以下、本発明の液晶組成物及び液晶表示素子について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の液晶組成物は、液晶分子と、ヒンダードアミン系化合物と、ヒンダードフェノール系化合物とを含有する。
前述したように、ヒンダードアミン系化合物は、バックライトから放出される光に起因する液晶組成物の電圧保持率(以下、「対光VHR」と言う、)の低下を防止する効果が高いが、周辺環境からの熱に起因する液晶組成物の電圧保持率(以下、「対熱VHR」と言う。)の低下を防止する効果が低い。一方、ヒンダードフェノール系化合物は、対熱VHRの低下を防止する効果が高いが、対光VHRの低下を防止する効果が低い。
このため、液晶組成物中に、単にヒンダードアミン系化合物とヒンダードフェノール系化合物とを添加するだけでは、互いの効果が相殺され、対熱VHR及び対光VHRの双方の低下を防止することは困難である。
かかる問題点を解消すべく、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、液晶組成物中に含まれるヒンダードアミン系化合物の量とヒンダードフェノール系化合物の量とを所定の比率に設定することにより、対熱VHR及び対光VHRの双方の低下を好適に防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、この点については、後に詳述するものとし、まず、本発明の液晶組成物を構成する各成分について説明する。
<液晶分子>
液晶分子としては、下記一般式(II)で表される化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
(式中、RII1は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
AII1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
ZII1は単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
YII1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、また、アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
mII1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数存在するAII1及びZII1は同一であっても異なっていても良い。)
<<一般式(II)で表される化合物の第一態様>>
第一態様の一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性が正のいわゆるp型液晶化合物(p型液晶分子)であって、以下の一般式(J)で示される化合物を挙げることができる。
一般式(II)で表される化合物として、一般式(J)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
(式中、RJ1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nJ1は、0、1、2、3又は4を表し、
AJ1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
ZJ1及びZJ2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
nJ1が2、3又は4であってAJ2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nJ1が2、3又は4であってZJ1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
XJ1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(J)中、RJ1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、RJ1は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
AJ1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、それらはフッ素原子により置換されていてもよく、下記化4の構造を表すことがより好ましく、下記化5の構造を表すことが更に好ましい。
ZJ1及びZJ2はそれぞれ独立して−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−OCH2−、−CF2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−OCH2−、−CF2O−又は単結合が特に好ましい。
XJ1はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が好ましい。
nJ1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、Tniを重視する場合には1又は2が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。また更に、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
本発明の液晶組成物において、一般式(J)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明の液晶組成物の総量に対しての一般式(J)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。更に、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
一般式(J)で表される化合物としては一般式(M)で表される化合物及び一般式(K)で表される化合物が好ましい。
すなわち、本発明で用いる液晶分子は、一般式(M)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
(式中、RM1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nM1は、0、1、2、3又は4を表し、
AM1及びAM2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZM1及びZM2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
nM1が2、3又は4であってAM2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nM1が2、3又は4であってZM1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
XM1及びXM3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
XM2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(M)中、RM1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
信頼性を重視する場合にはRM1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、RM1は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
AM1及びAM2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記化8の構造を表すことがより好ましく、下記化9の構造を表すことが更に好ましい。
ZM1及びZM2はそれぞれ独立して−CH2O−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−CF2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−CF2O−又は単結合が特に好ましい。
nM1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、Tniを重視する場合には1又は2が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。また更に、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
本発明の液晶組成物において、一般式(M)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(M)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。更に、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
一般式(M)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(M−1)及び一般式(M−2)であることが好ましい。
(式中、R31は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X31及びX32はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y31はフッ素原子又はOCF3を表し、M31〜M33はそれぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該トランス−1,4−シクロへキシレン基中の1つ又は2つの−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、n31及びn32はそれぞれ独立して0、1又は2を表し、n41+n42は、1、2又は3を表す。)
一般式(M−1)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(M−1−a)から一般式(M−1−f)で表される化合物が好ましい。
(式中、R31、X31、X32及びY31は一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34〜X39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
一般式(M−2)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(M−2−a)から一般式(M−2−n)で表される化合物が好ましい。
(式中、R31、X31、X32及びY31は一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34〜X39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
また、一般式(M)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(M−3)から一般式(M−26)であることが好ましい。
(式中、R31、X31、X32及びY31は一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34〜X39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
本発明で用いる液晶分子は、一般式(K)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
(式中、RK1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nK1は、0、1、2、3又は4を表し、
AK1及びAK2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZK1及びZK2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
nK1が2、3又は4であってAK2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nK1が2、3又は4であってZK1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
XK1及びXK3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
XK2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(K)中、RK1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
信頼性を重視する場合にはRK1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、RK1は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
AK1及びAK2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記化18の構造を表すことがより好ましく、下記化19の構造を表すことが更に好ましい。
ZK1及びZK2はそれぞれ独立して−CH2O−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−CF2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−CF2O−又は単結合が特に好ましい。
nK1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、Tniを重視する場合には1又は2が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。また更に、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
本発明の液晶組成物において、一般式(K)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(K)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。更に、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
一般式(K)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(K−1)及び一般式(K−2)であることが好ましい。
(式中、R41は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X41及びX42はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y41はフッ素原子又はOCF3を表し、M41〜M43はそれぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該トランス−1,4−シクロへキシレン基中の1つ又は2つの−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、n41及びn42はそれぞれ独立して0、1又は2を表し、n41+n42は、1、2又は3を表す。)
一般式(K−1)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(K−1−a)から一般式(K−1−d)で表される化合物が好ましい。
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44〜X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
一般式(K−2)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(K−2−a)から一般式(K−2−g)で表される化合物が好ましい。
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44〜X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
また、一般式(K)で表される化合物(液晶分子)は、具体的には下記一般式(K−3)から一般式(K−5)であることが好ましい。
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44〜X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
<一般式(II)で表される化合物の第二態様>
第二態様の一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性が負のいわゆるn型液晶化合物(n型液晶分子)であって、一般式(N−1)〜一般式(N−3)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
XN21は水素原子又はフッ素原子を表し、
TN31は−CH2−又は酸素原子を表し、
nN11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0〜3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11〜AN32、ZN11〜ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。ただし、一般式(N−2)及び一般式(N−3)において一般式(N−1)で表される化合物は除き、また、一般式(N−3)において一般式(N−2)で表される化合物は除く。)
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物は、誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当するが、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
中でも、RN11及びRN12の少なくとも1つがアルケニル基を表す化合物と、一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができる。同様に、RN21及びRN22の少なくとも1つがアルケニル基を表す化合物と一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができ、また、RN31及びRN32の少なくとも1つがアルケニル基を表す化合物と、一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができる。
また、AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32は、それらが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それらが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記化26の構造を表すことがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことが更に好ましい。
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して−CH2O−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−CH2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−CH2O−又は単結合が特に好ましい。
XN21はフッ素原子が好ましい。
TN31は酸素原子が好ましい。
nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(N−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(N−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(N−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。更に、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
本発明の液晶組成物は、一般式(N−1)として、一般式(i−1)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、Ai11、Ai12及びAi13はそれぞれ独立して1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、1,4−シクロへキシレン基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよく、1,4−フェニレン基中に存在する1個の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよく、Zi1は−OCH2−、−CH2O−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−又は−CF2CF2−を表し、mi11及びmi12はそれぞれ独立して0又は1を表し、RN11、RN12及びZN12は、それぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11、RN12及びZN12と同じ意味を表す。)
一般式(i−1)で表される化合物は、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)又は一般式(i−1C)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RN11、RN12、Ai11及びZi1は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11、RN12、Ai11及びZi1と同じ意味を表す。)
(式中、RN11、RN12、Ai11、Ai12及びZi1は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11、RN12、Ai11、Ai12及びZi1と同じ意味を表す。)
(式中、mi13は1を表し、RN11、RN12、Ai11、Ai12、Ai13、Zi1、Zi2及びmi11は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11、RN12、Ai11、Ai12、Ai13、Zi1、Zi2及びmi11と同じ意味を表す。)
一般式(i−1A)で表される化合物としては、下記一般式(i−1A−1)〜一般式(i−1A−4)で表される化合物が好ましい。
(式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(i−1B)で表される化合物としては、下記一般式(i−1B−1)〜一般式(i−1B−7)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RN11及びRN122は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(i−1C)で表される化合物としては、一般式(i−1C−1)、及び一般式(i−1C−2)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RN11及びRN122は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRi1及びRi2と同じ意味を表す。)
本発明の液晶組成物は、一般式(i−1)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましいが、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)又は一般式(i−1C)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有してもよいし、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)又は一般式(i−1C)で表される化合物をそれぞれ1種以上含有してもよい。一般式(i−1A)及び一般式(i−1B)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、2種から10種含有することがより好ましい。
更に詳述すると、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)及び一般式(i−1C)は一般式(i−1A−1)、一般式(i−1B−1)及び一般式(i−1C−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(i−1A−1)で表される化合物及び一般式(i−1B−1)で表される化合物の組み合わせであることがより好ましい。
また、本発明の液晶組成物は、一般式(N−1)として、一般式(ii)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、Aii1、Aii2はそれぞれ独立して1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、1,4−シクロへキシレン基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよく、1,4−フェニレン基中に存在する1個の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよく、mii1及びmii2はそれぞれ独立して1又は2を表し、RN11及びRN12は、それぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(ii)で表される化合物(液晶分子)は、一般式(ii−1)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、RN11、RN12、Aii1及びmii1は一般式(ii)におけるRN11、RN12、Aii1及びmii1と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1)で表される化合物は、一般式(ii−2A)又は一般式(ii−2B)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RN11、RN12及びAii1は一般式(ii)におけるRN11、RN12及びAii1と同じ意味を表す。)
(式中、Aii11及びAii11はそれぞれ独立して1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、1,4−シクロへキシレン基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよく、1,4−フェニレン基中に存在する1個の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよく、RN11及びRN12は一般式(ii)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1A)で表される化合物としては、下記一般式(ii−1A−1)及び一般式(ii−1A−2)で表される化合物が好ましい。
(式中、RN11及びRN12は、一般式(ii)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1B)で表される化合物としては、下記一般式(ii−1B−1)〜一般式(ii−1B−3)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RN11及びRN12は、一般式(ii)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
本発明の液晶組成物は、一般式(ii)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましいが、一般式(ii−1A)及び一般式(ii−1B)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有してもよいし、一般式(ii−1A)及び一般式(ii−1B)で表される化合物をそれぞれ1種以上含有してもよい。一般式(ii−1A)及び一般式(ii−1B)で表される化合物を2種から10種含有することが好ましい。
更に詳述すると、一般式(ii−1A)は一般式(ii−1A−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(ii−1B)は一般式(ii−1B−1)及び一般式(ii−1B−2)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(ii−1A−1)及び一般式(ii−1B−1)で表される化合物の組み合わせであることがより好ましい。
また、本発明の液晶組成物は、一般式(N−1)として、下記一般式(LC3−b)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、RN11、RN12、AN11、AN12及びZN11はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11、RN12、AN11、AN12及びZN11と同じ意味を表し、XLC3b1〜XLC3b4は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2、又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3b1は0又は1を表す。ただし、一般式(LC3−b)において、一般式(i−1)及び一般式(ii)で表される化合物は除く。)
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b10)を表すことが好ましい。
(式中、RN11及びRN12はそれぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN11及びRN12の組み合わせは特に限定されないが、両方がアルキル基を表すもの、両方がアルケニル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルケニル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルコキシを表すもの、及びいずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルケニルオキシ基を表すものであることが好ましく、両方がアルキル基を表すもの、及び両方がアルケニル基を表すものであることがより好ましい。
また、一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−c)を表すことが好ましい。
(式中、RN11及びRN12はそれぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(N−2)で表される化合物は一般式(N−2−1)〜(N−2−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中、RN211及びRN22はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるRN21及びRN22と同じ意味を表す。)
一般式(N−3)で表される化合物は一般式(N−3−1)及び(N−3−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(N−3−1)及び(N−3−2)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、一般式(N−3)におけるRN31及びRN32と同じ意味を表す。)
<一般式(II)で表される化合物の第三態様>
第三態様の一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性が0程度である、いわゆる非極性液晶化合物(非極性液晶分子)であり、以下の一般式(L)で示される化合物を挙げることができる。
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nL1は0、1、2又は3を表し、
AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZL1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
nL1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(J)、一般式(N−1)、一般式(N−2)及び一般式(N−3)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
本発明の液晶組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。更に、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
RL1及びRL2は、それらが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それらが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
中でも、RL1及びRL2の少なくとも1つがアルケニル基を表す化合物と、一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができる。
nL1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
AL1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記化47の構造を表すことがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことが更に好ましい。
ZL1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
分子内のハロゲン原子数は0個又は1個が好ましい。
一般式(L)で表される化合物は一般式(L−1)で表される化合物から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。一般式(L−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、30%であり、35%であり、40%であり、45%であり、50%であり、55%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、95%であり、90%であり、85%であり、80%であり、75%であり、70%であり、65%であり、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%である。
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。更に、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−1)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RL11は水素原子又はメチル基を表し、RL2は一般式(L)中のRL2と同じ意味を表す。)
一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.11)〜式(L−1−1.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−1.12)又は式(L−1−1.13)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−1−1.13)で表される化合物であることが好ましい。
また、一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.21)から式(L−1−1.24)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−1.22)から式(L−1−1.24)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−1.22)で表される化合物は本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−1.23)又は式(L−1−1.24)で表される化合物を用いることが好ましい。
また、一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.31)及び式(L−1−1.41)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
また、一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−2)で表される化合物であることが好ましい。
(式中R121及びR122はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
一般式(L−1−2)で表される化合物は、式(L−1−2.1)から式(L−1−2.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−2.1)、式(L−1−2.3)又は式(L−1−2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−2.1)で表される化合物は本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−2.3)、式(L−1−2.4)、式(L−1−2.11)及び式(L−1−2.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L−1−2.3)、式(L−1−2.4)、式(L−1−2.11)及び式(L−1−2.12)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度をよくするために20%以上にすることは好ましくない。
また、一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−3)及び/又は(L−1−4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中RL2及びRiL2それぞれ独立して一般式(L)中のRL2と同じ意味を表す。)
また、一般式(L)で表される化合物は、下記一般式(L−2)から一般式(L−11)で表される化合物であることが好ましい。本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L−2)から一般式(L−11)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、RL31は、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、RL32は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表す。)
一般式(L)で表される化合物は、一般式(L−4)、一般式(L−6)、一般式(L−7)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることが好ましく、一般式(L−6)、一般式(L−7)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(L−7)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(L−6)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることも好ましい。更に詳述すると、大きなΔnが求められる場合には、一般式(L−6)、一般式(L−8)及び一般式(L−11)から選ばれる化合物であることが好ましい。
また、一般式(L−4)、一般式(L−7)及び一般式(L−8)で表される化合物においては、RL31は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、RL32は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基であることが好ましく、RL31は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが更に好ましく、炭素原子数2又は3のアルケニル基であることが更に好ましく、一般式(L−6)で表される化合物においては、RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましい。
また、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L−12)、一般式(L−13)又は一般式(L−14)で表される化合物を1種又は2種以上含有することも好ましい。
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、XL51及びXL52はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表し、XL51及びXL52のいずれか一つはフッ素原子であり、他の一つは水素原子である。)
また、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L−16.1)から一般式(L−16.3)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
また、一般式(L)で表される化合物として、一般式(N−001)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
(式中、RN1及びRN2はそれぞれ独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、CH3又はCF3を表す。ただし、L1及びL2の両方がフッ素原子を表すものを除く。)
RN1及びRN2は、炭素原子数1から5のアルキル基を表すことが好ましい。
本発明の液晶組成物は、25℃において誘電率異方性(Δε)が正の値を有することが好ましく、25℃における誘電率異方性(Δε)が1.5から20.0であることが好ましく、1.5から18.0がより好ましく、1.5から15.0がより好ましく、1.5から11が更に好ましく、1.5から8が特に好ましい。
誘電率異方性(Δε)が正の値を有する液晶組成物は、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物を含有することが好ましい。より具体的には、一般式(M)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物を含有することが好ましく、一般式(M−1)及び/又は一般式(M−2)で表される化合物及び一般式(L−1−1)で表される化合物を含有することが好ましい。
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、液晶組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。実質的には、製造時に不可避的に生成する不純物等の意図せず含有する化合物を除くという意味である。
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(M)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、液晶組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物の合計の含有量は、液晶組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましい。
本発明の液晶組成物は、25℃において誘電率異方性(Δε)が負の値を有することが好ましく、25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であることが好ましく、−2.0から−6.0が好ましく、−2.0から−5.0がより好ましく、−2.5から−4.0が特に好ましい。
誘電率異方性(Δε)が負の値を有する液晶組成物は、一般式(N−1)〜一般式(N−3)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物を含有することが好ましい。より具体的には、一般式(N−1)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物を含有することが好ましく、一般式(N−1)で表される化合物及び一般式(L−1−1)で表される化合物を含有することが好ましい。
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(N−1)〜一般式(N−3)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、液晶組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(N−1)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、液晶組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物の合計の含有量は、液晶組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましい。
以上のような化合物の中でも、液晶分子は、末端にアルケニル基を有する液晶分子(アルケニル系液晶分子)を含むことが好ましく、一般式(L−1−1)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含むことがより好ましい。アルケニル系液晶分子を含有する液晶組成物を用いることにより、液晶表示素子の応答速度を顕著に高めることができる。
この場合、液晶分子全体に占めるアルケニル系液晶分子の割合の下限値は、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましい。一方、その上限値は、50%以下であることが好ましい。
また、液晶分子全体に占める一般式(L−1−1)で表される化合物の割合の下限値は、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましく、15%以上であることが特に好ましくい。一方、その上限値は、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることが更に好ましい。
ただし、アルケニル系液晶分子は、末端にアルキル基を有する液晶分子(アルキル系液晶分子)より周辺環境からの熱やバックライトから放射される光によるダメージを受け易い傾向にある。このため、かかる液晶組成物中に所定の比率でヒンダードアミン系化合物とヒンダードフェノール系化合物とを添加することにより、熱や光によるダメージを低減することができる。換言すれば、本発明の液晶組成物は、アルケニル系液晶分子を含有する液晶組成物において好適に用いられる。
<ヒンダードアミン系化合物>
ヒンダードアミン系化合物は、例えば、バックライトから放出される光の作用により液晶組成物中で発生するイオン、ラジカル等の劣化促進物質を捕捉することにより、対光VHRの低下を防止する機能を有すると考えられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、一般式(Ai)及び一般式(Aii)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
(式中、Ri0は水素原子、水酸基、−O・、又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH2−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH3)2−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、Ri0中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
Ri1、Ri2、Ri3及びRi4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該Ri1とRi2及び/又はRi3とRi4は互いに結合して環を形成してもよく、
Ri5、Ri6、Ri7及びRi8はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、Ri5とRi6及び/又はRi7とRi8がアルキル基を表す場合、該Ri5とRi6及び/又はRi7とRi8は互いに結合して環を形成してもよく、
niは0又は1を表し、
miは1〜6の整数を表し、Miは1〜6価の有機基を表し、Miの価数はmiが表す数と同じ数であり、Ri0、Ri1、Ri2、Ri3、Ri4、Ri5、Ri6、Ri7、Ri8及びniが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
(式中、Rii0は水素原子、水酸基、−O・、又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH2−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH3)2−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、Rii0中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
Rii1、Rii2、Rii3及びRii4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該Rii1とRii2及び/又はRii3とRii4は互いに結合して環を形成してもよく、
niiは0又は1を表し、
tは1から4を表し、Uは環構造を形成する2×t価の有機基を表し、Rii0、Rii1、Rii2、Rii3、Rii4、Rii5、Rii6、Rii7、Rii8及びniiが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(Ai)及び一般式(Aii)において、Ri0及びRii0は液晶組成物との相溶性の観点から、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数2〜20のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基であることがより好ましい。アルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基は直鎖状又は分枝状であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。製造の簡便さから、水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖状のアルキル基であることが特に好ましい。また、光劣化防止能(対光VHRの低下を防止する効果)を高めるには水素原子又は水酸基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
Ri1、Ri2、Ri3、Ri4、Rii1、Rii2、Rii3及びRii4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、原料の入手の容易さ及び化合物の安定性の観点からメチル基であることが特に好ましい。また、製造時に混入する極性不純物の除去を容易にするためにはRi1とRi2及び/又はRi3とRi4は互いに結合して環構造を形成することが好ましい。同様に、Rii1とRii2及び/又はRii3とRii4は互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
Ri5、Ri6、Ri7、Ri8、Rii5、Rii6、Rii7及びRii8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、原料の入手の容易さ及び化合物の安定性の観点から水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
一般式(Ai)で表される化合物において、miは1〜6の整数を表し、Miは1〜6価の有機基を表し、Miの価数はmiが表す数と同じ数であるが、miは2〜4であり、Miは2〜4価の有機基であることが好ましく、miは3であり、Miは3価の有機基であることがより好ましい。
miが3を表す場合、Miは一般式(Ai−M)で表される構造であることが、液晶組成物との相溶性及び保存安定性を高めるためには好ましい。
(式中の、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF2−、−CF2O−、−NH−又は単結合を表す。
Sp1、Sp2及びSp3はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF2−又は−CF2O−に置換されてもよい。
Aは下記群から選ばれる基を表す。)
(式中の、R8は、水素原子、−OH又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−、−O−CO−に置換されてもよい。また、環状構造中の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基で置換されていてもよい。)
ここで、製造の容易さ及び原料の入手容易さより、Z1、Z2及びZ3の少なくとも1個以上は−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが好ましく、Z1、Z2及びZ3の全てが−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが特に好ましい。また、Sp1、Sp2及びSp3は、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜4のアルキレン基を表すことがより好ましい。該アルキレン基は無置換であるか、又はアルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−CO−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されていることが好ましく、無置換であることがより好ましい。具体的には、Sp1、Sp2及びSp3は、−CO−、−CH2−CO−、−CH2−CH2−CO−、−CH2−O−、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−O−CO−、−CH2−CH2−O−CO−、−CH2−CH2−CH2−O−CO−、炭素原子数1〜4の無置換のアルキレン基又は単結合であることが特に好ましい。
また、−Sp1−Z1−、−Sp2−Z2−及び−Sp2−Z2−は、それぞれ独立して−CO−O−、−CH2−CO−O−、−CH2−CH2−CO−O−、−CH2−CH2−−CH2−CO−O−、−CH2−O−、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−O−CO−O−、−CH2−CH2−O−CO−O−又は−CH2−CH2−CH2−O−CO−O−であることが好ましく、−CO−O−、−CH2−CO−O−又は−CH2−CH2−CO−O−であることがより好ましい。
Aは下記一般式で表される構造であることが、液晶組成物との相溶性及び保存安定性を高めるためにはより好ましい。
(式中の、R8は、水素原子、−OH又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されてもよい。)
ここで、製造の容易さ及び原料の入手容易さより、R8は、水素原子、−OH、炭素原子数2〜10のアルキル基、−O−CO−R9(R9は炭素原子数1〜9のアルキル基を表す)が好ましく、水素原子を表すことが特に好ましい。
具体的には、一般式(Ai)としてniが3を表す化合物は、一般式(Ai−a1)〜(Ai−a14)で表される化合物が特に好ましい。
(式中のR11、R12及びR13は、それぞれ独立して一般式(Ai)中のRi0と同じ意味を表す。)
また、一般式(Ai)で表される化合物としては、以下の一般式(Ai−1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(Ai−1)中、Risはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表すが、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。Risが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
Misはmisが1を表す場合炭素原子数1から15のアルキル基を表し、misが2から6の整数を表す場合炭素原子数1から15のアルキレン基を表し、Mis中に存在する1個以上の−CH2−は−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−、−COO−、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基で置換されてもよいが、液晶組成物へ与える粘性や自身の揮発性を考慮すると、MiSは炭素原子数2から10のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数2から8のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数4から8のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数6又は8のアルキル基又はアルキレン基が好ましい。Misは直鎖状であっても分岐していてもよい。
misは1から6の整数を表すが、2から4であることが好ましい。
misが1を表す場合、一般式(Ai−1)で表される化合物は、一般式(Ai−11)又は一般式(Ai−12)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、Risは、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表し、Misは炭素原子数1から13のアルキレン基を表す。)
(式中、Ris及びRi11は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表す。)
misが2を表す場合、一般式(Ai−1)で表される化合物は、一般式(Ai−2)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RH1及びRH2は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表し、Mは炭素原子数1から15のアルキレン基を表すが、M中に存在する1個以上の−CH2−は−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−、−COO−、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基で置換されてもよい。)
一般式(Ai−2)中、RH1及びRH2は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
一般式(Ai−2)中、Mは炭素原子数1から15のアルキレン基を表すが、液晶組成物へ与える粘性や自身の揮発性を考慮すると、Mは炭素原子数2から10のアルキレンが好ましく、炭素原子数4から8のアルキレンが好ましく、炭素原子数6又は8のアルキレンが好ましい。
具体的には、一般式(Ai−24)、一般式(Ai−26)及び一般式(Ai−28)で表される化合物が挙げられる。これらの式中のRH1及びRH2は先述のとおりである。
また、misが3から6の整数を表す場合、一般式(Ai−1)で表される化合物は、一般式(Ai−3)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、RH3、RH4及びRH5は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表す。nH1及びnH2はそれぞれ独立して0又は1を表す。nH3は1から4の整数を表す。nH3が2,3又は4であり、RH5が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(Ai−3)中、RH3、RH4及びRH5は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
一般式(Ai−3)中、nH3は1を表す場合、上記一般式(Ai−a1)〜一般式(Ai−a3)を表すことが好ましい。また、一般式(Ai−3)中、nH3は2を表す場合、以下の一般式(Ai−31)及び一般式(Ai−32)で表される化合物が好ましい。これらの式中のRH3、RH4及びRH5は先述のとおりである。
また、一般式(Ai)で表される化合物においてniが0を表す化合物としては、以下の化合物が好ましい。
一般式(Aii)で表される化合物としては、以下の一般式(Aii−1)又は一般式(Aii−2)で表される化合物が好ましい。
(式中、Rii10は水素原子又は水酸基を表し、Rii12は水素原子又は一価の有機基を表し、
Spii1は単結合又は炭素原子数1から12のアルキレン基を表し、アルキレン基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられていてもよく、
Aii1はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基であり、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基で置換されていてもよく、
Rii11は水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基又は下記一般式(Ai−e)で表される基を表し、
Rii11中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられてもよく、
nii1は0又は1を表し、piiは0、1又は2を表すが、piiが2を表す場合、複数存在するSpii1及びAii1はそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよい。)
(式中、Re1は水素原子又は水酸基を表し、Spie1は単結合又は炭素原子数1から12のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられていてもよく、s1は0又は1を表す。)
(式中、Rii20及びRii21は水素原子又は水酸基を表し、nii2、l、o及びrはそれぞれ独立して0又は1を表す。)
一般式(Aii−1)で表される化合物としては、以下の一般式(Aii−1−1)〜一般式(Aii−1−22)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、Ra02、Ra72、Ra92、Aa12及びSpa12は、一般式(Aii−1)におけるRii10、Rii12、Rii11、Aii1及びSpii1と同じ意味を表す。)
(式中、Ra02及びRa03はそれぞれ独立して一般式(Aii−1)におけるRii10と同じ意味を表し、Ra72及びRa102はそれぞれ独立して一般式(Aii−1)におけるRii12と同じ意味を表し、Aa12及びAa13はそれぞれ独立して一般式(Aii−1)におけるAii1と同じ意味を表し、Spa12、Spa13及びSpa14はそれぞれ独立して一般式(Aii−1)におけるSpii1と同じ意味を表す。)
以上のような化合物の中でも、ヒンダードアミン系化合物としては、複数のエステル構造を含む主骨格と、この主骨格の各エステル構造に結合した複数のピペリジン環構造とを有する化合物、具体的には、一般式(Ai−a1)〜一般式(Ai−a6)、一般式(Ai−24)〜一般式(Ai−28)、一般式(Ai−31)、一般式(Ai−32)、一般式(Ai−2−a1)、一般式(Ai−2−c1)、一般式(Ai−2−d1)、一般式(Ai−3−a1)及び一般式(Ai−4−a1)で表される化合物を含むことが好ましい。
これらのヒンダードアミン系化合物は、複数のピペリジン環構造を有することにより、劣化促進物質の捕捉能が高く、液晶組成物の光劣化防止能に優れる。このため、かかるヒンダードアミン系化合物を含有する液晶組成物では、対光VHRの低下が良好に防止されるようになる。
また、これらのヒンダードアミン系化合物は、液晶組成物との相溶性が高いため、液晶組成物中に均一に分散させることができ、対光VHRの低下を防止する効果が如何なく発揮される。更に、かかるヒンダードアミン系化合物を用いることにより、液晶組成物の保存安定性を向上させることができる点でも好ましい。
特に、ヒンダードアミン系化合物は、好ましくはエステル構造及びピペリジン環構造の数がそれぞれ2つである化合物、具体的には、一般式(Ai−24)〜一般式(Ai−28)で表される化合物、より好ましくはエステル構造及びピペリジン環構造の数がそれぞれ3つ以上である化合物、具体的には、一般式(Ai−a1)〜一般式(Ai−a6)、一般式(Ai−31)、一般式(Ai−32)、一般式(Ai−3−a1)及び一般式(Ai−4−a1)で表される化合物である。
<ヒンダードフェノール系化合物>
ヒンダードフェノール系化合物は、例えば、周辺環境からの熱と酸素の攻撃により液晶組成物中で発生するイオン、ラジカル等の劣化促進物質を捕捉することにより、対熱VHRの低下を防止する機能を有すると考えられる。
ヒンダードフェノール系化合物は、下記一般式(H1)で表される化合物が好ましい。
(式中、Xyは炭素数1から25の炭化水素(該炭化水素中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、1,4−フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良く、
Myは炭素数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、1,4−フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良く、lは2〜6の整数を表す。)
一般式(H1)で表される化合物としては、以下の一般式(H1−I)で表される化合物がより好ましい。
(式中、Mxは炭素数1から25の炭化水素(該炭化水素中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)を表し、Xは炭素数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、1,4−フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良く、a、b、c、dはそれぞれ独立して0又は1を表すが、a+b+c+dは2以上を表す。)
Mxは炭素数2から15の炭化水素(該炭化水素中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)が好ましく、Xは炭素数2から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、単結合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、a+b+c+dは2から4がより好ましく、2が特に好ましい。
一般式(H1−I)中のMxは炭素数1から15のアルキレン基であることが更に好ましく、揮発性を考慮すると炭素数は大きい数値が好ましく、粘度を考慮すると炭素数は大き過ぎない方が好ましい。以上のことから、Mxは炭素数2から15がより好ましく、炭素数2から10が特に好ましい。
また、ヒンダードフェノール系化合物は、一般式(H2)で表される化合物が好ましい。
(一般式(H2)中、RH21は炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−又は−OCF2−で置換されてよく、
aH2は0、1又は2を表し、
MH21は
(a) トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)、及び
(c) 1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれフッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、aH2が2を表しMH21が複数存在する場合、複数存在するMH21は同一であっても異なっていても良く、
ZH21は単結合、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表すが、aH2が2を表しZH21が複数存在する場合、複数存在するZH21は同一であっても異なっていても良い。)
一般式(H1)及び一般式(H2)で表される化合物として具体的には、一般式(H−1)から一般式(H−4)で表されることが好ましい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、RH1は炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の−CH2−又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。更に具体的には、炭素原子数2から7のアルキル基、炭素原子数2から7のアルコキシル基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3から7のアルキル基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であることが更に好ましい。
一般式(H−4)中、MH4は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていてもよい。)、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基(1,4−フェニレン基中の任意の水素原子はフッ素原子により置換されていてもよい。)又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1から14のアルキレン基であることが好ましく、揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、炭素原子数2から12が更に好ましく、炭素原子数3から10が更に好ましく、炭素原子数4から10が更に好ましく、炭素原子数5から10が更に好ましく、炭素原子数6から10が更に好ましい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていてもよい。また、1,4−フェニレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−は−O−又は−S−によって置換されていてもよい。また、1,4−シクロヘキシレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
更に具体的には、例えば、式(H−11)から式(H−15)で表される化合物が挙げられる。
以上のような化合物の中でも、ヒンダードフェノール系化合物としては、直鎖状の脂肪族構造を含む主骨格と、この主骨格の両端部の少なくとも一方に結合したフェノール構造とを有する化合物、具体的には、式(H−11)から式(H−15)で表される化合物を含むことが好ましい。
また、ヒンダードフェノール系化合物は、次のI及びIIの条件のうちの一方の条件を満足する化合物がより好ましく、双方の条件を満足する化合物、具体的には、式(H−13)から式(H−15)で表される化合物が更に好ましい。
条件I:主骨格の両端部のそれぞれにフェノール構造が結合している。
条件II:主骨格が環状構造を含まない。
このようなヒンダードフェノール系化合物は、劣化促進物質の捕捉能に特に優れる。
以上のような本発明の液晶組成物は、ヒンダードアミン系化合物とヒンダードフェノール系化合物とを所定の比率で含有することに特徴を有する。具体的には、液晶組成物中に含まれるヒンダードアミン系化合物の量をA[ppm]とし、液晶組成物中に含まれるヒンダードフェノール系化合物の量をB[ppm]としたとき、B/Aを10以上(好ましくは10〜40程度、より好ましくは10〜30、更に好ましくは10〜20程度)とする。
このため、周辺環境による熱が加わっても、耐熱性に優れるヒンダードフェノール系化合物が十分量存在することにより、液晶組成物のVHRの低下を防止する効果が確実に発揮される。また、ヒンダードフェノール系化合物が十分量存在することにより、ヒンダードアミン系化合物が捕捉した劣化促進物質がヒンダードフェノール系化合物に受け渡され、ヒンダードアミン系化合物が元の状態に再生(復帰)するものと考えられる。その結果、耐光性に優れるヒンダードアミン系化合物が常に劣化促進物質を補足可能な状態となり、比較的少量であっても、長期にわたって液晶組成物のVHRの低下を防止する効果を発揮する。
すなわち、本発明によれば、ヒンダードアミン系化合物とヒンダードフェノール系化合物とによる相乗効果により、対熱VHR及び対光VHRの双方の低下を好適に防止することができる。かかる効果は、アルケニル系液晶分子を含有する液晶組成物において顕著である。
これに対して、B/Aが10未満であると、対熱VHRの低下が著しく、また経時的に対光VHRの低下を招く。なお、B/Aが40を超えても、それ以上の効果の増大が期待できない。
液晶組成物中に含まれるヒンダードアミン系化合物の量とヒンダードフェノール系化合物の量との合計は、100〜3000ppm程度であることが好ましく、1000〜2250ppm程度であることがより好ましい。これにより、液晶組成物中のヒンダードアミン系化合物及びヒンダードフェノール系化合物の絶対量を必要かつ十分な量とすることができる。そのため、対熱VHR及び対光VHRの双方の低下を確実に防止することができる。また、液晶組成物中での液晶分子の析出が阻止され、液晶組成物が固化することを好適に防止することができる。
液晶組成物中に含まれるヒンダードアミン系化合物の量Aは、特に限定されないが、25〜1000ppm程度であることが好ましく、50〜100ppm程度であることがより好ましい。このような量でヒンダードアミン系化合物を含有することにより、ヒンダードアミン系化合物による対光VHRの低下を防止する効果が確実に発揮されるとともに、ヒンダードフェノール系化合物による対熱VHRの低下を防止する効果を阻害することもない。
液晶組成物中に含まれるヒンダードフェノール系化合物の量Bも、特に限定されないが、50〜3000ppm程度であることが好ましく、1000〜2000ppm程度であることがより好ましい。このような量でヒンダードフェノール系化合物を含有することにより、ヒンダードフェノール系化合物による対熱VHRの低下を防止する効果が確実に発揮されるとともに、ヒンダードフェノール系化合物によるヒンダードアミン系化合物の再生効果を高めることができる。
ヒンダードアミン系化合物とヒンダードフェノール系化合物との組み合わせとしては、
前記一般式(Ai−a1)〜一般式(Ai−a6)、一般式(Ai−24)〜一般式(Ai−28)、一般式(Ai−31)及び一般式(Ai−32)で表される化合物のうちの少なくとも1種と、前記式(H−11)から式(H−15)で表される化合物のうちの少なくとも1種との組み合わせが好ましく、前記一般式(Ai−a1)〜一般式(Ai−a4)、一般式(Ai−31)及び一般式(Ai−32)で表される化合物のうちの少なくとも1種と前記式(H−13)から式(H−15)で表される化合物のうちの少なくとも1種との組み合わせがより好ましい。
このような本発明の液晶組成物は、温度95℃で1080時間、加熱した後における、電圧保持率の低下割合が10%以下であることが好ましく、7.5%以下であることがより好ましく、2.5〜7.5%程度であることが更に好ましい。かかる特性を有すれば、対熱VHRの低下が十分に防止されると判断することができる。
また、本発明の液晶組成物は、輝度8500cd/m2の光を、偏光板を通過させることなく、表面温度が50℃となるように、当該液晶組成物に1080時間照射した後における、電圧保持率の低下割合が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10〜15%程度であることが更に好ましい。かかる特性を有すれば、対光VHRの低下が十分に防止されると判断することができる。
更に、本発明の液晶組成物は、25℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
本発明の液晶組成物は、25℃における粘度(η)が10から50mPa・sであるが、10から40mPa・sであることがより好ましく、10から35mPa・sであることが特に好ましい。
本発明の液晶組成物は、25℃における回転粘性(γ1)が60から130mPa・sであるが、60から110mPa・sであることがより好ましく、60から100mPa・sであることが特に好ましい。
本発明の液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、重合性モノマー又は本発明で用いるヒンダードアミン系化合物以外の光安定剤(HALS)等を含有してもよい。
例えば、本発明の液晶組成物は、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶として、25℃における誘電率異方性(Δε)が+2.0から+50.0である液晶化合物(液晶分子)を含有しても良く、その含有量は0質量%から50質量%であるが、1質量%から30質量%であることが好ましく、3質量%から30質量%であることが好ましく、5質量%から20質量%であることが好ましい。
(液晶表示素子)
本発明の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。以下、図1,2を適宜参照しながら、本実施形態に係る液晶表示素子の例を説明する。
図1は、液晶表示素子の構成を模式的に示す図である。図1では、説明のために便宜上、各構成要素を離間させて示している。本実施形態に係る液晶表示素子1は、図1に示すように、対向するように配置された第一基板2及び第二基板3と、第一基板2と第二基板3との間に設けられた液晶層4とを備えており、液晶層4は本発明の液晶組成物により構成される。
第一基板2には、液晶層4側の面に画素電極層5が形成されている。第二基板3には、液晶層4側に共通電極層6が形成されている。第一基板2及び第二基板3は、一対の偏光板7,8により挟持されていてもよい。第二基板3の液晶層4側には、カラーフィルタ9が更に設けられていてもよい。
すなわち、一実施形態に係る液晶表示素子1は、第一偏光板7と、第一基板2と、画素電極層5と、液晶組成物を含む液晶層4と、共通電極層6と、カラーフィルタ9と、第二基板3と、第二偏光板8と、がこの順に積層された構成を有している。
第一基板2及び第二基板3は、例えばガラス又はプラスチック等の柔軟性をもつ材料で形成されている。第一基板2及び第二基板3の少なくとも一方は透明な材料で形成されており、他方は透明な材料で形成されていても、金属やシリコン等の不透明な材料で形成されていてもよい。第一基板2及び第二基板3は、周縁領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって互いに貼り合わされていて、その間には基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサー、又はフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
第一偏光板7及び第二偏光板8は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することができ、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直行する透過軸を有することが好ましい。特に、第一偏光板7及び第二偏光板8のうちいずれかは、電圧無印加時の液晶分子の配向方向と平行な透過軸を有するように配置されることが好ましい。
カラーフィルタ9は、光の漏れを防止する観点で、ブラックマトリクスを形成することが好ましく、薄膜トランジスタに対応する部分にブラックマトリクス(図示せず)を形成することが好ましい。
ブラックマトリクスは、アレイ基板と反対側の基板にカラーフィルタと共に設置されてもよく、アレイ基板側にカラーフィルタと共に設置されてもよく、ブラックマトリクスがアレイ基板に、カラーフィルタがもう一方の基板にそれぞれ別に設置されてもよい。また、ブラックマトリクスは、カラーフィルタと別に設置されてもよいが、カラーフィルタの各色を重ねることで透過率を低下させるものであってもよい。
図2は、図1における第一基板2上に形成された画素電極層5の一部であるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図2に示すように、第一基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む画素電極層5では、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン11と表示信号を供給するための複数のデータバスライン12とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。なお、図2には、一対のゲートバスライン11,11及び一対のデータバスライン12,12のみが示されている。
複数のゲートバスライン11と複数のデータバスライン12とにより囲まれた領域により、液晶表示素子の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極13が形成されている。画素電極13は、互いに直交して十字形状をなす二つの幹部と、各幹部から延在する複数の枝部とを備える、いわゆるフィッシュボーン構造を有している。また、一対のゲートバスライン11,11の間には、ゲートバスライン11と略平行にCs電極14が設けられている。また、ゲートバスライン11とデータバスライン12とが互いに交差している交差部近傍には、ソース電極15及びドレイン電極16を含む薄膜トランジスタが設けられている。ドレイン電極16には、コンタクトホール17が設けられている。
ゲートバスライン11及びデータバスライン12は、好ましくはそれぞれ金属膜で形成されており、より好ましくはAl、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はその合金で形成されており、更に好ましくはMo、Al又はその合金で形成されている。
画素電極13は、透過率を向上させるために、好ましくは透明電極である。透明電極は、酸化物半導体(ZnO、InGaZnO、SiGe、GaAs、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、TiO、AZTO(AlZnSnO)等)をスパッタリング等することにより形成される。この際、透明電極の膜厚は、10〜200nmであってよい。また、電気的抵抗を低減するために、アモルファスのITO膜を焼成することにより多結晶のITO膜として透明電極を形成することもできる。
本実施形態の液晶表示素子は、例えば、第一基板2及び第二基板3上にAl又はその合金等の金属材料をスパッタリングすることにより配線を形成し、画素電極層5及び共通電極層6をそれぞれ形成することができる。また、カラーフィルタ9は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルタの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルタ用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルタ用の画素部を作成することができる。また、カラーフィルタ9は、TFT等を有する基板側に設置してもよい。
第一基板2及び第二基板3は、画素電極層5及び共通電極層6がそれぞれ内側となるように対向させるが、その際にスペーサーを介して、第一基板2及び第二基板3の間隔を調整してもよい。このときは、液晶層4の厚さが、例えば1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。
偏光板7,8を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶層4の屈折率異方性Δnと液晶層4の厚さとの積を調整することが好ましい。また、二枚の偏光板7,8がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
2枚の基板2,3間に組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又は滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等を用いることができるが、真空注入法においては滴下痕が発生しないものの、注入の跡が残る課題を有しているものであるが、本実施形態においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーン又はフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本実施形態においては、ODF法において、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕の発生を抑えることができる。なお、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象と定義する。
また、ODF法による液晶表示素子の製造工程においては、液晶表示素子のサイズに応じて最適な液晶注入量を滴下する必要があるが、本発明の液晶組成物は、例えば、液晶滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に液晶を滴下し続けることが可能であるため、液晶表示素子の歩留まりを高く保持することもできる。特に、最近流行しているスマートフォンに多用される小型液晶表示素子は、最適な液晶注入量が少ないために最適値からのずれを一定範囲内に制御すること自体が難しいが、本実施形態の液晶組成物を用いることにより、小型液晶表示素子においても安定した液晶材料の吐出量を実現できる。
液晶表示素子1は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子1は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子であってよく、好ましくはPSA型の液晶表示素子である。
以上、本発明の液晶組成物及び液晶表示素子を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成に置換してもよく、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
また、実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖)
−n −CnH2n+1 炭素数nの直鎖状のアルキル基
n− CnH2n+1− 炭素数nの直鎖状のアルキル基
−On −OCnH2n+1 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
−V −CH=CH2
V− CH2=CH−
−V1 −CH=CH−CH3
1V− CH3−CH=CH−
(連結基)
−1O− −CH2−O−
(環構造)
1.液晶混合物の調製
1−1.液晶混合物LC1の調製
以下のアルケニル系液晶分子を含有する液晶混合物LC1を用意した。
1−2.液晶混合物LC2の調製
以下のアルキル系液晶分子を含有する液晶混合物LC2を用意した。
3.液晶組成物の調製
(実施例1)
まず、ヒンダードアミン系化合物として下記式(A−11)で表される化合物と、ヒンダードフェノール系化合物として上記式(H−14)で表される化合物とを用意した。
次に、ヒンダードアミン系化合物とヒンダードフェノール系化合物とを、ヒンダードアミン系化合物が50ppm、ヒンダードフェノール系化合物が1000ppmとなるように液晶混合物LC1に添加することにより、液晶組成物を調製した。
(実施例2)
ヒンダードアミン系化合物が50ppm、ヒンダードフェノール系化合物が2000ppmとなるように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
(実施例3)
ヒンダードアミン系化合物が100ppm、ヒンダードフェノール系化合物が1000ppmとなるように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
(実施例4)
ヒンダードアミン系化合物が100ppm、ヒンダードフェノール系化合物が2000ppmとなるように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
(実施例5)
以下のヒンダードアミン系化合物を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
ヒンダードアミン系化合物として、前記一般式(A−11)で表される化合物と、下記式(A−12)で表される化合物とを、質量比7:3で含む混合物を用いた。
(実施例6)
以下のヒンダードフェノール系化合物を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
ヒンダードフェノール系化合物として、上記式(H−14)で表される化合物と、上記式(H−11)で表される化合物と、上記式(H−12)で表される化合物とを、質量比6:3:1で含む混合物を用いた。
(実施例7)
ヒンダードアミン系化合物が50ppm、ヒンダードフェノール系化合物が2500ppmとなるように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
(比較例)
ヒンダードアミン系化合物が200ppm、ヒンダードフェノール系化合物が1000ppmとなるように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
(参考例1)
液晶混合物LC1に何も添加することなく、そのまま液晶組成物として用いた。
(参考例2)
ヒンダードフェノール系化合物が1000ppmとなるように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
(参考例3)
液晶混合物LC2に何も添加することなく、そのまま液晶組成物として用いた。
各実施例、比較例及び各参考例で得られた液晶組成物の組成を表3に示す。
3.評価
3−1.対熱VHRの低下防止効果に関する評価
各実施例、比較例及び各参考例の液晶組成物を温度95℃で加熱した。所定時間経過した後、液晶組成物のVHRを測定した。
なお、VHRの測定は、電圧保持率測定システム(東陽テクニカ社製、「LCM−2型」)を用いて行った。
この結果を表4に示す。
表4に示すように、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の10倍以上含有する各実施例の液晶組成物では、対熱VHRの低下が防止されていた。その効果、アルキル系液晶分子を主成分とする液晶分子を含有する参考例3の液晶組成物と同等以上であった。
これに対して、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の5倍含有する比較例の液晶組成物では、242時間後から対熱VHRの低下が認められた。なお、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の40倍以上としても、対熱VHRの低下を防止する効果のそれ以上の向上は認められなかった。
3−2.対光VHRの低下防止効果に関する評価
各実施例、比較例及び各参考例で得られた液晶組成物に対して、輝度8500cd/m2の光を、偏光板を通過させることなく、表面温度が50℃となるように照射した。所定時間経過した後、液晶組成物のVHRを測定した。
なお、VHRの測定は、前記と同様にして行った。
この結果を表5に示す。
表5に示すように、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の10倍以上含有する各実施例の液晶組成物では、ヒンダードアミン系化合物を含有しない参考例1及び2の液晶組成物で認められた対光VHRの低下が防止されていた。また、その効果は、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の5倍含有する比較例や、アルキル系液晶分子を主成分とする液晶分子を含有する参考例3の液晶組成物と同等程度であった。
なお、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の40倍以上としても、対光VHRの低下を防止する効果のそれ以上の向上は認められなかった。
以上の結果から、ヒンダードフェノール系化合物をヒンダードアミン系化合物の10倍以上に設定すれば、対熱VHR及び対光VHRの双方の低下を防止し得る液晶組成物を得ることができことが判った。
また、アルキル系液晶分子を主成分とする液晶分子を用いて、前記実施例と同様にして調製した液晶組成物においても、対熱VHR及び対光VHRの双方の低下を防止し得る。