外壁材24との間の水密性並びに気密性を確保することができる。一方、目地部88におけるガスケット98の反対側では、当該目地部88と縦壁部72Aとの間の隙間にシーリング材100が配置されており、当該隙間を建物外側からシールすることができるため、目地部88と建具枠60との間の水密性並びに気密性を確保することができる。したがって、本実施形態では、建具枠60の寸法基準と建物10の寸法基準とが異なっている場合において、建物10の外観品質を確保しつつ、建具枠60と外壁材24との間の水密性並びに気密性を確保することができる。
また、本実施形態では、建具枠60が建物上下方向に延びる縦枠72を備えており、建具枠60の周縁部のうち当該縦枠72を構成する部分からは、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて建物上下方向に延びるフランジ部72Bが目地部88側に延びている。
一方、目地部88は、目地下地部90と目地化粧部92とを含んで構成されており、当該目地下地部90は、取付部90Aと、第1立上り部90Bと、第2立上り部90Cとを含んで構成されている。そして、取付部90Aは、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて建物上下方向に延びる板状とされていると共に、外壁16の骨格を構成する外壁フレーム30に取り付けられている。この取付部90Aのガスケット98側の周縁部からは、第1立上り部90Bが建物外側に延出されており、当該第1立上り部90Bの建物外側の端部の位置を調整することでガスケット98の位置を適切な位置に設定することが可能となる。一方、取付部90Aのシーリング材100側の周縁部からは、第2立上り部90Cが建物外側に延出されており、縦枠72の取付時において、縦枠72のフランジ部72Bを第2立上り部90Cに当接させることで第2立上り部90Cを縦枠72のガイドとして用いることができる。
さらに、目地化粧部92は、板厚方向を外壁材24の板厚方向とされて目地下地部90に沿って延びる覆い部92Aを備えており、当該覆い部92Aによって目地下地部90の取付部90Aを建物外側から覆い隠すことができる。したがって、本実施形態では、建具枠60の設置作業の簡易化を図ることができると共に、建具枠60の周辺部の外観品質を確保することができる
また、本実施形態では、ガスケット98がリップ部98Bを含んで構成されており、当該リップ部98Bは、ガスケット98が目地部88と外壁材24の先細り部24Aとの間の隙間に配置された状態において先細り部24Aに係止されるようになっている。
ここで、本実施形態では、第1立上り部90Bの建物外側の端部の位置が、ガスケット98が目地部88と先細り部24Aとの間の隙間に配置された状態においてリップ部98Bが先細り部24A及び当該端部に係止可能な位置に設定されている。このため、ガスケット98が目地部88と先細り部24Aとの間の隙間に配置された状態において、ガスケット98のリップ部98Bを先細り部24A及び第1立上り部90Bの建物外側の端部に密着させることができる。したがって、本実施形態では、目地部88と外壁材24との間の水密性並びに気密性をより確保することができる。
また、本実施形態では、目地下地部90の第2立上り部90Cの建物上下方向の長さが、縦枠72のフランジ部72Bの建物上下方向の長さと同じ長さに設定されている。このため、縦枠72を取り付けるときに、当該縦枠72のフランジ部72Bの位置を目地下地部90の第2立上り部90Cを基準として位置合わせすることができる。なお、縦枠72の位置合わせは、縦桟28の上端部を外壁材32に当接させることによっても可能である。したがって、本実施形態では、建具枠60の取付作業を簡略化することができる。
加えて、本実施形態では、目地化粧部92が第1延出部92Bと第2延出部92Cと第3延出部92Dとを含んで構成されている。第1延出部92Bは、覆い部92Aのガスケット98側の周縁部から建物内側に延びると共に、目地下地部90の第1立上り部90Bにおけるガスケット98の反対側の面に沿って配置されている。このため、目地化粧部92、目地下地部90及びガスケット98の納まりを良好なものとすることができる。
また、第2延出部92Cは、覆い部92Aのシーリング材100側の周縁部から建物内側に延びると共に目地下地部90の第2立上り部90Cのシーリング材100側の面に沿って配置されており、当該第2延出部92Cの建物内側の周縁部からは、ガスケット98の反対側に延びる第3延出部92Dが設けられている。このため、目地化粧部92と目地下地部90とで構成される閉空間内に水等が浸入するのを抑制することができる。さらに、第3延出部92Dは、縦枠72のフランジ部72Bの建物外側の面に沿って配置されており、目地化粧部92及び縦枠72を共通のねじ96で取り付けることができる。したがって、本実施形態では、目地部88の外観品質を確保しつつ建具枠60の取付作業を簡略化することができる。
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、目地部88が目地下地部90及び目地化粧部92の二つの部材で構成されていたが、これに限らない。例えば、目地化粧部92を、建物上下方向から見た断面が第1立上り部90Bと第2立上り部90Cとの間に納まる建物内側に開放されたコ字状とされた部材で構成すると共に、当該目地化粧部92を、目地下地部90と目地化粧部92との間に介在するクリップで当該目地下地部90に固定する構成としてもよい。
(2) さらに、目地下地部90及び目地化粧部92の構成としては、上記以外にも次のようなものが挙げられる。すなわち、目地下地部90をアルミの押し出し材で構成して第1立上り部90B及び第2立上り部90Cにおける互いに対向する面に突起部を設けると共に、目地化粧部92を建物上下方向から見た断面が第1立上り部90Bと第2立上り部90Cとの間に納まる建物内側に開放されたコ字状とされた部材で構成して当該目地化粧部92に当該突起部に対応する被係止部を設ける構成としてもよい。
(3) また、目地部88は、一つの部材で構成されていてもよく、例えば、建物上下方向に延びる筒状の部材で目地部88が構成されていてもよい。
(4) 加えて、上述した実施形態に係る建具枠と外壁材とのシール構造は、片引戸のみでなく種々の建具に適用することが可能である。