JP2019042917A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性を向上しつつ、突出している切れ刃の一端側の切れ刃をシャープにした切削工具を提供する。【解決手段】本発明の切削工具は、端面と、端面と交差する周側面と、端面と周側面との交差稜線部に切れ刃とを有する切削工具であって、切れ刃上に第1および第2の点A,Bを定めるとき、第1の点Aは第2の点Bよりも切削工具の外方に向かって突出している。切削工具は、その表面に被覆膜を有する。被覆膜の厚さは、第1の点Aから第2の点Bに向かうにつれ漸次大きくなる部分を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、切削加工に用いる切削工具に関する。
切削加工用の切削工具は、主に工具寿命を延長するため、被覆層を被覆したものがある。そして、切れ刃の部位によって被覆層の厚さを変化させる場合がある。例えば、特許文献1に示された突っ切り・溝入れ加工用の切削インサートは、基体の表面に被覆層を被覆し、被覆層のノーズ切れ刃における厚み(厚さ)が直線切れ刃における厚みよりも大きくされる。同文献には、このように被覆層の厚みを異ならせることで、ドロップレットの直径を制御することが記載されている。さらに、切れ刃の強化のため、切れ刃にホーニングが付与され、ホーニングの大きさについて、直線切れ刃よりもノーズ切れ刃の方が大きくされる。
特開2010−228016号公報
特許文献1の切削インサートのように、被覆層のノーズ切れ刃における厚さが直線切れ刃における厚さよりも大きくされると、結果的に切れ刃の両端部の丸み(ホーニング面)が大きくなり、両端部における切れ刃の切削抵抗が増大し、加工される被加工物の仕上げ面の品位が低下する場合がある。特に、切れ刃の一端側が他端側よりも外方に突出している切削工具において、被加工物の仕上げ面の品位を向上するために、耐摩耗性を向上しつつ、突出している切れ刃の一端側の切れ刃を、シャープにしたい場合がある。
本発明の切削工具は、端面と、端面と交差する周側面と、端面と周側面との交差稜線部に切れ刃とを有する切削工具であって、切れ刃の上に第1および第2の点A,Bを定めるとき、第1の点Aは第2の点Bよりも切削工具の外方に向かって突出している。切削工具は、その表面に被覆膜を有する。切れ刃は、第1の点Aから第2の点Bに向かうにつれ、被覆膜の厚さが漸次大きくなる部分を有する。
また、本開示に係る切削工具は、長手方向及びこれに垂直な短手方向を有する上面と、端面と反対方向を向き、長手方向及び短手方向を有する下面と、上面と下面に接続され、長手方向を向いた第1の側面と、上面と下面と第1の側面に接続され、短手方向を向いた第2の側面と、上面と下面と第2の側面に接続され、長手方向を向いた第3の側面と、上面と下面と第3の側面と第1の側面に接続され、短手方向を向いた第4の側面と、上面と第1の側面との接続部に形成され、上面に対向する方向から見た上面視において、第2の側面と第4の側面を通過し、短手方向に平行な直線からの距離が、第2の側面から第4の側面に近づくほど大きくなるように第2の側面及び第4の側面に対して傾斜する切れ刃と、少なくとも切れ刃を含む表面に形成された被覆層と、を備える。そして、切れ刃に形成された被覆層の膜厚は、上面視において第2の側面より第4の側面に近い第1点から第4の側面より第2の側面に近く、第1点から切れ刃の過半以上離間する第2点にかけて漸増する。
本発明の第1の実施形態に係る切削工具(切削インサート)の斜視図である。 図1の切削工具の部分拡大斜視図である。 図1の切削工具の部分拡大平面図である。 図3のIV−IV切断面による拡大断面図である。 図3のV−V切断面による拡大断面図である。 図1の切削工具の平面図である。 図1の切削工具の右側面図である。 図1の切削工具の左側面図である。 図1の切削工具をホルダに装着した状態の斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る切削工具(切削インサート)の部分拡大斜視図である。 図10の切削工具の部分拡大平面図である。 図11のXII−XII切断面による拡大断面図である。 図12のXIII−XIII切断面による拡大断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の一形態に係る切削工具1を示す斜視図である。なお、ここでは切削インサートを切削工具1と呼称している。しかし、切削インサートと、切削インサートが着脱自在に装着されるホルダ2(図9)とを含めて切削工具1と呼称してもよい。以下の説明においては、一例として、切削インサートを切削工具1と呼称しているに過ぎない。
図1から図3、及び図6から図8に切削工具1の形状を示す。切削工具1は、基部22と、基部22から突出する2つの切削部23とを有する。図1における端面10に対向する方向から見た端面視(又は上面視という)である図6に示すように、切削工具1は、略多角形の第1の端面10を有する。第1の端面10の内、基部22に相当する部分は、紙面垂直方向に長い長手方向の辺と、これに垂直な短手方向の辺とを備える略四角形(略長方形)である。2つの切削部23は、基部22の長手方向両端にそれぞれ接続するように一体的に形成される。また、例えば図7に示されるように、切削工具1は、第1の端面10と対向する第2の端面11を有する。ここでは、便宜的に、第1の端面10を上面と呼称し、第2の端面11を下面と呼称する。切削工具1は、上面10と下面11との間をつなぐ周側面12を有する。周側面12は、4つの側面部分である第1から第4の側面13、14、15、16を、周回りでこの順に有する。図6に示される端面視において、第1の側面13は長手方向を向き、これに接続される第2の側面14は短手方向に向き、これに接続される第3の側面15は、第1の側面13とは反対方向の長手方向を向き、これと第1の側面13に接続される第4の側面16は、第2の側面14とは反対方向の短手方向を向く。ここでは、第1の側面13の側を正面と呼称する。切削工具1は、上面10と周側面12との交差稜線部に切れ刃20を有する。換言すると、上面10と周側面12との接続部の少なくとも一部は、切れ刃20として機能する。切削工具1は、下面11と周側面12との交差稜線部にも切れ刃20を有する。切削工具1は、第2の側面14と第4の側面16とを貫通する穴24を有する。図1及び図6に示されるとおり、この穴24の中心軸線Cは、第2の側面14及び第4の側面16と垂直であり、短手方向に平行である。なお、第2及び第4の側面14、16は、上面10及び下面11よりも面積が広い。第4の側面16は、後述するホルダ2へ装着するときの着座面となる平面部を穴24の周りに有する。この平面部は図8の基部22に相当する部分である。平面部は略平行四辺形である。図6及び図8に示すように、基部22の第4の側面16と上面10との交差稜線部は、大きな面取り面を有する。同様に、基部22の第4の側面16と下面11との交差稜線部は、大きな面取り面を有する。これらの面取り面の大きさは、例えば約0.5mmである。
図9に示すように、切削工具1は、例えば一方向に長い細長で四角柱状のホルダ2に装着することができる。切削工具(切削インサート)1は、締め付けねじなどのクランプ部材を用いて、穴24をクランプ部材で押えることによりホルダ2へ固定できる。例えば、ホルダ2に雌ねじを設け、穴24に雄ねじを挿通させて雌ねじと螺合し、雄ねじの頭部で第2の側面14の内、基部22の部分をホルダ2方向に押圧し、第4の側面16の内、基部22の部分をホルダ2方向に接触させることにより、切削工具1をホルダ2に装着することができる。更に、切削工具1の基部22の上面10側及び下面11側には、それぞれ2つの突部が形成されているため、この2つの突部の一方、又は、双方の曲面からなる表面に対向するように、基部22の上面10及び下面11側に沿った曲面を有する壁部をインサート座にそれぞれ設け、切削時に、2つの突部の一方、又は、双方の曲面からなる表面をホルダ2のインサート座の壁部に当接させることにより、被加工物の回転方向に対しても切削工具1をホルダ2に安定して固定することが可能になる。このように構成することにより、例えば上面10と下面11と第4の側面16とがホルダ2のインサート座と当接する。切削工具1の穴24を締め付けねじで押える場合は、穴24が第2の側面14に向かって拡径部を有するように構成するとよい。すなわち、穴24は最小直径部を締め付けねじの軸部が通過でき、締め付けねじの頭部が穴24の拡径部と当接するように構成するとよい。
この実施形態に係る切削工具1は、穴24の中心軸線Cの周りに180°回転対称な形状である。このため、切削工具1は同一形状の2組の切れ刃20を有する。以下では、1組の切れ刃20を中心に説明し、他の組の切れ刃20については、同様であるため説明を省略する。切れ刃20以外の周辺形状についても同様とする。ただし、図1及び図7に示すように、切削工具1には切れ刃の使用順序の目安となるマークなどを付す場合がある。この実施形態に係る切削工具1は、一方の切れ刃20側の1箇所に、丸い凹状のマークを有する。このようなマークを有することによる非対称性は許容される。
図3に示すように、上面10と第1の側面13との間には、第1の稜線17が形成され、この第1の稜線17は第1の切れ刃20aを含んでいる。ここでは、第1の切れ刃20aを正面切れ刃と呼称する。そして、上面10と第2の側面14との間には、第2の稜線18が形成され、上面10と第4の側面16との間には、第3の稜線19が形成されている。第1の切れ刃20aと第3の稜線19との間、すなわち、第1の切れ刃20aの第4の側面16側の端部には、第1の切れ刃20aに接続する第1のコーナ切れ刃20bが配置されている。第1の切れ刃20aと第2の稜線18との間、すなわち、第1の切れ刃20aの第2の側面12側の端部には、第1の切れ刃20aに接続する第2のコーナ切れ刃20cが配置されている。第1の切れ刃20aは、第2のコーナ切れ刃20c側に対して、第1のコーナ切れ刃20b側が外方に突出している。すなわち、上面10に対向する方向から見た図3において、第1の切れ刃20aは、左側が下側に下がっている。換言すると、上面10と対向する方向から見て、第1の切れ刃20aの延びる方向は、第4の側面16と鋭角である。従って、図6に示す上面視に示されるとおり、切削工具1の基部22における第2側面14の中央部と第4側面16の中央部を垂直に貫通する中心軸線Cを基準としたときに、この中心軸線Cと第1の切れ刃20aとの距離は、第2側面14から第4側面16に近づくほど大きくなるように第2側面14及び第4側面16に対して傾斜する。更に、切削部23における第2側面14及び第4側面16も、中心軸線Cと垂直な方向に対して、わずかに傾斜している。具体的には、上面視において、第4側面16は、上面10と第1の側面13とを接続する第1の稜線17に形成される第1切れ刃20aの端部に形成される第1のコーナ切れ刃20bから離れ、中心軸線Cに近づくほど第2側面14に近づくように中心軸線Cと垂直な方向に対して傾斜する。また、第2側面14は、第1切れ刃20aの他方の端部に形成される第2のコーナ切れ刃20cから離れ、中心軸線Cに近づくほど第4側面16に近づくように中心軸線Cと垂直な方向に対して傾斜する。従って、例えば図6に示されるように切削部23の上面視における短手方向の幅は、基部22から離れ第1側面13又は第3側面15に近づくほど漸増する。第1の切れ刃20aは、第4の側面16に対して内角で、例えば約85°の方向に延びている。第1の切れ刃20aの長さは、例えば約2mmである。上面10に対向する方向から見て、第1のコーナ切れ刃20bは、略円弧形状をなし、その曲率半径が、例えば約0.2mmである。上面10に対向する方向から見て、第2のコーナ切れ刃20cは、略円弧形状をなし、その曲率半径が、例えば約0.2mmである。切削工具1がホルダ2に装着されたとき、例えば、中心軸線Cと平行な軸中心に回転する被加工物に対し、中心軸線Cと垂直な方向に切削工具1を被加工物に対して相対移動させることにより突っ切り加工又は溝入れ加工を行う。このため、第1の切れ刃20aの長さが、被加工物に対する突っ切り加工又は溝入れ加工の幅に相当する。第1のコーナ切れ刃20bから第2のコーナ切れ刃20cまでの外接寸法は、例えば約2mmである。
切削工具1の第2の側面14から第4の側面16までの外接寸法は、例えば約3mmである。切削工具1の第1の側面13から第3の側面15までの外接寸法は、例えば約28mmである。切削工具1の上面10から下面11までの外接寸法は、例えば約11mmである。穴24の直径は、例えば最小部で約5mmである。穴24は、例えばM4.5(メートルねじ)の締め付けねじに対応する形状である。
切削工具1は、その表面に、PVD法(Physical Vapor Depositionの略で、物理気層成長法ともいう)による被覆膜25を有している。図3に示されるように、切れ刃20上に、第4の側面16に近い領域と、第2の側面14に近い領域に位置する任意の2点を定め、それぞれ第1の点A及び第2の点Bと呼称する。従って、第1の点Aは、第2のコーナ切れ刃20よりも第1のコーナ切れ刃20b側の点であり、第2の点Bは、第1のコーナ切れ刃20bよりも第2のコーナ切れ刃20c側の点である。ここでは、ホーニング面21の最も外方である両端部に第1及び第2の点A、Bを配置している。第1の点Aは第2の点Bよりも切削工具1の外方に(端面視において回転中心軸線Cと直交する長手方向の外方)に位置している。図4及び図5は、図3のIV−IV切断面及びV−V切断面における、切れ刃20の断面形状を示す。すなわち、図4及び図5は、第1の切れ刃20aと直交し、なおかつ上面10とも直交するIV−IV切断面及びV−V切断面における、切れ刃20の断面形状を示す。IV−IV切断面は第1のコーナ切れ刃20b側の第1の点Aを通る切断面であり、V−V切断面は第2のコーナ切れ刃20c側の第2の点Bを通る切断面である。図4に示すように、切れ刃20のIV−IV切断面における被覆膜25の平均厚さを第1の厚さT1とする。なお、ここで言う平均厚さとは、被覆膜25の表面や界面における微小な凹凸の影響を排除した厚さのことである。また、すくい面側と逃げ面側とで厚さが異なる場合なども、平均化して比較するとよい。図5に示すように、切れ刃20(ホーニング面21)のV−V切断面における被覆膜25の平均厚さを第2の厚さT2とする。この実施形態に係る切削工具1は、第1の厚さT1が、例えば約1μmであり、第2の厚さT2が、例えば約5μmである。すなわち、第1の厚さT1は、第2の厚さT2に対して、約20%としている。換言すると、第2の厚さT2と第1の厚さT1との差は、第2の厚さT2に対して約80%としている。なお、図4の断面形状は、断面形状がわかりやすくなるように大きく拡大した。従って、本実施形態に係る切削工具1は、第2の点Bにおける被覆膜25の膜厚T2は、第1の点Aにおける被覆膜25の膜厚T1の約5倍もの差を有するが、これに限られるものではなく、少なくとも2倍の差程度であってもよい。このため、図4の断面形状は、図5の断面形状と拡大倍率が異なる。また、この実施形態に係る切削工具1は、全体的に見ると、上面10と下面11とが平行であるため、上面10と直交するIV−IV切断面及びV−V切断面が下面11とも直交する。
図3に示すように、切れ刃20にはホーニング面21を付与している。図4に示すように、切れ刃20のIV−IV切断面における曲率半径を第1の曲率半径R1とする。図5に示すように、切れ刃20(ホーニング面21)のV−V切断面における曲率半径を第2の曲率半径R2とする。切れ刃20の第1のコーナ切れ刃20b側の断面形状は、第1の曲率半径R1が、例えば約0.001mmの略円弧形状である。すなわち、図4に示すとおり、切れ刃20は、被覆膜のない、すなわち、被覆膜25を取り除いた超高圧焼結体等からなる母材部分がシャープに、すなわち、エッジを有するように形成され、被覆膜25によって丸みが付されている。このように、母材部分にホーニングを形成せず、かつ、母材部分の表面に形成する被覆膜25の膜厚を小さくされているため、微小な丸みが付されている。一方で、切れ刃20(ホーニング面21)の第2のコーナ切れ刃20c側の断面形状は、第2の曲率半径R2が、例えば約0.03mmの略円弧形状である。このように、母材部分にホーニングを形成し、かつ、母材部分の表面に形成する被覆膜25の膜厚を大きくすることにより、大きなホーニング面21を切れ刃20に形成することが可能になる。すなわち、垂直断面における切れ刃20の第1の曲率半径R1は、第2の曲率半径R2に対して、約3%としている。
図4に示すように、上面10に対向する方向から見たときの切れ刃20のIV−IV切断面における幅を第1の幅W1とする。図5に示すように、上面10に対向する方向から見たときの切れ刃20(ホーニング面21)のV−V切断面における幅を第2の幅W2とする。この実施形態に係る切削工具1は、第1のコーナ切れ刃20b側の第1の幅W1が、例えば約0.001mmであり、第2のコーナ切れ刃20c側の第2の幅W2が、例えば約0.03mmである。すなわち、第1の幅W1は、第2の幅W2に対して、約3%としている。
図4に示すように、第1の側面13に対向する方向から見たときの切れ刃20のIVIV切断面における高さを第1の高さH1とする。図5に示すように、第1の側面13に対向する方向から見たときの切れ刃20(ホーニング面21)のV−V切断面における高さを第2の高さH2とする。この実施形態に係る切削工具1は、第1のコーナ切れ刃20b側の第1の高さH1が、例えば約0.001mmであり、第2のコーナ切れ刃20c側の第2の高さH2が、例えば約0.03mmである。すなわち、第1の高さH1は、第2の高さH2に対して、約3%としている。更に、母材部分には、切れ刃20aの第1のコーナ切れ刃20bに接続する一端付近ではエッジを有し、切れ刃20aの途中から、第2のコーナ切れ刃20cの他端に至るまで、第2のコーナ切れ刃20cに近づくほど、端面視及び側面視における幅及び高さが大きくなるようなホーニングが形成されている。また、母材部分の表面を含む領域に形成される被覆膜25の厚さは、切れ刃20aの第1のコーナ切れ刃20bに接続する一端付近では、0.001mm(1μm)程度と小さく、第2のコーナ切れ刃20cの他端に至るまで、第2のコーナ切れ刃20cに近づくほど大きくなるように構成されている。このため、図3に示されるとおり、切れ刃20aの第1のコーナ切れ刃20bに接続する一端から、第2のコーナ切れ刃20cの他端に至る切れ刃20aの全域にわたり、切れ刃20aはホーニング面21を有し、かつ、端面視においても、側面視(不図示)においても、その幅は漸増(すなわち、単調に増加)する。このため、端面視における、切削部23における第4側面16と、切れ刃20aの中心軸線Cから最も遠い境界線とがなす角度よりも、切削部23における第4側面16と、切れ刃20aのホーニング面21と上面10のすくい面との境界線とがなす角度の方が小さくなる。なお、ホーニング面21の幅又は高さが一定となる領域を、一部に設けてもよい。また、切れ刃20aの両端部においてホーニング面21の幅又は高さが局所的に小さくなるような部分があってもよい。ただし、少なくとも切れ刃20aの過半にわたり、端面視におけるホーニング幅及び高さが漸増する領域を形成することが好ましい。
切れ刃20に接続する周側面12の部分は逃げ面として機能する。この実施形態に係る切削工具1は、第1の切れ刃20aに接続する第1の側面13の部分に、切削工具1単体で正の逃げ角を付与している。切削工具1単体での逃げ角は、例えば約7°である。
切削工具1は、上面10にチップブレーカを有する。切れ刃20に接続する上面10の部分はすくい面として機能する。この実施形態に係る切削工具1は、第1の切れ刃20aに接続する上面10の部分に、切削工具1単体で正のすくい角を付与している。ここでの「正のすくい角」とは、第1の切れ刃20aから離間するにつれ、第2の端面11に近づくように傾斜している場合の角度を指す。切削工具1単体でのすくい角は、例えば約20°である。従って、切削工具1は、正のすくい角及び正の逃げ角を有し、かつ、第2側面14及び第4側面16も、第1の切れ刃20aから離れるほど端面視における短手方向の幅が小さくなるように傾斜している。このため、第1の切れ刃20aによる切れ味、特に、被加工物の仕上げ面の平滑性を担保することが可能になる。また、第2側面14及び第4側面16が第1の切れ刃20aによる切削の際に、仕上げ面等に衝突する可能性を少なくし、第1の切れ刃20aによる好適な切削を実現することができる。
次に、第2の実施形態に係る切削工具100を説明する。切削工具100の説明は、第1の実施形態に係る切削工具1との主たる違いのみを説明し、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
図10から図13に切削工具100の形状を示す。切削工具100は、基部22と、基部22から突出する2つの切削部23とを有する。この実施形態に係る切削工具100は、穴24の中心軸線Cの周りに180°回転対称な形状である。このため、切削工具100は同一形状の2組の切れ刃20を有する。以下では、1組の切れ刃20を中心に説明し、他の組の切れ刃20については、同様であるため説明を省略する。切れ刃20以外の周辺形状についても同様に説明を省略する。
図10及び図11に示すように、上面10と第1の側面13との間には、第1の稜線17が形成され、この第1の稜線17は第3の切れ刃120aを含んでいる。ここでは、第3の切れ刃120aを正面切れ刃と呼称する。そして、上面10と第2の側面14との間には、第2の稜線18が形成され、上面10と第4の側面16との間には、第3の稜線19が形成されている。第3の切れ刃120aと第3の稜線19との間、すなわち、第3の切れ刃120aの第4の側面16側の端部には、第3の切れ刃120aに接続する第3のコーナ切れ刃120bが配置されている。第3の切れ刃120aと第2の稜線18との間、すなわち、第3の切れ刃120aの第2の側面14側の端部には、第3の切れ刃120aに接続する第4のコーナ切れ刃120cが配置されている。第3の切れ刃120aは、第4のコーナ切れ刃120c側に対して、第3のコーナ切れ刃120b側が外方に突出している。すなわち、上面10に対向する方向から見た図11において、第3の切れ刃120aは、左側が下側に下がっている。換言すると、上面10と対向する方向から見て、第3の切れ刃120aの延びる方向は、第4の側面16と鋭角である。第3の切れ刃120aは、第4の側面16に対して内角で、例えば約85°の方向に延びている。従って、図11に示す上面視に示されるとおり、切削工具100の第2側面14と第4側面16を垂直に貫通する短軸方向の直線を基準としたときに、この直線と第3の切れ刃120aとの距離は、第2側面14から第4側面16に近づくほど大きくなるように第2側面14及び第4側面16に対して傾斜する。また、第3の切れ刃120aの長さは、例えば約2mmである。上面10に対向する方向から見て、第3のコーナ切れ刃120bは、略円弧形状をなし、その曲率半径が、例えば約0.2mmである。上面10に対向する方向から見て、第4のコーナ切れ刃120cは、略円弧形状をなし、その曲率半径が、例えば約0.2mmである。切削工具100がホルダ2に装着されたとき、被加工物に対する突っ切り加工又は溝入れ加工の幅に相当する、第3のコーナ切れ刃120bから第4のコーナ切れ刃120cまでの外接寸法は、例えば約2mmである。
切削工具100は、その表面にCVD法(Chemical Vapor Depositionの略で、化学気層成長法ともいう)、による被覆膜25を有している。切れ刃120の上に、第2の側面14より第4の側面16に近い第1点と、第4の側面16より第2の側面14に近い任意の2点を定め、それぞれ第1の点A及び第2の点Bと呼称する。従って、第1の点Aは、第3のコーナ切れ刃120b側の点であり、第2の点Bは、第4のコーナ切れ刃120c側の点であるから、第1の点Aは第2の点Bよりも切削工具1の外方に突出している。第1の点Aと第2の点B間の距離は、第3の切れ刃120aの全長の過半以上であることが好ましい。図12及び図13は、図11のXII−XII切断面及びXIII−XIII切断面における、切れ刃120の断面形状を示す。すなわち、図12及び図13は、第3の切れ刃120aと直交し、なおかつ上面10とも直交するXII−XII切断面及びXIII−XIII切断面における、切れ刃120の断面形状を示す。XII−XII切断面は第3のコーナ切れ刃120b側の第1の点Aを通る切断面であり、XIII−XIII切断面は第4のコーナ切れ刃120c側の第2の点Bを通る切断面である。図12に示すように、切れ刃120(ホーニング面21)のXII−XII切断面における被覆膜25の平均厚さを第3の厚さT3とする。図13に示すように、切れ刃120(ホーニング面21)のXIII−XIII切断面における被覆膜25の平均厚さを第4の厚さT4とする。この実施形態に係る切削工具100は、第3の厚さT3が、例えば約5μmであり、第4の厚さT2が、例えば約10μmである。すなわち、第3の厚さT3は、第4の厚さT4に対して、約50%としている。換言すると、第4の厚さT4と第3の厚さT3との差は、第4の厚さT4に対して約50%としている。なお、この実施形態に係る切削工具100は、全体的に見ると、上面10と下面11とが平行であるため、上面10と直交するXIIXII切断面及びXIII−XIII切断面が下面11とも直交する。
図10及び図11に示すように、切れ刃120にはホーニング面21を付与している。
図12に示すように、切れ刃120(ホーニング面21)のXII−XII切断面における曲率半径を第3の曲率半径R3とする。図13に示すように、切れ刃120(ホーニング面21)のXIII−XIII切断面における曲率半径を第4の曲率半径R4とする。切れ刃120の第3のコーナ切れ刃120b側の断面形状は、第3の曲率半径R3が、例えば約0.03mmの略円弧形状である。切れ刃120(ホーニング面21)の第4のコーナ切れ刃120c側の断面形状は、第4の曲率半径R4が、例えば約0.05mmの略円弧形状である。すなわち、第3の曲率半径R3は、第4の曲率半径R4に対して、約60%としている。
図12に示すように、上面10に対向する方向から見たときの切れ刃120(ホーニング面21)のXII−XII切断面における幅を第3の幅W3とする。図13に示すように、上面10に対向する方向から見たときの切れ刃120(ホーニング面21)のXIII−XIII切断面における幅を第4の幅W4とする。この実施形態に係る切削工具100は、第3のコーナ切れ刃120b側の第3の幅W3が、例えば約0.03mmであり、第4のコーナ切れ刃120c側の第4の幅W4が、例えば約0.05mmである。すなわち、第3の幅W3は、第4の幅W4に対して、約60%としている。
図12に示すように、第1の側面13に対向する方向から見たときの切れ刃120(ホーニング面21)のXII−XII切断面における高さを第3の高さH3とする。図13に示すように、第1の側面13に対向する方向から見たときの切れ刃120(ホーニング面21)のXIII−XIII切断面における高さを第4の高さH4とする。この実施形態に係る切削工具100は、第3のコーナ切れ刃120b側の第3の高さH3が、例えば約0.03mmであり、第4のコーナ切れ刃120c側の第4の高さH4が、例えば約0.05mmである。すなわち、第3の高さH3は、第4の高さH4に対して、約60%としている。更に、被覆膜25が表面に形成される超高圧焼結体からなる母材部分は、第3のコーナ切れ刃120bとの接続部から、第4のコーナ切れ刃120cとの接続部にわたり、幅及び高さが漸増するホーニングが形成されている。また、母材部分の表面を含む領域に形成される被覆膜25の厚さは、切れ刃120aの第3のコーナ切れ刃120bに接続する一端付近では、0.03mm(30μm)程度と小さく、0.05mm(50μm)程度と大きな膜厚が形成される第4のコーナ切れ刃120cの他端に至るまで、第4のコーナ切れ刃120cに近づくほど大きくなるように構成されている。このため、切れ刃120aの第3のコーナ切れ刃120bに接続する一端から、第4のコーナ切れ刃120cの他端に至る切れ刃120aの全域にわたり、切れ刃120aはホーニング面21を有し、かつ、端面視においても、側面視においても、その幅は漸増(すなわち、単調に増加)する。なお、ホーニング面21の幅又は高さが一定となる領域を、一部に設けてもよい。また、切れ刃20aの両端部においてホーニング面21の幅又は高さが局所的に小さくなるような部分があってもよい。ただし、少なくとも切れ刃120aの過半にわたり、端面視におけるホーニング幅及び高さが漸増する領域を形成することが好ましい。
切れ刃120に接続する周側面12の部分は逃げ面として機能する。この実施形態に係る切削工具100は、第3の切れ刃120aに接続する第1の側面13の部分に、切削工具100単体で正の逃げ角を付与している。切削工具100単体での逃げ角は、例えば約7°である。
切削工具100は、上面10にチップブレーカを有する。切れ刃120に接続する上面10の部分はすくい面として機能する。この実施形態に係る切削工具100は、第3の切れ刃120aに接続する上面10の部分に、切削工具100単体で正のすくい角を付与している。切削工具100単体でのすくい角は、例えば約20°である
切削工具1、100の切れ刃20、120周辺の材質は、特に限定されるものではないが、例えば超硬合金、サーメット、セラミックスおよび立方晶窒化ほう素を含む焼結体等の硬質材料の表面にPVD又はCVDによる被覆膜を被膜したものの中から選定するとよい。
以上のように構成された切削工具(切削インサート)1、100は、次のように製造される。まず、材料をプレス成形し、焼結することにより、切削工具1の外形を成形する。その後、必要に応じて研削加工などを行う。このとき、ホーニング面21も形成する。切削工具1の場合は、第1のコーナ切れ刃20b付近の第1の切れ刃20aにはエッジが残され、第1の切れ刃20aの途中から、第2のコーナ切れ刃20cに近づくほど大きくなるようなホーニング面21が形成される。切削工具100の場合は、第3のコーナ切れ刃120b付近の第3の切れ刃120aから、第4のコーナ切れ刃120cに近づくほど大きくなるようなホーニング面21が形成される。ホーニング面21は、研削砥石による加工方法の他、ブラシによる加工方法、遊離砥粒による加工方法、ラバー砥石による加工方法、レーザー光線による加工方法など、既知の様々な方法で形成できる。
さらに、PVD法やCVD法による被覆膜25が付加される。被覆膜25の厚さを変化させるには、被覆膜25の一部を除去する方法がある。被覆膜25の一部を除去する方法には、例えば、ブラシによる加工方法がある。ブラシによる加工方法では、加工する切れ刃20、120に対して、ブラシの当たり方を変化させることで、除去量を調整できる。例えば、第1のコーナ切れ刃20b側でブラシが強く当たり、第2のコーナ切れ刃20c側でブラシが弱く当たるように、ブラシの当たり方を調整する。例えば、ブラシを接触させる角度を変化させることで、被覆膜25の膜厚を調整することができる。なお、被覆膜25の一部を除去する他の方法として、遊離砥粒による加工方法、又はレーザー光線による加工方法などがある。
ただし、被覆膜25の厚さを変化させる方法は、被覆膜25の一部を除去する方法に限定されない。例えば、コーティング時の条件を調整して、被覆膜25の厚さを傾斜的に生成することもできる。コーティング時の条件を調整する方法には、例えばPVD法において遮蔽物による影を作る方法などがある。遮蔽物による影を作ると、基本的には影の部分に被覆膜25が形成されなくなる。この遮蔽物をコーティング中に移動させることで、被覆膜25の膜厚を調整することができる。例えば、薄い部分の厚さの被覆膜25が形成されたところで、切れ刃20、120の一部に遮蔽物による影を作り始め、徐々に遮蔽物を移動すると、切れ刃20、120の位置により任意の膜厚に徐々に変化する切削工具1、100が製作できる。または、遮蔽物を切れ刃20、120から少し離れた位置に配置することでも被覆膜25の膜厚を調整することができる。遮蔽物を切れ刃20、120から少し離れた位置に配置することにより、境界部での影の濃さが徐々に変化し、その結果、切れ刃20、120の被覆膜25の厚さを徐々に変化させることができる。このように、被覆膜25をPVD等で被膜する際に、切れ刃20、120と、切れ刃20、120に近接して遮蔽物を配置し、遮蔽物を相対的に移動させながら被覆を行うことにより、すなわち、被覆膜25の厚さを大きくしたい第2のコーナ切れ刃20c及び第4のコーナ切れ刃120c付近は、被覆材料のターゲットに対して露出し、第1のコーナ切れ刃20b及び第2のコーナ切れ刃120bを含むそれ以外の領域は遮蔽される初期状態から、被覆材料のターゲットに対して露出する切れ刃20、120の領域が次第に大きくなるように、遮蔽物を相対的に移動させながら被覆を行うことにより、切れ刃20、120の被覆膜25の厚さを徐々に変化させることができる。
なお、ホーニング面21の大きさを変化させる場合は、その加工条件を切れ刃20、120の加工部位に応じて調整する。例えばブラシによる加工方法の場合は、ブラシを接触させる角度を変化させることで、形成されるホーニング面21の断面形状及び各種寸法を調整することができる。例えば、第1のコーナ切れ刃側は弱く接触させ、第2のコーナ切れ刃側を強く接触させるようにブラシを接触させる角度を調整すると、第1の実施形態に係る切削工具1のようなホーニング面21を得られる。
切削工具1、100は、図9に示すように締め付けねじを穴24に差し込んで締め付けねじにより締め付けることによりホルダ2に取り付けられる。なお、この切削工具1、100の固定方法は特に限定されず、押さえ駒やくさび、レバー、偏心ピンなどにより固定してもよい。旋盤加工時には、被切削物を旋盤のチャックに固定し、水平軸周りに回転させる。そして、切削工具1、100の切れ刃20、120側を被切削物に近づけて、切れ刃20、120により被切削物を切削する。
次に、この実施形態に係る切削工具1、100が奏する作用と効果について説明する。
また、本発明の好ましい形態についても説明する。
切削工具1、100は、旋盤による突っ切り・溝入れ加工に適する。突っ切り・溝入れ加工に用いるときは、第1の切れ刃20a又は第3の切れ刃120aが正面切れ刃とされるとよい。第1の実施形態に係る切削工具1は、第1の切れ刃20a、第1のコーナ切れ刃20b、及び第2のコーナ切れ刃20cによって加工される溝の幅が決定される。第2の実施形態に係る切削工具100は、第3の切れ刃120a、第3のコーナ切れ刃120b、及び第4のコーナ切れ刃120cによって加工される溝の幅が決定される。
前述のとおり、切削工具1の被覆膜25の厚さは、第1のコーナ切れ刃20b側の第1の厚さT1が、第2のコーナ切れ刃20c側の第2の厚さT2よりも薄い。又は、切削工具100の被覆膜25の厚さは、第3のコーナ切れ刃120b側の第3の厚さT3が、第4のコーナ切れ刃120c側の第4の厚さT4よりも薄い。例えば、突っ切り加工において、第1切れ刃21a又は第3の切れ刃120aが正面切れ刃とされ、第1のコーナ切れ刃20b側又は第3のコーナ切れ刃120b側が、先端側に突出するとき、第1のコーナ切れ刃20b又は第3のコーナ切れ刃120bは、切り落とされる被加工物の加工面の仕上げ用切れ刃として作用するため、切れ味のよい小さな断面形状が好ましい。被覆膜25が薄い部分は、ホーニング面も小さくすることが好ましい。被覆膜25が薄い部分は、切削工具1のように、ホーニング面を配置しない、シャープな切れ刃20にすることが、さらに好ましい。
被覆膜25が薄い部分は、小さな断面形状と相まって切れ刃20、120の切れ味を向上することができる。一方、被覆膜25が厚い部分は摩耗に強くなり、切削工具1、100の寿命を延長することができる。被覆膜25の厚さの差は、厚い方の厚さに対して20%以上90%以下が好ましい。すなわち、第2の厚さT2と第1の厚さT1の差は、第2の厚さT2に対して20%以上90%以下が好ましく、第4の厚さT4と第3の厚さT3の差は、第4の厚さT4に対して20%以上90%以下が好ましい。被覆膜25の厚さの差が20%未満の場合は、膜厚が均一な場合と比較して顕著な効果が見られない。被覆膜25の厚さの差が90%を超える場合は、そのような被覆膜25を製造するコストが急激に増加しやすい。
被覆膜25の厚さの差は、1μm以上30μm以下が好ましい。すなわち、第2の厚さT2と第1の厚さT1の差は1μm以上30μm以下が好ましく、第4の厚さT4と第3の厚さT3の差は1μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの差にすることで、被覆膜25が薄い部分は、小さな断面形状と相まって切れ刃20、120の切れ味を向上することができる一方、被覆膜25が厚い部分は摩耗に強くなり、切削工具1、100の寿命を延長することができる。被覆膜25の厚さの差が1μm未満の場合は、膜厚が均一な場合と比較して顕著な効果が見られない。被覆膜25の厚さの差が30μmを超える場合は、そのような被覆膜25を製造するコストが急激に増加しやすい。
切削工具1、100のホーニング面21の大きさは、被覆膜25の厚さと同じ傾向に増加することが好ましい。すなわち、切削工具1の第1の厚さT1が第2の厚さT2より薄い場合、第1の切れ刃20aのホーニング面21は、第1のコーナ切れ刃20b側の方が第2のコーナ切れ刃20c側よりも小さいことが好ましい。また、切削工具100の第3の厚さT3が第4の厚さT4より薄い場合、第3の切れ刃120aのホーニング面21は、第3のコーナ切れ刃120b側の方が第4のコーナ切れ刃120c側よりも小さいことが好ましい。
ホーニング面21の断面形状は、略円弧形状に限定されない。例えば、略直線形状、少なくとも1つの直線と少なくとも1つの円弧とを組み合わせたような複合形状、複数の円弧を組み合わせたような複合形状、及び略楕円形状なども適用できる。なお、突っ切り・溝入れ加工に用いるときは、略円弧形状が好ましい。略円弧形状にするとき、曲率半径は、0.001mm以上0.1mm以下が好ましい。曲率半径の最大値と最小値との差は、0.003mm以上0.1mm以下が好ましい。これらの数値範囲にすると、分離される部分の加工面品位が高く、なおかつ切れ刃20、120が欠損などの異常な損傷を防止できる切削工具1、100が提供できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の切削工具は、種々の変更が可能である。例えば、前述の実施形態では、突っ切り・溝入れ加工に適する形状を紹介したが、これに限定されない。後挽き加工のように、切れ刃の一方が突出し、他方が後退している切削工具など、様々な形態のものに適用できる。
本発明の切削工具は、切削インサートを用いる形態の切削工具に限定されない。チップをろう付けする形態の切削工具にも適用可能である。また、旋削工具に限定されず、転削工具や穴加工工具等のその他の形態の切削工具にも適用可能である。
前述した実施形態では本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明については、請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることを理解されなければならない。すなわち、本発明には、請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。
1 第1の実施形態に係る切削工具(切削インサート)
2 ホルダ
10 第1の端面
11 第2の端面
12 周側面
13 第1の側面
14 第2の側面
15 第3の側面
16 第4の側面
17 第1の稜線
18 第2の稜線
19 第3の稜線
20 切れ刃
20a 第1の切れ刃
20b 第1のコーナ切れ刃
20c 第2のコーナ切れ刃
21 ホーニング面
22 基部
23 切削部
24 穴
25 被覆膜
100 第2の実施形態に係る切削工具(切削インサート)
120 切れ刃
120a 第2の切れ刃
120b 第3のコーナ切れ刃
120c 第4のコーナ切れ刃
A 切れ刃の上の第1の点
B 切れ刃の上の第2の点
H1 第1の高さ
H2 第2の高さ
H3 第3の高さ
H4 第4の高さ
R1 第1の曲率半径
R2 第2の曲率半径
R3 第3の曲率半径
R4 第4の曲率半径
T1 第1の厚さ
T2 第2の厚さ
T3 第3の厚さ
T4 第4の厚さ
W1 第1の幅
W2 第2の幅
W3 第3の幅
W4 第4の幅

Claims (12)

  1. 端面(10)と、前記端面(10)と交差する周側面(12)と、前記端面(10)と前記周側面(12)との交差稜線部に切れ刃(20)とを有する切削工具(1)であって、
    前記切れ刃(20)の上に第1および第2の点(A,B)を定めるとき、前記第1の点(A)は前記第2の点(B)よりも前記切削工具(1)の外方に向かって突出し、
    前記切削工具(1)は、その表面に被覆膜(25)を有し、
    前記切れ刃(20)は、前記第1の点(A)から前記第2の点(B)に向かうにつれ、前記被覆膜(25)の厚さが漸次大きくなる部分を有する切削工具。
  2. 前記第1の点(A)における前記被覆膜(25)の厚さを第1の厚さ(T1)とし、前記第2の点(B)における前記被覆膜(25)の厚さを第2の厚さ(T2)とするとき、前記第2の厚さ(T2)と前記第1の厚さ(T1)との差は、前記第2の厚さ(T2)に対して20%以上90%である請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記第1の点(A)における前記被覆膜(25)の厚さを第1の厚さ(T1)とし、前記第2の点(B)における前記被覆膜(25)の厚さを第2の厚さ(T2)とするとき、前記第2の厚さ(T2)と1の厚さ(T1)との差は、1μm以上30μm以下である請求項1に記載の切削工具。
  4. 前記切れ刃(20)はホーニング面(21)を有し、
    前記ホーニング面(21)は、前記第1の点(A)から前記第2の点(B)に向かうにつれ幅が漸次大きくなる部分を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の切削工具。
  5. 前記ホーニング面(21)の断面形状は略円弧状である請求項4に記載の切削工具。
  6. 前記切れ刃(20)は、前記第1の点(A)から前記第2の点(B)に向かうにつれ、
    断面形状の曲率半径が漸次大きくなる部分を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の切削工具。
  7. 前記切れ刃(20)の断面形状の前記曲率半径の最大値と最小値との差は0.003mm以上0.1mm以下である請求項6に記載の切削工具。
  8. 長手方向及びこれに垂直な短手方向を有する上面と、
    前記端面と反対方向を向き、前記長手方向及び前記短手方向を有する下面と、
    前記上面と前記下面に接続され、前記長手方向を向いた第1の側面と、
    前記上面と前記下面と前記第1の側面に接続され、前記短手方向を向いた第2の側面と、
    前記上面と前記下面と前記第2の側面に接続され、前記長手方向を向いた第3の側面と、
    前記上面と前記下面と前記第3の側面と前記第1の側面に接続され、前記短手方向を向いた第4の側面と、
    前記上面と前記第1の側面との接続部に形成され、前記上面に対向する方向から見た上面視において、前記第2の側面と前記第4の側面を通過し、前記短手方向に平行な直線からの距離が、前記第2の側面から前記第4の側面に近づくほど大きくなるように前記第2の側面及び前記第4の側面に対して傾斜するとともに、表面に被覆層が形成された切れ刃と、を備える切削工具であって、
    前記被覆層の膜厚は、前記上面視において前記第2の側面より前記第4の側面に近い第1点から前記第4の側面より前記第2の側面に近く、前記第1点から前記切れ刃の全長の過半以上離間する第2点にかけて漸増する、
    切削工具。
  9. 前記切れ刃の前記第4の側面側の端部に接続する、前記上面視において円弧状に形成されるコーナ切れ刃を更に備え、
    前記コーナ切れ刃に形成される被覆層の膜厚は、前記第2点における膜厚より小さいことを特徴とする請求項8に記載の切削工具。
  10. 前記切れ刃の前記第2の側面側の端部に接続する、前記上面視において円弧状に形成される第2のコーナ切れ刃を更に備え、
    前記第2のコーナ切れ刃に形成される被覆層の膜厚は、前記第2点における膜厚より大きいことを特徴とする請求項8又は9に記載の切削工具。
  11. 前記切れ刃は、前記被覆層が表面に形成される焼結体からなる母材を備え、
    前記第1点において、前記母材は、エッジを有し、
    前記第2点において、前記母材は、ホーニング面を有することを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の切削工具。
  12. 前記切削工具(1)は突っ切り・溝入れ用の切削インサートである請求項1から11のいずれか一項に記載の切削工具。
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