JP2019044107A - ホットメルト型ポリシロキサン接着剤 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に、直鎖状のシロキサンポリマーは、表面自由エネルギーの低い基材に対する濡れ性が良好で、耐熱性に優れるものの、オイルまたはワックス状であり、接着力が非常に弱いため、接着剤として用いる場合、シロキサンポリマーの末端を変性し、例えばビニル基とシランによるヒドロシリル化反応、イソシアネートとアルコール性水酸基によるウレタン化反応、湿気硬化等により積極的に架橋することで接着を達成してきた。
また、特許文献2には、表面の凹凸の大きい被着体に対して、低圧での熱圧着においても良好な隙間充填性を示し、硬化して、前記被着体に強固に接着する反応性ホットメルト型シリコーン系接着剤を提供することを課題とし、(A)軟化点が40〜250℃のオルガノポリシロキサンレジン、(B)25℃で液状または生ゴム状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(C)(i)ケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサンおよび(ii)ケイ素原子結合アルコキシ基含有有機ケイ素化合物、または(iii)ケイ素原子結合水素原子およびケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサン、(D)ヒドロシリル化反応用触媒、および(E)ヒドロシリル化反応抑制剤から少なくともなるホットメルト型シリコーン系接着剤が提案されている。
このように、シリコーン系接着剤は、反応性ポリシロキサンに加え、シリカや炭酸カルシウム等を補強剤として含有し、さらに架橋剤、硬化触媒を含有し、硬化させるものが一般的である。
一方、本発明者らは、ダブルデッカー型シルセスキオキサンから誘導したかご型2官能性シルセスキオキサンと直鎖状シロキサンを交互に結合した構造を有する全シロキサンポリマーを開発し、光学的な特性、電気的な特性等、ユニークな特性を有することを見出し、その製造方法を改良してきた(例えば、特許文献3〜5)。
はそれ以上の接着強度を達成する、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を提供することを課題とする。
すなわち、本発明者らは、特定の構造を有するダブルデッカー型シルセスキオキサン化合物のポリマーが、架橋反応をせずとも様々な基材を接着することができ、非シリコーン系のホットメルト接着剤(未反応型)、と同程度の接着強度、またはより高い接着強度を有し、透明性に優れ、可逆的に着脱可能なホットメルト接着剤として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
[1] 下記式(A)で表され、ガラス転移温度が30℃以上200℃以下であるケイ素化合物を含む、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
(式(A)中、mは独立して1〜31の整数を表し;nは1〜1,000の整数を表し;R0は独立して炭素数6〜20のアリール又は炭素数5又は6のシクロアルキルを表し;R1及びR2は独立して、水素、炭素数2〜40のアルケニル、炭素数1〜40のアルキル、任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい炭素数6〜20のアリール、又はアリールにおける任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい炭素数7〜20のアリールアルキルを表し;
前記炭素数1〜40のアルキルにおいて、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
前記アリール又はアリールアルキルの置換基である炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン又はフェニレンで置き換えられてもよく;
前記アリールアルキルのアルキレンにおいて、その炭素数は1〜10であり、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−は独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
[2] 式(A)中、R0がフェニルを含む、[1]又は[2]に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[3] 式(A)中、R1及びR2がメチルまたはフェニルを含む、[1]又は[2]に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[4] 式(A)中、mが平均で1以上10以下である、[1]〜[3]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[5] 前記ケイ素化合物のガラス転移温度が30℃以上180℃以下である、[1]〜[4]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[6] 前記ケイ素化合物のガラス転移温度以上の温度で被着材から可逆的に着脱できる、[1]〜[5]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[7] ガラス、シリコンウェハ、金属、金属酸化物、プラスチックフィルム又は疎水化基材に接着可能である、[1]〜[6]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[8] 硬化剤を実質的に含まない、[1]〜[7]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[9] さらに無機フィラーを含む、[1]〜[8]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
[10] 前記ケイ素化合物以外の成分を実質的に含まない、[1]〜[8]の何れかに記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、下記式(A)で表され、ガラス転移温度が30℃以上200℃以下であるケイ素化合物を含む。
前記炭素数1〜40のアルキルにおいて、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
前記アリール又はアリールアルキルの置換基である炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン又はフェニレンで置き換えられてもよく;
前記アリールアルキルのアルキレンにおいて、その炭素数は1〜10であり、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−は独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。
式(A)中、R1は、全て同じであってもよいし異なっていてもよい。R1としては、例えば合成の容易性の観点から、炭素数1〜40のアルキル又は任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい炭素数6〜20のアリールであることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜20のアリールであることがより好ましく、メチル又はフェニルを含むことが好ましく、全てメチルであるか、又は全てフェニルであることがさらに好ましい。式(A)中、R2はR1と同様に定義される。R2は、全て同じであってもよいし異なっていてもよい。R2としては、例えば合成の容易性の観点から、炭素数1〜40のアルキル又は任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい炭素数6〜20のアリールであることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜20のアリールであることがより好ましく、メチル又はフェニルを含むことが好ましく、全てメチルであるか、又は全てフェニルであることがさらに好ましい。
分子量={A+(B×m+C)}×n+末端H2O 数式(1)
A:シルセスキオキサンユニット
B:シロキサンユニット
C:−O−Si(R2)2−
一方、本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、室温(25℃〜27℃)で固体であり、ガラス転移温度以上に加熱し溶融した後、冷却して固化することで接着剤として作用する。式(A)で表されるケイ素化合物よりなるホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、補強剤や架橋剤、硬化触媒を加えなくとも、様々な基材を強固に接着出来る。さらに、本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤よりなる接着層は、該接着剤のガラス転移温度以上に加熱することで被着材から容易に剥離することが出来る。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、硬化剤を実質的に含まないホットメルトポリシロキサン接着剤とすることが出来る。また、本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、前記ケイ素化合物以外の成分を実質的に含まないホットメルト型ポリシロキサン接着剤とすることも出来る。すなわち、式(A)で表される化合物単独で接着剤として用いることができるため、硬化剤等が不要であり、他の成分との混合工程等も不要であるので、低コストでシンプルな製造プロセスで様々な基材(被着材)に高接着性を有する接着剤を提供できる。ここで、本明細書において「実質的に含まない」とは、存在する場合、それ以下でなければ、本発明のホットメルト型ポリシロキサン接着剤に認められるほどの影響を及ぼす量又はそれ未満の量を指す。具体的には、硬化剤の場合、硬化剤の含有量が例えば1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、理想的には、硬化剤が配合されていないことをいう。また、前記ケイ素化合物以外の成分を実質的に含まない場合、前記ケイ素化合物以外の成分の含有量が例えば1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、理想的には、前記ケイ素化合物以外の成分が配合されていないことをいう。
式(A)で表されるケイ素化合物のガラス転移温度は、m、nを変更することにより制御することができる。すなわち、式(A)の“m”、“n”を変更することにより、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤の使用温度領域(以下、「使用温度領域」と記載することもある。)を制御することが出来る。従って、使用温度領域により“m”、“n”を選択すればよい。特に、ガラス転移温度は、式(A)で表されるケイ素化合物のシロキサン
鎖長“m”を変更することにより、大きく変化させることができる。使用温度領域が30℃〜200℃の場合、重量平均分子量(Mw)は好ましくは10,000〜300,000であり、より好ましくは30,000〜250,000であり、さらに好ましくは40,000〜150,000である。
ここで、式(A)中のmは単一ではなく複数の整数を与えることがある。この場合、mが1〜20の整数であるポリマーの混合物であればよい。すなわち、式(A)で表されるケイ素化合物が複数のmを与えるポリマーの混合物である場合、mは整数ではなく小数で表現される場合がある。nも、同様に、整数ではなく小数で表現される場合がある。
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、熱機械分析(TMA)により測定される。具体的には、以下の方法で求めることが出来る。
<Tg測定方法>
熱機械分析装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)(現:(株)日立ハイテクサイエンス)製 「TMA/SS7100」
針入プローブを用い、サンプル(ポリマー)に一定荷重(90mN)をかけた状態から昇温速度1℃/minで昇温し、プローブの位置が大きく変化した点をTgとする。
生産性の観点から、特開2017−014320号公報に記載の方法で製造することが好ましい。
なお、式(A)で表されるケイ素化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって求めることができ、より具体的には下記の条件で求めることができる。
<GPC測定条件>
カラム:昭和電工(株)製 Shodex KF−806M
移動相:THF(ナカライテスク(株))
流速:1ml/min
温度:45℃
検出器:UV
分子量標準サンプル:分子量既知のポリスチレン
本実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤が含むことが出来る式(A)で表されるケイ素化合物以外の成分としては、接着剤の諸物性を調整する観点、及び接着の観点から、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、シリカやアルミナに代表される無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられる。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤には、耐摩耗性向上の観点から、無機フィラーを含有してもよい。前記無機フィラーとしては、例えばシリカやアルミナが挙げられる。
無機フィラーの平均粒径はナノオーダーであれば限定されないが、1〜100nmが好ましく、透明性の観点から、1〜40nmであることがより好ましく、更に好ましくは1〜20nmである。また、粒度分布は狭いほうが好ましい。
無機フィラーの形状は特に限定されないが、球状、不定形、りん片状等のいずれの形態であってもよい。密着性向上、透明性の観点から、球状が好ましい。なお、無機フィラーの形状が球状以外の場合、無機フィラーの平均粒径とは該無機フィラーの平均最大径を意味する。
また、無機フィラーはシランカップリング剤等で表面処理されていてもよく、表面改質されたコロイダルシリカが好ましい。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤において、無機フィラーの含有量は、接着剤の総量に対する質量%で、好ましくは0.01質量%〜50質量%であり、より好ましくは、1質量%〜50質量%である。
本実施形態においては、接着剤の調製には、無機フィラー自体を式(A)で表されるケイ素化合物に添加してもよいし、樹脂に無機フィラーが分散されている市販品を用いてもよいし、溶媒に無機フィラーが分散されている市販品を用いてもよい。
このような市販品としては、例えば、エポキシ樹脂中に40質量%ナノシリカが分散された、EVONIKINDUSTRIES製ナノシリカ分散エポキシ樹脂[Nanopox(登録商標)シリーズ(C620、F400、E500、E600、E430)]、アクリレート樹脂中に50質量%ナノシリカが分散された、Nanocryl(登録商標)シリーズ(C130、C140、C145、C146、C150、C153、C155、C165、C350)、日産化学株式会社製オルガノシリカゾルのシリーズ、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン(CHO)、酢酸エチル(EAC)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA−ST)、トルエン(TOL−ST)などの水性溶媒に分散したシリカゾルである、MEK−ST−40、MEK−ST−L、MEK−ST−ZL,MEK−ST−UP、MIBK−ST、MIBK−ST−L、CHO−ST−M、EAC−ST、PMA−ST、TOL−ST等が挙げられる。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤のガラス転移温度は、ハンドリング、使用環境の観点から、30℃以上200℃以下であり、30℃以上180℃以下が好ましく、35℃以上80℃以下がより好ましい。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤のオープンタイム(接着剤を被着材に塗布してから貼り合わせるまでの貼り合わせ可能時間)は、ごみの付着等を避けられれば、特に限定されない。
また、本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤のセットタイム(固化に要する時間)は、通常数秒〜数分であり、好ましくは1秒〜10分であり、より好ましくは、10秒〜5分である。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤の使用方法を以下に説明する。
ホットメルト型ポリシロキサン接着剤の使用方法の一態様は、第2の基材への第1の基材の接着方法であって、
(i)前記ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を加熱して溶融する工程と、
(ii)第1の基材を前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤と接触させる工程と、
(iii)第2の基材を前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤と接触させる工程
と、
(iv)前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を冷却する工程と、を含む。
前記ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を加熱して溶融する工程は、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤のガラス転移温度、被着材である基材に応じて公知の方法を用いればよい。例えば、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤のガラス転移温度+5℃〜+20℃の温度で加熱して溶融すればよい。
(ii)第1の基材を前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤と接触させる工程
第1の基材を溶融したホットメルト型ポリシロキサン接着剤に接触させる方法は、特に限定されず、溶融したホットメルト型ポリシロキサン接着剤を第1の基材上に塗布してもよいし、第一の基材上に固体のホットメルト型ポリシロキサン接着剤を載せて、加熱して溶融することにより溶融したホットメルト型ポリシロキサン接着剤を第1の基材上接触させてもよい。
(iii)第2の基材を前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤と接触させる工程
第2の基材を前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤と接触させる工程は、第2の基材を前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤が接触すれば特に限定されない。この工程(iii)では圧力を加えてもよく、例えば、ガラスの貼り合わせに用いる場合、圧力0.01MPa〜0.1MPaの条件で圧着すればよい。
(iv)前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を冷却する工程
(iii)工程に続いて、前記溶融ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を冷却する((iv)工程)。冷却方法は、例えば、大気雰囲気下での放冷が挙げられる。
本発明のホットメルト型ポリシロキサン接着剤の使用方法としては、(i)〜(iii)を同時に行ってもよい。例えば、被着材としてガラス基板を用い、その上に、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤を載せ、さらに、その上に別の被着材としてガラス基板を載せ、70℃で20分間、100℃で20分間、200℃で2時間、オーブン中で加熱した後、オーブンから取り出して、放冷する方法などが挙げられる。
これらの被着材は前処理をされていてもよく、前処理の例には、シランカップリング剤などによる薬品処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などが含まれる。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤よりなる接着層の厚みは、用途に応じて調整が可能であるが、0.01mm〜1mmが好ましく、0.03mm〜0.5mmがより好ましく、0.05〜0.3mmがさらに好ましい。
出来る。
また、本発明に一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、上述した様々な基材に接着可能であり、強い接着力を有するので、様々な用途に好適に用いられる。
さらに、本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤よりなる接着層は、接着剤のガラス転移温度以上に加熱することで被接着物(被着材)から容易に剥離することができる。
また、本発明に一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤は、シロキサンポリマーであるケイ素化合物を用いているため、透明性にも優れる。したがって、透明性が要求される用途にも好適に用いられる。例えば、ガラスの貼り合わせ、ディスプレイ製造時の仮止めなどにも好適に用いられる。
本発明の一実施形態に係るホットメルト型ポリシロキサン接着剤よりなる接着層を被接着物(被着材)から剥離する場合、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤のガラス転移温度以上で加熱すればよいが、好ましくはガラス転移温度+30℃以上、より好ましくは、ガラス転移温度+40℃以上で、数分〜数十分間、ドライヤーなどを用いて加熱する。具体的には、ガラス転移温度が約40℃のホットメルト型ポリシロキサン接着剤よりなる接着層に対し、例えば、ドライヤーを用い、80℃で30分間加熱する方法が挙げられる。
式(B)で表されるケイ素化合物の合成
以下の式(B)で表されるケイ素化合物を、特開2017−14320号公報の段落0083記載の方法に準じて、合成した。得られたケイ素化合物の分子量を、表1〜表7に示す。
表中、比較例1−1の接着剤は、式(B)で表されるケイ素化合物であり、重量平均分子量(Mw)、mの平均値、ガラス転移温度(Tg)は表に示したとおりである。
表中、PDMSはポリジメチルシロキサン(DMS−32、 Gelest, Inc.製、重量平均分子量(Mw)36,000)である。
表中、シリコーン系接着剤は(型番:KE−347T, 信越化学工業株式会社製)である。
長さ約40mm、幅8mm、厚み1mmのガラス基板をアセトンで30分間、クロロホルムで30分間超音波洗浄し、乾燥させた後、10分間UVオゾン処理し、被着材(第一の基材)として使用した。このガラス基板の端から長さ5mm×幅8mmの領域上に接着剤を載せ、同種の別のガラス基板の端から長さ5mm×幅8mmの部分を張り合わせ、目玉クリップで固定した。70℃で20分間、100℃で20分間、200℃で2時間、オーブン中で加熱した。加熱後、オーブンから取り出し、大気雰囲気下、室温で5分間放冷後、目玉クリップを取り除き試験片とした。ポリマー(接着層)の厚みは約0.2mmとなるようにした。ポリマーの面積(接着面積)は表1に示すとおりであった。各試験片に500gの荷重をかけ、接着面が剥離するまでの時間を測定した。試験温度は25〜27℃の室温であった。剥離に要した時間が24時間以上を“○”、24時間未満を“×”とした。結果を表1に示す。
ガラスをステンレスに変更した以外は500g荷重試験と同様に試験片を作製した。試験片に20kgの荷重をかけ、接着面が剥離するまでの時間を測定した。試験温度は25〜27℃の室温であった。剥離に要した時間が1分以上を“○”、1分未満を“×”とした。結果を表2に示す。
ガラスをステンレスに変更した以外は500g荷重試験と同様に試験片を作製した。得られた試験片を用いてJIS K6850の方法に準じて引張せん断応力を測定した。引張速度は1mm/min、試験温度は25〜27℃の室温であった。ポリマーの厚みは表に示す。結果を表3に示す。
500g荷重試験と同様の条件で、基板としてガラスのほかにステンレス、シリコンウェハ、アルミニウム、疎水化ガラス、疎水化シリコンウェハ、テフロン同士で試験片を作製した。疎水化ガラス、疎水化シリコンウェハにおける疎水化は、各基板を一日以上ヘキサメチルジシラザンに浸漬させた後、取り出して、水で洗浄後、100℃で一時間焼成することよって作製した。接着面積は全て40mm2であった。
接着評価は、試験片の両端を持ち、引っ張って剥離するかどうかで判定した。試験温度は25〜27℃の室温であった。未剥離を○、剥離を×とした。結果を表4に示す。
(1)実施例3−2及び実施例3−3の引張せん断試験後の剥離した状態の試験片を樹脂が付着している箇所を再度重ね合わせ、目玉クリップで固定した。70℃で20分間、100℃で20分間、200℃で2時間、オーブン中で加熱した後、オーブンから取り出して大気雰囲気下で放冷後、目玉クリップを取り除き、それぞれ実施例5−1、実施例5−2の試験片を作製した。こうして再接着した試験片に対し、再度引張せん断試験を実施した。引っ張りせん断応力が5MPa以上を○、5MPa未満を×とした。引張試験の結果を表5に示す。
(2)接着後の試験片(実施例5−2)を接着剤層を形成するポリマーのガラス転移温度以上の100℃で2分間加熱して剥離した。接着後の試験片は、加熱することにより、手で引っ張ることで簡単に剥離した。
その後、大気雰囲気下で放冷して室温になった基板について、接着剤が付着している箇所を再度重ね合わせ、上記の条件で再度接着させ、実施例5−3の試験片を作製した。実施例5−3の試験片に対し、再度引張せん断試験を実施した。引っ張りせん断応力が5MPa以上を○、5MPa未満を×とした。引張試験の結果を表6に示す。
長さ50mm、幅50mm、厚み0.7mmの2枚のガラスで、式(B)で表されるポリマーからなる接着剤(重量平均分子量(Mw):11×104、m(平均値):3.8)を挟み、目玉クリップで押さえた後、70℃で20分間、100℃で20分間、200℃で2時間、オーブン中で加熱した。加熱後、オーブンから取り出して大気雰囲気下で放冷した後、目玉クリップを取り除いて、サンプルを作製した。ヘーズメーター(日本電色工業(株)製 NDH 5000)を用いて、このサンプルの全光線透過率を測定した。ポリマー(接着剤層)の膜厚は200μmであった。リファレンスは同じ種類の基材のガラスを2枚重ねたものを使用した。サンプルの全光線透過率は91.8%であった。
表3から、本発明に係る接着層は、引っ張りせん断応力が大きいことがわかる。
表4から、本発明に係る接着剤は、ガラス基板、金属などの多種の基材(被着材)に強い接着性を有することがわかる。
表5及び6に示されたとおり、本発明に係る接着剤よりなる接着層は、引張せん断試験のように強制的に引き剥がさずとも、接着層を形成するポリマーのガラス転移温度以上に加熱することにより、簡単に剥離出来る。さらに、本発明に係る接着剤よりなる接着層は、再接着後も強い引張せん断応力を有し、再びガラス転移温度以上で加熱することで簡単に剥離可能であった。
また、本発明に係る接着剤よりなる接着層は、高い透明性を有することが確認された。
Claims (10)
- 下記式(A)で表され、ガラス転移温度が30℃以上200℃以下であるケイ素化合物を含む、ホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
(式(A)中、mは独立して1〜31の整数を表し;nは1〜1,000の整数を表し;R0は独立して炭素数6〜20のアリール又は炭素数5又は6のシクロアルキルを表し;R1及びR2は独立して、水素、炭素数2〜40のアルケニル、炭素数1〜40のアルキル、任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい炭素数6〜20のアリール、又はアリールにおける任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい炭素数7〜20のアリールアルキルを表し;
前記炭素数1〜40のアルキルにおいて、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
前記アリール又はアリールアルキルの置換基である炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン又はフェニレンで置き換えられてもよく;
前記アリールアルキルのアルキレンにおいて、その炭素数は1〜10であり、任意の水素は独立してフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−は独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。) - 式(A)中、R0がフェニルを含む、請求項1に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- 式(A)中、R1及びR2がメチルまたはフェニルを含む、請求項1又は2に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- 式(A)中、mが平均で1以上、10以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- 前記ケイ素化合物のガラス転移温度が30℃以上180℃以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- 前記ケイ素化合物のガラス転移温度以上の温度で被着材から可逆的に着脱できる、請求
項1〜5の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。 - ガラス、シリコンウェハ、金属、金属酸化物、プラスチックフィルム又は疎水化基材に接着可能である、請求項1〜6の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- 硬化剤を実質的に含まない、請求項1〜7の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- さらに無機フィラーを含む、請求項1〜8の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
- 前記ケイ素化合物以外の成分を実質的に含まない、請求項1〜8の何れか1項に記載のホットメルト型ポリシロキサン接着剤。
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