JP2019040778A - 端子付電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】導体の素線切れが少ない端子付電線を提供する。【解決手段】端子付電線1は、被覆55が一定の距離にわたって剥離されることにより導体51が露出した導体露出部53を+X方向側端部に含む電線50と、X方向に延びる端子10とを備える。端子10は、被覆55が載置された被覆載置部13と、導体露出部53の一部が溶接された溶接部12と、互いに対向しつつ被覆55の周方向に延出して被覆55に圧着された1対の加締片14A,14Bとを含む。そして、被覆55には、露出導体際52からX方向に延びるスリット56が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、端子付電線に係り、特に電線が端子に溶接されてなる端子付電線に関するものである。
従来このような端子付電線として、超音波溶接によって端子を電線に溶接したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この超音波溶接では、電線の露出導体の上側からホーンを押し当てて超音波振動を印加する。そして、これにより、露出導体が押し潰されて略矩形に変形し、該露出導体が端子に溶接される。
しかしながら、導体のうち被覆に覆われた部分(被覆導体)では、超音波溶接の際に導体の変形が被覆によって規制される。したがって、従来の端子付電線においては、超音波溶接の際に、変形が許容される露出導体と変形が規制される被覆導体との境界部である被覆際やその近傍において導体が急激に変形し、その結果、剪断力が生じて素線切れが発生してしまう問題があった。
特開2015−185283号公報
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、導体の素線切れが少ない端子付電線を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、導体の素線切れが少ない端子付電線が提供される。この端子付電線は、被覆が一定の距離にわたって剥離されることにより露出した露出導体をその端部に含む電線と、上記電線の軸方向に延びる端子とを備える。上記端子は、上記被覆が載置された被覆載置部と、上記露出導体の一部が溶接された溶接部と、互いに対向しつつ上記被覆の周方向に延出して上記被覆に圧着された1対の加締片とを含む。そして、上記被覆には、上記被覆の露出導体際から上記軸方向に延びるスリットが形成されている。
このような端子付電線によれば、電線の被覆に露出導体際から軸方向に延びるスリットが形成されているため、超音波溶接の際に、被覆に覆われた導体が露出導体際及びその近傍で変形することが許容される。すなわち、本発明における端子付電線によれば、超音波溶接の際の露出導体際での導体の変形が緩やかになるため、導体の素線切れが効果的に抑制される。
ここで、上記被覆載置部又は上記1対の加締片は、上記被覆に食い込むことによって上記被覆が上記端子に対して相対移動することを規制する凸部を有していることが好ましい。このような構成により、電線の被覆が端子から抜けにくくなる。
ところで、上記スリットは、上記電線の導体と上記端子の上記被覆載置部との間に形成されていることが好ましい。また、上記スリットは、上記1対の加締片の間の中央部に位置していることがさらに好ましい。このような構成により、より確実に1対の加締片で被覆を圧着することができる。
また、上記スリットの全長が上記端子の内側に位置していることが好ましい。このような構成により、スリットからはみ出た導体と他の導電性部材との間の沿面距離や空間距離が短くなることが抑制されるため、他の導電性部材に対する絶縁性が損なわれにくい。
本発明によれば、被覆の露出導体際から軸方向に延びるスリットが被覆に形成されていることにより、超音波溶接の際に導体の素線が切れてしまうことが効果的に抑制されるため、素線切れの少ない端子付電線が提供されるという効果がある。
図1は、本発明の一実施形態における端子付電線を模式的に示す平面図である。 図2は、図1の端子付電線を模式的に示す背面透視図である。 図3は、図1のA−A線断面図である。 図4は、図1のB−B線断面図である。 図5は、図1の端子付電線の製造方法を示す図であり、図1に対応する平面図である。 図6は、図1の端子付電線の製造方法を示す図であり、図2に対応する背面透視図である。 図7は、図1の端子付電線の製造方法を示す図であり、図5のC―C線断面図である。 図8は、図1の端子付電線の製造方法を示す図であり、超音波溶接装置のホーンを押し当てる前の状態を示す図である。 図9は、図1の端子付電線の製造方法を示す図であり、超音波溶接装置が動作している状態を示す図である。
以下、本発明に係る端子付電線の実施形態について図1から図9を参照して詳細に説明する。なお、図1から図9において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図9においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
図1は本発明の一実施形態における端子付電線1を模式的に示す平面図であり、図2は端子付電線1を模式的に示す背面透視図であり、図3は端子付電線1を示す図1のA−A線断面図であり、図4は端子付電線1を示す図1のB−B線断面図である。なお、図2では、理解を容易にするために、電線50が実線で、端子10が破線で示されている。
図1から図3に示すように、端子付電線1は、電線50と、電線50の軸方向(X方向)を長手方向とする端子10とを備えている。電線50の被覆55は、電線50の+X方向側端部から一定距離にわたって剥離されており、これにより、電線50の導体51が露出した導体露出部53(露出導体)が形成されている。
図1、図3、及び図4に示すように、端子10は、基部11と、Y方向における基部11の両縁部から被覆55の周方向に延出する1対の加締片14A,14Bとを含んでいる。すなわち、端子10は、Y方向において互いに対向する1対の加締片14A,14Bを含んでいる。基部11の中央部12(溶接部12)には導体露出部53の一部が超音波溶接により溶接されている。そして、これにより、端子10と電線50とが電気的に接続されている。また、溶接部12よりも−X方向側の部分13(被覆載置部13)には、電線50の被覆55が載置されている。なお、上記超音波溶接については後に詳細に説明する。
図1及び図4に示すように、加締片14Aは、被覆載置部13の+Y方向側縁部から被覆55の周方向に延出し、加締片14Bは、被覆載置部13の−Y方向側縁部から被覆55の周方向に延出している。そして、これら1対の加締片14A,14Bによって、電線50(被覆55)が加締められ圧着されている。また、被覆載置部13の−Y方向側及び+Y方向側には、+Z方向に突出する凸部15A,15Bがそれぞれ形成され、これら凸部15A,15Bが電線50の被覆55に食い込んだ状態になっている。
図1及び図3に示すように、基部11の溶接部12よりも+X方向側の部分には、端子付電線1が接続される相手方機器の端子接続部(図示せず)への接続固定用のボルト(図示せず)を締結するためのボルト孔11Aが形成されている。すなわち、このボルト孔11Aにボルトを挿通し、相手方機器の端子接続部に螺合することによって、端子付電線1が相手方機器に電気的に接続されるようになっている。
ここで、図2の背面図を参照すると、被覆55のうち裏側(−Z方向側)の部分にはX方向に延びるスリット56が形成されている。このスリット56は、端子付電線1の加締片14A,14Bの間の中央部に位置しており、被覆55の+X方向側縁部(すなわち、被覆55の露出導体際52)から基部11の−X方向側縁部16の近傍にわたって、すなわち、その全長が端子10の内側に位置するように形成されている。そして、端子10の被覆載置部13には、このスリット56を挟んで+Y方向側に凸部15Aが設けられており、−Y方向側に凸部15Bが設けられている。
図2に示すように、スリット56は、+X方向に向かって末広がりになっており、これに伴い、被覆55のうち被覆載置部13に載置されている部分55A(端子上被覆55A)も+X方向に向かって末広がりになっている。このようにスリット56及び端子上被覆55Aが+X方向に末広がりになっているのは、後述する超音波溶接工程において導体露出部53が押しつぶされた際に、導体51のうち端子上被覆55Aに覆われている部分51A(被覆導体51A)がY方向に広がったためである(図2及び図4参照)。すなわち、スリット56が形成されたことにより端子上被覆55Aの反発力が被覆55の他の部分と比較して小さくなり、その結果、超音波溶接工程において被覆導体51AがY方向に広がることが許容され、このような被覆導体51Aの変形に伴い、スリット56及び端子上被覆55Aが+X方向に末広がりになったものである。
このように、本実施形態によれば、スリット56が形成されていることにより、超音波溶接工程の際に導体露出部53(露出導体)だけでなく被覆導体51AもY方向に広がることが許容される結果、露出導体際52やその近傍における導体の変形が緩やかになるため、素線切れが効果的に抑制される。すなわち、本実施形態における端子付電線1によれば、従来の端子付電線と比較して素線切れが少なくなっている。
ところで、上述のように、端子上被覆55Aの反発力は被覆55の他の部分と比較して小さくなっており、また、端子上被覆55AはY方向に広がった状態(大きく変形した状態)になっているため、加締片14A,14Bが端子上被覆55Aに満足に圧着されない可能性がある。この場合、被覆55が端子10に対して相対移動して端子から抜けてしまうおそれがある。
しかしながら、本実施形態によれば、端子上被覆55Aが載置される被覆載置部13に凸部15A,15Bが設けられており、これらの凸部15A,15Bが端子上被覆55Aに食い込んでいるため、被覆が端子に対して相対移動してしまうことが効果的に抑制される。したがって、本実施形態における端子付電線1によれば、素線切れが少ないことに加えて、被覆が端子から抜けてしまうことが防止される。
また、本実施形態によれば、図2に示すように、スリット56が端子10の内側に位置しているため、スリット56からはみ出た導体51から他の導電性部材までの空間距離や沿面距離が短くなってしまうことが抑制される。したがって、本実施形態によれば、端子付電線1と他の導電性部材との間の絶縁性が損なわれにくい。
次に、このような端子付電線1の製造方法の一例について説明する。ここで、図5は図1に対応する平面図であり、図6は図2に対応する背面透視図であり、図7は図5のC−C線断面図である。端子付電線1を製造するにあたり、まず、図5から図7に示すような電線50を用意する。すなわち、被覆55の露出導体際52からX方向に延びるスリット56が形成された電線50を用意する。
次に、図5から図7に示すように、この電線50を端子10に載置する。より具体的には、下記(1)〜(3)を満たすように電線50を端子10に載置して溶接前端子付電線2を構成する。
(1)図5に示すように、導体露出部53のX方向の全長が端子10の内側に位置するように、かつ、被覆55が1対の加締片14A,14Bの間に位置するように電線50を端子10に載置する。
(2)図6及び図7に示すように、スリット56が下側になるように(すなわち、スリット56が導体51と端子10の基部11との間に位置するように)、かつ、スリット56が端子10の加締片14A,14Bの間の中央部に位置するように電線50を端子10に載置する。
(3)図6に示すように、スリット56のX方向の全長が端子10の内側に位置するように電線50を端子10に載置する。
次に、図8に示すように、溶接前端子付電線2を超音波溶接装置90のアンビル91に載置する。
次に、図9に示すように、超音波溶接装置90のホーン92を押し下げて導体露出部53の中央部を押圧するとともに、ホーン92を超音波振動させる(超音波溶接工程)。
この超音波溶接工程により、図1、図4及び図9に示すように、導体露出部53の中央部及びその近傍がホーン92の押圧や超音波振動によって押しつぶされてY方向に広がる。また、ホーン92からの押圧や超音波振動によって、導体51を構成する素線54の酸化被膜や汚れと、端子10の酸化被膜や汚れとが除去され、ホーン92の超音波振動によって生じる金属原子の移動が金属原子間の強い引力を引き起こし、金属原子が互いに結びついて固相溶接状態となる。その結果、導体51が端子10の溶接部12に溶接される(超音波溶接)。さらに、この超音波振動によって導体51の複数の素線54が互いに激しく擦れ合い一体化する。その結果、電線50が端子10に溶接された圧着前端子付電線3が形成される。
ところで、この超音波溶接工程では、導体露出部53の中央部及びその近傍が大きく変形してY方向に広がり、これに伴って被覆導体51AもY方向に広がろうとするため、端子上被覆55Aが被覆導体51Aによって内側から外側に押圧される(図4参照)。ここで、端子上被覆55Aには露出導体際52からX方向に延びるスリット56が形成されており、スリット56が形成されていない他の部分に比べて反発力が低下しているため、端子上被覆55Aは被覆導体51Aからの押圧に抗しきれずにY方向に広がる。すなわち、導体露出部53だけでなく、露出導体際52近傍における被覆導体51Aの変形も許容される。このように、本実施形態によれば、露出導体際52における導体51の変形が緩やかになるため、素線切れが効果的に抑制される。
最後に、この圧着前端子付電線3の1対の加締片14A,14Bを図示しない加締め具を用いて加締める。これにより、加締片14A,14Bが被覆55に圧着されるとともに、被覆載置部13に設けられた凸部15A,15Bが被覆55に食い込み、被覆55(端子上被覆55A)が端子10にしっかりと固定される(加締め工程)。
以上の工程により、本実施形態における端子付電線1が完成する。
ところで、スリット56が被覆55の上側(+Z方向側)に形成されていると、超音波溶接工程における超音波振動によって素線がスリットから端子の上側(外側)にはみ出したり、加締め工程のおける加圧により被覆がめくれ上がったりする可能性がある。また、スリット56が被覆55の横側(+Y方向側又は−Y方向側)に形成されていると、スリットからはみ出した素線によって加締め工程における加締め圧が左右(+Y方向側又は−Y方向側)で不均一になってしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、図4及び図7に示すように、スリット56が被覆55の下側に形成されているため、素線が端子の外側にはみ出すことや被覆がめくれ上がることが防止される。また、加締め工程における加締め圧が左右で不均一になることが抑制される。
また、本実施形態によれば、図7に示すように、スリット56が端子10の加締片14A,14Bの間の中央部に位置しているため、超音波溶接工程において素線がスリット56からはみ出した場合でも、これらはみ出した素線は端子10のY方向における中央部に位置した状態となる。したがって、加締め工程における加締め圧が電線の左右で不均一になってしまうことがより効果的に抑制される。
なお、図7に示すように、本実施形態における凸部15A,15Bは被覆載置部13に形成されているが、加締片14A,14Bの先端部近傍に設けられていてもよい。この場合、加締片14A,14Bを加締めて被覆55の周方向に湾曲させた際、これら凸部15A,15Bを容易に被覆に食い込ませることができる。
なお、スリットのX方向の全長及び露出導体際においてスリットを形成する位置は適宜変更できることは言うまでもない。また、凸部の寸法や形状及び加締片において凸部を設ける位置も適宜変更できることは言うまでもない。
本明細書において使用した用語「下」、「上」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
1 端子付電線
2 溶接前端子付電線
3 圧着前端子付電線
10 端子
11 基部
11A ボルト孔
12 溶接部
13 被覆載置部
14A,14B 加締片
15A,15B 凸部
16 −X方向側縁部
50 電線
51 導体
51A 被覆導体
52 露出導体際
53 導体露出部(露出導体)
54 素線
55 被覆
55A 端子上被覆
56 スリット
90 超音波溶接装置
91 アンビル
92 ホーン

Claims (5)

  1. 被覆が一定の距離にわたって剥離されることにより露出した露出導体をその端部に含む電線と、前記電線の軸方向に延びる端子とを備えた端子付電線であって、
    前記端子は、
    前記露出導体の一部が溶接された溶接部と、
    前記被覆が載置された被覆載置部と、
    互いに対向しつつ前記被覆の周方向に延出して前記被覆に圧着された1対の加締片と
    を含み、
    前記被覆には、前記被覆の露出導体際から前記軸方向に延びるスリットが形成されている、
    端子付電線。
  2. 前記被覆載置部又は前記1対の加締片は、前記被覆に食い込むことによって前記被覆が前記端子に対して相対移動することを規制する凸部を有している、請求項1に記載の端子付電線。
  3. 前記スリットは、前記電線の導体と前記端子の前記被覆載置部との間に形成されている、請求項1又は2に記載の端子付電線。
  4. 前記スリットは、前記1対の加締片の間の中央部に位置している、請求項1から3のいずれか一項に記載の端子付電線。
  5. 前記スリットの全長が前記端子の内側に位置している、請求項1から4のいずれか一項に記載の端子付電線。
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