JP2019050732A - ユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル細胞とそれを用いた抗腫瘍剤のスクリーニング方法 - Google Patents

ユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル細胞とそれを用いた抗腫瘍剤のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する効果的な新規抗がん物質のスクリーニングに使用できる、キメラ遺伝子に直接反応して腫瘍を形成するユーイング肉腫ファミリー腫瘍のモデル細胞を樹立すること。【解決手段】骨髄間質細胞由来のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞であって、誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれたEWSキメラ遺伝子が染色体上に導入され、EWSキメラタンパク質の発現時に、生育可能であり、無限増殖能を有する、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。【選択図】図7

Description

本発明は細胞および細胞を用いた医薬のスクリーニング方法に関し、具体的には、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル細胞とそれを用いた抗腫瘍剤のスクリーニング方法に関する。
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing's sarcoma of family tumors:ESFT)は、小児期から青年期の骨や軟部組織に発症する肉腫である。発症部位は様々であり、転移部位は肺、骨髄、骨が多く、転移した部位により予後は異なるが、一般に予後は不良である。
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍患者のほとんどにキメラ遺伝子が検出され、キメラ遺伝子が発がんの原因遺伝子と考えられている。遺伝子検査にてEWS-FLI、EWS-ERG、EWS-ETV1、EWS-FEVなどのキメラ遺伝子が検出されれば、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍の確定診断となる。
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対して有効性が高い化学療法として、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、イホスファミド、エトポシド、アクチノマイシンが挙げられ、これらを組み合わせた多剤併用化学療法が行われる。化学療法の進歩とともに治療成績の改善を認めているが、決定的なものは無く、化学療法、外科治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療が必要である。特に頭頸部、脊椎、骨盤部などの手術、放射線照射を行い難い部位に発生した場合の予後は不良である。また治療後の長期生存者には、抗がん剤や放射線照射による二次がんが増加しており、二次がんを含めた晩期合併症の長期にわたるフォローアップが重要となる。
以上のような背景から、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する効果的な新規抗がん物質の開発が望まれている。特にユーイング肉腫ファミリー腫瘍に特徴的で、かつ肉腫発生の根本的な原因であるキメラ遺伝子に対する分子標的特異的阻害物質の開発が期待されている。
現在までキメラ遺伝子によるユーイング肉腫ファミリー腫瘍の動物モデル、細胞モデル作製の取り組みがなされてきたが、キメラ遺伝子導入による肉腫形成および細胞株作製の報告はあるものの、キメラ遺伝子に直接反応する腫瘍モデル作製の報告はない。例えば、非特許文献1および2ではキメラ遺伝子EWS-FLI1をレトロウイルスベクターで初代培養の骨由来細胞または骨髄由来間葉前駆細胞に導入し、腫瘍を作製しているが、EWS-FLI1を恒常的に発現させており、腫瘍細胞がEWS-FLI1に依存して細胞増殖および腫瘍形成能を獲得しているかどうかは不明である。
Cancer Res. 2005 Dec 15;65(24):11459-68 Cancer Res. 2005 Oct 1;65(19):8698-705
従来のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞株はキメラ遺伝子に直接反応するものではなく、それらを用いて薬剤スクリーニングを行っても化合物の作用点がキメラ遺伝子であるか
は不明であり、単に細胞増殖を抑制する化合物が得られる可能性が高いという問題があった。
したがって、本発明は、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する効果的な新規抗がん物質のスクリーニングに使用できる、キメラ遺伝子に直接反応して腫瘍を形成するユーイング肉腫ファミリー腫瘍のモデル細胞を樹立することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ドキシサイクリン誘導性EWS−FLI1系を使用してマウス骨髄間質細胞よりEWS−FLI1依存的骨肉腫モデルを構築することに成功した。さらに、人工多能性幹(iPS)細胞技術を利用して、癌関連性遺伝子異常を有するEWS−FLI1依存的骨肉腫由来iPS細胞を得ることにも成功した。そして、これらの細胞が、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する医薬のスクリーニングに好適に使用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下を提供する。
[1]骨髄間質細胞由来のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞であって、
誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれたEWSキメラ遺伝子が染色体上に導入され、EWSキメラタンパク質の発現時に生育可能であり、無限増殖能を獲得した、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
[2]EWSキメラ遺伝子がEWS-FLI1遺伝子である、[1]に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
[3]EWSキメラ遺伝子が薬剤耐性遺伝子とともに誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれた、[1]または[2]に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
[4]誘導型転写制御配列がTetオペレーターであり、前記細胞はリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子を発現する、[1]〜[3]のいずれかに記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
[5]前記EWSキメラ遺伝子はレンチウイルスベクターを用いて染色体上に導入された、[1]〜[4]のいずれかに記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞を初期化することによって得られる人工多能性幹細胞。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞が移植され、EWSキメラタンパク質の発現依存的にユーイング肉腫ファミリー腫瘍を発症する、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル非ヒト哺乳動物。
[8]EWSキメラ遺伝子の発現誘導下で培養された[1]〜[5]のいずれかに記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に試験化合物を添加する工程、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能または腫瘍表現型を調べる工程、及び、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能を低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する工程を含む、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍治療薬のスクリーニング方法。
[9][6]に記載の人工多能性幹細胞を骨細胞に分化させる工程、EWSキメラタンパク質の発現を誘導する工程、得られたEWSキメラタンパク質を発現するユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に試験化合物を添加する工程、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能または腫瘍表現型を決定する工程、及び、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能を低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する工程を含む、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍治療薬のスクリーニング方法。
[10][6]に記載の人工多能性幹細胞をEWSキメラタンパク質が発現しない状態で試験化合物を添加した骨分化誘導培地で培養して骨細胞に分化させる工程、骨細胞への分化
度を決定する工程、及び、該骨細胞への分化度を増加させることを指標として、試験化合物を骨分化促進物質として選択する工程を含む、骨分化促進物質のスクリーニング方法。
本発明により、薬剤等の刺激によりユーイング肉腫ファミリー腫瘍に検出されるキメラ遺伝子(EWS-FLI1など)の発現コントロールが可能な肉腫細胞、および肉腫細胞由来のiPS細胞が得られた。この肉腫細胞ではキメラ遺伝子の発現に依存して細胞増殖活性が誘導される点で従来の細胞株とは異なる。また、肉腫細胞由来iPS細胞は、骨分化誘導後にキメラ遺伝子を発現させることで、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍を形成することが可能である。これらは、キメラ遺伝子による影響を直接的にモニター可能な細胞系と考えられる。
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍関連キメラ遺伝子に応答する細胞系は、キメラ遺伝子に対する直接的な分子標的特異的阻害物質の開発のスクリーニングに有用である。また、キメラ遺伝子の発現のON OFFを調節でき、腫瘍の表現型を可逆的に制御できるので、骨肉腫発生のメカニズム解析などにも好適に使用できる。
レンチウイルスを用いたEWS−FLI1発現系の模式図。Rosa26−M2rtTAマウスから採取された骨髄間質細胞にレンチウイルスベクターを導入し、EWS−FLI1発現ネオマイシン耐性細胞を選択する。 各細胞における不死化細胞(EFN#2)のDox含有培地またはDox不含有培地での生育を示す顕微鏡写真。EFN#2はDox含有培地中で急速に増殖した。Doxの除去によりEWS−FLI1発現性細胞の増殖の遅延化及び形態の変化が引き起こされた(除去から4日後)。 Dox処理試料におけるDox有り無しでのEWS−FLI1のmRNA発現を示すqRT−PCRの結果を示すグラフ。データは平均値±SDとして提示されている。Dox非処理細胞の発現レベルを1に設定した。 抗HA抗体を使用するウエスタンブロッティングの結果を示す図(写真)。Doxの存在下でEWS−FLI1タンパク質が検出された。 EWS−FLI1依存的不死化細胞(EFN#2)を移植したマウスの、Dox有り無しでの腫瘍形成を示す写真。EFN#2はDoxの存在下でのみ免疫低下状態のマウスにおいて腫瘍を発生した(移植から10週間後)。 Dox有り無しでのEFN#2の移植から10週間後の腫瘍重量を示す図。腫瘍発生はDox投与に依存した。 構築されたEWS−FLI1依存的肉腫細胞株(SCOS#2及びSCOS#12)の細胞増殖アッセイの結果を示す図。肉腫細胞の増殖はEWS−FLI1発現に依存し、Dox曝露を受けていない肉腫細胞はDoxの除去から3日後に増殖を失い始めた。 細胞外領域関連遺伝子及びマトリックス関連遺伝子がSCOS#2細胞においてDoxの除去から72時間後に発現上昇することが遺伝子オントロジー濃縮分析により示された。それらの発現上昇した遺伝子は1.5を超えるホールド変化及び1.0E−4未満のp値のカットオフポイントにより選択された。上位5つの濃縮クラスターが明らかにされている。 骨形成関連遺伝子及び軟骨形成関連遺伝子のスキャッタープロット分析。骨形成関連遺伝子及び軟骨形成関連遺伝子がSCOS#2細胞においてDoxの除去から72時間後に発現上昇することが明らかになった。 アルカリホスファターゼ染色の結果を示す図(写真)。上は顕微鏡写真。Doxの除去から5日後に肉腫細胞はアルカリホスファターゼ活性を示した。スケールバー、100μm。 Doxの除去から38日後の細胞の顕微鏡写真(下はDox有)。Doxの除去から38日後にゆっくりと増殖する不均一な細胞が観察された。 Doxの除去から38日後にqRT−PCRによりmRNA発現レベルを測定した結果を示す図(左はDox有)。Doxの除去から38日後に細胞はより高い骨分化関連遺伝子の発現を示した。データは平均値±SDとして提示されている。Dox処理細胞の発現レベルを1に設定した。qRT−PCRではSost、Fgf23及びMepeはDox処理試料中に検出不可能であった。そのため、代わりにDox非処理細胞の発現レベルを1に設定した。 HE染色、Ki67免疫組織化学およびAlizarin red染色の結果を示す図(写真)。Doxの除去により小青色細胞集団の顕著な減少及び骨形成の増加が引き起こされたことがHE染色により示されている。Ki67免疫組織化学によりDoxによる肉腫における活発細胞増殖が示される。スケールバー、50μm(Dox処理)、200μm(Dox非処理、上)、50μm(Dox非処理、下)。 肉腫細胞株SCOS#2を使用するインビボ腫瘍形成アッセイの結果を示す図。3週目にDox処理を中止し、7週目にマウスを殺処理した。 得られたiPS細胞様細胞の顕微鏡写真。再プログラム化転写因子を導入することにより肉腫細胞からiPS細胞様細胞を構築した。 肉腫由来iPS細胞様細胞における多能性関連遺伝子の発現レベルを示すqRT−PCRの結果を示すグラフ。多能性関連遺伝子の発現レベルがES細胞のものと同等であることが明らかにされた。データは平均値±SDとして提示されている。ES細胞の発現レベルを1に設定した。 バイサルファイトシーケンシング分析の結果を示す図。肉腫由来iPS細胞様細胞においてNanogプロモーターとOct3/4遠位エンハンサー領域が脱メチル化されていることが明らかにされた。白丸と黒丸はそれぞれCpG部位における非メチル化シトシンとメチル化シトシンを表す。 神経組織、軟骨組織、円柱上皮の切片の染色結果を示す写真。肉腫iPS細胞は免疫低下状態のマウスの皮下組織中に外胚葉組織、中胚葉組織及び内胚葉組織から構成されるテラトーマを生じた。スケールバー、50μm。 インビトロ骨分化の模式図。 骨分化関連遺伝子のqRT−PCR分析の結果を示す図。骨分化実験において野生型ES細胞(V6.5)又はEWS−FLI1誘導性ES細胞(Rosa−rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1−ires−mCherry)を対照として使用した。骨分化関連遺伝子の発現について骨分化中の0日目と17日目の肉腫由来iPS細胞と対照ES細胞を調査した。3回の独立した実験の平均値±SDが示されている。17日目のES細胞の平均発現レベルを1に設定した。 iPS細胞様細胞におけるアリザリンレッド染色の結果を示す写真。比較にES細胞を示した。明るい赤みがかったオレンジ色に染色された細胞外カルシウム沈着物が明らかになった(骨分化誘導から28日後)。スケールバー、20μm。 テラトーマ中の類骨産生を有する骨形成領域の組織学的分析の結果を示す写真。肉腫iPS細胞に由来する類骨産生細胞は対照ES細胞に由来するものよりも高い細胞増殖活性を有することがKi67免疫組織化学により明らかにされた。スケールバー、50μm。 肉腫iPS細胞又は対照ES細胞に由来するテラトーマ中の骨形成領域のKi67陽性率を示す図。EWS−FLI1誘導性ES細胞(Rosa−M2rtTA/Col1a1::tetO−EWS−FLI1−ires−mCherry)を対照として使用した。2つの独立した肉腫由来iPS細胞テラトーマ中の6つの独立した骨形成領域又は2つの独立したES細胞テラトーマ中の9つの独立した骨形成領域の平均値±SDが示されている。統計学的分析にはマン・ホイットニーのU検定を使用した。 Dox有り無しでのiPS細胞又は対照ES細胞の増殖を示すグラフ。EWS−FLI1発現は未分化多能性幹細胞の増殖を促進しない。 インビトロ骨分化及びEWS−FLI1誘導の模式図。誘導された骨形成細胞(骨分化誘導から17日後)を後にDoxで2週間処理した、又は処理しなかった。 Dox有り無しでの各細胞の増殖を示す写真。肉腫iPS細胞由来骨形成細胞はDox処理によって顕著に細胞増殖するが、Rosa−M2rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1 ES細胞由来骨形成細胞はそのようにならなかった。 EWS−FLI1発現に関するqRT−PCR分析の結果を示すグラフ。誘導された骨形成細胞におけるEWS−FLI1発現はDox曝露によって検出可能であった。 肉腫iPS細胞由来骨形成細胞を移植されたマウスの、Dox有り無しでの腫瘍形成を示す写真。EWS−FLI1を有するiPS細胞から誘導された骨形成細胞はDoxの存在下でのみ免疫低下状態のマウスにおいて腫瘍を発生した(処理から3〜7週間後)。 腫瘍組織のHE染色の結果を示す写真(左はDoxなし)。組織学的に見ると、発生した腫瘍は小細胞性骨肉腫に類似した小円形青色細胞から構成される肉腫であった。スケールバー、200μm(左)及び50μm(右)。
<ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞>
本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞は、骨髄間質細胞に由来し、誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれたEWSキメラ遺伝子が染色体上に導入され、EWSキメラタンパク質の発現時に、生育可能であり、無限増殖能を有する細胞である。
本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞は、哺乳動物由来の骨髄間質細胞に、誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれたEWSキメラ遺伝子を、染色体に組み込む形で導入し、EWSキメラタンパク質を発現させた状態で生育でき、不死化した細胞を選別することで得ることができる。
骨髄間質細胞は、様々な供給源から得ることができる。骨髄間質細胞の供給源およびそれらの供給源から骨髄間質細胞を得る方法及びその培養方法は、従来技術に記載されている(例えば、Friedenstein et al.、1987, Cell Tissue Kinetics 20 : 263-272 ; Castro-Malaspina et al.、1980, Blood 56 : 289-301 ; Mets et al.、1981, Mech. Ageing Develop. 16 : 81-89 ; Piersma et al.、1985, Exp. Hematol. 13 : 237-243 ; Caplan, 1991, J.Orthoped.Res. 9:641-650; Prockop,1997, Science 276:71-74 ; Beresford et al.、1992, J.Cell Sci. 102:341-351; Cheng et al.、1994, Endocrinology 134:277-286 ; Rickard et al.、1994, Develop. Biol. 161: 218-228 ; Clark et al.、1995, Ann. N. Y. Acad. Sci. 770 : 70-78)。
骨髄間質細胞は、任意の骨髄から得ることができ、例えば、ヒトのドナーの腸骨稜の吸引によって得られる骨髄からの細胞を含む。ドナーから骨髄を得る方法は周知技術である。さらに、骨髄間質細胞は商業的に得ることもでき、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ及びウマから単離された骨髄間質細胞は、Cognate Bioservices社(Baltimore, MD)から入手可能である。
EWSキメラ遺伝子としては、Cancer Res. 2000 Mar 15;60(6):1536-40 等に記載されるようにEWS-FLI 、EWS-ERG、EWS-ETV1、EWS-FEVなどが例示されるが、好ましくはEWS-FLI1である。
EWS-FLI1としてはヒト由来のEWS-FLI1が好ましく、例えば、配列番号1の塩基番号1〜1494の塩基配列によってコードされる、EWS(配列番号2)とFLI1(配列番号3)の融合タンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質が挙げられる。ただし、細胞を癌化させてユーイング肉腫ファミリー腫瘍を誘導する機能を維持する限り、上記アミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質であってもよい。
誘導型転写制御配列としては、薬剤等の刺激に応答してプロモーターからの転写を開始させる配列が挙げられ、例えば、Tetオペレーター配列、Cumateオペレーター配列(System Biosciences社:SparQ Cumate Switch Inducible System)、γオペレーター配列(特表2006−526991)などが挙げられる。
Tetオペレーター配列はリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子が結合する配列(テトラサイクリン応答因子:TRE)であり、細胞に添加されたドキシサイクリン(Dox)などのリバーステトラサイクリンに依存して宿主細胞から発現したリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子が結合し、その下流に連結された遺伝子の発現が誘導される。
リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子としては、Clonetech社のTet-On Systemに含まれる、変異型Tetリプレッサータンパク質(tTetR)とVP16活性化ドメイン(AD)より構成される融合タンパク質が例示され、Tetオペレーター配列を用いる際には遺伝子が導入される宿主細胞として、当該タンパク質を発現した細胞を用いる。
誘導型転写制御配列の下流には哺乳動物細胞で機能し得るプロモーターに連結されたEWSキメラ遺伝子が配置される。哺乳動物細胞で機能し得るプロモーターとしては、β-アクチンプロモーター、CMVプロモーター、CAG(CAGGS)プロモーター等が例示されるが、プロモーターの種類は多く知られており、特にこれらに限定されない。
なお、遺伝子導入のための発現コンストラクトには、上記の誘導型転写制御配列、プロモーター、EWSキメラ遺伝子の他に、タグ配列(例えば、Flagタグ:配列番号4、HAタグ:配列番号5)、薬剤耐性遺伝子などの選択マーカー配列、リボソーム結合配列、発光タンパク質コード配列などが含まれてよい。
なお、EWSキメラ遺伝子と薬剤耐性遺伝子をTetオペロン制御下におくことで、ドキシサイクリン(Dox)投与によってEWSキメラ遺伝子と薬剤耐性遺伝子を同時に誘導可能になる。EWSキメラ遺伝子はがん遺伝子であるものの、特定の細胞種でのみ発がんに寄与し、多くの細胞腫において毒性をもたらすところ、腫瘍細胞をDox+薬剤(ネオマイシンなど)存在下で培養することで、確実にEWSキメラ遺伝子で正に制御される細胞を選別できる。これにより、より確実にEWSキメラ遺伝子に依存した腫瘍細胞を得ることが可能になる。
染色体上への遺伝子導入の方法は特に制限されず、ウイルスベクターを用いる方法、プラスミドベクターを用いる方法、人工染色体を用いる方法などが挙げられるが、ウイルスベクターを用いる方法が好ましく、レンチウイルスベクターを用いる方法がより好ましい。
レンチウイルスベクターとしては、サル免疫不全ウイルスベクター、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、例えばHIV1またはHIV2)ベクター、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクターなどを用いることができ、市販のレンチウイルスベクターを使用することもできる。
誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれたEWSキメラ遺伝子を、哺乳動物由来の骨髄間質細胞に、染色体に組み込む形で導入し、その後、遺伝子発現誘導のための刺激物質を添加してEWSキメラタンパク質を発現させ、その状態で細胞を培養し、生育でき、不死化した細胞を選別することで本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞を得ることができる。ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞は、その増殖能に加え、染色体異常や腫瘍特異的遺伝子や細胞周期マーカー(例えばKi67)の発現などでも特徴づけられる。なお、本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞は株化されたものでもよい。
本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞をマウスやラットなどの非ヒト哺乳動物に移植することで、EWSキメラタンパク質の発現依存的にユーイング肉腫ファミリー腫瘍を生じるユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル動物を得ることができる。なお、移植部位や移植に用いる細胞の量は動物の体重や目的の表現型などに応じ適宜決定すればよい。
<人工多能性幹(iPS)細胞>
本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞を初期化することで、EWSキメラタンパク質の発現依存的にユーイング肉腫ファミリー腫瘍の表現型を呈する細胞に分化し得るiPS細胞を得ることができる。
iPS細胞は、ある特定の核初期化物質を、DNAまたはタンパク質の形態で本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に導入することまたは薬剤によって当該核初期化物質の内在性のmRNAおよびタンパク質の発現を上昇させることによって作製することができる(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126: 663-676、K. Takahashi et al. (2007) Cell, 131: 861-872、J. Yu et al. (2007) Science, 318: 1917-1920、M. Nakagawa et al.
(2008) Nat. Biotechnol., 26: 101-106、国際公開WO 2007/069666および国際公開WO 2010/068955)。核初期化物質は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子またはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子もしくはその遺伝子産物であればよく、特に限定されないが、例えば、Oct3/4, Klf4, Klf1, Klf2, Klf5, Sox2, Sox1, Sox3, Sox15, Sox17, Sox18, c-Myc, L-Myc, N-Myc, TERT, SV40 Large T antigen, HPV16 E6, HPV16 E7, Bmil, Lin28, Lin28b,Nanog, EsrrbまたはEsrrgが例示される。これらの初期化物質は、iPS細胞樹立の際には、組み合わされて使用されてもよい。例えば、上記初期化物質を、少なくとも1つ、2つもしくは3つ含む組み合わせであり、好ましくは4つを含む組み合わせである。
上記の各核初期化物質のマウスおよびヒトcDNAのヌクレオチド配列並びに当該cDNAにコードされるタンパク質のアミノ酸配列情報は、WO 2007/069666に記載のNCBI accession numbersを参照することにより取得できる。当業者は、当該cDNA配列またはアミノ酸配列情報に基づいて、常法により所望の核初期化物質を調製することができる。
これらの核初期化物質は、タンパク質の形態で、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチドとの結合、マイクロインジェクションなどの手法によって初期化対象の腫瘍細胞に導入してもよいし、あるいは、DNAの形態で、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって腫瘍細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell,
131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 85, 348-62, 2009)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができる。使用されるプロモーターとしては、例えばEF1αプロモーター、CAGプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、MoMuLV LTR、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが挙
げられる。さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、腫瘍細胞への導入後、核初期化物質をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する核初期化物質をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。別の好ましい一実施態様においては、トランスポゾンを用いて染色体に導入遺伝子を組み込んだ後に、プラスミドベクターもしくはアデノウイルスベクターを用いて細胞に転移酵素を作用させ、導入遺伝子を完全に染色体から除去する方法が用いられ得る。好ましいトランスポゾンとしては、例えば、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBac等が挙げられる(Kaji, K. et al., (2009), Nature, 458: 771-775、Woltjen et al., (2009), Nature, 458: 766-770 、WO 2010/012077)。さらに、ベクターには、染色体への組み込みがなくとも複製されて、エピソーマルに存在するように、リンパ指向性ヘルペスウイルス(lymphotrophic herpes virus)、BKウイルスおよび牛乳頭腫(Bovine papillomavirus)の起点とその複製に係る配列を含んでいてもよい。例えば、EBNA-1およびoriPもしくはLarge TおよびSV40ori配列を含むことが挙げられる(WO 2009/115295、WO 2009/157201およびWO 2009/149233)。また、複数の核初期化物質を同時に導入するために、ポリシストロニックに発現させる発現ベクターを用いてもよい。ポリシストロニックに発現させるためには、遺伝子をコードする配列の間は、IRESまたは口蹄病ウイルス(FMDV)2Aコード領域により結合されていてもよい(Science, 322:949-953, 2008およびWO 2009/0920422009/152529)。
核初期化に際して、iPS細胞の誘導効率を高めるために、上記の因子の他に、例えば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸 (VPA)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(登録商標) (Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば5’-azacytidine)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤[例えば、BIX-01294 (Cell Stem Cell, 2: 525-528 (2008))等の低分子阻害剤、G9aに対するsiRNAおよびshRNA(例、G9a siRNA(human) (Santa Cruz Biotechnology)等)等の核酸性発現阻害剤など]、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644) (Cell Stem Cell, 3, 568-574 (2008))、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)(Cell Stem Cell, 3, 475-479 (2008))、Wnt Signaling activator(例えばsoluble Wnt3a)(Cell Stem Cell,
3, 132-135 (2008))、LIFまたはbFGFなどの増殖因子、ALK5阻害剤(例えば、SB431542)(Nat. Methods, 6: 805-8 (2009))、mitogen-activated protein kinase signaling阻害剤、glycogen synthase kinase-3阻害剤(PloS Biology, 6(10), 2237-2247 (2008))、miR-291-3p、miR-294、miR-295などのmiRNA (R.L. Judson et al., Nat. Biotech., 27:459-461 (2009))、等を使用することができる。
薬剤によって核初期化物質の内在性のタンパク質の発現を上昇させる方法における薬剤としては、6-bromoindirubin-3'-oxime、indirubin-5-nitro-3'-oxime、valproic acid、2-(3-(6-methylpyridin-2-yl)-lH-pyrazol-4-yl)-1,5-naphthyridine、1-(4-methylphenyl)-2-(4,5,6,7-tetrahydro-2-imino-3(2H)-benzothiazolyl)ethanone HBr(pifithrin-alpha)、prostaglandin J2および prostaglandin E2等が例示される(WO 2010/068955)。
iPS細胞誘導のための培養培地としては、例えば(1) 10〜15%FBSを含有するDMEM、DMEM/F12またはDME培地(これらの培地にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、puromycin、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β−メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)、(2) bFGFまたはSCFを含有するES細胞培養用培地、例えばマウスES細胞培養用
培地(例えばTX-WES培地、トロンボX社)または霊長類ES細胞培養用培地(例えば霊長類(ヒト&サル)ES細胞用培地(リプロセル、京都、日本)、mTeSR-1)、などが含まれる。
培養法の例としては、たとえば、37℃、5%CO2存在下にて、10%FBS含有DMEMまたはDMEM/F12培地中で腫瘍細胞と核初期化物質 (DNAまたはタンパク質) を接触させ約4〜7日間培養し、その後、細胞をフィーダー細胞 (たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等) 上にまきなおし、腫瘍細胞と核初期化物質の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培地で培養し、該接触から約30〜約45日またはそれ以上ののちにES細胞様コロニーを生じさせることができる。また、iPS細胞の誘導効率を高めるために、5-10%と低い酸素濃度の条件下で培養してもよい。
あるいは、その代替培養法として、フィーダー細胞 (たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等) 上で10%FBS含有DMEM培地(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β−メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)で培養し、約25〜約30日またはそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培地と培地交換を行う。また、核初期化に使用する腫瘍細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
マーカー遺伝子として薬剤耐性遺伝子を含む遺伝子を用いた場合は、対応する薬剤を含む培地(選択培地)で培養を行うことによりマーカー遺伝子発現細胞を選択することができる。またマーカー遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合は蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、また発色酵素遺伝子の場合は発色基質を加えることによって、マーカー遺伝子発現細胞を検出することができる。
iPS細胞が得られたことはNanog及びOct3/4などの多能性関連遺伝子の発現やNanogプロモーター及びOct3/4遠位エンハンサーなどの脱メチル化、またはテラトーマ形成などによって確認できる。
iPS細胞の骨細胞への分化誘導方法
前述のように得られたiPS細胞を培養し、骨細胞に分化させることでEWSキメラタンパク質の発現依存的にユーイング肉腫ファミリー腫瘍の表現型を呈する細胞を得ることができる。
iPS細胞の培養は公知の方法を用いることができる。接着培養でもよいし、浮遊培養でもよいし、フィーダー細胞を用いる培養でもよい。
iPS細胞を培養するための培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えば、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle’s
Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco’s modified Eagle’s Medium (DMEM)培地、Ham’s F12培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、αMEM培地である。さらに、培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、およびサイトカインを1つ以上含有しうる。
これにトリヨードサイロニンに例示される骨分化に必要な成分を加えればよい。骨分化の方法は、例えば、Nature 467, 285-290. 2010に記載されている。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。
骨分化は、Runx2、Sp7、Pth1r、Col1a1及びDmp1などの骨分化関連遺伝子などの骨分化マーカーの発現や細胞の形態などで確認することができる。
<スクリーニング方法>
本発明のスクリーニング方法の一つの態様は、EWSキメラタンパク質の発現誘導下で培養された、上記本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に試験化合物を添加する工程、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能または腫瘍表現型を調べる工程、及び、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能を低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する工程を含む。化合物無添加時または対照化合物添加時と比較して腫瘍細胞株の増殖能または腫瘍表現型が低下または減少すればその試験化合物を腫瘍治療薬候補化合物として選択できる。
本発明のスクリーニング方法の他の態様は、上記本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞由来iPS細胞を骨細胞に分化させる工程、EWSキメラタンパク質の発現を誘導する工程、得られたEWSキメラタンパク質を発現するユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に試験化合物を添加する工程、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能または腫瘍表現型を決定する工程、及び、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能を低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する工程を含む。なお、EWSキメラタンパク質の発現誘導と同時に化合物を加えてもよい。
腫瘍細胞の増殖能は公知の方法で調べることができる。また、腫瘍細胞の表現型としては、細胞形態、腫瘍マーカー遺伝子やKi67などの細胞周期関連遺伝子の発現、腫瘍タンパク質の発現等で調べることができ、遺伝子やタンパク質の発現レベルは公知の方法で決定することができる。
また、本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞を移植した非ヒト哺乳動物を用いてユーイング肉腫ファミリー腫瘍治療薬のスクリーニングを行うこともできる。
例えば、本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞が移植された非ヒト哺乳動物においてEWSキメラタンパク質の発現を誘導し、得られたEWSキメラタンパク質を発現し、腫瘍を生じたユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル動物に試験化合物を投与し、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞のサイズや腫瘍表現型を決定し、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍のサイズを低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する、という態様が例示される。
さらに、本発明のスクリーニング方法の他の態様は、上記本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞由来iPS細胞を、EWSキメラタンパク質が発現しない状態で試験化合物を添加した骨分化誘導培地で培養して骨細胞に分化させる工程、骨細胞への分化度を決定する工程、及び、該骨細胞への分化度を増加させることを指標として、試験化合物を骨分化促進物質として選択する工程を含む。本発明のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞由来iPS細胞はコントロール細胞に比べて骨分化が抑制されているので、これを用いて骨分化を指標として骨分化促進物質のスクリーニングを行うことができる。化合物無添加時または対照
化合物添加時と比較して骨分化を促進すればその試験化合物を骨分化促進物質として選択できる。骨分化促進物質は骨粗鬆症などの骨関連疾患の治療薬になりうるし、骨分化不全が肉腫形成に関わることが示されたため、骨分化促進物質は肉腫抑制物質の候補にもなりうる。なお、骨細胞への分化度は、Runx2、Sp7、Pth1r、Col1a1及びDmp1などの骨分化関連遺伝子などの骨分化マーカーの発現や細胞の形態などで確認することができる。
本発明のスクリーニング方法においては、任意の被検物質を用いることができ、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、微生物発酵産物、海洋生物由来の抽出物、植物抽出物、精製タンパク質又は粗タンパク質、ペプチド、非ペプチド化合物、合成低分子化合物、及び天然化合物が例示される。本発明において、被検物質はまた、(1)生物学的ライブラリ法、(2)デコンヴォルーションを用いる合成ライブラリ法、(3)「1ビーズ1化合物(one-bead one-compound)」ライブラリ法、及び(4)アフィニティクロマトグラフィ選別を使用する合成ライブラリ法を含む当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリ法における多くのアプローチのいずれかを使用して得ることができる。アフィニティクロマトグラフィ選別を使用する生物学的ライブラリ法はペプチドライブラリに限定されるが、その他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマー、又は化合物の低分子化合物ライブラリに適用できる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12: 145-67)。分子ライブラリの合成方法の例は、当技術分野において見出され得る(DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6909-13; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422-6; Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 2678-85; Cho et al. (1993)Science 261: 1303-5; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059;Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061; Gallop et al. (1994)J. Med. Chem. 37: 1233-51)。化合物ライブラリは、溶液(Houghten (1992) Bio/Techniques 13: 412-21を参照のこと)又はビーズ(Lam (1991) Nature 354: 82-4)、チップ(Fodor (1993) Nature 364: 555-6)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号、同第5,403,484号、及び同第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al.(1992)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-9)若しくはファージ(Scott and Smith(1990) Science 249: 386-90; Devlin (1990) Science 249: 404-6; Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378-82; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222: 301-10; 米国特許出願第2002103360号)として作製され得る。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の態様には限定されない。
<実験材料と方法>
Rosa26ターゲティング・ベクター、ES細胞ターゲティング、及びキメラマウスの作製
ユーイング肉腫細胞株TC135(Int J Cancer 128, 216-226. 2011)からEWS−FLI1融合遺伝子をクローニングした。Rosa−M2rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1系についてはRed/ET BAC組換えシステムを使用してTetOP−EWS−FLI1−FLAG−HA−ires−mCherry−pA及び選択カセット(SA−rox−PGK−EM7−BsdR−pA−rox−2pA)をRosa26 BACのイントロン1に導入した。得られたベクターをRosa26−M2rtTAアレルを有するKH2 ES細胞(Genesis 44, 23-28. 2006)に電気穿孔法で導入した。15μg/mlのブラスチシジンS(Bsd、フナコシ株式会社)を含有するES培地でES細胞を培養した。Bsd耐性コロニーを回収し、増殖させた。ESクローンが正確にターゲットされたことをサザンブロッティングにより確認した。Rosa−M2rtTA/Col1a1::tetO−EWS−FLI1系についてはEWS−FLI1−FLA
G−HA−ires−mCherry−pA配列をpBS31に挿入し、それを上述のようにKH2 ES細胞に電気穿孔法で導入した。両方の系で胚盤胞注入によりキメラマウスを得た。
レンチウイルスベクターの構築、レンチウイルスの感染及び細胞培養
ドキシサイクリン(Dox)誘導性レンチウイルスベクターを構築するため、Addgeneから入手したpEN−TmiRC3及びpSLIK−Neoレンチウイルスベクタープラスミドを改変した。まず、pEN−TmiRC3をSpeIとXhoIで消化してEWS−FLI1−FLAG−HAをtetOP−mCMVプロモーターの下流にライゲーションした。その後、ires−NeoRカセットをHAタグの3’側にライゲーションし、続いてpSLIK−NeoからUbiC−rtTA3−ires−NeoR配列を切り出した。pEN−TmiRC3(tetO−EWS−FLI1−ires−Neo)とpSLIK(UbiC−rtTA3−ires−Neo無し)との間のLR組換えの後に、pSLIK−TetO−EWS−FLI1−ires−Neoベクターを得た。
Nat Protoc 4, 102-106. 2009に報告されたようにして、 3〜4週齢のRosa26−M2rtTAマウス(Genesis 44, 23-28. 2006)から骨髄間質細胞を得た。骨髄細胞の採取から3〜4日後に培地を交換することにより非付着細胞(造血細胞)を除去し、付着細胞にレンチウイルスを感染させた。その後、10%のFBS(Gibco)、ペニシリン、ストレプトマイシン、200μg/mlのG418(ナカライテスク株式会社)及び2μg/mlのDox(Sigma)を含有するDMEM(ナカライテスク株式会社)で細胞を2か月間培養し、EWS−FLI1依存的不死化細胞を選択した。同じ培地を用いて骨肉腫細胞株、SCOS#2及びSCOS#12を維持した。
インビボ実験
Rosa−M2rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1マウス及び肉腫細胞を接種された免疫低下状態のマウスを2mg/mlのDox含有水と10mg/mlのショ糖で処理した。早期の致死性のため、より低い濃度のDox(100μg/ml〜2mg/ml)でRosa−M2rtTA/Col1a1::tetO−EWS−FLI1マウスを処理した。
iPS細胞の誘導及び維持
初期化因子を含むレトロウイルスベクター(pMX−hOCT3/4、pMX−hSOX2、pMX−hKLF4及びpMX−h−cMYC;Addgene)を利用することによりiPS細胞誘導を行った。ヒト組換えLIF(和光純薬工業株式会社)、2−メルカプトエタノール(Invitrogen)及び50μg/mlのL−アスコルビン酸(Sigma)を添加したES細胞培地の中で初期化因子誘導性肉腫細胞を培養し、LIF、1μMのPD0325901(Stemgent社)及び3μMのCHIR99021(Stemgent社)を添加したES細胞培地でそれらの構築されたiPS細胞を維持した。
RT−PCR及び定量的リアルタイムRT−PCR
RNeasyプラスミニキット(QIAGEN社)を使用してRNAを抽出した。最大で1μgまでのRNAをcDNAへの逆転写反応に使用した。Go−TaqグリーンマスターミックスとGo−Taq qPCRマスターミックス(Promega社)をそれぞれ使用してRT−PCRと定量的リアルタイムPCRを行った。β−アクチンにより転写物レベルを標準化した。
ウエスタンブロット分析
500μlのRIPA溶解緩衝液の中に培養細胞を採取し、タンパク質濃度を測定した。
2×SDSを使用してタンパク質を95℃で5分間変性処理した。総計で20μgの変性タンパク質を10%のSDS/PAGEゲルに負荷し、PVDF膜(Amersham Hybond−P PVDFメンブレン、GEヘルスケア社)に転写した。次の抗体を使用するイムノブロッティングによりタンパク質を検出した:抗HA(Cell Signaling社;希釈度1:600)、抗βアクチン(Santa Cruz社;希釈度1:1000)。視覚化のためにPierce ECLプラス・ウエスタンブロッティング基質(Thermo Scientific社)を使用し、検出にLAS4000(GEヘルスケア社)を使用した。
組織学的分析及び免疫組織化学
全ての組織試料及び腫瘍試料を4%パラフォルムアルデヒドで一晩固定し、パラフィンに包埋した。標準的プロトコルを用いてヘマトキシリンとエオシンにより切片を染色した。免疫組織化学について、使用した抗体は抗HA(Cell signaling;希釈度1:200)と抗Ki67(SP6)(Abcam社;希釈度1:150)であった。
免疫細胞化学
PBSで培養細胞を洗浄し、2%パラフォルムアルデヒドにより室温で10分間固定した。免疫細胞化学について、使用した抗体は抗p53(Abcam社;希釈度1:200)と抗p21(HUGO291)(Abcam社;希釈度1:500)であった。
細胞増殖アッセイ
肉腫細胞及びES/iPS細胞をそれぞれ5×104細胞/ウェルと1×105細胞/ウェルの密度で12ウェル培養プレートに播種した。実験を三回行い、各試料を2回測定した。自動細胞計測器(TC10(商標)、Bio−Rad社)により細胞数を測定した。
異種移植アッセイ
CLEA Japan及びJapan SLCよりそれぞれ購入したNOD/ShiJic−scid Jclマウス又はBALB/cSLC−nu/nuマウスに総計で3×106個のEWS−FLI1依存的不死化細胞、EWS−FLI1依存的肉腫細胞、ES細胞又はiPS細胞を移植した。
NOD/ShiJic−scid JclマウスにEWS−FLI1依存的不死化細胞を接種し、それらのマウスを移植から10週間後に殺処理した。BALB/cSLC−nu/nuマウスの皮下組織にEWS−FLI1依存的骨肉腫細胞を接種した。毎週デジタル式ノギスにより腫瘍サイズを測定し、次のように腫瘍体積を計算した:体積=幅2×長さ÷2。BALB/cSLC−nu/nuマウスにES細胞/iPS細胞を移植し、3〜4週間後にテラトーマを得た。
ES細胞/iPS細胞の骨形成系列へのインビトロ分化
Nature 467, 285-290. 2010に記載されるインビトロ骨分化プロトコルをわずかに改変して用いた。具体的には、ES分化培地(IMDM、15%のFBS、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン、L−アスコルビン酸、トランスフェリン、チオグリセロール)を含む96ウェルプレート(Nunclon(商標)Sphere、Thermo
Scientific社)中に5000個のES細胞又はiPS細胞を2日間培養した。2日目にレチノイン酸を添加した(終濃度、10-6M)。5日目に胚様体を収集し、6ウェル組織培養ディッシュに移し、骨分化培地(αMEM、10%のFBS、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン、2nMのトリヨードサイロニン、ITS)中で培養した。一日おきに培地を交換した。17日目にRNAを抽出し、誘導した骨形成細胞の骨形成遺伝子の発現を定量的リアルタイムRT−PCRにより確認した。28日目にアリザリンレッド染色を行った。
ALP染色
PBSで培養細胞を洗浄し、固定し、そして製造業者のプロトコルに従ってALP染色キット(Sigma)で染色した。
老化関連β−gal染色
PBSで培養細胞を洗浄し、固定し、そして製造業者のプロトコルに従って老化β−ガラクトシダーゼ染色キット(9860S番、Cell Signaling社)で染色した。
アリザリンレッド染色
PBSで培養細胞を洗浄し、4%パラフォルムアルデヒドにより室温で5分間固定した。固定した細胞を脱イオン水で数回洗浄し、アリザリンレッド染色溶液(アリザリンレッド(Sigma、A5533)2%、NH4OHによりpH4.2に調節)中で5分間染色した。同様に、脱パラフィン化切片をアリザリンレッド染色溶液中で5分間染色した。
レンチウイルス組込み部位の検出
Stem Cells 27, 300-306.に記載される方法をわずかに改変した方法でレンチウイルス組込み部位を調べた。SCOS#2から抽出したゲノムDNAをウルトラソニケーター(Covaris E210)により500〜800bpの断片に消化した。LC1とLC2をアニーリングして得たリンカーカセットをそれらの消化されたゲノムDNA断片に結合した。その後、AP1_FとpSLIK1_Rのプライマーセットを用いて最初のPCRを行い、AP2_FとpSLIK2_Rのプライマーセットを用いてネステッドPCRを行った。PCR産物をTAクローニング法によりpCR4−TOPOベクター(Invitrogen)にクローン化し、seq_LTR_Rプライマーを用いて3500xL Genetic Analyzer(Applied Biosystems社)により挿入断片のDNA配列を分析した。得られた配列をBLASTで調査した。
アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション
PureLink(登録商標)ゲノムDNAミニキット(Invitrogen)を使用してゲノムDNAを抽出した。SurePrint G3マウスゲノムCGHマイクロアレイキット(Agilent社)を使用してアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション分析を行い、Agilentゲノミック・ワークベンチ7.0により解析を行った。
マイクロアレイ分析
RNeasyミニキットを使用して調製された200ngの全RNAをWT発現キット(Ambion社)によるcDNA合成の対象とし、それにより生じたcDNAを断片化し、マウス・ジーン1.0STアレイ(Affymetrix社)にハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後に製造業者の標準的プロトコルに従ってGeneChipアレイを洗浄し、GeneChipフルイディクス・ステーション450(Affymetrix社)によって染色し、そしてスキャナー3000TGシステム(Affymetrix社)により検出した。GeneSpring GXソフトウェア(バージョン13.0、Agilent Technology社)を使用することにより得られたデータを分析した。
バイサルファイトゲノムシーケンシング
製造業者のプロトコルに従ってEZ DNA Methylation−Gold Kit(商標)(ZYMO RESEARCH社)を使用してバイサルファイト処理を行った。使用したPCRプライマーは追加情報に示されている。増幅産物をpCR4−TOPOベクター(Invitrogen)にクローン化し、DH5αに形質転換した。コロニーを無作為に選択し、各遺伝子についてM13フォワードプライマーとリバースプライマー
を用いてシーケンシングした。
<参考例>
EWS−FLI1誘導性ES細胞及びマウスの構築
まず、遺伝子座ターゲティング法によるEWS−FLI1誘導性マウスモデルの構築を試みた。tet-inducibleカセットが組み込まれたKH2系マウスとRosa26ターゲティング・ベクター(Cell 156, 663-677. 2014; J Clin Invest 123, 600-610. 2013;Genesis 44, 23-28. 2006)を利用することでDox誘導性EWS−FLI1アレルを含有するES細胞2種類を構築した。それらのES細胞では、Rosa26遺伝子座からリバーステトラサイクリン制御性トランスアクチベーター(rtTA)が発現し、一方ではTetオペレーター−EWS−FLI1−ires−mCherryコンストラクトがCol1a1遺伝子座の3’UTRに組み込まれており(Rosa−M2rtTA/Col1a1::tetO−EWS−FLI1)、もう一方ではRosa26遺伝子座のイントロン1に組み込まれている(Rosa−M2rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1)。インビトロでDoxにより処理されると両方のES細胞がmCherry蛍光を発現した。また、ES細胞におけるその誘導性EWS−FLI1発現はqRT−PCRとウエスタンブロッティングによっても確認された。
次に上記ES細胞の胚盤胞注入を行い、キメラマウスを得た。Dox処理するとEWS−FLI1はユーイング肉腫が多くの場合に生じる骨髄と骨皮質をはじめとするそのマウスの多種多様な器官と組織において発現した。幾匹かのマウス(Rosa−M2rtTA/Col1a1::tetO−EWS−FLI1)はEWS−FLI1誘導直後に死亡し、それには分化異常に起因する腸細胞の異形性変化が伴った(14匹のマウスのうちの8匹)。しかしながら、長期のEWS−FLI1の誘導(最大で13か月)にもかかわらず、どちらの系でもEWS−FLI1依存的腫瘍形成を全く観察しなかった(Rosa−M2rtTA/Col1a1::tetO−EWS−FLI1マウス:n=14、Rosa−M2rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1マウス:n=9)。
<実施例>
Dox誘導性EWS−FLI1レンチウイルスシステムによるEWS−FLI1依存的不死化細胞の構築
成熟マウスにおけるEWS−FLI1の誘導は肉腫発生に充分ではないことが我々の結果から示唆された。
そこで、Dox誘導性発現系を有するレンチウイルス性EWS−FLI1発現ベクターを作製した。Rosa26−M2rtTA(3〜4週齢)の骨髄間質細胞にTetO−EWS−FLI1−ires−Neoカセット(図1)をレンチウイルスにより形質導入した。形質導入された骨髄細胞をDox及びG418と共に培養した。その後、Dox及びG418を含有する培地の中で生存細胞を2か月間培養した。EWS−FLI1誘導性アレルを有する大半の細胞は生き残らなかったが、我々はそれでも3つの不死化細胞株(EFN#2、EFN#12及びEFV#4;図2)を得た。それらの3株はDoxに応答してEWS−FLI1のmRNAとタンパク質を発現し(図3及び4)、Dox含有培養条件下で絶えず細胞増殖した(図2)。Doxが除去されると2つの細胞株(EFN#2及びEFN#12)の形態が徐々に平坦な形にまで変化し、且つ、細胞増殖が阻害された。これらの観察は、我々がインビトロでマウス成熟骨髄間質細胞から2つのEWS−FLI1依存的不死化細胞株を得たことを示している。
EWS−FLI1依存的不死化細胞はインビボで骨肉腫を形成した
EWS−FLI1依存的不死化細胞株がインビボで腫瘍形成能を有するか確認するため、我々はEFN#2及びEFN#12を免疫低下状態のマウスの皮下に移植した。接種から10週間後に移植を受けたマウスはDoxを投与されると両方の細胞株から腫瘍を発生し
たが(EFN#2については16/16、EFN#12については2/4;図5及び6)、一方でDox投与が無いと腫瘍形成はマウスにおいて観察されなかった(EFN#2について0/16、EFN#12について0/4;図5及び6)。それらの腫瘍はユーイング肉腫に類似した小円形青色細胞から構成されることが組織学的分析により明らかになった。腫瘍細胞は多くが類骨形成を示し、小細胞性骨肉腫であると考えられた。さらに、腫瘍細胞がEWS−FLI1を発現し、増殖性細胞のマーカーであるKi67について陽性であることが免疫組織化学により示された(データを示さず)。
EWS−FLI1依存的骨肉腫細胞株の構築
EWS−FLI1誘導性骨肉腫の特性をさらに詳細に調べるため、我々はEFN#2細胞及びEFN#12細胞を接種された免疫低下状態のマウスの皮下骨肉腫からEWS−FLI1依存的骨肉腫細胞株を構築した(それぞれSCOS#2及びSCOS#12)。上記EWS−FLI1依存的不死化細胞において観察されたように、それらの構築された骨肉腫細胞株はDox濃度依存的にEWS−FLI1を発現し、Doxの存在下で活発に細胞増殖した(図7)。Doxの除去後にSCOS#2及びSCOS#12はそれらの形態を変化させ、細胞増殖を停止した。我々は同時にp53及びp21の発現の上昇を観察したが、老化関連β−gal(SAβgal)活性の上昇は観察されなかった。Doxを再投与すると増殖を停止していた細胞が細胞増殖能を再獲得した。EWS−FLI1の消失によりそれらの骨肉腫細胞の細胞周期が停止することがこの可逆的な表現型から示唆された。
レンチウイルスのゲノム挿入が骨肉腫発生において役割を果たす可能性があることを考慮して、我々はEWS−FLI1誘導性骨肉腫細胞株(SCOS#2)のウイルス組込み部位を決定した。我々は、肉腫発生の遺伝的駆動因子として作用する可能性が無い位置であるCd14の13kb下流の遺伝子間領域に単一の組込みを特定した。
EWS−FLI1発現の消失により骨肉腫細胞の骨分化が促進された
EWS−FLI1の標的を調査するため、我々は次にSCOS#2及びSCOS#12を使用してEWS−FLI1発現性肉腫細胞とEWS−FLI1非発現性肉腫細胞の間で遺伝子発現プロファイルを比較した。興味深いことに両方の細胞株においてGO濃縮分析によりDox処理EWS−FLI1発現性肉腫細胞と比較すると多くの場合に骨発生関連遺伝子及び軟骨発生関連遺伝子を含む細胞外マトリックス関連遺伝子及び細胞外領域関連遺伝子がDox非処理肉腫細胞(72時間)において著しく濃縮された(図8、9)。ユーイング肉腫細胞におけるshRNAによるEWS−FLI1の長期ノックダウンにより骨形成系列、脂肪生成系列及び軟骨形成系列への細胞分化が引き起こされ、Cancer Cell 11, 421-429 2007などで示唆されるユーイング肉腫の間葉系幹細胞(MSC)起源と合致した。同様に、本研究ではSCOS#2及びSCOS#12におけるEWS−FLI1の短期の消失によりアルカリホスファターゼ活性の増加と共に骨分化の促進が引き起こされた(図10)。EWS−FLI1の長期の消失の後にある分画の肉腫細胞はゆっくりと細胞増殖し、且つ、不均一な形態を示した(図11)。EWS−FLI1の発現が中止された肉腫細胞はより高いレベルの骨分化マーカー遺伝子(図12)、並びに軟骨形成遺伝子と脂肪生成遺伝子を発現した。
SCOS#2及びSCOS#12はDoxを投与された免疫低下状態のマウスにおいて前述の小細胞性骨肉腫を形成した(図13)。これらの肉腫細胞はKi67免疫組織化学によると高い細胞増殖活性を有した(図13)。SCOS#2及びSCOS#12の両方の増殖がEWS−FLI1発現に依存するというインビトロでの知見と一致して、前記皮下腫瘍はインビボでDoxの除去後に増殖を停止又は遅延化した(図13及び14)。Doxが除去された腫瘍は類骨組織及び成熟骨組織と少数の青色細胞から構成されることが組織学的分析により明らかになった(図13)。これらの結果はEWS−FLI1の消失に
よりインビボで骨肉腫細胞の骨分化が促進されることを表した。以上より、我々の結果は骨肉腫細胞の末期分化の抑制に対するEWS−FLI1発現の役割を明らかにした。
EWS−FLI1誘導性骨肉腫細胞からのiPS細胞の構築
EWS−FLI1誘導性肉腫発生に追加的遺伝子異常が必要とされる可能性があることを考慮すると、EWS−FLI1誘導性肉腫細胞から多能性幹細胞を構築することにより、肉腫発生に対するEWS−FLI1発現以外の遺伝子異常の影響を研究するためのユニークなツールが提供されるはずである。我々はSCOS#2及びSCOS#12からのiPS細胞の構築を試みた。それらの肉腫細胞からの単一細胞クローニングの後にOCT3/4、SOX2、KLF4及びcMYCをそれらの肉腫細胞に導入し、EWS−FLI1の発現が無い状態でiPS細胞様コロニーを得た(コロニー形成効率は0.0009%であった。図15)。これらのiPS細胞様細胞はES細胞と同等のレベルでNanog及びOct3/4などの多能性関連遺伝子を発現した(図16)。同様に、iPS細胞様細胞の全体的遺伝子発現パターンは通常のES細胞及び対照iPS細胞のパターンと同様であった。
前記肉腫由来iPS細胞様細胞はNanogプロモーターとOct3/4遠位エンハンサーの両方の脱メチル化を示した(図17)。これはこれらの細胞がエピジェネティック再構成を経て多能性を獲得したことを表している。細胞再プログラム化の後期ステージに生じる前記外来性4因子の発現のサイレンシングが幾つかのiPS細胞様クローンにおいて観察された。これはこれらの細胞が充分に再プログラム化されたことを示唆している。次に我々はアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイCGH)を行い、前記単一細胞由来肉腫細胞が広範な染色体異常を有していることを発見した。複数の肉腫由来iPS細胞様細胞が幾つかの同一の染色体異常を有しており、これはこれらのiPS細胞様クローンが前記親肉腫細胞から得られたことを確認するものである。これらの肉腫由来iPS細胞様細胞は胚盤胞注入により成熟キメラマウスになる能力を喪失しており、おそらくはこれはCGH分析において観察された広範な遺伝子異常のためである。しかしながら、肉腫由来iPS細胞様細胞は免疫低下状態のマウスの皮下組織に接種されると3種類の異なる胚葉へ分化する細胞から構成されるテラトーマを形成した(図18)。これはそれらの細胞が多能性を有することを示している。これらの結果はEWS−FLI1誘導性骨肉腫細胞からのiPS細胞の作製に成功したことを示している。
肉腫由来iPS細胞はEWS−FLI1発現と無関係に骨分化異常を示す
EWS−FLI1が消失したときの肉腫細胞の骨分化の増加からEWS−FLI1依存的骨肉腫が骨形成細胞から生じる可能性が提起された。したがって、EWS−FLI1の発現が無い状態で多能性幹細胞からインビトロで前記肉腫の想定起始細胞である骨形成細胞の誘導を試みた(図19) (Nature 467, 285-290. 2010の方法参照)。対照ES細胞では骨分化刺激はRunx2、Sp7、Pth1r、Col1a1及びDmp1などの骨分化関連遺伝子を誘導した(17日目)(図20)。骨分化刺激は肉腫由来iPS細胞においても骨分化の重要な転写因子であるRunx2の発現を誘導したが、Runx2の下流にある骨形成遺伝子の誘導はEWS−FLI1の発現が無くても減少した(17日目)(図20)。骨分化誘導を延長したとき(28日目)、アリザリンレッド染色により評価すると石灰化領域が全ての試料で検出された(図21)。しかしながら、石灰化された面積は肉腫由来iPS細胞よりも対照ES細胞で大きかった(図21)。我々は免疫低下状態のマウスにおいてテラトーマを作製するために肉腫由来iPS細胞のインビボ分化方法を用いた。肉腫由来iPS細胞と対照ES細胞の両方がテラトーマを形成し、それらのテラトーマにはEWS−FLI1の発現が無い状態で骨形成領域が含まれた(図22)。肉腫iPS細胞由来骨形成細胞のKi67陽性率は対照ES細胞由来骨形成細胞のものよりも有意に高かった(P<0.01)(図23)。まとめると、肉腫由来iPS細胞はEWS−FLI1発現と無関係に骨分化異常を示し、これはEWS−FLI1融合以外の遺伝的変
化によっても骨分化が阻害され、増殖性始原細胞状態が維持されることを示唆している。
EWS−FLI1発現は肉腫−iPS細胞由来骨形成細胞からの急速な肉腫発生を誘導した
肉腫発生に対するEWS−FLI1発現と遺伝子異常に関連する分化異常との間の協同作用の分析を試みた。肉腫由来iPS細胞と対照ES細胞(Rosa−M2rtTA/Rosa::tetO−EWS−FLI1)の両方においてEWS−FLI1発現は未分化培養条件下で細胞増殖に何の促進効果も無い(図24)。次に、肉腫由来iPS細胞と対照ES細胞の骨分化をインビトロで誘導し、その後でEWS−FLI1発現を誘導した(図25)。骨分化プロトコルの17日目に肉腫由来iPS細胞と対照ES細胞に由来する骨形成前駆細胞をDoxで処理した(図25)。その結果、肉腫由来骨形成細胞のみが31日目にDoxに応答して顕著な細胞増殖をインビトロで示した(図26及び27)。これらの細胞の異種移植によりDoxを投与されたマウスにおいてのみ腫瘍発生が生じた(図28)。これらの異種移植腫瘍は小円形青色細胞から構成される肉腫であることが組織学的分析により明らかになった(図29)。対照ES細胞に由来する骨形成細胞はインビボで明確なEWS−FLI1依存的増殖を示さなかった(データを示さず)。これは肉腫発生が追加の異常を必要とすることを確認している。まとめると、これらの結果は肉腫ゲノムと関連する分化能異常がEWS−FLI1発現時の骨形成細胞の急速な悪性形質転換に寄与することを示唆している。

Claims (10)

  1. 骨髄間質細胞由来のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞であって、
    誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれたEWSキメラ遺伝子が染色体上に導入され、
    EWSキメラタンパク質の発現時に、生育可能であり、無限増殖能を有する、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
  2. EWSキメラ遺伝子がEWS-FLI1遺伝子である、請求項1に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
  3. EWSキメラ遺伝子が薬剤耐性遺伝子とともに誘導型転写制御配列を含むプロモーターの制御下に置かれた、請求項1または2に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
  4. 誘導型転写制御配列がTetオペレーターであり、前記細胞はリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子を発現する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
  5. 前記EWSキメラ遺伝子はレンチウイルスベクターを用いて染色体上に導入された、請求項1〜4のいずれか一項に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞を初期化することによって得られる人工多能性幹細胞。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞が移植され、EWSキメラタンパク質の発現依存的にユーイング肉腫ファミリー腫瘍を発症する、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍モデル非ヒト哺乳動物。
  8. EWSキメラ遺伝子の発現誘導下で培養された請求項1〜5のいずれか一項に記載のユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に試験化合物を添加する工程、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能または腫瘍表現型を調べる工程、及び、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能を低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する工程を含む、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍治療薬のスクリーニング方法。
  9. 請求項6に記載の人工多能性幹細胞を骨細胞に分化させる工程、EWSキメラタンパク質の発現を誘導する工程、得られたEWSキメラタンパク質を発現するユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞に試験化合物を添加する工程、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能または腫瘍表現型を決定する工程、及び、該ユーイング肉腫ファミリー腫瘍細胞の増殖能を低下させること、または腫瘍表現型を減少させることを指標として、試験化合物をユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療薬候補化合物として選択する工程を含む、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍治療薬のスクリーニング方法。
  10. 請求項6に記載の人工多能性幹細胞をEWSキメラタンパク質が発現しない状態で試験化合物を添加した骨分化誘導培地で培養して骨細胞に分化させる工程、骨細胞への分化度を決定する工程、及び、該骨細胞への分化度を増加させることを指標として、試験化合物を骨分化促進物質として選択する工程を含む、骨分化促進物質のスクリーニング方法。
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