以下、本発明の一実施形態の水栓装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態としてのディスク式弁装置6を備える水栓装置1を示す斜視図である。本実施形態においては、水栓装置1を正面から見た場合に、カラン側吐水部331が配置される手前側を前側(正面側)といい、シャワー側吐水部332が配置される奥側を後側(背面側)という。水栓装置1を正面から見た場合において、左右の方向を左右方向という。
まず、本実施形態に係る水栓装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、水栓装置1は、水栓本体2と、水側クランク脚311と、湯側クランク脚312と、水側ハンドル321と、湯側ハンドル322と、カラン側吐水部331と、シャワー側吐水部332と、切替ハンドル4と、ディスク式弁装置6(弁装置)と、を含んで構成される。
本実施形態の水栓装置1は、2つのハンドル(水側ハンドル321及び湯側ハンドル322)を備える壁付けタイプの混合水栓である。水栓装置1は、2つのハンドル(水側ハンドル321及び湯側ハンドル322)により、水側クランク脚311及び湯側クランク脚312から供給される水と湯の混合比を調整し、切替ハンドル4を回転させることにより、吐水状態を切り替える。具体的には、水栓装置1は、切替ハンドル4を回転させることにより、止水状態と通水状態とを切り替えると共に、各吐水部(カラン側吐水部331、シャワー側吐水部332)からの吐水流量を調整する。
水栓本体2は、左右方向に延びる。水栓本体2は、左右方向に延びる箱状のハウジング20により構成され、ハウジング20の内部には、水側クランク脚311及び湯側クランク脚312を介して導入された水及び湯、混合された湯水が流通される。また、ハウジング20の内部には、ディスク式弁装置6(後述)が配置される。
水側クランク脚311及び湯側クランク脚312は、水栓本体2のハウジング20の背面における長手方向の両端部にそれぞれ接続される。本実施形態においては、水側クランク脚311は、図1における正面から見て右側の端部に接続され、湯側クランク脚312は、図1における正面から見て左側の端部に接続される。水側クランク脚311及び湯側クランク脚312は、一端部が水栓本体2の背面に接続され、他端部が浴室等の壁に固定される。
水側ハンドル321及び湯側ハンドル322は、水栓本体2のハウジング20の上面における長手方向の両端部にそれぞれ設けられる。本実施形態においては、水側ハンドル321は、正面から見て右側の端部に接続され、湯側ハンドル322は、正面から見て左側の端部に接続される。水側ハンドル321の内部には、水側弁体(図示せず)が配置され、湯側ハンドル322の内部には、湯側弁体(図示せず)が配置される。水側ハンドル321及び湯側ハンドル322を回転させることにより、水及び湯の混合比を調整する。
カラン側吐水部331は、水栓本体2のハウジング20の長手方向の略中央の下面から前方に延びて形成される。
シャワー側吐水部332は、水栓本体2のハウジング20の背面における長手方向の略中央において水平方向に延出して下方に屈曲したシャワーエルボ332aを有する。シャワーエルボ332aには、シャワー部(図示せず)へ湯水を給水するためのチューブが接続される。
切替ハンドル4は、水栓本体2のハウジング20の前面における長手方向の略中央において前側に配置される。切替ハンドル4は、水栓本体2に対して回動自在に設けられる。切替ハンドル4は、水栓本体2のハウジング20の内部に配置されるディスク式弁装置6に接続される。水栓装置1の使用者は、切替ハンドル4の回転操作によって、カラン側吐水部331又はシャワー側吐水部332から吐水するかの切り替えを行うと共に、カラン側吐水部331及びシャワー側吐水部332からの吐水流量の調整を行う。
切替ハンドル4は、円筒状に形成される。切替ハンドル4の外周部には、止水時に上方側に突出する突出部41が設けられる。本実施形態においては、突出部41が上方側に突出して位置する場合には、止水状態であり、正面から見て右側に回動された場合に、カラン側吐水部331から湯水を吐水する吐水状態であり、正面から見て左側に回動された場合に、シャワー側吐水部332から湯水を吐水する吐水状態である。
ディスク式弁装置6は、図1に示すように、水栓本体2の長手方向の略中央において、水栓本体2のハウジング20の内部に配置される。切替ハンドル4を回転させることで、ディスク式弁装置6の一次側弁体ユニット7(後述)を回転させることができる。ディスク式弁装置6の一次側弁体ユニット7を回転させることで、通水状態と止水状態とを切り替え可能である。また、ディスク式弁装置6は、通水状態において、カラン側吐水部331から吐水される吐水流量を調整でき、シャワー側吐水部332から吐水される吐水流量を調整できる。
次に、ディスク式弁装置6の詳細について説明する。
図2は、図1のA−A線断面図であって、ディスク式弁装置6の主な構成を示す縦断面図である。図3は、ディスク式弁装置6を示す斜視図である。図4は、図3のB−B線断面図である。図5は、図3のC−C線断面図である。図6は、ディスク式弁装置6を、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とに分離した状態を示す斜視図である。図7は、ディスク式弁装置6の一次側弁体ユニット7をディスク部材75側から見た斜視図である。図8は、ディスク式弁装置6の一次側弁体ユニット7の分解斜視図である。図9の(a)は一次側弁体ユニット7のディスク部材75を示す平面図であり、(b)は一次側弁体ユニット7のディスク部材75に対向して配置される二次側弁体ユニット8を示す平面図である。図10は、一次側弁体ユニット7の回転位置における一次側弁体ユニット7のディスク部材75の円盤開口部752と二次側弁体ユニット8のシャワー側開口部821又はカラン側開口部822との重なり状態を示す図である。
ディスク式弁装置6は、図1に示すように、水栓本体2の長手方向の略中央において、水栓本体2のハウジング20の内部に配置される。切替ハンドル4は、図2に示すように、ディスク式弁装置6に固定された係合部材11に係合されている。切替ハンドル4を回転させることで、係合部材11を介して、ディスク式弁装置6の一次側弁体ユニット7を回転させることができる。
ディスク式弁装置6は、図3〜図7に示すように、一次側弁体ユニット7と、二次側弁体ユニット8と、を有する。一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8は、図6に示すように、それぞれ、ユニット化されて構成される。一次側弁体ユニット7は、切替ハンドル4の操作時に回転動作させることが可能な可動弁である。二次側弁体ユニット8は、回転せずに固定された固定弁である。ディスク式弁装置6は、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8が連結状態であると共に、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8の周面が、水栓本体2のハウジング20に覆われた状態で、水栓装置1に設置される。
一次側弁体ユニット7は、回転軸Jを中心に回転可能に、二次側弁体ユニット8に連結可能である。本実施形態においては、ディスク式弁装置6は、一次側弁体ユニット7の摺動により、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8が連結された状態で吐水状態(通水状態又は止水状態)を切り替え可能である。また、ディスク式弁装置6は、通水状態において、カラン側吐水部331から吐水される吐水流量を調整でき、カラン側吐水部331から吐水される吐水流量を調整できる。
一次側弁体ユニット7は、図8に示すように、一次側円筒状部材71と、弁軸部72と、固定リング73と、回転リング74と、ディスク部材75と、弾性部材76と、固定クリップ77と、一次側外周Oリング78と、を有する。一次側円筒状部材71、弁軸部72、固定リング73、回転リング74、ディスク部材75、弾性部材76及び固定クリップ77は、一次側弁体ユニット7の回転軸Jと同軸上に配置される。
一次側円筒状部材71は、図8に示すように、円筒状に形成され、回転軸J方向に延びる。一次側円筒状部材71は、樹脂製である。一次側円筒状部材71には、6つの湯水流入開口711(流入開口)が形成される。一次側円筒状部材71の外周面には、一次側外周Oリング78が取り付けられている。
6つの湯水流入開口711(一部図示せず)は、図8に示すように、一次側円筒状部材71の周方向に離間して並んで配置され、一次側円筒状部材71の径方向に貫通して形成される。6つの湯水流入開口711は、3つの湯水流入開口711を一組として、周方向に離間して二組配置されている。6つの湯水流入開口711は、水側クランク脚311により水栓本体2のハウジング20の内部に導入された水や、湯側クランク脚312により水栓本体2のハウジング20の内部に導入された湯を、一次側弁体ユニット7の内部に流入させることが可能である。
固定リング73は、図8に示すように、一次側円筒状部材71の回転軸J方向に厚みを有した略円環状に形成される。固定リング73は、一次側円筒状部材71の回転軸J方向の前側において、一次側円筒状部材71に固定される。固定リング73は、径方向に突出する一対の固定突出部731と、一対の固定突出部731の内側において回転軸J方向の後側に窪む一対の係合凹部732と、を有する。
固定リング73は、コイル状の弾性部材76を一次側円筒状部材71側に押し付けた状態で、一対の固定突出部731が、一次側円筒状部材71の一対の係止溝712に嵌め込まれて固定される。一対の係合凹部732には、回転リング74が回転することで、切替ハンドル4が止水位置に位置する場合に、回転リング74の一対の係合凸部741(後述)が係合する。
回転リング74は、図8に示すように、回転軸J方向に厚みを有した略円環状に形成される。回転リング74は、内周縁に形成される係合凹部742において、弁軸部72の軸部721の第2係合突出部721bが係合することで、弁軸部72と一体的に回転する。回転リング74は、軸方向の後側に突出する一対の係合凸部741を有する。回転リング74が回転する際に、一対の係合凸部741が固定リング73の一対の係合凹部732に係合することで、切替ハンドル4が止水位置に移動する際に、クリック感を生じさせることができる。
弁軸部72は、図4、図5及び図8に示すように、軸部721と、軸部721の後側に配置されるディスク保持部722と、軸部721とディスク保持部材とを接続する4つの接続部材723と、を有する。
軸部721は、棒状に形成され、回転軸J方向に延びる。軸部721は、一次側円筒状部材71、固定リング73、回転リング74、弾性部材76及び固定クリップ77を。回転軸J方向に貫通する。
軸部721は、図8に示すように、径方向に突出する第1係合突出部721a及び第2係合突出部721bと、クリップ固定溝721cと、を有する。第1係合突出部721aは、軸部721の前側の端部に形成され、係合部材11(図2参照)に係合する。第2係合突出部721bは、軸部721における第1係合突出部721aよりも後側に形成され、回転リング74の係合凹部742に係合する。
ディスク保持部722は、軸部721の径よりも大きな径の円環状に形成される。ディスク保持部722は、後側の端部において、ディスク部材75を保持することで、ディスク部材75を支持する。
4つの接続部材723は、軸部721の後側の端部と、ディスク保持部722の内周縁と、を接続する。4つの接続部材723は、周方向に所定幅を有し、周方向に離間して配置される。4つの接続部材723は、それぞれ、軸方向に切断した断面が略L字状に屈曲した形状に形成される。隣接する接続部材723の間には、弁軸部側流入開口724が形成される。弁軸部側流入開口724は、周方向に離間して、4つ形成される。4つの弁軸部側流入開口724を形成することで、弁軸部72は、6つの湯水流入開口711を介して一次側弁体ユニット7に流入された水を、4つの弁軸部側流入開口724を介して、ディスク部材75と弁軸部72との間に流入可能に構成される。
固定クリップ77は、略C字状に形成され、弁軸部72の軸部721の先端側のクリップ固定溝721cに取り付けられる。固定クリップ77は、弁軸部72の軸部721に貫通して配置された固定リング73及び回転リング74を、弾性部材76側に押し付けた状態で、弁軸部72の軸部721に固定する。
ディスク部材75は、弁軸部72のディスク保持部722の回転軸J方向の後側の面に取り付けられる。ディスク部材75は、円盤状に形成される。ディスク部材75は、金属製である。本実施形態においては、ディスク部材75は、例えば、ステンレスで形成される。なお、ディスク部材75は、ステンレスに限定されない。例えば、ディスク部材75は、金属製である場合には、チタン、アルミなどで形成してもよい。また、ディスク部材75を、金属製ではなく、セラミック、樹脂材料などで形成してもよい。
ディスク部材75は、図7及び図8に示すように、円盤部751と、一対の取り付け片753と、を有する。一対の取り付け片753は、円盤部751の外周において軸方向の弁軸部72側に突出して形成される。一対の取り付け片753は、弁軸部72のディスク保持部722の回転軸J方向の後側の端部において、ディスク保持部722に取り付けられる。ディスク部材75は、ディスク保持部722に取り付けられた状態で、6つの湯水流入開口711を介して一次側弁体ユニット7にかかる水の水圧により、一次側円筒状部材71に対して、二次側弁体ユニット8側に移動可能である。
円盤部751における弁軸部72側の取付面751a及び弁軸部72とは反対側の摺動平面751b(平面部)は、図7及び図8に示すように、平面状に形成される。円盤部751における弁軸部72とは反対側の摺動平面751bは、一次側弁体ユニット7に二次側弁体ユニット8が連結された場合に、二次側弁体ユニット8のパッキン部材85が当接された状態で摺動される摺動面である。
円盤部751には、図9の(a)に示すように、円盤開口部752(一次側開口部)が形成される。円盤開口部752は、円盤部751の中心から径方向にずれた位置において、角部が丸みを帯びた略三角形状の三角形状開口752aが2つ連続した形状に形成される。2つの三角形状開口752aは、円盤部751の径方向に延びる仮想底辺752bを境界として、周方向における一方側及び他方側に対称に形成される。円盤開口部752は、仮想底辺752bに対して、周方向の一方側及び他方側に離間して配置される頂点752cを有する。2つの三角形状開口752aは、頂点752cから仮想底辺752bに向かうに従って開口面積が徐々に大きくなる略三角形状に形成される。
円盤開口部752の三角形状開口752aの外側の辺752d(外周縁)は、ディスク部材75の回転軸を中心とした円形形状に沿って形成されていない。本実施形態においては、円盤開口部752の三角形状開口752aの外側の辺752d(外周縁)は、円盤部751の円形状の外周縁751cに沿って形成されておらず、直線状に形成される。詳細には、円盤開口部752の三角形状開口752aの外側の辺752dは、円盤部751の径方向に対して鋭角で交差する直線状に形成され、円盤部751の外周縁751cは、円形状に形成される。
二次側弁体ユニット8は、図4及び図5に示すように、一次側弁体ユニット7のディスク部材75の摺動平面751b(平面部)に摺動可能に、一次側弁体ユニット7に連結される。二次側弁体ユニット8は、図4〜図6に示すように、二次側円筒状部材81(二次側弁体本体)と、パッキン部材85と、を有する。
二次側円筒状部材81は、図6に示すように、円筒状に形成され、一次側弁体ユニット7の回転軸J方向に延びる。二次側円筒状部材81は、樹脂製である。二次側円筒状部材81の外周面には、二次側外周第1Oリング86及び二次側外周第2Oリング87が取り付けられている。
二次側円筒状部材81は、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とが連結される場合に、図6及び図7に示すように、2組の係止構造61,62により、一次側弁体ユニット7の一次側円筒状部材71に係止される。2組の係止構造61,62は、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8の周面において軸方向に突出又は窪む係止部分により係止する構造である。本実施形態においては、2組の係止構造61,62は、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8の周方向に180°離間した位置に配置される。
一方の係止構造61は、図6に示すように、一次側弁体ユニット7における一次側円筒状部材71の係止凹部713(連結部、第2係止部)と、二次側弁体ユニット8における二次側円筒状部材81の係止凸部811(被連結部、第1係止部)と、により構成される。
他方の係止構造62は、図6及び図7に示すように、一次側弁体ユニット7における一次側円筒状部材71の係止凹部714(連結部、第2係止部)と、二次側弁体ユニット8における二次側円筒状部材81の係止凸部812(被連結部、第1係止部)と、により構成される。
2組の係止構造61,62において、係止凹部713,714は、一次側円筒状部材71の周縁において、周方向に180°離間した位置に配置される。係止凹部713,714は、それぞれ、一次側円筒状部材71の周面において、一次側円筒状部材71の回転軸J方向の後側の端部から前側に窪む。係止凹部713,714は、周方向の所定幅を有すると共に回転軸J方向の後側の端部から方形状に窪む方形状凹部713a,714aと、方形状凹部713a,714aから回転軸J方向の前側に窪む台形状凹部713b,714bと、が連続して形成される。台形状凹部713b,714bは、方形状凹部713a,714a側の底辺が長い台形状に形成され、台形状凹部713b,714bの方形状凹部713a,714a側には、方形状凹部713a,714aよりも周方向の両側に三角形状に窪む三角形状窪み713c,714cが形成される。
方形状凹部713a,714a及び台形状凹部713b,714bは、一次側円筒状部材71の周面において、回転軸J方向に延びて窪む。三角形状窪み713c,714cは、一次側円筒状部材71の周面において、方形状凹部713a,714a及び台形状凹部713b,714bから回転軸J方向に交差する方向に窪む。
2組の係止構造61,62において、係止凸部811,812は、図6に示すように、二次側円筒状部材81の周縁において、周方向に180°離間した位置に配置される。係止凸部811,812は、それぞれ、二次側円筒状部材81の周面において、一次側円筒状部材71の回転軸J方向の前側の端部から前側に延びる。係止凸部811,812は、周方向に所定幅を有すると共に回転軸J方向の前側の端部から前側に延出する方形状延出部811a,812aと、方形状延出部811a,812aから回転軸J方向の前側に延在する台形状延出部811b,812bと、が連続して形成される。台形状延出部811b,812bは、方形状延出部811a,812a側の底辺が長い台形状に形成され、台形状延出部811b,812bの方形状延出部811a,812a側には、方形状延出部811a,812aよりも周方向の両側に突出する三角形状突起811c,812cが形成される。
方形状延出部811a,812a及び台形状延出部811b,812bは、二次側円筒状部材81の周面において、回転軸J方向に延びる。三角形状突起811c,812cは、二次側円筒状部材81の周面において、方形状延出部811a,812a及び台形状延出部811b,812bから回転軸J方向に交差する方向に延びる。
以上のように構成される係止構造61,62においては、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とは、二次側円筒状部材81の係止凸部811,812が一次側円筒状部材71の係止凹部713,714に挿入されると共に、三角形状突起811c,812cが三角形状窪み713c,714cに引っ掛かった状態で、二次側円筒状部材81の係止凸部811,812が一次側円筒状部材71の係止凹部713,714に係止されることで、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とは係止される。
これにより、二次側円筒状部材81の係止凸部811,812は、一次側円筒状部材71の係止凹部713,714に連結可能である。また、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8は、一次側円筒状部材71の係止凹部713,714及び二次側円筒状部材81の係止凸部811,812により、着脱可能に構成される。
2組の係止構造61,62において、各係止構造61,62を構成する係止凹部713,714同士は、異なる形状であり、各係止構造61,62を構成する係止凸部811,812同士は、異なる形状である。
具体的は、2組の係止構造61,62において、図6に示すように、一次側弁体ユニット7における係止凹部713,714のうちの一方の係止凹部713には、組み込み防止凸部713d(凸部)が形成される。組み込み防止凸部713dは、台形状凹部713bの回転軸J方向の前側の端辺から後側に突出する。なお、他方の係止凹部714には、組み込み防止凸部は形成されていない。
また、2組の係止構造61,62において、二次側弁体ユニット8における係止凸部811,812のうちの一方の係止凸部811には、図6に示すように、誤組み込み防止凹部811dが形成される。誤組み込み防止凹部811dは、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とを組み付ける際に、一次側弁体ユニット7における係止凹部713の誤組み込み防止凸部713dに嵌め込まれる。誤組み込み防止凹部811dは、台形状延出部811bの回転軸J方向の前側の端辺から後側に窪む。なお、他方の係止凸部812には、誤組み込み防止凹部は形成されていない。
これにより、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とを組み付ける場合に、二次側弁体ユニット8における係止凸部811の誤組み込み防止凹部811dは、一次側弁体ユニット7における係止凹部713の誤組み込み防止凸部713dにしか組み付けることができないため、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8との誤組み付けを防止できる。
二次側円筒状部材81は、図4〜図6、図9の(a)に示すように、シャワー側開口部821(通水孔)と、シャワー側開口部821から延びるシャワー側通水流路F1(通水流路)と、カラン側開口部822(通水孔)と、カラン側開口部822から延びるカラン側通水流路F2(通水流路)と、を有する。また、二次側円筒状部材81は、図9の(b)に示すように、パッキン配置溝841と、グリス溜まり842と、グリス供給溝843と、を有する。
シャワー側開口部821及びカラン側開口部822は、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とを連結させた場合に、一次側弁体ユニット7からの水が通水可能である。シャワー側開口部821及びカラン側開口部822は、図6及び図9の(b)に示すように、二次側円筒状部材81におけるディスク部材75の摺動平面751bに対向する部分において、中心角を3分割した3つの円弧部分のうち、2つの円弧部分の内側に扇状に開口して形成される。シャワー側開口部821及びカラン側開口部822は、ディスク部材75を回転させて重ねた場合に、ディスク部材75の円盤開口部752と略同じ大きさ及び略同じ形状に形成される。ただし、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822の外周縁は、円形状に形成されており、ディスク部材75の円盤開口部752の外周縁が直線状に形成される点において異なる形状である。
シャワー側開口部821には、図6に示すように、シャワー側通水流路F1が接続されている。シャワー側通水流路F1は、図5及び図6に示すように、二次側円筒状部材81を軸方向に平行な方向に貫通して形成される。シャワー側通水流路F1は、カラン側吐水部331(図1参照)に向けて、湯水を通水させる流路である。
カラン側開口部822には、図6に示すように、カラン側通水流路F2が接続されている。カラン側通水流路F2は、図4及び図6に示すように、二次側円筒状部材81の軸方向の途中まで延び、二次側円筒状部材81の軸方向の途中から径方向に貫通して形成される。カラン側通水流路F2は、カラン側吐水部331(図1参照)に向けて、湯水を流通させる流路である。
パッキン配置溝841は、図6及び図9の(b)に示すように、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822の周囲に形成される。パッキン配置溝841は、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822の周囲の全部を囲むように、二次側円筒状部材81におけるディスク部材75に対向する部分に形成される。パッキン配置溝841は、図9の(b)に示すように、中心角を3分割して形成される3つの扇形の部分のうち、2つの扇形の部分において、外形が扇形の2つの扇形環状溝841aが周方向に並んで接続された状態で、1つに繋がって形成されている。パッキン配置溝841の2つの扇形環状溝841aは、接続部分において、二次側円筒状部材81の径方向に延びる溝を共通の溝として、周方向に隣接して接続される。パッキン配置溝841には、パッキン部材85が配置される。
パッキン部材85は、図6及び図9の(b)に示すように、パッキン配置溝841に沿って配置されることで、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822の周囲に配置される。パッキン部材85は、一次側弁体ユニット7のディスク部材75の摺動平面751b(平面部)に当接して配置される。パッキン部材85は、2つの扇形の扇形環状部分851が周方向に並んだ状態で、1つに繋がって形成される。パッキン部材85の2つの扇形環状部分851は、接続部分において、二次側円筒状部材81の径方向に延びる部分を共通部分として、周方向に隣接して接続される。
グリス溜まり842には、グリスが充填される。グリス溜まり842は、図6及び図9の(b)に示すように、一次側弁体ユニット7と二次側弁体ユニット8とを連結させた場合に、二次側円筒状部材81におけるディスク部材75に対向する部分において、窪んで形成される。グリス溜まり842は、二次側円筒状部材81における斜め上方側に形成される。グリス溜まり842は、二次側円筒状部材81におけるディスク部材75に対向する部分において、中心角を3分割した3つの円弧部分のうち、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822が設けられた部分以外の部分において、円弧状に窪んで形成される。グリス溜まり842には、粘性のグリスが充填される。グリス溜まり842は、ディスク式弁装置6を水栓装置1に設置した場合に、二次側円筒状部材81におけるディスク部材75に対向する部分において、グリス供給溝843よりも斜め上方側に配置される。
グリス供給溝843は、グリス溜まり842とパッキン配置溝841とを接続する。グリス供給溝843は、二次側円筒状部材81におけるディスク部材75に対向する部分の中央近傍において、グリス溜まり842から斜め下方側に延びる。グリス溜まり842に充填されたグリスは、グリス供給溝843を通って、パッキン配置溝841に供給される。
以上のように構成されるディスク式弁装置6は、切替ハンドル4を回転操作することで、一次側弁体ユニット7が回転され、一次側弁体ユニット7に取り付けられたディスク部材75が回転する。ディスク部材75は、一次側弁体ユニット7に固定されているため、可動弁である一次側弁体ユニット7が回転することで、固定弁である二次側弁体ユニット8に対して回転する。図10に示すように、ディスク部材75は、円盤開口部752がグリス溜まり842に重なった状態で止水する止水位置(図10の(a)参照)と、円盤開口部752が二次側弁体ユニット8のシャワー側開口部821に重なってシャワー側開口部821に連通するシャワー側位置(図10の(b)参照)と、円盤開口部752が二次側弁体ユニット8のカラン側開口部822に重なってカラン側開口部822に連通するカラン側位置(図10の(c)参照)と、に回転移動可能に構成される。
更に、シャワー側位置(図10の(b)参照)において、ディスク部材75の回転角度を調整することで、円盤開口部752とシャワー側開口部821との重なりの程度を調整して、カラン側吐水部331から吐水される吐水流量を調整できる。また、カラン側位置(図10の(c)参照)において、ディスク部材75の回転角度を調整することで、円盤開口部752とカラン側開口部822との重なりの程度を調整して、カラン側吐水部331から吐水される吐水流量を調整できる。
このように、一次側弁体ユニット7が回転することで、ディスク式弁装置6が止水位置(図10の(a)参照)に位置する場合には、ディスク部材75の摺動平面751bと、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822の周囲に配置されるパッキン部材85とにより、止水される。この状態においては、ディスク部材75は、ディスク保持部722に取り付けられた状態で、6つの湯水流入開口711を介して一次側弁体ユニット7にかかる水の水圧により、一次側円筒状部材71に対して、二次側弁体ユニット8側に移動する。これにより、一次側弁体ユニット7のディスク部材75の摺動平面751bにパッキン部材85に当接させて止水でき、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8を軸方向に長く形成しなくてよく、ディスク式弁装置6の長さ方向の長さをコンパクトに形成できる。
また、本実施形態においては、一次側弁体ユニット7は、摺動平面751bを有する円盤状のディスク部材75を有し、ディスク部材75は、金属製である。そのため、ディスク部材75を樹脂材料で形成するよりも、例えば、ゴミの侵入があった場合であっても、ゴミなどによってディスク部材75に傷が形成されることを低減できる。
また、グリス溜まり842に溜まったグリスは、ディスク部材75が回転する際に、ディスク部材75により、グリス供給溝843を通って、パッキン配置溝841に押し出される。これにより、パッキン配置溝841のグリスの量が減っても、グリス供給溝843を介して、パッキン配置溝841にグリスが持続的に供給される。これにより、パッキン配置溝841に配置されたパッキン部材85と一次側弁体ユニット7のディスク部材75の摺動平面751bとの摺動抵抗を、持続的に低減させることができる。
なお、ディスク式弁装置6が止水状態である場合に、図10の(a)に示すように、グリス溜まり842がディスク部材75の円盤開口部752に対向した状態で、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822の周囲に配置されるパッキン部材85は、ディスク部材75に当接することで、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822を閉鎖して止水する。これにより、ディスク式弁装置6が止水状態である場合において、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822が閉鎖されているため、グリス溜まり842に充填されたグリスは、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822を介して流出することが防止される。
また、ディスク部材75の円盤部751の円盤開口部752は、頂点752cから仮想底辺752bに向かうに従って開口面積が徐々に大きくなる略三角形状に形成される。そのため、ディスク部材75を回転して円盤開口部752を湯水が通過する面積が徐々に開放される。これにより、シャワー側開口部821及びカラン側開口部822には急激に湯水が通水されないため、ウォーターハンマー現象を低減できる。
また、円盤状のディスク部材75の円盤開口部752の外側の辺752dは、ディスク部材75の外周縁751cに沿って形成されていない。そのため、ディスク部材75が円盤部751が回転した場合に、円盤開口部752の外側の辺752dは、パッキン部材85の同じ部分に当たり続けずに、径方向の異なる部分に当接しながら移動する。これより、円盤開口部752の外側の辺752dは、パッキン部材85の同じ部分に当たり続けずに径方向の位置が移動される。よって、パッキン部材85の損傷を低減できる。
また、以上のように構成されるディスク式弁装置6においては、一次側弁体ユニット7に、二次側弁体ユニット8を連結できる。図11は、ディスク式弁装置6の二次側弁体ユニット8の構成を変更した場合の構成例を示す図である。ここで、二次側弁体ユニット8A,8B,8C,8Dを、通水流路を少なくとも1つ以上備えることで、図11の(a)〜(d)に示すように、複数の異なる流路構成とすることが可能である。そして、一次側弁体ユニット7に二次側弁体ユニット8を連結する場合に、二次側弁体ユニット8は、複数の異なる流路構成を備える複数の二次側弁体ユニット8A,8B,8C,8Dから選択されることが可能である。具体的には、二次側弁体ユニットを以下のように構成して、これらの二次側弁体ユニットを適宜選択して、一次側弁体ユニット7に連結することが可能である。
詳細には、二次側円筒状部材81の係止凸部811,812は、一次側円筒状部材71の係止凹部713,714に連結可能に構成され、一次側弁体ユニット及び二次側弁体ユニットは、一次側円筒状部材71の係止凹部713,714及び二次側円筒状部材81の係止凸部811,812により、着脱可能に構成される。また、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8の非連結状態において、ディスク部材75は、一次側弁体ユニット7に回転可能に取り付けられる。これにより、二次側弁体ユニット8がディスク部材75を回転させるための構成を備える必要がなく、二次側弁体ユニット8は流路構成を備えればよいため、二次側弁体ユニット8を簡易な構造にできる。
例えば、図11の(a)に示す二次側弁体ユニット8Aは、水の流入方向に沿う方向(第1排出方向)に延びる通水流路F10が1つ形成された流路ON/OFF用の弁体である。二次側弁体ユニット8Aを流路ON/OFF用の弁体で構成することで、回転軸J方向の長さを小さくできる。また、二次側弁体ユニット8Aを流路ON/OFF用の弁体で構成した場合に、ON/OFFのみに切り替えるため、二次側弁体ユニット8A側には、複数の流路を止水するパッキン部材を設けなくてもよい。そのため、二次側弁体ユニット8A側にパッキン部材85を設けずに、ディスク式弁装置6を収容する水栓本体2側にパッキン部材を設けてもよい。
また、図11の(b)に示す二次側弁体ユニット8Bは、前述の実施形態で説明した弁体と同様の流路構成であり、水の流入方向に沿う方向に延びる第1通水流路F11と、出口側が水の流入方向に交差する方向に延びる第2通水流路F12とが形成された、流路切替用の弁体である。
また、図11の(c)に示す二次側弁体ユニット8Cは、出口側が水の流入方向に交差する方向に延びる第2通水流路F12が2つ形成された、流路切替用の弁体である。
また、図11の(d)に示す二次側弁体ユニット8Dは、水の流入方向に沿う方向に延びる第1通水流路F11が2つ形成された、流路切替用の弁体である。
このように構成される二次側弁体ユニット8A,8B,8C,8Dは、いずれも、係止凸部811,812を、一次側弁体ユニット7の係止凹部713,714に係止させることで、一次側弁体ユニット7に取り付けることができる。これにより、一次側弁体ユニット7を変更することなく、二次側弁体ユニット8A,8B,8C,8Dを用途に応じて適宜選択して一次側弁体ユニット7に連結することで、異なる通水流路F10,F11,F12を備えたディスク式弁装置6を構成することができる。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態のディスク式弁装置6は、摺動平面751bを有する一次側弁体ユニット7と、一次側弁体ユニット7の摺動平面751bに摺動可能に一次側弁体ユニット7に連結可能な二次側弁体ユニット8と、を備え、一次側弁体ユニット7の摺動により、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8が連結された状態で吐水状態を切り替え可能なディスク式弁装置6であって、二次側弁体ユニット8は、摺動平面751bに対向する部分に形成され一次側弁体ユニット7からの水が通水可能なシャワー側開口部821,カラン側開口部822と、シャワー側開口部821,カラン側開口部822から延びるシャワー側通水流路F1,カラン側通水流路F2と、を有する。
そのため、異なる仕様の製品に対して、一次側弁体ユニット7を共通化して、二次側弁体ユニット8の通水流路を適宜変更することで、異なる仕様の製品に対応できる。これにより、異なる流路構成に対応できると共に、一次側弁体ユニット7を共通化できるため、製造コストを低減できる。また、一次側弁体ユニット7の摺動平面751bで止水できるため、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8を軸方向に長く形成しなくてよく、ディスク式弁装置6をコンパクトに形成できる。
また、本実施形態では、一次側弁体ユニット7は、係止凹部713,714を備え、二次側弁体ユニット8は、一次側弁体ユニット7の係止凹部713,714に連結可能な係止凸部811,812を備える。そのため、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8を連結させて、製品の仕様などに応じて流路構成を簡単に構成できる。
また、本実施形態では、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8は、係止凹部713,714及び係止凸部811,812により着脱可能である。そのため、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8を、係止凹部713,714及び係止凸部811,812により着脱することで、流路構成を簡単に変更できる。
また、本実施形態では、二次側弁体ユニット8は、シャワー側開口部821,カラン側開口部822の周囲に配置されると共に一次側弁体ユニット7の摺動平面751bに当接するパッキン部材85と、パッキン部材85が配置される樹脂製の二次側円筒状部材81と、を有する。そのため、二次側弁体ユニット8を、樹脂製の二次側円筒状部材81で形成することで、様々なバリエーションの通水流路を有する流路構成に簡単に形成できる。よって、製品の仕様などに応じて流路構成を簡単に変更したディスク式弁装置6を構成できる。
また、本実施形態では、二次側弁体ユニット8は、通水流路を少なくとも1つ以上備えることで、複数の異なる流路構成とすることが可能であり、一次側弁体ユニット7に二次側弁体ユニット8を連結する場合に、二次側弁体ユニット8は、複数の異なる流路構成を備える複数の二次側弁体ユニット8から選択されることが可能である。これにより、複数の二次側弁体ユニット8の異なる流路構成から、簡単に、流路構成を選択して、様々な流路構成に対向できる。
また、本実施形態では、ディスク部材75は、一次側弁体ユニット7及び二次側弁体ユニット8の非連結状態において、一次側弁体ユニット7に回転可能に取り付けられる。これにより、二次側弁体ユニット8がディスク部材75を回転させるための構成を備える必要がなく、二次側弁体ユニット8は流路構成を備えればよいため、二次側弁体ユニット8を簡易な構造にできる。
以上、本発明のディスク式弁装置6の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、ディスク式弁装置6は、一次側弁体ユニット7を可動弁として構成して、一次側弁体ユニット7の回転により通水状態と止水状態とを切り替え可能としたが、これに限定されず、二次側弁体ユニット8を可動弁として構成して、二次側弁体ユニット8の回転により通水状態と止水状態とを切り替え可能としてもよい。