JP2019046257A - センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも消費電力を低減し得るセンサを提供する。
【解決手段】センサ1では、光を受光することで出力信号を生成する光電変換素子2aと、出力信号をパルス密度変調信号に変換する発振回路3とを設けることで、電池レスで出力信号に応じたパルス密度変調信号を出力できる。これにより、センサ1では、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ等を用いずに、パルス信号としてパルス密度変調信号を生成できるので、ADコンバータによるアナログデジタル変換処理が不要になる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電素子を備えるセンサに関するものである。
近年、監視対象にセンサを設け、当該センサから無線送信される信号に基づいて監視対象の状態を遠隔地で監視するセンサシステムが研究されている(例えば、特許文献1参照)。この種のセンサシステムでは、複数のセンサを長期間駆動させるとともに、所定の端末と無線通信を行うために、各センサで得られたアナログ信号をデジタル信号に変換している。
特開2007−295057号公報
しかしながら、かかるセンサシステムでは、複数のセンサを用いているため、これらセンサの総エネルギー消費は無視できず、各センサ等で消費電力等を抑えることはIoT(Internet of Things)において重要な課題となっている。例えば、各センサには、得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータを設けているため、ADコンバータを駆動させる分、消費電力が増加してしまう。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも消費電力を低減し得るセンサを提供することを目的とする。
また、従来よりも消費電力を低減し得る電源供給回路を提供することを目的とする。
本発明のセンサは、イベントが生じることで出力信号を生成する発電素子と、前記出力信号をパルス密度変調信号に変換する発振回路と、を備え、電池レスで前記出力信号に応じた前記パルス密度変調信号を出力するものである。
実施形態における電源供給回路は、
蓄電用発電素子により充電される駆動用コンデンサと、
前記駆動用コンデンサに接続された給電スイッチを有する自己保持回路と、
前記給電スイッチに接続されたイベント駆動回路と、を備え、
前記イベント駆動回路は、イベントが生じると出力信号を前記給電スイッチに送出し、
前記自己保持回路は、前記出力信号により前記給電スイッチがオン動作して、前記駆動用コンデンサから前記給電スイッチおよび出力端子に駆動電流を供給し、
前記給電スイッチは、前記イベント駆動回路からの前記出力信号の供給が停止されても、前記駆動電流によりオン動作し続け、前記駆動電流を前記出力端子に供給し続けるものである。
また、この電源供給回路では、出力端子に接続された外部機器の動作終了後に、前記給電スイッチをオフ動作させ、前記自己保持回路への前記駆動電流の供給を停止させるスイッチを備えることが望ましい。
本発明によれば、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ等を用いずに、パルス信号としてパルス密度変調信号を生成できるので、ADコンバータによるアナログデジタル変換処理が不要になる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
また、電源供給回路においても、タイマーが不要になる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
第1実施形態によるセンサの回路構成を示す回路図である。 図2Aは光電変換素子で得られる電圧値の変化の一例を示すグラフであり、図2Bは、センサにより生成されるパウル密度変調信号の一例を示すグラフである。 図3Aは、100lxの光を照射したときのセンサの出力波形を示したグラフであり、図3Bは、10000lxの光を照射したときのセンサの出力波形を示したグラフである。 センサのダイナミックレンジを示すグラフである。 第2実施形態によるセンサの回路構成を示す回路図である。 図6Aは、入力刺激と発振周波数との関係を示すグラフであり、図6Bは、振動発電素子における圧力と、そのときのパルス密度変調信号とを示したグラフである。 図7Aは、パルス密度変調信号の波形を示したグラフであり、図7Bは、図7Aのパルスのカウント数を示したグラフである。 第3実施形態によるセンサの回路構成を示す回路図である。 電源供給回路の回路構成を示す回路図である。 電源供給回路の動作の説明(1)に供する概略図である。 電源供給回路の動作の説明(2)に供する概略図である。 電源供給回路の動作の説明(3)に供する概略図である。 電源供給回路の動作の説明(4)に供する概略図である。 電源供給回路の動作の説明(5)に供する概略図である。 図15Aは、蓄電用発電素子で生成される電源電圧を示すグラフであり、図15Bは、自己保持回路の電圧の波形を示すグラフであり、図15Cは、外部機器への電源供給を示すグラフであり、図15Dは、リセット信号の波形を示すグラフである。
(1)第1実施形態のセンサについて
図1は、第1実施形態のセンサ1の回路構成を示す回路図である。センサ1は、光電変換素子2aと発振回路3との間にデカップリング回路4が設けられた構成を有する。発電素子としての光電変換素子2aは、光を受光することで電気信号を生成し、これを出力信号としてデカップリング回路4を介し発振回路3に送出する。ここで、光電変換素子2aでは、受光した光の強度に応じて、図2Aに示すように、電圧値が変化するため、アナログ的な出力信号が生成される。
図1に示したように、デカップリング回路4は、コンデンサ9と抵抗10を備えている。コンデンサ9および抵抗10の各一端は、光電変換素子2aの出力端子と、発振回路3の電源端子とに接続されている。一方、コンデンサ9および抵抗10の各他端はグランドに接続されている。
発振回路3は、奇数個のCMOS(complementary metal oxide semiconductor)インバータ5が縦続接続され、かつ最終段のCMOSインバータ5の出力端子が、初段のCMOSインバータ5の入力端子に接続されたリングオシレータである。発振回路3におけるループ内のCMOSインバータ5の数は、発振するパルス密度変調信号(後述する)を生成するために奇数段である必要がある。なお、図1では、CMOSインバータ5が3段構成の発振回路3としたが、CMOSインバータ5の数が奇数段であれば、本発明はこれに限らない。
各CMOSインバータ5は、Pチャネル型トランジスタ6とNチャネル型トランジスタ7とが直列に接続され、Pチャネル型トランジスタ6とNチャネル型トランジスタ7のゲートが互いに接続されて入力端子を構成している。また、前段のCMOSインバータ5の出力端子は、後段のCMOSインバータ5の入力端子に接続されている。
各Pチャネル型トランジスタ6のソースが、発振回路3の電源端子として、デカップリング回路4を介し光電変換素子2aの出力端子にそれぞれ接続されている。各Nチャネル型トランジスタ7のソースは、発振回路3のグランド端子としてグランドにそれぞれ接続されている。
このような構成を有する発振回路3は、デカップリング回路4を介して、各Pチャネル型トランジスタ6のソースに、光電変換素子2aから出力信号が供給されると、最終段のCMOSインバータ5の出力端子から、High信号およびLow信号が繰り返し発生するパルス密度変調信号が出力される。なお、光電変換素子2aから発振回路3に出力信号が供給されていないときには、発振回路3からはパルス密度変調信号が出力されない。
このように、発振回路3は、図2Bに示すように、High信号およびLow信号が繰り返し発生するデジタル信号のようなパルス密度変調信号を、電池レスで出力し得る。また、発振回路3で生成されるパルス密度変調信号は、High信号およびLow信号の発振周波数(すなわちパルス密度)が、光電変換素子2aから入力される出力信号の大小変化(電圧値の大小変化)に応じて変化する。
ここで、光電変換素子2aで受光する光の強度(光輝度とも称する)に応じて、発振回路3から出力されるパルス密度変調信号がどのように変化するかについて検証試験を行った。
発振回路3から出力される信号をオシロスコープで確認したところ、図3Aおよび図3Bに示すような結果が得られた。図3Aは、光電変換素子2aに100lxの光を照射したときに発振回路3から出力されたパルス密度変調信号の波形を示す。図3Bは、光電変換素子2aに10000lxの光を照射したときに発振回路3から出力されたパルス密度変調信号の波形を示す。
図3Aに示すように、光輝度が100lxのとき発振周波数が46kHzのパルス密度変調信号を観測した。また、図3Bに示すように、光輝度が10000lxのとき発振周波数が5.2MHzのパルス密度変調信号を観測した。図3Aおよび図3Bに示すように、光電変換素子2aで受光する光輝度が変化するとパルスの密度も変化し、光輝度に応じたパルス密度変調信号が生成されることが確認できた。
また、LEDの光輝度を調整し、光電変換素子2aに対し25lx(暗室内)〜25000lx(太陽光下)の光輝度の光を照射した。そのときに、発振回路3から出力されるパルス密度変調信号の発振周波数を調べたところ、図4に示すような結果が得られた。図4から、センサ1では、25lxと暗い光輝度のときでも、発振周波数が10kHzのパルス密度変調信号を生成できることができた。
また、光輝度が上昇するにつれて、パルス密度変調信号の発振周波数も直線的に上昇してゆくことが確認できた。なお、光輝度が25000lxのときには発振周波数が7.7MHzのパルス密度変調信号が生成された。図4からダイナミックレンジを算出したところ71dBとなり、センサ1は高いダイナミックレンジが得られることが確認できた。なお、図4中の(a)の結果は図3Aに示し、図4中の(b)の結果は図3Bに示している。
なお、センサ1の輝度検出を実証するために、検証試験中に手で光電変換素子2aへの光を遮断したところ、センサ1から出力されるパルス密度変調信号の発振周波数が急激に低下した。以上のように、センサ1は、輝度センサとして機能することを確認できた。
以上の構成において、センサ1では、光を受光することで出力信号を生成する光電変換素子2aと、出力信号をパルス密度変調信号に変換する発振回路3とを設けることで、電池レスで出力信号に応じたパルス密度変調信号を出力できる。これにより、センサ1では、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ等を用いずに、パルス信号としてパルス密度変調信号を生成できるので、ADコンバータによるアナログデジタル変換処理が不要になる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
また、センサ1では、光電変換素子2aと発振回路3との間にデカップリング回路4を設けた。これにより、センサ1では、デカップリング回路4によってノイズの発生を防止できることから、発振回路3へのノイズの混入を防ぎ、発振回路3の誤動作を防止できる。
(2)第2実施形態によるセンサについて
図1との対応部分に同一符号を付して示す図5は、第2実施形態によるセンサ21を示す。第2実施形態のセンサ21は、発電素子として振動発電素子2bを用いている点と、振動発電素子2bの出力端子とデカップリング回路4との間にショットキーバリアダイオード22を備える点とが、上述した第1実施形態のセンサ1と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して説明する。
振動発電素子2bは、出力端が、ショットキーバリアダイオード22およびデカップリング回路4を順次介して発振回路3の電源端子に接続されている。この場合、振動発電素子2bは、所定部位に振動が生じると、振動に応じた電気信号を生成し、これを出力信号としてショットキーバリアダイオード22およびデカップリング回路4を順次介して発振回路3に供給する。
ショットキーバリアダイオード22は、カソードが振動発電素子2bの出力端子とデカップリング回路4とに接続され、アノードがグランドに接続されている。ショットキーバリアダイオード22は、振動発電素子2bで生成された正電圧および負電圧のうち、負電圧をショートし、当該負電圧が発振回路3に出力信号として供給されることを防止し得る。これにより発振回路3は、負電圧が印加されることにより生じる破損が防止され得る。
ここで、図6Aは、振動発電素子2bに与えられる振動(入力刺激)と、入力刺激を基に発振回路3で生成されるパルス密度変調信号の発振周波数との関係を示したグラフである。図6Aに示すように、センサ21では、振動発電素子2bに与えられる振動が大きくなるに従って、発振回路3で生成されるパルス密度変調信号の周波数も、それに比例して高くなることが確認できている。
また、振動発電素子2bに揺動自在に支持されているカンチレバー部に対して、図6Bの上方に示すような外力を与え、そのときにセンサ21から出力されるパルス密度変調信号を調べたところ、図6Bの下方に示すような結果が得られた。図6Aおよび図6Bから、大きな外力が与えられた瞬間の「Input high」領域では、パルスの密度が高い高周波のパルス密度変調信号が生成されることが確認できた。一方、外力が次第に0に収束してゆく「Input low」領域では、パルスの密度が次第に低くなってゆくパルス密度変調信号が生成されることが確認できた。
次に、振動試験機を使用して、励振周波数160Hzおよび最大加速度10m/sの外力を振動発電素子2bに対して与え、センサ21からどのようなパルス密度変調信号が出力されるかについて確認した。その結果、図7Aに示すような波形が得られた。
図7Aに示すように、発振回路3から出力されるパルス密度変調信号は、0.6Vで始まり、0.6Vを超える電圧で発振周波数が変化し続けた。図7Aにおいて、100μs毎に0.5Vの閾値に達したパルスの数についてカウントしたところ、図7Bに示すような結果が得られた。発振周波数をf=1/T(ここでTは発振周期であり、T=100μs/カウント数)と定義した。振動発電素子2bからの1Vの信号出力時に、発振回路3で1.3MHzの最大fが検出された。
以上の構成において、センサ21でも、振動を受けることで出力信号を生成する振動発電素子2bと、出力信号をパルス密度変調信号に変換する発振回路3とを設けることで、電池レスで出力信号に応じたパルス密度変調信号を出力できる。これにより、センサ21では、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ等を用いずに、パルス信号としてパルス密度変調信号を生成できるので、ADコンバータによるアナログデジタル変換処理が不要になる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
また、センサ21では、ショットキーバリアダイオード22を設けたことにより、振動発電素子2bで生じる負電圧の発振回路3への印加を防止し、負電圧による発振回路3の破損を防止できる。
(3)第3実施形態によるセンサについて
図1との対応部分に同一符号を付して示す図8は、第3実施形態によるセンサ31を示す。第3実施形態のセンサ31は、発電素子として熱電素子2cを用いている点と、デカップリング回路4に替えて、熱電素子2cの出力端子と発振回路3の電源端子との間に昇圧回路32を設けた点とが、上述した第1実施形態のセンサ1と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して説明する。
昇圧回路32は、コイル33とスイッチ34とダイオード35とコンデンサ36とで構成されている。コイル33は、一端が熱電素子2cの出力端子に接続され、他端が発振回路3の電源端子に接続されている。スイッチ34は、コイル33の他端およびダイオード35のアノードに一端が接続され、グランドに他端が接続されている。ダイオード35は、コイル33の他端およびスイッチ34の一端にアノードが接続され、コンデンサ36の一端および発振回路3の電源端子にカソードが接続されている。コンデンサ36は、発振回路3の電源端子およびダイオード35のカソードに一端が接続され、グランドに他端が接続されている。
なお、昇圧回路32は、スイッチ34がオン状態になると、コイル33に励磁エネルギーが蓄えられる。その後、昇圧回路32は、スイッチ34がオフ状態になると、コイル33に蓄えられた励磁エネルギーが放出されて当該励磁エネルギーに起因した電圧が積み上がり、昇圧された電圧を生成する。熱電素子2cによる熱起電力は、mVオーダであるため、非常に小さいが、昇圧回路32を設けることにより、発振回路3を駆動させるのに必要となる電圧値を得ることができる。
以上の構成において、センサ31でも、振動を受けることで出力信号を生成する熱電素子2cと、出力信号をパルス密度変調信号に変換する発振回路3とを設けることで、電池レスで出力信号に応じたパルス密度変調信号を出力できる。これにより、センサ31では、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ等を用いずに、パルス信号としてパルス密度変調信号を生成できるので、ADコンバータによるアナログデジタル変換処理が不要になる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
(4)他の実施形態によるセンサについて
なお、上述した実施形態においては、発電素子として、光電変換素子2a、振動発電素子2b、または熱電素子2cを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、光、熱、振動の他に、音や、電波、酵素、化学反応のいずれかに基づき発電し、発振回路3に出力信号を送出する発電素子を適用してもよい。
例えば、化学反応に基づき発電する発電素子としては、電解質溶液(以下、単に電解液と称する)が与えられることにより発電する発電素子がある。この場合、陽極および陰極を容器内に備える発電素子に対し、当該容器内に電解液が与えられると、電解液内の陽(プラス)イオンが陰極に移動し、陰(マイナス)イオンが陽極に移動して、発電素子で出力信号が生じる。これにより、センサでは、このような出力信号に応じて発振回路3にてパルス密度変調信号が生成される。
酵素に基づいて発電する発電素子としては、グルコースを含む水溶液が与えられることにより発電する発電素子がある。このような発電素子では、グルコースを酵素で酸化分解する際に電子と水素イオンを取り出し、得られた電子に基づいて出力信号が生成される。これにより、センサでは、このような出力信号に応じて発振回路3にてパルス密度変調信号が生成され、バイオセンサとして機能し得る。
なお、酵素や化学反応に基づき発電する発電素子では、出力電圧が電極に依存し、例えば数百mV〜数V程度であるため、図8に示すように、昇圧回路32を設けたセンサを用いることが望ましい。
音や、電波を受けたときに発電素子を用いたセンサでは、発電素子において音や、電波を受けることで、当該発電素子で出力信号が生成され、得られた出力信号に応じて発振回路3にてパルス密度変調信号が生成され得る。
また、上述した各実施形態においては、デカップリング回路4や、ショットキーバリアダイオード22、昇圧回路32を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれ限らず、デカップリング回路4や、ショットキーバリアダイオード22、昇圧回路32を設けずに、単に発電素子(光電変換素子2a、振動発電素子2b、熱電素子2c、その他の発電素子)と発振回路3とで構成したセンサ1、21、31としてもよい。
(5)電源供給回路について
次に、従来よりも消費電力を低減し得る電源供給回路について以下説明する。ここで、図9は、本実施形態における電源供給回路40を備えた無線センサ端末41を示す。電源供給回路40は、タイマー等を用いずに、所定のタイミングでセンサ45や無線通信機器46に駆動電流を供給し得るものである。
ここで、従来の無線センサ端末では、例えば振動センサとタイマーとを設け、タイマーを基に所定間隔で振動センサを駆動させ、振動センサの駆動時間中に振動センサにより振動を検知(すなわち、イベントが発生)したか否かの検知結果を、所定のサーバに送信していた。このように、従来の無線センサ端末では、タイマーを常に駆動させる必要がある分、消費電力が増加してしまうという問題があった。また、消費電力の低減を図るためにタイマーによって所定間隔で振動センサを駆動させていることから、振動センサが駆動していないときに振動センサにて振動(イベント)を検知し得ないという問題があった。
本実施形態による無線センサ端末41は、電源供給回路40によってイベントが生じた際に駆動電流を生成して、センサ45や無線通信機器46を駆動させることで、タイマーを不要とし、かつ、イベントが発生したタイミングでイベントの検知結果等をサーバに送信し得る。以下、このような電源供給回路40について説明する。
電源供給回路40は、電源回路42と、イベント駆動回路43と、自己保持回路44とを備えている。電源回路42は、蓄電用発電素子49が整流回路50を介して駆動用コンデンサC1に接続された構成を有する。蓄電用発電素子49は、例えば振動や光等により電気信号を生成する発電素子でなり、振動や光等の継続的に発生するイベントを基に蓄電用の電気信号を生成し、これを整流回路50を介して駆動用コンデンサC1に供給する。
駆動用コンデンサC1は、蓄電用発電素子49で生成された電気信号を基に充電される。駆動用コンデンサC1は、一端が自己保持回路44に接続されており、自己保持回路44に設けた給電トランジスタTr2がオン動作したときに、駆動電流を自己保持回路44に供給する。
イベント駆動回路43は、振動発電素子53がコンデンサC2の一端および自己保持回路44に接続された構成を有する。また、イベント駆動回路43は、リセット用トランジスタTr1を有している。リセット用トランジスタTr1は、例えばNPN型のバイポーラトランジスタであり、エミッタがグランドに接続されている。リセット用トランジスタTr1のコレクタは、ダイオード55のカソードと、コンデンサC2の一端と、自己保持回路44とに接続されている。ダイオード55およびコンデンサC2は、一端が自己保持回路44に接続され、他端がグランドに接続されている。
自己保持回路44は、給電トランジスタTr2と、トランジスタTr3、Tr4と、抵抗R1〜R4とを備えている。例えば、給電トランジスタTr2はNPN型のバイポーラトランジスタであり、トランジスタTr3はPチャネルのエンハンスメント型MOSFETであり、トランジスタTr4はPNP型のバイポーラトランジスタである。
自己保持回路44における給電トランジスタTr2のベースは、イベント駆動回路43の振動発電素子53と、コンデンサC2の一端と、ダイオード55のカソードと、リセット用トランジスタTr1のコレクタとに接続されている。給電トランジスタTr2のベースは、抵抗R3を介してトランジスタTr4のコレクタに接続され、抵抗R4を介してグランドにも接続されている。また、給電トランジスタTr2は、エミッタがグランドに接続されている。
電源回路42の駆動用コンデンサC1は、自己保持回路44の給電トランジスタTr2のコレクタに、抵抗R1、R2を介して接続されている。また、電源回路42の駆動用コンデンサC1は、自己保持回路44のトランジスタTr4のベースに、抵抗R1、R2を介して接続され、トランジスタTr4のエミッタにも、抵抗R1を介して接続されている。さらに、電源回路42の駆動用コンデンサC1は、トランジスタTr3のソースに接続され、トランジスタTr3のゲートにも、抵抗R1を介して接続されている。なお、トランジスタTr3のドレインは、電源供給回路40の出力端子であり、センサ45および無線通信機器46に接続されている。
次に、図9との同一部分に同一符号を付して示す図10〜図14を用いて、電源供給回路40の動作について説明する。図10に示すように、電源供給回路40は、電源回路42の駆動用コンデンサC1の充電が完了した後に(充電完了「ST1」)、イベント駆動回路43の振動発電素子53に対して振動(イベント)が生じて発電すると、振動発電素子53で出力信号が生成(スイッチオン「ST2」)される。
これにより、自己保持回路44には、給電トランジスタTr2のベースに振動発電素子53から出力信号が供給され、図11に示すように、給電トランジスタTr2がオン動作する(Tr2 on「ST3」)。自己保持回路44における給電トランジスタTr2がオン動作することで、電源回路42の駆動用コンデンサC1から自己保持回路44に駆動電流が供給される。駆動電流は、給電トランジスタTr2を介してグランドに供給される。このとき、トランジスタTr3は、ソースに駆動電流が供給されるとともに、抵抗R1を介してゲートにも駆動電流が供給され、ソースおよびゲート間の電圧差によりオン動作する(Tr3 on「ST4」)。
これにより、センサ45および無線通信機器46には、電源回路42から自己保持回路44を介して駆動電流が供給されて動作し始める。また、この際、トランジスタTr4は、抵抗R1、R2を介してベースに駆動電流が供給され、抵抗R1を介してエミッタにも駆動電流が供給され、図12に示すように、オン動作する(Tr4 on「ST5」)。これにより、自己保持回路44は、トランジスタTr4および抵抗R3を介して給電トランジスタTr2のベースにも駆動電流を供給する。
これにより、自己保持回路44は、図13に示すように、イベント駆動回路43から出力信号が給電トランジスタTr2のベースに供給停止されても、電源回路42からの駆動電流が給電トランジスタTr2のベースに供給され続けているため、給電トランジスタTr2をオン動作させ続けることができる(自己保持開始「ST6」)。かくして、自己保持回路44は、電源回路42からの駆動電流に基づいて給電トランジスタTr2をオン動作し続け、これによりセンサ45および無線通信機器46に駆動電流を供給し続ける。
その後、センサ45および無線通信機器46において所定の動作が完了すると、図14に示すように、自己保持回路44のリセット用トランジスタTr1のベースにマイコン(図示せず)からリセット信号が供給される(マイコンの出力「ST7」)。これにより、駆動電流は、リセット用トランジスタTr1を介してグランドに導かれ、給電トランジスタTr2のベースへの供給が妨げられ、給電トランジスタTr2をオフ動作させる(Tr2 off「ST8」)。
自己保持回路44は、給電トランジスタTr2がオフ動作することで、トランジスタTr3、Tr4もオフ動作し、センサ45および無線通信機器46への駆動電流の供給も停止する。電源供給回路40では、電源回路42における駆動用コンデンサC1への充電を再び開始するとともに、その後に、イベント駆動回路43から自己保持回路44への出力信号の供給を待ち受ける。
ここで、図15Aは、電源回路42における蓄電用発電素子で生成される電源電圧を示す。図15Bは、自己保持回路44における給電トランジスタTr2での電圧変化を示しており、振動発電素子53から出力信号が供給されてからリセット信号が供給されるまで電圧値が維持されていることを示す。図15Cは、センサ45および無線通信機器46への電源供給を示し、自己保持回路44が振動発電素子53から出力信号が供給されてからリセット信号が供給されるまで、センサ45および無線通信機器46への駆動電流を供給していることを示す。図15Dは、リセット信号の発生タイミングを示している。
以上の構成において、電源供給回路40では、蓄電用発電素子49により充電される駆動用コンデンサC1と、駆動用コンデンサC1に接続された給電トランジスタTr2を有する自己保持回路44と、給電トランジスタTr2に接続されたイベント駆動回路43と、を設けた。また、電源供給回路40では、イベント駆動回路43でイベントが生じると、イベント駆動回路43から給電トランジスタTr2に出力信号を送出する。
自己保持回路44では、出力信号により給電トランジスタTr2がオン動作して、駆動用コンデンサC1から、給電トランジスタTr2、出力端子に接続されたセンサ45、および無線通信機器46への駆動電流の供給を開始する。
より具体的には、給電トランジスタTr2のオン動作により供給される駆動電流を基にオン動作し、駆動電流を給電トランジスタTr2に供給するトランジスタTr4を、自己保持回路44に設けるようにした。また、給電トランジスタTr2のオン動作により供給される駆動電流を基にオン動作し、駆動電流を出力端子に供給するトランジスタTr3を、自己保持回路44に設けるようにした。
これにより、電源供給回路40では、イベント駆動回路43からの出力信号の供給が停止されても、駆動電流により給電トランジスタTr2がオン動作し続け、駆動電流を出力端子に供給し続けることができる。
このように、電源供給回路40では、従来のようなタイマーを用いることなく、振動発電素子53に対して振動(イベント)が生じたタイミングで、駆動電流をセンサ45および無線通信機器46に供給して駆動させることができる。かくして、電源供給回路40では、タイマーが不要となる分、従来よりも消費電力を低減し得る。
また、この電源供給回路40では、出力端子に接続されたセンサ45や無線通信機器46等の外部機器の動作終了後に、給電トランジスタTr2をオフ動作させ、自己保持回路44への駆動電流の供給を停止させるリセット用トランジスタTr1を設けるようにした。これにより、電源供給回路40では、外部機器の動作終了に合わせて、自己保持回路44への駆動電流の供給を停止し、駆動用コンデンサC1の充電を再開できる。
なお、この実施形態においては、給電スイッチとして給電トランジスタTr2を用い、その他のスイッチとしてトランジスタTr3、Tr4を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、種々の半導体スイッチを適用してもよい。
また、この実施形態においては、電源供給回路40の出力端子に接続される外部機器として、センサ45および無線通信機器46を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、センサ45および無線通信機器46のうちいずれか一方、または解析装置等のその他の外部機器を適用しても良い。
また、この実施形態においては、発電素子として、振動発電素子53を適用したが、光電変換素子や、熱電素子等のように光や熱の他に、音、電波、酵素、化学反応のいずれかをイベントとし、当該イベントに基づき発電する発電素子を適用してもよい。また、蓄電用発電素子についても、光、熱、振動、音、電波、酵素、化学反応のいずれかに基づき発電する蓄電用発電素子を適用してもよい。
1、21、31 センサ
2a 光電変換素子(発電素子)
2b 振動発電素子(発電素子)
2c 熱電素子(発電素子)
3 発振回路
4 デカップリング回路
22 ショットキーバリアダイオード
32 昇圧回路
40 電源供給回路
43 イベント駆動回路
44 自己保持回路
C1 駆動用コンデンサ
Tr1 リセット用トランジスタ(スイッチ)
Tr2 給電トランジスタ(給電スイッチ)
Tr3、Tr4 トランジスタ(スイッチ)

Claims (5)

  1. イベントが生じることで出力信号を生成する発電素子と、
    前記出力信号をパルス密度変調信号に変換する発振回路と、を備え、
    電池レスで前記出力信号に応じた前記パルス密度変調信号を出力する、センサ。
  2. 前記発電素子の出力端子と前記発振回路の電源端子との間にデカップリング回路を備える、請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記発電素子の出力端子と前記デカップリング回路との間にショットキーバリアダイオードを備える、請求項2に記載のセンサ。
  4. 前記発電素子の出力端子と前記発振回路の電源端子との間に昇圧回路を備える、請求項1に記載のセンサ。
  5. 前記発電素子は、光、熱、振動、音、電波、酵素、化学反応のいずれかに基づき発電し、前記発振回路に前記出力信号を送出する、請求項1に記載のセンサ。
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