JP2019049070A - シート状物 - Google Patents

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吉田 潤
Jun Yoshida
潤 吉田
誠 山科
Makoto Yamashina
誠 山科
現 小出
Gen Koide
現 小出
西村 誠
Makoto Nishimura
誠 西村
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Abstract

【課題】本発明は、良好な外観品位を有しながらソフトな風合い、強度に優れた皮革様シート状物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、少なくとも2種の繊維長の異なる単繊維(A)および単繊維(B)と、高分子弾性体からなるシート状物であって、該単繊維(A)および単繊維(B)はシート状物の厚み方向に均一に混在し、さらに該単繊維(A)および単繊維(B)の繊維径が0.1〜30μmで、かつ単繊維(A)の繊維長が1〜7mm、単繊維(B)の繊維長が8〜80mmであることを特徴とするシート状物。【選択図】なし

Description

本発明は、シート状物に関するものであり、特に好適には皮革様シート状物に関するものである。
主として極細短繊維と高分子弾性体とからなるシート状物は、天然皮革にない優れた特徴を有しており、衣料、靴、椅子張り、鞄、インテリア、自動車や鉄道車両などのシート表皮材、内装材用途など、多岐に使用されている。これらの分野では、ソフトな風合い、良好な外観品位や強度に優れることが要求され、また、近年では製造工程に有機溶剤を使用しない環境に配慮した製造工程の要望がある。
これらの市場要求に対し、例えば特許文献1では、少なくとも1種以上の主体短繊維と該主体短繊維の融点よりも20℃以上低い融点を持つ熱融着性短繊維から構成される表面繊維層と、織編物とからなるシート状物を開示しており、バインダーとして高分子弾性体を含有しなくても良好な風合と高い耐磨耗性を両立している。しかし、シートの強度向上のために熱融着繊維を用いているため、単繊維同士が絡合した高密度な不織布と熱融着繊維による繊維間の結合により、繊維の動きは強固に拘束され、ごわつき感と張り感が強くなり、風合いは硬くなる課題があった。また、主体短繊維と、熱融着性短繊維とから構成される布帛であるため、繊維によって発色性が異なり、表面に露出した部分で異なる色となって品位を低下させる課題があった。
また、特許文献2では繊度1デニール以下、繊維長3〜15mmの湿式抄造された上層ウェブと、繊度1デニール以上の繊維からなる布と、繊度が上層ウェブのそれよりも大きく、繊維長5〜25mmの湿式抄造された下層ウェブとを順に積層し、水流交絡し、得られた不織布に弾性高分子を付与した人工皮革用基体の製造方法が開示されている。しかし、繊維層の層間の剥離強力が低く、耐摩耗性等の強度が弱くなる課題があった。
特開2011−231436号公報 WO2006/085522号公報
上記の事情に鑑み、本発明は、良好な外観品位とソフトな風合い、及び耐摩耗性に優れたシート状物を提供するものである。
本発明のシート状物は、少なくとも2種の繊維長の異なる単繊維(A)および単繊維(B)と、高分子弾性体からなるシート状物であって、該単繊維(A)および単繊維(B)はシート状物の厚み方向に均一に混在し、さらに該単繊維(A)および単繊維(B)の繊維径が0.1〜30μmで、かつ単繊維(A)の繊維長が1〜7mm、単繊維(B)の繊維長が8〜80mmであることを特徴とするシート状物である。
本発明によれば、良好な外観品位とソフトな風合い、及び耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
本発明のシート状物は、少なくとも2種の繊維長の異なる単繊維(A)および単繊維(B)と、高分子弾性体からなるシート状物である。
単繊維(A)の繊維長は1〜7mmであり、好ましくは2〜6mmである。また、単繊維(B)の繊維長は8〜80mmであり、好ましくは10〜60mm、特に好ましくは10〜30mmである。少なくとも2種の繊維長の異なる短繊維からなることにより、繊維同士を絡ませて良好な外観品位を有しながらソフトな風合いと、耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。
シート状物における単繊維の中の単繊維(A)の割合は下限としては10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、上限としては80質量%以下が好ましい。また、単繊維(A)と単繊維(B)は、単繊維(A)の割合が多いとシート状物の外観品位は良好となり、ソフトな風合いとなる。単繊維(B)の割合が多いと耐摩耗性が良好となる。一方、単繊維(A)と単繊維(B)を併用することで、単繊維(A)と単繊維(B)が互いに絡合し、単繊維(B)の絡合の隙間を単繊維(A)が埋めるように配置され、耐摩耗性等の強度と良好な外観品位を両立できるようになる。
本発明のシート状物は、マーチンデール試験(JIS L1096(2010)摩耗強さE法)での摩耗減量が0〜20mgであることが好ましく、この範囲であることで耐摩耗性に優れるものとすることができ、衣料や雑貨用途および工業材料等、幅広い用途の人工皮革用基体として好適に用いることができる。摩耗減量は、より好ましくは0〜15mgであり、特に好ましくは0〜10mgである。
単繊維(A)および単繊維(B)の繊維径は0.1〜30μmであり、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは2〜12μmである。繊維径は細い方が緻密でタッチの柔らかい外観品位のシート状物が得られる。一方、繊維径が太い方が染色での発色性に優れた効果を奏する。
単繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用することができる。
単繊維のポリマー種は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、熱可塑性セルロース等からなる各種合成繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性および染色性に優れているという観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等からなるポリエステル繊維が特に好ましく用いられる。また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いてもよい。さらに、これらのポリマー種の繊維を複数組み合わせてもよい。
単繊維のポリマーには、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することも好ましい態様である。
シート状物を構成する単繊維(A)および単繊維(B)はシート状物の厚み方向に均一に混在していることが好ましい。シート状物の厚み方向に均一に混在していることで、良好な外観品位と耐摩耗性を両立することができる。ここで、厚み方向に繊維が均一に混在するとは、シート状物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、断面厚み方向の一表面から50%までの繊維本数(a)と、他表面から50%までの繊維本数(b)を測定し、その合計繊維本数(a+b)に対する繊維本数(a)の割合が40%〜60%の間にあることを意味する。
また、本発明では単繊維(A)、単繊維(B)以外にも本発明の目的を阻害しない程度に異なる単繊維を含んでいてもよい。
本発明のシート状物は、高分子弾性体を含むものである。
高分子弾性体とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、高分子弾性体としては、ポリウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)およびアクリル樹脂等が上げられ、これらの組み合わせでもよい。ゴム弾性の強さから高分子弾性体はポリウレタンであることが好ましい。ポリウレタンを用いることにより、充実感のある触感、皮革様の外観および実使用に耐える物性を備えたシート状物を得ることができる。
ポリウレタンは、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンなどがあるが、環境に配慮した製造方法の観点から、水分散型ポリウレタンであることが好ましい。
本発明で用いられるポリウレタンは、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるものが好ましい。
ポリマージオールとしては例えば、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系、シリコーン系およびフッ素系のジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いてもよい。耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエーテル系が好ましい。また、耐光性と耐熱性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエステル系が好ましい。耐加水分解性と耐熱性と耐光性のバランスの観点からは、ポリカーボネート系とポリエステル系がより好ましく、特に好ましくはポリカーボネート系である。
有機ジイソシアネートとしては例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、メチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
高分子弾性体は、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系、シリコーン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、柔軟剤、撥水剤、凝固調整剤、染料、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、セルロース粒子等の充填剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子などを含有していてもよい。
本発明のシート状物における高分子弾性体の含有量は、好ましくは1質量%以上50質量%以下である。高分子弾性体比率を1質量%以上、より好ましくは5質量%以上とすることで、シート強度を得るとともに繊維の脱落を防ぐことができる。また、高分子弾性体比率を50質量%以下、より好ましくは40質量%以下とすることで、風合いが硬くなるのを防ぎ、良好な外観品位を得ることができる。
本発明のシート状物は、織物および/または編物を含有することが好ましい。織物および/または編物を含有することにより、シート状物の強度は強くなる。
織物は、平織、綾織および朱子織等任意の織組織が挙げられるが、織物の厚みと生産コストを考慮すると平織物が好ましく用いられる。
編物は、丸編、トリコット、ラッセル等の任意の編組織が挙げられる。
織物および/または編物を構成する繊維は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維からなる糸が挙げられるが、染色での均一な染色が可能であることから、単繊維(A)または単繊維(B)と同素材であることが好ましい。
糸の形態としては、フィラメントヤーンや紡績糸などが挙げられるが、紡績糸は表面毛羽の脱落が惹起されることから、フィラメントヤーンが好ましく用いられる。
織物および/または編物を構成する繊維の繊維径は100〜200μmが好ましく、より好ましくは120〜180μmである。繊維径を小さくすることにより、染色工程での収縮時の織物および/または編物の単繊維一本に発生する収縮応力が小さくなり、高分子弾性体付与後のシート基体の収縮時に織物および/または編物の収縮によるシート状物全体の歪みを緩和することができる。また、繊維径が大きいと、単繊維(A)、および単繊維(B)との染色性の違いにより、シート状物の外観品位が悪化する傾向を示す。
シート状物の内部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率100倍で観察し、その写真から測定した織物および/または編物の厚みは、好ましくは0.1〜0.4mmであり、より好ましくは0.15〜0.3mmである。織物および/または編物の厚みが0.1mmより小さいとシート状物の形態安定性に乏しく、厚みが0.4mmより大きいと織物および/または編物のシート状物内での歪みが大きく外観品位の立毛繊維密度ムラが大きくなって、外観品位が低下する傾向を示す。
織物の織密度は、経緯50〜100本/インチが好ましい。織物の織密度が50本/インチより小さいと織物の歪みが緩和されるが、形態安定性に欠ける傾向がある。また、織物の織密度が100本/インチより大きいと織物の歪みが大きく、風合いが硬くなる傾向を示す。
本発明のシート状物の厚みは0.2〜0.8mmが好ましい。
また、本発明のシート状物の実施例記載の方法で測定した密度は0.1〜0.7g/cmが好ましい。好ましくは0.2g/cm以上、より好ましくは0.3g/cm以上とすることで、表面外観が緻密となり高級な外観品位を発現させることができる。一方、0.7g/cm以下、より好ましくは0.6g/cm以下とすることで、シート状物の風合いが硬くなるのを防ぐことができる
本発明のシート状物は、例えば染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤および耐候剤等を含んでいることも好ましい態様である。
染料は、繊維質基材を構成する繊維の種類にあわせて選択すればよく、例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、更にそれらの組み合わせを用いることができる。分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
また、染色時に染色助剤を使用することも好ましい。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
次に、本発明のシート状物を製造する方法の例について説明する。
本発明のシート状物は、単繊維(A)と単繊維(B)を抄造法により混抄したウェブとし、交絡させて不織布とした後、高分子弾性体を付与し、必要であれば起毛処理を経て製造されるものである。
本発明のシート状物に用いることができる不織布は、湿式抄造法、または乾式法により得られた繊維ウェブに対して、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、ウォータージェットパンチ法などにより繊維同士を結合、または絡合させることで得られる。特に湿式抄造法は、乾式法にくらべ繊維を分散させてから抄紙するため、不織布の目開きのバラツキが少なく、繊維特性が異なる複数の繊維群を任意に混合して不織布製造が可能であり、繊維を均一に分散させて表面品位が良好となるシート状物を得られるため、好ましい。上記の観点から、繊維ウェブとしては湿式抄造不織布であることがより好ましく、さらに、不織布の強度を高いものとする観点からは、湿式抄造法により得られた繊維ウェブに対して、ウォータージェットパンチ法により繊維同士を絡合させて得られる不織布が特に好ましい。
単繊維(A)、および単繊維(B)は溶融紡糸法により直接紡糸されたものを短繊維化したものや、共重合ポリエステルを海成分に、そしてレギュラーポリエステルを島成分に用いた海島繊維から海成分を溶解または分解することによって除去して得られる極細繊維など、極細繊維発生型繊維から取り出したものを短繊維化したものなどが使用できる。
本発明では、前述のとおり、織物および/または編物を含んでいてもよい。不織布と織編物の積層一体化には、ニードルパンチやウォータージェットパンチ等が好ましく用いられる。
また、ウォータージェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで水を噴出させると良い。
本発明における乾燥処理には、ドラム乾燥機やカレンダー機のような接触式乾燥機、ピンテンタードライヤー、クリップテンター、フロータードライヤー、ネットコンベア式ドライヤーのようなエアースルー乾燥機、が使えるが、表面のフィルム化防止、高密度化防止、良好な風合発現の点からエアースルー乾燥機の使用が好ましい。
高分子弾性体を不織布からなるシートに付与する方法としては、高分子弾性体の溶液をシートに含浸、または付与し乾熱凝固する方法、シートに高分子弾性体溶液を含浸後、湿熱凝固して加熱乾燥する方法、シートに高分子弾性体溶液を含浸後、熱水中で凝固して加熱乾燥する方法、およびその組み合わせがあるが、特に限定されることはない
本発明のシート状物は、少なくとも片面に繊維の立毛を有している立毛調のシート状物としてもよい。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与することができる。また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシートから発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなるので、好ましい態様である。
染色温度は繊維の種類にもよるが、80〜150℃が好ましい。80℃以上、より好ましくは110℃以上とすることで、繊維への染着を効率良く行わせることができる。一方、150℃以下、より好ましくは130℃以下とすることで、高分子弾性体の劣化を防ぐことができる。
本発明のシート状物は、優れた外観品位でありながら耐摩耗性が良好であり、家具や椅子の表皮材や壁材に、さらには自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席や天井などの表皮材に、非常に優美な外観を有する内装材として好適に用いることができる。さらには、シャツ、ジャケット、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、モバイル端末やパソコン、携帯電話、スマートフォンなどの外装やケース材用、およびその他工業材料として好適に用いることができる。
以下本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、本明細書に記載の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
[測定方法]
<評価方法>
(1)単繊維径
シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して100本の平均値を計算することで算出した。
(2)繊維長
シート状物からピンセットを用いて繊維を抜き取り、顕微鏡にてランダムに20本の繊維長を測定し、20本の平均値を計算することで算出した。
(3)シート状物の厚み
シート状物のランダムに挙げた10箇所について、ピーコックを用いて厚みの測定を行い、値の平均を厚みとした。
(4)耐摩耗性
JISL1096(2010) 8.17.5E 法(マーチンデール法、荷重12kPa)に準じて耐摩耗試験を実施し、20000回の回数を摩耗した後の試験布の摩耗減量を測定した。
(5)外観品位:
健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価によって、下記の○△×のように評価し、最も多かった評価を外観品位とした。本発明において良好なレベルは、「◎」と「○」である。
◎:繊維の分散状態が良好で、タッチが柔らかい。
○:繊維の分散状態がやや良くない部分があるが、タッチは柔らかい。
×:全体的に繊維の分散状態が非常に悪く、タッチがざらつく。
(6)風合い
健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、下記の評価を触感で判別を行い、最も多かった評価を風合いとした。本発明の良好なレベルは「◎」と「○」とした。
◎:非常に柔軟であり、かつ適度な反発感がある。
○:反発感は少ないが、柔軟である。
×:硬い。
(7)シート状物の目付および密度:
得られたシート状物について、5cm×5cmのサンプルの質量と(3)で得られた厚みの結果を用いて、下記式によってシート状物の目付と密度を算出した。
・シート状物の目付=サンプル質量(g)/(0.05(m)×0.05(m))
・シート状物の密度=サンプル質量(g)/(5(cm)×5(cm)×サンプル厚み(cm))
[高分子弾性体種]
実施例、比較例で用いる高分子弾性体水分散液は、次のポリウレタン水分散液を用いた。また、固形分濃度は10質量%とした。
(1)強制乳化型ポリウレタン水分散液I
ポリイソシアネート:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
ポリオール :ポリヘキサメチレンカーボネート
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
[実施例1]
直接紡糸法によって繊維径6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を製造し、長さ5mmに切断して単繊維(A)を得た。また、直接紡糸法によって維繊径16μmのPET繊維を製造し、長さ10mmに切断して単繊維(B)を得た。次に、単繊維(A)50質量部と単繊維(B)50質量部を水中に均一に分散せしめ抄造用スラリーとした。このスラリーを抄造し、高速水流の噴射により三次元的に交絡一体化させて目付100g/mの抄造不織布を得た。ここで、高速水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノズルから20kg/cm の圧力で噴射し、ノズルから20mmの位置で抄造不織布に衝突させた。抄造不織布の表裏両面からこの操作を行なった。
得られた抄造不織布を120メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いて研削処理を実施した。次いで、ポリウレタン水分散液Iを含浸し、乾燥温度125℃で10分熱風乾燥することで、不織布に対するポリウレタン質量が10質量%となるようにポリウレタンを付与したシート状物を得た。
その後、240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いて研削処理した後、サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、本発明のシート状物を得た。
得られたシート状物は外観品位が良好で、ソフトな風合いとなり、さらに耐摩耗性は良好であった。結果を表1に示す。
[実施例2〜4]
単繊維(A)と単繊維(B)の繊維径や繊維長をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の処理を行い、本発明のシート状物を得た。得られたシート状物はいずれも外観品位が良好で、ソフトな風合いとなり、さらに耐摩耗性は良好であった。
[実施例5]
直接紡糸法によって繊維径6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を製造し、長さ5mmに切断して単繊維(A)を得た。また、直接紡糸法によって維繊径16μmのPET繊維を製造し、長さ10mmに切断して単繊維(B)を得た。次に、単繊維(A)50質量部と単繊維(B)50質量部を水中に均一に分散せしめ抄造用スラリーとした。
このスラリーを抄造し、目付100g/m の抄造不織布を製造し、PETの84dtex−72フィラメントを用いた経糸95本/インチ、緯糸76本/インチ、70g/mの織設計の平織物の両面に前記抄造不織布を積層して、高速水流の噴射により三次元的に交絡一体化させた。ここで、高速水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノズルから20kg/cm の圧力で噴射し、ノズルから20mmの位置で抄造不織布に衝突させた。抄造不織布の表裏両面からこの操作を行なった。得られた抄造不織布の目付は270g/mであった。
得られた抄造不織布を120メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いて研削処理を実施した。次いで、ポリウレタン水分散液Iを含浸し、乾燥温度125℃で10分熱風乾燥することで、不織布に対するポリウレタン質量が10質量%となるようにポリウレタンを付与したシート状物を得た。
その後、240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いて研削処理した後、サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、本発明のシート状物を得た。
得られたシート状物は外観品位が良好で、ソフトな風合いとなり、さらに耐摩耗性は良好であった。
[比較例1]
単繊維(A)のみを用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、シート状物を得た。得られたシート状物は外観品位は良好であり、ソフトな風合いとなったが、耐摩耗性は不良であった。
[比較例2]
単繊維(B)のみを用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、シート状物を得た。得られたシート状物は耐摩耗性は良好であったが、外観品位は不良であった。
[比較例3]
直接紡糸法によって繊維径6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を製造し、長さ5mmに切断して単繊維(A)を得た。また、直接紡糸法によって維繊径16μmのPET繊維を製造し、長さ10mmに切断して単繊維(B)を得た。
次に、得られた単繊維(A)を水中に分散せしめ抄造用スラリーとした。このスラリーを抄造し、乾燥することにより目付50g/mの抄造不織布(A)を得た。同様にして単繊維(B)による目付50g/mの抄造不織布(B)を得た。その後、抄造不織布(A)と(B)を重ねて、高速水流の噴射により三次元的に交絡一体化させて目付100g/mの抄造不織布を得た。ここで、高速水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノズルから20kg/cm の圧力で噴射し、ノズルから20mmの位置で抄造不織布に衝突させた。抄造不織布の表裏両面からこの操作を行なった。
上記以外は実施例1と同様の処理を行い、シート状物を得た。得られたシート状物は外観品位は良好であったが、製品面である抄造不織布(A)の面での耐摩耗性は不良であった。
Figure 2019049070

Claims (2)

  1. 少なくとも2種の繊維長の異なる単繊維(A)および単繊維(B)と、高分子弾性体からなるシート状物であって、該単繊維(A)および単繊維(B)はシート状物の厚み方向に均一に混在し、さらに該単繊維(A)および単繊維(B)の繊維径が0.1〜30μmで、かつ単繊維(A)の繊維長が1〜7mm、単繊維(B)の繊維長が8〜80mmであることを特徴とするシート状物。
  2. シート状物内部に織物および/または編物を含有することを特徴とする請求項1記載のシート状物。
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