JP2019044175A - 印刷用インク組成物およびそれを用いたタイムインジケーター、ならびにタイムインジケーター付外用貼付剤 - Google Patents

印刷用インク組成物およびそれを用いたタイムインジケーター、ならびにタイムインジケーター付外用貼付剤 Download PDF

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Abstract

【課題】基材や対象物との密着性が良好であり、所定の時間で色調が顕著に変化するインジケーター層を、均一な厚みで形成することが可能な印刷用インク組成物、およびそれを用いたタイムインジケーターの提供。【解決手段】水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂を含む、印刷用インク組成物であって、上記指示染料は、アルカリ性領域から中性領域へpHが変化したときに色調が変化する化合物であり、上記印刷用インク組成物中の上記水酸化カルシウムの含有量が50質量%以上94質量%以下であり、上記指示染料の含有量が0.1質量%以上5.0質量%以下であり、上記バインダー樹脂の含有量が0.9質量%以上49.9質量%以下である、印刷用インク組成物。基材1と、前記印刷用インク組成物を含むインジケーター層2、とを有するタイムインジケーター10。【選択図】図1

Description

本発明は、タイムインジケーターを形成するための印刷用インク組成物、およびそれを用いたタイムインジケーター、ならびにタイムインジケーター付外用貼付剤に関する。
色調変化を利用して時間の経過を示すタイムインジケーターが実用化されている。タイムインジケーターとしては、例えば、温度履歴に伴い色調が変化する温度履歴インジケーター(特許文献1、2)、酸化還元色素が酸素を吸収して酸化することにより色調が変化する酸素インジケーター(特許文献3)等がある。
特表2008−516190号公報 特許第4397441号公報 特開2001−192592号公報 特許第2959801号公報
ところで、タイムインジケーターは、時間の経過に従って徐々に色調が変化すると、その変化が視覚的に検知されにくく、色調から経過時間を判断することが難しい。また、外気環境により外気中の温度や酸素量は変動しやすいため、温度履歴インジケーターや酸素インジケーターは、外気環境の変動による影響を受けて、所定の色調に変化するまでにかかる時間(変色時間)が変動しやすい。このようなタイムインジケーターにおいては、上記変色時間を、例えば6時間や24時間といった特定の時間に設定することが困難である。さらに、タイムインジケーターは、通常、色調変化が生じるインジケーター層が基材上に設けられた部材として対象物に貼付する、または対象物に直接上記インジケーター層を形成する、等により対象物に設けられる。このとき、微粉末状や揮発性液体と混合したスプレー状の材料を用いてインジケーター層を形成すると、インジケーター層の厚みが不均一となり、同じ経過時間であっても色調が相違する箇所が生じて視認による色調変化の判断を阻害してしまう場合や、インジケーター層と基材や対象物との密着性に劣り、剥離が生じて対象物の時間管理を正確に行えない場合がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、基材や対象物との密着性が良好であり、所定の時間で色調が顕著に変化するインジケーター層を、均一な厚みで形成することが可能な印刷用インク組成物、およびそれを用いたタイムインジケーター、ならびにタイムインジケーター付外用貼付剤を提供することを主目的とする。
本発明は、水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂を含む、印刷用インク組成物であって、上記指示染料は、アルカリ性領域から中性領域へpHが変化したときに色調が変化する化合物であり、上記印刷用インク組成物の全固形分中の上記水酸化カルシウムの含有量が50質量%以上94質量%以下であり、上記指示染料の含有量が0.1質量%以上5.0質量%以下であり、上記バインダー樹脂の含有量が0.9質量%以上49.9質量%以下である、印刷用インク組成物を提供する。
本発明の印刷用インク組成物によれば、外気中の二酸化炭素量は変動しにくく、水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収する速度の変動が小さいため、所定量の水酸化カルシウムおよび指示染料を含むことで、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により所定の色調に変化するまでの変色時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に設定することができる。これにより、上記所定の時間で色調が顕著に変化するインジケーター層を形成することができる。また、所定量のバインダー樹脂を含み、水酸化カルシウムおよび指示染料がバインダー樹脂に分散されるため、基材や対象物との密着性が良好なインジケーター層を印刷形成することができ、得られるインジケーター層は、均一な厚みを有し、かつ層全体で均一な色調に変化することが可能となる。
本発明の印刷用インク組成物においては、アルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種以上の化合物をさらに含むことが好ましい。二酸化炭素の吸収感度を高め、吸収反応速度を速めることができ、変色時間の調整が可能となるからである。
また、本発明は、基材と、上記基材の一方の面に配置されたインジケーター層と、を有し、上記インジケーター層が、上述した印刷用インク組成物を含む、タイムインジケーターを提供する。
本発明のタイムインジケーターによれば、インジケーター層が上述した印刷用インク組成物を含むことから、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により所定の色調に変化するまでの変色時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に設定することができる。これにより、インジケーター層は、上記所定の時間で色調を顕著に変化することができる。また、インジケーター層は、均一な厚みを有することができ、かつ層全体で均一な色調に変化することができる。これにより、インジケーター層の色調の変化から、インジケーター層が外気と接触してから所定の時間が経過したことを、視覚的に容易に検知することができ、二酸化炭素の吸収による色調の変化を利用して、経過時間を精度よく管理することができる。さらに、インジケーター層と基材との密着性が良好なタイムインジケーターとすることができる。
本発明のタイムインジケーターにおいては、上記基材の上記インジケーター層を有する面に、上記インジケーター層の色から経過時間を判別するための色見本層をさらに有することが好ましい。経過時間とインジケーター層の色調との相関を示す色見本層を、基材のインジケーター層が配置された面に配置することで、インジケーター層の色調と色見本層の色との比較から経過時間を容易に特定することが可能となるからである。
本発明のインジケーターにおいては、上記インジケーター層の上記基材とは反対側の表面に、初期着色防止層を配置したものであることが好ましい。上記インジケーター層の変色の変化を急激なものとすることができるからである。
また、本発明は、インジケーター層と、支持層と、薬剤および粘着基剤を含む粘着剤層と、離型層と、をこの順に有し、上記インジケーター層が、上述した印刷用インク組成物を含む、タイムインジケーター付外用貼付剤を提供する。
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤によれば、上述した印刷用インク組成物を含むインジケーター層が、外用貼付剤と共に使用者の皮膚上に配置されて外気と接触するため、外用貼付剤を皮膚に貼付した使用者は、二酸化炭素の吸収によるインジケーター層の色調の変化を、視覚的に容易に検知することが可能となる。そして、使用者は、上記インジケーター層の色調の変化から、外用貼付剤を皮膚に貼付してからの経過時間を確認することができる。また、インジケーター層の変色時間を外用貼付剤において決められた貼付時間とすることで、インジケーター層の色調から、貼付時間を超えて皮膚に外用貼付剤が貼付されていることを認識することができる。これにより、外用貼付剤の剥がし忘れや貼り替え忘れを防止することができ、外用貼付剤の貼付時間を精度よく管理することができる。
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤においては、上記支持層の上記インジケーター層を有する面に、上記インジケーター層の色から経過時間を判別するための色見本層をさらに有することが好ましい。経過時間とインジケーター層の色調との相関を示す色見本層を、支持層のインジケーター層が配置された面に配置することで、インジケーター層の色調と色見本層の色との比較から、外用貼付剤の貼付時間を容易に特定することが可能となるからである。
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤においては、上記インジケーター層の上記支持層とは反対側の表面に、初期着色防止層を配置したものであることが好ましい。上記インジケーター層の変色の変化を急激なものとすることができるからである。
本発明は、基材や対象物との密着性が良好であり、二酸化炭素の吸収により所定の時間で色調が顕著に変化するインジケーター層を均一な厚みで形成することが可能な印刷用インク組成物、およびそれを用いたタイムインジケーター、ならびにタイムインジケーター付外用貼付剤を提供することができるという効果を奏する。
本発明のタイムインジケーターの一例を示す概略断面図である。 本発明のタイムインジケーターの他の例を示す概略平面図である。 本発明のタイムインジケーターの他の例を示す概略断面図である。 本発明のタイムインジケーターの他の例を示す概略断面図である。 本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の一例を示す概略断面図である。 本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の他の例を示す概略断面図である。 実施例で得たタイムインジケーターの、経時での色差変化を示すグラフである。
以下、本発明の印刷用インク組成物およびそれを用いたタイムインジケーター、ならびにタイムインジケーター付外用貼付剤について、それぞれ詳細に説明する。
A.印刷用インク組成物
本発明の印刷用インク組成物(以下、単にインク組成物とする場合がある。)は、水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂を含む、印刷用インク組成物であって、上記指示染料は、アルカリ性領域から中性領域へpHが変化したときに色調が変化する化合物であり、上記印刷用インク組成物の全固形分中の上記水酸化カルシウムの含有量が50質量%以上94質量%以下であり、上記指示染料の含有量が0.1質量%以上5.0質量%以下であり、上記バインダー樹脂の含有量が0.9質量%以上49.9質量%以下である。
本発明の印刷用インク組成物によれば、所定量の水酸化カルシウムおよび指示染料を含むことで、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により所定の色調に変化するまでの変色時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に設定することができる。これにより、上記所定の時間で色調が顕著に変化するインジケーター層を形成することができる。また、所定量のバインダー樹脂を含み、水酸化カルシウムおよび指示染料がバインダー樹脂に分散されるため、基材や対象物との密着性が良好なインジケーター層を印刷形成することができ、得られるインジケーター層は、均一な厚みを有し、かつ層全体で均一な色調に変化することが可能となる。
本発明のインク組成物は、以下の3点に着目して得られたものである。1つ目は、外気中の二酸化炭素量は変動しにくく、水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収する速度は、外気環境の変化の影響を受けにくい点である。2つ目は、水酸化カルシウムが、約5グラムで約1.5L以上の二酸化炭素を吸収する点である。そして3つ目は、水酸化カルシウムと、水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収してなる炭酸カルシウムとが共存する場合、炭酸カルシウムからの二酸化炭素の放出反応が遅いため、水酸化カルシウムの残存量が少なくなるまで、水酸化カルシウムによる二酸化炭素の吸収反応が優先的に進む点である。
本発明者等は、上述した3点に着目し、かつ、基材や対象物との密着性が良好となるインク組成物を検討した。そして、本発明者等は、インク組成物を上述した特定の組成とすることで、初期の着色が少なく、二酸化炭素の吸収による見かけ上の不可逆反応が進み、水酸化カルシウムの残量が少なくなったところで、指示染料により所定の色調に着色が顕著に生じること、その結果、色調変化が視覚的に容易に検知可能となることを見出したのである。また、本発明者等は、水酸化カルシウムが一定の吸収速度で二酸化炭素を吸収することができることから、インク組成物を上述した特定の組成とすることで、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により所定の色調に顕著に変化するまでの時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に設定することができ、色調の顕著な変化の有無により時間経過を精度よく示すことができることを見出したのである。
なお、特許文献4には、水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収することでpHの変化により色調が変化する酸性ガス吸収剤が開示されている。しかし、特許文献4に開示される酸性ガス吸収剤は、空気や麻酔ガスの清浄化に用いられるものであり、タイムインジケーター、およびタイムインジケーターを形成するための印刷用インク組成物に用いることは想定していない。
本発明のインク組成物の色調が変化する過程について説明する。本発明のインク組成物が外気と接すると、水酸化カルシウムが、外気中等に含まれる二酸化炭素を吸収する。上記インク組成物に二酸化炭素が吸収されると、上記インク組成物に含まれる水分と反応し炭酸が発生するため、上記インク組成物内の水酸化カルシウムと中和反応が起きて水酸化物イオンの濃度が低下し、上記インク組成物のpHの値が下がる。そして、上記インク組成物のpHの値が下がることで、指示染料の色調が変化する。中和反応において、その当量点から遠いときは二酸化炭素の吸収量に対するpHの値の変化は小さいものの、その当量点の付近では二酸化炭素の吸収量に対するpHの値の変化は大きい。そのため、本発明のインク組成物は、外気と接してから暫くは、色調の変化がほとんど見られないが、外気と接触してから経時で二酸化炭素を吸収してpHが当量点の付近になると、色調が顕著に変化して所定の色調となり、視覚による変色の判断が容易となる。すなわち、本発明のインク組成物における所定の色調とは、本発明のインク組成物のpHが当量点付近であるときの色調をいう。
本発明のインク組成物の色調が顕著に変化するとは、具体的には、外気に接触した後の所定の色調と、外気に接触する前の色調との色差が30以上であることをいう。色差は、L表色系で表される色度a及びbの距離により表される差(ΔEab)である。具体的には、色差(ΔEab)は、国際証明委員会(CIE)により勧告され、JIS Z8729に規定されたL表色系において、ΔEab=((ΔL+(Δa+(Δb1/2で表される値である。L、a、bの値は、例えば、分光測定器(グレタグマクベス社製、商品名:spectrolino)を使用することにより測定することができ、ΔL、Δa、Δbは、それぞれ、外気に接触前のインク組成物のL、a、bの各値と外気に接触後のインク組成物のL、a、bの各値との差である。
また、本発明のインク組成物は、上述したように色調変化が見かけ上不可逆であり、当量点付近で所定の色調に変化した後は、色調が顕著に変化した状態を維持することができる。
本発明のインク組成物は、所定量の水酸化カルシウムおよび指示染料を含むことで、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により所定の色調に変化するまでの時間、すなわち変色時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に設定することができる。上記変色時間は、水酸化カルシウムおよび指示染料の含有量に加えて、バインダー樹脂の含有量や、後述する触媒の添加量等によってさらに調整が可能となる。ここで、上記所定の色調に達したしたことを視認により判断しやすい所定の時間(単に、所定の時間とする場合がある。)とは、例えば4時間以上60時間以下とすることができ、中でも20時間以上40時間以下とすることができる。
以下、本発明のインク組成物の組成について説明する。
1.水酸化カルシウム
本発明のインク組成物における水酸化カルシウム(消石灰)は、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収剤として機能する。
水酸化カルシウムは、市販の化学薬品,工業薬品,工業製品などを利用できるほか、生石灰を水や温水で消和して得られる石灰乳(水酸化カルシウムの懸濁液)や、その石灰乳をホモミキサー等で処理して微細化したものなどを利用できる。中でも、上記水酸化カルシウムは、純度が95%以上であることが好ましい。
本発明のインク組成物においては、上記インク組成物の全固形分(100質量%)中の上記水酸化カルシウムの含有量が50質量%以上94質量%以下である。上記水酸化カルシウムの含有量を上記の範囲内とすることで、当量点付近で所定の色調に顕著に変化することができるため、色調変化の視覚的検知を容易化することができる。また、変色時間のバラツキを小さくすることができる。上記水酸化カルシウムの含有量は、本発明のインク組成物の全固形分(100質量%)中50質量%以上であればよく、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上とすることができる。また、上記水酸化カルシウムの含有量は、本発明のインク組成物の全固形分(100質量%)中94質量%以下であればよく、好ましくは90質量%以下、より好ましくは87質量%以下とすることができる。上記水酸化カルシウムの含有量は、上記範囲において、インク組成物が外気と接してから当量点付近で色調が顕著に変化するまでの変色時間に応じて適宜設定することができる。
2.指示染料
本発明のインク組成物における指示染料は、アルカリ性領域から中性領域へpHが変化したときに色調が変化する化合物である。
ここで、アルカリ性領域とは、pHが9.5以上14.0以下の範囲をいう。また、中性領域とは、指示染料の当量点を含むpHの範囲をいい、具体的にはpHが6.0以上9.5未満の範囲をいう。
このような指示染料としては、当量点付近において色調の変化が特に顕著となる化合物が好ましく、例えば、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ジエチルバイオレット、Kenazolイエロー、Claytonイエロー、directイエロー9、チタンイエロー、コンゴーレッドおよびチアゾールイエローからなる群から選択される1種または2種以上の染料とすることができる。
本発明のインク組成物においては、上記インク組成物の全固形分中の上記指示染料の含有量が0.1質量%以上5.0質量%以下である。上記指示染料を上記の範囲内とすることで、当量点付近で色調が変化したときの変色後の色濃度を濃くすることができ、色調変化の視覚的検知が容易になるからである。また、過剰量の指示染料を含有することによるコスト増加を抑えることができるからである。上記指示染料の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分中0.1質量%以上であればよく、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上とすることができ、また、上記指示染料の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分中5.0質量%以下であればよく、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下とすることができる。上記指示染料の含有量は、上記範囲において、所定の時間でインク組成物の顕著な色調変化を視覚的に検知可能な濃度となるように設定することができる。
3.バインダー樹脂
本発明のインク組成物におけるバインダー樹脂は、水酸化カルシウムおよび指示染料を分散する機能を有する。
本発明のインク組成物はバインダー樹脂を含むことから、本発明のインク組成物を用いて基材や対象物上にインジケーター層を形成する際に、基材や対象物への密着性が高いインジケーター層を形成することができる。特に、基材や対象物が可撓性を有する場合、本発明のインク組成物を用いてインジケーター層を形成することで、基材や対象物を屈曲させる等の取り扱いをしても、インジケーター層を剥がれにくくすることができる。また、本発明のインク組成物は、インジケーター層を所望のパターン形状に印刷形成することができる。
また、本発明のインク組成物は、バインダー樹脂の存在により、二酸化炭素の吸収反応速度を遅くすることができるため、バインダー樹脂の含有量を調整することで、変色時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に適宜設定することができる。
上記バインダー樹脂は、pHの変化に影響を及ぼさず、指示染料による色調の変化を妨げないことが要求される。このようなバインダー樹脂としては、例えば酸およびアルカリに強く、溶媒に溶解または分散する性質を有する樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリビニルピロリドン(PVP)樹脂、無水マレイン酸系等の共重合体樹脂;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂;でんぷん、カゼイン等の天然高分子等が挙げられる。本発明のインク組成物は、1種または2種以上のバインダー樹脂を含むことができる。
本発明のインク組成物においては、上記インク組成物の全固形分中のバインダー樹脂の含有量は0.9質量%以上49.9質量%以下である。バインダー樹脂の含有量を上記範囲内とすることで、基材等への接着性、色調の顕色性、印刷の均一性、印刷適正、印刷物の曲げ性および伸び追随性等の各特性を高めることができる。上記バインダー樹脂の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分中0.9質量%以上であればよく、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上とすることができ、また、上記バインダー樹脂の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分中49.9質量%以下とすることができ、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下とすることができる。
4.任意の材料
本発明のインク組成物は、上述した材料の他に、任意の材料を含むことができる。以下、任意の材料について説明する。
(1)触媒
本発明のインク組成物は、触媒として、アルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種以上の化合物をさらに含むことができる。本発明のインク組成物は、触媒をさらに含むことで、二酸化炭素の吸収感度を高め、吸収反応速度を速めることができ、当量点付近の所定の色調に変化するまでの変色時間の調整が可能となる。
アルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種以上の化合物とは、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ラジウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の化合物を挙げることができる。なお、アルカリ土類金属の水酸化物に水酸化カルシウムは含まないものとする。これらは含水物であってもよく、無水物であってもよい。また、これらは純度95%以上であることが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。中でも、上記触媒は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のインク組成物における上記触媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、本発明のインク組成物の全固形分中0.01質量%以上とすることができ、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上とすることができる。また、上記触媒の含有量は、例えば、本発明のインク組成物の全固形分中7.0質量%以下とすることができ、好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下とすることができる。上記触媒の含有量が上記範囲より多すぎると、所定の変色時間前に段階的に色調が変化しやすくなり、顕著な色調変化を視覚的に検知しにくくなる場合がある。一方、上記触媒の含有量が上記範囲より少なすぎると、所定の色調に変化するまでに過剰の時間を要する場合や、変色時間が一定とならない場合がある。
(2)賦形剤
本発明のインク組成物は、賦形剤を含むことができる。上記賦形剤としては、インク組成物の取り得る形態に調製可能な公知の各種のものをいずれも用いることができ、例えば、シリカ、ゼオライト、活性白土、珪酸カルシウム、結晶セルロース、モレキュラシーブ、酸化チタン等が挙げられる。
上記賦形剤の形状は、特に限定されないが、例えば、粒子状とすることができる。また、上記賦形剤は、インク組成物の色調変化の視覚的検知を阻害しない色調であることが好ましく、例えば、無色ないし淡色であることが好ましい。本発明のインク組成物中の賦形剤の含有量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
(3)その他
本発明のインク組成物は、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、表面調整剤等の公知のインクに含まれる成分を適宜含むことができる。
5.その他
本発明のインク組成物の変色態様、すなわち、当量点付近で所定の色調に顕著に変化する態様は、指示染料の種類や数に応じて適宜設定することができる。例えば、外気と接触する前は無色であり外気との接触により当量点付近で有色に変化する、無色から有色への変色態様、外気と接触する前は第1の有色であり、外気との接触により当量点付近で第2の有色に変化する、第1の有色から第2の有色への変色態様等が挙げられる。第1の有色から第2の有色への変色態様としては、例えば白色から濃青色(バイオレット)色への変色態様、白色から黄色への変色態様、黄色から緑色への変色態様等が挙げられる。具体的には、指示染料がエチルバイオレットである場合、水酸化カルシウムが所望の量の二酸化炭素を吸収してpHが中性領域になると、当量点付近において白色または薄水色から濃青色に変色することができる。
本発明のインク組成物は、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により当量点付近で色調が顕著に変化するまでの時間を視覚的に検知することができ、経過時間を管理することができる。このため、二酸化炭素を吸収した時間履歴に応じて変色するインジケーター層を有するタイムインジケーター(二酸化炭素インジケーター)の形成に用いることができる。本発明のインク組成物を用いたタイムインジケーター(二酸化炭素インジケーター)については、「B.タイムインジケーター」の項で詳細に説明する。
本発明のインク組成物は、溶剤に分散または溶解して印刷用インクとして用いられる。本発明のインク組成物を含む印刷用インクの調製方法としては、特に限定されないが、例えば、上述した各成分を溶剤に分散または溶解し、ホモジナイザー、ディゾルバー等の公知の攪拌機を用いて均一に混合して、調製することができる。溶剤は上述した各成分を分散または溶解できるものであれば特に限定されない。
B.タイムインジケーター
本発明のタイムインジケーターは、基材と、上記基材の一方の面に配置されたインジケーター層と、を有し、上記インジケーター層が、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含む。
図1は、本発明のタイムインジケーターの一例を示す概略断面図である。本発明のタイムインジケーター10は、基材1と、基材1の一方の面に配置されたインジケーター層2と、を有する。インジケーター層2は、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含む。
本発明のタイムインジケーターは、タイムインジケーターの中でも、二酸化炭素を吸収した時間履歴に応じて変色するタイムインジケーター(二酸化炭素インジケーター)である。
本発明のタイムインジケーターによれば、インジケーター層が上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含むことから、外気と接触してから二酸化炭素の吸収により所定の色調に変化するまでの変色時間を、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間に設定することができる。これにより、インジケーター層は、上記所定の時間で色調を顕著に変化することができる。また、インジケーター層は、均一な厚みを有することができ、かつ層全体で均一な色調に変化することができる。これにより、インジケーター層の顕著な色調の変化から、インジケーター層が外気と接触してから所定の時間が経過したことを、視覚的に容易に検知することができ、二酸化炭素の吸収による顕著な色調の変化を利用して、経過時間を精度よく管理することができる。さらに、インジケーター層と基材との密着性が良好なタイムインジケーターとすることができる。
以下、本発明のタイムインジケーターについて、構成ごとに説明する。
1.インジケーター層
本発明のタイムインジケーターにおけるインジケーター層は、上記基材の一方の面に配置され、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含む。
上記インジケーター層は、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物により形成される層である。したがって、上記「A.印刷用インク組成物」の項における「印刷用インク組成物の全固形分中の水酸化カルシウム含有量」とは、「インジケーター層の全固形分中の水酸化カルシウムの含有量」とすることができる。指示染料およびバインダー樹脂についても同様とすることができる。
上記インジケーター層に含まれる印刷用インク組成物については、上記「A.印刷用インク組成物」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
上記インジケーター層は、外気に接して二酸化炭素を吸収することで、当量点付近で色調が顕著に変化し、所定の色調になる。色調が顕著に変化するとは、具体的には、外気に接触した後の所定の色調と、外気に接触する前の色調との色差が30以上であることをいう。色差については、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
上記インジケーター層が外気と接してから当量点付近で色調が顕著に変化するまでの変色時間は、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間とすることができる。上記変色時間としては、具体的には、4時間以上60時間以下の範囲内で設定することができ、中でも20時間以上40時間以下の範囲内で設定することができる。なお、上記インジケーター層における所定の色調とは、インジケーター層のpHが当量点付近での色調をいう。後述するタイムインジケーター付外用貼付剤における所定の色調についても同様とすることができる。
上記インジケーター層の厚みは、特に限定されず、適宜設定することができる。中でも当量点付近で生じる色調の変化を視覚的に十分に検知可能な厚みであることが好ましく、例えば0.3μm以上15.0μm以下とすることができる。
上記インジケーター層は、上記基材の一方の面の全面に形成されていてもよく、一部に形成されていてもよい。また、上記インジケーター層は、平面視において文字や絵柄等を示すパターン形状を有していてもよい。
上記インジケーター層の変色態様、すなわち、当量点付近で所定の色調に顕著に変化する態様は、上記インジケーター層に含まれる指示染料の種類や数に応じて適宜設定することができる。例えば、無色から有色への変色態様、第1の有色から第2の有色への変色態様等が挙げられる。
上記インジケーター層は、インク組成物の成分の種類や含有量等を調整し、これらのパラメータと、インジケーター層が外気と接触してから二酸化炭素の吸収により当量点付近で色調が顕著に変化するまでの変色時間との相関を取ることで、色調や色差等のインジケーター層の色調変化の程度から、外気と接触してからの経過時間を計測することができる。
2.基材
本発明のタイムインジケーターにおける基材は、特に限定されないが、インジケーター層を支持することが可能なものであることが好ましい。このような基材としては、例えば、プラスチックフィルム、織布、不織布、紙等を挙げることができる。上記プラスチックフィルム、織布及び不織布の材料としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル等のポリマー、及びこれらを構成する単量体が共重合してなるポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体等)からなる樹脂が挙げられる。
上記基材は、後述する「C.タイムインジケーター付外用貼付剤」における支持層とすることができる。また、上記基材の種類に応じて、本発明のタイムインジケーターを、インジケーター機能付き包装袋やインジケーター付きラベル等として用いることもできる。
上記基材の厚みは特に限定されず、本発明のタイムインジケーターの使用態様に応じて適宜設定することができる。
3.色見本層
本発明のタイムインジケーターは、上記基材の上記インジケーター層を有する面に、上記インジケーター層の色調から経過時間を判別するための色見本層をさらに有することができる。上記色見本層は、pHの変化により色調が変化しない非変色層である。経過時間とインジケーター層の色調との相関を示す色見本層を、基材のインジケーター層が配置された面に配置することで、インジケーター層の色調と色見本層の色とを比較して経過時間を容易に特定することが可能となる。
図2は、本発明のタイムインジケーターの他の例を示す概略平面図であり、インジケーター層2と色見本層3とが、基材1の同一面上に配置されている例を示している。図2に例示する色見本層3は、0時間から24時間までの6時間ごとのインジケーター層2の色調と同じ色調を有する5つの領域を有する。
上記色見本層は、本発明のタイムインジケーターが外気と接触して二酸化炭素の吸収により当量点付近でインジケーター層の色調が顕著に変化したときの、変色後のインジケーター層の所定の色調と同じ色調の領域を少なくとも有する。また、上記色見本層は、外気と接触してから当量点付近に達するまでの時間を所望の間隔に区切り、区切られた時間におけるインジケーター層の色調と同じ色調を有する1つ以上の領域をさらに有することができる。
上記色見本層は、例えば、水性インク、油性インク、無溶剤型インク等のインクに含まれるインク組成物を含むことができる。色見本層に含まれるインク組成物は、例えば、色材、樹脂バインダー等、公知のインクに配合されている成分を含むことができる。
本発明のインジケーターにおいて、上記色見本層が配置される位置は特に限定されないが、上記基材の上記インジケーター層を有する面において、インジケーター層の色調と比較可能な位置であることが好ましい。上記色見本層は、インジケーター層と並列して配置されていてもよく、インジケーター層の外周を囲むように配置されていてもよい。
また、上記色見本層は、上記基材の上記インジケーター層を有する面において、上記インジケーター層の配置領域以外の領域の全面に形成されていてもよく、一部に形成されていてもよい。また、上記インジケーター層は、平面視において文字や絵柄等を示すパターン形状を有していてもよい。
上記色見本層は、例えば、上述したインク組成物を溶剤に分散または溶解したインクを用い、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷方法に従って行うことができる。
4.透明保護層
本発明のタイムインジケーターは、インジケーター層を覆う透明保護層を有することができる。インジケーター層を覆う透明保護層を有することで、本発明のタイムインジケーターの使用環境において、インジケーター層の表面を保護することができる。
図3(a)、(b)は、本発明のタイムインジケーターの他の例を示す概略断面図であり、インジケーター層2を覆う透明保護層4を有する例を示している。図3(b)に示すように、インジケーター層2が基材1の一部に設けられている場合は、透明保護層4は、少なくともインジケーター層2を覆うように配置されていることが好ましく、インジケーター層2および基材1のインジケーター層2が配置されている側の面の全域を覆うように配置されていてもよい。
上記透明保護層は、インジケーター層の色調変化が視覚的に検知可能となるように、通常、透明性を有し、二酸化炭素を透過するものが用いられる。このような保護層の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明樹脂が挙げられる。
上記透明保護層は、少なくとも透明性および二酸化炭素透過性を有するが、本発明のタイムインジケーターの使用用途に応じて、防水性、耐磨耗性、製造時の試薬汚染防止等を有することが好ましい。例えば、本発明のタイムインジケーターが、後述する外用貼付剤と共に用いられる場合、上記透明保護層は、防水性を有することが好ましい。上記外用貼付剤は、使用者の皮膚に貼付されるものであり、インジケーター層が水に晒されてその機能に不具合が生じるのを防ぐことができるからである。
上記透明保護層は、上記透明樹脂のフィルムを熱ラミネートしたものであってもよく、上記透明樹脂を塗布形成したものであってもよい。
5.初期着色防止層
本発明のタイムインジケーターは、上記インジケーター層の基材とは反対側の面に初期着色防止層を有するものであってもよい。
図4は、本発明のタイムインジケーター10の他の例を示す概略断面図であり、基材1上に色見本層3と、上記色見本層3に隣接してインジケーター層2および上記インジケーター層2上に形成された初期着色防止層5が形成されている。
この例のタイムインジケーターのように初期着色防止層を設けることにより、所定の変色時間となる前の変色を抑えることができるので、例えば色見本層が無い場合であっても、変色時間となったことを容易に判断することができるといった効果を有するものである。特に、湿度が高い環境下において上記インジケーター層が露出していた場合は、所定の変色時間となる前にある程度変色してしまう場合があり、上記初期着色防止層は、このような湿度が高い環境下で用いる場合に、特に有効である。
上記初期着色防止層を設けることにより、インジケーター層の初期の着色を抑制できる理由については、明確ではないが、以下のように推測される。
すなわち、本発明におけるインジケーター層が外気と接すると、インジケーター層内に外気中等に含まれる二酸化炭素が侵入し、拡散する。上記インジケーター層内に二酸化炭素が拡散すると、上記インジケーター層に含まれる水分もしくは上記インジケーター層内に侵入・拡散した水分と上記二酸化炭素が反応し炭酸が発生する。この際の反応を以下に示す。
この反応式(1)の平衡定数は、25℃で1.7×10−3であり、著しく左に偏っている。このためインジケーター層内の二酸化炭素の大部分は、炭酸とならずに二酸化炭素として存在する。そして、周囲に存在する水酸化カルシウムと炭酸が反応し、炭酸の濃度が低下することにより、上記反応式(1)が右側に進み、炭酸が発生する。よって、炭酸の発生は、ある程度の時間が必要であるため、周囲に存在する水酸化カルシウムの濃度、すなわち(OH)の濃度を低下させるには所定の時間が必要となる。上記インジケーター層内への二酸化炭素の拡散時間、および上記反応時間が上述した所定の変色時間となる。
しかし、上記インジケーター層表面において、上記反応式(1)の左側の濃度が部分的に高くなった場合は、炭酸の発生速度が速くなる可能性がある。すなわち、外部の湿度や二酸化炭素濃度が高い環境下では、上記インジケーター層表面では、二酸化炭素や水分の侵入・拡散が進みやすく、これにより炭酸の発生量が多くなる領域が生じる場合がある。このような領域では、部分的に、水酸化カルシウムの濃度、すなわち(OH)の濃度が低下してしまい、指示染料の色調が変化し変色してしまう。これにより、上述した初期着色となってしまう。
上記初期着色防止層は、上述したような初期着色を防止するために、インジケーター層の基材とは反対側の表面に配置され、インジケーター層内での部分的な指示染料の変色を防止することにより、本来の変色時間前におけるインジケーター層の変色を防止するものである。
このような初期着色防止層は、インジケーター層の表面側での部分的な変色を防止できる層であれば、特に限定されるものではないが、二酸化炭素透過性を有し、かつインジケーター層内の(OH)の濃度や水および二酸化炭素の拡散速度を変更させない層であることが好ましい。
具体的には、上記インジケーター層から指示染料を抜いた組成の層であることが好ましい。インジケーター層と同様の(OH)の濃度や水および二酸化炭素の拡散速度を有するものであるからである。なお、この場合、触媒は含有されていても、含有されていなくてもよい。(OH)の濃度や水および二酸化炭素の拡散速度に大きく影響を与えるものでは無いからである。
上記初期着色防止層の膜厚は、0.1μm〜15μmの範囲内、中でも0.2μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より薄い場合は、初期着色の防止効果が得にくくなるからであり、上記膜厚より厚い場合は、インジケーター層の変色が見にくくなるからである。
5.その他の構成
本発明のタイムインジケーターは、上述した構成の他に、任意の構成を有することができる。例えば、上記基材のインジケーター層とは反対側の面に接着層または粘着層を有することで、本発明のタイムインジケーターを所望の場所に固定することができる。また、上記基材のインジケーター層とは反対側の面にシーラント層を有することで、本発明のタイムインジケーターを用いて包装袋を形成することができる。
6.製造方法
本発明のタイムインジケーターは、例えば、基材の一方の面に、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含む印刷用インクを印刷またはコーティングしてインジケーター層を形成して得ることができる。上記インジケーター層の形成方法は特に限定されず、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等の各種印刷方法を用いて形成することができる。また、本発明のタイムインジケーターは、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を用いる方法であれば、例えば、コーティング方法、転写法、成型法、賦型法等の、上述した印刷法やコーティング法以外の方法で形成してもよい。
7.用途
本発明のタイムインジケーターの用途としては、例えば、他の部材に貼付するためのインジケーター機能付きラベル、シール、ステッカー、インジケーター層を内面または外面とした包装袋等として用いることもできる。
また、本発明のタイムインジケーターにおける基材が、外用貼付剤の支持層として機能する場合、本発明のタイムインジケーターは、外用貼付剤の粘着剤層上に貼付して用いることができる。外用貼付剤に本発明のタイムインジケーターを用いることで、外用貼付剤の使用者がタイムインジケーターの色調の変化を視覚的に検知して、外用貼付剤の剥がし忘れや貼り替え忘れを防止することができ、外用貼付剤の貼付時間を精度よく管理することができるからである。
C.タイムインジケーター付外用貼付剤
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、インジケーター層と、支持層と、薬剤および粘着基剤を含む粘着剤層と、離型層と、をこの順に有し、上記インジケーター層が、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含む。
図5は、本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の一例を示す概略断面図である。本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤20は、インジケーター層2と、支持層11と、薬剤および粘着基剤を含む粘着剤層12と、離型層13と、をこの順に有し、インジケーター層2が、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含むものである。
また、図6は、本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の他の例を示す概略断面図であり、図5に示すタイムインジケーター層2に隣接して、色見本層3を配置した例である。
さらに、図7は、本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の他の例を示す概略断面図であり、図6に示すタイムインジケーター層2の基材11とは反対側の表面に初期着色防止層5を配置した例である。
薬剤投与の手段として、パップ剤、プラスター剤等と呼ばれる、薬剤を含有する外用貼付剤を皮膚に貼付する方法が一般的に知られており、含有される薬剤によって消炎鎮痛効果等の局所作用を目的とするものや、虚血性心疾患治療効果、喘息治療効果など全身作用を目的とするものなど、多種多様に汎用されている。外用貼付剤は、一定時間皮膚に貼付後、剥がされるものであるが、中でも、全身作用を目的とする場合においては、所定量の薬剤を経皮吸収するための貼付時間が決められており、上記貼付時間に応じて皮膚から剥がし、新たな外用貼付剤に貼り替える必要がある。しかし、使用者が外用貼付剤を貼付してからの経過時間を失念し、規定の貼付時間よりも早く剥がしてしまうと、必要量の薬剤が経皮吸収されず、薬効が十分に得られない場合がある。また、外用貼付剤を貼付していることや外用貼付剤を剥がすことを使用者が失念し、既に貼付している外用貼付剤を剥がさずに新たな外用貼付剤を貼付してしまうと、薬剤の過剰投与となり安全性に問題がある。
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤によれば、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含むインジケーター層が、外用貼付剤と共に使用者の皮膚上に配置されて外気と接触する。このため、外用貼付剤を皮膚に貼付した使用者は、二酸化炭素の吸収によるインジケーター層の色調の変化を、視覚的に容易に検知することが可能となる。そして、使用者は、上記インジケーター層の色調の変化から、外用貼付剤を皮膚に貼付してからの経過時間を確認することができる。また、インジケーター層の変色時間を外用貼付剤において決められた貼付時間とすることで、インジケーターの色調から、貼付時間を超えて皮膚に外用貼付剤が貼付されていることを認識することができる。これにより、外用貼付剤の剥がし忘れや貼り替え忘れを防止することができ、外用貼付剤の貼付時間を精度よく管理することができる。
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、外用貼付剤に設けられるタイムインジケーターが、二酸化炭素タイムインジケーターであることを特長とする。以下、タイムインジケーター付外用貼付剤におけるタイムインジケーターとして二酸化炭素タイムインジケーターが好適である理由について説明する。
外用貼付剤は、通常、包装袋に密封されており、使用時に包装袋から取り出して、使用者の皮膚に貼付して用いられる。このため、外用貼付剤に設けられるタイムインジケーターは、包装袋から取り出されることで外気と接し、使用者の皮膚上で様々な環境に曝されることになる。
ここで、外用貼付剤に設けることが可能なタイムインジケーターとして、例えば、酸素の吸収により色調が変化する酸素インジケーターがある。しかし、酸素インジケーターは、周囲の環境等によって酸素の吸収量や酸化速度が容易に変動するため、色調の変化から経過時間を精度よく管理することは困難である。
また、他のタイムインジケーターとして、温度履歴により色調が変化する温度履歴インジケーターもある。しかし、温度履歴インジケーターは、一定の温度以上の環境下で使用することで経過時間の管理が可能となるが、変色時間が長く、環境の変化、特に温度の変化を伴う用途においては変色時間が変動しやすいため、特定の時間経過を精度よく管理することが難しい。さらに、温度履歴インジケーターは、徐々に色調が変化するため、時間経過による色調差が生じにくい。このため、色調変化の判断に個人差が生じ、視覚により外用貼付剤を貼付してからの経過時間を判断するのが困難である。
これに対し、外気中の二酸化炭素量は変動が小さく、二酸化炭素タイムインジケーターに二酸化炭素が吸収される速度は、外気の温度等の影響を受けにくい。このため、本発明においては、外用貼付剤に二酸化炭素タイムインジケーターを設けることで、インジケーター層が外気と接する限り、皮膚上でインジケーター層が曝される環境によらず、二酸化炭素の吸収速度を一定に保つことができる。これにより、外用貼付剤を皮膚に貼付してからの時間を、二酸化炭素の吸収による色調の変化から視覚的に精度よく管理することができる。また、インジケーター層が、上述した所定の組成を有することで、設定された外用貼付剤の貼付時間に応じた変色時間で、特定の色調への変化を顕著に生じさせることができる。これにより、使用者が、設定された外用貼付剤の貼付時間が経過したことを視覚により容易に判断することが可能となる。
以下、本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤について、構成ごとに説明する。
1.インジケーター層
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤におけるインジケーター層は、上記支持層の粘着剤層とは反対側の面に配置される層であり、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含む。
外用貼付剤おける一般的な貼付時間は、数時間から数十時間の範囲内で設定されることから、上記インジケーター層は、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した印刷用インク組成物を含むことで、変色時間を外用貼付剤に規定される貼付時間に合わせて設定することができる。そして、上記インジケーター層は、外用貼付剤に規定される貼付時間に合わせて、色調を顕著に変化することができる。また、上記インジケーター層は、均一な厚みを有することができ、かつ層全体で均一な色調に変化することができる。これにより、外用貼付剤の貼付時間を精度よく管理することができる。さらに、上記インジケーター層は、支持層との密着性を良好とすることができるため、外用貼付剤を貼付した使用者の動き等によりインジケーター層が剥離するのを防ぐことができる。
上記インジケーター層の変色時間は、上記所定の色調に達したことを視認により判断しやすい所定の時間であり、粘着剤層に含まれる薬剤の種類により規定される外用貼付剤の貼付時間に応じて適宜設定することができる。上記変色時間としては、例えば4時間以上60時間以下の範囲内で設定することができ、中でも20時間以上40時間以下の範囲内で設定することができる。薬剤が局所作用薬剤の場合であっても全身作用薬剤の場合であっても、外用貼付剤の貼付時間は大凡上記の範囲内で規定されるからである。具体的には、薬剤がリドカイン等の局所麻酔剤であれば、上記変色時間としては、例えば4時間〜6時間の間で設定することができる。また、全身作用薬剤であれば、上記変色時間としては、例えば24時間〜48時間の間で設定することができ、就寝時間等を考慮して、例えば12時間〜18時間の間で設定することも可能である。
上記インジケーター層に含まれる印刷用インク組成物および上記インジケーター層については、上記「A.印刷用インク組成物」および「B.タイムインジケーター」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
2.支持層
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤における支持層としては、特に限定されないが、粘着剤層を支持することが可能な強度を有し、貼付剤の皮膚に対する粘着性を高める観点から適度な柔軟性を有するものが好ましい。また、粘着剤層中の薬剤に対し非透過性を有することが好ましい。このような支持層としては、プラスチックフィルム、織布、不織布、紙を挙げることができる。上記プラスチックフィルム、織布及び不織布の材料としては、公知の外用貼付剤における支持層の材料と同様とすることができ、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル等のポリマー、及びこれらを構成する単量体が共重合してなるポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体等)からなる樹脂が挙げられる。
上記支持層の厚みとしては特に制限されないが、貼付剤の取り扱い性から、通常2μm以上2000μm以下とすることができる。
上記支持層は、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理がされていてもよい。また、上記支持層は、コート層を有していてもよい。上記コート層の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
上記支持層は、その材質等に応じて、上述した「B.タイムインジケーター」の項で説明した基材を支持層として用いることができる。すなわち、本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、粘着剤層の離型層とは反対側の面に、上述した「B.タイムインジケーター」の項で説明したタイムインジケーターが配置されたものとすることができる。
3.粘着剤層
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤における粘着剤層は、離型層と支持層との間に配置され、薬剤および粘着基剤を含む層である。上記粘着剤層は、上記離型層側の面が使用者の皮膚に貼付される。
上記粘着剤層は、粘着基剤に薬剤を混合して、薬剤を分散、可溶化又は乳化させたものであり、上記粘着基剤の種類に応じて、本発明における外用貼付剤をプラスター剤(テープ剤)またはハップ剤とすることができる。
(1)薬剤
上記粘着剤層に含まれる薬剤は、経皮吸収性を示すものであれば特に制限はなく、従来公知の外用貼付剤に用いられる各種薬剤を用いることができる。上記薬剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
・催眠・鎮静剤(塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン、フェノバルビタール、アモバルビタール等)
・解熱消炎鎮痛剤(酒石酸ブトルファノール、クエン酸ペリソキサール、アセトアミノフェン、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、アスピリン、アルクロフェナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ペンタゾシン、インドメタシン、サリチル酸グリコール、アミノピリン、ロキソプロフェン等)
・ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)
・興奮・覚醒剤(塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート等)
・精神神経用剤(塩酸イミプラン、ジアゼパム、塩酸セルトラリン、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸フルオキセチン、アルプラゾラム、ハロペリドール、クロミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、アモクサピン、マプロチリン、ミアンセリン、セチプチリン、トラザドン、ロヘプラミン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラフェキシン、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、ジアゼパム、メプロバメート、エチゾラム、リスペリドン、ミルタザピン等)
・ホルモン剤(エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メテロノン、テストステロン等)
・局所麻酔剤(塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プロピトカイン等)
・泌尿器官用剤(塩酸タムスロシン、塩酸プロピベリン、酒石酸トルテロジン、フェソテロジン、イミダフェナシン、塩酸オキシブチニン、塩酸テロリジン等)
・骨格筋弛緩剤(塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール、塩酸スキサメトニウム等)
・生殖器官用剤(塩酸リトドリン、酒石酸メルアドリン等)
・抗てんかん剤(バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、カルバマゼピン等)
・自律神経用剤(塩化カルプロニウム、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等)
・抗パーキンソン病剤(メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、塩酸ロピニロール、塩酸タリペキソール、カベルゴリン、ドロキシドパ、ピペリデン、塩酸セレギリン等)
・利尿剤(ヒドロフルメチアジド、フロセミド等)
・呼吸促進剤(塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等)
・抗片頭痛剤(メシル酸ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン、酒石酸エルゴタミン、塩酸フルナリジン、塩酸サイプロヘプタジン等)
・抗ヒスタミン剤(フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェニルピラリン、プロメタジン等)
・気管支拡張剤(塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール、硫酸サルブタモール、塩酸クレンブテロール、臭化水素酸フェノテロ−ル、硫酸テルブタリン、硫酸イソプレナリン、フマル酸ホルモテロール等)
・強心剤(塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン等)
・冠血管拡張剤(塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニコランジル等)
・末梢血管拡張剤(クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリン等)
・禁煙補助薬(ニコチン等)
・循環器官用剤(塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、フェロジピン、ベシル酸アムロジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、塩酸マニジピン、塩酸ベニジピン、マレイン酸エナラプリル、塩酸デモカプリル、アラセプリル、塩酸イミダプリル、シラザプリル、リシノプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、アテノロール、ピンドロール、フマル酸ビソプロロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ベタキソロール、マレイン酸チモロール、マロン酸ボピンドロール、ニプラジロール、塩酸アロチノロール、塩酸セリプロロール、カルベジロール、塩酸アモスラロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベバントロール、塩酸テラゾシン、塩酸ブナゾシン、塩酸プラゾシン、メシル酸ドキサゾシン、バルサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、塩酸クロニジン、塩酸グアンファシン、酢酸グアナベンズ等)
・不整脈用剤(塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシチレン、ナドロール、ジソピラミド等)
・抗悪性潰瘍剤(シクロフォスファミド、フルオロウラシル、デガフール、塩酸プロカルバジン、ラニムスチン、塩酸イリノテカン、フルリジン等)
・抗脂血症剤(プラバスタチン、シンバスタチン、ベザフィブレート、プロブコール等)、
・血糖降下剤(グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、グリミジンナトリウム、グリブゾール、塩酸ブホルミン等)
・消化性潰瘍治療剤(プログルミド、塩酸セトラキサート、スピゾフロン、シメチジン、臭化グリコピロニウム等)
・利胆剤(ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等)
・消化管運動改善剤(ドンペリドン、シサプリド等)
・肝臓疾患用剤(チオプロニン等)
・抗アレルギー剤(フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン等)
・抗ウイルス剤(アシクロビル等)
・鎮暈剤(メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール等)
・抗生剤(セファロリジン、セフジニル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、メチルエリスロマイシン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン、テトラサイクリン、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、カルベニシリンナトリウム、クロラムフェニコール等)
・習慣性中毒用剤(シアナミド等)
・食欲抑制剤(マジンドール等)
・化学療法剤(イソニアシド、エチオナミド、ピラジナミド等)
・血液凝固促進剤(塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等)
・抗アルツハイマー剤(フィゾスチグミン、塩酸ドネペジル、タクリン、アレコリン、キサノメリン、リバスチグミン、ガランタミン、等)
・セロトニン受容体拮抗制吐剤(塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸ラモセトロン、塩酸アザセトロン、パロノセトロン等)
・痛風治療剤(コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等)
・麻薬系の鎮痛剤(クエン酸フェンタニル、硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン等)
・抗パーキンソン剤(ベンズトロピン、レボドパ等)
・鎮痙剤(臭化メチルアトロピン、スコポラミン等)
上記薬剤は、局所作用薬剤であってもよく、全身作用薬剤であってもよいが、中でも全身作用薬剤であることが好ましい。全身作用薬剤を含む外用貼付剤は、規定される貼付時間が比較的長いことから、インジケーター層の色調変化により貼付時間の管理を精度よく行うことができるからである。また、上記薬剤は、一種または二種以上を適宜配合することができる。
上記粘着剤層中の薬剤の含有量は、特に限定されず、薬剤の経皮吸収速度や外用貼付剤に規定される貼付時間等に応じて適宜設定することができる。
(2)粘着基剤
上記粘着剤層に含まれる粘着基剤は、薬剤との相溶性に優れ、かつ貼付剤を皮膚表面に長時間固定しうる粘着力を有するものが好ましい。上記粘着基剤は、親水性であってもよく疎水性であってもよい。疎水性の粘着基剤は、プラスター剤(テープ剤)に使用される。また、親水性の粘着基剤は、パップ剤に使用される。
疎水性の粘着基剤としては、プラスター剤(テープ剤)に使用される公知の粘着基剤を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらはエマルジョン化されていてもよい。なかでも、薬剤の放出性に優れているという観点から、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤を好適に用いることができる。
親水性の粘着基剤としては、パップ剤に使用される公知の粘着基剤を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物、N−ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、アラビアゴム等に加えて、これらをアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属塩で架橋したものが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上用いてもよい。
(3)添加剤
上記粘着剤層は、必要に応じ、様々な添加剤を添加することができる。添加剤の例としては、例えば、放出促進剤、精油、経皮吸収促進剤、可塑剤、粘着付与剤、安定化剤、軟化剤、充填剤、抗酸化剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤、溶性・水膨潤性高分子、高級アルコール等が挙げられる。これらは、公知の外用貼付剤において用いられる添加剤と同様とすることができる。
(4)その他
上記粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、所望の量の薬剤を含むことができ、所望の粘着力を発揮可能な厚みであることが好ましい。上記厚みとしては、例えば、10μm以上300μm以下とすることができる。
4.離型層
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤における離型層は、粘着剤層の支持層とは反対側の面に配置される層であり、タイムインジケーター付外用貼付剤の使用時に、剥離除去される層である。
上記離型層は、粘着剤層から剥離可能なフィルム等が用いられる。上記離型層としては、例えば、塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等の剥離フィルム、薬添規ポリエチレンテレフタレートセパレータ、剥離紙(離型紙)等が挙げられる。上記離型層は、粘着剤層と接する面に対し、シリコーン表面処理等の表面処理がされていてもよい。
5.任意の構成
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、上記支持層の上記インジケーター層を有する面に、上記インジケーター層が呈する色から経過時間を判別するための色見本層をさらに有することができる。色見本層を有することの効果および色見本層については、上記「B.タイムインジケーター」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、インジケーター層を覆う透明保護層を有することができる。透明保護層を有することの効果および透明保護層については、上記「B.タイムインジケーター」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
6.その他
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、タイムインジケーター付外用貼付剤を封入する包装袋を有することができる。本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤は、通常、皮膚に貼付して使用するまで包装袋に封入されて保管される。本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤が包装袋に封入されている間は、包装袋中に存在する二酸化炭素量が微量であり、また外部からの二酸化炭素の侵入も殆どないため、インジケーター層の二酸化炭素吸収量は無視できるレベルとすることができる。このため、使用前において上記インジケーター層が、当量点付近で色調変化するのを抑制することができる。一方、包装袋を開封し、本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤を取り出し、皮膚の所望の位置に貼付すると、インジケーター層が外気と接触して二酸化炭素の吸収が進み、経時で二酸化炭素吸収量が増加する。これに従いインジケーター層は、pHが変化して当量点付近で色調を顕著に変化することができる。
上記包装袋は、タイムインジケーター付外用貼付剤を外気と隔離するガスバリア性、および封止するためのシール性を有する包装材で形成された袋が好適に用いられる。このような包装袋としては、例えば、外層にガスバリア層を有し、内層にヒートシール層を有する包装材で形成された袋が挙げられる。上記ガスバリア層としては、例えば、アルミニウム等の金属箔、樹脂フィルムと上記樹脂フィルムの一方の面に配置され、金属または無機化合物で形成された薄膜とを有するガスバリアフィルム等が挙げられる。また、ヒートシール層としては、ポリエチレン、ポリオレフィン等の熱溶着可能な樹脂フィルムが挙げられる。
7.製造方法
本発明のタイムインジケーター付外用貼付剤の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着基剤および薬剤を含む粘着剤組成物を溶剤とを混合した塗工液を調製する調製工程、上記「B.タイムインジケーター」の項で説明したタイムインジケーターを用い、上記タイムインジケーターの基材を支持層とし、上記支持層のインジケーター層とは反対側の面に、上記塗工液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程、上記粘着剤層の上記支持層とは反対側の面に離型層を配置する離型層配置工程を経て形成することができる。
また、上記製造方法として、上述した調製工程と、離型層の一方の面に上記塗工液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程と、上記粘着剤層の上記離型層とは反対側の面に、上記「B.タイムインジケーター」の項で説明したタイムインジケーターを配置するタイムインジケーター配置工程とを経て形成することができる。
なお、上記製造方法は、上記「B.タイムインジケーター」の項で説明したタイムインジケーターを用いず、離型層の一方の面に上記塗工液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程と、上記粘着剤層の上記離型層とは反対側の面に、支持層を配置する支持層配置工程と、上記支持層の上記粘着剤層とは反対側の面に、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明したインク組成物を塗布し乾燥してインジケーター層を形成するインジケーター層形成工程と、を有していてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(印刷用インク組成物を含む印刷用インクの調製)
水酸化カルシウム(和光純薬製)50gと、指示染料としてエチルバイオレット(東京化成製)0.5gと、バインダー樹脂としてブチラール樹脂(積水化学製 BL−2)10gとを混合し、これらを溶媒として0.01mоl水酸化ナトリウムプロパノール液(岸田化学製)100Lに溶解して、ホモミキサー(トミー精工製)で懸濁させて、印刷用インクを調製した。上記印刷用インクに含まれる印刷用インク組成物の全固形分中の水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂の各含有量を表1に示す。なお、上記印刷用インク組成物には、0.01mоl水酸化ナトリウムプロパノール液中の水酸化ナトリウム分が、印刷用インク組成物の全固形分中0.1質量%〜0.2質量%程度含まれる。
(タイムインジケーターの作製)
基材として厚み75μmのポリエステルフィルム(東レ製)上に、印刷用インクをワイヤーバーNo.4で上記印刷用インク組成物をコーティングし、ドライヤーで乾燥してインジケーター層を形成し、タイムインジケーターを得た。
[実施例2〜4、比較例1〜3]
印刷用インク組成物の全固形分中の水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂の各含有量を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして印刷用インクを調製した。また、得られた印刷用インクを用いて、実施例1と同様にしてタイムインジケーターを得た。
[評価1]
実施例1〜4、および各比較例1〜3で得たタイムインジケーターを、それぞれ5cm角に切断し、タイムインジケーターの基材側の面に両面テープを貼り、上記両面テープを介して被験者の胸の上かつ下着の間に貼付した。この状態で6時間および24時間の各時間が経過したときの、インジケーター層の色調、およびタイムインジケーターにおけるインジケーター層の密着性を確認した。結果を表1に示す。なお、インジケーター層の密着性は、被験者に貼付した状態で6時間および24時間の各時間が経過したときに、ポリエステルフィルムからインジケーター層が剥がれた割合が、目視による面積で5%以上、ないし重量で5%以上である場合に「脱落」とし、上記の値よりも下回る場合に「良好」とした。
表1に示す結果から、実施例1〜4の組成によれば、水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂の各含有量を所定の範囲内とすることで、6時間〜24時間の間で顕著な色調変化が生じ、かつインジケーター層のポリエステルフィルムへの密着性が良好であることが確認された。一方、比較例1〜2の組成によれば、6時間〜24時間の間で目視での顕著な色調変化が確認されなかった。また、比較例3の組成によれば、6時間〜24時間の間で顕著な色調変化は確認されたが、6時間が経過した時点でインジケーター層がポリエステルフィルムから脱落し、タイムインジケーターの長期使用において、基材との密着性を維持することが困難であると判明した。
[実施例5]
(初期着色防止層形成用インクの調製)
実施例1の組成から、指示染料としてのエチルバイオレット(東京化成製)を除いた点以外は、実施例1と同様にして、初期着色防止層形成用インクを調製した。
(タイムインジケーターの作製)
上記実施例1で形成されたタイムインジケーターのインジケーター層上に、上記初期着色防止層形成用インクを用い、上記実施例1でインジケーター層を形成した方法と同様の方法により、初期着色防止層を形成し、タイムインジケーターとした。
[実施例6]
上記実施例5における水酸化ナトリウムが含まれない以外は、実施例5と同様にして、タイムインジケーターを調製した。
[評価2]
実施例1、実施例5、および実施例6で得たタイムインジケーターを5cm角に切断し、タイムインジケーターの基材側の面に両面テープを貼り、上記両面テープを介して胸の上かつ下着の間に貼付した(条件1)。この状態で2時間、6時間、14時間、19時間、20時間、24時間、30時間、40時間、および70時間の各時間が経過したときの、インジケーター層の色調および色差を確認した。結果を表2に示す。なお、色差は、上記「A.印刷用インク組成物」の項で説明した方法により測定した。評価3〜4における色差の測定方法についても同様とする。また、条件1における6時間後および24時間後の色調および色差の結果は、上述した評価1の6時間後および24時間後の色調および色差の結果と同様である。図8に、実施例1、実施例5、および実施例6で得たタイムインジケーターの、経時での色差変化のグラフを示す。
実施例5および6の結果は、ほぼ同等であったので、同一のものとして示している。
[評価3]
実施例1で得たタイムインジケーターを5cm角に切断し、アルミパウチで封入して温度40℃、湿度75%RHの環境条件で保管した(条件2)。この状態で2時間、24時間、1か月、および2か月の各時間が経過したときの、インジケーター層の色調および色差を確認した。結果を表3に示す。
[評価4]
実施例1で得たタイムインジケーターを5cm角に切断し、アルミパウチで封入して温度40℃、湿度75%RHの環境条件で2か月間保管後、アルミパウチからタイムインジケーターを取出して、タイムインジケーターの基材側の面に両面テープを貼り、上記両面テープを介して胸の上かつ下着の間に貼付した(条件3)。この状態で2時間、6時間、20時間、24時間、30時間の各時間が経過したときの、インジケーター層の色調および色差を確認した。結果を表4に示す。
表2、表4に示すように、条件1、3に置いたタイムインジケーターは、20時間経過後の段階でインジケーター層の色調が白色から濃青色に顕著に変化しており、その後は濃青色を維持した。また、図6から、実施例1で得たタイムインジケーターは、20時間が経過するまでの間で、経過時間に対する色差の上昇勾配が急になっており、色調が急激に変化したことが示された。
また、表2および図8に示すように、初期着色防止層を設けた実施例5および実施例6のインジケーター層は、実施例1のインジケーター層と比較して、経過時間に対する色差の上昇勾配がより急であり、色調がより急激に変化していることが示された。
一方、表3で示すように、条件2に置いたタイムインジケーターは、インジケーター層の色調の変化が見られなかった。これは、条件2では、タイムインジケーターがアルミパウチで密封されており、タイムインジケーターが外気と接触できず、経時での二酸化炭素の吸収量が条件1、3よりも少量であったためと推量される。
また、条件1において、室温および湿度を変化させたところ、湿度40%RH以上、室温15℃から40℃までの範囲において、条件1で確認されたインジケーター層の色調変化を確認することができた。
1 … 基材
2 … インジケーター層
3 … 色見本層
4 … 透明保護層
5 … 初期着色防止層
10… タイムインジケーター
11 … 支持層
12 … 粘着剤層
13 … 離型層
20 … タイムインジケーター付外用貼付剤

Claims (8)

  1. 水酸化カルシウム、指示染料、およびバインダー樹脂を含む、印刷用インク組成物であって、
    前記指示染料は、アルカリ性領域から中性領域へpHが変化したときに色調が変化する化合物であり、
    前記印刷用インク組成物の全固形分中の前記水酸化カルシウムの含有量が50質量%以上94質量%以下であり、前記指示染料の含有量が0.1質量%以上5.0質量%以下であり、前記バインダー樹脂の含有量が0.9質量%以上49.9質量%以下である、印刷用インク組成物。
  2. アルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種以上の化合物をさらに含む、請求項1に記載の印刷用インク組成物。
  3. 基材と、前記基材の一方の面に配置されたインジケーター層と、を有し、
    前記インジケーター層が、請求項1または請求項2に記載の印刷用インク組成物を含む、タイムインジケーター。
  4. 前記基材の前記インジケーター層を有する面に、前記インジケーター層の色から経過時間を判別するための色見本層をさらに有する、請求項3に記載のタイムインジケーター。
  5. 前記インジケーター層の前記基材とは反対側の表面に、初期着色防止層を配置したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のタイムインジケーター。
  6. インジケーター層と、支持層と、薬剤および粘着基剤を含む粘着剤層と、離型層と、をこの順に有し、
    前記インジケーター層が、請求項1または請求項2に記載の印刷用インク組成物を含む、タイムインジケーター付外用貼付剤。
  7. 前記支持層の前記インジケーター層を有する面に、前記インジケーター層の色から経過時間を判別するための色見本層をさらに有する、請求項5に記載のタイムインジケーター付外用貼付剤。
  8. 前記インジケーター層の前記支持層とは反対側の表面に、初期着色防止層を配置したことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のタイムインジケーター付外用貼付剤。
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