JP2019045727A - 赤外光定着装置用管状体、赤外光定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

赤外光定着装置用管状体、赤外光定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外光に対し高い透過性を有する赤外光定着装置用管状体の提供。【解決手段】少なくとも尿素系溶剤と、前記尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材110Aとして有する積層体で構成され、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する赤外光定着装置用管状体。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外光定着装置用管状体、赤外光定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)では、記録媒体上に形成された未定着のトナー像を定着装置によって定着して画像が形成される。
例えば、特許文献1には、「内部空間を有すると共にレーザ光が透過可能な素材にて構成される透過部を具備し、この透過部を回転移動させる回転部材と、この回転部材に対向して設けられ、当該回転部材との間に接触加圧域を形成すると共にこの接触加圧域にて記録媒体上の熱可塑性の作像材料による画像を加圧しながら前記回転部材との間で記録媒体を移動搬送する対向部材と、前記回転部材の内部空間に設けられ、記録媒体の搬送路のうち当該記録媒体上の熱可塑性の作像材料による画像が前記接触加圧域に至る前の予め規定されたレーザ光照射位置にて記録媒体上の熱可塑性の作像材料による画像に前記回転部材の透過部を介してレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、を備える定着装置」が開示されている。
また、特許文献2には、「少なくとも基層、中間層及び表層を有する多層構成のフィルムもしくはベルト形状を有するトナー像の定着に用いられる定着部材において、該基層が、該基層の背面側に該定着部材と被接触で配置される輻射源からの輻射を透過する輻射透過性を有する材料で形成されており、該表層もしくは該中間層が輻射吸収性を有する材料で形成されている定着部材」が開示されている。
また、特許文献3には、「少なくとも内層及び外層の2層からなるポリイミド樹脂被膜からなり、当該被膜の光透過率が波長550nmにおいて50%以上である透明ポリイミド複合管状物」が開示されている。
また、特許文献4には、「導電性と、600nm以上1000nm以下の少なくとも一部の波長領域の赤外線に対する透過性とを有する転写定着ベルト」が開示されている。
また、特許文献5には、「管状の基材と、基材の外周面上に設けられた弾性層と、弾性層の外周面上に設けられ、フッ素含有樹脂を含む表面層と、を備え、760nm以上900nm以下のうち少なくとも一部における波長領域の赤外線に対して透過性を有する定着部材」が開示されている。
特開2011−128223号公報 特開2003−107948号公報 特開2006−150951号公報 特開2015−227988号公報 特開2015−40897号公報
ところで、赤外光定着装置用管状体における樹脂層が、樹脂又は樹脂前駆体と、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)のみとを含む組成物を硬化させた樹脂層である場合、硬化時の熱によって着色が生じることがあり、その結果赤外光に対する透過性に劣ることがあった。
そこで、本発明の課題は、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)と、前記溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光に対し高い透過性を有する赤外光定着装置用管状体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも尿素系溶剤と、前記尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成され、
赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する赤外光定着装置用管状体。
請求項2に係る発明は、
前記尿素系溶剤が、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素、1,3−ジイソプロピル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラプロピル尿素、テトライソプロピル尿素、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、及びN,N−ジメチルプロピレン尿素からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項3に係る発明は、
前記樹脂層における前記尿素系溶剤の含有量が0.005質量%以上3質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項4に係る発明は、
前記樹脂又は樹脂前駆体が、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項5に係る発明は、
前記樹脂層が遠心成形物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項6に係る発明は、
基材としての前記樹脂層と、
前記樹脂層の外周面上に設けられた弾性層と、
前記弾性層の外周面上に設けられた前記表面層と、
を有する積層体で構成された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項7に係る発明は、
700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項8に係る発明は、
700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過率が、90%以上である請求項7に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項9に係る発明は、
記録媒体上のトナー像と接触する管状体であって、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体と、
前記管状体の外周面に接触し、前記管状体との間に接触域を形成して設けられ、前記接触域にて前記管状体と共に回転して記録媒体を搬送する回転体と、
前記管状体の外周面側又は内周面側に設けられ、前記管状体と前記回転体との間の前記接触域内に向けて赤外光を照射する赤外光照射装置と、
前記管状体の内周面側に設けられ、前記接触域にて前記管状体を前記回転体と共に加圧する加圧部材と、
を備える赤外光定着装置。
請求項10に係る発明は、
前記赤外光照射装置が、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する装置である請求項9に記載の赤外光定着装置。
請求項11に係る発明は、
記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
赤外光の照射により前記トナー像を前記記録媒体に定着する赤外光定着装置であって、請求項9又は請求項10に記載の赤外光定着装置と、
を備える画像形成装置。
請求項1、2、4、又は6に係る発明によれば、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)と、前記溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光に対し高い透過性を有する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、尿素系溶剤の含有量が3質量%超えである樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体に比べ、高い機械的強度を有する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、押出成形物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体に比べ、定着強度の高い画像が得られる赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項7、又は8に係る発明によれば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光によるトナー像の定着を実現する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項9に係る発明によれば、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)と、前記溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体を適用した場合に比べ、定着強度の高い画像が得られる赤外光定着装置が提供される。
請求項10に係る発明によれば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光によるトナー像の定着を実現する赤外光定着装置が提供される。
請求項11に係る発明によれば、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)と、前記溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体を適用した場合に比べ、定着強度の高い画像が得られる画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る赤外光定着装置用管状体の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る赤外光定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る赤外光定着装置の他の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
[赤外光定着装置用管状体]
本実施形態に係る赤外光定着装置用管状体(以下、便宜上「透明管状体」とも称する)は、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する管状体である。
そして、本実施形態に係る透明管状体は、少なくとも尿素系溶剤と、前記尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される。
本実施形態に係る透明管状体によれば、上記の構成を有することにより、赤外光に対し高い透過性が得られる。
その理由は、以下のように推察される。
トナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、赤外光の光エネルギーに吸収をもつ赤外線吸収性色素を含む赤外線吸収性トナーを用い、かつトナー像に対して赤外光を照射することで画像を定着させる赤外光定着方式の技術が検討されている。例えば、透明管状体と回転体との接触領域に対して、赤外線吸収性トナーによる未定着のトナー像が形成された記録媒体を通過させることで加圧し、加えて透明管状体を通してトナー像に対し赤外光を照射することで、画像を定着させる技術が知られている。
透明管状体における前記樹脂層の形成は、例えば、溶剤とこの溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体とを含む組成物を塗布して塗布層(塗膜)を形成し、この塗布層を加熱して硬化させることで行なわれる。なお、この組成物を加熱し硬化させる過程において溶剤は揮発していくが、一部の溶剤は樹脂層中に残留溶剤として残る。ここで、この樹脂又は樹脂前駆体を溶解するための溶剤としては、従来からN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等の溶剤が広く用いられている。しかし、溶剤としてこれらのNMP又はDMAcのみを含む組成物を硬化させた樹脂層では硬化時の熱により着色が生じることがあり、その結果得られた樹脂層では赤外光に対する透過性に劣ることがあった。
これに対し本実施形態に係る透明管状体では、樹脂層として、少なくとも尿素系溶剤を含む組成物の硬化物が適用される。N−メチルピロリドン(NMP)やN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の溶剤に比べて、尿素系溶剤は極性基(例えば−O−、3級窒素原子(−N<))を多く持つ構造であり、こうした構造を有する尿素系溶剤は加熱に伴う酸化が抑制されて、着色が生じ難いものと考えられる。よって、溶剤の少なくとも一部として尿素系溶剤を用いた本実施形態における樹脂層では、硬化時の熱による着色が抑制され、その結果赤外光に対し高い透過性が得られる。
また、本実施形態に係る透明管状体によれば、樹脂層における機械的強度(特には耐折れ性)が向上する。
その理由は、以下のように推察される。
透明管状体における前記樹脂層中には、前記の通り、溶剤の一部が残留溶剤として残る。こうして残留した溶剤は極性基を有しており、樹脂層中でその溶剤が有する極性基と、樹脂が有する極性基との間で相互作用を生じさせるものと考えられる。
ここで、尿素系溶剤は、N−メチルピロリドン(NMP)やN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の溶剤に比べて、尿素系溶剤は極性基(例えば−O−、3級窒素原子(−N<))を多く持つ構造である。そのため、尿素系溶剤と樹脂との相互作用は、NMPやDMAcと樹脂との相互作用に比べ、より強く生じるものと考えられる。そして、この相互作用に起因して、樹脂層では尿素系溶剤の分子と樹脂の分子鎖とで、分子鎖が密に充填された状態(以下「パッキング状態」と称する)が形成される。このパッキング状態によって、樹脂層の機械的強度が高められ、耐折れ性にも優れた樹脂層が得られると考えられる。
・遠心成形物
本実施形態に係る透明管状体における樹脂層は、遠心成形物であることが好ましい。つまり、尿素系溶剤とこの尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体とを含む組成物が遠心成形によって成形された硬化物であることが好ましい。
樹脂層が遠心成形物であることにより、溶剤を用いずに樹脂自体を溶融させ押出成形により成形した樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成される赤外光定着装置用管状体に比べ、定着強度の高い画像が得られる。
その理由は、以下のように推察される。
溶剤を用いずに溶融させた樹脂を成形することで樹脂層(樹脂の成形体)を得る方法としては、例えば一般的に押出成形法等が行なわれている。なお、管状の樹脂層を押出成形法によって得る場合、定められた径に成形するためサイジングと呼ばれる管状のフィルムを金型に沿わせて径を決める工程が行なわれており、この際に樹脂層の内周面に傷が生じることがあった。
ここで、透明管状体における樹脂層の内周面に傷があると、照射される赤外光がこの傷によって散乱する。特に透明管状体の内周面に生じた傷は、照射対象であるトナー像に対して、透明管状体の厚さ分の距離がある箇所に位置するため、透明管状体の外周面に生じた傷等と比べても、赤外光の散乱による影響が大きくなる。そのため、内周面の傷によって赤外光が散乱すると、照射対象であるトナー像への赤外光の集光性が低下し、得られる画像の定着強度に劣ることがあった。
これに対し、透明管状体における樹脂層が遠心成形物であることで、赤外光の散乱に対して大きな寄与を持つ樹脂層内周面での傷の発生が抑制される。その結果、トナー像への赤外光の集光性が高められ、定着強度の高い画像が得られる。
以下、本実施形態に係る透明管状体について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
本実施形態に係る透明管状体110は、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する透明管状体である。
本実施形態に係る透明管状体110は、例えば、図1に示すように、基材110Aと、基材110Aの外周面上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bの外周面上に設けられた表面層110Cと、を有している。
そして、基材層110Aは、少なくとも尿素系溶剤と、前記尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層で構成される。
ここで、本実施形態に係る透明管状体110は、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有するが、具体的には、赤外光定着装置に備える赤外光照射装置の光源(赤外光を照射する光源)が照射する照射波長の赤外光に対する透過性を有する。より具体的には、例えば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有することがよい。
さらに具体的には、例えば、赤外光照射装置の光源として808nmの赤外光(赤外線レーザ光)を照射する半導体レーザを用いる場合は、808nmの赤外光に対して透過性を有していればよく、780nm以上820nm以下の波長領域の赤外光に対して透過性を有していてもよく、800nm以上810nm以下の波長領域の赤外光に対して透過性を有していてもよい。
そして、赤外光に対する透過性を有するとは、赤外光に対する透過率が80%以上(より好ましくは90%以上)を有することを意味する。
なお、透明管状体110を構成する各層における、赤外光に対する透過性も、透明管状体110における、赤外光に対する透過性と同様な性質を持つことがよい。つまり、透明管状体110を構成する各層における、赤外光に対する透過率は、80%以上(好ましくは90%以上)がよい。
赤外光に対する透過率は、次の方法により測定される。
透過率は、測定装置として紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、型番:JASCO−V560)を用い、350nm以上950nm以下の領域での測定条件において測定し、対象とする波長領域(例えば700nm以上900nm以下の領域など)での透過率を測定することで求める。
次に、本実施形態に係る透明管状体110の各構成の詳細について説明する。なお、符号は省略して説明する。
(基材)
基材(樹脂層)は、少なくとも尿素系溶剤と、該尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層で構成される。
−尿素系溶剤−
尿素系溶剤とは、分子内に尿素結合「N−C(=O)−N」を有する化学構造を有する溶剤である。樹脂層に含まれる尿素系溶剤としては、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、nは2以上5以下の整数を表す。
炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基は、鎖式でも環式でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基のいずれでもよい。
nは2又は3が好ましい。
一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表す。
炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基は、鎖式でも環式でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基のいずれでもよい。
尿素系溶剤としては、例えば、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素、1,3−ジイソプロピル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラプロピル尿素、テトライソプロピル尿素、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素等が挙げられる。
尿素系溶剤としては、赤外光に対し高い透過性を得る観点から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが特に好ましい。
なお、尿素系溶剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
尿素系溶剤の沸点は、100℃以上350℃以下が好ましく、120℃以上300℃以下がより好ましく、150℃以上250℃以下が更に好ましい。
尿素系溶剤の沸点が100℃以上であると、樹脂層に含まれる尿素系溶剤が透明管状体の使用中に低減していくことが抑制される。一方、尿素系溶剤の沸点が350℃以下であると、透明管状体作製後の樹脂層中に含まれる尿素系溶剤の含有量(残留量)が、樹脂層の全体に対して、後述の範囲に制御されやすくなる。
樹脂層における尿素系溶剤の含有量(残留量)は、樹脂層全体に対して、0.005質量%以上3質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。
尿素系溶剤の含有量が3質量%以下であることで、樹脂層において分子鎖が密に充填された状態(パッキング状態)が形成され易く、優れた機械的強度(特に耐折れ性)が得られ易い。
尿素系溶剤の含有量が0.005質量%以上であることで、透明管状体の樹脂層を作製する際の加熱工程での温度や時間が過剰となり過ぎず、樹脂層の割れが抑制される。
樹脂層に含まれる尿素系溶剤の含有量(残留溶剤の含有量)の測定はガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて行う。
具体的には、測定対象となる透明管状体の樹脂層から測定用試料0.40mgを精確に秤量し、落下型の熱分解装置(フロンティアラボ社製:PY−2020D)を設置したガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所社製:GCMS QP−2010)により、下記の条件で測定を行う。
熱分解温度:400℃
ガスクロマト導入温度:280℃
Inject方法:スプリット比1:50
カラム:フロンティアラボ社製 Ultra ALLOY−5 0.25μm、0.25μm ID、30m
ガスクロマト温度プログラム:40℃⇒20℃/min⇒280℃−10min保持
マスレンジ:EI、m/z=29−600
なお、尿素系溶剤の含有量は尿素系溶剤の合計量を表し、つまり2種以上の尿素系溶剤を併用する場合には、その合計量を表す。
尿素系溶剤の含有量を上記範囲に制御する方法としては、例えば、後述する樹脂層の形成方法において、塗膜を乾燥させる際の乾燥条件及び加熱条件(温度、時間)を調整する方法;塗膜を送風乾燥させる場合は送風速度を調整する方法;金型上に塗膜を形成する際の金型の回転速度を調整する方法;金型の温度、厚さを調整する方法;樹脂層の形成に用いられる組成物における全溶媒の含有量及びその中に占める尿素系溶剤の含有量を調整する方法;等が挙げられる。
なお、樹脂層には、本実施形態の効果を損なわない範囲において尿素系溶剤以外の公知の有機溶媒を含有してもよい。
樹脂層が尿素系溶剤以外の有機溶媒を含有する場合、その中に占める尿素系溶剤の含有量は、樹脂層に含まれる(残存する)全溶媒のうち尿素系溶剤の含有量が50質量%を超える(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)ことが好ましい。
−樹脂又は樹脂前駆体−
樹脂層には、尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体が用いられる。なお、尿素系溶剤に可溶であるとは、該溶剤に対し10質量%以上溶解することを意味する。
樹脂層に用いられる樹脂又は樹脂前駆体としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、又はこれらの前駆体が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂(例えば全芳香族系ポリイミド樹脂、脂環族系ポリイミド樹脂、フッ素基を含むポリイミド樹脂等)、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
なお、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の場合には、前駆体を用いることもでき、つまり前駆体にて成形した後に反応させて得ることもできる。
中でも、樹脂又は樹脂前駆体として、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリイミド樹脂前駆体が好ましい。
更にはポリイミド樹脂がより好ましい。
−添加剤−
樹脂層は、赤外光に対する透明管状体の透過性を妨げない範囲で、赤外光に対して透過性を有する繊維やフィラー(フッ素樹脂粉末、ポリエステル、ポリアミド、ガラス繊維、シリカなどの無機粒子等)を含んでもよい。また、樹脂の熱劣化を防止するための酸化防止剤、流動性を向上させるための界面活性剤、使用時に発生する静電気を除去するための帯電防止剤等、透明管状体に一般的に用いられるどのような添加剤を用いてもよい。
−樹脂層の形成−
樹脂層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を含む組成物の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う方法が挙げられる。
樹脂層形成用の組成物を塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
なお本実施形態では、樹脂層の形成を遠心成形法によって行うことが好ましい。つまり樹脂層が、尿素系溶剤とこの尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体とを含む組成物を、遠心成形法(円筒状の金型の内周面に塗布し、金型を円周方向に回転させながら加熱等によって塗膜を硬化させ樹脂層を成形する方法)によって成形された硬化物であることが好ましい。樹脂層が遠心成形物であることにより、定着強度の高い画像が得られる。
−樹脂層の物性−
・引張弾性率
樹脂層は、透明管状体の機械的強度向上の観点から、引張弾性率が1500MPa以上3500MPa以下であることが好ましく、2000MPa以上3300MPa以下であることがより好ましい。
なお、引張弾性率は次の方法により測定される。
まず、透明管状体から基材(樹脂層)を切り出し、ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)を得る。ダンベル3号の打ち抜き試験片を用いて、JIS K7127(1999年)に準じ、周方向のみ5回測定した平均値を引張弾性率とする。なお、測定装置は、アイコーエンジンニアリング社製MODEL−1605Nとし、引張速度は20mm/minとする。
・MIT耐折回数
樹脂層における曲げ応力100MPaのときのMIT耐折回数は、透明管状体の機械的強度(特に耐折れ性)向上の観点から、2500回以上が好ましく、10000回以上がより好ましい。
なお、曲げ応力が100MPaのときの上記MIT耐折回数の測定は、以下の方法により行われる。
JIS−P8115(2001年)に示される耐折強さ試験方法(MIT試験機法)において、屈曲部分のR及びテンションを変えることで試験片に与える曲げ応力を変化させて、試験片が破断するまでの往復折曲げ回数(耐折回数)を測定し、横軸を耐折回数、縦軸を応力としたS−N線図を作成する。得られたS−N線図から、曲げ応力が100MPaのときの耐折回数を、曲げ応力が100MPaのときのMIT耐折回数とする。
なお試験片には、透明管状体から基材(樹脂層)を、周方向に幅15mm×長さ150mmで切り取ったサンプルを用いる。
・内周面の粗さ
樹脂層における内周面粗さは、得られる画像の定着強度向上の観点から、最大高さ粗さRzで0.015μm以下であることが好ましく、0.01μm以下であることがより好ましい。
なお、内周面の粗さRzの測定は、以下の方法により行われる。
樹脂層の内周面の最大高さ粗さRz(JIS B0601−2013年)を、幅方向に測定長さ1mm、カットオフ波長0.025mm、測定速度0.03mm/秒の条件で、表面粗さ計を用いて3箇所測定し、その平均値を内周面粗さRzとする。
・厚さ
基材(樹脂層)の厚さは、例えば、20μm以上1000μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましく、60μm以上130μm以下がさらに好ましい。
透明管状体における各層の厚さ(平均厚さ)の測定は、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の渦電流式膜厚計ISOSCOPE MP30により行う。
なお、透明管状体の軸方向(幅方向)における中央部と、両端部からそれぞれ中央部側に向かって30mmの箇所の3箇所について、それぞれ周方向に等間隔で4箇所、つまり計12箇所の測定を行い、その平均値を平均厚さとする。
(弾性層)
弾性層は、赤外光に対して透過性を有する層(赤外線の透過率が80%以上の層)であれば、特に限定されない。
弾性層としては、例えば、シリコーンゴム層、ウレタンゴム層、及びオレフィンゴム層等が挙げられる。
シリコーンゴム層としては、例えば、付加重合型の2液ポリジメチルシロキサン類とその誘導体、及び光硬化型のアクリル変性シリコーンゴム等の層が挙げられる。
ウレタンゴム層としては、例えば、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステル系ウレタン類及びアクリル変性光硬化型のウレタンゴム等の層が挙げられる。
オレフィンゴム層としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリプロピレンゴム、ブチルゴム、シクロオレフィン類、ノルボルネンゴム等の層が挙げられる。
弾性層の厚さとしては、例えば、50μm以上500μm以下が好ましく、150μm以上450μm以下がより好ましい。
(表面層)
表面層は、赤外光に対して透過性を有する層(赤外光の透過率が80%以上の層)であれば、特に限定されない。
なお、表面層は、トナーに対する離型性を有する層であることが好ましい。
表面層としては、フッ素含有樹脂層が挙げられる。フッ素含有樹脂層としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、及びポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の層が挙げられる。
これらの中でも、表面層としては、例えば、PFA、ポリビニリデンフルオライド、全フッ化環状エーテルポリマー等の層が好ましい。
表面層の外周面における表面自由エネルギーは、定着画像の離型性の観点から、例えば30mN/m以下が好ましく、25mN/m以下がより好ましい。
ここで、表面自由エネルギーの測定は、例えば、接触角計CAM−200(KSV社製)を用い、Zisman法を用いた装置内蔵のプログラム計算にて算出する。
表面層の屈折率は、トナー像の屈折率よりも低い方が、表面層とトナー像との界面における赤外光の反射が抑制される点で望ましい。
表面層の厚さとしては、例えば、10μm以上50μm以下が好ましく、12μm以上30μm以下が好ましい。
(透明管状体の特性)
透明管状体全体の厚さとしては、例えば、80μm以上1550μm以下が好ましく、100μm以上1000μm以下がより好ましく、200μm以上500μm以下がさらに好ましい。
以上説明した透明管状体は、上記層構成に限られず、上記樹脂層を基材として有する積層体であればよい。また、上記樹脂層の単層体であってもよい。
上記樹脂層を基材として有する積層体としては、例えば、上記樹脂層からなる基材の内周面に、さらに離型層等の機能層を有する層構成、上記樹脂層からなる基材上に弾性層のみ又は離型層のみを有する層構成、基材と弾性層との間に接着剤層を有する層構成、弾性層と離型層との間に接着剤層を有する層構成等が挙げられる。
<赤外光定着装置>
本実施形態に係る赤外光定着装置は、記録媒体上のトナー像と接触する管状体であって、上記本実施形態に係る透明管状体と、管状体の外周面に接触し、管状体との間に接触域を形成して設けられ、接触域にて管状体と共に回転して記録媒体を搬送する回転体と、管状体の外周面側又は内周面側に設けられ、管状体と回転体との間の接触域内に向けて赤外光を照射する赤外光照射装置と、管状体の内周面側に設けられ、接触域にて管状体を回転体と共に加圧する加圧部材と、を備える。
なお、本実施形態に係る赤外光定着装置において、赤外光照射装置は、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する装置であることがよい。
ここで、赤外光照射装置から照射される赤外光を、加圧部材を介して、透明管状体と回転体との接触域に到達させる場合、加圧部材における「赤外光に対する透過性」も、透明管状体における「赤外光に対する透過性」と同様な性質を持つことがよい。つまり、加圧部材における「赤外光に対する透過率」は、80%以上(好ましくは90%以上)がよい。
以下、本実施形態に係る赤外光定着装置について図面を参照しつつ説明する。
図2は、本実施形態に係る赤外光定着装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示すように、本実施形態に係る赤外光定着装置60(以下「定着装置60」とも称する)は、透明管状体62と、回転体64と、赤外光照射装置70と、加圧部材80と、潤滑剤供給部材66と、を備えている。
(透明管状体)
透明管状体62は、軸方向両端部で、図示しない軸受により回転可能に支持されている。また、透明管状体62の軸方向の一端部には、図示しない駆動伝達部材(ギア等)が嵌め込まれている。そして、透明管状体62は、駆動伝達部材が図示しない駆動源(モータ等)により軸周りに回転されることに伴って、矢印R方向に回転するようになっている。さらに、透明管状体62は、透過した赤外光LBにより加熱される用紙K(記録媒体の一例)上のトナー像Tと、回転しながら接触するようになっている。
(回転体)
回転体64は、管状体の外周面に接触して設けられている。
回転体64は、一例として、樹脂製又は金属製であり、円筒状又は円柱状に形成されている。回転体64の外周面の一部は、図示しない軸受部材が弾性部材(バネ等)によって、透明管状体62を介して加圧部材80側に押し付けられている。それにより、回転体64と透明管状体62とは、接触域N(いわゆる、ニップ部)を形成している。すなわち、回転体64は、接触域Nにおいて、加圧部材80と共に、透明管状体62(つまり、用紙K及びトナー像T)を挟んで加圧する機能を有する。
回転体64の軸方向両端部には、図示しない嵌込部材(キャップ等)が嵌め込まれており、回転体64の径方向の外力に対する剛性が高められている。嵌込部材は、図示しない軸受部材によって軸回りに回転可能とされている。そして、回転体64は、透明管状体62が回転されることに伴って、従動回転するようになっている。それにより、接触域Nにて透明管状体62と共に回転して用紙Kを搬送する。
なお、回転体64の回転駆動により、透明管状体62が従動回転する構成であってもよい。
(赤外光照射装置)
赤外光照射装置70は、透明管状体62の外周面側に設けられている。なお、赤外光照射装置70は、透明管状体62の内周面側に設けられていてもよい。
赤外光照射装置70は、一例として、赤外光LB(赤外線レーザ光)を出射するレーザアレイ72と、出射された赤外光LBを平行光とするコリメートレンズ74とを有する。そして、赤外光照射装置70は、トナー像Tが加熱されるように、透明管状体62の外側から透明管状体62に赤外光LBを照射するようになっている。
レーザアレイ72は、用紙Kの搬送方向に対して直交する方向に沿って並んで複数設けられている。各レーザアレイ72は、配列された複数のレーザ光源72Aと、レーザ光源72Aを支持する本体部72Bと、本体部72Bに接触するヒートシンク72Cとを有する。
ここで、レーザアレイ72は、例えば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する複数のレーザ光源72Aを有することがよい。
コリメートレンズ74は、レーザ光源72Aから照射された赤外光LBを平行光とする平凸レンズである。コリメートレンズ74は、透明管状体62の外周面に入射する赤外光LBの透明管状体62の周方向の幅が予め設定した幅となるように、位置が調整されている。
(加圧部材)
加圧部材80は、透明管状体62の内周面側に設けられている。
加圧部材80は、一例として、レンズパッド82(集光部材の一例)と、支持枠84A及び支持枠84Bとを有している。支持枠84A及び支持枠84Bは、透明管状体62の軸方向に伸びた部材であり、レンズパッド82を透明管状体62の径方向から挟んで支持する。レンズパッド82、支持枠84A及び支持枠84Bは、組み立てられた状態で全体が円柱状となっている。
加圧部材80は、回転体64が透明管状体62を介して加圧部材80側に押し付けられることにより、接触域Nにおいて、回転体64と共に、透明管状体62(つまり、用紙K及びトナー像T)を挟んで加圧する機能を有する。
加圧部材80において、赤外光照射装置70から透明管状体62に照射された赤外光LBは、レンズパッド82で集光され、再び透明管状体62を透過して、接触域Nに照射するようになっている。
なお、弾性部材(バネ等)によって、透明管状体を介して加圧部材80を回転体64側に押し付ける態様であってもよい。つまり、加圧部材80は、他の部材(回転体64等)から押し付けられて透明管状体62を加圧する部材、又は、自身を他の部材(回転体64等)へ押し付けて透明管状体62を加圧する部材のいずれの部材であってもよい。
また、加圧部材80は、赤外光の集光機能を有するパッド部材であってもよい。さらに、加圧部材80は、赤外光の集光機能を有さないロール部材、又は赤外光の集光機能を有さないパッド部材であってもよい。
(潤滑剤付与部材)
潤滑剤供給部材66は、一例として、液状の潤滑剤(シリコーンオイル等)を含浸したフェルト材で構成されている。潤滑剤供給部材66は、加圧部材80の支持枠84Aに形成された凹部86に嵌め込まれ、かつ透明管状体62の内周面に接触して設けられている。それにより、潤滑剤供給部材66は、透明管状体62の内周面に潤滑剤を塗布する。
なお、潤滑剤供給部材66は、固形の潤滑剤(脂肪酸金属塩等)と、固形の潤滑剤を支持する支持部材と、で構成されていてもよい。
ここで、赤外光照射装置から照射される赤外光を、加圧部材を介して、透明管状体と回転体との接触域に到達させる場合、潤滑剤における「赤外光に対する透過性」も、透明管状体における「赤外光に対する透過性」と同様な性質を持つことがよい。つまり、潤滑剤における「赤外光に対する透過率」は、80%以上(好ましくは90%以上)がよい。
(赤外光定着装置の動作)
赤外光定着装置60では、赤外光照射装置70から出射された赤外光LBが、透明管状体62の入射部62Aに入射する。そして、赤外光LBは、透明管状体62のレンズパッド82中で集光され、出射部である接触域Nから出射され、搬送中の用紙K上のトナー像Tに照射される。用紙K上のトナー像Tは、集光された赤外光LBを吸収することで加熱され溶融すると共に、回転体64及び加圧部材80から加圧力を受けることで、用紙Kに定着される。
以上説明した赤外光定着装置60は、上記構成に限られず、周知の構成が採用される。
例えば、赤外光定着装置60は、図3に示すように、接触域Nにおいて、加圧部材80(そのレンズパッド82)と、透明管状体62との間に介在したシート状の摺動部材68を有する態様であってもよい。
また、赤外光定着装置60は、透明管状体が複数の支持ロールにより張力を付与しつつ支持された態様であってもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、赤外光の照射により前記トナー像を前記記録媒体に定着する赤外光定着装置と、を備える。そして、赤外光定着装置として、上記本実施形態に係る赤外光定着装置が適用される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、トナー像形成装置は、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備える。
トナー像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電装置を備える装置;像保持体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための像保持体加熱部材を備える装置等の周知のトナー像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、赤外光定着装置は、画像形成装置に着脱するようにカートリッジ化していてもよい。つまり、本実施形態に係る画像形成装置は、プロセスカートリッジの構成装置として、本実施形態に係る赤外光定着装置を備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の本実施形態に係る赤外光定着装置60である。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電装置の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成装置の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像装置の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、及び、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとの混合ゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRの混合ゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとの混合ゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に、二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写装置の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送装置として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、及び、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送装置では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55は、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって加圧されると共に赤外光が照射されて定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
−樹脂層の形成−
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなるポリアミック酸(芳香族系ポリイミド(PI)樹脂の前駆体、重量平均分子量6.5万)の、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)20質量%溶液(樹脂層形成用組成物)を準備した。
また、金型として、内径φ189mm、内面を粗さRz:0.1μm以下に研磨しかつシリコーン系の離型剤を塗布した円筒状金型を準備した。
30rpmで回転させた円筒状金型の内面に前記溶液(樹脂層形成用組成物)を投入後、200rpmで回転させることで金型内面に均一に近い状態でポリアミック酸樹脂溶液の塗膜を形成させた。金型を回転させながら120℃で20分乾燥し、ついで円筒状金型を停止した状態で320℃で60分焼成し、イミド転化した。その後、皮膜を抜き取り切断することで、φ189mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
<実施例2>
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとからなるポリアミック酸(脂環族系ポリイミド(PI)樹脂の前駆体、重量平均分子量6万)の、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)20質量%溶液(樹脂層形成用組成物)を準備した。
この溶液(樹脂層形成用組成物)を用いた以外は、実施例1と同様に行うことで、φ189mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
<実施例3>
ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂(ソルベイ社製、ベラデル(登録商標)A−301)の、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)20質量%溶液(樹脂層形成用組成物)を準備した。
30rpmで回転させた円筒状金型の内面に前記溶液(樹脂層形成用組成物)を投入後、200rpmで回転させることで金型内面に均一に近い状態でポリエーテルサルフォン樹脂溶液の塗膜を形成させた。金型を回転させながら120℃で20分乾燥し、ついで円筒状金型を停止した状態で260℃で30分加熱した。その後、皮膜を抜き取り切断することで、φ189mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
<実施例4>
ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂(ソルベイ社製、レーデル(登録商標)R−5800)の、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)20質量%溶液(樹脂層形成用組成物)を準備した。
この溶液(樹脂層形成用組成物)を用いた以外は、実施例1と同様に行うことで、φ189mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
<実施例5>
ポリカーボネート(PC)樹脂(三菱ガス化学(株)製、ユピゼータPCZ500)の、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)20質量%溶液(樹脂層形成用組成物)を準備した。
この溶液(樹脂層形成用組成物)を用いた以外は、実施例1と同様に行うことで、φ189mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
<比較例1〜3>
溶剤を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)からN−メチルピロリドン(NMP)に変えた以外は、実施例1〜3と同様に行うことで、φ189mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
<比較例4>
ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂(ソルベイ社製、ベラデル(登録商標)A−301)のペレットを、一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置、三葉製作所社製)に投入し、溶融しながら環状ダイとニップルの間隙から円筒状に押出した。押出された円筒状部材を引きとりながら円筒状部材の円筒形状と径を固定化するために、サイジングダイ(冷却用金型)へ円筒状部材内周面を接触させて冷却した後、目的とする幅に切断し、φ160mm、幅350mm、平均厚み90μmの樹脂層を得た。
なお、この際に、樹脂層の冷却を速やかに行うため、サイジングダイ外側に設けたエアリングより、サイジングダイと同じ温度の温風を供給した。
〔評価〕
−残留溶剤量−
各例で得られた樹脂層について、前述の測定方法により残留溶剤量(質量%)を測定した。
−赤外光透過率−
各例で得られた樹脂層を、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、型番:JASCO−V560)を用いて測定し、760nm以上900nm以下の最小値の値を透過率とした。
−内面粗さ−
各例で得られた樹脂層について、前述の測定方法により内面粗さを測定した。
−耐折れ性−
各例で得られた樹脂層について、前述の測定方法により耐折れ性(MIT耐折回数)を測定した。
(評価基準)
A(◎):10,000回以上
B(○):2,500回以上
C(×):2,500回未満
−定着率(テープ剥離試験)−
・管状体の作製
各例で得られた樹脂層の表面に、弾性層としてシリコーンゴム(X−34−1972−3−A/B、信越化学工業社製)の膜(厚さ350μm)を形成した後、接着処理として液状シリコーンゴム(KE−1950−10A/B、信越化学工業社製)を20μm塗布し、さらにその上から内面接着処理されたテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の膜(厚さ30μm)を形成し、管状体を作製した。
・実機評価
得られた各例の管状体を、図2に示す構成と同じ構成の赤外光定着装置(赤外線レーザ光照射装置として、半導体レーザ(エネオプチック社製、赤外線レーザ光の波長:808nm)を用い、接触域(ニップ部)Nにおける赤外線照射強度100W/cm、未定着トナー像Tへの赤外線照射量200mJ/cmとした定着装置)における透明管状体として組み込んだ。
この赤外光定着装置を用いて未定着トナー像を定着した後、テープ剥離試験により、定着率の評価を行った。
具体的には、定着画像に粘着テープ(スコッチメンディングテープ;3M社製)を軽く貼り、250g/cmの線圧にて該テープを画像面に密着させた後、該テープを引き剥がした。テープ引き剥がし前後の画像を分光測色計(CM−3700d;ミノルタ社製)を使用して波長域400nm〜800nmの反射光の吸光度が最も大きくなる波長での吸光度値を測定し、「(テープ剥離後の最大吸光度/テープ剥離前の最大吸光度)×100」の式により定着率を算出した。また、以下の基準により評価を行った。
(評価基準)
A(◎):92%以上
B(○):90%以上92%未満
C(×):90%未満

表1に記載される通り、溶剤として尿素系溶剤を含む組成物の硬化物である樹脂層を備えた実施例1〜5では、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)のみを含む組成物の硬化物である樹脂層を備えた比較例1〜3に比べ、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光の透過率に優れていることが分かる。
また、溶剤として尿素系溶剤を含む組成物を遠心成形法により成形した遠心成形物である樹脂層を備える実施例1〜5では、溶剤を用いずに樹脂自体を溶融させ押出成形により成形した押出成形物である樹脂層を備える比較例4に比べ、樹脂層の内周面の粗さが小さく、定着画像に対するテープ剥離試験において高い定着率が得られていることが分かる。
60 赤外光定着装置
62 透明管状体
62A 入射部
64 回転体
66 潤滑剤供給部材
68 摺動部材
70 赤外光照射装置
72 レーザアレイ
72A レーザ光源
72B 本体部
72C ヒートシンク
74 コリメートレンズ
80 加圧部材
82 レンズパッド
84A 支持枠
84B 支持枠
86 凹部
100 画像形成装置
110 透明管状体
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層

Claims (11)

  1. 少なくとも尿素系溶剤と、前記尿素系溶剤に可溶な樹脂又は樹脂前駆体と、を含む組成物の硬化物である樹脂層の単層体、又は前記樹脂層を基材として有する積層体で構成され、
    赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する赤外光定着装置用管状体。
  2. 前記尿素系溶剤が、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素、1,3−ジイソプロピル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラプロピル尿素、テトライソプロピル尿素、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、及びN,N−ジメチルプロピレン尿素からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の赤外光定着装置用管状体。
  3. 前記樹脂層における前記尿素系溶剤の含有量が0.005質量%以上3質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の赤外光定着装置用管状体。
  4. 前記樹脂又は樹脂前駆体が、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリイミド樹脂前駆体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  5. 前記樹脂層が遠心成形物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  6. 基材としての前記樹脂層と、
    前記樹脂層の外周面上に設けられた弾性層と、
    前記弾性層の外周面上に設けられた表面層と、
    を有する積層体で構成された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  7. 700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  8. 700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過率が、90%以上である請求項7に記載の赤外光定着装置用管状体。
  9. 記録媒体上のトナー像と接触する管状体であって、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体と、
    前記管状体の外周面に接触し、前記管状体との間に接触域を形成して設けられ、前記接触域にて前記管状体と共に回転して記録媒体を搬送する回転体と、
    前記管状体の外周面側又は内周面側に設けられ、前記管状体と前記回転体との間の前記接触域内に向けて赤外光を照射する赤外光照射装置と、
    前記管状体の内周面側に設けられ、前記接触域にて前記管状体を前記回転体と共に加圧する加圧部材と、
    を備える赤外光定着装置。
  10. 前記赤外光照射装置が、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する装置である請求項9に記載の赤外光定着装置。
  11. 記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
    赤外光の照射により前記トナー像を前記記録媒体に定着する赤外光定着装置であって、請求項9又は請求項10に記載の赤外光定着装置と、
    を備える画像形成装置。
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